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コロナ対策のために共用物を減らそう 千葉県薬剤師会マニュアルが公開【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第48回

新型コロナウイルスとの戦いは共存のフェーズに入ってきたように思いますが、第2波、第3波が訪れることも否定できませんので、不特定多数の人が訪れる薬局ではこれからも相応の対処が必要です。皆さんの薬局でも、患者さんとの間に仕切りフィルムを設置したり、フェイスシールドを着用したりするなど、試行錯誤されていると思います。とはいえ、コロナ対応を薬局単位で調べて判断するのはなかなか難しいところもあると思います。そのような場合には、千葉県薬剤師会薬事情報センターが2020年5月に作成した『薬局薬剤師のための新型コロナウイルス感染制御マニュアル』がとても参考になります。第1章は、主に米国疾病管理予防センター(CDC)の情報に基づき、ウイルスの特徴や感染経路、それに応じた一般的な対処が書かれています。第2章は、薬局の構造や業務にフォーカスし、カウンターでの患者さんとのやり取りやOTC薬販売、在宅医療などでの具体的な感染対策を示した内容になっています。大変勉強になりますので一読をお勧めしますが、私がこのマニュアルを読んで、とくに「そういえばそうだな」と思ったのは「共用物を減らす」という点です。接触感染を防ぐためにカウンターなどを消毒することはすでに取り組まれていると思いますが、はさみやペン、スパーテルなどの調剤室内での物品をできるだけ共用せず、個別の物の使用を促すことで接触感染を防ぐことができる、というのは「なるほど」と思いました。以前、薬局の運用やマネジメントの本を執筆した際には、個人の嗜好や作業レベルに差が出ないように、またコスト削減にもなるため、できるだけ薬局で使用する物品は共用として使用するほうがよいと書いたことがあります。しかしながら、感染予防の観点からは、物品を個人用として薬局から支給して、共用しないようにするのが望ましいのだと思います。また、薬局の待合室には、電子血圧計や雑誌などが常備されていることがよくありますが、これについても同様に設置および使用を中止すべきと書かれています。「新しい生活様式を」と行政がアナウンスしていますが、自身の生活だけでなく、薬局運営にも新しい運営様式が求められているのだと痛感しました。政治の世界においても、政府よりも東京や大阪などの地方自治体が状況に応じて先手を打つことは珍しいことではなくなりました。今回のこのバタバタの中で、千葉県薬剤師会が先陣を切って薬局のためのマニュアルを公開したことは賞賛すべきことだと思います。薬の配達費補助の受付業務を各都道府県薬剤師会で行うことになりましたが、受付代行に人手を取られて忙殺されている…という声が聞こえてきます。誰でもできるような受付業務を代行するのではなく、薬剤師の特性を活かして現場に役立つ情報を発信するなど、本来の薬剤師会の役割に集中できるようにしてほしいと思います。

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第5回 里帰り出産妊婦に立ちはだかる現代の“関所”

破水した妊婦を県立病院が受け入れ拒否こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件について、あれやこれや書いていきたいと思います。さて、まもなくゴールデンウィークですが、4月20日、日本山岳・スポーツクライミング協会など山岳関係の4団体は、新型コロナウイルス感染防止のため登山の自粛を求める、「スポーツ愛好者の皆様へ」という声明を出しました。私も恒例の春山登山はあきらめることにしました…。さらに、南アルプスについては山梨県が、北アルプスについては岐阜県が、登山自粛の要請や「遭難したら、救助にいつもより時間がかかる」と呼びかけるに至っています。また、都道府県をまたいでの移動も自粛の方向性が強まっています。江戸時代のように県と県の間に“関所”ができそうな勢いです。さて、そんな中、今週気になったのは、首都圏から岩手県内に帰省した妊婦が破水して救急搬送されたにもかかわらず、2つの県立病院に帰省して間もないことを理由に受け入れを拒否された、というニュースです。第1報は4月22日のNHKニュースでした。報道によれば、受け入れを断ったのは、一関市にある県立磐井病院と北上市にある県立中部病院です。詳細は以下です。4月17日朝、首都圏から帰省していた妊婦が破水し、磐井病院(一関市)に電話で相談。しかし、「感染対策が整っていない」として受け入れを断られました。ここで県の周産期コーディネーターが仲介し、中部病院にも受け入れを打診しましたが、同様の理由で断られたとのことです。最終的に、実家から盛岡市内の病院に救急搬送され、PCR検査で陰性が確認された後、深夜に帝王切開で無事出産した、というのです。「帰省分娩の予約をされた皆さまも、お住いの地域での出産を」と学会これはとても悩ましいニュースです。岩手県は、全国で唯一、新型コロナウイルスの感染者が確認されていない都道府県です(4月27日現在)。水際対策を徹底させたい達増拓也知事は3月30日、感染が拡大している東京、神奈川、埼玉の1都2県から来県する人に対し、到着してから2週間程度は不要不急の外出を控えるよう求めていました。その後、4月16日に緊急事態宣言が全国に拡大されると都道府県をまたいだ不要不急の移動の自粛を要請しています。里帰り出産を巡っては、日本産科婦人科学会と日本産婦人科医会が「移動する方がリスクになりかねない」として、急な帰省を控えるよう全国の妊婦に呼びかけました(4月7日)。これに呼応するように、地方の病院では里帰り出産の受け入れ中止を決定するところが増えてました。「移動するリスク」というよりは、首都圏等から感染した妊婦やその家族が来院することの院内感染リスクを勘案した呼びかけであったことは確かです。16日の緊急事態宣言の拡大を受け、同学会・同医会は21日に改めて、「帰省分娩の予約をすでにされた皆さまもぜひ、予約されている施設とご相談の上、状況によっては現在お住いの地域での出産をご考慮いただきたく存じます」とのメッセージを発信しています。岩手における県立病院の産婦人科部長や院長の「受け入れ拒否」の判断は、こうした行政や学会の動きに素直に従ったまでなのでしょう。しかし、破水した妊婦を受け入れない、という選択が、最悪の場合、どんな状況を招くかを想像しなかったのでしょうか。その点がまず、気になります。岩手は県立病院が多く、各地域の急性期医療の拠点は県立病院が担っていることを考えると、その足並みが揃っていない点も心配になります。なお、その後、県立病院を統括する県医療局は対応の見直しに乗り出し、2病院では手術室に陰圧装置を設置するなど受け入れ態勢の整備を進めている、とのことです。自宅での「オンライン出産」が増える?この一件は「里帰り出産」のケースですが、学会と医会の呼びかけを契機に、新型コロナ感染症の患者が多い首都圏や大都市では、数多くの「出産難民」が生まれてしまっているようです。里帰り出産を予定していた地方の病院から受け入れを拒否され、かたや首都圏で通っていた産婦人科や近隣病院はすでに出産の予約で一杯と「出産する病院が見つからない!」という人が増えているわけです。地方の病院から受け入れを拒否は、妊婦にとってはまさに“関所”です。直近の報道では、東京や埼玉の産婦人科医会が受け入れ可能な病院の調査を行い、「出産難民」解消に向けて動き出しているようですが、出産を控えた妊婦の不安は尽きないでしょう。もはや感染の有無は関係なく、首都圏から地方への「移動」そのものがリスクとして捉えられてしまうのですから…。それは登山も里帰り出産も同じです。最近オンライン取材をしたある在宅専門医は「入院中の安定した高齢者の中に『病院は怖い』と、退院して在宅医療に切り替える人が出ている」と話していました。体制の整備や自宅の準備はあるにせよ、近い将来、オンライン診療(観察)しながらの自宅出産、いわゆる「オンライン出産」が増えてくるかもしれません。

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第5回 新型コロナで経営危機に直面する医療機関が急増

<先週の動き>1.新型コロナで経営危機に直面する医療機関が急増2.「サージカル」「N95」高性能医療用マスク、国から緊急配布へ3.オンライン診療の医療機関リスト公表4.在宅医療の臨時的対応、4月のみ電話等診療でも管理料算定可に5.歯科医によるPCR検体採取が認められる見込み1.新型コロナで経営危機に直面する医療機関が急増全日本病院協会の猪口 雄二会長が、東京新聞のインタビューに応じた。新型コロナ感染症以外の患者数減少に伴い、病院経営が厳しくなっており、多くの民間病院から「3月末以降、外来、入院、救急患者のいずれも減っているとの報告が寄せられている」と説明。6月には資金不足に直面する医療機関が増えることが懸念される。愛知県保険医協会の調査では、3月の前年同時期に比べて、外来患者数が「減った」と答えた医師が80.1%、保険診療報酬が「減った」との回答も76.4%に上り、地域への影響が明らかになりつつある。4月には緊急事態宣言の対象地域における健診実施機関の一時中止がされており、全国的に見ても、影響は広範に渡ると考えられる。厚生労働省は、新型コロナ感染者に応じた医療機関に対して診療報酬を上乗せする決定をしたが、通常診療に当たっている医療機関は恩恵を受けない。日本病院会の相澤 孝夫会長より、「新型コロナウイルス感染症への対応により経営的支援が必要な病院に対する措置に関する緊急要望書」が、4月23日、加藤 勝信厚生労働大臣に提出された。同様に、歯科医院も経営危機に直面していることが報道されており、厚労省にはいち早い対応が求められている。(参考)<新型コロナ>民間病院6月危機「資金底つく」コロナ以外の患者減「助成必要」/全日病会長(東京新聞)歯科医院も「医療崩壊」 感染拡大で相次ぐキャンセル(神奈川新聞)新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言を踏まえた特定健康診査・特定保健指導等における対応について(厚労省)新型コロナウイルス感染症への対応により経営的支援が必要な病院に対する措置に関する緊急要望書(第2報)(一般社団法人 日本病院会)2.「サージカル」「N95」高性能医療用マスク、国から緊急配布へ現在、深刻な問題となっているのが、医療従事者の新型コロナ感染である。院内感染の発生に伴い、3次救急医療機関で外来の受け入れ停止や、救急患者の受け入れ制限が複数報告されている状況だ。多くの新型コロナ感染者は感染症指定医療機関に入院しているが、受け入れ先でない医療機関においても、感染者の入院などが発生していると考えられる。一般病院でもクラスターが発生するなど、医療従事者が新型コロナに感染するケースが各地で発生しており、早期発見や感染拡大防止へのさらなる取り組みが求められる。医療機関における防護具の深刻な不足に早急に対策するべく、厚労省は、「サージカルマスク」や「N95」などの高性能の医療用マスクについて、在庫が足りなくなりそうな医療機関を対象に国から緊急配布する仕組みを今月中に導入することになった。(参考)10施設が受け入れ制限・停止 3次救急にコロナ影響―9道県「厳しい」・医療調査(時事通信)東京都内の感染者 約14%が医療機関の関係者 新型コロナ(NHK)医療用マスクを緊急配布へ 払底迫る医療機関が対象 新型コロナ(同)3.オンライン診療の医療機関リスト公表外来受診による感染リスク軽減のため、初診患者についても電話を含むオンライン診療が可能となり、現在導入を行っている医療機関のリストが厚労省のWebサイトに掲載された。4月24日の時点で、「オンライン診療」に対応している医療機関は全国でおよそ1万1,000件に上る。(参考)新型コロナウイルス感染症の感染拡大を踏まえたオンライン診療について(厚労省)オンライン診療検索(JX通信社)4.在宅医療の臨時的対応、4月のみ電話等診療でも管理料算定可に4月24日に開催された中央社会保険医療協議会の総会において、「在宅医療における新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について」討議された。在宅時医学総合管理料(在医総管)や施設入居時等医学総合管理料(施設総管)について、「月2回以上訪問診療を行っている場合」を算定している例では、4月のみの特例的取り扱いとして、1回の訪問診療の後、もう1回を電話等で診療を行った場合または2回とも電話等で診療を行った場合も、月2回訪問の在医総管等を算定可能になるなど、臨時的対応が認められる。なお、2ヵ月以上連続で、訪問診療1回+電話等再診1回となった場合、2ヵ月目以降は診療計画を変更し、月1回訪問の管理料を算定する。また、新型コロナ感染症患者(疑い例を含む)に対して往診などを実施する際、必要な感染予防策を講じた上で当該患者の診療を行った場合には、「B001-2-5 院内トリアージ実施料(300点/回)」を上乗せして算定できる。訪問看護ステーションや訪問薬剤管理指導においても併せて討論され、それぞれの臨時的な取り扱いが示されている。(参考)新型コロナウイルス感染症に伴う医療保険制度の対応について(中央社会保険医療協議会 総会 第456回 資料)5.歯科医によるPCR検体採取が認められる見込み厚労省は医師会などに働きかけ、PCR検査体制の拡充を急いでおり、4月26日に開催された有識者懇談会にて、歯科医にも検体の採取を認める方針が了承された。PCR実施可能数を1日2万件まで増やすと打ち出したにもかかわらず、現在も毎日9,000件程度であることに対応したもの。今回は、感染収束までの時限的措置であり、「歯科医の採取がないと提供が困難」、「歯科医が教育、研修を受けている」、「検査を受ける人が同意している」の3条件を満たす必要がある。(参考)PCR検体採取、歯科医にも認可へ…研修受講など条件近く提示(読売新聞)

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2020年度 診療報酬改定について ~ポイント解説~

今回の診療報酬改定の要点を集合学習ができない今、DVDで学ぶ!2020年度の診療報酬改定のポイントを解説します。診療所から急性期を担う大病院まで網羅。診療点数表の区分ごとに分けて説明し、気になるところだけを視聴することができます。また、プロジェクターにつなぎグループで同時視聴も可能。新型コロナウイルスの感染防止対策として、働き方改革に沿った改定説明会の新しいスタイルを提供します。具体的な内容としては、「入院料/救急医療/外来・在宅医療/投薬・注射/検査・画像診断/手術・処置/リハビリ・その他/DPC・PDPS」が解説されています。そのほか、DVD購入者特典として『新旧対象表(エクセル版)』『改定新設項目抽出ツール』などもついています。画像をクリックすると、内容の一部をご覧いただけます。2020年度 診療報酬改定について~ポイント解説~定価8,000円(税込)判型DVD発行2020年2月制作・編集株式会社ソラスト

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第13回 介護用具にリフォームまで!若き薬局社長の挑戦【噂の狭研ラヂオ】

動画解説町の電気屋さんを薬剤師として受け継いだ藤井伸昌社長。株式会社パナドームではホンキの在宅医療を掲げる5店舗のパナプラス薬局のほか、介護する側される側が暮らしやすい住宅環境の整備、福祉用具の提供サービスなどを行っています。処方箋なしでも利用してくれる薬局ファンをつくっていきたい!若き社長のチャレンジをご紹介します。

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改正薬機法が薬局に及ぼす影響総まとめ【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第39回

2020年は診療報酬改定や薬価改定など、さまざまなイベントがめじろ押しです。今回は、「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(薬機法)」の改正法が薬局に及ぼす影響について、いま一度考えてみたいと思います。1.薬剤師・薬局の在り方の見直し薬剤師による継続的な服薬状況の把握および服薬指導の義務の法制化薬剤師が、調剤時に限らず必要に応じて患者さんの薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う「服薬後のフォロー」が義務となり、医師への薬剤の使用に関する情報提供が努力義務となります。これまでは来局時や在宅訪問時でのみ患者さんと接していた薬剤師もいたと思いますが、今後は調剤後も継続的に患者さんをフォローし、フィードバックすることが求められます。「必要に応じて」「努力義務」ではありますが、ぜひ今後の薬剤師の役割として積極的に取り組み、「薬剤師はお薬を渡すだけ」というイメージから脱却しましょう!地域連携薬局と専門医療機関連携薬局医薬分業の推進、高齢化、在宅医療の増加に伴い、薬局・薬剤師も他職種と連携して地域の特性に応じた適切な役割を果たすために、「地域連携薬局」と「専門医療機関連携薬局」の認定制度が設けられます。「地域連携薬局」は入退院時に医療機関と情報共有したり、在宅医療で地域の薬局と連携したりしながら一元的・継続的に対応し、「専門医療機関連携薬局」はがんなどの専門的な薬学管理に他医療提供施設と連携して対応します。それぞれの機能に関する基準を満たしたうえで、都道府県知事の認定を受ける必要があります。まだ一般の方にはなじみのない名称だと思いますが、今後は病態に合わせて患者さん自ら薬局を選択する時代になりそうです。立地の良さに甘えることなく、役割を明確に打ち出して目指す薬局の体制づくりが必要です。オンライン服薬指導これまでもオンライン服薬指導は実証的に一部の地域で行われていましたが、医薬品の処方時に行われる薬剤師による服薬指導は、対面により行うことが法律で明記されていました。今回の改正により、テレビ電話などで患者さんの状態を確認しながら広く行うことが可能になります。具体的な手段は、今後の厚生労働省令において定められるとのことですが、薬局が遠い地域や忙しくて薬局に行く時間のない患者さんの利便性が向上しそうです。2.添付文書の電子的な方法による提供の原則化、医薬品等の包装等へのバーコード等の表示の義務付けこれまで、添付文書は容器や被包に記載できる場合を除いて医薬品に同梱することが義務付けられていました。しかし、今後は電子的な方法による提供が基本となり、最新の添付文書をWebサイトなどで確認することになります。そのため、最新の添付文書情報へアクセスするためのQRコードが容器などに記載されます。紙の添付文書の利便性は高いため、慣れないうちは印刷して手元に置きたくなるかもしれませんが、添付文書は頻回に改訂されることもあるため、電子的な方法でもすぐにアクセスできるか確認しましょう。3.信頼確保のための法令遵守体制の整備の義務付け残念ながら、昨年も医薬品の信頼に関わる事件がいくつかありました。そこで、薬局や医薬品製造業者・製造販売業者における法令遵守体制の整備が求められており、薬事に関する業務に責任を有する役員の設置、従業員に対して法令遵守のための指針の提示、法令遵守のための体制づくりなどが義務付けられます。課徴金の設定も予定されているので注意が必要です。これら改正薬機法の施行スケジュールは、3段階に分けられています。改正薬機法公布日から1年以内:「薬剤師・薬局の在り方の見直し」改正薬機法公布日から2年以内:「薬剤師・薬局の在り方の見直しのうち、機能別薬局等の認定」「添付文書の電子的方法による提供」「ガバナンスに関する改正内容および課徴金制度」改正薬機法公布日から3年以内:「バーコード等の表示」2015年10月に策定された「患者のための薬局ビジョン」が具体化されるという流れになっています。大変なこともあるかと思いますが、今年一年も信頼される薬局・薬剤師を目指して頑張りましょう。

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慢性疼痛の“記憶された痛み”をうまく取り除くには?

 国が主導となって研究チームを発足するくらい、日本人は慢性的な痛みに日々悩まされている。おまけに、なかなか症状改善しない患者がドクターショッピングに陥ることで、国の医療費はますます圧迫されてしまう。そんな負の連鎖を断ち切り、臨床現場での正確な病態把握を求めるべく、昨年、厚生労働省「慢性の痛み対策」研究班と痛み関連の7学会が連携して『慢性疼痛治療ガイドライン』を発刊した。 このガイドライン作成にも携わり、上記研究班で中心的な役割を担っている牛田 享宏氏(愛知医科大学医学部学際的痛みセンター 教授)と伊達 久氏(仙台ペインクリニック院長)が、2019年10月31日に開催されたボストン・サイエンティフィック・ジャパン株式会社主催のメディアセミナー「『難治性慢性疼痛』による経済的・社会的影響と日本の『難治性慢性疼痛』治療の最新動向~病診連携モデルと臨床データの構築~」に登壇し、慢性疼痛対策の現状を語った。運動器慢性疼痛における日本の現状 日本での慢性疼痛疫学調査1,2)によると、痛みの訴え部位は腰痛が大半(58.6%)を占め、次いで肩:38.7%、下肢部:37.9%と続き、筋骨格系=運動器に引き起こされることが多い。驚いたことに、その年齢分布を見ると高齢者よりも30~50代の訴えが多い。自己負担の治療費は年間4,000億円以上、患者の15%以上が仕事への影響を抱えていた。牛田氏は「調査結果を見ると、患者の治療満足度は非常に低く、慢性疼痛を訴えた患者の1/3しか満足していない。結果、患者の半数が治療機関を変更している」と、実態を説明した。 また、このような慢性疼痛に悩む患者を精神科医が見た場合、線維筋痛症の有無を問わず約半数に身体表現性障害があり、患者の約95%には何かしらの精神疾患名(気分変調障害、大うつ病など)が付くことが明らかになった3)。慢性疼痛では“痛みは記憶される”ことを理解する このように慢性疼痛患者が精神疾患を抱える理由について、同氏は「痛みは頭で経験しているため」とコメントした。頭では痛み自体を感じる感覚体験と、辛さや苦しさを感じる情動体験が同時に生じているため、国際疼痛学会では痛みを“不快な情動体験”と定義している。これを踏まえて同氏は「なかなか治らない痛みの原因は情動の要素が大きい」と、話した。 治りにくい痛みの代表例として神経性障害疼痛がある。これは体性感覚神経系の損傷や疾患により引き起こされる痛みであり、罹患者数は日本人人口の1~3%に上る。脳梗塞患者の痛みもこれに該当し、患者にはうつや睡眠障害の併発、医療機関受診件数が3件以上になるケースが多くなるなどの特徴がある4)。 このほかにも、通常では痛みを伴わないような微小刺激が疼痛として認識される感覚異常をきたすアロデニアという病態の研究報告5)から、同氏は痛みが記憶されていることを説明。痛みが感覚だけではなく情動によっても悪化することに対し理解を求めた。さらに、「慢性疼痛患者は整形外科と精神科のどちらに行くべきか、診療における境界線によって悩まされている」とし、患者をチームで診るために厚生労働省による集学的痛みセンターが構築されたことを説明した。 集学的痛みセンターとは、医科だけではなく歯科も含めたシステム構築、地域医・在宅医療の連携モデル構築、を目指した厚生労働省政策研究班による事業である。系統的に改善しない患者を分析することで、治療方針やゴールの方向性を検討し、自宅でのコントロールを目的としているが、「慢性疼痛の診断法の確立のために主観的な痛みを客観的に見える化して評価する方法の構築が必要」と、同氏は今後の課題を語った。慢性疼痛患者が患者が痛みを強く感じているのは30分だけ 続いてペインクリニックの視点から、伊達氏が慢性疼痛治療ガイドラインでの推奨内容について解説した。本ガイドラインでは、推奨度を「1:する(しない)ことを強く推奨する」「2:する(しない)ことを弱く推奨する(提案する)」の2通りで提示し、エビデンスレベルを「A(強):効果の推定値に強く確信がある」「B(中):効果の推定値に中程度の確信がある」「C(弱):効果の推定値に対する確信は限定的である」「D(とても弱い):効果の推定値がほとんど確信できない」と規定している。 たとえば、運動療法の有効性はエビデンスレベル・推奨度が慢性腰痛:1A、変形性膝関節炎:1A、慢性頸部痛:1Bであり、身体を直接動かすことは慢性疼痛に効果的と示されている。同氏はこれらの根拠となる海外文献6,7)を紹介し、「運動療法は筋トレではなく血流改善を促すストレッチが中心なので、痛みがある時こそ有用。ストレッチはドパミン遊離にも影響を及ぼすため、痛みの蔓延化につながる心理社会的要因(不安、抑うつ、破局化思考)も解消される。また、慢性疼痛患者の突発痛は30分すると軽減することが多いため、痛い時にストレッチを行えば薬の依存から脱却できるかもしれない」とコメント。「心理社会的要因からくる痛みには認知行動療法が有効とされ、マインドフルネスなどの導入もガイドラインでは推奨(1A)している。しかし、現時点で保険適用外のため、診療報酬に対する要望を複数の学会が行っている」と、補足した。 最後に、痛みを直接除去する視点からインターベンショナル治療について説明。ガイドラインではパルス高周波神経根ブロック、末梢神経パルス高周波などが推奨度1A、脊髄刺激療法や肩甲上神経パルス高周波などが推奨度1Bに設定されている。なかでも脊髄刺激療法システムはほかの治療法と比較して、中枢感作、痛みのいずれにおいても効果が得られたことから、同氏は「運動療法や認知行動療法に加え、脊髄刺激療法も慢性疼痛治療の1つになり得る」と締めくくった。■参考1)服部政治.ペインクリニック. 2004;25:1541-1551.2)Nakamura M, et al. J Orthop Sci. 2011;16:424-32.3)Miki K, et al. Neuropsychopharmacol Rep. 2018;38:167-174.4)Inoue S, et al. Eur J Pain. 2017;21:727-737.5)Ushida T, et al. Brain Topogr. 2005;18:27-35.6)Goh SL et al, Ann Phys Rehabil Med. 2019 May 21.[Epub ahead of print]7)Gavi MB et al, PLoS One. 2014 mar 20. [Epub ahead of print]

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患者との“分かり合えなさ”は埋まるか 「医療マンガ大賞」創設

 いくら説明しても患者に伝わらない、そんなコミュニケーション・ギャップを感じることはあるだろうか。 2019年9月30日、神奈川県横浜市は、医療に関するコミュニケーション・ギャップの改善を目的に、「医療マンガ大賞」を創設。その記念トークイベントを開催した。 「医療マンガ大賞」は、横浜市の医療広報の一環として、患者や医療従事者が体験したエピソードを基にそれぞれの視点の違いを描く漫画を公募する取り組みだ。患者と医療従事者では同じ出来事でも受け取り方が異なるが、それぞれの視点からの捉え方を漫画にすることで、互いの視点の違いへの気づきや共感を促すことを目的としている。 審査員の1人である佐渡島 庸平氏(株式会社コルク代表取締役・編集者)は、「コミュニケーション・ギャップはほぼすべての業界で起きている。医療情報は生命に関わるものなので、患者にもっと積極的に学んでほしいと医療関係者は思う。だが、患者側には難しい医療情報を自ら学ぶインセンティブがない」と言う。専門家がいい情報を提供しても、受け取るとは限らない。それは医療のように受け取り手との間に知識の差がある場合に顕著なようだ。 また、大塚 篤司氏(医師・SNS医療のカタチ運営)は、「たくさんの患者を診ていることが、逆に患者のサポートにならないことがある」と自身の体験を振り返った。その理由は、医師は病気の告知後、諦めたり前向きになったりと、さまざまなパターンで患者が病気を受容していく過程を見ているために、その患者がどのようなプロセスを経るかがなんとなくわかってしまう。目の前の患者はまだとまどっている時期なのに、前向きになったものとして扱ってしまうなど、患者と同じ速度で気持ちを動かせないことにあると言う。 「医療マンガ大賞」では、こうした医療者と患者のコミュニケーション・ギャップのエピソードを10点提示する。うち6点は株式会社メディカルノートが監修。同社共同創業者の井上 祥氏は、転院、在宅医療、脳卒中をテーマに、それぞれに患者と医師双方の立場からのエピソードを制作した。 そのほかの4点はツイッターで集まった156作品から、SNS医療のカタチの医師4名が選出。登壇した大塚氏は新人看護師とがん患者のエピソードを選んだ。「それぞれ思い入れのあるエピソードを寄せていただいたので、どれも医師として考えさせられることがあり、精神的に“くる”作業だった。苦しさ、うれしさ、くやしさなど様々な感情の動きがある中で、最終的に自分は、やさしさを感じられるものを選んだ」という。 応募作品の審査には、佐渡島氏、大塚氏、井上氏に加え、漫画家のこしのりょう氏も加わる。こしの氏は、『Ns.あおい』や『町医者ジャンボ』などの医療漫画を多く描いている。看護師の妻を持つこしの氏は、『ブラックジャックによろしく』が流行していたころ、編集部から誘いがかかったことで『Ns.あおい』を描き始めた。「初めは看護師の視点で、医師や病院経営者に喝を入れるような内容を描いていたが、取材をする中でいい医師にも出会い、医師の立場や意見を知るようになった。そうすると、患者側の知識のなさで医師を悪者にしている側面もあるのではないかと、自分の医療に対する見方が変わった」と振り返る。医療漫画の制作を通して、患者・看護師・医師、それぞれの視点を知ることで、自らの考え方が変わる経験をしたこしの氏。応募者に向けて「同じ題材でも、描き手のキャラクターや個人的な体験によって、出来上がるストーリーはまったく異なるものになるはず。思い切り自分を出してほしい」とエールを送った。佐渡島氏は「医師で漫画を描く人にもぜひ応募してほしい」と医師の参加にも期待を寄せた。 作品の募集は10月10日まで、受賞作の発表は11月中旬を予定している。「医療マンガ大賞」ホームページ

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薬機法改正で「服薬後のフォロー」が薬剤師の義務に【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第29回

2020年に法改正を目指している「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、薬機法)」により、薬局・薬剤師の業務が大きく変わりそうです。厚生労働省は薬局で働く薬剤師に対し、必要に応じて患者の服用状況や副作用を継続的に確認し、指導するよう義務付ける。現状は医師の処方箋に基づいた薬の調剤に偏っている。服用後に処方内容が適切かどうかをチェックするといった本来業務が不十分との指摘が多い。法改正で職務を明確にし、改善を促す。6月に医薬品医療機器法の改正案が通常国会で審議入りしたが、衆院採決前に閉会し継続審議となった。秋に想定する臨時国会での成立を目指す。2020年にも施行される見通しだ。(2019年7月9日付 日本経済新聞)改正と聞くと「何か悪いことをしたのかしら…」と思う人もいるかもしれませんが、今回の改正は2013年に薬事法から医薬品医療機器等法と改正された際に、施行後5年を目途に見直しをすることが決められていたものです。この改正案は、6月の通常国会では会期切れとなり採決されずに継続審議となりましたが、秋の臨時国会で成立する見込みです。改正案の概要としては、薬局薬剤師に対して、調剤時に限らず必要に応じて患者の薬剤の使用状況の把握や服薬指導を行う義務、患者の薬剤の使用に関する情報を医師などに提供する努力義務を法制化することが求められています。単純に患者さんから聞いたことをそのまま医師に伝える伝言ゲームではなく、薬剤師の知識を生かした問題解決や処方提案のスキルが求められています。そのほかにも、薬局・薬剤師に関する項目として、患者さん自身が自分に適した薬局を選択することができるように、機能別の薬局を導入することが求められています。「患者の服薬情報の一元的把握」「服用後の継続的な服薬指導」「高齢者の多剤投与対応」「在宅医療」「専門性の高い薬学的管理が継続的に必要となる薬物療法」などのさまざまな課題で薬剤師が職能を発揮するために、入退院時に医療機関と情報共有したり、在宅医療で地域の薬局と連携したりしながら一元的・継続的に対応する「地域連携薬局」と、がんなどの専門的な薬学管理に他医療提供施設と連携して対応する「専門医療機関連携薬局」という2つの機能の薬局が想定されています。なお、テレビ電話などによる遠隔診療からの遠隔服薬指導も盛り込まれていますが、実施には多少猶予期間が設けられそうです。薬剤師の職務に服用後のフォローが義務化されるということは、非常に大きな変化です。これらが採決され、改正医薬品医療機器等法が施行されると、これは薬剤師の義務になり、責任も業務量も増えるでしょう。課題はたくさんあると思いますが、一般の方の「薬局の中にいる人」や「ただ薬を渡してくれる人」というイメージが変わるように、前向きに取り組みたいと思います。

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腎機能を考慮したファモチジンの変更提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第1回

 千葉県柏市にある在宅医療特化型薬局「つなぐ薬局」の鈴木です。私は現在、施設往診同行や在宅訪問などで積極的に医師とコミュニケーションを取り、処方提案を行っています。これまの学びを処方提案という形でアウトプットすることで、薬剤師の立場と視点による薬物治療の適正化を推進し、患者さんがより良い状態になっていくことを実感しています。このコラムでは、薬学的管理の質を向上させる処方提案の重要性とともに、薬局薬剤師の視点での提案のコツをお伝えしたいと思います。処方提案する際には、ご家族からの訴えが重要な手掛かりとなることがあります。認知症様の症状が生じていると聞き取り、検査値や処方薬を見直したところ、高齢者では注意が必要な薬剤がありました。今回は腎機能を起点に処方提案した症例についてご紹介します。患者情報75歳、女性、身長:140cm、体重:45kg現病歴:脳梗塞、認知症同居の家族から、最近話が通じにくいことが多いと訴えあり。処方内容アスピリン腸溶錠100mg 1錠 分1 朝食後マニジピン錠10mg 1錠 分1 朝食後プラバスタチン錠10mg 1錠 分1 朝食後ファモチジン錠20mg 2錠 分2 朝夕食後酸化マグネシウム錠330mg 2錠 分2 朝夕食後メマンチン錠20mg 1錠 分1 夕食後前月の検査値(L/D)Scr:1.02mg/dL、eGFR:40.63mL/min/1.73m2、Mg:2.0mg/dLHDL:45mg/dL、LDL:118mg/dL本症例の着眼点この患者さんは、脳梗塞の2次予防のために低用量アスピリンを服用継続していて、その消化性潰瘍予防のためファモチジンを服用していました。処方箋の受付時に家族から聴取した「会話のつじつまが合わないことが多い」という訴えは、認知症に伴う周辺症状の可能性もありますが、ファモチジンによるせん妄や意識障害の可能性も示唆されます。腎機能が低下している場合、腎排泄型のH2受容体拮抗薬であるファモチジンの血中濃度が持続して過量投与となることがあります。『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015』において、「すべてのH2受容体拮抗薬は可能な限り投与を控える。とくに入院患者や腎機能低下患者では、必要最小限の使用にとどめる」ということが記載されています。腎機能を正しく評価して薬剤投与設計を行うために、下記の評価を行いました。腎機能の評価Cockcroft-Gaultの式を用いて推算CCrを算出することができます。計算するために必要なパラメータはScr(血清クレアチニン)、年齢、体重、性別で、女性は筋肉量が少ないため、係数の0.85を乗じます。<Cockcroft-Gaultの式>男性:CCr(mL/min)=(140-年齢)×体重(kg)/(72×Scr)女性:CCr(mL/min)=(140-年齢)×体重(kg)/(72×Scr)×0.85通常は上記の簡易式が用いられるが、身長が考慮されていないので、肥満患者では腎機能を過大評価してしまう可能性がある。そのため、実体重ではなく標準体重や理想体重を用いて計算することもある。<標準体重(男女共通)>身長(m)×身長(m)×22(係数)<理想体重>男性=50+{2.3×(身長-152.4)}/2.54女性=45+{2.3×(身長-152.4)}/2.54今回の患者さんの場合、CCr(Cockcroft-Gaultの式にて推算):33.9mL/min、体重未補正eGFR:30.5mL/minであり、60mL/min>CCr>30mL/minの場合のファモチジンの推奨投与量は、20mg 1日1回あるいは10mg 1日2回となります。本症例において、ファモチジンは過量投与です。なお、腎機能が低下している場合、マグネシウムの蓄積に伴う高Mg血症を評価することも重要ですが、検査結果は基準値内であり、自覚症状の面からも高Mg血症は否定的です。処方提案と経過腎機能を評価したところ、ファモチジンが過量投与となっており、減量が望ましいと判断しました。また、せん妄のような症状も現れており、H2受容体拮抗薬が影響していることも考えられます。そこで、処方医に電話で、ファモチジンを1日1回に減量あるいは肝代謝型のPPI(プロトンポンプ阻害薬)に変更してみるのはどうか提案しました。その結果、ファモチジンは中止となり、ランソプラゾールOD錠15mgが開始となりました。後日家族に確認したところ、会話のつじつまが合わないということは減ったと聴取しました。本症例のポイント・定期的に血液検査の結果と身長・体重を聴取する。・薬物投与設計のための腎機能評価を正しく理解する。・H2受容体拮抗薬は腎排泄型薬剤が主であり、高齢者においてはせん妄や意識障害のリスク因子となる。「透析患者に対する投薬ガイドライン」, 白鷺病院,(参照:2019年6月24日)日本老年医学会ほか 編. 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015. メジカルレビュー社;2015.

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高齢者の医薬品適正使用に関する各論GLが完成/厚労省

 厚生労働省の高齢者医薬品適正使用検討会は 、2019年6月14日『高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編[療養環境別])』を取りまとめたことを通知した。『高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)』の追補版 高齢化の進展に伴い、わが国は、加齢による生理的な変化や複数の併存疾患を治療するための医薬品の多剤服用などによって、安全性の問題が生じやすい状況にある。厚労省は、2017年4月に「高齢者医薬品適正使用検討会」を設置し、高齢者の薬物療法の安全確保に必要な事項の調査・検討を進めており、2018年5月には『高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)』を取りまとめている。 今回の高齢者の医薬品適正使用の指針は、「総論編」の補完を目的に、昨年から検討会で議論され、療養環境別の「各論編」として完成した。『高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編)』は患者の療養環境別の3部構成 高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編)では、患者の療養環境として「外来・在宅医療・特別養護老人ホーム等の常勤の医師が配置されていない施設」「急性期後の回復期・慢性期の入院医療」「その他の療養環境(常勤の医師が配置されている介護施設 等)」の3部に分けられ、それぞれの環境における処方確認・見直しの考え方、療養期間を通した留意点、処方検討時の留意点についての詳細が記載されている。 また、別表の「高齢者で汎用される薬剤の基本的な留意点」では、総論編(A~L)に追加の形で、M.認知症治療薬、N.骨粗鬆症治療薬、O.COPD治療薬、P.緩和医療で使用される薬剤について、薬効群ごとの薬剤選択や投与量・使用法に関する注意点、他の薬剤との相互作用に関する注意点が一覧化されている。高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編)では処方見直しの8つの事例を添付 高齢者の医薬品適正使用の指針(各論編)では、減薬が上手くいった例として、脳出血に伴い活動量が低下し薬物有害事象が発現した事例、徐放錠を粉砕したことによる薬物有害事象が疑われた事例など、8つの症例を添付している。 これには、介入前後の処方薬、服薬管理方法、介入のきっかけ、介入のポイント、介入後の経過についての詳細に加え、患者の生活状況やそれを踏まえた多職種の関わり方も記載されている。

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第40回 入らにゃ損!在宅療養支援連絡会J-HOPとは?【週刊・川添ラヂオ】

動画解説今回は川添先生による全国薬剤師・在宅療養支援連絡会 J-HOPのご紹介。J-HOPでは在宅医療に関する基本的な情報や疑問などの”あるある"を検索できる「あるシェア」をはじめ、情報共有や横の連絡を大切にしています。2017年より医師、歯科医との合同大会として全国在宅医療医歯薬連合会全国大会を開催し、他職種連携のための繋がりの場ともなっています。この時代に在宅と無関係な薬剤師など存在しない!地域のドクターと繋がりが持てる!川添先生お勧め団体第1弾。

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第20回 医薬分業は必要か? 薬機法改正【患者コミュニケーション塾】

薬機法の改正に向けた10回の議論医薬品や医療機器にまつわる問題については、厚生労働省の医薬・生活衛生局が所管しています。そして、それらにまつわる問題についてさまざまな検討会が開催されますが、大きな問題はその親会である厚生科学審議会(医薬品医療機器制度部会)で議論することになっていて、私も委員の1人として参加しています。2018年4月から12月にかけては、薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律)の見直しに向けて、医薬品・医療機器などを取り巻く現状や課題について10回にわたって議論を行いました。これは、薬事法が2013年11月に改正されて薬機法となった際、安全対策の強化や医薬品販売規制について施行後5年をめどに見直しをするという規定に基づくものです。ただ、この10回の部会の中で多くの時間を割いたのは、薬機法の改正に関わる項目よりも、薬剤師・薬局のあり方、医薬分業のあり方についてで、常に議論が紛糾しました。最終的にその議論は結論を得ることなく、今後も検討を続ける必要があるとして、「薬剤師が本来の役割を果たし地域の患者を支援するための医薬分業の今後のあり方について」というとりまとめを別途行うに至ったのです。患者は医薬分業の意義を見いだせていないこの制度部会は医薬品業界の中で非常に注目され、毎回多くの医薬品関連のメディアや関係者が傍聴に訪れていました。初回から医師側の委員が、「医薬分業自体見直して、院内処方への回帰を考える必要がある」という「医薬分業廃止論」にもつながりうる主張をされたこともあり、議論の行方について関心が高まっていました。私も、一般的には医薬分業率がこの約30年で1割から7割に高まったとはいえ、そのメリットを多くの国民は享受しているとは言えない状況にあることを危惧していました。電話相談やミニセミナー患者塾などを通して一般の方々の本音をお聞きしていると、「院内処方のときよりも院外処方のほうが、経済的負担が重くなった」「病院で待たされて、また薬局でも待たされる。時間がかかるばかりだ」「なぜ薬局に行ってまで病気のことをこまごま尋ねられるのか」という不満ばかりが出てきます。これらの不満の多くは、薬局薬剤師の役割や意義について理解されていないためだと常々思ってきました。薬剤師が「薬のプロ」であることは知っていても、どのような役割を果たしているかを多くの人が理解できていないために、薬剤師に期待が向けられていない、という状態が問題だと思っていたのです。私自身、一般の方を対象に講演をするときには、患者が知っておいたほうがいい知識として、かかりつけ薬局を持つ必要性と、薬剤師の基本的な役割を必ず紹介しています。薬剤師の基本的な役割とは、(1)薬剤情報提供、(2)薬剤服用歴管理、(3)疑義照会、(4)残薬整理です。とくに(1)の薬剤情報提供については、2014年に薬剤師法が改正された際、「薬学的知見に基づく指導」をすることが義務付けられました。つまり、これまで以上に患者に踏み込んだ情報提供をしなければならなくなったのです。それなのに、法改正の後も薬局薬剤師が手にしているのは、病名も病状もわからない処方箋と、患者から得る情報のみです。もっと医療機関から確かな患者情報が得られなければ、薬学的知見に基づく指導なんてできないのではないかと思ってきました。そのため、医療機関と薬局とが連携して情報のやりとりをする、医療機関と薬局の薬剤師の“薬薬連携”こそが重要だと主張してきました。外来での治療が増える中で、求められる変化ところが、このような薬局薬剤師の役割について、多くの患者は理解できていません。それは薬局薬剤師の“役割の見える化”ができていないことに問題があります。そしてそれは、薬局薬剤師自身が、患者にその役割の説明をしていないためだと言い続けてきました。もちろん、すべての薬局・薬剤師に当てはまるわけではありませんが、このような状況を生んでしまっている要素として、調剤業務だけで経営が成り立っていること、薬局薬剤師が地域や多職種と連携できていない内向き傾向にあること、必要な情報を享受するための積極的姿勢に乏しく“待ちの姿勢”に甘んじていること、臨機応変なコミュニケーション能力が発揮できていないこと、などを問題視してきました。この制度部会でも、それらの考えに基づいてかなり積極的に発言を繰り返してきました。ところがその発言は、人の目を引く一部だけが切り取られ、さまざまな医薬品関連のwebニュースで取り上げられました。それによって、制度部会が回数を重ねるに従って、講演先で「どれだけ怖い人かと思って身構えていた」「攻撃だけをする人かと思っていたけれど、今日、話を聴いて薬剤師を応援してくれているのだと誤解が解けた」などと言われることが増えたのです。ときには報道をうのみにして厳しい言葉で非難・抗議するメールが届くことも珍しくなくなってきました。一度誤解されると、どれだけ丁寧に説明しても理解してもらえることは難しいだけに、何ともむなしい気分に陥ることもあるのは事実です。しかし、薬局は今、かなりの瀬戸際に立たされていて、薬剤師が薬局にこもって仕事をしていたのでは淘汰されてしまう。「ウチは一生懸命やっている」と自負していても、患者にその役割と存在意義が認められないと、共倒れになってしまうという危機感を私は肌で感じています。多くの疾患の治療が入院から外来にシフトする中で、患者の薬物療法の安全性を守り、きちんと情報提供してくれる薬剤師の役割は大きいと感じているだけに、一部の情報で批判されようとも、気持ちをなえさせずに主張を繰り返してきました。とりまとめられた内容とは12月に行われた制度部会のとりまとめでは、来年度の国会に提出する法案の骨子として、次のような内容がまとめられました。薬剤師は調剤して終わりではなく、患者が薬を服用している期間を通じてフォローアップする。薬剤師が上記のような役割を十分発揮できるように環境を整備し、そのような対人業務を充実させるために、対物業務の効率化を図る。在宅医療やがんの薬物療法など、専門性の高い薬学的管理が継続的に必要になるため、患者が自分に適した機能を持つ薬局を選択できるように環境を整える。そして、本来薬機法の対象とはならないにもかかわらず、多くの時間を割いた薬局・薬剤師のあり方や医薬分業についてのとりまとめでは、厳しい議論の内容が赤裸々に記されました。たとえば「現在の医薬分業は、政策誘導をした結果の形式的な分業であって多くの薬剤師・薬局において本来の機能を果たせておらず、医薬分業のメリットを患者も他の職種も実感できていない」「単純に薬剤の調製などの対物中心の業務を行うだけで業が成り立っており、多くの薬剤師・薬局が患者や他の職種から意義を理解されていないという危機感がない」「院内処方へ一定の回帰を考えるべきであるという指摘があった」という批判的な意見がそのままにつづられました。薬剤師が調剤時のみならず、服用期間中のフォローアップをすることを薬機法に盛り込むに当たっては賛否両論ありました。私は、本来当たり前に果たす必要のあるその役割について、多くの薬局において実施しているのであれば、わざわざ法律に書き込む必要はないと思います。しかし、これまで自浄作用を待っていたけれど、いつまで経っても自発的に実施する薬局が増えないのであれば、法律で義務化するしかないと主張しました。 反対される委員からは「法律に書き込めば、それは調剤報酬となってお土産を与えるだけだ」という反論がありました。しかし、法律に盛り込まれるということは、「やって当たり前の役割」と公になることです。それを新たな報酬として設けること自体おかしいとさらに反論しました。その結果、とりまとめでは「今回の制度部会での議論も十分踏まえ、患者のための薬局ビジョンに掲げた医薬分業のあるべき姿に向けて、診療報酬・調剤報酬において医療機関の薬剤師や薬局薬剤師を適切に評価することが期待される」と書き込まれました。これは、病院薬剤師の働きを報酬上もっと評価し、法制化したからといって薬局薬剤師の役割のさらなる報酬化につながってはいけないという意味が込められたと私は議論に参加した1人として解釈しています。この問題にご関心をお持ちくださった会員の皆さま、一委員からの報告という一部の切り取りではなく、議論の結果である20ページにわたるとりまとめ全文をどうぞ読んでみてください。そのうえで、ご意見・ご感想をお届けいただければ幸いです。参考「薬機法等制度改正に関するとりまとめ」、「薬剤師が本来の役割を果たし地域の患者を支援するための医薬分業の今後のあり方について」

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第22回 目標のない在宅医療なんてありえないのだ【週刊・川添ラヂオ】

動画解説お薬カレンダーの設置だけを在宅とは言わせない!在宅医療の流れは目標、実行、報告。この3段階についてそれぞれのポイントをお話しします。目標を立てる前には必ずケアマネさんと情報共有しましょう。患者さんの生い立ちや生活習慣、実現可能なゴールなど、細かな課題分析をしているケアマネさんからきっとヒントをもらえるはずです。

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第21回 在宅医療の本質を3つのキーワードで理解しよう【週刊・川添ラヂオ】

動画解説今回は地域包括ケアシリーズの第2弾として、在宅医療の本質を考えるための3つのキーワードであるリハ、ICF(国際生活機能分類)、CGA(高齢者総合機能評価)についてお話しします。リハを単なる身体機能訓練だと思っていませんか?リハビリテーションの本来の意味は「その人らしい人生を再構築すること」。それを実現するためにチームで患者さんの生活状況、症状を正しく評価することが大切です。

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画像認識技術を応用し薬剤一包化を監査/富士フィルム

 富士フイルム株式会社は、一包化された薬剤の名称と数量を自動的に判定し、調剤薬局などでの薬剤師の監査業務をサポートする一包化監査支援システム「PROOFIT 1D(プルーフィット ワンドース)」を、2019年1月11日より富士フイルム富山化学株式会社(社長:岡田 淳二)を通じて発売する。 昨今、高齢化に伴って慢性疾患が増え、一回に服用する薬剤が多くなる中、薬剤の飲み忘れや飲み間違いを防止するために、薬剤の一包化ニーズが高まっている。現在、薬剤師には、健康被害を防ぐため、薬剤を渡す時に、薬剤の種類や数量に間違いがないかを確認する監査業務が義務付けられている。しかし、一包化された薬剤の監査業務では、薬剤師が一包ごとに薬剤の種類と数量を目視で確認しているため、大きな作業負荷がかかる。今後、在宅医療における服薬支援・指導など、地域での薬剤師の役割期待が拡大する中で、目視のみならず、システムも活用して、薬剤の監査業務の効率性をより高めていきたいというニーズがますます高まっている。 「PROOFIT 1D」は、富士フイルムが写真・医療分野で培ってきた技術を応用して開発した一包化監査支援システム。高度な光学設計技術や画像処理技術により、錠剤やカプセル剤の高画質撮影を実現。さらに独自の画像認識技術で、一つ一つの錠剤の刻印や文字、カプセル剤の色や形などを高速・高精度に読み取る。また、新たに開発した「錠剤の刻印や文字の抽出技術」により、これまで困難であった、錠剤の表裏や刻印の向きをそろえた、一包化された薬剤の一覧表示が可能。刻印を強調表示する機能も搭載しているため、モニター上で薬剤師が監査しやすい情報を提供する。 このほか、監査に使用した画像を専用パソコンに50万包分保存することが可能で、いつでも処方した薬剤を検索して画像で確認できるため、履歴管理を効率的に行うことができる。さらに、薬剤の名称を判定するために参照する医薬品のマスターデータを、専用回線を通じて自動的に更新することが可能。新たに販売された医薬品の監査業務にも対応するとともに、システムの維持管理にかかる業務負担を軽減する。

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在宅フレイル患者、6割に眼科的問題

 オランダ・アムステルダム自由大学のRuth van Nispen氏らは、訪問看護師(home healthcare nurse)によって在宅医療を受けた、在宅フレイル高齢者の眼科スクリーニングを調査した。その結果、対象者の60%が眼科的問題を抱えており、その多くは眼科医に認識されていたものの、20%超の患者は眼科的問題について医師らに認識されていなかった。著者は、「訪問看護師による基本的な眼科スクリーニングは、年齢に関連した視力低下の負担を減らす有用な手段となり、回避可能な失明を削減し、WHOのVISION 2020イニシアチブに貢献する可能性がある」と述べている。また、「重要な健康アウトカムは、視覚障害を有することと明らかな関連はなく、むしろ一般的な健康問題と関連していると考えられる」とも結論付けている。Acta Ophthalmologica誌オンライン版2018年10月27日号掲載の報告。 研究グループは、在宅で訪問看護師の支援を受けている高齢者において、年齢に関連する眼疾患の有病率、診療所医師(GP)への紹介、視力低下と健康アウトカムとの関連性などについて検討する目的で、横断研究を行った。 訓練を受けた訪問看護師が、VISION 2020 Netherlandsでデザインされたスクリーニング(視力、視野障害など)を用い、151例の在宅患者(平均年齢80歳、範囲:50~96歳)の矯正視力も含めた眼のスクリーニングを実施し、健康アウトカムについてアンケートで評価した。 主な結果は以下のとおり。・遠見視力が0.3以下の患者の割合は、片眼で20.5%、両眼で19.9%であった。・近見視力が0.4以下の患者の割合は、それぞれ17.7%、33.3%であった。・黄斑の機能障害は片眼で21.5%、両眼で8.3%、周辺視野の問題はそれぞれ11.4%、7.9%であった。・GP受診を提案された患者は21.5%で、GPまたは眼科医に眼の問題がすでに認識されていた割合は40%であった。・健康問題は顕著に認められたが(骨折8.6%、うつ22%、不安症18%)、視力低下と患者報告の健康アウトカムとの間に有意な関連はなかった。

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高齢者のフレイル予防には口腔ケアと食環境整備を

 外来栄養指導は医師の指示があった患者だけ…という状況が変わり始めている。2018年11月10、11日の2日間において、第5回日本サルコペニア・フレイル学会大会が開催された。2日目に行われた「栄養の視点からみたサルコペニア・フレイル対策」のシンポジウムでは、本川 佳子氏(東京都健康長寿医療センター研究所口腔保健と栄養)が「地域在住高齢者の食品摂取多様性とフレイル重症度との関わり」について講演した。地域在住高齢者が入院してしまう前に 高齢期では加齢による恒常性の低下などにより低栄養が起こりやすくなる。国民健康・栄養調査の報告によると、地域に暮らす65歳以上の5人に1人が低栄養傾向にあり、今後も後期高齢者の増加により、さらに増加すると見込まれている。 低栄養は、合併症、創傷治癒の遅延をもたらし死亡率の増加につながるため、本川氏は、「早期からしっかり対策することが重要」とし、「高齢化が進む今、その方々のフレイル予防を基軸にした栄養管理をしっかり行い、くさびを打つことで施設移行者を1人でも減らすことが喫緊の課題」と現況を示した。 これまでの地域在住高齢者におけるフレイル予防の研究は、ビタミン、タンパク質など特定の栄養素を中心に行われる傾向であったが、同氏は、「特定の栄養素というよりも、“良いと言われている食品や栄養素を含む食事を食べる”といった、日常の食事をどのように改善できるかが重要」とし、簡便な指標の利用を提唱。また、フレイル重症度にどのような栄養指標が関連するかを検討した『板橋お達者検診2011コホート研究』では、食品摂取多様性スコア、血清アルブミン値などを用いて栄養評価を行った。その結果、フレイルの発症や重症化を予防するための指標として、食品摂取多様性が有効であることが明らかになったという。これを踏まえて同氏は、「このスコアが高い人は、タンパク質や抗酸化ビタミンの摂取ができていたと考えられる。さらに、別の先行研究でも同スコアを特定高齢者に使用したところ、食品摂取の多様性が向上した」と、同スコアの有用性について語った。日本発のオーラルフレイルとは 前述した食品摂取多様性の維持には、口腔機能との関連が重要と言われている。これは滑舌低下、食べこぼしなどの些細な衰えにより、食欲の低下と共に食品摂取の多様性が低下するからであり、オーラルフレイルと呼ばれている。 同氏が地域在住高齢者に対して口腔機能のアンケートを行ったところ、嚥下や咀嚼を含む口腔機能の低下を感じる者が20~30%も存在していたという。また、咀嚼能力とサルコペニア・低栄養の関係についてキシリトール咀嚼力判定ガムを用いて調べたところ、咀嚼力が無い参加者はタンパク質や脂質、鉄などの栄養素が低値であった。とくに食品では肉類の摂取不足が判明した。さらに咀嚼能力とサルコペニア・低栄養の有症率について検討し、同氏は、「咀嚼能力はサルコペニア・低栄養と有意に関連する」ことを結論付けた。配食、コンビニ・スーパーなどを利用した食環境の整備を 最後に同氏は講演を振り返り、「得られた知見を現場にどのように還元していくかが問題」と今後の課題を提示した。現在、厚生労働省が配食サービスの普及を推進していることを紹介し、支援する必要性を訴えた。さらに、「高齢者が最も利用する食事サービスは市販弁当などの購入や外食であるため、食環境整備がそれらの一助となる必要がある」と付け加えた。 在宅療養者などに対しては、「全国の栄養・ケアステーションに所属する訪問栄養士などに相談する」ことを推奨し、管理栄養士による在宅医療の拡充にも期待を寄せた。■参考厚生労働省:地域高齢者等の健康支援を推進する配食事業の栄養管理日本栄養士会:全国の栄養・ケアステーション

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在宅医療で使う漢方薬の役割と活用法

 2018年10月24日、漢方医学フォーラムは、都内で第138回目のプレスセミナーを開催した。当日は、在宅医療における漢方薬の役割について講演が行われた。在宅医療は患者のレジリアンスを高める 講演では、北田 志郎氏(大東文化大学 スポーツ・健康科学部 看護学科 准教授/あおぞら診療所 副院長)を講師に迎え、「地域包括ケアシステムと漢方~“暮らしのなかでいのちを支える” 在宅医療で発揮される漢方薬の役割~」をテーマに講演が行われた。 同氏は、内科ローテートを修めた病院で東洋医学を専攻。以降、精神医学の診療に従事するとともに、中国に短期留学をし、漢方専門外来に従事するなど、漢方薬には深い造詣を持つ。 講演では、少子高齢化、多死化、高齢者の独居化が増加する日本社会で、地域包括ケアの重要性を強調。最新の治療機器、治療薬などで医療を提供し、健康長寿国であるにも関わらず、受益者である患者の医療制度への満足度は低く、提供している医療者は疲弊しきっていることに言及し、その原因を医療需要(患者の思い)と供給(医療者の思い)のミスマッチにあると指摘する。たとえば、終末期の患者を病院で看取ることは、本当に患者が望んでいることなのか、医療者の思いだけで医療の提供をしているのではないかと疑問を呈した。 具体的例として、80代の認知症患者を挙げ、自宅での終末期の過ごし方が患者の病状緩和やQOLの向上に役立ったと自験例を説明した。これを同氏は「レジリアンス(復元力・打たれ強さ)」と呼び、古い記憶をたどる傾向のある認知症では自宅だからこそ医療・介護に役立つ利点があると語る(ただし、在宅医療に拘泥することなく、病の軌跡の局面に応じて使い分けるべきだとも指摘する)。 また、在宅医療では、先端医療の導入が困難であり、治療手段も限定される中で、患者の暮らしと乖離しない技術として伝統医学との親和性を提案する。とくに高齢者の在宅診療では、「虚弱に対する補法」として、代替医療が真価を発揮する場になるという。高齢者への5つの漢方薬の使い方 『高齢者の安全な薬物療法ガイドライン 2015』(日本老年医学会 編集)では、「漢方薬・東アジア伝統医薬品」と別章を作り、クリニカルクエスチョンとして5剤について有効と記載している。 ガイドラインでは、「半夏厚朴湯」につき、「誤嚥性肺炎の既往をもつ患者における嚥下反射を改善させ、肺炎発症の抑制に有効である」とされている。また、エビデンスについても「有意に肺炎発症を減少させただけでなく、自力経口摂取維持にも有効」とされる。その他の方剤として、「抑肝散」が(アルツハイマー型、レビー小体型、脳血管性)に伴う行動・心理症状のうち易怒、幻覚、昼夜逆転、興奮、暴力など、いわゆる「陽性症状」に、「大建中湯」は脳卒中後遺症における機能性便秘ならびに腹部術後早期の腸管蠕動運動促進に、「麻子仁丸」は高齢者の便秘に、「補中益気湯」は慢性閉塞性肺疾患における自他覚症状、炎症指標および栄養状態の改善にそれぞれ有効とされている。 在宅医療で漢方を用いる意義について同氏は「老いること、死ぬことは生活に属し、現代医学による管理を緩めつつ、医療者に見放されることなく、在宅の生をまっとうする契機を得ることができる」と説明し、最後に「在宅医療における漢方の導入は『医療の根幹部とは何か』を模索する思考につながる」と思いを語り、レクチャーを終えた。

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第4回 「在宅医療」は家に訪問することじゃない!【週刊・川添ラヂオ】

動画解説最近、在宅医療に取り組む薬局が増えていますが、在宅薬剤師の元祖ともいえる川添先生は、若干疑問を感じているようです。調剤報酬が上がったから、在宅訪問の実績がないとかかりつけ薬剤師指導料が取れないから、そんな理由で「在宅」に積極的に取り組んでいるとしたら、まさに本末転倒。在宅医療=薬剤師が訪問して薬を届けて服薬指導すること、ではない!と語気を強める川添先生。在宅医療の目的は何なのか?薬剤師は何をすべきなのか?熱く熱く語ります。

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