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睡眠に関する記事 まとめ

 高知県四万十市で国内の観測史上最高の41℃が観測されるなど、2013年は例年にない猛暑に見舞われている。連日の熱帯夜に寝苦しい思いをされている方も多いのではないか。医学論文にも睡眠にまつわる文献が多数投稿されている。今回は睡眠に関する記事をまとめて紹介する。寝室での夜間光曝露がうつ病に関連 現代生活では夜間光曝露が増加しているが、夜間光曝露はサーカディアンリズム(生体の概日リズム)の変調に関連している。しかし、家庭における夜間光曝露がうつ病と関連しているかどうかは不明である。今回、奈良県立医科大学地域健康医学講座の大林 賢史氏らが高齢者を対象とした研究の横断解析を行った結果、一般の高齢者において自宅の夜間光曝露が抑うつ症状に有意に関連することが示唆され、寝室を夜間暗く保つことによってうつ病のリスクが低下する可能性が示された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月12日号に報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/35649境界性パーソナリティ障害と睡眠障害は密接に関連 Edward A. Selby氏は、境界性パーソナリティ障害(BPD)と睡眠障害の関連について、レトロスペクティブに検討を行った。その結果、BPDと睡眠障害との間に関連が認められ、両者が相互に悪影響を及ぼし合っている可能性が示唆された。これまで、BPDにおける慢性睡眠障害の状況を検討した研究は少なかった。Journal of Consulting and Clinical Psychology誌オンライン版2013年6月3日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/35263閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と閉塞性肺疾患の有病率の関係は? 閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)と閉塞性肺疾患の有病率に関係はあるのか。OSAを有する成人患者とOSAのない成人患者において、COPD、喘息、COPDと喘息の合併、それぞれの有病率を検討した。http://www.carenet.com/news/population/carenet/35168メラトニン分泌の低下が2型糖尿病発症リスクを増大/JAMA メラトニン分泌の低下と2型糖尿病発症リスクの増大が独立して関連していることが明らかにされた。米国・ハーバード公衆衛生大学院のCiaran J. McMullan氏らが行った症例対照研究の結果で、夜間のメラトニン分泌低下とインスリン抵抗性の増大との関連も明らかになったという。メラトニンは体内時計のコントロール下にあり、一般的には夜間の就寝後3~5時間で分泌はピークに達し日中はほとんど産生されない。先行研究において、メラトニンの糖代謝における役割の可能性が示唆され、またゲノムワイド研究ではメラトニン受容体の機能喪失と2型糖尿病発症率との関連などが報告されていたが、メラトニン分泌と2型糖尿病との関連を前向きに検討した報告はなかった。JAMA誌2013年4月3日号掲載の報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/34333長距離ドライバーのカフェイン摂取、事故リスク減少と関連/BMJ 商業用自動車の長距離ドライバーにとって、お茶やコーヒー、カフェイン錠剤などの法的に認められているカフェイン添加物は、事故のリスクを6割強減少することが、オーストラリア・ジョージ国際保健研究所のLisa N Sharwood氏らによる症例対照研究の結果、明らかになった。長距離ドライバーに関しては、疲労対策として違法な刺激物(コカインなど)の使用が知られる。一方で、カフェインは法的に認められた刺激物で広く消費されており、シミュレーションでは運転者の敏捷性や作業効率を亢進することが示されていたが、リアルワールドでの研究は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2013年3月18日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/34105閉塞性睡眠時無呼吸症候群の治療、プライマリ・ケアでも提供可能/JAMA 閉塞性睡眠時無呼吸症候群(OSA)の治療について、プライマリ・ケアでの提供が、睡眠専門医療施設での提供に匹敵することが、オーストラリア・フリンダース大学のChing Li Chai-Coetzer氏らによる無作為化非劣性試験の結果、示された。睡眠障害への気づきと受診を促す啓発活動や肥満者の増大でOSA治療のために専門施設を受診する患者が増え、戦略的な外来治療への関心が高まってきている。プライマリ・ケア受診患者の約3分の1にOSAの疑いがあるとの報告もあり、Chai-Coetzer氏らは、適切な訓練と簡便なマネジメントツールで、プライマリ・ケアでのOSA治療が提供可能か本検討を行った。JAMA誌2013年3月13日号掲載の報告より。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/33989ナルコレプシーのリスクが約16倍に、インフルワクチン接種の子ども/BMJ ASO3アジュバント添加パンデミックA/H1N1 2009インフルエンザワクチン(Pandemrix)の接種を受けた英国の子どもで、接種後6ヵ月以内に睡眠障害であるナルコレプシーを発症するリスクが約16倍に増大したことが、同国健康保護局(HPA)のElizabeth Miller氏らの調査で明らかとなった。2010年8月、フィンランドとスウェーデンで同ワクチンの接種とナルコレプシーの関連を示唆するデータが提示され、2012年にはフィンランドの疫学調査により、ワクチン接種を受けた小児/青少年でリスクが13倍に増大したことが判明した。現在、北欧諸国以外の国での検証が進められている。BMJ誌オンライン版2013年2月26日号掲載の報告。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/33889統合失調症の陰性症状有病率、脳波や睡眠状態が関連か 統合失調症の研究では、臨床的な不均一性が混乱を招いていることを踏まえ、米国・ウェイン州立大学のNash N. Boutros氏らは、Deficit Syndrome(DS)を考慮した統合失調症の陰性症状集団の特定を試みた。統合失調症症候群に含まれる疾患として欠損型統合失調症(deficit schizophrenia)が提唱されており、欠損症候群診断基準(SDS;Scale for the Deficit Syndrome)の活用により持続的な陰性症状を特徴とするサブグループの特定が可能とされている。しかし長年にわたり、統合失調症の陰性症状集団の電気生理学的な相互作用を検討した研究は報告されているが、DSに焦点を当てた研究はごくわずかしかないのだという。Clinical Schizophrenia & Related Psychoses誌オンライン版2013年2月21日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/33732てんかん患者の50%以上が不眠症を合併! てんかん患者では睡眠障害が頻繁にみられるものの、不眠症とてんかんとの関係はほとんど明らかとなっていない。ボストン大学のMartina Vendrame氏らは、てんかん患者における睡眠状態に関して調査した。Journal of clinical sleep medicine誌オンライン版2013年2月1日号の報告。http://www.carenet.com/news/population/carenet/33636むずむず脚症候群と統合失調症、遺伝子の関連が示唆 脚がむずむずして眠れない、といった症状を呈するむずむず脚症候群(レストレスレッグス症候群:RLS)。その原因は明らかになってはいないが、脳内のドパミン調節機能障害や鉄分の不足が大きく影響していると言われている。また、ゲノムワイド関連解析やいくつかのレプリケーション研究により、RLSとBTBD9遺伝子の一塩基多型との関連も示されている。韓国のSeung-Gul Kang氏らは抗精神病薬誘発性のRLSと統合失調症患者のBTBD9遺伝子多型との関連を調査した。Human psychopharmacology誌オンライン版2013年1月30日号の報告。http://www.carenet.com/news/general/carenet/33516低用量ゾルピデム舌下錠、不眠症患者における中途覚醒後の入眠潜時を短縮 米国・ヘンリーフォード病院(デトロイト)のThomas Roth氏らは、中途覚醒後の入眠困難を訴える不眠症患者を対象に、新規低用量ゾルピデム舌下錠の有用性をプラセボと比較検討した。その結果、低用量ゾルピデム舌下錠は中途覚醒後の入眠潜時を有意に短縮することを報告した。Sleep誌2013年2月1日号の掲載報告。http://www.carenet.com/news/head/carenet/33494検証!統合失調症患者の睡眠状態とは 統合失調症患者では、睡眠状態に問題を抱えることがしばしば見られる。また、睡眠状態が統合失調症の各症状に影響を及ぼす可能性もある。ポルトガル・リスボン精神病院センターのPedro Afonso氏らは、睡眠パターンや睡眠の質、QOLに関して、統合失調症患者と健常者で違いがあるかを検討した。The world journal of biological psychiatry : the official journal of the World Federation of Societies of Biological Psychiatry誌オンライン版2013年1月15日号の報告。http://www.carenet.com/news/head/carenet/33323

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抗精神病薬治療中の若者、3割がADHD

 米国・ザッカーヒルサイド病院のMichael L. Birnbaum氏らは、若年者の注意欠陥多動性障害(ADHD)における抗精神病薬使用に関する薬剤疫学データのシステマティックレビューとプール解析を実施した。その結果、若年ADHDの約1割で抗精神病薬が投与されていること、抗精神病薬による治療を受けている若年者の約3割にADHDがみられる状況を報告した。Current Psychiatry Reports誌2013年8月号の掲載報告。 若年ADHDへの抗精神病薬の処方について懸念が高まっているが、利用可能なデータベースは個々の試験に限られている。そこで、全体的な頻度と経年的な傾向を明らかにすることを目的に、若年ADHDにおける抗精神病薬使用に関する薬剤疫学データのシステマティックレビューとプール解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・ヒットした1,806件の試験のうち21件で、以下の3つの集団解析データの報告を含んでいた。1)抗精神病薬による治療を受けている若年者( 15件、34万1,586例)2)若年ADHD(9件、619万2,368例)3)一般の若年者(5件、1,428万4,916例)・抗精神病薬による治療を受けている若年者の30.5±18.5%がADHDを有していた。その割合は、1998年から2007年の間に21.7±7.1%から27.7 ±7.7%(比= 1.3±0.4)へと増加していることが長期試験で示された。・若年ADHDの11.5±17.5%が抗精神病薬の投与を受けていた。その割合は、1998年から2006年の間に5.5±2.6%から11.4±6.7%(比= 2.1±0.6)へと増加していることが長期試験で示された。・一般の若年者の0.12±0.07%でADHDが確認され、抗精神病薬の投与を受けていた。その割合は、1993年から2007年の間に0.13±0.09%から0.44±0.49%(比= 3.1±2.2)へと増加していることが長期試験で示された。・以上の知見より、抗精神病薬は臨床的に重要かつ大勢の若年ADHDに使用されていることが示唆された。処方の理由およびリスク対ベネフィットに関するエビデンスが少ないため、さらなる検討が望まれる。関連医療ニュース 自閉症、広汎性発達障害の興奮性に非定型抗精神病薬使用は有用か? 抗てんかん薬によりADHD児の行動が改善:山梨大学 摂食障害、成人期と思春期でセロトニン作動系の特徴が異なる!

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エキスパートに聞く!「認知症診療」Q&A 2013 Part1

CareNet.comでは認知症特集を配信するにあたって、事前に会員の先生方から認知症診療に関する質問を募集しました。その中から、とくに多く寄せられた質問に対し、大阪大学 数井裕光先生にご回答いただきました。2回に分けて掲載します。今回は、認知症とうつの鑑別方法、抗認知症薬の投与開始時期と効果の判定方法、増量のタイミング、コリンエステラーゼ阻害薬にメマンチンを併用する場合のタイミングについての質問です。Part2(Q6~Q10)はこちら1 認知症とうつ病の鑑別方法を教えてください。うつ病は高齢者に多く、患者さんやご家族が物忘れを訴えることもしばしばです。また注意力や集中力の低下のために、認知機能検査の得点が初期の認知症の患者さんと同程度に低下することもあります。このため、認知症とうつ病との鑑別は臨床的に重要です。うつ病と比べて認知症(とくにアルツハイマー病)で認められやすい症状を列挙すると、初発症状が物忘れである(うつ病では気分の落ち込みや意欲低下)記憶検査で自由再生も再認も障害される(たとえば、3単語を用いた記憶検査などで、覚えた単語をヒントなしに患者さんに思い出してもらう想起法を「自由再生」と呼ぶ。一方、答えの単語とそうでない単語をランダムに提示し、あったかなかったかを答えてもらう想起法を「再認」と呼ぶ。うつ病では自由再生は障害されても再認は障害されにくい)物忘れの自覚と深刻味が乏しい(うつ病では過剰に訴えることが多い)見当識障害を伴う(うつ病では見当識は保たれる)うつ病の既往がないなどです。頭部MRIや脳血流検査などの神経画像検査が鑑別に必要な場合もあります。とくに、早発性のアルツハイマー病患者さんでは上記の認知症の特徴が明らかにならず、MRIでも明瞭な萎縮を認めないことがあるので、脳血流検査が必要となることがあります。うつ病と診断していても、抗うつ薬などの治療の効果が乏しかったり、認知障害が進行したりする場合には、専門医への紹介を検討してください。アルツハイマー病患者さんの40~50%に抑うつ気分を認めるともいわれているため、認知症にうつ症状が合併しているかもしれないという視点も重要です。認知症に伴ううつ症状は、悲哀感、罪責感、低い自己評価のような古典的なうつ症状よりも、喜びの欠如、身体的不調感などの非特異的な症状が目立ちやすいという特徴があります。また、認知症患者さんに高頻度に認めるアパシーをうつ症状と混同しないことも重要です。アパシーでは、趣味や家事などの日常の活動や身の回りのことに興味を示さない、意欲が低下するなどの症状を認めますが、悲哀感、罪責感、低い自己評価、喜びの欠如、身体的不調感は認めません。2 抗認知症薬の投与開始時期について教えてください。抗認知症薬を早期から投与したほうがよいのでしょうか? わが国で使用可能な抗認知症薬は、アルツハイマー病に対するコリンエステラーゼ阻害薬3種類(ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン)とNMDA受容体拮抗薬1種類(メマンチン)です。コリンエステラーゼ阻害薬は軽度の状態から使用可能なので、薬の投与開始時期はアルツハイマー病と診断した時ということになります。また、これらの薬剤の主たる効能は、症状の進行抑制なので、アルツハイマー病の診断が確かであれば、早期から投与して、良い状態を少しでも長く維持させることを目指します。実際、早期に治療開始した患者さんのほうが、その後の全般的機能や認知機能の悪化が少ないという報告もあります。最近の研究では、アルツハイマー病患者さんが認知症の段階になった時、あるいはその前段階の軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment: MCI)の段階でも、脳内のアルツハイマー病の病理過程はかなり進行していることが明らかになっています。したがって、症状が軽くても疾患としてはある程度進行していると考えるべきです。また、コリンエステラーゼ阻害薬にはアルツハイマー病患者さんの海馬や全脳の萎縮の進行を遅延させる効果も報告されており、神経保護作用を有する可能性もあるからです。留意点としては、MCIの基準を満たす患者さんの原因疾患はアルツハイマー病だけでなく、うつ病などもあるため、すべてのMCI患者さんにコリンエステラーゼ阻害薬を投与してよいわけではなく、アルツハイマー病の診断を正確に行うことが前提です。3 抗認知症薬の効果の判定方法について、判定するまでの期間など、具体的に教えてください。効果判定の時期や方法について、わが国でとくに推奨されているものはありません。海外のガイドラインでは6ヵ月後に評価するとされていますが、評価法については明確に記載されていません。逆に認知機能検査に関して、Mini Mental State Examination(MMSE)のような簡易なものでは不十分であると記載されています。しかし実臨床場面では、複数のご家族やデイケアなどのスタッフからの情報とMMSEのような認知機能検査の結果などをもとに効果を判定することになると思います。ご家族が最も期待するのは記憶障害の改善なのですが、ご家族が記憶障害の改善を実感できる患者さんは少ないと思います。どの抗認知症薬においても改善を認めやすい症状は、意欲低下、注意・集中力の障害です。したがって、まず効果の判定には、これら症状の改善の有無を患者さんの周囲の複数の人に確認してもらうのがよいと思います。ご家族に聞くときは、具体的には、「言葉数が増えましたか」「何かをしようとすることが多くなりましたか」「表情が明るくなりましたか」などというように質問しましょう。しかしながら、アルツハイマー病は進行性の疾患なので、大きな変化がないというのも、効果があると考えてよいと思います。実際、前述の海外のガイドラインでは、投与前と同様に投与後も悪化している場合に、他剤への変更を検討するということになっています。ただし投与後に不変であっても、患者さん自身やご家族が、よりよい改善を期待して他剤への変更を希望する場合には変更してよいと思います。4 抗認知症薬の増量のタイミング(症状の目安など)を教えてください。ドネペジルは軽度から重度まで、すべての段階のアルツハイマー病に適応があります。これに対してガランタミン、リバスチグミンは軽度と中等度の患者さんに、メマンチンは、中等度と重度の患者さんに適応を有しています。したがって、保険適用の観点からは、中等度になったらメマンチンを併用し、重度になったらドネペジル10mgに増量、あるいは変更します。軽度認知症レベルとは、銀行などの手続きも含めた財産管理ができない、買い物で必要な物を必要な量だけ買うことができない、パーティーの段取りのような複雑な作業はできないが、家庭内の日常生活には支障が生じていない段階です。中等度認知症レベルとは、時期や場面にあった服を選べない、入浴を時々忘れるなどが生じ、日常生活にある程度の介護が必要な状態です。重度認知症レベルとは、服を着ることができない、入浴に介助が必要、トイレがうまく使えないなど、日常生活に多大な介助が必要な状態です。しかし、アルツハイマー病は緩徐に連続的に進行していく疾患なので、どこからが中等度でどこからが重度かの線引きをすることは困難ですし、境界には幅があります。そこで実臨床場面では、患者さんやご家族から日常生活上の障害に関する情報を聴取し、中等度、重度への移行をおおまかに判断しますが、同時に、患者さんやご家族の進行に対する不安、増量に対する意向なども聞いて、総合的に判断します。たとえば、ご家族が明らかに進行したと感じ、これに対して何とかしてほしいという気持ちが強い場合は、日常生活のごく一部のみで次の段階に移行した可能性がある程度でも、追加や増量を検討します。5 コリンエステラーゼ阻害薬にメマンチンを併用する場合のタイミングと、併用する際の増量や追加の順番を教えてください。アルツハイマー病患者さんにコリンエステラーゼ阻害薬を使用していても、症状が進行し、中等度認知症レベル(Q4参照)に至った時にコリンエステラーゼ阻害薬にメマンチンを併用します。メマンチンの増量は規定に従い、5mgから開始し、1週間ごとに5mgずつ増量していき、20mgの維持量まで持っていきます。しかしわが国での発売後の調査で、めまいや眠気などの副作用を認める例が少なくないことが明らかになりました。そこでこの副作用を防止するために、2~4週間ごとに増量する先生もいらっしゃいます。中等度の段階で初めてアルツハイマー病と診断した患者さんの場合は、コリンエステラーゼ阻害薬とメマンチンのどちらを先に処方するかという選択に迫られます。これまでの研究報告からは、コリンエステラーゼ阻害薬のほうがメマンチンよりも、認知機能に対する効果が大きいようなので、コリンエステラーゼ阻害薬を先に処方するほうがよいでしょう。ただし、患者さんの身体的既往症、合併症、精神行動障害によってはメマンチンを先に投与する場合もあります。しかし単独処方よりも両薬剤を併用することによって進行抑制効果が増すため、基本的には併用処方を目指します。したがって、どちらか一方のみを処方する期間は短いでしょうから、どちらが先かについてはあまり神経質にならなくてもよいと思います。※2012年10月の認知症特集におけるQ&Aも併せてご覧ください。認知症のエキスパートドクターが先生方からの質問に回答!(Part1)認知症のエキスパートドクターが先生方からの質問に回答!(Part2)

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統合失調症に対し抗精神病薬を中止することは可能か

 統合失調症治療では、急性期に使用した薬剤をそのまま維持期でも使用することが少なくない。そのため、抗精神病薬誘発性の副作用などにより、維持期統合失調症患者の社会的機能低下が問題となる。ノッティンガム大学のStephanie Sampson氏らは、維持期における間欠的な抗精神病薬治療が有用かを検討した。Schizophrenia bulletin誌オンライン版2013年7月16日号の報告。 著者らは、コクラン統合失調症グループの試験登録(2012年4月)を検索し、関連する研究の著者に連絡を取ったり、参考文献リストの作成を行うなどしてこれを補足した。 主な結果は以下のとおり。・関連するランダム化試験(RCTs)が17試験抽出された。・再発例は、長期にわたり抗精神病薬の間欠的投与を受けた群で有意に高かった(436例、RCTs:7試験、RR:2.46、95%CI:1.70~3.54)。・間欠的投与はプラセボより有効であったが、間欠的に抗精神病薬を服用している患者では中期までに再発する例は有意に少なかった(290例、RCTs:2試験、RR:0.37、95%CI:0.24~0.58)。・間欠的な抗精神病薬治療は、統合失調症患者の再発を防ぐために連続的治療ほどの効果はないものの、無治療よりは有意に優れることが示された。関連医療ニュース 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か 新規抗精神病薬は患者にどう評価されているか? 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?

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てんかん患者の若年性死亡リスクは11倍/Lancet

 てんかん患者の若年性死亡リスクは、そうでない人に比べ、11倍超に増大することが明らかになった。外因性の死亡は15.8%で、そのうち75.2%において、うつ病など精神疾患の共存症が認められた。英国・オックスフォード大学ウォーンフォード病院のSeena Fazel氏らが、約7万人のてんかん患者について調べた検討で明らかにしたもので、Lancet誌オンライン版2013年7月19日号で発表した。追跡期間中のてんかん患者死亡率は8.8%、年齢中央値は34.5歳 研究グループは、スウェーデンで1954~2009年に生まれ、てんかんの診断を受けた6万9,995人について、若年死亡リスクとその原因を調べた。一般集団から年齢と性別をマッチングした対照群(66万869人)と、てんかんの診断を受けていない兄弟姉妹(8万1,396人)とを、それぞれ比較した。 その結果、追跡期間中に死亡したてんかん患者は6,155人(8.8%)で、死亡時の年齢中央値は34.5歳(四分位範囲[IQR]:21.0~44.0)だった。非交通事故死5.5倍、自殺3.7倍 てんかん患者の若年死亡リスクは極めて高く、一般集団の対照群に対する補正オッズ比は11.1(95%信頼区間[CI]:10.6~11.6)、てんかんの診断を受けていない兄弟姉妹に対する同オッズ比は11.4(同:10.4~12.5)だった。 てんかん患者の死亡例のうち、15.8%(972人)は外因性のもので、非交通事故による死亡について、対照群に対する同オッズ比は5.5(95%CI:4.7~6.5)、自殺の同オッズ比は3.7(同:3.3~4.2)だった。 なかでも、外因性の理由で死亡した人のうち、精神疾患の共存症が認められたのは75.2%と高く、うつ病のある人の死亡の同オッズ比は13.0(95%CI:10.3~16.6)、薬物依存の人では22.4(同:18.3~27.3)と高かった。 著者は、「てんかん患者の治療において、外因性による若年死亡率を低下させることが、優先すべき課題である。精神疾患の共存は、この課題において重要である。そのような死亡を阻止するための医療サービスや公衆衛生の介入能力について再考が必要である」とまとめている。

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線維筋痛症は治療継続が難しい

 線維筋痛症は、原因不明の慢性疼痛疾患で決定的治療法はなく、症状軽減にしばしば抗うつ薬や抗てんかん薬が用いられている。米国・ブリガム&ウィメンズ病院のSeoyoung C. Kim氏らのコホート研究において、線維筋痛症で一般的な薬剤により治療を開始した患者は、いずれの場合も治療薬の増量はほとんどなされておらず、しかも治療期間が短期間にとどまっていたことを明らかにした。Arthritis Care & Research誌オンライン版2013年7月16日の掲載報告。 米国の医療利用データを用い、線維筋痛症と診断され、アミトリプチリン(商品名:トリプタノールほか)、デュロキセチン(同:サインバルタ)、ガバペンチン(同:ガバペン)またはプレガバリン(同:リリカ)を新規処方された患者について、臨床的特徴と投薬状況を調査した。(わが国で線維筋痛症に承認されている薬剤はプレガバリンのみ) アミトリプチリンで治療を開始した患者は1万3,404例、同じくデュロキセチン1万8,420例、ガバペンチン2万3,268例、プレガバリン1万9,286例であった(平均年齢48〜51歳、女性72%~84%)。 主な結果は以下のとおり。・合併症は、4群すべてにおいて腰痛症が最も頻度が高かった(48~64%)。・そのほかの合併症として、高血圧、頭痛、うつ病、睡眠障害などもみられた。・追跡開始時の1日投与量中央値は、アミトリプチリン25mg、デュロキセチン60mg、ガバペンチン300mg、プレガバリン75mgであった。・患者の60%以上は、追跡期間中に投与量が変更されていなかった。・1年以上治療を継続した患者は、5分の1にとどまっていた。 ・治療開始時の他の併用薬の数は、平均8~10剤であった。・患者の50%超がオピオイドを使用しており、3分の1がベンゾジアゼピン、睡眠障害治療薬、筋弛緩薬を投与されていた。~進化するnon cancer pain治療を考える~ 「慢性疼痛診療プラクティス」連載中!・無視できない慢性腰痛の心理社会的要因…「BS-POP」とは?・「天気痛」とは?低気圧が来ると痛くなる…それ、患者さんの思い込みではないかも!?・腰椎圧迫骨折3ヵ月経過後も持続痛が拡大…オピオイド使用は本当に適切だったのか?  治療経過を解説

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維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

 統合失調症の薬物治療ではドパミンD2受容体を65~80%占有することで、錐体外路症状や認知機能障害のリスクを最小限にし、治療効果を最適化できると考えられている。この受容体占有率を保つことが維持期治療でも必要かどうかは不明である。慶應義塾大学の森口 翔氏らは、維持期におけるD2受容体占有をCATIE試験のフェーズ1のデータより再評価した。Journal of clinical psychopharmacology誌オンライン版2013年 7月29日号の報告。 対象は、抗精神病薬により寛解した統合失調症患者30例[リスペリドン12例、オランザピン12例、ジプラシドン(国内未承認)6例]。寛解の定義は、初期評価および1、2、6ヵ月時点でPANSS特定8項目(2005年のAndreasenらの定義による)が3以下であることとした。6ヵ月時点でのD2受容体占有率のピーク値およびトラフ値は、母集団薬物動態解析およびD2予測モデルを用い、抗精神病薬の血漿中濃度より推定した。 主な結果は以下のとおり。・6ヵ月時点でのD2受容体占有率のピーク値およびトラフ値はそれぞれ70.3%±9.8%、60.5%±20.2%であった(推定平均±SD)。・約半数(46.7%、14例)の患者においては、D2受容体占有率が65%未満であった。・統合失調症の維持治療において、D2受容体占有率は必ずしも65%以上必要でない可能性があることが示唆された。関連医療ニュース 抗精神病薬の等価換算は正しく行われているのか 維持期の統合失調症患者において現在の薬物投与量は最適か? 統合失調症“再発”の危険因子は?

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BPSDだけではない!認知症の生活障害にどう対応する?

最近では、一般人向けの新聞記事でも目にするなど、「BPSD(認知症の行動・心理症状)」の概念が広まりつつあり、BPSDに対する介護者の大変さはよく知られてきている。それに加え認知症の介護では、食事、排尿・排便、更衣、入浴など基本的な日常生活ができなくなる「生活障害」への対応も、介護者にとっては大きな負担となる。その対応について、筑波大学臨床医学系精神医学 教授 朝田 隆氏が「認知症の生活障害とその対応」と題して、第109回日本精神神経学会学術総会(2013年5月23日~25日)にて講演した。その内容を紹介する。認知症介護者がつらい原因は「希望がない」「BPSD」「生活障害への対応」わが国では、殺人・殺人未遂事件件数は昭和50年代のピーク時(約3,000件)に比べ、2009年には約3分の1に減少しているが、子が加害者で親が被害者であった事件件数は1985年から2009年の間に約3倍に増えている。その陰には、介護殺人、とくに認知症の介護殺人の存在があることが報告されている。また、そこまで極端ではなくとも、認知症の介護者はうつ症状・うつ病になりやすく、この頻度は少なくとも一般人口比で3倍以上ということが報告されている。認知症介護者がつらい要因として、根本治療薬がなく希望がないこと、BPSDのつらさ、生活障害への対応のつらさが挙げられる。生活障害とは?生活障害とは、いわゆる基本的な日常生活を構成する行動の障害であり、認知症のごく初期では、電話、買い物、料理、キャッシングなどができなくなることが特徴的である。朝田氏が、若年性認知症患者の家族の方々に、認知症に気付いたきっかけを聞いたところ、多くは記憶障害であったが、食事のときに片手だけしか使わずボロボロこぼすようになるというものがあった。認知症が進行するとともに、服の着方・脱ぎ方がわからなくなる、布団がきちんと敷けなくなる、敷き布団の下にもぐって寝る、回すという動作ができずドアを開けることができない、便座と自分の位置関係がわからず逆向きに座るなどの障害が日常化してゆく。この生活障害は、その行為が時にできなくなることに始まり、認知症が進行するに伴って成功確率が低下する。当初はできないことで苛立つが、イライラは次第に消えおとなしくなる。さらに、できないことが自覚できなくなるため、介護者に言われると立腹し、そのうちできなくて当然、やってもらって当然になる。BPSDと生活障害は似ているが、生活障害のほうがBPSDより技術的な対応が必要である。また、BPSDは連続性がなく突然発現するが、生活障害には日々現れる症状のため介護者の苛立ちがたまるという特徴がある。生活障害に対する基本の対応は?それでは、生活障害にどのように対応すればよいのだろうか。朝田氏は、一連の行為を一つひとつの動作に分解して、それらの順序立てを考えるのがわかりやすいと言う。たとえば、歯磨きという行為は、洗面所の前に立つ、歯ブラシを取る、ペーストチューブを取る、チューブの蓋を開ける、歯ブラシにペーストを付ける、チューブの蓋を閉める、チューブを元の場所に戻す、などの動作が連続的に順序よくなされて完成する。認知症患者の行動を観察すると、動作の順番を間違ったり、歯ブラシやペーストチューブを認識できなかったりすることが歯磨き行為をできない原因となっていることがわかる。その他の行為、たとえば排泄や食事も一連の動作に分けることによって、失敗のパターンと手助けすべきところが見えてくる。これらの生活障害に対して、基本となる対応は「仕切り直し」である。介護者が焦らず間を置くことで、当事者は混乱と苛立ちを忘れる。学問的にも「場所と時が変わればできてしまう、失行とはそんなもの」とされている。仕切り直しの例として、朝田氏は、施設の送迎車の座席に正しく座れなかった患者が、一度自動車を降りて再度乗車させると正しく座れた例を紹介した。また、動作の流れの手助けをして成功した例として、上着をうまく脱ぐことができない患者に、背後にまわって肩甲骨のあたりを少し引っ張るとそれが反射となり脱ぐことができた例を挙げた。「やってみせ 言って聞かせて させてみて ほめてやらねば 人は動かじ」朝田氏は、山本五十六の語録「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」が認知症介護にも通じており、認知症患者の家族に伝えるべき言葉だという。実践的には、全部をしてあげるのではなく当事者の能力を最大限に活かすこと、また、流れの乱れが基本にあるためリズムに乗せることが大事であり、端緒がどこかをしっかり見ることが重要であると述べた。脳科学としての生活行為の研究にも挑戦本講演で朝田氏は、認知症ケアの知恵集めのほか、認知症専門医や神経心理学・認知リハビリの専門家、脳機能評価に精通した研究者と連携し、脳磁図(磁気で見た脳波)で行為時の脳の働きをモニターするなど、脳科学として生活行為の研究にも挑戦し始めていることを紹介した。

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認知症高齢者5人に1人が抗コリン薬を使用

 認知症を有する人に対する抗コリン薬の使用は、認知機能に悪影響を及ぼす。しかし、米国のコミュニティベースにおける認知症高齢者の抗コリン薬治療の頻度やその使用に関連する因子については、これまでほとんど検討されていなかった。米国・ヒューストン大学のSneha D. Sura氏らは、認知症高齢者における抗コリン薬の使用状況と使用に関連する因子を明らかにすることを目的に、米国民の非入院患者の代表的な集団であるMedical Expenditure Panel Surveys (MEPS)の2005~2009年のデータをレトロスペクティブに解析した。その結果、認知症高齢者の5人に1人が抗コリン薬を使用しており、その使用に気分障害、尿失禁および居住地域が関連していることを報告した。Drugs & Aging誌オンライン版2013年7月24日号の掲載報告。 地域在住の65歳以上の認知症患者を対象に、研究期間中の抗コリン薬の毎年の使用頻度、抗コリン薬使用に関連する因子について評価した。Anticholinergic Drug Scale(ADS)を用いて抗コリン薬を特定し、臨床的に意味のある抗コリン薬の使用(ADSレベル2または3)と関連する予測因子を明らかにするため、Anderson Behavioral Modelの概念的枠組みの範囲で多重ロジスティック回帰解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・MEPSの研究期間中、認知症高齢者は年間で合計156万人(95%信頼区間[CI]:134~173万人)いることが認められた。・認知症高齢者の約23.3 %(95%CI:19.2~27.5)が、臨床的に意味のある抗コリン薬の使用(ADSレベル2または3)を行っていた。・抗コリン薬の使用を必要とする因子の中でも、気分障害(オッズ比[OR]:2.19、95%CI:1.19~4.06)と尿失禁(同:6.58、2.84~15.29)に対して、より抗コリン薬を使用する傾向がみられた。・より高用量の抗コリン薬を使用する確率は、北東地域に在住している患者に比べ西部地域に在住している患者のほうが有意に低かった(OR:0.41、95%CI:0.17~0.95)。・以上より、認知症高齢者の5人に1人が臨床的に意味のある抗コリン薬の使用を行っていることが明らかになった。また、気分障害、尿失禁および居住地域が抗コリン薬の使用と有意に関連していることが示された。・この結果を踏まえて、著者は「臨床的に意味のある抗コリン薬に焦点を当て、薬物使用の質改善に向け一丸となった努力が求められる」と提言している。関連医療ニュース 抗精神病薬と抗コリン薬の併用、心機能に及ぼす影響 統合失調症治療にベンゾ併用は有用なのか? ベンゾジアゼピン系薬物による認知障害、α1GABAA受容体活性が関与の可能性

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ビタミンDが健康に及ぼす影響(まとめ)

 近年、ビタミンDが健康、疾病に及ぼす影響を検証した臨床研究結果がケアネット・ドットコムでも散見されるようになってきた。そこで今回、編集部ではビタミンDに関する記事をまとめてみることにした。後半のいくつかはケアネット・ドットコムで初めて紹介するものも含まれている。“ビタミンD不足の高齢者は日常の活動に支障” 【高齢者】 ビタミンDの不足する高齢者は、着替えや階段を上るなどの日常的な身体活動に困難を来す可能性のあることが、新たな研究で示された。高齢集団では、ビタミンD値最低群の70%に少なくとも1つの身体的制限がみられたのに対し、ビタミンD値が中等度または高い群の多くでは身体的制限がみられなかったと報告されている。さらに、ビタミンD欠乏のみられる人には、時間の経過とともに新たな身体的制限が発生する可能性が高いことが判明した。(Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism誌2013年7月17日オンライン版の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/general/hdn/35685“アルツハイマー病にビタミンD不足が関連” 【認知症】 ビタミンDの摂取が認知機能や認知症発症に与える影響をメタアナリシスにより検討した結果より、アルツハイマー病群ではコントロール群と比較し、ビタミンD濃度が低かったことが報告されている(Neurology誌2012年9月25日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/risk/carenet/31480“うつ病治療にビタミンD投与は有用” 【うつ】 ビタミンD欠乏症を認めるうつ病患者におけるビタミンD投与の有用性を検討した結果より、ビタミンD投与がうつ状態を改善すると報告されている(Journal of Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2013年6月号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/head/carenet/34687“ビタミンDの摂取がパーキンソン病の症状を安定化させる” 【パーキンソン病】 東京慈恵会医科大学の鈴木正彦氏らは、ビタミンD受容体遺伝子多型のうちFokI T/T型またはFokI C/T型を持つ患者が、ビタミンD3を摂取することで、高カルシウム血症を引き起こすことなく、短期的にパーキンソン病の症状を安定化させる可能性を示唆している(The American Journal of Clinical Nutrition誌2013年5月号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/head/carenet/34819“高用量ビタミンD摂取、65歳以上の骨折リスクを低減” 【骨折予防】 11の二重盲検無作為化比較試験の被験者を対象に行ったメタ解析の結果、65歳以上高齢者の高用量ビタミンD摂取(毎日≧800 IU)は、大腿骨頸部骨折およびあらゆる非椎体骨折の予防に多少ではあるが有望であることが示されている(NEJM誌2012年7月5日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/29116“ビタミンD+カルシウム、高齢者の骨折予防に効果” 【骨折予防】 高齢者の骨折予防におけるビタミンD単剤の用量は10~20μg/日では不十分であるが、カルシウムと併用すると大腿骨頸部骨折および全骨折が有意に抑制されることが、報告されている(BMJ誌2010年1月16日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/11991“女性高齢者への年1回、高用量ビタミンD投与、転倒リスクを増大“ 【転倒】 70歳以上の女性高齢者2,200人超を対象に行った無作為化プラセボ対照二重盲検試験の結果、高用量ビタミンDを年1回投与することで、転倒リスクが増大してしまうことが示唆された。また投与後3ヵ月間の転倒リスクは、約30%も増加したという(JAMA誌2010年5月12日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/14363“ビタミンDサプリ摂取で膝OA改善せず“ 【膝OA】 症候性変形性膝関節症(膝OA)患者に対して2年間にわたり、十分量のビタミンD3サプリメントとプラセボとを投与し比較検討した無作為化試験の結果より、サプリメント群はプラセボ群と比較して、膝の痛みの程度や軟骨減少について、低下はみられなかったことが報告されている(JAMA誌2013年1月9日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/33205“母親の血中ビタミンD値、子どもの骨塩量とは無関係” 【妊婦】 妊娠中の母体における血中ビタミンD値と、その子どもの9~10歳時の骨塩量との関連について、約4,000組の母子について行った前向き調査「エイボン縦断試験」の結果より、有意な関連は認められなかったことが報告されている(Lancet誌2013年6月22日号[オンライン版2013年3月19日号]の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/34604“ビタミンDサプリ摂取はビタミンD欠乏小児の骨密度を改善する” 【小児骨密度改善】 ビタミンDサプリメントは、ビタミンDが正常レベルの小児、青少年の骨密度にベネフィットをもたらさないが、欠乏している場合は一定の改善効果が得られることが、メタ解析で明らかとなったと報告されている(BMJ誌2011年1月29日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/19686“肺結核症に高用量ビタミンD補助薬は有効” 【肺結核】 肺結核症の集中治療期に標準的な抗生物質治療を受けている患者に、高用量のビタミンD補助薬を投与すると、ビタミンD受容体TaqI tt遺伝子型の患者で喀痰培養陰転時間の短縮効果を認めることが明らかとなった(Lancet誌2011年1月15日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/19346“ビタミンD服用、上気道感染症の発症・重症度を抑制しない“ 【上気道感染症】 健常者が半年間、月1回10万IUのビタミンDを服用し続けても、上気道感染症の発症および重症度を抑制しなかったことが、無作為化比較試験の結果より示されている(JAMA誌2012年10月3日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/31659“ビタミンD投与、左室心筋重量係数に変化なし-左室肥大を伴うCKD患者を対象としたRCTより-” 【心肥大抑制】 左室肥大を伴う慢性腎臓病(CKD)約230人に対する無作為化試験において、48週間にわたる活性型ビタミンD化合物paricalcitolを投与した結果、左室心筋重量係数に変化は認められなかったことが示されている(JAMA誌2012年2月15日号の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/journal/carenet/27016“血清ビタミンD値と小児アトピーの重症度、統計学的に有意な関連は認められない” 【アトピー性皮膚炎】 血清25ヒドロキシビタミンD値と小児アトピー性皮膚炎の重症度との関連について、統計学的に有意な関連はみられないことが報告されている。両者の関連については、逆相関の関連性が示唆されていた(Journal of the American Academy of Dermatology誌2013年7月号[オンライン版2013年2月14日号]の掲載報告)。http://www.carenet.com/news/general/carenet/33851“ビタミンDサプリ摂取で血圧が低下” 【降圧効果】 アフリカ系米国人を対象とした大規模ランダム化比較試験を行った結果、ビタミンDサプリメントを摂取した群ではプラセボ群と比べ血圧が有意に低下したことが発表されている。この前向き試験では、対象者に3ヵ月間毎日ビタミンDサプリメントを摂取させたところ、収縮期血圧がサプリメントの摂取用量に応じて0.7~4.0mmHg低下した(Hypertension誌2013年4 月号の掲載報告)。“ビタミンDサプリ摂取で、コレステロール値は改善しない” 【コレステロール低下】 ビタミンD値の低い人がサプリメントを用いてビタミンDを増加させても血中コレステロール値は改善しないことが示唆された。研究者らはビタミンD欠乏例に、5万国際単位のビタミンD3を8週間投与した。その結果、ビタミンD投与群ではプラセボ群と比べてコレステロールの改善はみられず、副甲状腺ホルモン値が低下し、カルシウム値が上昇した。(Arteriosclerosis, thrombosis, and vascular biology 誌2012年10月号の掲載報告 )。“ビタミンD低値は2型糖尿病の発症リスクを高める“ 【糖尿病】 ビタミンD欠乏と不足状態は2型糖尿病の発症リスクを高める独立した危険因子である可能性が報告されている。研究者らは、2型糖尿病の危険因子を1つ以上有するが糖尿病を発症していない成人1,080人を平均32.3ヵ月間追跡。その結果、血清25ヒドロキシビタミンD低値はBMI、インスリン抵抗性、インスリン分泌指数とは独立して2型糖尿病発症リスクと関係していた(The American journal of clinical nutrition誌2013年3月号の掲載報告)。“血中ビタミンD濃度の低い人では虚血性心疾患の発症リスクが増大” 【心疾患】 デンマーク人1万例以上の血中ビタミンD濃度と心疾患および死亡との関係を検討した結果、血中ビタミンD濃度の低い人では虚血性心疾患と心筋梗塞のリスクが著しく高いことが明らかにされている。 研究者らはCopenhagen City Heart Studyに参加した1万170例のうち、血中ビタミンD濃度が5パーセンタイル未満の者と50パーセンタイル以上の者を比較した。その結果、血中ビタミンD濃度が高い者と比べ、低い者では虚血性心疾患の発症リスクが40%、心筋梗塞の発症リスクが64%高かったことを発表している(Arteriosclerosis, thrombosis, and vascular biology誌2012年11月号の掲載報告)。“ビタミンD摂取不足が脳梗塞の発症リスクを高める” 【脳梗塞】 食事によるビタミンDの摂取不足は脳卒中、とくに脳梗塞の発症と関係することがホノルル心臓プログラムより発表されている。登録時の食事によるビタミンD摂取と追跡中の脳卒中発症との関係を検討した結果、ビタミンD摂取最高四分位群と比較した最低四分位群のハザード比は脳卒中全体が1.22(p=0.038)、脳梗塞が1.27(p=0.044)と有意に高かった(Stroke誌2012年8月号の掲載報告)。Kojima G, et al. Stroke. 2012; 43: 2163-2167.

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うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

 大うつ病性障害(MDD)の寛解予測について、特定の抑うつ症状の早期改善が指標として有用である可能性が、慶應義塾大学病院精神・神経科の櫻井 準氏らによる解析の結果、示された。これまで、MDDのアウトカムの予測に際して、個々の抑うつ症状が検討の材料となるのか明らかではなかった。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月22日号の掲載報告。 本検討では、特異的な抑うつ症状が、その後の臨床効果を予測できるかについて明らかにするため、各症状の経時的変化を評価することを目的とした。Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression(STAR*D)試験に最長14週間参加しシタロプラム(国内未承認)を服用していた非精神病性MDD外来患者2,874例のデータを解析した。各症状の経時的な変化の平均値を、寛解群と非寛解群について算出し評価した。さらに、2週時点で寛解を予測した抑うつ症状を、ロジスティック回帰分析法にて特定した。 主な結果は以下のとおり。・すべての抑うつ症状について、寛解群と非寛解群の経時的変化は有意に異なった。・両群においてQIDS-SR16(16-item Quick Inventory of Depressive Symptomatology, Self-Report)のすべての抑うつ症状が、2週間で大きく改善し、その後14週間は漸進的に改善が継続した。ただし、これは非寛解群における過眠症と体重変化については当てはまらなかった。・寛解と有意に関連していたのは、QIDS-SR16の次の5つの症状の早期の改善だった。関連が大きかった順に、悲しい気分(p<0.001)、陰性自己評価(p<0.001)、感情の鈍化(p=0.001)、活力低下(p=0.004)、落ち着きのなさ(p=0.021)であった。・本検討は、参加者をシタロプラム服用の非精神病性MDD外来患者に限定したものであった。また抑うつ症状について治療が開始された時点での評価が行われていなかった。・上記の点で解析データは限定的であったが、特定の中心的な抑うつ症状の早期改善が、その後の寛解の予測因子として有用である可能性が示された。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか? 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症の治療に伴う性機能障害、カベルゴリンにより改善

 臨床的に安定している統合失調症患者に対するカベルゴリン(商品名:カバサールほか)の投与は、精神病理状態に悪影響を及ぼすことなく性機能を改善する可能性があることが、Christina S. Kalkavoura氏らによる検討の結果、示唆された。また本検討により、高プロラクチン血症の重症度に見合ったカベルゴリンの投与量も明らかになった。Experimental and Clinical Psychopharmacology誌オンライン版2013年7月8日号の掲載報告。 抗精神病薬は、高プロラクチン血症を引き起こす可能性があり、それによりさまざまな程度の性機能障害と関連する。研究グループは、プロラクチン(PRL)の分泌は、主に視床下部のドパミン作動系により制御されていることを踏まえて、ドパミンアゴニストであるカベルゴリンの性機能障害への影響について調べる、6ヵ月間の並行群間前向き試験を実施した。対象者は、臨床的に安定している統合失調症(DSM-IV、AP194)で、高プロラクチン(PRL)血症(男性:PRL>20ng/mL、女性:PRL>25ng/mL)の患者80例であった。被験者は、PRLレベル(<50、50~99、>100ng/mL)に応じて、カベルゴリンを0.25mg/日(38例)、0.5mg/日(23例)または1mg/日(19例)を投与された。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)により精神病理を、Arizona Sexual Experiences Scale(ASEX)により性機能を評価した。 主な結果は以下のとおり。・被験者80例は、リスペリドン(33例)、ハロペリドール(17例)、アミスルプリド(11例、国内未発売)、リスペリドン持効性製剤(8例)の投与を受けていた。・カベルゴリン投与により、全患者でPRLレベルが減少した。ベースライン73.3(±46.8)ng/mLから3ヵ月後に42.0(±27.8)ng/mL、6ヵ月後に27.1(±20.4)ng/mLとなった(p<0.001)。・ASEXスコアは、ベースラインの19.1(±5.1)から3ヵ月後に17.6(±5.5)、6ヵ月後に15.0(±6.5)へと低下した(p<0.001)。・PANSSスコアは、3ヵ月および6ヵ月後ともに低下が認められた(6ヵ月後の対ベースラインp=0.001)。・PRLの減少について、患者群間における統計学的な差はなかった。関連医療ニュース 薬剤誘発性高プロラクチン血症への対処は? 抗精神病薬によるプロラクチン濃度上昇と関連する鉄欠乏状態 抗精神病薬誘発性の体重増加に「NRI+ベタヒスチン」

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トップアスリートは、うつ病の頻度が高い

 オーストラリア・ディーキン大学のHammond Thomas氏らは、競泳の精鋭選手(エリートアスリート)におけるうつ病の発生状況を評価した。その結果、上位25%にいる選手集団はうつ病の頻度が2倍高く、成績不良がうつ病と有意に関連していることを報告した。結果を踏まえて著者は、「エリートアスリートは、とくに成績不良がきっかけとなり、うつ状態に陥りやすい。選手のメンタルヘルスを考慮し、適切なタイミングで的確なサポートをすることが重要である」と結論している。Clinical Journal of Sport Medicine誌2013年7月号の掲載報告。 カナダのオリンピックおよび世界チャンピオンチームのエリートアスリートにおける、成績不良に関連するうつ病と自己報告によるうつ症状の発生状況を評価するため、横断研究を行った。対象は、カナダの大学に籍を置き、カナダ代表選手権に出場した水泳選手50例(男性28例、女性22例)であった。うつ病の診断は、事前に大まかな質問事項を決めておき、回答者の答えによってさらに詳細に質問を重ねる半構造化インタビューにて行った。うつ症状は、ベックうつ病調査票IIにより評価し、成績は、タイムとランキングの変動により評価した。これらは、予選試合が終了した後に実施した。 主な結果は以下のとおり。・試合前、選手の68%が大うつ病エピソードを呈し、その割合は男性に比べ女性選手のほうが多かった(p=0.01)。・試合後、選手の34%がうつ病と診断され、26%が自己報告による軽度~中等度のうつ症状を認めた。・上位25%にいる選手集団はうつ病の頻度が2倍高く、この集団では成績不良がうつ病と有意に関連していた。・エリートアスリートにおけるうつ病の頻度は、既報告よりも高いことが示された。関連医療ニュース アスリートが経験する脳震盪はうつ病リスクを増加させる 仕事のストレスが大きいほど、うつ病発症リスクは高い:獨協医科大学 統合失調症に「サッカー療法」その効果は?

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抗精神病薬の等価換算は正しく行われているのか

 統合失調症の治療において、異なる抗精神病薬の比較や切り替えを行う場合、等価換算が重要となる。この等価換算の方法は、比較試験のデザインでも重要となるが、現時点ではゴールドスタンダードと呼べる方法はないことを、英国・キングス・カレッジ・ロンドンのMaxine X. Patel氏らが、システマティックレビューの結果、報告した。そのため、抗精神病薬の直接比較試験では過大評価も過小評価も起こりうる可能性があるとして、著者は「臨床試験では必ず、等価換算についてその方法を選択した理由を明記すべきである」と述べている。Schizophrenia Research誌オンライン版2013年7月8日号の掲載報告。 システマティックレビューは、抗精神病薬の等価換算の方法について入手可能であった方法を同定し、批判的に評価することを目的とした。文献検索は、Medline、PubMedおよび製薬会社に依頼した追加情報を用いて行われた。同定された方法は、科学的な厳密さ、その方法を支持するソースデータの質、臨床的適用性、有用性に関して特定の基準に照らし合わせて評価された。 主な結果は以下のとおり。・11論文が、抗精神病薬の等価換算の方法論について記載をしていた。・そのうち7論文が、クロルプロマジンの等価量、最大用量、常用量などの算出方法を紹介していた。それらは、固定および非固定用量の両方のデータからのエビデンスベースに基づいていた。・残る4論文は、専門家の知識と経験に基づいたコンセンサスメソッドについて記載していた。・同等性試験の大部分では、クロルプロマジンが一般的な比較薬として用いられていた。一方、コンセンサスメソッドではリスペリドンが最も多かった。・著者は、「抗精神病薬の等価用量を算出する方法の比較の結果、方法が異なると等価量が異なることが示された。また、それらの方法のいずれもゴールドスタンダードとみなすのに十分なほど強力なエビデンスはなかった」とまとめている。・そのため、抗精神病薬の直接比較の固定用量試験をデザインする際に、選択する方法によって、用量について過大および過小の両方のバイアスが生じる可能性があることを指摘し、「臨床試験報告では常に、等価換算についてその方法を選択した理由を明記すべきである」と述べている。関連医療ニュース 非定型抗精神病薬治療、忍容性の差を検証 アリピプラゾールvsその他の非定型抗精神病薬:システマティックレビュー 抗てんかん薬のプラセボ効果、東アジアと欧米で地域差

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うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか?

 大うつ病性障害(MDD)の小児と思春期の若者に対し、SSRIの処方は、リスクよりもベネフィットが大きく上回ることが、スペイン・ナバラ大学のCesar Soutullo氏らによるレビューの結果、示された。Current Psychiatry Reports誌2013年7月15日号の掲載報告。 小児と思春期若者のMDDは公衆衛生上の問題であり、エビデンスベースの治療が必要とされる。Soutullo氏らは、小児・思春期MDDの抗うつ薬(とくにSSRI)治療の安全性と有効性について、PubMed検索により入手可能であった研究報告および短報サマリーについてレビューを行った。 主な結果は以下のとおり。・抗うつ薬の有効性について評価していた試験が、少なくとも19件存在した。15件は対プラセボ試験、4件は非SSRI(新しい世代の抗うつ薬)との比較試験であった。被験者は小児・思春期合わせて3,335例であった。・15試験についてSSRIの種類別にみると、フルオキセチン(国内未発売)5件、エスシタロプラム2件、セルトラリン2件、シタロプラム(国内未発売)2件、パロキセチン4件であった。・レビューの結果、小児・思春期MDDの治療において、フルオキセチンとエスシタロプラムは、いずれも安全であり、症状改善および寛解/反応率について有効であった。しかしながらその反応率は、非OCD不安障害(強迫性障害ではない不安障害)の治療に対するよりも低かった。・セルトラリンも、1試験(2試験からプールされた結果を解析した)において有効性が示された。・MDDの治療必要数(NNT)は10例であった。一方、自殺傾向の有害必要数(NNH)は112例であった。・研究方法についての主な限界は、プラセボ反応率が高率であること、試験場所が複数であること、患者がより若く、MDD重症度がより低いことであった。・治療は、再発防止のため、寛解後約1年は継続すべきであることが示された。・FDA承認のフルオキセチンとエスシタロプラムは、小児MDDの治療において安全性と有効性が認められた。セルトラリンも、有効性と安全性を支持するデータが一部において認められるが、FDAの承認は得られていなかった。・以上のことから著者は、「臨床医は、一部の患者においてごくわずかな自殺念慮の増加があることを知っておかなくてはならない。しかし、中等度~重度MDDにおけるSSRI使用のリスク対ベネフィットの比率は1対11.2と良好である」と結論している。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 小児および思春期うつ病に対し三環系抗うつ薬の有用性は示されるか 抗うつ薬を使いこなす! 種類、性、年齢を考慮  担当者へのご意見箱はこちら

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統合失調症の陰性症状と関連する「努力コスト」の障害とは?

 統合失調症の陰性症状である動機づけ障害は、努力コスト(effort cost)の算出機能の障害と関連している可能性を、米国・メリーランド大学のJames M. Gold氏らが報告した。結果を踏まえて著者は「努力コストは、徐々に意欲を蝕む可能性があるようだ」と結論している。Biological Psychiatry誌2013年7月15日号の掲載報告。 意思決定の研究において、「努力コスト」が影響する反応では、選択的な反応が認められることが示されている。努力コストは、前帯状皮質やドパミンニューロンの皮質下ターゲットなどの分散処理神経回路を介して算出されていると考えられているという。研究グループは、統合失調症ではこれらシステムが障害されているというエビデンスに基づき、努力コストの算出機能が、統合失調症患者では障害されていること、およびその障害が陰性症状と関連しているかについて調べる、努力コストの意思決定評価を行った。統合失調症患者と人口統計学的に適合した対照被験者について、コンピュータタスクの試験を行った。連続30試験を提示し、20ボタンを押せば1ドルを、100ボタン以上を押せば3ドルから7ドルを得られる選択肢が与えられた。また、報酬レシートの確実性という試験で、確実(100%)または非確実(50%)な報酬が努力コストという発想に基づく意思決定に影響を与えたかどうかについても評価を行った。 主な結果は、以下のとおり。・患者群44例、対照群36例を対象とした。・患者群は対照群と比較し、報酬が100%確実であるという環境下において、高い努力コストの選択肢を選ぶことが少なかった。とくに支払対価が高い選択肢(6ドル、7ドルなど)で少なかった。・報酬が50%確実であるという環境下においても、同様の結果が得られた。・さらに、これらの努力コスト算出の障害は、陰性症状が高い患者において、最も大きかった。・ハロペリドールの投与量との関連はみられなかった。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状有病率、脳波や睡眠状態が関連か 陰性症状改善に!5-HT3拮抗薬トロピセトロンの効果は? 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学

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うつ病に対する重点的介入により高齢者の死亡率が低下する(コメンテーター:小山 恵子 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(118)より-

高齢者のうつ病は、高齢者の自殺と密接に関連するばかりでなく、さまざまな身体疾患や健康問題への影響が指摘されている。うつ病患者において、糖尿病や心血管疾患に対する治療やセルフケアへのアドヒアランスが不良になること、身体活動が低下することなどの要因が、死亡率を高めることにつながると考えられている。 本研究では、米国3ヵ所のプライマリ・ケア医療機関20施設を、通常治療群(10施設)と介入群(10施設)に無作為に割り付け、うつ病高齢患者に対する重点的ケアによる死亡リスク抑制効果について検証している。結果として、うつ病治療専門員(depression care manager; ソーシャルワーカー、看護師、心理士などからなる)が重点的に関わってプライマリ・ケア医の治療をサポートすることにより、うつ病患者の死亡率が低下することが示されている(フォローアップ期間中央値98ヵ月)。 わが国においても高い自殺率への危機意識から、かかりつけ医を対象としたうつ病対応力向上研修講座が行われたり、高齢者のうつを予防し、早期発見・早期治療に資することを目的としてうつ予防・支援マニュアルが作成されたりなど、さまざまな保健医療サービス資源を巻き込んだ取り組みが地域でなされるようになっている。こういった取り組みが、要介護・要支援高齢者の減少やひいては死亡率の減少につながっていくのかどうかについての検証はこれからだが、本論文はうつ病高齢者への重点的な取り組みを鼓舞する結果を示していると言えよう。 ただし、本研究では、一定の教育を受けたうつ病治療専門員が症状や薬の副作用、治療へのアドヒアランスなどについてモニタリングするだけではなく、標準的ガイドラインに沿って抑うつ症状の改善度に応じて抗うつ薬の増量や変更を検討するなど、かなり踏み込んだ役割を果たしていることに注意が必要である。医療体制が異なるわが国において、財源や人的資源とのバランスも考慮してどのような介入ができるのかは、今後の検討課題であろう。

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うつ病は、脳卒中発症リスクと顕著に関連

 スウェーデン・カロリンスカ研究所のIffat Rahman氏らは、うつ病ならびに抗うつ薬使用が及ぼす心血管疾患(CVD)発症への影響について、脳卒中と冠動脈疾患に分けて検討を行った。その結果、抗うつ薬を使用していないうつ病患者でCVD発症リスクが高く、脳卒中との間に顕著な関連がみられることを報告した。European Journal of Epidemiology誌オンライン版2013年7月9日号の掲載報告。 うつ病がCVDの発症リスクを高めることは、多くの研究で示されている。抗うつ薬の使用とCVD発症との関連についても過去に検討されているが、その結果は相反するものであった。また、うつ病ならびに抗うつ薬の使用とCVD発症リスクとの関連は、脳卒中よりもむしろ冠動脈疾患との関連においてより広く研究されていた。それら先行研究を踏まえて、研究グループは、スウェーデン人高齢者双生児3万6,654例からなる集団ベースのコホート研究を実施した。追跡期間は最長4年間であった。治療内容、アウトカム、共変数に関する情報は、スウェーデン全国患者登録、スウェーデン処方薬登録およびスウェーデン双子登録から収集した。 主な結果は以下のとおり。・うつ病と、抗うつ薬使用は、両者ともCVD発症と関連していた。・抗うつ薬を使用していないうつ病患者のリスクが、最も高かった(ハザード比:1.48、CI:1.10~2.00)。・CVDの2つの主要なアウトカムである冠動脈疾患と虚血性脳卒中を別々に評価したところ、冠動脈疾患のない虚血性脳卒中において顕著な関連が認められた。・ベースライン時より10年以上前にうつ病と診断された場合に限った検討でも、うつ病と脳卒中との間に有意な関連が維持されていた。・本研究の結果は、うつ病がCVD発症に関連しうるリスクファクターであることを支持している。・さらに、CVDアウトカムに対するハザード比は抗うつ薬を使用していないうつ病患者で最も高いこと、うつ病との関連は脳卒中において著しいこと、冠動脈疾患との関連は薄いことが明らかとなった。関連医療ニュース 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 抗精神病薬の高用量投与で心血管イベントリスク上昇:横浜市立大 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始

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アリピプラゾール経口剤⇒注射剤への切り替え、その安全性は?

 米国・カリフォルニア大学のSteven G. Potkin氏らは、経口抗精神病薬から月1回投与の持続性注射剤アリピプラゾールに切り替える際の安全性と忍容性の評価を行った。その結果、経口抗精神病薬の中間安定期を経ることなく、月1回投与のアリピプラゾールに安全に切り替え可能であることが示されたことを報告した。Current Medical Research and Opinion誌オンライン版2013年7月3日号の掲載報告。 本試験は、経口抗精神病薬から月1回投与の持続性注射剤アリピプラゾールに切り替える際の安全性と忍容性を評価する目的で行われた。登録対象は、アリピプラゾール以外の経口非定型抗精神病薬治療を受けており、アリピプラゾールの忍容性が確認されている統合失調症患者とした。まず、スクリーニング期に、主治医の判断で固定用量の経口非定型抗精神病薬を14日間以上投与した。その後、服用中の経口非定型抗精神病薬を中/低用量に減量して14±1日間併用しつつ、月1回投与のアリピプラゾール(400 mg)による治療を開始した。28日間の治療期における安全性と忍容性を評価した。また、投与開始7、14、28日目に血漿中アリピプラゾール濃度を測定し、薬物動態を評価した。 主な結果は以下のとおり。・登録被験者は60例であった。・治療期間中、経口オランザピン(3例)、クエチアピン(28例)、リスペリドン(24例)、ジプラシドン(5例、国内未承認)の併用を継続した。これら併用経口抗精神病薬の投与期間は0~15日間とさまざまであった。・忍容性は良好であった。最も高頻度に発現した治療関連有害事象(TEAEs)は、注射部疼痛と歯痛であり(各々 4/60例、6.7%)、次いでジストニア、疲労、血清クレアチンホスホキナーゼ(CPK)上昇、不眠および不穏であった(各々 3/60例、5.0%)。・TEAEsの大半は、経口抗精神病薬併用後、最初の8日間に出現した。・臨床検査値または空腹時の代謝パラメータにおいて、臨床的に意味のあるベースラインからの変化は認められなかった。・精神症状は安定していた。・血中アリピプラゾール濃度は、経口アリピプラゾール連日投与のデータと同様であった。・月1回投与のアリピプラゾールをアリピプラゾール以外の経口抗精神病薬と併用した際の有害事象プロファイルは、既報告と一致するものであった。・前治療の非定型抗精神病薬の種類および投与期間にかかわらず有害事象は同様であり、経口抗精神病薬の中間安定期を経ることなく、月1回投与のアリピプラゾールに安全に切り替え可能であることが示された。・なお、試験デザイン(オープンラベル、短期間)と患者集団(男性、アフリカ系アメリカ人が圧倒的多数)の側面から、これら知見を一般化するには限界があった。関連医療ニュース 統合失調症へのアリピプラゾール持効性注射剤、経口剤との差は? どのタイミングで使用するのが効果的?統合失調症患者への持効性注射剤投与 青年期統合失調症の早期寛解にアリピプラゾールは有用か?

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寝室での夜間光曝露がうつ病に関連

 現代生活では夜間光曝露が増加しているが、夜間光曝露はサーカディアンリズム(生体の概日リズム)の変調に関連している。しかし、家庭における夜間光曝露がうつ病と関連しているかどうかは不明である。今回、奈良県立医科大学地域健康医学講座の大林 賢史氏らが高齢者を対象とした研究の横断解析を行った結果、一般の高齢者において自宅の夜間光曝露が抑うつ症状に有意に関連することが示唆され、寝室を夜間暗く保つことによってうつ病のリスクが低下する可能性が示された。Journal of Affective Disorders誌オンライン版2013年7月12日号に報告。 著者らは、高齢者516人(平均年齢72.8歳)において、夜間尿中メラトニン排泄量と夜間の寝室および日中光の曝露照度を測定した。抑うつ症状は老年期うつ尺度を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・夜間曝露照度中央値は0.8ルクスであった(四分位範囲:0.2~3.3)。・日中光曝露、不眠、高血圧、睡眠時間、身体活動を調整した多変量ロジスティック回帰モデルにより、うつ群(n=101)は非うつ群(n=415)と比べて、夜間光曝露(平均照度5ルクス以上)の割合が有意に高いことが認められた(調整オッズ比[OR]:1.89、95%信頼区間[CI]:1.10~3.25、p=0.02)。・同様に、夜間光曝露のもう1つのパラメータ(10ルクス以上の時間:30分以上)の割合も、非うつ群に比べてうつ群で有意に高いことが認められた(調整OR:1.71、95%CI:1.01~2.89、p=0.046)。・一方、尿中メラトニン排泄量と抑うつ症状の間に有意な関連は認められなかった。

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