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うつ病治療、行動療法の意義はどの程度か:京都大学

 うつ病に対する行動療法とその他の心理療法の有効性は同程度(低~中の質のエビデンス)であることが明らかにされた。京都大学大学院医学研究科社会医学系専攻健康増進・行動学分野の篠原 清美氏らが25件の試験をレビューし報告した。行動療法は現在うつ病治療に臨床活用されている心理療法の1カテゴリーである。しかし、他の心理療法と比較した行動療法の有効性および受容性は不明なままであった。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年10月号の掲載報告。 研究グループは本レビューにおいて、急性うつ病に対する、(1)全行動療法アプローチとその他の全心理療法アプローチとの有効性を比較すること、(2)行動療法アプローチ別(行動療法、行動活性化療法、生活技能訓練、リラクゼーショントレーニング)に、その他の全心理療法アプローチとの有効性を比較すること、(3)心理療法アプローチ別(認知行動療法[CBT]、third wave CBT、精神力動的療法、人間主義的療法、統合心理療法)に、全行動療法アプローチとの有効性を比較した。Cochrane Depression Anxiety and Neurosis Group Trials Specialised Register(2013年7月31日時点)を検索し、関連無作為化試験をCochrane Library(全発行年)、EMBASE(1974~)、MEDLINE(1950~)、PsycINFO(1967~)から組み込んだ。また、CINAHL(2010年5月)、PSYNDEX(2010年6月)、さらに参照文献リストの試験や関連する発表・未発表の試験のレビューも組み込み、成人の急性期うつ病において行動療法とその他心理介入法を比較した無作為化対照試験を検索した。 主な結果は以下のとおり。・レビューに組み込まれたのは25試験(行動療法とその他心理療法5つのうち1つ以上と比較)、被験者合計955例であった。・大部分の試験はサンプルサイズが小さく、バイアスリスクが不明もしくは高いにもかかかわらず評価が行われていた。・行動療法の寛解率は、その他の全心理療法と比較して有意差はなかった(18試験、690例、リスク比[RR]:0.97、95%信頼区間[CI]:0.86~1.09)。受容性も有意差はみられなかった(15試験、495例、全脱落のRR:1.02、95%CI:0.65~1.61)。・個別に心理療法と比較しても同様で、認知行動療法が行動療法よりも寛解率が優れるというエビデンスは低く(15試験、544例、RR:0.93、95%CI:0.83~1.05)、一方で行動療法が精神力動的療法よりも寛解率が優れるというエビデンスは低かった(2試験、110例、RR:1.24、95%CI:0.84~1.82)。・統合心理療法と人間主義的療法との比較は1試験のみで、解析では行動療法との間に有意差は示されていなかった。・以上のように、行動療法とその他心理療法の有効性は同程度であるという低~中のエビデンスがみつかった。行動療法の相対的な有益性と有害性を評価する現状のエビデンスベースは非常に弱いものであった。・本検討の治療に対する反応と中止に関連したキーアウトカムに関して、効果サイズと精度はいずれも信頼に限りがある。試験参加者が大規模で、試験デザインと治療に対する精度が改善されれば、本レビューにおけるエビデンスの質は改善されるだろう。関連医療ニュース 認知機能トレーニング/リハビリテーションはどの程度有効なのか? ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

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最初の1年がピーク、抗精神病薬による体重増加と代謝異常

 抗精神薬に関連する代謝系の長期副作用に関するデータは不足している。英国・King's College LondonのRocio Perez-Iglesias氏らは、初回エピソード精神病患者を対象に、抗精神病薬投与後の体重増加および代謝異常の出現状況について検討した。その結果、最初の1年間に著しい体重増加が認められ、代謝に関しては総コレステロール、LDL-コレステロール、トリグリセリドなどの脂質異常を認めたことを報告した。結果を踏まえて著者は、「抗精神病薬投与後、最初の1年間は体重増加と代謝パラメータの変動に注意を要することが示唆された」と述べ、また「体重増加の経過を明らかにすることは、抗精神病薬に関連する代謝系有害事象の防止または軽減を目的とした研究における有用な情報となるであろう」とまとめている。The International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2013年10月8日号の掲載報告。 研究グループは、治療歴のない初回エピソード精神病患者を対象とした前向き長期試験は、抗精神病薬投与前の状況を把握でき、かつ交絡因子の影響が少ないという点で貴重な情報といえる、として本検討を行った。試験は、抗精神病薬投与開始後3年間における体重増加の経過および代謝異常の出現頻度を評価することを目的とした。初回エピソード精神病患者170例のコホートを、ハロペリドール群(32%)、オランザピン群(32%)、リスペリドン群(36%)に無作為化し、可変用量を投与した。初期治療は、臨床効果と忍容性を考慮し、必要に応じて変更された。 主な結果は以下のとおり。・3年時点における平均体重増加は12.1kg(SD:10.7)であった。・最初の1年間における体重増加が著しく(平均総体重増加量の85%)、その後は次第に安定した。・総コレステロール、LDL-コレステロールおよびトリグリセリド値は同様の推移を示し、最初の1年間においてのみ有意な増加がみられた。・血糖パラメータの有意な変化は認められなかった。・糖尿病の家族歴を有する2例で、2型糖尿病の発症がみられた。・短期評価において、体重増加と関連する因子は「BMI低値」「男性」「オランザピン投与」であった。・長期評価において、「機能的状態」と「臨床効果」が主要な予測因子であることが示された。関連医療ニュース 抗精神病薬性の糖尿病、その機序とは 若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点 統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か

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統合失調症治療に抗炎症薬は有用か

 統合失調症の病態に脳の炎症は関連しているのか。オランダ・ユトレヒト大学のIris E. Sommer氏らは、抗炎症薬による統合失調症の症状軽減効果を評価するため、臨床試験26件について解析を行った。その結果、アスピリン、N-アセチルシステイン、エストロゲン製剤において、症状の重症度に対し有意な改善効果が認められることを報告した。Schizophrenia Bulletin誌オンライン版2013年10月8日号の掲載報告。 統合失調症の炎症説は新しいものではないが、最近、統合失調症の病因における免疫系の役割を示唆するデータが多く発表されており、再び注目を集めている。脳における炎症の増強が統合失調症の症状に関与しているとするならば、炎症の抑制は臨床経過を改善しうると考えられる。実際、最近、数件の試験において、抗炎症薬が統合失調症の症状を改善しうるか否かが検討されていた。本研究では、これまでに実施された臨床試験を基に、統合失調症の症状に及ぼす抗炎症薬の有効性に関する最新情報を調査した。PubMed、Embase、the National Institutes of Health のウェブサイト(http://www.clinicaltrials.gov)、Cochrane Schizophrenia Group entries in PsiTriおよびCochrane Database of Systematic Reviewsを用いてデータベース検索を行った。検索対象は、臨床アウトカムを検討した無作為化二重盲検プラセボ対照試験に限定した。主な結果は以下のとおり。・適格試験は26件が抽出された。・アスピリン、セレコキシブ、ダブネチド(国内未承認)、エイコサペンタエン酸(EPA)およびドコサヘキサエン酸(DHA)などの脂肪酸、エストロゲン製剤、ミノサイクリンおよびN-アセチルシステイン(NAC)について、症状の重症度に及ぼす影響を調査した。・そのうち、アスピリン(重み付け平均効果サイズ[ES]:0.3、270例、95%CI:0.06~0.537、I2=0)、エストロゲン製剤(ES:0.51、262例、95%CI:0.043~0.972、I2=69%)およびNAC (ES:0.45、140例、95%CI:0.112~0.779)において、有意な効果が認められた。・セレコキシブ、ミノサイクリン、ダブネチドおよび脂肪酸では、有意な効果が認められなかった。・以上より、抗精神病薬へのアスピリン、NAC、エストロゲン製剤の追加は有望だと思われた。・これら3製剤は、いずれも非常に幅広い活性を有している。症状の重症度に対する有益な効果が、真にその抗炎症作用を介したものであるか否かを検討する必要がある。関連医療ニュース 抗精神病薬へのNSAIDs追加投与、ベネフィットはあるのか? 新たな選択肢か?!「抗精神病薬+COX-2阻害薬」自閉症の治療  アルツハイマー病、アミロイドβ蛋白による“炎症反応”が関与

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抗精神病薬性の糖尿病、その機序とは

 第二世代抗精神病薬(SGA)により誘発される、インスリン分泌異常の主要機序について、オーストラリア・ウーロンゴン大学のKatrina Weston-Green氏らがレビューの結果を報告した。部分的な中枢および末梢神経でのムスカリンM3受容体(M3R)の阻害によると考えられ、M3Rが初期にインスリン分泌とグルコースホメオスタシスを破壊し、慢性治療中に次第にインスリン抵抗性や糖尿病に結びつく可能性があるという。CNS Drugs誌オンライン版2013年10月10日号の掲載報告。第二世代抗精神病薬のM3Rに対する結合親和性が糖尿病リスクの予測因子 第二世代抗精神病薬は、さまざまな疾患に広く処方されているが、中心となるのが統合失調症と双極性障害である。第二世代抗精神病薬は、グルコース代謝異常を来し、インスリン抵抗性や2型糖尿病を引き起こすという副作用があるが、その機序についてはほとんどわかっていない。研究グループは、その主要機序および治療ターゲットとして、アセチルコリン(Ach)受容体のうちM3Rの可能性についてレビューした。 第二世代抗精神病薬がインスリン抵抗性や2型糖尿病を引き起こすとい主要機序についてレビューした結果は以下のとおり。・M3Rに対する第二世代抗精神病薬の結合親和性が、糖尿病リスクの予測因子であることが特定された。・オランザピン、クロザピンは、副作用として糖尿病の臨床発生率が最も高いが、強力なM3Rアンタゴニストであった。・膵臓のM3Rは、グルコース刺激インスリン分泌のコリン作動性経路を調整する。すなわち、β細胞の活性化がインスリン分泌を促進する一方で、M3R阻害がインスリン分泌を減少する。・マウス試験において、遺伝子組み換えM3Rは、インスリン濃度と耐糖能に強い変化をもたらした。・オランザピンは、視床下部や尾方脳幹の各核レベル、膵臓の迷走神経系支配を介してグルコースホメオスタシスおよびインスリン分泌を調整する部位の、M3R濃度を変化させる。・さらに、M3Rは、グルコースホメオスタシスに影響する主要なポジションに位置しており、膵β細胞への直接的な作用や、視床下部や脳幹におけるシグナル伝達を変えることが可能である。・SGAによって誘発されたインスリン分泌障害は、一部で中枢および末梢神経のM3R阻害による可能性がある。M3R阻害がインスリン分泌やグルコースホメオスタシスを破壊し、慢性治療中にインスリン抵抗性や糖尿病へと次第に結びついていく可能性がある。関連医療ニュース オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学/a> 検証!抗精神病薬使用に関連する急性高血糖症のリスク ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学

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初回エピソード統合失調症患者はプロラクチン値が高い

 プロラクチンは精神医学分野において大きな注目を集めているホルモンである。ドパミン阻害の抗精神病薬に対して血清プロラクチン値上昇がしばしばみられる一方で、血清プロラクチン値の減少は抗精神病薬の効果を反映するとみなされている。しかし、未治療の初回エピソード統合失調症(FES)患者のベースライン時のプロラクチン値を調べた調査は、これまで限られていた。トルコ・Namik Kemal大学のYakup Albayrak氏らは、初の実証研究として検討を行った。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年10月7日号の掲載報告。 本検討は、未治療のFES患者におけるベースライン時のプロラクチン値を調べること、また、FES患者と非治療(drug-free)統合失調症(DFS)患者、および健常対照者(HC)とのプロラクチン値の格差を調べることを目的とし、トルコのGolbasi Hasvak and Kirklareli州立病院で行われた。被験者に対しては臨床検査と個別面談を行った。そして全薬物治療を開始する前に、8時~10時の間に静脈血5mLを採血し血清プロラクチン値を測定(ラジオイムノアッセイ[RIA])した。 主な結果は以下のとおり。・被験者はいずれも男性で、FES群30例、DFS群41例、HC群32例であった。平均年齢はDFS群が、より高かった。・簡易精神症状評価尺度(BPRS)の平均スコアは、FES群でより高値であった。また、陰性症状評価尺度の平均スコアは、DFS群でより高値であった。・プロラクチンの平均値は、FES群(34.1±19.9ng/dL)が、DFS群(17.9±6.5ng/dL)およびHC群(9.7±2.3ng/dL)と比べて有意に高かった(F=35.5、p<0.001)。また、平均血清プロラクチン値は、DFS群がHC群よりも有意に高かった(p<0.001)。・上記の結果を踏まえて、著者は「統合失調症患者は初回エピソードの間、プロラクチンが保護因子として作用している可能性がある。統合失調症におけるプロラクチンの役割について、さらなる研究が必要である」と結論している。関連医療ニュース 抗精神病薬による高プロラクチン血症に関するレビュー 薬剤誘発性高プロラクチン血症への対処は? 統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

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青年期の外傷性脳損傷後3年時点で24.3%が持続痛

 青年期における外傷性脳損傷(TBI)後の持続痛の実態について調べた結果、受傷後3年の時点で24.3%が持続痛を有しており、長期の健康関連のQOL低下と関連していることなどが明らかにされた。米国・ワシントン大学のSee Wan Tham氏らによる報告で、同様の検討はこれまで行われていなかったという。Journal of Pain誌2013年10月号(オンライン版2013年8月2日号)の掲載報告。 TBIは小児の身体障害の主要な原因である。持続痛は重大な損傷後合併症と認識されているにもかかわらず、青年期の損傷後疼痛に関するデータは不足していた。そこで研究グループは、青年期におけるTBI後の持続痛の有病率を調べ、疼痛リスク因子を特定し、青年期疼痛の健康関連QOLへの影響について評価する初の調査を行った。 軽度~重度のTBIを経験した若者144例について、受傷後36ヵ月超追跡し、3、12、24、36ヵ月時の疼痛強度、うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、健康関連QOLについて評価した。 主な結果は以下のとおり。・本検討は、若者のTBI後持続痛の有病率について長期にわたって追跡調査し、またその健康関連QOLへの影響について調べた初の調査である。・TBI後のすべての評価時点(3、12、24、36ヵ月)で持続痛(通常疼痛強度≧3/10と定義)を報告した若者は、24.3%であった。・36ヵ月時点で持続痛を有する予測因子は、女性(オッズ比:2.73、95%信頼区間:1.12~6.63)、受傷後3ヵ月時点での抑うつ症状が高値(同:1.26、1.12~1.43)であった。・混合線形モデルによる評価の結果、TBI後3ヵ月という早期の時点で痛みを有していることが、長期の不良な健康関連QOLと有意に関連していることが示された。・以上の結果から、TBIを有した若者について、タイムリーな評価、および疼痛の発現および影響を最小限とするための介入がベネフィットにつながることが示唆された。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・身体の痛みは心の痛みで増幅される。知っておいて損はない痛みの知識・脊椎疾患にみる慢性疼痛 脊髄障害性疼痛/Pain Drawingを治療に応用する・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?

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自殺リスクが低い食事パターン~日本人での研究

 食事パターンはうつ病と関連するが、自殺リスクとの関連を調べた研究はまだない。JPHC研究(Japan Public Health Center-based Prospective Study)グループの南里 明子氏らは、食事パターンと自殺による死亡との関連を前向きに調査し、British Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年10月10日号に報告した。本研究では、野菜、果物、いも類、大豆製品、キノコ類、海藻、魚介類の摂取量が多い食事が、自殺による死亡リスクの低下と関連している可能性が示唆された。 参加者は、JPHC研究の2次サーベイ(1995~1998年)に参加した男性4万752人および女性4万8,285人。食物摂取頻度調査票によって134種類の食品と飲料の消費量を確認し、主成分分析により食事パターンを調査した。追跡期間の4年目から2005年12月まで自殺のハザード比を算出した。 主な結果は以下のとおり。・男女とも、野菜、果物、いも類、大豆製品、きのこ類、海藻、魚介類の摂取量が高い“prudent”な食事パターンが、自殺リスクの低下と関連していた。・食事パターンスコアの4分位最高区分の最低区分に対する自殺の多変量補正ハザード比は0.46(95%CI:0.28~0.75、傾向のp=0.005)であった。・ほかの食事パターン(西洋化された食事と伝統的な日本食)は自殺リスクと関連していなかった。

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脳卒中介護者へのプログラムを入院中から導入してみると…/Lancet

 先行研究において、脳卒中後“退院”患者の身体的改善や、家族介護者の身体的負担の軽減ならびに不安やうつ病の減少効果が報告された、介護者への訓練プログラム(London Stroke Carers Training Course:LSCTC)について、同プログラムを入院中から行うこと(構造化訓練プログラム:TRACS)の費用対効果を検討した結果、通常ケアと変わらなかったことが明らかにされた。英国・ブラッドフォード教育病院NHS財団トラスト&リード大学のAnne Forster氏らが、クラスター無作為化比較試験および費用対効果分析の結果、報告したもので、「脳卒中直後は、構造化介護者訓練を提供する好機ではない可能性が示された」と結論している。Lancet誌オンライン版2013年9月18日号掲載の報告より。入院中からの構造化訓練プログラムの効果を検討 脳卒中既往患者の大半は、日常生活に関して主として家族であるインフォーマルな介護者に依存している。TRACS試験は、介護者への訓練プログラムLSCTCについて、脳卒中後機能障害を有する患者と介護者の身体的および精神的アウトカムを、費用対効果を含めて調べることが目的であった。試験は、脳卒中ユニットに介入を行うプラグマティックな多施設クラスター無作為対照試験で費用対効果の検討も併せて行われた。 試験適格とした脳卒中ユニットは、ユニット規定基準5つのうち4つを満たしており、ユニット患者の大半が脳卒中と診断されていること、スタッフがLSCTCを提供でき、患者の大半は退院後自宅に戻ることを要件とした。 主要アウトカムは、患者については、6ヵ月時点の日常生活動作について、Nottingham Extended Activities of Daily Living(NEADL)スケールで測定した自己申告評価とし、介護者については、介護者負担スケール(CBS)で測定した自己申告の負担であった。介入群と対照群で費用対効果も含めて有意な差はみられず 49の脳卒中ユニットについて試験適格性を評価し、36のユニットを介入群と対照群に無作為に割り付けた。 2008年2月27日~2010年2月9日の間に、928組の患者と介護者のペアが登録された。介入群は450組、対照群は478組だった。 日常生活動作の拡大を自己申告した患者は、6ヵ月時点において両群で差はなかった。補正後平均NEADLスコアは、介入群27.4、対照群27.6で、差は-0.2ポイント(95%信頼区間[CI]:-3.0~2.5、p=0.866)であった。 介護者負担スケールも有意差はみられなかった。補正後平均CBSは、介入群45.5、対照群45.0で、差は0.5ポイント(95%CI:-1.7~2.7、p=0.660)であった。 患者と介護者のコストは、両群において同程度であった。初期脳卒中入院期間と関連コストは、介入群1万3,127ポンド、対照群1万2,471ポンドで、補正後平均差は1,243ポンド(95%CI:-1,533~4,019、p=0.380)。QALYに基づく費用対効果の可能性は低かった。

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統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

 統合失調症では認知機能障害が一般的にみられる。しかし、初回エピソード患者におけるこれら障害の長期転帰の予測因子は不明であった。スウェーデン・ウプサラ大学のRobert Boden氏らは、初回エピソード統合失調症患者の5年後アウトカムの予測因子としての思考力の低下および認知機能障害について調べた。その結果、思考速度が社会性や症状寛解に関する長期転帰と関連していることを報告した。Nordic Journal of Psychiatry誌オンライン版2013年9月20日号の掲載報告。 研究グループは、初回エピソード統合失調症と診断され、臨床的症状が安定した患者46例について、総合的認知機能(Synonyms, Reasoning, and Block Design:SRB)、思考速度(Trail Making Test:TMT、およびフィンガータッピング)、言語学習(Claeson-Dahl Verbal Learning Test)について評価した。また、5年後の転帰は、自立生活、職業的機能、社会性、症状寛解に関して評価した。 主な結果は以下のとおり。・思考速度の低下が、5年後の社会性の低下と関連していた。抗精神病薬使用で補正後のオッズ比(OR)は3.37(95%信頼区間[CI]:1.08~10.51)であった。・利き手ではない手のフィンガータッピングの成績が良好であることは、5年後の症状の非寛解リスク増大と関連していた(補正後OR:0.42、95%CI:0.19~0.96)。・職業的機能と自立生活は、評価したいずれのテストとも関連がみられなかった。関連医療ニュース 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か? 初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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重度精神障害の機能評価ツール、その信頼性は

 スペイン・オビエド大学のMaria P. Garcia-Portilla氏らは、統合失調症および双極性障害患者を対象とし、重度精神障害患者の機能評価ツールとしてUniversity of California Performance Skills Assessment(UPSA)スペイン版の信頼性、妥当性の評価を行った。その結果、UPSAスペイン版はその他の機能評価ツールと良好な相関を示し、信頼性の高い検証ツールであり、「機能アウトカムのモニタリング手段として臨床試験および日常診療での活用が望ましい」と報告した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年9月18日号の掲載報告。 重度精神障害患者における、UPSAスペイン版の検証を目的とし、自然的、6ヵ月間フォローアップ、多施設共同、バリデーション試験を行った。対象は、統合失調症患者139例、双極性障害患者57例、対照31例とし、スペイン版UPSA(Sp-UPSA)、Clinical Global Impression, Severity(CGI-S)、Global Assessment of Functioning(GAF)および Personal and Social Performance(PSP)などのスケールを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。<信頼性>・統合失調症における内部整合性(クロンバックのα係数)は0.81、双極性障害では0.58であった。Test-retestは、それぞれ0.74、0.65(p<0.0001)であった。<構成のValidity>・Sp-UPSAとPSP総スコア間のピアソン相関係数は、統合失調症が0.42(p<0.0001)、双極性障害が0.44(p=0.001)であった。・Sp-UPSAとGAFスコアの相関係数は、それぞれ0.43、0.52(p<0.0001)であった。<弁別的Validity>・ Sp-UPSAにより、患者と対照が識別された。・統合失調症患者において、CGI-Sスコアによる疾患重症度の相違が識別された。・統合失調症における対照/患者の曲線下面積は0.89、カットオフ値85における感度は82.7%、特異度は77.4%であった。・双極性障害における対照/患者の曲線下面積は0.85、カットオフ値90における感度は82.5%、特異度は64.5%であった。関連医療ニュース 統合失調症の再入院、救急受診を減らすには 認知機能トレーニング/リハビリテーションはどの程度有効なのか? 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は?

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うつ病患者への禁煙治療、症状悪化の懸念は

 喫煙者の多くにうつ病がみられる。米国のRobert M. Anthenelli氏らは、うつ病を有する喫煙者に対し禁煙補助薬バレニクリン(商品名:チャンピックス)を使用した際の、禁煙率および気分・不安レベルの変化について検討を行った。Annals of internal medicine誌2013年9月13日号の掲載報告。 本試験は、第4相多施設共同無作為化二重盲検並行群間試験。対象は、8ヵ国38医療機関の、大うつ病に対する治療中または治療歴があり、現在、心血管イベントを認めない成人喫煙者525例であった。抗うつ薬の使用とベースライン時のうつ病重症度で層別化した被検者を、1ブロック4例にランダム化し、バレニクリン1mgを1日2回またはプラセボを12週間投与し、40週間無治療としてフォローアップした。主要アウトカムは、9~12週の一酸化炭素確認による持続的な禁煙率(CAR)とした。また、無治療フォローアップ期間中のCAR、気分、不安、自殺企図または自殺行為の状況についても評価した。 主な結果は以下のとおり。・バレニクリン群の68.4%、プラセボ群の66.5%が試験を完了した。・バレニクリン群はプラセボ群と比較して、9~12週のCAR(35.9%vs. 15.6%、オッズ比[OR]:3.35、95%CI:2.16~5.21、p<0.001)、9~24週のCAR(25.0%vs. 12.3%、OR:2.53、95%CI:1.56~4.10、p<0.001)、および9~52週のCAR(20.3%vs. 10.4%、OR:2.36、95%CI:1.40~3.98、p=0.001)が高かった。・自殺企図または自殺行為の状況に2群間で差はなく、各群ともうつまたは不安の悪化はみられなかった。・最も高頻度に発現した有害事象は悪心であった(バレニクリン群27.0%、プラセボ群10.4%)。・無治療期間に、バレニクリン群の2例が死亡した。・本試験では、いくつかのデータが欠落しており、件数が低いイベントに関しては群間差の検出力が低かった。また、うつ病に対し未治療の喫煙者、精神疾患発症例、または気分安定薬および抗精神病薬の投与例を除外していた点でも試験に限界があった。・以上を踏まえて、著者は「うつ病を有する喫煙者に対し、バレニクリンはうつ病や不安を悪化させることなく禁煙率の向上に寄与することが示された」と結論した。関連医療ニュース うつ病の既往歴がある患者に対する禁煙治療は難しい?! 統合失調症の症状悪化に関連?「喫煙」「肥満」の影響 ブプロピオンで統合失調症患者の禁煙達成!?

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日本の統合失調症入院患者は低栄養状態:新潟大学

 欧米では、健常者と比較して、抗精神病薬治療を受けている統合失調症患者における肥満やメタボリック症候群の有病率が高い。しかし日本では、そもそも一般集団の過体重および肥満の有病率が、欧米と比較してかなり低い。新潟大学の鈴木雄太郎氏らは、日本の統合失調症入院患者について調査を行い、低体重の患者の割合が一般集団と比較して高いことを明らかにした。結果を受けて著者は「入院患者の身体的健康について、診療でより考慮する必要がある」と報告している。Psychiatry and Clinical Neurosciences(PCN)誌オンライン版2013年9月2日号の掲載報告。 研究グループは、日本の統合失調症入院患者における、低体重および過体重/肥満の有病率について調査した。被験者は統合失調症入院患者と、年齢・性で適合した健常ボランティア対照であった。BMI 値25以上を過体重/肥満、18.5~25未満を標準体重、18.5未満を低体重と定義した。 主な結果は以下のとおり。・統合失調症入院患者333例、健常対照191例について調べた。・両群間において、3つの体重定義の有病率に有意差が認められた(p<0.001)。・低体重の有病率は、統合失調症患者群が対照群と比べて有意に高率であった(p<0.001)。・また、統合失調症患者群のほうが対照群よりも、低タンパク血症(p<0.001)、低コレステロール血症(p<0.001)の有病率が有意に高率であった。・さらに統合失調症患者群において、低体重群における低トリグリセリド血症の有病率が、標準体重群および過体重/肥満群よりも有意に高率であった(各々 p=0.003、p<0.001)。・以上の結果を踏まえて著者は、「日本の統合失調症入院患者における低体重の有病率は、一般集団より高率の可能性がある。したがって、臨床診療において入院患者の身体的健康について、より慎重に考慮する必要がある」と結論している。関連医療ニュース 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 この25年間で統合失調症患者の治療や生活環境はどう変わったのか? 精神疾患患者は、何を知りたがっているのか

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統合失調症の再入院、救急受診を減らすには

 統合失調症の再発を繰り返す患者について、経口抗精神病薬(経口AP)から非定型持効性注射薬(非定型LAT)に切り替えた結果、再入院率および緊急救命室(ER)受診率が減少したことが、後ろ向きデータベース解析の結果から示された。カナダ・Groupe d’analyse社のMarie-Helene Lafeuille氏らがPremier Hospitalの過去5年間の電子カルテデータを解析して報告した。先行研究において非定型LATの有用性は示されているが、大半が再入院にのみ着目し入院やER受診については考慮されていなかった。BMC Psychiatry誌オンライン版2013年9月10日号の掲載報告。 解析に用いられたのは、2006~2010年のPremier Hospitalデータベースの電子カルテデータであった。統合失調症関連の入院中に経口APを服用していた成人患者について、再発例(統合失調症による再入院)を特定し、また(a)非定型LATに切り替えた患者、(b)経口APを継続した患者、に階層化して評価した。評価は傾向スコアモデルを用いて、非定型LAT患者と経口AP患者を1対3の割合で適合させて行った。Andersen-Gill Cox比例ハザードモデルを用いて、時間経過に伴う複数回再発における全要因再入院率とER受診率への非定型LATの影響を評価した。多重性に関する調整は行われなかった。 主な結果は以下のとおり。・非定型LAT患者1,032例と適合した経口AP患者2,796例が評価に組み込まれた。両群の患者は、人口統計学的に釣り合いがとれており(平均年齢:42.1歳対42.4歳、p=0.5622/ 女性患者比:43.6%対44.6%、p=0.5345)、臨床的および入院先の病院特性も同様であった。・全体の追跡期間は平均30ヵ月間であった。その間に、非定型LAT群のほうが経口AP群と比較して、再入院(平均回数:1.25対1.61、p<0.0001)、ER受診(平均回数:2.33対2.67、p=0.0158)が有意に少なかった。同様に、入院日数も有意に少なかった(平均日数:13.46対15.69、p=0.0081)。・再入院率(HR:0.81、95%CI:0.76~0.87、p<0.0001)、ER受診率(同:0.88、0.87~0.93、p<0.0001)は、非定型LAT群のほうが経口AP群よりも有意に低下した。関連医療ニュース 統合失調症の急性増悪期、抗精神病薬の使用状況は?:国立精神・神経医療研究センター 統合失調症、双極性障害の急性期治療に期待!アリピプラゾール筋注製剤 非定型抗精神病薬のLAIを臨床使用するためには

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アスペルガー障害、高機能自閉症への第二世代抗精神病薬は有用か

 カナダ・王立オタワ精神保健センターのNatalie Sochocky氏らは、アスペルガー障害(AD)および高機能自閉症(HFA)に対する第二世代抗精神病薬の有用性についてシステマティックレビューとメタ解析を実施した。その結果、ADおよびHFAの行動症状は第二世代抗精神病薬により改善するが、有害事象として体重増加に注意が必要であることを報告した。Current Clinical Pharmacology誌オンライン版2013年9月20日号の掲載報告。 小児および思春期の低機能自閉性障害の興奮性および攻撃性の治療における、第二世代抗精神病薬に関するエビデンスが蓄積されつつある。ADおよびHFA患者は大きな感情的および行動的な問題、精神的合併症を抱えており、研究グループは、これら患者に対し、より効果的な治療選択を提供するため、第二世代抗精神病薬の有効性に関する発表論文をレビューする必要があるとして本検討を行った。Medline、PubMedおよびPsychINFOのデータベースを用いて、小児および思春期(0~24歳)のADならびにHFAに対する第二世代抗精神病薬使用に関する最近の英語文献について、システマティックレビューとメタ解析を実施した。キーワードとして、「アスペルガー」「高機能自閉症」「自閉症スペクトラム(ASD)」「広汎性発達障害(PDD)」を、「第二世代抗精神病薬」「アリピラゾール」「オランザピン」「クエチアピン」「リスペリドン」「ジプラシドン(国内未承認)」と組み合わせて検索した。 主な結果は以下のとおり。・引用文献214件が抽出された。そのうちIQ 71以上の被験者が25%以上を占める非盲検試験あるいは無作為化対照試験(RCT)のみをレビューの対象とした。・レビュー適格試験は11件であり、8試験についてメタ解析を実施した。・方法論の正確性に限界があったものの、解析の結果、ADおよびHFAの行動症状が第二世代抗精神病薬により改善することが示唆された。・大多数の試験で、有害事象として体重増加が報告されていた。・以上を踏まえて著者は、「各試験には頑健性の欠如による限界がみられ、薬理学的ならびに精神社会的治療に関するさらなる研究が求められる。臨床医は、ベネフィットと心血管代謝リスクとのバランスを考慮して慎重に治療を行うべきである」と結論している。関連医療ニュース 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか? 自閉症スペクトラム障害への薬物治療、国による違いが明らかに 若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点

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ベンゾジアゼピン使用は何をもたらすのか

 オーストラリア・カンバーランド病院のDonna Gillies氏らは、急性精神疾患に対するベンゾジアゼピン系薬剤の有用性についてレビューを行った。その結果、ベンゾジアゼピン単独または抗精神病薬と併用した場合の効果が、抗精神病薬単独または同薬併用、あるいは抗精神病薬と抗ヒスタミン薬などの併用と比べて、症状改善に差がないことを報告した。ただし、今回の評価の結果について著者は、ベンゾジアゼピンの単独または併用使用に関するエビデンスが弱く現段階では不明確であり、質の高い研究が必要だと指摘している。Cochrane database of systematic reviewsオンライン版2013年9月18日の掲載報告。 急性精神疾患、とくに興奮性または攻撃性の行動が認められる場合は精神安定剤や鎮静剤による緊急治療が必要となる。こうした状況に対し、いくつかの国ではベンゾジアゼピン単独またはベンゾジアゼピンと抗精神病薬の併用がしばしば行われている。本研究は、行動のコントロールならびに精神症状の軽減に対するベンゾジアゼピン単独または抗精神病薬との併用における効果を、プラセボまたは抗精神病薬単独または抗精神病薬と抗ヒスタミン薬を併用した場合の効果と比較検討することを目的としたものであった。 2012年1月現在のCochrane Schizophrenia Group's registerを検索し、適格試験を詳細に調べ、代表的な試験の著者らを調査した。急性精神疾患患者を対象とし、「ベンゾジアゼピン単独またはベンゾジアゼピン+抗精神病薬」と「抗精神病薬単独または抗精神病薬+その他の抗精神病薬、ベンゾジアゼピンまたは抗ヒスタミン薬」を比較したランダム化臨床試験(RCT)をすべて適格とした。 忠実な方法で試験を選択し、それらの質を評価してデータを抽出した。バイナリ(2値)アウトカムに対しては、固定効果モデルを用いて標準推定相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。連続アウトカムに対しては、群間の平均差(MD)を算出した。不均質性を認めた場合はランダム効果モデルを用いて探索した。 主な結果は以下のとおり。・21試験、1,968例を評価の対象とした。・「ベンゾジアゼピン」と「プラセボ」を比較した1試験において、大半のアウトカムで有意差は認められなかったが、プラセボ群のほうが「中期(1~48時間)の改善なし」のリスクがより高かった(1試験、102例、RR:0.62、95%CI:0.40~0.97、エビデンスの質:きわめて低い)。・「ベンゾジアゼピン」と「抗精神病薬」の比較において、中期に改善を認めなかった被検者数に差はみられなかった(5試験、308例、同:1.10、0.85~1.42、低)。ただし、ベンゾジアゼピン群では中期に錐体外路作用(EPS)が少ない傾向にあった(8試験、536例、同:0.15、0.06~0.39、中)。・「ベンゾジアゼピン+抗精神病薬」と「ベンゾジアゼピン単独」の比較において、有意差は認められなかった。・「ベンゾジアゼピン+抗精神病薬」と「同一抗精神病薬単独」との比較(すべての試験でハロペリドールであった)において、中期の改善に群間差は認められなかったが(3試験、155例、同:1.27、0.94~1.70、きわめて低い)、併用療法群で鎮静が得られた患者が多い傾向にあった(3試験、172例、同:1.75、1.14~2.67、きわめて低い)。・しかし、「ベンゾジアゼピン+ハロペリドール」群は、オランザピン群(1試験、60例、同:25.00、1.55~403.99、きわめて低い)またはジプラシドン(国内未承認)群(1試験、60例、同:4.00、1.25~12.75、きわめて低い)に比べ、中期の改善を認めた被検者が少なかった。・「ハロペリドール+ミダゾラム」は、オランザピンと比較して改善、鎮静、行動において優れているという若干のエビデンスが認められた。・以上のように、ベンゾジアゼピン単独使用に関して、良い結果は得られなかった。 良質なデータが非常に少なく、大半の試験はポジティブあるいはネガティブな差を検出するには母集団が少なすぎた。その他の薬剤へのベンゾジアゼピン追加による明らかなメリットはみられず、不要な有害事象の可能性があった。従来の抗精神病薬単独使用(抗コリン薬非併用)の妥当性を評価することは厳しいと思われる。本分野においては、より質の高い研究が求められる。関連医療ニュース 統合失調症患者にNaSSA増強療法は有用か:藤田保健衛生大学 急性期統合失調症、ハロペリドールの最適用量は 抗精神病薬へのNSAIDs追加投与、ベネフィットはあるのか?  担当者へのご意見箱はこちら

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てんかんとQOL

てんかん患者のQOLは、患者の毎日の生活において重要な役割を果たし、QOLの改善には、障害や困難の重症度の緩和が大きく影響する。兼子 直氏(北東北てんかんセンター センター長)は「てんかんとQOL」と題して講演を行い、患者の状況(知的障害の有無、介護者とのコミュニケーション、身体障害による歩行障害の有無、施設入居の有無、家族による世話など)によってQOLに影響を与える因子の重要度は異なるとした。そのうえでQOLの改善を考慮するにあたり、個々の患者によって努力を集中すべき領域が異なることを認識する必要性を訴えた。また、てんかんにおけるQOLの予測因子について言及し、これまでの研究から予測因子として、「心理的要因、抗てんかん薬の有害な影響、発作の有無、知的障害および身体的併存症」などが挙げられていることを紹介した。このうち発作に関しては、発作が完全に抑制される場合、ほとんどのてんかん患者のQOLは一般人口のQOLとほぼ変わらないことが報告されているなど、発作抑制の重要性が示されている。また、抗てんかん薬の有害な影響および併存症としてのうつ病は、活動性てんかん患者の健康状態に最も悪い影響を及ぼすと考えられており、とくに、発作が抑制されていないてんかん患者では、これらの因子は発作頻度よりもQOLとのより強い関連が示されているとして、重視すべき因子であると述べた。兼子氏は最後に、「個々の患者はそれぞれに特徴があり、特別なケアの知識を必要としている。個別の患者の能力障害と環境との不均衡を最小にするよう、多くの困難な課題に立ち向かうべきである」とし、講演を結んだ。(ケアネット 萩原 充)

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ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学

 慶應義塾大学精神・神経科学教室の竹内 啓善氏らは、Clinical Antipsychotic Trials in Intervention Effectiveness(CATIE)のデータを基に、非定型抗精神病薬の血漿中濃度から推定されるドパミンD2受容体の占有率と患者の服薬態度との関連について検討した。その結果、非定型抗精神病薬の種類により傾向は異なるものの、ドパミンD2受容体占有率が統合失調症患者の服薬態度に影響を及ぼす可能性を示唆した。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年9月9日号の掲載報告。ドパミンD2受容体占有率とDAI-10スコアの関連を371例で解析 本研究は、統合失調症患者において、血漿中の非定型抗精神病薬濃度から推定されるドパミンD2受容体の占有率と主観的な体験/服薬態度との関連を、横断的かつ縦断的に評価することを目的としたものであった。解析に用いたCATIEの横断的データの対象は、治療開始6ヵ月後にDrug Attitude Inventory(DAI-10)による評価を完了し、血漿中抗精神病薬濃度を測定できた、リスペリドン、オランザピンまたはジプラシドン(国内未承認)の投与を受けている371例であった。DAI-10総スコアと血漿中濃度から推定されるドパミンD2受容体占有率との関連について、スピアマン順位相関を用いて解析した後、重回帰解析を行った。さらに、DAI-10スコア変化とドパミンD2受容体占有率との関連を明確にするため、6~12ヵ月の間に抗精神病薬を増量した45例の縦断的データを解析した。血漿中抗精神病薬濃度に基づく平均ピーク濃度とドパミンD2受容体占拠のトラフ濃度の推定は、母集団薬物動態解析により行った。 ドパミンD2受容体の占有率と主観的な体験/服薬態度と主な評価は以下のとおり。・横断的データにおいて、ジプラシドン投与患者で、ドパミンD2受容体占有率とDAI-10総スコアとの間に正の関連が認められた(rs=0.395、p=0.001)。・一方、縦断的データにおいて、オランザピン投与患者でドパミンD2受容体占有率とDAI-10総スコアとの間に負の関連が認められた(rs=-0.534、p=0.010)。・リスペリドン投与患者、また横断的および縦断的データの両方の点からみた全体においても、有意な関連は認められなかった。・統合失調症患者では、ドパミンD2受容体占有率が主観的な体験/服薬態度に影響を与える可能性がある。抗精神病薬の種類により傾向が異なるため、さらなる検討が必要である。

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若年発症統合失調症への第二世代抗精神病薬治療で留意すべき点

 統合失調症患者は一般集団と比較して寿命が短く、その主な死亡原因として心血管疾患が関与している。一方で、第二世代抗精神病薬(SGA)の使用は、有意な体重増加と代謝性副作用と関係していることが知られるが、特定の診断群、とくに若年発症統合失調症における情報は限定的であった。オーストラリア・Orygen Youth HealthのBrian O'Donoghue氏らによる検討の結果、若年発症統合失調症へのSGA治療では、代謝性の副作用に関する定期スクリーニングの必要性が強調されるとともに、肥満症やメタボリック症候群に対する予防および治療の介入が必要であることが報告された。Early Intervention in Psychiatry誌オンライン版2013年8月22日号の掲載報告。 研究グループは、若年発症統合失調症の初発エピソードを有した未治療の小児および若者コホートについて、SGA(とくにオランザピン、リスペリドン、クエチアピン)の代謝性副作用について調査した。BMI、血清コレステロール値、同トリグリセリド値を、ベースラインと追跡中央値7ヵ月時点で測定し検討した。 主な結果は以下のとおり。・コホート被験者は合計49例であった。そのうち追跡調査が完了したのは36例(74%)であった。・SGA治療開始後、任意に抽出したコホートにおいて、BMI、トリグリセリド、コレステロールの有意な上昇がみられた。・小児と若者の3人に1人は、トリグリセリドとコレステロールの値が異常値であった。用量依存反応はみられなかった。・オランザピンとクエチアピンは、トリグリセリドの上昇がより大きかった。・以上を踏まえて著者は、「若年発症統合失調症では、代謝性副作用について定期スクリーニングの必要性が強調されるとともに、肥満症やメタボリック症候群に対する予防および治療の介入が必要である」と結論した。関連医療ニュース 若年者への抗精神病薬投与、2型糖尿病リスクが3倍に 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD

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ヨガはうつ病補助治療の選択肢になりうるか

 ヨガは、うつ病患者またはうつレベルが高い人の補助的治療の選択肢となりうることが、ドイツ・デュイスブルグ-エッセン大学のHolger Cramer氏らによるシステマティックレビューとメタ解析の結果、示された。心身医学的介入は、うつ病への対応として一般的に用いられており、なかでもヨガは最も高頻度に用いられる心身医学的介入の1つである。Depression and Anxiety誌オンライン版2013年8月6日号の掲載報告。 研究グループは、2013年1月時点でのMedline/PubMed、Scopus、Cochrane Library、PsycINFO、IndMEDを介して、うつ病障害を有する患者またはうつレベルが高い人に対するヨガ介入の無作為化比較試験(RCT)を検索した。主要アウトカムは、うつ病重症度と寛解率、副次アウトカムは、不安症、QOL、安全性についてであった。 主な結果は以下のとおり。・12件のRCT、被験者合計619例が解析に組み込まれた。3件のRCTは、バイアスリスクが低かった。・うつ病重症度に関しては、ヨガのほうが通常ケアと比較して、わずかだが短期的効果のエビデンスが認められた(標準化平均差[SMD]:-0.69、95%信頼区間[CI]:-0.99~-0.39、p<0.001)。・リラクゼーション法との比較(SMD:-0.62、95%CI:-1.03~-0.22、p=0.003)、また有酸素運動との比較(同:-0.59、-0.99~-0.18、p=0.004)に関するエビデンスは限定的であった。・不安症に関して、リラクゼーション法と比較したヨガの短期的効果のエビデンスも限定的であった(同:-0.79、-1.3~-0.26、p=0.004)。・サブグループ解析では、うつ病性障害を有する患者、うつレベルの高い人への効果に関するエビデンスが示された。・長期的効果についてのメタ解析は、RCTの不足と不均一性により実行できなかった。また安全性については、データ報告をしたRCTがなかった。・上記を踏まえて著者は、「解析に含んだ試験には方法論的欠陥があるが、ヨガはうつ病患者およびうつレベルの高い人に対する補助的治療の選択肢と考えられた」と結論している。関連医療ニュース 1日1杯のワインがうつ病を予防 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学  担当者へのご意見箱はこちら

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てんかんと運転免許

てんかんなどの意識障害を伴う疾患が関係する道路交通法が可決・成立し、一定の病気*と関連して生じた交通死傷事故の処罰に関する法律をまとめた刑事法新法を策定しようとする動きがある(添付資料1)。しかし、これらの法改正がてんかんやその他の疾患に対する偏見や誤解を助長する可能性があると懸念されており、日本てんかん学会をはじめ関連学会では、これらの法改正について協議を重ねている。【道路交通法改正】2013年5月に日本てんかん学会と日本てんかん協会の共催で開かれた、緊急シンポジウム(「事故をなくしたい-病気や障害と自動車社会の共存をめざして-」)の中で、道路交通法改正に関して、「排除の論理が優先しており、実効性に疑問があるばかりか、差別社会につながりかねない。関連支援法の整備や数年後の見直しなどの付帯決議が必要である」との提言が出された。これにより、2013年6月7日衆議院本会議で可決した改正道路交通法には、付帯決議が追加された(添付資料2)。詳細な通報ガイドラインや運用基準の見直しについては、関連学会と警察庁で協議を重ねている。【刑事法新法】2013年8月に開かれた法的問題検討委員会・関連学会合同会議では、今回の刑事法新法が一定の病気*を理由に刑罰が加重されるという法律であるため、問題視する声が大きかった。これらの病気による事故率が他の要因と比較して高いという医学的根拠はなく、疾患に対する差別を助長しかねず、疾患の適切な治療を阻害しかねない。今後、関連学会の連名にて、新法の慎重な運用と付帯決議追加の要望書を提出する予定である。* 一定の病気とは、統合失調症、てんかん、再発性失神、無自覚性の低血糖症、躁うつ病、重度の眠気の症状を呈する睡眠障害をいう。添付資料1画像を拡大する添付資料2画像を拡大する(ケアネット 岸田有希子)

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