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これからのうつ病治療はWebベース介入で変わるのか

 ドイツ・ロイファナ大学リューネブルクのJo Annika Reins氏らは、大うつ病性障害(MDD)患者が入院治療の前に、Webベースの介入を行った場合の有効性を検討するための多施設共同無作為化試験のプロトコルを作成した。有効性が実証されれば、患者はうつ症状が軽減された状態で入院治療を開始でき、寛解率の向上、入院期間の短縮、コスト節減、待機期間の短縮につながる可能性があるという。BMC Psychiatry誌2013年11月26日号の掲載報告。 MDDは一般的、かつ重篤な障害である。MDDに対し効果的な治療が存在するものの、医療システムのキャパシティー不足などにより、多くの患者が未治療の状態にある。待機期間中は、慢性化のリスクとともに、苦しみや障害が長引く。うつ病において、Webベース介入の有効性に関するエビデンスが多くの研究で示されており、問題の軽減に役立つ可能性がある。そこで研究グループは、MDDに対する入院治療を待っている患者に関して特別に開発された新しいWebベースの自助介入方法「GET.ON-Mood Enhancer-WL」の評価を目的とした試験を行うこととした。 主な試験概要は以下のとおり。・2群ランダム化比較試験(200例)において、通常の治療(TAU)に「GET.ON-Mood Enhancer-WL」を追加し、TAUのみの場合と比較する。・「GET.ON-Mood Enhancer-WL」は6つのモジュールで構成される(精神教育、行動活性化I&II、問題解決I&II、うつ病に対する入院治療後の準備)。・被験者は、e-コーチのサポートを受ける。なお、コーチは各モジュールを実践した後、文書でフィードバックを行うこととする。・MDDと診断された適格例は、構造的臨床インタビュー(structured clinical interview:SCID)を実施し、入院治療の開始までに少なくとも3週間待機する。・主要アウトカムは、observer-rated depressive symptom severity(HRSD24)とする。さらに、入院中の患者において、Webベース介入により寛解がより早期に得られた者が多かったかどうか、探索的質問を行う。・以上により「GET.ON-Mood Enhancer-WL」の有効性が実証されれば、患者はうつ症状が軽減された状態で入院治療を開始でき、寛解率の向上、入院期間の短縮、コスト節減、待機期間の短縮につながる可能性がある。 関連医療ニュース 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始 認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのか 世界初!「WEB版」気分変動アンケート、その後の臨床に有益

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精神病性うつ病に、抗うつ薬+抗精神病薬は有効か

 精神病性うつ病に対しては、抗うつ薬と抗精神病薬の併用、抗うつ薬単独療法または抗精神病薬単独療法などが考慮されるが、最適な薬物治療のエビデンスは限られていた。オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJaap Wijkstra氏らは、精神病性うつ病に対する薬物療法のエビデンスをレビューした。その結果、抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法が、抗うつ薬単独療法または抗精神病薬単独療法に比べ、うつ症状の軽減に有効であることを報告した。今回の知見についても、著者は「精神病性うつ病に関する検討は多いが、結論の信頼性は十分なものではなかった。抗うつ薬と抗精神病薬の併用がそれぞれの単独またはプラセボに比べて有効であることを示すエビデンスがいくつかあるが、抗うつ薬または抗精神病薬単独療法のエビデンスは限られている」と報告している。Cochrane Database of Systematic Reviews2013年11月26日号の掲載報告。 本検討は、2005年に行われ2009年に更新されたレビューのアップデート報告である。研究グループは、急性期の精神病性うつ病患者に対する薬物治療として、抗うつ薬単独療法、抗精神病薬単独療法および抗うつ薬と抗精神病薬の併用療法の有効性を比較するとともに、現在のエピソードにおける治療効果の差が前治療無効と関連しているかどうかを評価した。Cochrane Central Register of Controlled Trials、Cochrane Depression, Anxiety and Neurosis Group Register(CCDANCTR)を用い、EMBASE(1970年~)、MEDLINE(1950年~)、PsycINFO(1960年~)などのデータベースから、2013年4月12日までに発表された無作為化比較試験を検索した。すべての試験と関連するレビューの引用文献を確認し、筆頭著者に連絡をとった。精神病性の急性大うつ病患者を含むすべての無作為化比較試験(RCT)、急性大うつ病患者(精神病性かどうかを問わないが、精神病性の患者のサブグループについて別に報告あり)を含むRCTを選択した。2名のレビュワーが独立してデータを抽出し、改訂版ツールRevMan 5.1と照合し、Cochrane Handbook for Systematic Reviews of Interventions基準に基づいて試験のバイアスを評価。intention-to-treatデータを用い、二分法的有効性アウトカム、リスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・連続分布アウトカムは抽出できなかった。主要アウトカムは、うつ重症度(反応)の軽減とした(精神病症状の重症度ではなく)。主要有害アウトカムは、すべての試験において脱落率しか適用できなかった。・3,659件のアブストラクトが検索されたが、レビュー可能であったのは12件のRCT、計929例であった。臨床的不均一性のため、メタアナリシスはほとんど不可能であった。・抗うつ薬と抗精神病薬の併用は、抗うつ薬単独療法(RCT 3件、RR:1.49、95%CI:1.12~1.98、p=0.006)、抗精神病薬単独療法(同4件、1.83、1.40~2.38、p=0.00001)、プラセボ(同2件、1.86、1.23~2.82、p=0.003)に比べて有効であった。・しかし試験間において、診断、ランダム化の不確実性、割付の盲検性に差があったほか、治療法(抗うつ薬や抗精神病薬の種類)、アウトカムの基準に関しても差があり、バイアスのリスクは大きかった。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか 大うつ病性障害の若者へのSSRI、本当に投与すべきでないのか? 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か

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双極性障害の認知障害にインターロイキン-1が関与

 双極性障害(BD)の特徴である認知障害は炎症性サイトカインによって悪化する可能性が示唆されていた。このたび、米国・ピッツバーグ大学のFrancis E. Lotrich氏らの検討により、認知障害の悪化にインターロイキン(IL)-1系が関与している可能性を支持する所見が示された。International Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2013年11月25日号の掲載報告。 研究グループは、本検討において(1)血清IL-1受容体アンタゴニスト(IL-RA)値が高齢BD患者において上昇がみられるのか、(2)IL-1RAは神経認識機能の悪化と関連しているのか、(3)IL-1RA は白質統合性と関連しているのか、を明らかにすることを目的とした。対象は寛解期BD高齢患者21例と、年齢が同等の健常対照26例で、酵素結合イムノアッセイで測定した血清IL-1RA値を用いて両群の比較を行った。神経認識機能悪化との関連は、神経認識機能検査による4因子分析から得られたzスコアと全体zスコアを参考に評価した。白質統合性との関連は、拡散テンソル画像(diffusion tensor image:DTI)で異方性(FA)を評価し、自動ラベリングパスウェイアルゴリズムを用いて白質過強度負荷を評価した。 主な結果は以下のとおり。・寛解期BD高齢患者群の年齢は、65±9歳であった。・血清IL-1RA値は、患者群(439±326pg/mL)のほうが健常対照群(269±109pg/mL)よりも有意な上昇が認められた(p=0.004)。・また、IL-1RAは、3つの認知機能因子および全体的認知機能と逆相関の関連がみられた(r=-0.37、p=0.01)。・IL-1RAの全体的認知機能との関連性は、IL-6または脳由来神経栄養因子が変動しても持続した。・FAは、BD患者群で有意に低く(0.368±0.02 vs. 0.381±0.01、p=0.002)、IL-1RA とFAあるいは白質過強度負荷との関連はみられなかった。・以上より、BD患者の血清IL-1RA値上昇は、寛解期においても認知機能悪化と関連していた。この関連は、IL-6の増大、一方での脳由来神経栄養因子の減少、あるいは白質統合性でも説明できなかった。・所見は断面的ではあるが、IL-1系がBDにおける認知機能障害に関与している可能性を支持するものであった。関連医療ニュース 統合失調症治療に抗炎症薬は有用か 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は? うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は

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ツナ缶の蓋を食べた囚人【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第8回

ツナ缶の蓋を食べた囚人一人暮らしをしていた医学生の頃、ツナ缶はチャーハンを作る油としても具材としても重宝していたので、個人的に思い入れのある食材です。当時からツナ缶は指で開けられるタイプのものでしたが、ツナ缶の蓋は結構鋭利で、指を幾度となく切ったものです。いやあ、懐かしい。医学部3年の頃からは近所の餃子チェーン店の無料券や割引券がポストに入っていたので、そこのチャーハンを食べるようになりましたが。そんなどうでもいい話はさておき、本日ご紹介するのは「ツナ缶を食べた囚人」ではなく、「ツナ缶の蓋を食べた囚人」の話。Abraham B, et al.An unusual foreign body ingestion in a schizophrenic patient: case report.Int J Psychiatry Med. 2005;35:313-318.ある刑務所で、丸まったツナ缶の蓋を飲み込んだという30歳の黒人男性の囚人が救急搬送されました。その男性は既往歴として、過去にうつ病や妄想型統合失調症を診断されていました。この囚人は最初の投獄の時期から手元にある物を飲み込む癖があったらしく、数年前にも針を飲み込んで救急受診していました。彼が救急受診した際、問診によってその理由がわかりました。もう長らく自分を刑務所に訪ねてくる者がいないこと(他者から必要とされていないこと)、また自分が投獄されたことによって母親が死んでしまったのではないかという不安な気持ちを吐露したそうです。彼は積極的に自殺するつもりがあったわけではなく、ツナ缶の蓋を飲み込むことでもしかして楽に死ねるかもしれないと思ったようです。外科チームのアセスメントによって、ツナ缶の蓋は開腹手術によって取り除かれました。そして囚人は合併症なく刑務所へ退院していったそうです。ちなみに、統合失調症による誤飲のケースの多くは、「○○を飲み込め・・・・・・」という幻聴に操作される形で救急搬送されることが多いそうです(この囚人の場合、他界した母親が「ツナ缶の蓋を飲み込まないで」という幻聴があったと記録されていますが、飲み込むに至ったプロセスはきわめて複雑です)。囚人が自殺をはかってカミソリなどを飲み込むことは、過去にいくつか報告されています。また、精神疾患によって誤飲した症例もあります。基本的に消化管異物は、鋭的なものであっても胃内に到達していれば8割以上は数日~1週間程度で自然排泄されるといわれています(日臨外会誌. 2010;71:1667-1672.)。しかし、これはあくまで飲み込める大きさの範囲のものであって、ツナ缶の蓋のように大きな消化管異物は想定外だろうと思います。そのため、本症例では手術によって摘出せざるを得ませんでした。

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ドーパミン活性レベルの維持に関与する遺伝子多型を特定:弘前大

 弘前大学大学院医学研究科の土嶺 章子氏らは、認知機能測定の指標として、カテコール-O-メチルトランスフェラーゼ(COMT)遺伝子Val158MET多型が有用であることを明らかにした。COMTはドーパミンやアドレナリン、ノルアドレナリンなどの代謝酵素で、ドーパミン代謝経路の主成分である。今回の検討で、同遺伝子多型がドーパミン活性の最適レベルを維持しているという仮説を支持する知見も得られたという。PLoS One誌2013年11月号の掲載報告。 先行研究において、COMT Val158MET多型は、統合失調症患者と健常者の前頭葉認知機能における差異と関連していることが示されていた。また、いくつかの試験で、METアレルが認知機能の測定における、より良好なパフォーマンスと関連していることも示されていた。そこで研究グループは、健常対照149例と統合失調症患者118例を対象に、COMT Val158MET多型が認知機能と関連しているかについて調べた。認知機能(言語記憶、ワーキングメモリ、運動機能、注意、実行機能、言語流暢性など)は、統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)にて評価し、ANOVA法と重回帰分析法を用いて、COMT Val158MET多型とBACS-Jとの関連を調べた。 主な結果は以下のとおり。・健常対照群において、異なる3つのCOMT Val158MET遺伝子多型(val/val、val/met、met/met)の間に、実行機能スコア(ロンドン塔テストによる)の有意差がみられることが明らかになった(p=0.023)。・事後解析の結果、実行機能スコアについて、val/val群(18.6±2.4)と他の2群との間に、それぞれ有意差が認められた[対val/met群(17.6±2.7、p=0.027)、対met/met群(17.1±3.2、p=0.024)]。・重回帰分析の結果、実行機能は、Val158Met多型と有意に関連していることが明らかになった(p=0.003)。しかし、統合失調症患者において、あらゆる認知領域においてCOMTの影響を示すエビデンスはみつからなかった。・著者は、「これらのデータは、COMT Val158MET多型は、ドーパミン活性の最適レベルを維持するという仮説を支持するものであった。さらなる大規模かつ薬物療法有無別の患者を組み込んだ試験を行い、今回の知見を確認する必要がある」と結論している。関連医療ニュース 統合失調症の実行機能障害に関与する遺伝子を発見:獨協医大 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定/a> 統合失調症の治療ターゲット、新たな遺伝要因を特定

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統合失調症の陰性症状に、抗酸化物質N-アセチルシステインは有効か

 近年、統合失調症の病因として酸化ストレス経路の異常が示されており、統合失調症の陰性症状に対する抗酸化物質の有用性への関心が高まっている。神経保護作用を持つ抗酸化物質であるN-アセチルシステイン(NAC)が、統合失調症の陰性症状の治療において有用であるかを、イラン・テヘラン医科大学のMehdi Farokhnia氏らが、無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験により評価した。統合失調症の陰性症状は患者QOLに悪影響を及ぼしているが、現状では、その症状に完全に効果的な治療法はまだ開発されていない。Clinical Neuropharmacology誌2013年11・12月号の掲載報告。 NACは、神経保護作用を持つ抗酸化物質であることから、研究グループは、統合失調症の陰性症状の治療において、リスペリドンの併用薬としての、NACの有効性を評価することを目的とした無作為化二重盲検プラセボ対照並行群間試験を行った。同試験のactive phaseに、慢性の統合失調症で、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)のサブスケール陰性症状のスコアが20以上の患者42例が登録された。被験者は、NAC群(最大2g/日)またはプラセボ群に均等に無作為化され、リスペリドン(最大6mg/日)の併用投与が8週間行われた。2週ごとにPANSSにより評価を行った。主要評価項目は、PANSSサブスケール陰性症状スコアの低下とした。主な結果は以下のとおり。・最終評価時、NAC群はプラセボ群に比べ、PANSS総スコア(p=0.006) およびサブスケール陰性症状スコア(p<0.001)の有意な改善が認められた。・PANSSサブスケール陽性症状および総合精神病理尺度において、有意差は認められなかった。・有害事象の発現頻度に2群間で有意差は認められなかった。・統合失調症の陰性症状の軽減において、NACの併用は安全かつ有効な増強ストラテジーであることが示唆された。関連医療ニュース 統合失調症の陰性症状に対し、抗うつ薬の有用性は示されるのか セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学 統合失調症治療に抗炎症薬は有用か

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統合失調症の実行機能障害に関与する遺伝子を発見:獨協医大

 統合失調症と関連していることが知られているHPS4遺伝子は、臨床症状にどのように関連しているのか。獨協医科大学の倉冨 剛氏らは、統合失調症の実行機能障害に、HPS4遺伝子が関与していることを初めて明らかにした。また同遺伝子は、健常対照では作業記憶に関与していた。結果を受けて著者は、「動物モデルを用いたさらなる研究により、高次脳機能におけるHPS4が果たす役割を明らかにする必要がある」と述べている。(HPS4遺伝子:Hermansky-Pudlak症候群type 4遺伝子)BMC Psychiatry誌オンライン版2013年10月30日号の掲載報告。 研究グループは本検討において、HPS4と統合失調症患者または健常対照の認知機能との関連、また統合失調症患者の臨床プロフィールとの関連について調べることを目的とした。HPS4遺伝子多型と日本人の統合失調症患者の臨床症状および認知機能との関連を、SNPやhaplotype-based線形回帰分析法を用いて調べた。健常対照についても同遺伝子との関連を調べた。具体的には、HPS4の5つのtagging SNP(rs4822724、rs61276843、rs9608491、rs713998、rs2014410)と、それらの2~5のhaplotype遺伝子座を調べた。認知機能は、統合失調症認知機能簡易評価尺度日本語版(BACS-J)を用いて評価し、陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた症状の評価も行われた。 主な結果は以下のとおり。・被験者は、統合失調症患者240例(男性139例、平均年齢48±12歳)、適合健常対照者240例(同:143例、48±13.0歳)であった。・統合失調症患者において、rs713998が実行機能と有意に関連していた(dominant genetic modelにおいてp=0.0073)。・健常被験者において、ワーキングメモリと2つの個別SNP(rs9608491、rs713998)の有意な関連がみられた(recessive modelにおいてそれぞれp=0.001、p=0.0065)。また、2つのhaplotype遺伝子座(rs9608491-713998、rs61276843-9608491-713998)の有意な関連もみられた(それぞれp=0.0025、p=0.0064)。・HPS4遺伝子のSNPとPANSSスコアあるいは発病前IQ(日本版National Adult Reading Testで測定)との間に、有意な関連はみられなかった。関連医療ニュース 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定:理化学研究所 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学 新知見!慢性期統合失調症患者では意志作用感が減退:慶応義塾大学

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認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのか

 認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのか?そしてそれは価値ある治療目標なのか? 英国・ケンブリッジ大学のP. L. Rock氏らは、これらの疑問を解決するため、系統的レビューとメタ解析を行った。その結果、うつ病において認知障害は中核症状であり、重大な治療目標であるとみなすべきであることが明らかになったことを報告した。Psychological Medicine誌オンライン版2013年10月29日号の掲載報告。 研究グループは、認知障害はうつ病の中核症状とみなすべきなのかどうか、そしてそれは価値ある治療目標なのかという疑問を明らかにすることを目的に、レビューを行った。認知機能をキーワードに文献検索とメタ解析を行い、症候性および緩和された状態にあるうつ病患者における認知機能を、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を用いて評価した。評価には、うつ病が寛解した患者および対照患者が比較群として組み込まれていたことで、うつ病の気分低下エピソード期間以外も認知障害は残存しているのかどうかを調べることが可能であった。 主な結果は以下のとおり。・メタ解析の結果、うつ病患者は対照群と比較して、実行機能、記憶、注意喚起において中等度の認知障害との有意な関連が認められた(Cohen's d効果サイズ範囲:-0.34~-0.65)。・うつ病症状が寛解した患者では、実行機能および注意喚起において有意な中等度の障害との関連が見つかったが(同:-0.52~-0.61)、記憶の障害との関連は軽度/中等度で有意ではなかった(同:-0.22~-0.54)。・この関連から、認知障害の発生は、うつ病の感情低下エピソードとは無関係に起こることが示唆された。・上記を踏まえて著者は、「気分低下と認知障害は、いずれも心理社会的機能の低下と関連している。したがって、認知障害の改善とうつ症状の緩和はいずれも、うつ病患者のアウトカム改善に重要な役割を果たすものである」との見解を主張した。・そして「今回の系統的レビューとメタ解析により、認知障害は気分低下に伴う二次的なものとみなすべきではなく、うつ病の中核症状であり、将来的に重大な治療ターゲットと考えられることが実証された」と結論している。関連医療ニュース うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 治療抵抗性の双極性障害、認知機能への影響は? 統合失調症の寛解予測因子は初発時の認知機能

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うつ病から双極性障害へ転換するリスク因子は

 単極性精神病性うつ病(PD)は双極性障害(BD)に転換するリスクが高いとされるが、その転換は治療選択に関わる重要な事項である。そこで、デンマーク・オールボー大学病院のSoren Dinesen Ostergaard氏らは、PDがBDに転換するリスク因子を明らかにするため、住民ベースのヒストリカル前向きコホート研究を行った。その結果、有意な因子として、PDの早期発症、うつ再発、独居、障害年金受給、最高レベルの専門教育、短期高等教育、中期高等教育などがあり、なかでも学歴の関与が大きいことが示唆されたことを報告した。Bipolar Disorders誌オンライン版2013年11月12日号の掲載報告。  1995年1月1日~2007年12月31日に、ICD-10によりPDと診断されDanish Central Psychiatric Research Registerに登録された患者について、BD発症または死亡、あるいは追跡不能となるまで、もしくは2007年12月31日まで追跡した。さまざまなDanish registersで明らかにされている、BDへ転換する可能性が高いリスク因子に関して多重ロジスティック回帰分析を用いて検討し、補正後オッズ比(AOR)を求めた。 主な結果は以下のとおり。・PD患者8,588例が特定され、そのうち609例(7.1%)が追跡期間中にBDを発症した。・PDからBDへの転換と有意に関連していた因子は以下のとおりであった。「PDの早期発症」AOR:0.99(/年齢増加)、p=0.044「うつ再発」AOR:1.02(/エピソード)、p=0.036「独居」AOR:1.29、p=0.007「障害年金受給」AOR:1.55、p<0.001「最高レベルの専門教育」AOR:1.55、p<0.001「短期高等教育」AOR:2.65、p<0.001「中期高等教育」AOR:1.75、p<0.001関連医療ニュース 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か 双極性障害の治療アドヒアランスを改善するには? うつ病患者の予後を予測するセロトニン関連遺伝子多型

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食生活の改善は本当にうつ病予防につながるか

 これまで行われた単体の栄養成分とうつ病との研究では、相反する結果が報告されており、また栄養成分間の複雑な相互作用を考慮することができなかった。最近の研究では、食事の構成要素全体とうつ病の関連を検討している試験が増えている。オーストラリア・Priority Research Centre for Gender, Health and AgeingのJun S Lai氏らが、成人住民ベースで、食事構成とうつ病との関連を評価するシステマティックレビューとメタ解析を行った。American Journal of Clinical Nutrition誌オンライン版2013年11月6日号の掲載報告。 研究グループは、2013年8月までに発表された、成人を対象として食事(全構成)とうつ病との関連を調べていた試験を、6つの電子データベースを使って検索した。試験は方法論が厳密であるもののみを対象とした。2名の独立したレビュワーが、試験の選択、質の評価、データの抽出を行い、適格となった試験の効果サイズをランダム効果モデルを用いてプールした。所見サマリーが、試験概要を示しただけのものであったものはメタ解析から除外した。 主な結果は以下のとおり。・合計21試験が特定され、13件の観察研究の結果がプールされた。・食事パターンは、2つが特定された。・解析の結果、健康食(healthy diet)は、うつ病リスクの低下と有意に関連していた(オッズ比[OR]:0.84、95%信頼区間[CI]:0.76~0.92、p<0.001)。・西洋風の食事(Western diet)とうつ病には統計学的に有意な関連はみられなかった(OR:1.17、95%CI:0.97~1.68、p=0.094)。しかしながら、試験数が少なく効果を正確に推定できなかった。・著者は、「果物、野菜、魚、全粒穀物の高摂取は、うつ病リスクの低下と関連している可能性があることが示唆された」と述べたうえで、「より質の高い無作為化比較対照試験とコホート研究を行い、今回の知見、とくに時間的連続性の関連について確認する必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 日本人のうつ病予防に期待、葉酸の摂取量を増やすべき 1日1杯のワインがうつ病を予防 うつ病患者の食事療法、ポイントは「トリプトファン摂取」

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非定型抗精神病薬との併用、相互作用に関するレビュー

 統合失調症や双極性障害の治療では抗精神病薬や抗うつ薬、気分安定薬、抗てんかん薬などさまざまな薬剤が用いられることも少なくない。米国・マーサー大学のWilliam Klugh Kennedy氏らは、第二世代抗精神病薬(SGA)について、臨床において重要となる薬物相互作用を明らかにすることを目的に文献レビューを行った。その結果、SGAには臨床において重大な薬物相互作用の可能性を増大するさまざまな因子があることを報告し、臨床医はそれらについて十分に認識すべきであると述べている。CNS Drugs誌オンライン版2013年10月30日号の掲載報告。 本レビューは、SGAが統合失調症、双極性障害およびその他精神病において主軸の治療となってきたこと、また抗うつ薬、抗てんかん薬と共に用いられる頻度が高く、さまざまな薬物動態学的、薬力学的およびファーマシューティカルのメカニズムにより薬物相互作用が起きる可能性が知られていることなどを踏まえて行われた。 主な知見は以下のとおり。・各SGAの薬物動態学的プロファイル(とくに第1相、第2相試験の代謝について)は、有意な薬物相互作用の可能性を示唆するものである。・薬力学的相互作用は、薬剤が類似のレセプター部位活性を有する時に引き起こされ、付加的あるいは拮抗的な効果を、薬物血中濃度を変化させることなくもたらす可能性があった。さらに、薬物相互作用のトランスポーターが漸増を続け、薬物動態学的および薬力学的相互作用を生じる可能性があった。・ファーマシューティカルな相互作用は、薬物の吸収前に配合禁忌薬物が摂取された場合に生じる。・多くのSGAの薬物血中濃度は、近似の範囲値であった。薬物相互作用は、これら薬剤の濃度が著しく増減した場合に、有害事象や臨床的有効性を低下させる可能性があった。・SGAの最も重大な臨床的薬物相互作用は、シトクロムP450(CYP)システムで起きていた。そしてSGAの薬物相互作用のほぼすべては、創薬、プレ臨床の開発の段階で、既知のCYP発現誘導または抑制因子を用いた標準化されたin vivoまたはin vitroの試験において特定されていた。・治療薬モニタリングプログラム後は、臨床試験と症例報告において、しばしば、さらなる重大な薬物相互作用を特定する方法が報告されている。・複数薬物間の相互作用があるSGAの中には、SSRIとの併用により重大な薬物相互作用が生じる可能性があった。・カルバマゼピンやバルプロ酸のような抗てんかん作用のある気分安定薬や、フェノバルビタールやフェニトインのようなその他の抗てんかん薬は、SGAの血中濃度を減少する可能性があった。・プロテアーゼ阻害薬やフルオロキノロン系のような抗菌薬も同様に重要であった。・用量依存性と時間依存性は、SGAの薬物相互作用に影響する、さらに2つの重大な因子であった。・喫煙をする精神疾患患者の頻度は非常に高いが、喫煙はCYP1A2発現を誘導する可能性があり、それによりSGAの血中濃度を低下する可能性がある。・ジプラシドン、ルラシドン(いずれも国内未承認)は、薬物吸収を促進するため食事と共に摂取することが推奨されている。そうしないと、バイオアベイラビリティが低下する可能性がある。・以上を踏まえて著者は、「臨床医は、SGAの臨床で重大な薬物相互作用を増大する可能性のあるさまざまな因子について認識しておかなくてはならない。そして、最大な効果をもたらし、有害事象は最小限とするよう患者を十分にモニタリングする必要がある」とまとめている。関連医療ニュース 新規の抗てんかん薬16種の相互作用を検証 抗精神病薬アリピプラゾール併用による相互作用は 統合失調症患者に対するフルボキサミン併用療法は有用か?:藤田保健衛生大学

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統合失調症の再発予防プログラムを日本人で検証:千葉大学

 統合失調症の再発予防プログラムとして開発されたITAREPS(Information Technology Aided Relapse Prevention Programme in Schizophrenia)は、非常に効果的であると報告されている。しかし、その効果は利用者のプログラムに対するアドヒアランスの影響を受けており、正確な効果やITAREPSの貢献度に関しては不明確な部分があった。千葉大学の小松 英樹氏らは、このような影響因子を排除したうえで、ITAREPSの有用性評価を行った。Schizophrenia research誌2013年10月号の報告。 著者らは、訪問看護サービスによる方法を考案し、無作為化比較試験を行った。対象とした統合失調症外来患者を、ITAREPS群22例と対照群23例に無作為に割り付け、12ヵ月間観察を行った。 主な結果は以下のとおり。・ITAREPS群では再入院リスクが減少した(ITAREPS群2回[9.1%]vs. 対照群8回[34.8%]、ハザード比:0.21 [95%CI:0.04~0.99]、p=0.049、NNT=4 [95%CI:2.1~35.5])。・1回当たりの平均在院日数は、対照群(88.8日)と比較しITAREPS群(18.5日)で有意に少なかった(p=0.036)。・ITAREPS群では対照群と比較し、再発したうち入院に至った患者の比率は有意に低く(p=0.035)、再発時のBPRSスコアのベースラインからの平均変化量も有意に低かった(p=0.019)。・以上の結果より著者らは、「ITAREPSは再発予防効果が高く、再発の徴候を検出することができ、またその際には投薬を増量するなどの対処ができることから、再発の初期段階での有用な介入方法である」と結論付けた。関連医療ニュース 統合失調症患者の再発を予測することは可能か 統合失調症“再発”の危険因子は うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学

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うつ病患者啓発ビデオ、うつ病患者以外に薬剤処方のリスク/JAMA

 プライマリ・ケアでうつ病との付き合い方を紹介する患者啓発ビデオ(depression engagement video:DEV)や、個別双方向マルチメディアコンピュータプログラム(tailored interactive multimedia computer program:IMCP)を用いることは、非うつ病患者への抗うつ薬処方増大の要因になっている可能性が排除できないことが、米国・カリフォルニア大学デービス校のRichard L. Kravitz氏らによる無作為化試験の結果、報告された。プライマリ・ケア患者にうつ病との付き合い方を示唆することは、アウトカムを改善する可能性があると同時に、不要な治療にも結びつく可能性が指摘されていた。JAMA誌2013年11月6日号掲載の報告より。プライマリ・ケア7施設で、ビデオ、個別プログラム、対照を提供する無作為化試験 研究グループは、DEVや個別IMCPが、対照(睡眠衛生ビデオ視聴)と比較して、不必要な抗うつ薬処方を増大することなく、初期うつ病ケアを改善するかを確認することを目的とした無作為化試験を行った。 試験は、2010年6月~2012年7月にカリフォルニア州にあるプライマリ・ケア7施設において行われた。被験者は、135人のプライマリ・ケア医が治療にあたっていた成人患者925例で、そのうちPatient Health Questionnaire-9(PHQ-9)スコアで定義されたうつ病患者は603例、非うつ病患者は322例だった。 DEVは、マーケティング会社と協力して製作されたもので、性別と収入で異なる4パターンが作られた。IMCPは、試験研究者によって開発され、たとえば「PHQ-9スコアが5以上の人はうつ病の可能性があるので医師に相談することを勧めます」など、患者個々の特性に答えるよう設計されたプログラムであった。 主要アウトカムは、うつ病患者については、患者の報告に基づく抗うつ薬処方または精神科医受診、あるいは両方の複合とした。副次アウトカムは、フォローアップ12週時点のPHQ-8を用いたうつ病の程度であった。一方、非うつ病患者については、医師および患者の報告に基づく抗うつ薬処方に関する非劣性(マージン3.5%)を主要アウトカムとして評価した。解析は、集団を補正して行われた。抗うつ薬処方は増大、12週時点のメンタルヘルスへの影響はみられず 925例のうち、主要解析には867例(うつ病559例、非うつ病308例)が組み込まれた。 結果、うつ病患者において、主要アウトカムを報告した患者はDEV群17.5%、IMCP群26%、対照群16.3%だった。平均ポイント格差(PPD)はDEV群 vs. 対照群は1.1(95%信頼区間[CI]:-6.7~8.9、p=0.79)、IMCP群 vs. 対照群は9.9(同:1.6~18.2、p=0.02)だった。 12週時点のPHQ-8測定によるうつ病スコアに、影響はみられなかった(DEV群 vs. 対照群のPPD:-0.2、95%CI:-1.2~0.8/同IMCP群 vs. 対照群:0.9、-0.1~1.9)。 非うつ病患者について、抗うつ薬を処方したというDEV群およびIMCP群の医師の報告は、対照群と比べていずれも非劣性が認められた(DEV群 vs. 対照群のPPD:-2.2、90%CI:-8.0~3.49、非劣性のp=0.0499/同IMCP群 vs. 対照群:-3.3、-9.1~2.4、p=0.02)。しかし、患者報告では非劣性が認められなかった(DEV群 vs. 対照群のPPD:0.9、90%CI:-4.9~6.7、非劣性のp=0.23/同IMCP群 vs. 対照群:0.3、-5.1~5.7、p=0.16)。 著者は、「個別IMCPは、うつ病患者における、抗うつ薬処方または精神科医受診あるいは両方を増大するが、12週時点のメンタルヘルスに効果は認められなかった。また、IMCPとDEVは、患者報告に基づく解析の結果では、非うつ病患者における抗うつ薬処方を増大する可能性が排除できなかった」と結論している。

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日本発、統合失調症大規模臨床試験スタート:東京女子医大

 わが国において第二世代抗精神病薬(SGA)が臨床応用されるようになって17年、現在の統合失調症治療ではSGAを中心とした薬物治療が行われている。海外では各種SGAの長期的な有用性や転帰、社会的機能などに関して報告されているが、日本では大規模な研究は行われていない。東京女子医科大学の石郷岡 純氏らは、日本の医療環境下におけるSGAの治療中止率などを評価するため、JUMPs(Japan useful medication program for schizophrenia)試験を開始した。BMC Psychiatry誌2013年10月3日号の報告。 新規抗精神病薬の開発臨床試験(有効性試験)では、多くの場合、対象患者が限定される傾向にある。さらに、有効性試験では、短期間の精神症状スコアの変化と副作用が独立して評価される。このような試験結果を日常診療で一般化することは難しい。だが、統合失調症の長期的治療目標は、患者の社会活動を含むQOLの改善である。こうした中、長期転帰に関する有効性の検証がますます重要になってきている。 欧米諸国では、オランザピンやリスペリドン、他のSGA、第一世代抗精神病薬(FGA)と比較した研究が蓄積されている。しかし、日本においては、まだ大規模な有効性試験は行われていない。また、近年発売されたアリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドンによる長期転帰に関するデータは十分でない。そこで、著者らはこれら3剤の長期的な有効性を検討するため、JUMPs試験を実施することとした。 主な試験概要は以下のとおり。・本研究は、日本の医療環境下における、SGAの長期的な有用性を検討するためのオープンラベル多施設共同無作為化比較試験。・対象は、3剤の経口薬(アリピプラゾール、ブロナンセリン、パリペリドン)のうちいずれかで104週間治療を実施した20歳以上の統合失調症患者(他剤からの切り替え症例を含む)。・目標症例数300例。・一次エンドポイントは、任意の原因による治療中止率。二次エンドポイントは寛解率、社会活動の改善、緩和、精神症状の悪化や再発、安全性。関連医療ニュース 新規抗精神病薬は患者にどう評価されているか? 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か 抑うつ症状改善に“手紙による介入”は効果的か?:京都大学で試験開始

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うつ病患者の予後を予測するセロトニン関連遺伝子多型

 セロトニン経路は、抗うつ薬が効果を発揮する際にきわめて重要な役割を担っており、セロトニン受容体およびトランスポーター遺伝子の多型が重要な因子として特定されてきた。ドイツ・ミュンヘン工科大学のJulia Staeker氏らは、うつ病患者の臨床アウトカムの予測に有用な遺伝子多型を明らかにするため、自然的臨床試験のデータを用いて検討を行った。その結果、セロトニン経路の受容体およびトランスポーター多型が、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)の効果ならびに副作用と関連していることを報告した。Genetic Testing and Molecular Biomarkers誌オンライン版2013年11月5日号の掲載報告。 研究グループは、臨床アウトカムの予測に有用な遺伝子多型を明らかにするため、自然的臨床試験において検討を行った。精神科入院患者273例の効果と副作用に関して、5-hydroxytryptamine transporter(5-HTT)の縦列反復変数(variable number of tandem repeats:VNTR)、5-HTTLPR/rs25531、5-HTR2A intron 2 SNPの影響を調べた。Clinical Global Impression(CGI)、Paranoid-Depression Scale (PD-S)、自己評価尺度およびDosage Record, and Treatment Emergent Symptoms(DOTES)Scaleなどの尺度を用いて評価した。  主な結果は以下のとおり。・SSRIによる治療を受けている患者100例において、5-HTTLPR/rs25531 S/LGアレルと効果および副作用との間に有意な関連が認められた(CGI-I≦2:0%vs. 19%、p=0.037/DOTES cluster c:0.76 vs. 0.19、p=0.0005)。・5-HTT VNTRおよび5-HTR2A intron 2 多型は、選択的および非選択的SRIの治療を受けている患者の副作用と有意に関連していた(5-HTT VNTR 12/12:170例、副作用発現率:51% vs. 19%、p=0.0001/rs7997012[A/A]:50例、副作用発現率:43% vs. 11%、p=0.020)。・ミルタザピン治療に関しては、遺伝子多型の影響はみられなかった。・セロトニン経路の受容体およびトランスポーターの遺伝子多型が、SSRIの効果と副作用に影響を及ぼすことが確認された。今回の結果は、さまざまな試験デザインで実施されたこれまでの試験の結果を支持するものであった。今回のような自然的研究でも明確な結果が臨床的に確認されたが、遺伝子多型の状況を治療前にスクリーニングすることの臨床的有用性に関しては、無作為化対照試験により明らかにする必要があると、著者は最後にまとめている。関連医療ニュース 各抗うつ薬のセロトニン再取り込み阻害作用の違いは:京都大学 うつ病の寛解、5つの症状で予測可能:慶應義塾大学 抗うつ薬の効果発現を加速するポイントは

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いま一度、抗精神病薬ピモジドを評価する

 ピモジドは1960年代に製剤化され、統合失調症あるいは妄想性障害のような統合失調症関連疾患に対する治療薬として市場に供された。ただし、心毒性や突然死との関連がみられるため、現在、本剤の使用前および使用中は心電図モニタリングが必要とされる。英国・シークロフト病院のMeghana Mothi氏らは、統合失調症に対するピモジド(商品名:オーラップ)の有効性を明らかにするため、Cochrane Schizophrenia Group's Registerを用いて代表的な無作為化臨床試験のレビューを行った。その結果、データに不備はあるものの、ピモジドはその他の一般的に用いられている抗精神病薬と同程度の有効性を示すことが確認されたことを報告した。Cochrane Database Systematic Reviewsオンライン版2013年11月5日号の掲載報告。  本研究の主な目的は、統合失調症またはその関連疾患患者において、ピモジドの効果を、プラセボ、無治療、その他の抗精神病薬の効果と比較レビューすることであった。また、妄想性障害に対するピモジドの有効性についても検討した。Cochrane Schizophrenia Group's Register の2013年1月28日時点のデータをもとに、ピモジドとその他の治療について比較検討した代表的な無作為化臨床試験(RCT)すべてを検索した。入手した文献を精査し、臨床試験および抽出されたデータの質を評価した。均質な二分性のあるデータについては、相対リスク(RR)、95%信頼区間(CI)および平均差(MDs)を算出した。50%以上の期間を追跡できなかったデータは除外し、臨床試験のバイアスを評価してエビデンスの質をグレード分類した。 主な結果は以下のとおり。・合計32件の試験が抽出された。<ピモジドとプラセボの比較試験>・5件の試験が該当した。・再発の状況が示されていたのは1件のみで(1試験、20例、RR:0.22、95%CI:0.03~1.78、エビデンスの質きわめて低い)、中期において2群間で差はなかった。・改善を認めないという結果、あるいは精神状態の一級症状がみられた試験は1件もなかった。・短期(1試験、19例、RR:5.50、95%CI:0.30~101.28、きわめて低い)または中期(1試験、25例、RR:1.33、95%CI:0.14~12.82、きわめて低い)におけるパーキンソニズム(固縮)、中期(1試験、25例、RR:1、95%CI:0.2~4.95、きわめて低い)のパーキンソニズム(振戦)において、錐体外路症状の状況について2群間で差はなかった。・各試験とも、中期のQOLに関する報告はなかった。<ピモジドと抗精神病薬との比較>・26件の試験が該当した。・7件で中期の再発状況が示されており、それらの結果において2群間で差はなかった(7試験、227例、RR:0.82、95%CI:0.57~1.17、中程度)。・1件の試験で、中期(1試験、23例、RR:1.09、95%CI:0.08~15.41、きわめて低い)の精神状態(改善なし)において、2群間で差はみられなかった。・その他の試験では、中期(1試験、44例、RR:0.53、95%CI:0.25~1.11、低い)の一級症状において2群間で差はみられなかった。・短期(6試験、186例、RR:1.21、95%CI:0.71~2.05、低い)、中期(5試験、219例、RR:1.12、95%CI:0.24~5.25、低い)のパーキンソニズム(固縮)、または中期(4試験、174例、RR:1.46、95%CI:0.68~3.11、きわめて低い)のパーキンソニズム(振戦)において、錐体外路症状の状況に2群間で差はなかった。・各試験とも、中期のQOLに関する報告はなかった。<ピモジド+抗精神病薬と抗精神病薬単独との比較>・1件の試験が該当した。・ピモジドと抗精神病薬の併用療法は、中期の再発が有意に少なかった(1試験、69例、RR:0.28、95%CI:0.15~0.50、低い)。・精神状態のアウトカム、錐体外路症状に関する記載はなかった。・メタ解析にQOLが含まれていなかったが、それとは別にQOLスコアのデータが示されており、データに歪みがみられた。<ピモジド+抗精神病薬と抗精神病薬+プラセボの比較>・2件の試験が該当した。・中期のパーキンソニズムとSpecific Level of Functioning scale(SLOF)によるQOLを除き、興味を引くデータはなかった。<ピモジド+抗精神病薬と抗精神病薬2剤併用の比較>・1件の試験が該当した。・一般状態および精神状態に関する興味深いデータはなかった。・Extrapyramidal Symptom Rating Scale(ESRS)を用いてパーキソニズム(固縮と振戦)に関するデータが示されていたが、歪みがみられた。・以上を踏まえて著者は、「データに明らかな不備もあったが、異なるアウトカムやタイムケールにおいて全体的に十分な一貫性があり、統合失調症患者に対して一般的に使用されているクロルプロマジンなどと同様の有効性がピモジドにおいてもあることが確認された」と結論している。なお、妄想性障害に対するピモジドの使用を支持または否定するデータはなかったという。関連医療ニュース オランザピンの代謝異常、原因が明らかに:京都大学 統合失調症患者、合併症別の死亡率を調査 非定型抗精神病薬治療、忍容性の差を検証  担当者へのご意見箱はこちら

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抗うつ薬の効果発現を加速するポイントは

 一般的に、抗うつ薬が効果を発現するまでには2週間程度を要するといわれている。そのようななか、選択的セロトニン2C(5-HT2C)拮抗薬は、中脳皮質のドーパミン作用シグナリングを強化する作用により、速やかな抗うつ効果の発現を呈することが明らかにされた。米国・シカゴ大学のM D Opal氏らがマウス試験の結果、報告した。現在の抗うつ薬は、治療効果がみられるまでに数週間の投与を必要とする。Molecular Psychiatry誌オンライン版2013年10月29日号の掲載報告。 研究グループは、マウス試験により、5-HT2C拮抗薬の抗うつ効果の発現について、発現までの期間や作用機序について検討した。 主な知見は以下のとおり。・5-HT2C拮抗薬の抗うつ効果の発現までの期間は5日と、現在の抗うつ薬の14日よりも速やかであった。・5-HT2C拮抗薬による亜慢性治療(5日間)により、抗うつ行動をもたらす効果があることが、慢性強制水泳検査(cFST)、慢性軽度ストレス(CMS)パラダイム、嗅球摘出パラダイムにおいて認められた。・また同治療により、抗うつ活性の従来マーカーである、cAMP応答配列結合タンパク(CREB)の活性、内側前頭前皮質(mPFC)における脳由来神経栄養因子(BDNF)の発現にも変化がみられた。・これらの効果発現は、プロトタイプの選択的セロトニン再取り込み薬(SSRI)シタロプラム(国内未承認)の亜慢性治療ではみられなかった。・mPFCにおけるBDNFの誘発には、中脳腹側被蓋野への5-HT2C拮抗薬の局注で十分であった。一方でドーパミンD1受容体拮抗薬治療は、5-HT2C拮抗薬の抗うつ活性効果を阻害することが認められた。・また、5-HT2C拮抗薬は、哺乳類において標的となるmPFCにおけるラパマイシン(mTOR)と真核生物伸長因子2(eEF2)を惹起することにより、迅速な抗うつ活性に結びついていた。・さらに、5-HT2C拮抗薬は、CMSによって誘発されたmPFC錘体神経細胞の萎縮を改善した。・亜慢性SSRI治療(抗うつ行動の効果をもたらさない)も、mTORとeEF2を活性化し、CMSによって誘発された神経萎縮を改善したが、これらの効果は抗うつ効果の発現として認めるには不十分なものであった。・以上のように、5-HT2C拮抗薬は、中脳皮質のドーパミン作用シグナリング強化という作用により、一般に考えられているように効果が速やかな抗うつ薬であることが明らかにされた。関連医療ニュース 難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 セロトニン3受容体、統合失調症の陰性症状改善に期待:藤田保健衛生大学

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「選択的迅速解離性ドパミンD2受容体拮抗薬」薬物動態の研究

 新規の抗精神薬として開発された選択的迅速解離性ドパミンD2受容体拮抗薬であるJNJ-37822681。ベルギー・ヤンセン・ファーマスーティカ社のEef Hoeben氏らは、健常者および統合失調症患者におけるJNJ-37822681の薬物動態を明らかにするために、母集団薬物動態モデルを開発し、最適用量を特定することを目的とした。その結果、5または7.5mgの1日2回投与は影響なし、あるいは最小限の影響にとどまる用量であること、10mgの1日2回投与は有効性と忍容性の最適なバランスを提供しうる用量であると思われたことを報告した。Clinical Pharmacokinetics誌2013年11月号の掲載報告。  3件の第I相試験と2件の第II相試験に登録された被験者378例よりデータを収集した。非線形混合効果モデルNONMEMを用い、母集団薬物動態パラメータおよびこれらパラメータに及ぼす共変量の影響を推定した。第IIb相試験における各被験者の定常状態での分布をシミュレーションした。第IIb相以降の試験における用量設定の助けとして、過去に実施された[(11)C]raclopride positron emission tomography(PET)試験で確立されたシグモイドmaximumエフェクトモデルから得られた薬力学パラメータと模擬曝露を合わせてD2受容体占拠状況をシミュレーションした。 主な結果は以下のとおり。・2-コンパートメントモデルにより、ベストフィットなデータが得られた。 ・有意な共変量は、性別、見かけのクリアランスに対するバイオアベイラビリティ、吸収速度定数に対する食事の影響であった。・女性は男性と比べ、クリアランスが11%高かった。・第IIb相試験で推定された薬物動態パラメータは、第IIa相試験で観察されたものと同様であった。・10mg、1日2回投与時のD2受容体占拠率は65~80%の範囲と推定された。また、20および30mg、1日2回投与時の占拠率は部分的または完全に80%に達した。・母集団薬物動態モデルによりJNJ-37822681の薬物動態が明らかとなり、第IIb相試験において信頼のおける用量を特定できた。・JNJ-37822681の5または7.5mgの1日2回投与は影響なし、あるいは最小限の影響にとどまる用量と思われた。10mg、1日2回投与は、有効性と忍容性の最適なバランスを提供しうるようであった。関連医療ニュース ドパミンD2受容体占有率が服薬に影響?:慶應義塾大学 統合失調症のドパミンD2/3レセプター占有率治療域、高齢患者は若年患者よりも低値 維持期統合失調症でどの程度のD2ブロックが必要か

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難治性うつ病にアリピプラゾールはどの程度有用か

 慢性または再発性大うつ病性障害(MDD)患者は、治療選択肢の不足に直面している。韓国・カトリック大学のChi-Un Pae氏らは、慢性または再発性MDD患者におけるアリピプラゾールによる増強療法の有効性と忍容性を評価する、12週間の前向き多施設オープンラベル試験を実施した。その結果、服用中の抗うつ薬へのアリピプラゾールの追加は有効で忍容性も良好であることを報告した。International Clinical Psychopharmacology誌2013年11月号の掲載報告。 本研究では、慢性または再発性MDD患者において、現在服用中の抗うつ薬の効果増強をねらい、用量調節可能なアリピプラゾールを追加した際の有効性と忍容性を評価することを目的に行われた。有効性の主要評価項目は、ベースライン時と最終評価時(12週時)のモントゴメリー・アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)総スコアの差とした。試験期間中に発現した有害事象(AEs)についても記録した。 主な結果は以下のとおり。・MADRS総スコアは、ベースライン時に比べ最終評価時は、有意に低下していた(差:-11.6、p<0.0001)。・最終評価時の奏効率は55.2%、寛解率は41.3%であった。・1週目から最終評価時まで、アリピプラゾールの追加は、寛解と有意な治療反応性に関連していた。・アリピプラゾールを服用した患者の半数以上(55.8%)が試験を完了した。・有害事象のために試験を中止した患者は比較的少なかった。・反応性が不良のために試験を中止した患者はなかった。・主な有害事象は、頭痛、アカシジア、不眠、便秘であった。・最終評価時のアリピプラゾールの平均用量は6.6mg/日であった。・以上を踏まえて著者は「慢性または再発性MDD患者に対し、アリピプラゾールの追加は有効かつ忍容性が良好であると思われる」と結論した。そのうえで「本結果を確認するため、検出力を有する比較試験の実施が求められる」とまとめている。関連医療ニュース うつ病に対するアリピプラゾール強化療法、低用量で改善 抗うつ薬による治療は適切に行われているのか?:京都大学 難治性うつ病に対するアプローチ「SSRI+非定型抗精神病薬」:産業医大

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統合失調症の発症は予測できるか、ポイントは下垂体:富山大学

 富山大学の高橋 努氏らは、精神病発症危険状態(at-risk mental state:ARMS)の人においても、統合失調症患者でみられるような下垂体体積の増大が認められることを、MRIを用いた調査の結果、明らかにした。統合失調症で報告されている下垂体体積の増大は、視床下部-下垂体-副腎機能の亢進を示すものとされている。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌2013年11月号の掲載報告。 研究グループは、ARMSの22例(男性11例、女性11例)と初回エピソード統合失調症患者64例(FE統合失調症群:男性37例、女性27例)、健常対照86例について、MRIを用いて下垂体の体積を調べた。対照群の被験者は、年齢および性を適合させて、ARMS群(男性11例、女性11例)とFE統合失調症群(男性37例、女性27例)に分けられた。  主な結果は以下のとおり。・ARMS群とFE統合失調症群は、適合対照群と比較して、下垂体体積がより大きかった。・下垂体体積について、ARMS群とFE統合失調症群の間に差は認められなかった。・ARMS群とFE統合失調症群いずれにおいても、下垂体体積と臨床変数(スキャニング時の症状、抗精神病薬の1日投薬量または期間)との間に関連性はなかった。・下垂体体積は、その後に統合失調症を発症したARMS被験者(5例)と、発症しなかったARMS被験者(17例)の間に有意な差はなかった。・下垂体体積は、全被験者(ARMS群とFE統合失調症群)において、男性よりも女性のほうがより大きかった。・以上の結果から、ARMSとFE統合失調症の両者において認められる下垂体体積の増大は、精神疾患早期のストレスに対する一般的な脆弱性の指標となる可能性が示唆された。・大集団ARMSを対象としたさらなる検討を行い、下垂体体積と精神疾患発症との関連について調べる必要がある。関連医療ニュース 統合失調症、双極性障害の家族特性を検証! 初回エピソード統合失調症患者に対する薬物治療効果の予測因子は 統合失調症の発症に、大きく関与する遺伝子変異を特定

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