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第281回 インフルエンザB型増加で再び警報水準に、対策徹底を呼びかけ/厚労省

<先週の動き> 1.インフルエンザB型増加で再び警報水準に、対策徹底を呼びかけ/厚労省 2.在宅医療「頻回・囲い込み」に診療報酬改定で歯止め、訪問看護は1日包括も/厚労省 3.診療報酬改定で看護配置基準を柔軟化、ICT活用を厳格要件化/厚労省 4.わいせつや盗撮で医師・歯科医師28人を行政処分、医師3人が免許取消/厚労省 5.医療保険改革で高額療養費を見直し加速、負担上限を「2年ごと検証」へ/政府 6.電子カルテで患者取り違え、経過観察患者に前立腺全摘出手術/千葉県がんセンター 1.インフルエンザB型増加で再び警報水準に、対策徹底を呼びかけ/厚労省2月6日に厚生労働省は、1月26日~2月1日の第5週に全国約3,000の定点医療機関から報告されたインフルエンザ患者数が1医療機関当たり30.03人となり、警報基準(30人)を超えたと発表した。前週比の約1.8倍で4週連続の増加となり、患者総数は11万4,291人に達した。今シーズンは1度警報水準を下回った後に再び増加しており、1季で2度警報レベルに達するのは少なくとも過去10シーズンで初めてとされる。都道府県別では大分県52.48人、鹿児島県49.60人、宮城県49.02人、山梨県46.97人、千葉県46.08人など22県で警報基準を上回った。その一方で、香川県8.61人、鳥取県9.45人、北海道10.33人は比較的低水準だった。ウイルス型はA型56%、B型44%で、年明け以降はB型の検出割合が増加し、流行再拡大の一因とみられている。B型は学校など集団生活で小児を中心に広がりやすく、嘔吐や下痢など消化器症状を伴う例も報告される。重症例として脳症や筋炎後の腎機能障害がまれに生じうるため注意が必要となる。休校・学級閉鎖は約6,200校に増加した。なお、新型コロナウイルス感染症の定点報告も前週比25%増の2.49人と上昇している。厚労省はマスク着用、手指衛生、換気など基本的対策の徹底を呼びかけ、今後1~2週間は患者増加が続く可能性があるとして警戒を促している。 参考 1)インフルエンザ患者数 前週の倍近くに増加 B型 半数近く占める(NHK) 2)全国インフル定点報告 前週の1.8倍に 1月26日-2月1日(CB news) 3)コロナ新規感染者 前週比25%増 1月26日-2月1日(同) 4)インフルエンザ、再び警報水準に 2度の警報は過去10シーズンで初(日経新聞) 2.在宅医療「頻回・囲い込み」に診療報酬改定で歯止め、訪問看護は1日包括も/厚労省厚生労働省は2026年度の診療報酬改定で、在宅医療を「量の拡大」から「必要性に見合う質と適正化」へ転換する方針を示した。1月30日の中央社会保険医療協議会(中医協)総会で提示された個別改定項目では、通院可能にもかかわらず頻回の訪問診療を受けるケースや、高齢者住宅に併設・隣接する訪問看護ステーションが同一建物内で短時間に多数利用者を回ることで報酬が膨らむような過度な同一建物対応に歯止めをかける。訪問診療では、在宅時医学総合管理料(在医総管)・施設入居時等医学総合管理料(施設総管)の高い評価を、末期がんや要介護度の高い患者を一定割合以上診療する医療機関に限定し、医療・介護ニーズの低い患者への頻回訪問を抑制する。24時間往診体制の評価も、自院での実働体制や連携・委託の関与度に応じてメリハリを付ける。看取り実績の高い在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)の評価は「在宅医療充実体制加算」へ再編し、地域の24時間体制を面的に支える往診時医療情報連携加算の対象も拡大する。また、訪問看護では、同一建物居住者への評価を細分化し、人数が多い区分は月内訪問日数で段階化、20分未満は算定不可とする。さらに併設・隣接ステーションが高齢者住まいに頻回提供する場合、利用者数と1日当たり提供時間に応じた「包括型訪問看護療養費(1日定額)」を新設し、同日の回数増で報酬が伸びにくい仕組みとする。その一方で、情報通信技術(ICT)による情報共有を評価する訪問看護医療情報連携加算など質向上策も導入する。背景には同一建物での訪問看護急増や高収益事例への問題意識がある。運営基準では値引き誘引や紹介対価、特定施設への誘導を禁止し、安全管理と記録の正確性を求める。事業継続計画(BCP)策定や残薬管理、電子処方せん活用も要件化される。詳細は告示・通知待ちだが、契約・記録・連携体制の再点検が急務となる。 参考 1)個別改定項目について(厚労省) 2)在宅医療「もうけすぎ」にメス 診療報酬見直し、高齢者囲い込み防止(日経新聞) 3)2026年度診療報酬改定でも、「適切な形の在宅医療」が量・質の双方で拡大することを目指した対応図る(Gem Med) 4)訪問看護ステーションが隣接等の高齢者住まい居住者に行う訪問看護を「1日当たり包括」療養費で評価(同) 5)在宅医療巡り病院・診療所にBCP策定義務化へ…厚労省、災害時の地域連携促す(読売新聞) 6)高齢者住まい等への頻回訪問に包括評価を導入(日経メディカル) 3.診療報酬改定で看護配置基準を柔軟化、ICT活用を厳格要件化/厚労省2026年度診療報酬改定で、厚生労働省は病院の看護配置基準を「人手不足への救済」と「医療DXによる業務量削減」を前提に柔軟的な設定とする。突発的な欠員で夜勤時間などが一時的に基準から外れても、超過が1割以内で3ヵ月を超えない場合は、入院基本料などの施設基準の変更届を不要とする方向で、感染症対応の特例を人材不足にも広げ、恒久化も視野に入れる。対象は平時からハローワークや都道府県ナースセンターなどの公的紹介を活用し、求人票の提示など採用努力を行う医療機関とし、民間紹介会社の高額手数料による経営圧迫も抑えたい考え。加えて、見守り、記録作成、職員間情報共有などでICT機器を病棟で広く活用し、超過勤務が平均10時間以下で増加傾向がないこと、導入前後の業務量評価・安全配慮、調査への協力など複数の要件を満たす場合、看護要員数や看護師比率等を「基準の9割以上(最大1割減)」でも基準充足と扱い、急性期一般入院料や7対1・10対1、地域包括医療病棟、緩和ケア病棟などに適用する方針。さらに医師事務作業補助者も、生成AIによる退院サマリー・診断書・紹介状などの原案作成、音声入力、RPA、説明動画活用などを条件に、配置要件の見直し(緩和)も検討する。急性期医療機関では救急搬送・全麻手術件数を要件とする新たな入院基本料(A・B)も構想され、看護必要度は項目追加や救急応需状況の反映で基準見直しが議論されている。看護職は全体では増加傾向でも、病院就業者は減少し、求人倍率も高い。算定要件を満たせず収入が落ちる事態を避け、夜勤負担の軽減と地域医療の持続を図る狙い。看護職就業者は2023年時点で約174.6万人、需要推計は2025年約180.1万人とされ、病院就業者は約98.7万人まで減少。日本病院団体協議会は、ICT前提の緩和と一時救済を歓迎している。その一方で、患者安全と効果検証のデータ提出が求められており、今後、医療現場での投資と運用体制が鍵となる。 参考 1)病院の看護職員、必要数を緩和 人手不足の施設の経営安定後押し(日経新聞) 2)ICT利活用・適切な業務遂行等の厳格な要件を前提として「看護職員や医師事務作業補助者の柔軟配置」を認める(Gem Med) 3)ICT利活用により看護師業務負担が減少、この分の看護配置基準柔軟化は病院団体として歓迎-日病協・望月議長・神野副議長(同) 4)救急・手術件数を評価する急性期病院一般入院基本料を新設(日経メディカル) 4.わいせつや盗撮で医師・歯科医師28人を行政処分、医師3人が免許取消/厚労省厚生労働省は2月4日、医道審議会医道分科会の答申を受け、刑事事件で有罪判決を受けるなどした医師16人、歯科医師12人の計28人に対する行政処分を決定した。内訳は免許取消5人、業務停止22人(3ヵ月~2年6ヵ月)、戒告1人で、2月18日に発効する。別途10人には行政指導(厳重注意)が行われた。このうち免許取消は、児童へのわいせつ行為や健診時の盗撮、診療報酬詐欺や脱税などの事案で有罪が確定した医師3人と歯科医師2人。業務停止は収賄、詐欺、薬物関連、暴行・傷害、迷惑行為防止条例違反、道路交通法違反など理由は多岐に及ぶ。2025年12月3日の医道審議会の議事要旨では、医師16件中、免許取消1件、停止3年~3ヵ月の各処分、戒告3件とされたほか、歯科医師7件で免許取消3件、停止7~3ヵ月が答申された。また、元医師1人の再免許付与については適当とする答申は出されなかった。処分は医療への信頼確保を目的とし、医療機関には不祥事の予防とガバナンス、コンプライアンス教育の徹底が改めて求められる。さらに、健診や学校現場での診療行為における倫理遵守、金銭・契約関係の透明化、薬物・交通事案を含む私生活上の法令順守も含め、組織的な再発防止策の整備が重要となる。今回の一連の処分では、刑事有罪事案が中心であり、医師個人の資質管理に加え、採用時のバックグラウンド確認や通報体制の整備など、医療機関側のリスク管理体制の実効性が問われている。 参考 1)医道審議会医道分科会議事要旨(厚労省) 2)医師、歯科医師28人処分 免許取り消しや業務停止(共同通信) 3)厚労省、医師・歯科医師28人の処分決定 免許取り消しや業務停止(毎日新聞) 5.医療保険改革、高額療養費を「2年ごと検証」へ 患者自己負担増の時代に/政府政府が検討する医療保険改革法案で、高額療養費制度の患者負担上限を「少なくとも2年ごとに検証」する規定が新設される見通しとなった。医療費総額の抑制を目的に、上限額が定期的に引き上げられる可能性がある一方で、決定に当たっては「長期治療患者の家計影響を考慮する」と明記する。昨年末には上限を来年8月までに最大38%引き上げる方針が示され、給付抑制で保険料負担を軽くする狙いだ。併せて、出産費用の無償化(分娩費の全国一律化と保険適用)や、OTC類似薬に薬剤費25%を上乗せする新制度、75歳以上の金融所得の保険料・窓口負担への反映徹底も盛り込む。こうした「負担と給付」の再設計が進む中、がん医療では費用の見える化が始まった。日本肺癌学会は『肺がん診療ガイドライン(Web版)』の付録に薬物療法別の薬剤費一覧(保険適用前)を掲載した。術後補助療法では、オシメルチニブ(商品名:タグリッソ)が月56万円×3年で約2,030万円、アレクチニブ(同:アレセンサ)は月168万円×2年で約4,032万円、アテゾリズマブ(同:テセントリク)は総額902万円、再発小細胞肺がんの二重特異性抗体タルラタマブ(同:イムデトラ)は1年で約3,184万円と示している。推奨度の根拠には用いないが、患者から費用を問われた際の説明材料とし、今後の制度変更で自己負担が増え得る現実を共有する狙いがある。日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)が、臨床研究の医療経済評価を基本方針化するなど、効果・安全性に加え「費用と持続可能性」を臨床判断に組み込む動きが広がっている。高額療養費は、重い疾患ほど利用頻度が高く、上限の見直しは治療継続や就労、家族介護に直結する。こうした高額な医薬品を用いた医療を提供する医師は、治療選択肢の効果・副作用に加え、想定される自己負担の幅(多数回該当、年間上限など)について患者への説明責任が一段と増す。同時に、薬価・給付の議論は選挙の争点化も進むため、現場から実データを発信しつつ、費用対効果と公平性の両立を問う姿勢が求められる。治療内容のみならず、診療費用の自己負担についての情報提供が、今後いっそう重要になる。 参考 1)高額療養自己負担、2年ごと検証(共同通信) 2)医療保険制度を維持するには 医療費削減で患者が負担? 高額療養費制度の見直しで治療を受けられない恐れも(中日新聞) 3)年収700万円の人なら約3万円の負担増!「高額療養費の見直し」再燃で、8月からどう変わる?(ダイヤモンドオンライン) 4)肺がん診療指針に薬剤費の一覧、数千万円の治療も 見える化の狙いは(朝日新聞) 6.電子カルテで患者取り違え、経過観察患者に前立腺全摘出手術/千葉県がんセンター千葉県がんセンターは2026年2月6日、60代男性患者に対し、検査結果の取り違えにより不要な前立腺全摘出手術を行った、医療事故を公表し、患者に謝罪した。事故は2025年に発生。男性は前立腺生検の結果、経過観察が妥当とされていたが、検査を担当した医師が、同日に別患者から得られた悪性度の高い前立腺がんの病理結果を、誤って当該患者の電子カルテに貼り付けた。主治医は、この誤った情報を基に高リスク前立腺がんと診断し、約3ヵ月後に前立腺全摘出および骨盤内リンパ節切除を実施した。手術後、摘出組織の病理所見がカルテ記載と大きく異なることに主治医が気付き、調査の結果、検査結果の取り違えが判明した。患者の身体には手術に起因するとみられる影響が出ているが、詳細は公表されていない。病院は賠償について協議中としている。その一方で、検査結果を誤って外された別患者には、主治医が原本確認を行っており、治療への影響はなかった。同センターでは、11年前にも乳がん検査結果の取り違えによる誤切除事故が発生しており、再発防止が課題となっていた。病院は外部委員を含む医療安全調査委員会を設置し、電子カルテへの検査結果貼付時の患者確認、主治医による原本確認の徹底など、原因究明と再発防止策を検討するとしている。 参考 1)千葉県がんセンターにおけるアクシデントの発生について(千葉県) 2)検査結果取り違え前立腺摘出 電子カルテ誤追記、千葉県がんセンター(朝日新聞) 3)千葉県がんセンター 検査結果取り違え不必要手術 患者に謝罪(NHK) 4)千葉県がんセンター、誤って前立腺摘出 60代男性を別患者と取り違え(日経新聞)

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第299回 いよいよ明後日投票日、今回の各党の医療・社会保障政策は?~野党各党編

INDEX国民民主党日本共産党れいわ新選組減税日本・ゆうこく連合参政党日本保守党社民党チームみらいさて2026年2月8日投開票の衆院選に関連し、前回は与党の自民党、日本維新の会、最大野党の中道改革連合が掲げる医療・社会保障政策を取り上げた。今回は残る野党各党を取り上げる。国民民主党まずは昨今、議席増を続け野党内でも台風の目になりつつある同党は、5つの大きな政策を掲げ、そのもとで中項目(<>内)、さらに小項目(数字項目)を置き、小項目の下にさらにナンバリングした政策各論を提示している。その中身は以下に要約・列挙した。詳細は以下のとおり1.手取りを増やす<1.令和の所得倍増計画>1「消費」の拡大(1)介護職員、看護師、保育士等の給料倍増(介護職員、看護師、保育士等の給料、10年で倍増。処遇改善加算等を対象者に直接給付)(4)社会保険料軽減策の導入(社会保険料還付制度の導入、130万円の壁突破助成金の創設、社会保険料に上乗せされる「子ども・子育て支援金」の廃止)2「中小企業・非正規賃上げ応援10策」1)社会保険料負担軽減(中小・中堅企業の新規正規雇用の増加に伴う社会保険料の事業主負担の半分相当を助成)3.「人づくり」こそ国づくり<5.出産・子育て支援策の拡充と所得制限撤廃>8妊娠・出産に係る公費支援(不妊治療への公的支援やノンメディカルな卵子凍結の助成拡充、小児、若年性がん治療薬の妊孕性温存療法[精子・卵子保存]を保険適用、安全な無痛分娩を受けられる体制整備)9日本型ネウボラの創設(保健師・医師などによる妊娠時から高校卒業までの「伴走型支援」を制度化)<6.子どもの安全と福祉の確保>2子どもの死亡検証(チャイルドデスレビュー)の導入3ヤングケアラー対策(ヤングケアラー支援法の施行状況の検証、実態調査の定期的実施、実態調査に基づく効果的な支援の方法の調査研究)11介護と仕事の両立支援(ビジネスケアラー対策)12ダブルケアラー対策(ダブルケアラー支援法の制定)<10.現役世代と次世代の負担適正化と医療・介護の質向上を両立させる社会保障制度の確立>1年齢ではなく能力に応じた負担(後期高齢者の医療費自己負担の原則2割化、現役並所得者3割。現役並所得の判断基準での金融所得、金融資産等の保有状況を反映)2高齢者医療制度への公費投入増3科学的根拠に基づいた保険給付範囲の見直し(OTC類似薬の医療保険対象見直し、保険外併用療養費制度の弾力化)4ヘルスリテラシー教育の推進5セルフメディケーションの推進(医療用成分のスイッチOTC化推進、検査薬OTC化、リフィル処方箋普及)6中間年薬価改定の廃止(経済成長率を踏まえた新たな薬価改定ルールの策定、中央社会保険医療協議会への医薬品関連業種の代表者の追加)7予防医療・リハビリテーション(認知症・フレイルの予防、リハビリテーションの充実による健康寿命の延伸)8医療提供体制の充実、医療の質と効率の改善(1)医療従事者の負担軽減と働き方改革(医師・看護師・薬剤師等が実施可能な行為や役割の見直し、女性医療従事者の就業継続・再就職支援)(2)地域医療体制の見直しと機能強化(医師の地域偏在や診療科偏在の是正に資する診療報酬評価、かかりつけ医[日本版GP]・かかりつけ薬局[日本版CPCF]制度の導入、人頭払制度、薬剤師の職能活用、地域フォーミュラリー[医薬品の使用指針]の推進)(3)医療DXの推進(オンライン診療、標準型電子カルテ、電子処方箋の普及の推進、「全国医療情報プラットフォーム」の整備を通じた医療情報の共有化)9終末期医療の見直し10介護サービス・認知症対策の充実(訪問介護の基本報酬を引き上げ、全介護職員の賃金を引き上げ、介護福祉士の上位資格「地域包括ケア士(仮称)」の制度化)11介護研修費用の一部補助12介護福祉士国家試験に外国人人材向けの母国語併記13ケアマネジャー研修の負担の軽減(ケアマネジャー研修内容・体制の全国一律化)<12.ジェンダー後進国脱却、多様性社会実現>1生理、更年期障害政策(「生理の貧困」に対応した生理用品の無償配布)4.自分の国は「自分で守る」<1.防災・減災対策強化>4熱中症対策(公共施設、商業施設等の冷房設備を備えた「クーリングシェルター」の指定促進と周知、熱中症警戒アラートのわかりやすい発信と高齢者などへの周知)<3.「総合的な経済安全保障」の強化>1国内調達の拡充(1)国民の命と生活を守る医薬品や医療機器の安定供給確保(革新的新薬へのアクセス確保とドラッグラグ・ドラッグロス改善のため、欧米と比較して相対的に低い新薬収載時の価格算定方式を見直し、特許期間中の薬価維持制度、市場拡大再算定制度の市販後にイノベーションを再評価できる仕組みへ、共連れルール廃止、供給不安に陥っている医薬品について増産支援、不採算に陥ることのない薬価下支え制度、急激な物価高騰に対応できる制度の構築、医薬品メーカーの生産・在庫・出荷状況等を一元管理するデータベース構築)(2)イノベーション創出環境の整備(医薬品や医療機器での「社会課題(公的医療介護費、生産性損失)の解決につながるイノベーション」や「世界に先駆けて生み出されたイノベーション」、「医療の質の向上や医療の効率化に資するイノベーション」を積極的に評価、創薬エコシステム・イノベーション拠点を構築、医薬品や医療機器のイノベーションを促進に向けた各種法規制の国際的調和の推進、質の高い効率的な医療の提供と医薬品や医療機器の研究開発の効率化に向けた「仮名加工医療情報」の二次利用にかかる法整備、臨床試験等に活用しうるデータの標準化と信頼性確保等の推進、フェムテック関連医療機器や医薬部外品の届出、認証の円滑化) 以前から指摘していることだが、同党の医療・社会保障政策は与野党すべてを見回しても、もっとも充実していると言っていい。そして今回の内容は昨年の参院選時のものとまったく同じである。まあ、作り込んでいるがゆえに今さら変更の必要はないということなのだろう。日本共産党現存する日本最古の政党(1922年結党)である同党だが、今回公表された医療・社会保障政策は、かなり数が多い。以下に列挙する(歯科は除く)。詳細は以下のとおり患者負担増や保険料の負担増を起こさないための国費投入・国庫負担の引き上げを行い、診療報酬のさらなる増額・改善を進め、医療従事者の賃上げを実現「地域医療構想」による病床削減、強引な病院統廃合の阻止医師養成数の削減計画を中止し、「臨時増員措置」を継続するなど医師の計画的増員を推進病院の勤務医などの時間外労働上限を引き下げ看護師の計画的な増員を推進OTC類似薬の「特別料金」徴収の阻止70歳以上の窓口負担を一律1割に引き下げ、軽減・無料化を推進1兆円の公費投入増で国保料を協会けんぽの保険料並みへ保険料の「均等割」「平等割」を廃止。「所得割」の保険料率の引き下げ、低所得世帯に重い「資産割」改善生活困窮者の国保料を免除し国庫で補填「国保の都道府県化」による国保料引き上げに反対保険料滞納者への支援なしの10割負担(特別療養費の支給)の中止保険料滞納者の生活相談による収納活動へ転換保険料・窓口負担の軽減障害者、高齢者などの医療費無料化(現物給付)を行う自治体への国保の国庫負担を減額制度の中止国保法第44条の規定にもとづく、生活困窮者の窓口負担(一部負担金)の減免を積極的に推進国保組合が行う独自給付への国庫補助削減を止めて拡充へ18歳までの医療費無料化現役世代の窓口負担の2割への引き下げ高額療養費制度の改善・拡充後期高齢者医療制度の保険料・窓口負担の引き上げを中止。制度を廃止高齢者医療への国庫負担を増額し、現役世代の支援金負担、高齢者の保険料負担を軽減マイナ保険証の強制をやめて健康保険証を存続資格確認書はマイナ保険証の有無に関係なく国民全員に交付不具合続出のマイナカードによるオンライン資格確認の中止・見直し「子ども・子育て納付金」の廃止高額療養費制度の患者負担増案の“復活”を許さず、制度の改善高額療養費制度の負担限度額の上限を引き下げ、「1%」の定率部分を廃止高額療養費限度額の設定を“月ごと”から“治療ごと”に変更世帯の所得区分ごとに年間を通じた高額療養費負担上限額を設定3疾患(血友病、HIV、人工透析の腎臓病)限定の「高額長期疾病にかかわる高額療養費の支給特例」を拡大し、療養が長期にわたる場合に対応した「長期療養費給付制度(仮称)」を創設新型コロナ感染症の抗ウイルス薬などに公費補助の仕組みを設定し、患者の自己負担を、インフルエンザのタミフル並みに新型コロナワクチン接種の経済負担軽減の仕組みを創設新型コロナワクチン接種後の有害事象の原因を徹底究明と接種と症状との因果関係の認定に至らなかった事例も含めた幅広い補償・救済コロナ感染者や疑いのある人に対する十分な検査と治療の体制整備(救急・入院の拡充など「コロナ以外」の医療の逼迫が起こらないようにする体制の強化、高齢者・障害者施設、医療機関などにおける検査等の防護措置の実施を国が支援)国の負担で肺・心臓の長期的障害や筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)など、「コロナ後遺症」の治療・研究、患者への生活支援を推進コロナ危機の教訓を踏まえ感染症病床の2倍化、保健所の箇所・職員数の大幅増、集中治療室(ICU)設置を支援する制度の創設ワクチンや治療薬の研究・開発に対する財政支援、水際・検疫体制の抜本的な強化新興・再興感染症の発生・拡大に備える検査・医療体制を拡充し、体制・人員・資器材等を確保教育・保健の連携による性に関わる正しい知識の普及と予防法の周知、検査体制の強化、一般医療機関への情報提供による性感染症の予防・早期発見・治療の実現安全性・有効性が確認されたワクチンの公費接種事業を推進。ワクチン接種後に有害事象が起こった事例の原因の徹底究明と調査、被害者の治療・補償・救済を、国の責任で推進。医療費適正化計画の撤廃混合診療、保険外治療の拡大の阻止差額ベッド料などの自費負担を廃止株式会社による医療経営解禁を阻止協会けんぽへの国庫補助を法定上限の「20%」に引き上げ、労働者・中小企業の負担軽減にむけた、国の支援を強化国民の健診データ・情報の営利企業に引き渡しに反対薬価構造を根本的に見直し新薬などの高薬価是正で得られた財源を医療の充実や医療従事者の処遇改善などへ必須医薬品の安定供給を確保するため、後発品(長期収載品)の薬価を採算のとれる水準にするよう見直し。同時にメーカーに責任を課し、委託生産の規制強化や、原薬の国産化を推進無料低額診療への支援を強化し、薬剤費への制度適用を目指す医薬品・医療機器に偏った報酬評価のあり方を見直し、医療従事者の労働を適正に評価する診療報酬に改革「包括払い(定額制)」の導入・拡大に反対初・再診料、入院基本料の引き上げ標準算定日数を超えたリハビリを「保険外併用療養」とする制限を廃止人工透析「夜間・休日加算」を患者負担の軽減とともに適切な水準へ引き上げ出産一時金のさらなる増額と出産費用の無償化助産師の養成数を増やし、助産院へ公的支援助産院を地域の周産期医療ネットワークに位置付け、助産師と産科医の連携を国の責任で推進通常分娩の保険適用・窓口無料化の実現時は助産師による出産、妊産婦へのケアや各種指導なども産科医療機関との連携など安全確保を前提に保険適用医療事故の検証を行う調査機関に関する制度の改善産科医療補償制度の抜本的見直しを進めつつ、無過失補償制度を創設患者の権利を明記し、医療行政全般に患者の声を反映する仕組みをつくる「医療基本法」の制定現行の「診療明細書の発行」を見直し国の責任で、がんの専門医の配置や専門医療機関の設置を推進未承認抗がん剤の治験の迅速化とすみやかな保険適用、研究予算の抜本増、専門医の育成、がん検診への国の支援の復活など、総合的がん対策を推進保険診療には「ゼロ税率」を適用し、医薬品などにかかった消費税を還付社会保険診療報酬に係る事業税の非課税措置、医療機関の概算控除の特例の継続・存続救急・救命体制への国の補助を2倍化。新しい国の補助制度をつくり、ICU病床(HCUを含む)の2倍化救急隊員の抜本増、ドクターヘリの充実、地域医療の再生とあわせた救急・搬送体制の整備・拡充国の責任で小児救急体制を整備し、新生児特定集中治療室(NICU)の増設はり・きゅうの保険適用の改善・拡充在宅医療・介護における駐車問題の解決 いやはや、今回の同党の政策の多いこと多いこと。ただし、率直に言えば既存政策への「反対」「撤廃」「中止」などの文言が多く、実現の可能性について、私個人は相当疑問符が付く。もっとも、どの政党も提案していない新型コロナワクチンの定期接種に関する接種費用補助は目を引く。この辺は他党に見習ってもらいたいものである。れいわ新選組ご存じ山本 太郎氏を代表とする同党だが、山本氏が「多発性骨髄腫の一歩手前」と公表し議員辞職。そして最近は共同代表の大石 あきこ氏が代わりにメディアに登場している。同党のマニフェストでは5つの大項目を掲げ、その下に具体的な政策を標榜している。以下、要約・列挙する。詳細は以下のとおり03.社会保険料は国のお金で引き下げる後期高齢者医療制度は廃止し、全額国費負担介護保険の国負担割合を50%以上に引き上げ04.生きててよかったと思える国~今すぐできる少子高齢化対策~介護・保育の月給10万円アップ民間事業者が少ない地域で介護士を公務員化し「公務員ヘルパー」を復活介護保険の利用者負担を一律1割。低所得者の利用料免除・減免を制度化要支援1、2のホームヘルプ、デイサービス利用の保険給付復活介護保険サービスを趣味など生活の充実にも利用可能に 上記以外にも「国立病院、公立病院の統廃合、病床の削減(地域医療構想)の中止」「マイナンバーカード廃止」「健康保険証の復活」などがあるが、基本的に同党も2025年の参院選と政策に変更はない。減税日本・ゆうこく連合衆院解散直前の立憲民主党と公明党の新党結成に反発した立憲民主党の原口 一博氏(元総務相)と、日本保守党を離党し、衆院内会派で「減税保守こども」を結成していた河村 たかし氏(元名古屋市長)、竹上 裕子氏、平岩 征樹氏、参政党を離党した鈴木 敦氏が参加して、原口・河村両氏が共同代表で結成した。当初5人の国会議員がいることで、政党要件を満たしたが、最終的には鈴木氏が出馬を見送ったため、現状は4人。今回は4つの大きなスローガンを公約として発表している。その中の1つ「三、日本救世【命・安全・教育】国民の命を利権から守り抜き、次世代へ豊かな国土を引き継ぎます」の項で以下のような公約を掲げている。詳細は以下のとおり命を守る決断:新型コロナワクチン(遺伝子製剤)の接種を直ちに中止し、被害の実態解明と全ての被害者の救済を最優先医療・福祉の最適化:ICTを活用した「かかりつけ医制度」の導入により、過剰医療や医療過誤を是正。難病・障害者基本法の改正により合理的配慮を徹底 2番目はまだしも、1番目ははっきり言っていただけない。ご存じのように共同代表の原口氏は、mRNAワクチンについて、かなり出所不明な情報を発信するワクチン懐疑派。このためmRNAワクチンの製造・販売元の1社であるMeiji Seikaファルマから、名誉棄損による損害賠償請求訴訟を起こされている。参政党さて、前回の参議院選も含め昨今の選挙では、国民民主党とともに議席を伸ばしている同党。以前も取り上げたように、失礼ながらややトンデモ政策が多いのだが、今回はどうだろう?今回は3つの柱と9の政策(<>内)を掲げ、9つの政策の下に詳細な説明も加わっているほか、分野別の詳細政策も掲げている。詳細は以下のとおり1の柱 日本人を豊かにする~経済・産業・移民~<政策1“集めて配る”より、まず減税>消費税減税と社会保険料軽減で国民負担率上限35%実現2の柱 日本人を守り抜く〜食と健康・一次産業〜<政策6 安心医療で健康国家>診療・介護・障害福祉報酬を抜本的に引き上げ、基礎年金の受給額の底上げ医療・介護・福祉従事者の賃金アップと過重労働の改善健康維持・重症化予防に取り組む人へのインセンティブ付与新型コロナ対応を検証し、実効的な感染症対策を再構築以下は「健康・医療」の分野別政策守る医療、正す医療。現場を救い、制度を持続させる仕組みを再構築診療・介護・障害福祉報酬(各サービスの公定価格)を抜本的に引き上げ、医療・介護・福祉従事者の賃金をアップし、過重労働を改善不必要な重複検査や過剰な治療・投薬等については、医学的妥当性を重視し、適正化かかりつけ医機能を重視し、継続的な健康管理や相談に取り組む医療機関を評価する報酬体系を検討OTC医薬品で対応可能な軽症疾患はセルフケアを基本とし、安易な処方を抑制(重症化や合併症のリスクが高い疾病での必要な治療・投薬を妨げるものではない)フリーアクセスで、いつでも何回でもどの医療機関でも受診ができる仕組みを見直す医療DXを活用し、業務効率化や研究開発に繋げる予防医療の推進により、医療費適正化と地域経済活性化を両立科学的根拠が確立した予防医療・重症化予防を段階的に保険対象へ生活習慣病、フレイル、認知症等について、予防・再発防止に取り組んだ医療機関を評価する制度を導入健康診断、重症化予防、生活習慣改善等により、医療費適正化に貢献した方を評価する仕組みを導入。評価に応じて、国内旅行クーポンや地域消費につながるインセンティブ制度を検討。新型コロナ対応とmRNAワクチン施策の検証~次なる感染症に備えるための、責任ある再構築政府で新型コロナ対応およびmRNAワクチン施策全体について、独立性・透明性を確保した検証実施を求め、検証結果を国民に分かりやすく公表mRNAワクチンは短期的な効果だけでなく、中長期的影響を見据えた安全性評価と治験・調査を徹底新型コロナウイルスを含む新興感染症でウイルスの発生経緯・拡大要因・対応について、政府が専門的かつ独立性の高い検証を実施WHOなど国際機関の情報や勧告などは、日本の実情に即して妥当性を科学的に評価し、主体的に判断できる体制を整備。国際機関の判断が日本の状況に適さないと合理的に判断される場合は、国内専門機関の評価を優先できる制度設計高リスク病原体を扱う国内研究施設について、立地、管理、運用に関する安全基準を厳格化し、事故・流出リスクを最小化科学的根拠の明確な提示と、国民一人ひとりの自己決定権を最優先とするワクチン政策ワクチン接種は、年齢・基礎疾患・重症化リスクを踏まえた任意接種を原則効果と副反応などのリスクについて、国民に分かりやすく情報提供接種後の健康影響について、中長期的な追跡調査と結果の公表を実施医師による副反応報告と健康被害救済制度への協力体制を強化がん・難病の“治療と生活”を国の責任でしっかり守る総合支援がん・難病に関し、国の責任で「治療と生活」を守る。診断の遅れ、手続きの壁、医療格差、地域格差をゼロへがん・難病の患者が抱える就労・学業・介護・移動・家族負担を含む「生活困難」に対し、医療にとどまらず、福祉・労働・教育・地域政策を束ねて一体で実装治療法の確立と新薬開発支援を拡充し、実用化までの期間短縮。そのための研究投資とデータ基盤整備を推進有効性が確認されたがん検診の費用補助等により、受診率を全国的に引き上げ老老介護やヤングケアラーを地域全体で支える仕組みを構築介護を社会の基盤へ:地域包括ケア強化と年金改革で老後不安を解消「65歳以上を高齢者」の定義の見直し介護報酬を引き上げ老老介護や介護離職を防ぎ、制度と地域で支える仕組み作り加算の申請手続きなど、行政が現場に要求する過剰な負荷を減らし、DX化も推進介護・医療・住まい等を包括的に捉えて、地域で密に連携する仕組み作りフレイル・認知症予防への積極的取組、地域の居場所・見守りを国が支援本人が望んでいない終末期における過度な延命治療を見直す本人の意思を尊重し、医師の法的リスクを回避するための尊厳死法制を整備人生会議(ACP)、事前指示書、生命維持治療に関する医師の指示書(POLST)の普及と制度的位置づけの明確化緩和ケア、在宅看取り、ホスピス等、尊厳を保持した医療の拡充終末期の延命措置医療費の負担の在り方の見直し さてざっと見まわすと、以前に本連載で批判的に捉えた予防医療のインセンティブ(Go Toトラベル)やすべてのワクチンを任意接種にするなど、まるで米国・保健福祉長官ケネディ氏のような政策が目につく。一方、がん・難病でのデータ基盤整備や介護での加算申請手続きの軽減などは玄人的な政策がある点も目を引く。誰かが入れ知恵したのだろうか?日本保守党移民反対を前面に打ち出す同党の医療・社会保障政策は結党以来、まったく変更はなく以下の2点である。詳細は以下のとおり移民政策の是正―国益を念頭に置いた政策へ健康保険法・年金法改正(外国人の健康保険・年金を別立てに)教育と福祉出産育児一時金の引き上げ(国籍条項をつける) そもそもシングルイシューの政党と言ってもよく、有体に言えば、少なくとも現時点では社会保障政策自体にそれほど強い関心はないのだろう。社民党旧日本社会党を源流とし、社会民主党、社民党と名称を変えてきた同党だが、最盛期の日本社会党時代に衆院で166議席も有していた議席は今やゼロ。参院で2議席のみである。今回は「社民党8つの提言」の中で「最低保障年金制度の樹立で老後の安心を!介護と医療の負担を軽減!」を掲げ、以下のような政策を提唱している。詳細は以下のとおり介護報酬を引き上げ、介護従事者の待遇を改善して人手不足を解消。混合介護と自由診療を規制高額医療費や一般用医薬品(OTC)医薬品の自己負担増に反対マイナ保険証の取得強制に反対し、紙の健康保険証を継続国公立病院の統廃合を認めない 今回唱えている政策は、ほとんどが前回の参院選時に掲げていたもの。唯一異なる点があるとするならば、「混合介護」と表現している介護の保険外サービス利用と自由診療の規制の点である。チームみらいAI研究者だった安野 貴博氏が創設した新党で、昨年の参院選では安野氏自身が比例で1議席を獲得して政党要件を満たした。2024年東京都知事選挙に立候補した時に本連載でも本人に取材し、安野氏の政策はアジャイルな設計で、有権者からの意見を受け付け柔軟に変化することがわかった。そのため、ここに記述したものも投票日までに変更されている可能性がある。政策は大きく3つの大項目で構成され、その下にテーマ(<>内)、さらに個別政策という構成。以下、要約・抜粋する。詳細は以下のとおり(2)「今」の生活をしっかり支援<経済財政・社会保障>現役世代の社会保険料負担を軽減し、フェアな税・社会保障制度を目指す「税収」(1)現役世代の過度な負担を回避し、国民全体で支えられる方法を検討(2)入国税や非居住外国人に対する固定資産税の引上げ、外国人旅行者の消費税免税制度の見直しなど日本の生活者に影響の小さい歳入源の拡充も検討「支出」影響が大きい方への配慮を行いながら、医療費の自己負担割合の一律3割を目指す。 加えて、「医療」パートに示す制度改革に取り組む<医療>1.医療の有効性・重要度に応じたきめ細やかな自己負担へ高額医療費制度の上限の拙速な引き上げを見直し中長期的に診療行為のエビデンス、費用対効果や重症度に基づく自己負担割合の複数段階化を検討電子レセプトに連携し窓口で即時に自己負担額が算出できるAI、システムの開発を支援。医療DXを推進する支援の枠組みも整備2.治療成果に報いる医療アウトカム評価制度の導入「どれだけ診療が行われたか」だけでなく、「どれだけ良くなったか」にも報いる医療制度への転換を目指し、成果連動型の診療報酬制度を導入(治療の効果が高い医療機関に対しての報酬加算、患者に対しての還元を設計し、医療機関・患者の双方に動機づけを行う)診療データを匿名化し、全国医療データベース(NDB)で一元管理。AIを活用した公平で迅速な評価を行う仕組みを整備(電子カルテの標準化、相互運用性の確保を推進。診療記録や検査結果をデータ化して治療成果を判定、成果加算が自動的に反映される仕組みを設計。アウトカム評価指標の提出、確認が行われることで医療機関の負担が増えないよう、民間企業と連携した電子カルテの解析システムの開発を促進)3.オンライン診療/処方受け取り方法を充実し、通院のない受診を実現オンライン診療普及のための診療報酬、インセンティブの設計(オンライン診療を普及促進の診療報酬の加算を検討)安全性を担保するためのガイドライン整備(本人確認、重症化時のバックアップ体制など、オンライン診療を安全に行い、標準的なサービスを担保するための規定を整備)薬の受け取りまでオンラインで完結するための枠組みの整備(自動運転やドローンでの配送物流コストの診療報酬での手当を検討)4.画像診断AIで見逃しリスクと医師不足の解消を同時にシステム導入費の補助による画像解析システムの導入診断AIへの加算を制定し継続利用を促進。AI画像解析の成果について評価を実施人とAIが協働する医療のルール整備<福祉>5.福祉・介護従事者の処遇改善・テクノロジーによる業務負担軽減を推進障害福祉・介護従事者の給与水準を全産業平均に近づける賃上げ方策の検討テクノロジー活用推進、福祉・介護従事者の待遇改善を目的とした基本報酬改定の検討生産性向上推進体制加算の拡充とテクノロジー活用を標準とした新たな報酬類型を創設施設類型を中心に進められている生産性向上推進体制加算の適用を在宅系サービスへ拡大福祉・介護職員等処遇改善加算による賃上げ効果を向上のため、テクノロジー活用と経営改善による利益を福祉・介護職員へ還元する制度の改定 さて比較的AIに懐疑的な人は、これらを見て「テクノロジーで解決できるほど医療は簡単ではない」と言うかもしれない。ただ、ここで提言されている政策をよく読めば、実はテクノロジー一辺倒ではないことがわかるのではないだろうか?たとえば、医療者が嫌うであろう診療報酬のアウトカム評価も何を行ったかの実績評価との併用で語っている。また、ここでは私が要約したが、実はチームみらいのホームページに行くと、それぞれの政策を掲げるテーマの背景まで深く分析している。私見を言えば、既存政党は長らく政治に関わりながら、こうした背景分析をきちんとしているだろうか?ここまで超長文、かつかなり駆け足で各党の政策を紹介した。このように駆け足になったのはひとえに戦後最短の選挙期間というのが最大の理由であるため、ご容赦願いたい。さて8日の投開票結果はいかに?

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第298回 戦後最短の衆院選、今回の各党の医療・社会保障政策は?~自民・維新・中道編

INDEX自民党日本維新の会中道改革連合年明け早々から衆議院解散の報道が流れ始めたが、実際に高市 早苗首相が2026年1月23日の通常国会冒頭で解散を行ったことで、すでに衆議院議員総選挙に突入している。そこでいつものごとく、各党の医療・社会保障政策を取り上げ、独断と偏見に基づく寸評を加えたいと思う。今回は与党の自民党と日本維新の会、さらに公明党と立憲民主党が合流した最大野党の中道改革連合を取り上げる。自民党まずは与党で比較第1党の自民党。主な政策として5つの柱とそれに続く中項目(<>内)、さらにその下に各政策を掲げている。その中から医療・社会保障政策(年金を除く)を要約して列挙すると、以下のようになる。詳細は以下のとおり1. 強い経済で、笑顔あふれる暮らしを<危機管理投資・成長投資>予防・健康づくり分野を成長産業として育成し、健康経営の拡大や女性の健康、生活習慣病、認知症などの研究開発を促進仕事と介護の両立支援のため、公的保険外の介護サービスの振興や、企業における支援を促進<経済安全保障>医薬品を「特定重要物資」と位置付け、サプライチェーンの強靱化や国内生産能力の強化<デジタル>マイナンバーカードを健康保険証として利用し、運転免許証などとの一体化を推進社会保険や税、介護、死亡・相続などの行政手続きを「スマホで60秒」で完結させるデジタル化・ワンストップサービス化一人ひとりの暮らしに応じたサービス提供のため、医療、こども・子育てなどの分野でのデータ連携を支援2.地方が日本経済のエンジンに<地域未来戦略>離島・半島における医療・介護の振興策を講じる3.わが国を守る責任。国際秩序を担う日本外交<科学技術>ゲノムデータ・創薬基盤の充実、医薬品・医療機器の開発、国際協力を進め、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(誰もが適切な医療を負担可能な費用で受けられる状態)の達成創薬力を抜本的に強化するため、産学官の研究力を向上させ、とくに感染症に備えた国産ワクチン・治療薬・診断薬の生産体制を強化バイオ医薬品(抗体医薬品、再生医療等製品など)の生産体制整備や創薬ベンチャーへの支援を推進健康医療を含む最先端分野での研究開発から社会実装までを支援4.すべての世代の安心と次世代への責任<こども・子育て>妊娠前から出産、子育て期まで切れ目のない支援を行い、病児保育の充実旧優生保護法による被害者の救済と、疾病や障害者への偏見・差別根絶<社会保障(最重点項目)>医療・介護・福祉分野の賃上げ:物価上昇に対応し、幅広い職種での確実な賃上げのため、報酬の引き上げ等を実施持続可能な医療体制:2040年を見据えた「地域医療構想」により、医療機関の連携・再編・集約化の推進歯科・リハビリ・薬局:生涯を通じた歯科健診(国民皆歯科健診)、リハビリの充実、かかりつけ薬剤師・薬局の普及を推進医療・介護DX:全国医療情報プラットフォームの構築や電子カルテの普及により、安全で効率的なサービスを実現予防・健康寿命:「攻めの予防医療」により健康寿命を延ばし、がん、循環器病、難病、移植医療、依存症対策などを推進介護提供体制:訪問介護を含む受け皿整備と人材確保を進め、介護離職を防ぐとともに、認知症対策やフレイル(虚弱)対策を推進正常分娩費用の負担を実質ゼロにすることで、妊婦の経済的負担軽減薬の安定供給:革新的な創薬環境の整備と、後発医薬品(ジェネリック)の安定供給を確保社会保険料負担の軽減:中・低所得者の負担軽減のため、「給付付き税額控除」の検討を含む社会保障と税の一体改革を議論<教育>特別支援教育の充実に向け、発達障害のあるこども達に対する早期からの支援や医療的ケア看護職員の配置促進<文化・スポーツ>生涯にわたるスポーツの継続を支援し、生涯健康を土台に人材の能力を最大限発揮させることで、人材一人ひとりの生産性向上と社会保障費抑制を図り、経済成長を支える<女性活躍>「女性の健康総合センター」を司令塔に診療拠点の整備や研究、人材育成等の取組みを全国展開、女性の生涯にわたる健康支援を強化<防災・減災、国土強靭化>マイナンバーカードを活用した救急業務の円滑化の全国展開<災害復興>地震・津波被災地域での心のケアやこどもの支援等の中長期的な取組み<生活の安全>熱中症対策実行計画に基づく熱中症対策の強化。花粉症の総合的な対策の推進<外国人政策>税・社会保険料の未納や制度悪用を根絶。出入国在留管理庁と関係機関との税・国民健康保険料等のマイナンバー等による情報連携を行い、上陸審査・在留審査等に反映。医療費未払情報報告システムの登録基準額を20万円以上から1万円以上に引き下げるとともに対象を中長期在留者へ拡大することを検討。<多様性・共生社会>医療保険者とかかりつけ医が協働する「社会的処方」の推進 石破 茂政権時代の参議院議員通常選挙(以下、参院選)時や高市首相が自民党総裁選時に掲げた政策と比較して、私が注目した変化は「2040年を見据えた『地域医療構想』により、医療機関の連携・再編」という点である。この点、以前の表現ではあくまで「病床数の適正化」だったが、今回は「医療機関の再編」と一歩踏み込んでいる。もちろん病床数の適正化の先に究極的には医療機関の再編があるのは事実。そして今回の診療報酬の個別改定項目(短冊)を見ても、急性期医療の絞り込みに向けた“出血大サービス”となっていることと併せれば、与党として自民党が本気を出してきたと言えるかもしれない。また、これまでになかった政策と言えば、<経済安全保障>の項目の医薬品を「特定重要物資」への位置付け、<デジタル>の項目にある「スマホで60秒」サービス、<多様性・共生社会>にある「社会的処方」、である。このうち「社会的処方」については、すでに2020年の政府方針「骨太方針2020」にも謳われたことだが、かかりつけ医の位置付けが現状ではまだまだ曖昧な中で、どのような仕組みを想定しているかは不明である。日本維新の会昨年の参院選時には予想もされていなかった日本維新の会(以下、維新)の与党入り。OTC類似薬の給付の大幅見直しなど、与党入りしてからは良くも悪くも存在感を発揮している同党だが、今回の衆議院選にあたり発表した「維新八策2026」では、社会保障政策の大項目の元、中項目(<>内)、さらにその下に各政策を掲げている。以下、要約の上で列挙する。詳細は以下のとおり社会保障政策<社会保険料を下げる改革>国民医療費を年間4兆円以上削減し、現役世代1人あたりの社会保険料を年間6万円引き下げ高齢者の医療費窓口負担を9割引から7割引(現役世代と同じ)へ引き上げ金融所得を含めた総合的な所得把握に基づく負担区分を設定女性や高齢者の就業促進、第3号被保険者制度見直し等により社会保障制度を就業促進型へ転換生産年齢人口の定義を見直し中央社会保険医療協議会に医薬品・医療機器メーカーを追加し、創薬支援を強化。企業届出価格承認制度の導入等により薬価算定制度を見直し費用対効果に基づく医療行為や薬剤の保険適用見直しを進め、限られた医療財源を重症患者や革新的医療に重点配分後発医薬品の使用原則化、タスクシフト、地域フォーミュラリ導入等により医療費削減不要となる約11万床を削減し、1兆円以上の医療費削減(感染症対応病床は確保)2030年までに電子カルテ普及率100%を達成エビデンスが乏しい無価値医療(低価値医療)の保険適用を見直し医療介護産業を需要者側の視点で改革し、市場原理導入や合理化で生産性向上を実現AIやビッグデータを活用した全国統一レセプトチェックで医療費適正化と医療の質向上を同時実現オンライン診療の診療報酬点数の対面診療と同等化定期的な検診受診者や健康リスクの低い被保険者の保険料を値引きする保険料割引制度を導入診療報酬点数の決定で医療サービスの需給バランスを通じた調整メカニズムを導入< 医療・介護提供体制>開業医(かかりつけ医))が診察・健康管理・入院判断に積極的に関与する体制構築医療DXを推進し、在宅医療・在宅介護の質・量を高め、地域包括ケアシステムを構築介護現場の待遇・職場環境を改善し、ロボット・テクノロジー導入で負担軽減介護サービスの地方分権と規制改革を行い、待機高齢者問題等の介護施設不足を解決老人ホームと保育所を一体化させた複合施設の設置基準を自治体が決定できる権限移譲日本版DBS制度(こども性暴力防止法に基づく制度)の介護人材への適用検討など、介護現場のハラスメント対策を立法化尊厳死(平穏死)について幅広い議論・検討を推進悪質な渡航移植対策として無許可あっせん業の罰則強化と国際的枠組み構築<予防・健康づくり>一次予防・健康増進を図り、早期予防・早期介入により健康寿命を延ばし、介護費用抑制と両立自立支援型介護を推進し、がん検診・特定検診の受診率向上により健康寿命を延伸受動喫煙防止の徹底認知症患者支援・理解啓発を推進し、iPS細胞による再生医療等の研究を支援慢性疾患について先進的な取り組みの全国展開や標準化による発症・再発・重症化予防対策の推進アレルギー疾患の医療相談、治療体制を全国で整備検体の自己採取と血液マーカー検査など新しい検診制度を導入HPVワクチンの接種機会を逸した世代への確実な救済措置<医療産業>IoT、AI、ビッグデータ、5G通信により医療・健康分野の産業化・高度化を推進混合診療を解禁・推進医療法人などの経営・資金調達規制を大幅に緩和医療品販売の過度な対面販売規制を見直し<感染症対策>十分な経済的補償を前提に医療機関などへ実効力ある要請・命令ができる法整備新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正し、地方が地域事情に応じて機動的に感染症対応できる体制を確立首都圏と関西圏に「日本版CDC(国立健康危機管理研究機構)」を各1ヵ所所整備有事に都道府県の枠を超えた情報・医療資源の共有化など相互補助できる体制を構築感染症法改正等により国民が検査・医療を受ける権利を明確化有事の指揮命令系統等に関し、危機対応ガバナンス確立のための法改正・憲法議論を積極的に行う国産ワクチン・治療薬の研究開発・生産体制を抜本に強化 大部分は昨年の参院選時に発表された「維新八策2025」を維持したものである。ただ、今回は以前よりも新たな政策が追加された。追加項目は、「混合診療の解禁・推進」「医療法人の資金調達に関する規制緩和」「医薬品の対面販売規制」「診療報酬点数の決定への医療サービスの需給バランスによる調整メカニズム導入」「HPVワクチンの接種機会を逸した世代への確実な救済措置」である。これらはHPVワクチンの件を除くと、政府の経済への介入を抑え、自由競争によって経済の効率化や発展を実現すべきという「新自由主義」に一番近いとされる維新らしい政策とも言える。また、社会保険料の負担軽減や医療費抑制につながる政策で維新側が明確な数字を示すのに対し、自民党側が概念的な政策提示である点でも新自由主義的な維新の性格をよく表していると言えるだろう。中道改革連合今回、おそらく有権者を最も驚かせたのが、野党第1党の立憲民主党と昨秋まで与党だった公明党による新党「中道改革連合(以下、中道)」が発足したことだろう。正直、私個人もまったく予想外だった。中道の今回の候補者の中には医師が8人おり、自民党の9人に次ぐ人数。多くは旧立憲民主党の議員だが、旧2党で見ると、どちらかというと以前与党にいた旧公明党のほうが医療政策に明るいと思われがちだ。今回、医療以外の安全保障や原発問題などで公明党寄りに政策修正したと言われる中道だが、医療・社会保障関連政策はどのようになったのか?今回、中道は大項目となる第1~5の柱を立て、その中で中項目(<>)、さらに小項目(・)となる具体的な政策を記述している。以下に要約・列挙した。詳細は以下のとおり第1の柱:一人ひとりの幸福を実現する、持続的な経済成長への政策転換<家計の安心へ>社会保険料負担で手取りが減る「130万円のガケ」を解消<賃上げと中小企業・産業の活性化>社会保険料の事業主負担軽減や奨学金代理返還の支援医療・介護・保育・物流・建設・交通等の処遇改善に向け、公定価格と労務費の適正化を推進し、社会基盤を支えるエッセンシャルワーカーの所得の抜本的引き上げを実現第2の柱:現役世代も安心できる新たな社会保障モデルの構築<ベーシック・サービス従事者の処遇改善>医療・介護・保育・障がい福祉従事者などの給与の全産業平均への引き上げ<健康、安心の医療・年金>予防・検診強化で健康寿命を延ばし、重複検査是正・医療DXで医療費を抑制、社会保険料上昇を抑制がんの原因となる感染症など、リスクに応じた検診を実現し、企業検診率向上を目指す高額療養費の自己負担限度額の引き上げを見直し経営困難な医療機関を支援(次期診療報酬改定でのプラス改定など)。医師確保のための基金拡充かかりつけ医の制度導入を目指し、かかりつけ医を中心とした新たな地域医療構想の実現移動困難な高齢者のためにオンライン診療・モニタリング等で地域医療体制を整備職場・地域で心のケアを必要とする人を早期発見し、治療体制を強化薬価の中間年改定を廃止保証人のいない単身者が必要な医療を受けられるよう、実効性のある「ガイドライン」の普及とフォローアップを図る<高齢者、介護支援、障がい福祉>介護の相談体制・家族支援を強化し、事業所のDX化で安心できるケア体制を整備「介護離職ゼロ」に向けた取り組み(介護休業の通算期間の延長、介護休業中の賃金補償の拡充)を強化訪問介護の基本報酬を引き上げ介護事業所の情報通信技術(ICT)化を進め、業務効率化・情報共有で介護従事者などの負担軽減とサービスの質・生産性向上を目指す介護記録の電子化・介護センサー導入で介護施設・在宅介護の人手不足をサポート第3の柱 選択肢と可能性を広げる包摂社会の実現<こども・子育て>妊婦健診や出産費用の無償化と産後ケアの充実ヤングケアラーを早期に発見し、教育や医療、就労など横断的に支援 この中で「130万円のガケ」は、従来から国民民主党が唱える「103万円の壁」と違って初めて聞いた人もいるかもしれない。これは給与所得者に扶養されている配偶者に健康保険料や年金保険料の負担が生じ始める年収である。念のため説明すると103万円は所得税負担がかかり始める年収である。要は「103万円の壁」の引き上げを軸に若年層に支持を広げた国民民主党にあやかった政策なのかもしれない。そして意外に思うかもしれないが、実は中道が掲げたこれらの政策は、与党の中でも穏健なほうになる(あくまで維新との比較だが)自民党の社会保障政策と類似点は少なくない。とくにICT、DX関連はかなり類似が多い。パッと見て与党と明らかに違う政策として目につくのは、かかりつけ医の制度導入と薬価の中間年改定廃止である。ちなみに薬価の中間年改定廃止は従来から国民民主党が唱えている政策でもある。また、中道がここで述べているかかりつけ医の制度導入とは、現在の「かかりつけ医機能報告制度」とかかりつけ医機能を評価する診療報酬ということではなく、いわばヨーロッパなどで行われている家庭医制度のようなものだろう。いずれにせよ、全体的には穏健、悪く言えば、非常に概念的な政策で、私見を言えば、「なかなか埋没感がある」と思ってしまう。さて次回はそのほかの野党を一斉に取り上げる。

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お看取りが近い患者のお風呂はどうしていますか?【非専門医のための緩和ケアTips】第116回

お看取りが近い患者のお風呂はどうしていますか?皆さんはお風呂、好きですか? 私は元々そんなに好きではなかったのですが、この年齢になってくると温泉と聞くとテンションが上がります。とくに運動の後に温泉に入ると最高ですよね。緩和ケアでもお風呂はしばしば話題になるのですが、今日はそんなお話です。今日の質問お看取りに対応している施設の方からの問い合わせ。「予後1週間以内が予想される状況の方をお風呂に入れたいが、ダメですよね?」というものでした。元々風呂がすごく好きな方で、「亡くなる前に一度でいいから入浴させたい」と家族から要望があったようです。介護スタッフは不安が強いようですが、こうした場合の対応はどう考えていますか?海外の緩和ケア医や、私の施設に見学に来た海外の医療者と話していると、病院に入浴用のバスタブがあることに驚かれます。海外の医療機関にもシャワーはあるのですが、日本の病院にはバスタブがあり、さらには日常生活動作(ADL)が低下した状態でも入浴できる機械浴の設備まであるのを見ると、非常に驚かれます。在宅医療でも訪問入浴サービスがありますが、よく考えてみたら専用の簡易バスタブを組み立て、専用スタッフが入浴させてくれるってすごいことですよね。ケアの観点から入浴を考えると、やはり入浴できるとできないとでは雲泥の差があります。病状が進行すると入浴できなくなり、清拭中心となることが一般的ですが、一度入浴すれば整容面は格段に改善します。身体症状の強さや患者負担とのバランスですが、やはり可能であれば入浴するというのは、ケアの面からも合理的だと感じます。さて、ここまで話してきて、お看取りが近い病状での入浴について考えてみましょう。私も慢性期病棟や施設スタッフから同様の相談を受けることがあります。スタッフのよくある懸念は、「入浴が負担となって、残された時間が短くなってしまうのではないか?」「入浴中に急変したら、ご家族から責められないか」といったことです。私のスタンスとしては、「『入浴しなかったら病状が変化しない』という保証はないので、入浴がご本人や家族にとって大切ならば、入浴させましょう」とお話しします。そして、「やめておけばよかった」「入浴させたから悪くなった」といった後悔につながらないよう、ご家族を中心に事前の話し合いを行います。実際、終末期の入浴に関する興味深い研究があります1)。私の知り合いの医師が取り組んだものですが、「終末期に入浴しても生存とは関係がなかった」という結果でした。観察研究ですのでこれを根拠に必ず大丈夫とは言えませんが、少なくとも「『終末期の患者に入浴は絶対ダメ』と言わなくてもよいだろう」と背中を押してくれる、臨床的な研究結果です。「入浴させたいけれど、大丈夫?」という質問の背景には、さまざまな不安が存在します。そうした不安の背景を探り、一緒に答えを考えることが良いケアを提供するために重要な姿勢です。今回のTips今回のTips終末期の入浴、周囲との話し合いのうえでチャレンジすることも検討しましょう。1)Oya K, et al. Palliat Med Rep. 2021;2:59-64.

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第276回 訪問看護に激震? 28億円不正請求問題で厚生労働省が「全国一斉調査」開始へ

2026年が明けました。医療業界では医療法改正などで、新しい動きが見えてきました。そのなかで、メディアによって問題が深刻化していることが明らかになった訪問看護ステーションの話題を年の初めに考えてみたいと思います。近年、末期がんや難病患者の受け皿として急増した「サービス付き高齢者向け住宅」(以下「サ高住」と略します)。病院からの早期退院を促す国の政策と、在宅での看取りニーズが合致し、一見すると社会課題の解決に寄与するビジネスモデルとして急成長を遂げました。しかし、その裏側では、診療報酬・介護報酬を組織的に搾取する「闇」が広がっていたことが、相次ぐ内部告発と特別調査委員会の報告によって白日の下にさらされました。今回は、「PDハウス」を運営していた最大手のサンウェルズや「医心館」のアンビスホールディングス、精神科の訪問看護最大手ファーストナースを巡る不正請求の実態と、それを受けた厚生労働省の「全国一斉調査」および「個別指導の厳格化」についてまとめ、今後の厚労省による調査が訪問看護およびサ高住に与える影響について考察してみたいと思います。利益至上主義が生んだ「不正請求」の実態2025年2月に東証プライム上場のサンウェルズが発表した特別調査委員会の報告書は、業界に大きな衝撃を与えました。不正請求の試算額は、総額約28億4,700万円に上り、ほぼすべての施設で組織的な不正・過剰請求が認定されました。主な不正・過剰請求の手法として、「短時間訪問」の偽装と「同行者不在」の加算請求が挙げられていました。「短時間訪問」の偽装としては、実際には数秒~数分の安否確認や投薬、あるいは睡眠センサーの画面確認のみであるにもかかわらず、診療報酬の算定要件である「30分以上の訪問」を行ったと虚偽の記録を作成していたものです。その件数は17万件を超えています。また、「同行者不在」の請求でも、実際には1人で訪問しているにもかかわらず、複数名で訪問したと偽り、加算報酬を不当に得ていました。さらに入居者の病態に関わらず、最初から「1日3回・毎日」の訪問看護を行うことが標準化され、マニュアルで「必須記載」と指示を行い、1人当たりの月間診療報酬の「合格ライン」を81万円に設定するなど、医療の必要性ではなく「売上目標」から逆算したオペレーションが常態化していました。こうした実態は最大手の「医心館(アンビスホールディングス)」でも指摘され、特別調査委員会の報告では、組織的不正は否定しつつも、実態のない請求が約6,300万円分判明しています。さらに特掲診療料の施設基準等別表第7や同第8に基づく訪問看護の特例を用いて、医療保険で算定できる患者を集め、収益性を高く維持していました。厚労省による訪問看護「全国一斉調査」と選定基準の明確化こうした事態を重くみた厚労省は、この2026年1月より健康保険法に基づき訪問看護ステーションに対する「全国一斉調査」を開始します。医療機関などに対する全国規模の同時調査は、訪問看護の分野では極めて異例の措置です。指導・監督の厳格化(通知のポイント)「令和7年度に実施する指定訪問看護事業者等に対する共同指導に係る取扱いについて」および関連事務連絡によれば、厚労省は指導対象の選定基準を明確化しています。訪問看護レセプト1件当たりの平均額が都道府県平均を超え、かつ全ステーションの上位1%に含まれる事業所を「都道府県個別指導」の対象として優先的に選定するよう指示しています。さらに情報提供(内部告発)への対応として、不正請求や過剰訪問に関する具体的な情報提供があった場合、これを最優先で指導対象とします。不当事項が確認された場合、原則として指導月から1年以上遡って報酬の自主返還を求めます。また、中央社会保険医療協議会(中医協)では、同一建物内の多数の患者に対する頻回訪問について、報酬を引き下げる方向で検討が進んでいます。今後の訪問看護・サ高住への影響と考察今回の一連の騒動と規制強化によって、今後の在宅医療・介護のあり方を劇的に変える可能性があります。これまで、サ高住や有料老人ホームに訪問看護ステーションを併設し、入居者を「自社サービス」で囲い込んで報酬を最大化するモデルは、過剰利潤を追求しやすい収益性の高いビジネスでした。しかし、今後は「1件当たりの単価」が高い事業所が自動的に指導対象となるため、不必要な過剰サービスを提供して請求する事業者ついては、返還リスクと社会的信用の失墜により淘汰されることになります。訪問看護の実施には、必ず医師の「訪問看護指示書」が必要です。報道によると、一部のホスピス住宅では「末期がん」でない患者に末期がんの診断を付けたり、不必要な頻回訪問の指示を出したりする医師の存在が指摘されています。厚労省の調査では、当然ながら「指示を出した医師」の判断も検証対象となります。医学的妥当性を欠く指示を出し続けた医師は、不適切な請求を助長したとして、行政指導や免許に関わる責任を問われるリスクが生じます。このほか、不正に得た高額な報酬を原資として、訪問看護ステーション側が地域の急性期病院から看護師を「高給」で引き抜いていた実態も明らかになりました。規制強化によって事業者の収益が適正化されれば、こうした高額な給与提示は困難になります。地域医療全体としては、偏在していた看護師が本来必要とされる現場に戻るポジティブな側面もありますが、その一方で、経営基盤の弱い中小のサービス事業者にとっては、さらなる採用難につながる恐れもあります。「適切な事業者」の選定が求められる退院支援さらに病院側にも影響が出ることになります。病院のソーシャルワーカーや勤務医は、これまで患者の転院・退院先としてホスピス型住宅を依頼する際、「空きがあるから」という理由だけで紹介することができなくなります。「外部のサービスを排除して囲い込みをしていないか」、あるいは医療機関側に「訪問看護指示書の記載」について要求が多くはないかといったチェックが必要になります。性善説の終焉と「説明責任」の時代へ訪問看護のシステムは、長らく「性善説」に基づいて運用されてきました。しかし、今回のサンウェルズ事件を契機に、その信頼は崩れ去り、今後は、記録や不適切な算定を防止するために医療・介護DXといったITテクノロジー(GPSや入退室ログなど)で監視する仕組みが標準化されるでしょう。医師にとって重要なのは、訪問看護が「なぜ頻回の訪問が必要なのか」を患者の病態に基づいて医学的にいつでも説明できることです。訪問看護事業者や訪問サービス事業者の意見に引きずられた訪問診療や訪問看護は、もはや「隠し通せる時代」ではありません。地域医療の崩壊を防ぐためには、不正を排除し、真に手厚い看取りを必要とする患者に資源を集中させる健全な市場環境の再構築が急務となります。 参考報道 1) 訪問看護、1月全国調査へ 厚労省、不正請求問題で(共同通信) 2) 看護師たちの勇気の告発がついに国を動かした ホスピス住宅と精神科の訪問看護、国が全国一斉に不正調査へ(共同通信) 3) 指定訪問看護事業者等に対する高額を理由とする都道府県個別指導の取扱いについて/令和7年度に実施する指定訪問看護事業者等に対する共同指導に係る取扱いについて(厚労省) 4) 老人ホーム会社、診療報酬28億円不正請求疑い 高額紹介料支払いも(朝日新聞) 5) 特別調査委員会の調査報告書の受領に関するお知らせ(サンウェルズ社) 6) 訪問看護の最大手、過剰請求か 精神科「あやめ」が全社的に(共同通信) 7) 訪問看護における「別表7」を徹底解説(カーネル)

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『がん患者におけるせん妄ガイドライン』改訂、抗精神病薬+ベンゾジアゼピン系薬など現場で多い処方を新規CQに 

 2025年9月、『がん患者におけるせん妄ガイドライン 2025年版』(日本サイコオンコロジー学会/日本がんサポーティブケア学会編、金原出版)が刊行された。2019年の初版から改訂を重ね、今回で第3版となる。日本サイコオンコロジー学会 ガイドライン策定委員会 せん妄小委員会委員長を務めた松田 能宣氏(国立病院機構近畿中央呼吸器センター心療内科/支持・緩和療法チーム)に改訂のポイントを聞いた。――「がん患者におけるせん妄」には、その他の臨床状況におけるせん妄とは異なる特徴がある。がん治療にはオピオイド、ステロイドなどの薬剤が多用されるが、それらが直接因子となったせん妄が多くみられる。さらに、近年では免疫チェックポイント阻害薬に代表されるがん免疫療法の普及に伴い、この副作用としてせん妄を発症する患者も増えている。また高カルシウム血症や脳転移など、がんに伴う身体的問題を背景としてせん妄を発症することもある。進行がん患者におけるせん妄は、その原因が複合的であることが多い。さらに、終末期におけるせん妄では身体的要因の改善が困難であり、治療目標をせん妄の回復からせん妄による苦痛の緩和に変更し、それに合わせてケアを組み立てていく必要もある。総論に7つの個別テーマを新設 2025年版は前版と比較して約40ページ増となった。総論では、「関連する病態についてより詳しく説明できるとよいのでは」という委員会の議論を経て、7つのテーマを追加した。 総論に追加したテーマは以下のようになっている。1.アルコール離脱せん妄(評価のためのスコア、薬物治療)2.術後せん妄(周術期神経認知障害、超高齢・がん外科治療の文脈も含む)3.低活動型せん妄(頻度・症状・鑑別・マネジメント)4.身体拘束に関する考え方(実態・葛藤・多職種アプローチ・法的倫理的視点)5.認知症に重畳するせん妄(頻度・リスク因子・評価・対応)6.せん妄とがん疼痛の合併(終末期、可逆的などで分岐する対応アルゴリズムなど)7.在宅におけるせん妄診療(介護者負担、投与経路制限、在宅継続の可否、在宅アルゴリズムなど) 「アルコール離脱せん妄」はがん患者に限ったものではないが、アルコールが関連するがん、たとえば頭頸部がんとの関連が深いため、別個に取り上げた。通常、せん妄治療にベンゾジアゼピン系薬を単剤で使うことはほぼないが、アルコール離脱せん妄の場合は適応となるなど、治療の独自性も高い。「術後せん妄」は、通常のがん患者におけるせん妄とはまた状況が異なり、頻度も高いため、改めて扱うこととした。 せん妄は「過活動型せん妄」「低活動型せん妄」「活動水準混合型」の3つに分類される。中でも低活動型せん妄は見逃しやすく、がん患者での頻度が高いために取り上げた。「身体拘束」は、これまで過活動型の患者に対し、安全性確保のために拘束するケースがあった。しかし、近年はその有害性が報告されるようになっており、拘束を最小限にするための多職種によるアプローチをまとめた。 高齢化社会の進行の中で「認知症」とせん妄を併発する患者が増えている。なかなか鑑別が難しいが、評価や対応についてまとめた。また、「せん妄とがん疼痛の合併」も非常に多いパターンで、中等度以上の痛みを伴うがん患者の3分の1以上がせん妄を合併している、との報告もある。ここには厚労省科研費里見班による報告があったので、そちらの治療アルゴリズムを掲載している。前版までは病院におけるせん妄治療が中心だったが、在宅医療におけるせん妄も増加していることを受け、介護者の存在や薬剤の制限など、在宅医療独自の状況を踏まえて項目を作成した。CQでは予防と併用療法の項目を追加 CQは4つ新設し、前版の12から15となった。増えたCQは以下のとおりとなっている。CQ3:ラメルテオン単独投与による予防は推奨されるか?CQ4:オレキシン受容体拮抗薬単独投与による予防は推奨されるか?いずれも「単独で投与しないことを提案する」(推奨の強さ:2、エビデンスの確実性:D) 予防目的の薬物治療として、新規睡眠薬(ラメルテオン/オレキシン拮抗薬)を明示的に扱うようになったのが大きな変更点となる。いずれも現時点では予防に有効とのエビデンスは確立しておらず、「単独で投与しないことを提案する」との記載となった。予防には非薬物的介入が第1選択という点は前版から変わらないが、実臨床においてはせん妄予防よりも睡眠リズムをつくることを目的に新規睡眠薬を投与する医師が一定数いると予想され、こうした処方までを一概に否定するものではない。高リスク群など一部の集団においては「個々の患者の状況やリスクを適切に評価し、予防的投与の妥当性を判断することが必要」との点も明記した。CQ11:症状軽減を目的に、抗精神病薬+ベンゾジアゼピン系薬の併用投与は推奨されるか?「併用で投与することを提案する」(推奨の強さ:2、エビデンスの確実性:C) このCQに関する文献は1件のみで、エビデンスとして質の高い研究ではあったものの、試験対象が「すでにハロペリドールを定時投与されている終末期の重症せん妄患者」に限定されていたことには注意が必要だ。よって、どんな症例でも併用投与を推奨するわけでなく、症例ごとの見極めが重要になる。また、試験の治療薬はロラゼパム注とハロペリドール注であったが、日本ではロラゼパム注が使われることは少なく、今後は日本で汎用されているベンゾジアゼピン系薬での検討や、重症例以外の検討が求められる。CQ12:症状軽減を目的に、抗精神病薬+抗ヒスタミン薬の併用投与は推奨されるか?「併用で投与しないことを提案する」(推奨の強さ:2、エビデンスの確実性:D) せん妄に認められる不穏の症状に対して、抗ヒスタミン薬や抗精神病薬を用いることがあるが、抗ヒスタミン薬はせん妄の原因ともなり得るなど安全性の懸念も残る。検討対象となった観察研究では、併用投与によるアウトカム改善は認められなかったため、「併用で投与しないことを提案する」との記載になった。 がん患者のせん妄は、臨床試験が組みにくく、エビデンスが蓄積されにくい分野だ。理由としては、患者ごとにせん妄の原因が異なっているため試験の組み入れ条件をそろえることが難しい、終末期患者が多く同意取得が困難、といった背景がある。一方、患者数は多く、医療者・患者/家族ともケアに悩むことが多い分野でもある。今後も限られたエビデンスを集め、ガイドラインのアップデートや外部評価に努めたい。患者自身や家族がケアに関わることも多いので、同じ学会で作成する『がん患者における 気持ちのつらさガイドライン』『がん医療における 患者・医療者間のコミュニケーションガイドライン』と一緒に、患者向けガイドの作成も進めている。

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第294回 改正医療法やっと成立、医療機関の集約化、統合・再編、病床削減さらに加速へ 「地域医療構想の見直し」8つのポイント

「医療法等の一部を改正する法律」遅れに遅れてやっとの成立こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。MLB各チームの補強が佳境を迎えています。ポスティングでの移籍を目指すヤクルト・村上 宗隆内野手と巨人・岡本 和真内野手はまだ決まっていませんが、それに先駆ける形で大物の移籍が続々と決まっています。12月9日(現地時間)には、昨シーズンまでニューヨーク・メッツに在籍していたエドウィン・ディアス投手のロサンゼルス・ドジャースへの移籍が報道されました。ディアス投手と言えば、高らかなトランペットの登場曲、「Narco」でも有名なクローザーです。気分が滅入って仕事から逃げたい時に聴くとやる気が出てくる、あの曲「Narco」をドジャーススタジアムでも聴くことができるのでしょうか。今からとても楽しみです。さて、医師偏在対策、病床削減支援、医療DXの推進などを柱とする「医療法等の一部を改正する法律」が、2025年12月5日の参議院本会議で可決・成立しました。本連載(第265回 “米騒動”で農水相更迭、年金法案修正、医療法改正案成立困難を招いた厚労相の責任は?)でも書いてきたように、法案が国会に提出されてから実に10ヵ月、遅れに遅れてやっとの成立です。最重要政策「地域医療構想の見直し」を盛り込んだ医療法の改正「医療法等の一部を改正する法律」は2026年4月1日以降に順次施行されます。「等」と銘打たれているように、複数の医療関連法令をまとめた一括法です。柱は「地域医療構想の見直し」「医師偏在是正に向けた総合的な対策」「医療DXの推進」の3つとなります。一般マスコミの中にはキャッチーな「医師偏在是正」を前面に押し出した記事もありますが、やはり今回の最重要政策は「地域医療構想の見直し」を盛り込んだ医療法の改正だと言えます。「地域医療構想の見直し」は、これまでの地域医療構想の目標年であった2025年が到来したことを受け、2040年を目標年とする「新たな地域医療構想」を作るための政策です。85歳以上人口の増加や、各地での人口減少がさらに進む2040年とその先を見据え、すべての地域・世代の人々が適切に医療・介護サービスを受けながら生活できるための医療提供体制の構築を目的としています。以下に「地域医療構想の見直し」の主なポイントをまとめてみました。1)病床の機能分化だけでなく、外来・在宅、介護との連携、人材確保等の計画も「新たな地域医療構想」の目標年が2040年とされたのは、「団塊ジュニア世代」が全員65歳以上となり、高齢者人口がピークを迎える年と推計されていること、85歳以上の高齢者が大幅に増加し、救急医療や在宅医療、介護との連携といった多様で複雑な医療ニーズが急増すること、日本全体で人口減少が進み、医療従事者を含む働き手の確保が困難になる見込みであることなどが理由です。そうした理由から、これまでの地域医療構想は主に入院医療(病床数の調整、病床の機能分化など)が主体でしたが、「新たな地域医療構想」では「治す医療」と「治し支える医療」の役割分担の明確化とともに、外来医療・在宅医療、介護との連携、人材確保等の計画も含めた、より包括的で地域完結型の医療・介護体制の構築を目指すことになります。2)医療法の規定で「地域医療構想」が「医療計画」よりも上位の概念にこれまで「地域医療構想」は、「医療計画」の記載事項の1つに過ぎませんでした。しかし、今回の法改正で「地域医療構想」が「医療計画」の上位概念に位置付けられることになりました。今後は地域医療構想で地域の医療提供体制全体の将来ビジョン・方向性を定め、それに則って医療機関の分化・連携、病床の機能分化・連携等を進めていくことになります。都道府県が6年ごとに定める「医療計画」は、地域医療構想の具体的な実行計画という位置付けとなり、5疾病・6事業、在宅医療、外来医療、医師確保、医師以外の医療従事者の確保等について、中長期的な計画を立てて進めていくことになります。3)基準病床数は「新たな地域医療構想」における将来(2040年)の病床必要量の範囲内に「医療計画」との関係では、「医療計画」における許可病床の上限数(基準病床数)を、「新たな地域医療構想」における将来(2040年)の病床必要量の範囲内に収めることになります。特定の医療機関の増床計画により、地域の総病床数が必要病床数を上回ってしまう場合は、地域医療構想調整会議で了承が得られた場合に限り増床が許可されます。4)病床機能の区分、「回復期」は「包括期」に名称変更病床機能の区分については、現行の「高度急性期」「急性期」「回復期」「慢性期」という4区分は基本変わりませんが、「回復期」という名称は「包括期」に変更されます。これは、今後増加する高齢者救急等の受け皿として、急性期と回復期の両方の機能を併せ持つ病床が必要との考えからです。「包括期」の機能は、「高齢者救急等を受け入れ、入院早期からの治療とともに、リハビリテーション・栄養・口腔管理の一体的取り組み等を推進し、早期の在宅復帰等を包括的に提供する機能、急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能」と定義されており、従来の「回復期=リハビリテーション」という考え方から大きく変わり、単なる回復期にとどまらず、軽症の急性期患者も対象とし、医療・リハビリ・退院支援を一体的に行う新しい病床機能になります。5)新たに「医療機関機能報告」の制度が創設「新たな地域医療構想」では、医療機関機能に着目して地域医療構想を策定・推進することになっており、それに伴って新たに「医療機関機能報告」の制度が創設されます。「医療機関機能報告」とは、地域(二次医療圏等を基礎とした構想区域)ごとに確保すべき医療機関機能として高齢者救急・地域急性期機能在宅医療等連携機能急性期拠点機能専門等機能より広域な観点で確保すべき医療機関機能として医育及び広域診療機能をそれぞれ位置付け、各医療機関(病床機能報告の対象となる医療機関)が定期的にどのような医療機関機能を有しているかを報告する制度です。なお、1医療機関がさまざまな医療機関機能を担い、1医療機関が報告する医療機関機能は複数になることも想定されています。具体的な「医療機関機能報告」の報告項目、報告方法等の詳細については、これから策定されるガイドラインで明らかにされる予定です。ところで、「医療機関機能報告」の中で「急性期拠点機能」に入るのが「がん診療連携拠点病院等」です。国は、がん診療連携拠点病院等についても連携・再編・集約等を進める考えです。「新たな地域医療構想」における議論では、がん医療を含む急性期医療について、「地域ごとに必要な連携・再編・集約を進め、二次救急医療施設も含めた医療機関において一定の症例数を集約して対応する地域の拠点として対応できる医療機関を確保することが求められる」としています。6)人口規模が小さ過ぎる構想区域は合併、大き過ぎる構想区域は分割「新たな地域医療構想」では、構想区域の考え方も柔軟になります。構想区域については引き続き2次医療圏を基本としつつ、人口規模が20万人未満や100万人以上の構想区域など、医療需要の変化や医療従事者の確保、医療機関の維持、アクセスなどの観点から課題がある場合には、必要に応じて構想区域を見直すことが適当とされました。人口規模が小さ過ぎる構想区域は合併、大き過ぎる構想区域は分割できるようになります。構想区域の具体的な設定方法については、今後策定されるガイドラインにその詳細が盛り込まれる予定です。7)精神医療も地域医療構想で位置付けこれまで地域医療構想の対象外だった精神医療が「新たな地域医療構想」では新しく位置付けられます。精神医療はこれまで、精神障害者の退院促進、地域移行・地域生活支援といった施策を推進することで、「入院医療中心から地域生活中心へ」という精神保健医療福祉施策の基本的方策の実現が図られてきました。今後、2040年頃を見据えると、高齢化の進展等に伴い、精神医療についても入院患者数の減少、病床利用率の低下などが見込まれます。そのため、一般病床と同様、精神科病床についても適正化を進めるとともに、急性期、回復期といった精神病床の機能分化・連携や、救急医療を含む一般医療との連携体制の強化、外来・在宅医療提供体制の整備が行われます。具体的には、2040年頃の精神病床数の必要量を推計した上で、計画的かつ効率的に地域の精神病床等の適正化・機能分化を進めていくことや、一般病床と同様、病床機能報告の対象に精神病床も追加することなどが予定されています。8)病床数の削減を支援する事業を都道府県が実施できるように病床数の削減を支援する事業等が法律で規定され、病床削減への公的支援が明文化されました。都道府県は、医療機関が経営安定のため緊急に病床数を削減する場合に支援事業を実施でき、国が予算の範囲内で費用を補助することができるようになります。これは、自民、日本維新の会、公明の3党合意を踏まえ、当初の法案に衆議院厚生労働委員会で修正・追加された内容です。2025年度補正予算では約3,490億円の「病床数適正化緊急支援基金」を創設し、稼働病床1床当たり410万円、非稼働病床では205万円を支給することになっています。これまでの補助分と合わせ、最大約11万床の削減が想定され、削減後は基準病床数も原則引き下げられます。自らの医療機関がどのような医療機関機能を担っていけるのか、担っていきたいのかの検討を以上述べてきたように、一般病床が主な対象だった地域医療構想が、外来・在宅、介護との連携、人材確保等の計画も含めたより包括的な“構想” へとバージョンアップします。地域医療構想は、医療機関の集約化、統合・再編、病床削減を強力に推し進める強力なツールになったといえます。個々の医療機関の経営者(とそこで働く医師)は、自らの医療機関が現状どのような医療機関機能を担っているのか、そして2040年に向けてどのような医療機関機能を担っていけるのか、あるいはいきたいのかを早急に検討し、医療機関機能報告制度の開始に向け、その準備を進めておく必要があるでしょう。

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第272回 改正医療法が成立、来年度から病床削減・医師偏在・医療DXが同時始動へ/厚労省

<先週の動き> 1.改正医療法が成立、来年度から病床削減・医師偏在・医療DXが同時始動へ/厚労省 2.OTC類似薬と低価値医療について、保険給付の選別が本格化/政府 3.出産無償化へ正常分娩を保険適用、全国一律「分娩基本単価」導入へ/厚労省 4.高齢者の応能負担強化、「通い放題」外来特例にメス/政府 5.美容医療に国がメス 改正医療法で安全管理と情報公開を義務化/厚労省 6.訪問看護付高齢者住宅の過剰請求、2026年度改定でどこまで是正できるか/厚労省 1.改正医療法が成立、来年度から病床削減・医師偏在・医療DXが同時始動へ/厚労省医師偏在対策、病床削減支援、医療DXの推進などを柱とする改正医療法が、2025年12月5日の参議院本会議で可決・成立した。2026年4月以降、順次施行される。今回の改正は、2024年末に厚生労働省がまとめた医師偏在対策と、2040年を見据えた地域医療構想の再設計、さらに電子カルテの全国共有を軸とする医療DXを同時に動かす「構造改革法」と位置付けられる。最大の注目点の1つが「病床削減への公的支援の明文化」である。都道府県は、医療機関が経営安定のため緊急に病床数を削減する場合、支援事業を実施でき、国が予算の範囲内で費用を補助する。2025年度補正予算では約3,490億円の「病床数適正化緊急支援基金」を創設し、稼働病床1床当たり410万円、非稼働病床では205万円を支給する。これまでの補助分と合わせ、最大約11万床の削減が想定され、削減後は基準病床数も原則引き下げられる。実質的に国主導での病床整理が本格化する。医師偏在対策も制度として動き出す。都道府県は「重点医師偏在対策支援区域」を設定し、当該地域で勤務する医師に対して保険料財源による手当を支給できる。その一方で、外来医師が過剰な都市部では、無床診療所の新規開業に事前届け出制を導入し、在宅医療や救急など不足機能の提供を要請できる。したがわない場合は勧告・公表、さらには保険医療機関指定期間の短縮も行われ得る。都市部での開業自由は、制度的に大きく制約される局面に入る。そして、医療DXでは、2030年末までに電子カルテ普及率100%を目標に明記された。電子カルテ情報共有サービスの全国展開、感染症発生届の電子提出、NDB(全国レセプト・健診データ)の仮名化データ提供などが法的に後押しされる。今後は医療機関にとって、電子カルテ未導入のままでは制度対応が困難になる。さらに、地域医療構想は「病床中心」から「入院・外来・在宅・介護の一体設計」へ刷新される。高齢者救急、地域急性期、在宅連携、急性期拠点、専門機能といった医療機関機能の報告制度が新設され、2040年を見据えた再編の基盤となる。加えて、美容医療への規制整備も盛り込まれ、安全管理措置の報告義務や管理者要件(一定期間の保険診療従事歴)などが導入される。自由診療偏重への歯止めが制度として明確になった。今回の改正は、病床・開業・人材・DX・自由診療までを横断的に再設計する点に本質がある。医療機関、勤務医、開業医すべてにとって、経営・キャリア・診療体制の前提条件が同時に変わる転換点となる。 参考 1)医療法等の一部を改正する法律案の概要(厚労省) 2)医師の偏在対策へ 改正医療法など参院本会議で可決・成立(NHK) 3)医師の偏在是正、開業抑制へ DX推進や手当増も、改正医療法(東京新聞) 4)都市部の診療所、26年度から開業抑制 改正医療法が成立(日経新聞) 5)改正医療法が成立 病床削減支援盛り込み 美容医療は規制整備へ(毎日新聞) 6)病床削減の支援事業盛り込む、改正医療法成立 医療機関機能の報告制度を創設(CB news) 2.OTC類似薬と低価値医療について、保険給付の選別が本格化/政府政府は社会保障改革の柱として、「OTC類似薬」の患者負担見直しを2025年内に結論付け、2026年度予算・制度改正へ反映させる方針を明確化した。高市 早苗首相は経済財政諮問会議で、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し、金融所得の反映を含む応能負担の徹底、高額療養費制度の見直しを年末までに整理するよう財務相・厚労相に指示した。狙いは現役世代の保険料負担軽減と医療費抑制である。一方、自由民主党と日本維新の会の協議は難航している。維新はOTC類似薬の「保険適用除外」による最大1兆円の医療費削減を主張してきたが、自民・厚生労働省は必要な受診抑制や患者負担増への懸念から慎重姿勢を崩していない。現在は「保険適用を維持した上で、特別料金として定率上乗せする案」と「原則、自費化し配慮対象のみ保険適用とする案」が併存し、党内でも意見が割れている。これに対し、全国保険医団体連合会はOTC類似薬の保険適用継続を求める21万筆の署名を提出し、患者団体・医療団体の反対姿勢も鮮明化した。同時期に厚労省は「低価値医療」対策にも着手し、風邪への抗菌薬投与や腰痛への一部鎮痛薬など、科学的有効性に乏しい診療行為を2028年度診療報酬改定で抑制・保険除外も視野に入れる方針を示した。OTC類似薬の問題は、単なる薬剤負担の見直しにとどまらず、「保険給付の選別」と「低価値医療排除」を同時に進める医療費構造改革の試金石となりつつある。 参考 1)社会保障分野における今後の対応について(経済財政諮問会議) 2)高市首相 「OTC類似薬」含む薬剤自己負担など年末までに結論を(NHK) 3)風邪に抗菌薬・腰痛に一部鎮痛薬、効果乏しい「低価値医療」は年1,000億円以上…医療保険の対象除外化も検討(読売新聞) 4)「OTC類似薬」足踏みの自維協議 保険適用除外、維新内で意見分裂(朝日新聞) 5)OTC類似薬の保険適用「継続を」21万筆署名提出-保団連(CB news) 3.出産無償化へ正常分娩を保険適用、全国一律「分娩基本単価」導入へ/厚労省厚生労働省は、12月4日に開かれた社会保障審議会医療保険部会で、正常分娩を公的医療保険の対象とし、全国一律の「分娩基本単価」を設定して自己負担をゼロにする案を提示した。現在の出産育児一時金(50万円)は廃止し、分娩費を現物給付で賄う方向で、導入は2027年度以降とされる。正常分娩はこれまで自由診療で、24年度の平均費用は約52万円と物価高もあり上昇傾向となっており、東京都と熊本県では20万円超の地域差もある。出産育児一時金の引き上げに合わせて費用も上昇するという「いたちごっこ」や、費用が一時金を下回る場合に差額が妊婦側に渡る仕組みへの公平性の疑問も指摘されてきた。新制度では、標準的な出産費用をカバーする全国一律の基本単価を設定し、「基本単価×分娩件数」を産科医療機関の収入とする包括払いが想定されている。安全な分娩のための手厚い人員・設備体制や、ハイリスク妊婦の積極受け入れには加算評価を行う方向である。その一方で、帝王切開など異常分娩や妊娠合併症への対応は従来通り3割負担の保険診療を継続し、「お祝い膳」やエステ、写真撮影などアメニティは保険外で原則自己負担とする。産科側からは、基本単価が不十分だとクリニックの撤退が進み、周産期医療体制が崩壊しかねないとの懸念が強く、日本産婦人科医会などは慎重な検討を要請している。他方で、包括払いにより年間収入の予見可能性が高まることや、サービス内容の「見える化」により妊婦が納得して施設を選択できる利点もある。厚労省は施設の準備状況を踏まえ、現行の一時金制度と新制度を一定期間併存させつつ段階的に移行する案も示しており、少子化対策と産科医療提供体制の両立をどう図るかが、今後の焦点となる。 参考 1)医療保険制度における出産に対する支援の強化について(厚労省) 2)出産無償化へ「分娩費用」を全額公的保険で、全国一律の「公定価格」定める案提示…実施は27年度以降の見通し(読売新聞) 3)出産無償化へ、分娩費用を全国一律に 厚労省案「お祝い膳」など対象外 業界、収益悪化を懸念(日経新聞) 4)分娩費に「基本単価」設定 厚労省案 手厚い人員体制などへの評価検討(CB news) 5)産科医療機関を維持できる水準の「正常分娩1件当たりの基本単価」を設定、妊産婦の自己負担はゼロへ-社保審・医療保険部会(Gem Med) 4.高齢者の応能負担強化、「通い放題」外来特例にメス/政府12月5日に開かれた経済財政諮問会議で、2026年度予算編成方針として、医療・介護費の「応能負担」の徹底と、現役世代の保険料率の上昇を止め引き下げを目指す方針が示された。民間議員からは、物価高・賃上げを診療報酬などに適切に反映しつつ、高齢者を中心に金融所得や資産も踏まえた負担を求めるべきとし、OTC類似薬を含む薬剤自己負担、高額療養費制度、介護利用者負担の見直しを年末までに結論付けるよう求めた。厚生労働省はこれと並行して、高額療養費制度の具体的な見直し案を調整中である。70歳以上の外来医療費を抑える「外来特例」については、月額上限(現行1万8,000円など)の引き上げや対象年齢引き上げを検討し、現役世代に存在しない実質「通い放題」状態を是正する。その一方で、がん・難病など長期療養患者向けの「多数回該当」は、上限引き上げ案への強い反発を受け、上限額据え置きとする方向で一致しつつあり、月単位で上限に届かない患者にも対応するため、新たに年間の負担上限を設ける案も示された。所得区分も細分化し、高所得高齢者には2~3割負担を拡大する一方、低所得層の負担増は避けるとされる。さらに、後期高齢者医療制度から、株式配当など金融所得を保険料算定に反映させるため、法定調書とマイナンバーを用いた情報基盤整備が進められている。これら一連の改革は、2026年度診療報酬改定での賃上げ対応とセットで、高齢者負担の精緻化と給付の重点化を通じ、現役世代の保険料負担を抑制することが狙いであり、医療現場には高齢患者の受診行動や窓口負担の変化を踏まえた説明と支援体制の整備が求められる。 参考 1)社会保障改革の新たなステージに向けて(経済財政諮問会議) 2)医療・介護費「応能負担の徹底を」 諮問会議の民間議員(日経新聞) 3)70歳以上の負担上限引き上げ 高額療養費見直し 厚労省調整(時事通信) 4)長期治療患者の軽減策を維持 高額療養費見直し案判明、厚労省(東京新聞) 5)高額療養費制度 「多数回該当」の上限額据え置きで調整 厚労省(NHK) 5.美容医療に国がメス 改正医療法で安全管理と情報公開を義務化/厚労省若手医師が、初期研修後すぐに美容医療へ進む「直美(ちょくび)」問題が国会で相次いで取り上げられ、上野 賢一郎厚生労働大臣は「多くの医師が特定の診療科を選択するのは好ましくない」と述べ、医師偏在や医療安全の観点から懸念を示した。形成外科や救急科、麻酔科などの十分な臨床経験を経ずに美容医療に従事する若手医師が増えることで、合併症対応や重篤事例への対処能力が不足している点が問題視されている。こうした状況を受け、2025年12月に成立した改正医療法では、美容医療に対する規制整備が盛り込まれた。具体的には、美容医療を実施する医療機関に対し、専門医資格の有無、安全管理体制、合併症対応の体制などを都道府県へ定期的に報告・公表させる制度を新設し、行政が実態を把握できる仕組みを整える。背景には、美容医療を巡る深刻な被害の急増がある。国民生活センターへの相談はこの10年で約5倍に増え、2024年度は1万737件と過去最多、合併症や後遺症の相談も約900件に達した。レーザー脱毛による熱傷、脂肪吸引後の高熱・感染症、充填剤による慢性炎症や敗血症など、生命に関わる事例も多い。美容医療は原則自由診療であり、後遺症や合併症の治療も保険適用外となるケースが多く、患者は長期にわたる高額な自己負担を強いられている。その一方で、施術を行った美容クリニックが合併症対応を十分に行えず、救急搬送先が見つからない事例も相次いでいる。こうした中、春山記念病院(東京都)のように、美容医療の合併症に特化した救急外来を設置し、提携クリニックが治療費を負担する新たな連携モデルも生まれている。厚生労働省は、安全管理報告の義務化や合併症対応指針の整備を進めており、今後、美容医療は「自由診療だから自由」という扱いから、安全性と責任を強く問われる分野へと転換点を迎えている。 参考 1)改正医療法が成立 病床削減支援盛り込み 美容医療は規制整備へ(毎日新聞) 2)若手医師が美容医療に直接進む「直美(ちょくび)」、国会で質疑 厚労相「好ましくない」(産経新聞) 3)美容医療、被害相談が急増 後遺症など不十分な対応多く(日経新聞) 6.訪問看護付高齢者住宅の過剰請求、2026年度改定でどこまで是正できるか/厚労省訪問看護ステーション併設のホスピス型住宅を巡り、診療報酬の見直しが本格化している。日本在宅医療連合学会が行なった調査結果では、ホスピス型住宅で訪問診療を行う医師の4割が「訪問看護指示書に虚偽病名や頻回訪問の記載を求められた経験あり」と回答し、こうした要請を断った結果、主治医変更などの圧力を受けた医師は6割に及んだ。外部の訪問看護ステーション利用を原則認めない住宅も9割近くに達し、「同一建物・高頻度訪問」に診療報酬が集中する現在の仕組みの歪みが露呈している。厚生労働省は、2026年度の診療報酬改定に向けて、高齢者住宅入居者への訪問看護について医療保険点数を細分化し、同一建物内の多数利用・短時間の頻回訪問に対する評価を引き下げる方針を11月12日の中央社会保険医療協議会(中医協)で示した。介護保険ですでに導入されている「同一建物減算」を参考に、利用者数や訪問回数に応じた段階的減算や、1日複数回訪問の新たな評価区分創設が検討されている。また、頻回訪問を医療保険で認める条件として、訪問看護指示書に主治医の医学的判断と必要性を明記させる案も中医協で議論されている。医師側への影響は小さくない。第1にホスピス型住宅への訪問診療を収益の柱としてきた在宅クリニックでは、併設訪問看護の報酬が縮小すれば、全体の経営モデルの見直しを迫られる。住宅側から「点数を落とさないように」と指示書への記載を求められる場面は今後さらにグレーゾーン化し、監査リスクも高まる。虚偽病名や過剰指示への関与は、事業者だけでなく医師自身も問われかねない。一方で、診療報酬側に明確なルールが入ることで、「指示書を書かされている」医師の立場はむしろ守られる可能性もある。頻回訪問が必要な末期がんや難病患者については、医学的根拠を添えて指示を出せば正当に評価される一方、「全員一律1日3回」といった運用は点数上もメリットを失い、事業者のインセンティブは弱まる。結果として、患者の症状に応じた訪問頻度の再設計が求められるだろう。ホスピス型住宅は本来、自宅療養が困難な終末期患者の受け皿として一定の役割を果たしてきた。その社会的ニーズを認めつつ、「営利目的の頻回訪問」と「必要な24時間体制」を診療報酬でどう切り分けるかが次改定の焦点となる。医師には、自らの訪問看護指示がどのような点数体系に乗っているのかを理解し、不適切な請求に巻き込まれない距離感と、必要な患者には十分な看護支援を確保する姿勢の両立が求められている。 参考 1)中央社会保険医療協議会資料 在宅その3(厚労省) 2)ホスピス型住宅における訪問看護と訪問診療の連携に関する実態調査結果(速報)(日本在宅医療連合学会) 3)ホスピス型住宅における訪問看護と訪問診療の連携に関する実態調査報告(同) 4)ホスピス住宅、医師に不適切要求 虚偽の病名や過剰な訪問回数(共同通信) 5)過剰な訪問看護の是正へ診療報酬下げ 厚労省、一部事業所が高収益で(日経新聞) 6)ホスピス型住宅への訪問看護指示書、4割の医師が不適切な記載を要求された経験あり(日経メディカル) 7)今、話題のホスピス型住宅を現場の医師はどう見ているか(同)

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コミュニケーションを通じて希望を支える【非専門医のための緩和ケアTips】第113回

コミュニケーションを通じて希望を支える「希望」は誰にとっても大切なものですよね。希望があるからこそ、大変なことも頑張ることができます。ただ、われわれが医療現場でケアを提供する患者さんは難しい状況にある方も多く、希望を持つことを支える難しさがあるのも事実です。今回の質問がん拠点病院と当院に通っている患者さんと話をしていた時のことです。がん拠点病院の主治医より「がんが進行して、もうできることはありません」と説明されたことが、非常につらかったと話していました。がんに対する治療効果がもう期待できないのは事実であっても、もう少し希望を支えるような伝え方が望ましいのではないでしょうか?緩和ケアの臨床では、患者さんに治療継続が難しいことや、思ったような治療効果が得られなかったことを伝えなければならない場面が多くあります。患者さんにとって非常につらい場面ですが、伝える医療者側もつらいものです。とくに時間をかけて共に治療に取り組んできた患者さんになると、医療者側も簡単に割り切ることが難しいでしょう。そういった場面で希望を支えるためのコミュニケーションとは、どのようなものでしょうか?こうした場面で意識したいのは、「できないこと」に目を向けるのではなく、「これまでと変わらず提供することや保証できること」を合わせて伝えることです。「できないこと」だけを伝えるのが、今回の質問にある「もうできることはありません」という説明でしょう。多くの場合、この強烈な言葉の後に「なので、緩和ケア病棟に紹介します」という言葉が続きます。患者は非常に強い衝撃を受け、「見捨てられた」という感覚に陥ります。主治医とのそれまでの関係が深ければ、なおさらでしょう。そして、その文脈で提案される緩和ケア病棟は、「治療ができないから仕方なく行く場所」というイメージを抱かせます。これが緩和ケア病棟や在宅で支えるスタッフとの関係構築を難しくさせる一因です。では、どのようにコミュニケーションをとればよいのでしょうか?たとえば、先ほどの説明を以下のように変えてみたらどうでしょうか。「病状を考えると、今やっている治療は中止したほうがよいと思います。ただ、これからも引き続き症状を和らげる治療や、過ごしたい場所で過ごせるようにサポートは取り組んでいきますから。ただ、外来への通院が負担になってきていると思うので、必要なときは訪問診療や症状を和らげる専門の病棟である緩和ケア病棟に、より手厚くサポートしてもらうようにも相談できます。引き続き、ベストを尽くしていきますからね」少し在宅医療や緩和ケア病棟への期待を盛り過ぎかもしれませんが、この領域で臨床をしてきた私としては、冒頭の「残念ですが、緩和ケア病棟に行ってください」という説明よりは、ずっとその後の対応がしやすくなると考えます。患者さんに近い看護師や薬剤師などを交え、こうした説明方法を多職種で議論する機会を持つことも有効かもしれません。今回のTips今回のTips状況が厳しい患者さんへの説明、できないことだけでなく、できることや続けることを一緒に伝えましょう。

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第271回 18.3兆円補正予算案、医療・介護1.4兆円を計上 病床削減基金と賃上げ支援を両立へ/政府

<先週の動き> 1.18.3兆円補正予算案、医療・介護1.4兆円を計上 病床削減基金と賃上げ支援を両立へ/政府 2.OTC類似薬を保険から外さず 選定療養型の負担上乗せを検討/厚労省 3.インフルエンザが記録的ペースで拡大、39都道府県で警報レベルに/厚労省 4.医師偏在是正へ、自由開業原則が転換点に 都市部抑制が本格化/政府 5.病院7割赤字・診療所も利益率半減の中、診療報酬改定の基本方針まとまる/厚労省 6.介護保険の負担見直し本格化 現役世代の保険料増に対応/厚労省 1.18.3兆円補正予算案、医療・介護1.4兆円を計上 病床削減基金と賃上げ支援を両立へ/政府政府は11月28日、2025年度補正予算案(一般会計18.3兆円)を閣議決定した。電気・ガス料金支援や食料品価格対策など物価高対応に加え、AI開発や造船業を含む成長投資、危機管理投資を盛り込んだ大型編成となった。歳入の6割超を国債追加発行で賄う一方、補正予算案は今後の国会審議で与野党の議論に付される。野党は「規模ありきで緊要性に疑問がある項目もある」とし、効果の精査を求める姿勢。厚生労働省関連では、総額約2.3兆円を計上し、その中心となる「医療・介護等支援パッケージ」には1兆3,649億円を充てる。医療現場では物価高と人件費上昇を背景に病院の67%超が赤字に陥っており、政府は緊急的な資金投入を行う。医療機関への支援では、病院に対し1床当たり計19.5万円(賃金分8.4万円・物価分11.1万円)を交付し、救急を担う病院には受入件数などに応じて500万円~2億円の加算を認める。無床診療所には1施設32万円、薬局・訪問看護にも相応の支援額を措置し、医療従事者の賃上げと光熱費上昇分の吸収を図る。介護分野では、介護職員1人当たり最大月1.9万円の「3階建て」賃上げ支援を半年分実施する。処遇改善加算を前提とした1万円に、生産性向上の取り組みで5千円、職場環境改善で4千円を積み増す仕組みで、慢性的な人材不足に対応する狙いとなっている。一方で、今回の補正予算案は「病床適正化」を強力に後押しする構造転換型の性格も持つ。人口減少に伴い全国で11万床超が不要になると見込まれるなか、政府は「病床数適正化緊急支援基金」(3,490億円)を新設し、1床削減当たり410万4千円、休床ベッドには205万2千円を支給する。応募が殺到した昨年度補正を踏まえ、今回はより広範な病院の撤退・統合を促す政策的メッセージが込められている。日本医師会は「補正は緊急の止血措置に過ぎず、本格的な根治治療は2026年度診療報酬改定」と強調するとともに、「医療機関の経営改善には、物価・賃金上昇を踏まえた恒常的な財源措置が不可欠」と訴えている。補正予算案は12月上旬に国会へ提出される予定で、与党は成立を急ぐ。一方で、野党は財源の国債依存や事業の妥当性を追及する構えで、賃上げ・病床再編など医療政策の方向性が国会審議で問われる見通し。 参考 1) 令和7年度厚生労働省補正予算案の主要施策集(厚労省) 2) 令和7年度文部科学省関係補正予算案(文科省) 3) 25年度補正予算案18.3兆円、政府決定 物価高対策や成長投資(日経新聞) 4) 補正予算案 総額18兆円余の規模や効果 今後の国会で議論へ(NHK) 5) 厚生労働省の今年度の補正予算案2.3兆円 医療機関や介護分野への賃上げ・物価高対策の「医療・介護等支援パッケージ」に約1.3兆円(TBS) 6) 令和7年度補正予算案が閣議決定されたことを受けて見解を公表(日本医師会) 7) 介護賃上げ最大月1.9万円 医療介護支援に1.3兆円 補正予算案(朝日新聞) 2.OTC類似薬を保険から外さず、選定療養型の負担上乗せを検討/厚労省厚生労働省は、11月27日に開催された「社会保障審議会 医療保険部会」において、市販薬と成分や効能が近い「OTC類似薬」の保険給付の在り方について、医療費適正化の一環として保険適用から外す方針を変更し、自己負担を上乗せとする方向を明らかにした。日本維新の会は自民党との連立政権合意書には、「薬剤の自己負担の見直しを2025年度中に制度設計する」と明記されていたため、維新側からは「保険適用から外すべき」との主張もあった。しかし、社会保障審議会・医療保険部会や患者団体ヒアリングでは、負担増による受診控えや治療中断への懸念が強く示され、11月27日の部会では「保険給付は維持しつつ、患者に特別の自己負担を上乗せする」案が厚労省から提示され、異論なく事実上了承された。追加負担の設計にあたっては、選定療養の仕組みを参考に、通常の1~3割負担に加え一定額を患者が負担するイメージが示されている。一方で、18歳以下、指定難病やがん・アレルギーなど長期的な薬物療法を要する患者、公費負担医療の対象者、入院患者などについては、特別負担を課さない、あるいは軽減する方向での配慮が必要との意見が相次いだ。低所得者への配慮と、現役世代の保険料負担抑制のバランスが論点となる。どの薬を特別負担の対象とするかも課題である。OTC類似薬といっても、有効成分が同じでも用量や効能・効果、剤形などが市販薬と異なる場合が多く、「単一成分で、用量・適応もほぼ一致し、市販薬で代替可能な医薬品」に絞るべきとの指摘が出ている。日本医師会からは、製造工程の違いによる効果の差や、個々の患者の病態に応じた代替可能性の検証が不可欠とされ、制度が複雑化して現場負担が過度に増えないよう、シンプルな設計を求める声も挙がった。同じ部会では、「効果が乏しいとのエビデンスがある医療」として、急性気道感染症の抗菌薬投与に加え、「神経障害性疼痛を除く腰痛症へのプレガバリン投与」を医療費適正化の重点として例示する案も提示された。高齢化と医療高度化で膨張する医療費のもと、OTC類似薬の特別負担導入と低価値医療の抑制を組み合わせ、保険財政の持続可能性を確保しつつ、必要な受診や治療をどう守るかが、今後の診療報酬改定・制度改革の大きな焦点となる。 参考 1) OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しの在り方について(厚労省) 2) OTC類似薬“保険給付維持 患者自己負担上乗せ検討”厚労省部会(NHK) 3) OTC類似薬、保険適用維持へ 患者負担の追加は検討 厚労省(朝日新聞) 4) OTC類似薬の保険給付維持、厚労省が軌道修正 患者に別途の負担求める方針に(CB news) 3.インフルエンザが記録的ペースで拡大、39都道府県で警報レベルに/厚労省全国でインフルエンザの流行が急拡大している。厚生労働省によると、11月17~23日の1週間に定点約3,000ヵ所から報告された患者数は19万6,895人で、1医療機関当たり51.12人と今季初めて50人を突破。前週比1.35倍と増勢が続き、現在の集計方式で最多を記録した昨年末(64.39人)に迫る水準となった。都道府県別では宮城県(89.42人)、福島県(86.71人)、岩手県(83.43人)など東北地方を中心に39都道府県で「警報レベル」の30人を超えた。愛知県で60.16人、東京都で51.69人、大阪府で38.01人など大都市圏でも増加している。学校などの休校や学級・学年閉鎖は8,817施設と前週比1.4倍に急増し、昨季比で約24倍と際立つ。流行の早期拡大により、ワクチン接種が十分に行き届く前に感染が広がった可能性が指摘されている。また、国立健康危機管理研究機構が、9月以降に解析したH3亜型からは、新たな「サブクレードK」が13検体中12検体で検出され、海外でも報告が増えている。ワクチンの有効性に大きな懸念は現時点で示されていないが、感染力がやや高い可能性があり、免疫のない層が一定数存在するとの見方がある。小児領域では、埼玉県・東京都などで入院児が増加し、小児病棟の逼迫例も報告される。インフルエンザ脳症など重症例も散見され、昨季と同様の医療逼迫が年末にかけ迫る可能性が指摘されている。専門家は、学校での換気や症状時のマスク着用、帰宅時の手洗い徹底に加え、ワクチン接種の早期検討を促している。新型コロナの感染者は減少傾向にあるが、インフルエンザの急拡大に備え、社会全体での感染対策と医療体制の確保が急務となっている。 参考 1) 2025年 11月28日 インフルエンザの発生状況について(厚労省) 2) インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数の推移(同) 3) インフル全国で流行拡大、感染者は前週の1.35倍 新たな変異も(朝日新聞) 4) インフルエンザの患者数 1医療機関当たり 今季初の50人超え(NHK) 5) インフル感染19万人、2週連続で「警報レベル」 コロナは減少(産経新聞) 4.医師偏在是正へ、自由開業原則が転換点に 都市部抑制が本格化/政府政府は、深刻化する医師偏在を是正するため、医療法などを改正する法案を衆議院本会議で可決した。今国会中の成立が見込まれている。改正案では、都市部に集中する外来医師数を抑制し、医療資源の維持が難しい地域への医師誘導を強化する内容で、開業規制の導入は戦後初の本格的措置となる。背景には、2040年前後に85歳以上の高齢者人口が急増し、救急・在宅医療需要が著しく高まる一方、生産年齢人口は全国的に減少し、地域により医療提供体制の崩壊リスクが顕在化している構造的問題がある。改正案では、都道府県が「外来医師過多区域」を指定し、当該区域で新規開業を希望する医師に対し、救急・在宅などの不足機能への従事を要請できる仕組みを導入する。開業6ヵ月前の事前届出制を新設し、要請への不従事が続く場合は医療審議会で理由説明を求め、公表や勧告、保険医療機関指定期間の短縮(6年→3年)を可能とする強力な運用が盛り込まれた。一方、医師が不足する地域については「重点医師偏在対策支援区域」を創設し、診療所承継・開業支援、地域定着支援、派遣医師への手当増額など、経済的インセンティブを付与する。財源は健康保険者の拠出とし、現役世代の保険料負担の上昇が避けられない可能性も指摘されている。また、保険医療機関の管理者には、一定の保険診療経験(臨床研修2年+病院での保険診療3年)を要件化し、医療機関の質の担保を強化する。加えて、オンライン診療の法定化、電子カルテ情報共有サービスの全国導入、美容医療の届出義務化など、医療DXを基盤とした構造改革も並行して進める。今回の法改正は、「医師の自由開業原則」に制度的な調整を加える大きな転換点であり、診療所の新規開設や地域包括ケアとの連携、勤務環境整備に大きな影響を与えるとみられる。 参考 1) 医療法等の一部を改正する法律案の閣議決定について(厚労省) 2) 医師の偏在対策 医療法改正案が衆院本会議で可決 参院へ(NHK) 3) 医師偏在是正、衆院通過 開業抑制、DXを推進(共同通信) 5.病院7割赤字・診療所も利益率半減の中、診療報酬改定の基本方針まとまる/厚労省2026年度診療報酬改定に向け、厚労省は社会保障審議会医療部会を開き、令和8年度診療報酬改定の基本方針(骨子案)を明らかにした。これに加えて、医療経済実態調査、日本医師会からの要望が出そろい、改定論議が最終局面に入った。骨子案は4つの視点を掲げ、このうち「物価や賃金、人手不足等への対応」を「重点課題」と位置付ける。物価高騰と2年連続5%超の春闘賃上げを背景に、医療分野だけ賃上げが遅れ、人材流出リスクが高まっているとの認識だ。一方で、24年度医療経済実態調査では、一般病院の損益率(平均値)は-7.3%、一般病院の約7割が赤字と報告された。診療所も黒字は維持しつつ損益率は悪化し、医療法人診療所の利益率は前年度のほぼ半分に低下している。急性期ほど材料費比率が高く、物価高と医薬品・診療材料費の上昇が経営を直撃している構図が鮮明になった。日本医師会の松本 吉郎会長は、26年度改定では「単年度の賃金・物価上昇分を確実に上乗せする」対応を現実的選択肢とし、基本診療料(初再診料・入院基本料)を中心に反映すべきと主張する。ベースアップ評価料は対象職種が限定されており、現場の賃上げに十分つながっていないとの問題意識だ。さらに、改定のない奇数年度にも賃金・物価動向を当初予算に自動反映する「実質・毎年改定」を提案し、物価スライド的な仕組みの恒常化を求めているが、財源にも制約があるため先行きは不明。厚生労働省が示した骨子案には、物価・賃金対応に加え、「2040年頃を見据えた機能分化と地域包括ケア」「安心・安全で質の高い医療」「効率化・適正化による制度の持続可能性」を並列して掲げる。後発品・バイオ後続品の使用促進、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し、費用対効果評価の活用など、負担増や給付適正化を通じた現役世代保険料抑制も明記されており、医療側が求める「救済一色」とはなっていない。医療部会では、病院団体から「過去2年分の賃上げの未達分も含めた上積み」や、医療DXとセットでの人員配置基準の柔軟化を求める声が上がる一方、保険者・経済界からは「視点1だけを重点課題とするのは違和感」「経営状況に応じたメリハリ配分を」との意見も出された。地域医療については、在宅医療・訪問看護や「治し支える医療」の評価、過疎地域の実情を踏まえた評価、かかりつけ医機能の強化などを通じ、2040年の高齢化ピークと医療人材不足に耐え得る体制構築をめざす。しかし、医療経済実態調査が示すように、一般病院も診療所もすでに利益率は薄く、「診療所の4割赤字から7割赤字の病院へ財源を振り替えても地域医療は守れない」とする日本医師会の主張も重くのしかかる。補正予算での物価・賃金対応は「大量出血に対する一時的な止血」に過ぎず、26年度本体改定でどこまで「根治療法」に踏み込めるかが焦点となる。この骨子案をもとにして、12月上旬に基本方針が正式決定され、年末の改定率、来年以降の中医協個別項目論議へと舞台は移る。医療機関の経営と人材確保に直結するため、次期改定に向けて「真水」の財源確保と、DX・タスクシフトを含む構造改革のバランスに注視する必要がある。 参考 1) 令和8年度診療報酬改定の基本方針 骨子案(厚労省) 2) 2026年度診療報酬改定「基本方針」策定論議が大詰め、「物価・人件費高騰に対応できる報酬体系」求める声も-社保審・医療部会(Gem Med) 3) 医療人材確保が困難さを増す中「多くの医療機関を対象にDX化による業務効率化を支援する」枠組みを整備-社保審・医療部会(同) 4) 日医・松本会長 26年度改定で賃金物価は単年度分上乗せが「現実的」 27年度分は大臣折衝で明確化を(ミクスオンライン) 5) 厚労省・24年度医療経済実態調査 医業費用の増加顕著 急性期機能高いほど材料費等の上昇が経営を圧迫(同) 6) 24年度の一般病院の損益率は▲7.3%、一般診療所は損益率が悪化-医療経済実態調査(日本医事新報) 6.介護保険の負担見直し本格化 現役世代の保険料増に対応/厚労省高齢化による介護給付費の増大を背景に、厚生労働省は介護保険サービス利用時に「2割負担」となる対象者の拡大を本格的に検討している。介護保険は、現在、原則1割負担で、単身年収280万円以上が2割、340万円以上が3割負担とされているが、所得基準を280万円から230~260万円へ引き下げる複数案が示され、拡大対象者は最大33万人に達する。介護保険の制度改正によって、年間で40~120億円の介護保険料の圧縮効果が見込まれ、財政面では国費20~60億円、給付費80~240億円の削減に寄与するとされる。現役世代の保険料負担が増す中で、所得や資産のある高齢者に応分の負担を求める狙いがある。一方、新たに2割負担となる利用者では、1割負担時に比べ最大月2万2,200円の負担増が生じるため、厚労省は急激な負担増を避ける「激変緩和策」として、当面は増額分を月7,000円までに抑える案を提示。預貯金額が一定額以下の利用者(単身300~700万円、または500万円以下など複数案)については申請により1割負担を据え置く仕組みも検討されている。資産要件の把握には、特別養護老人ホームの補足給付で用いられている金融機関照会の仕組みを参考に、自治体が認定証を交付する方式が想定されている。介護保険の自己負担率引き上げは、2015年の2割導入、2018年の3割導入以降も議論が続いてきたが、高齢者の負担増への反発で3度先送りされてきた。政府は、2025年末までに結論を出す方針を示し、現役世代の急速な負担増への対応は喫緊の課題となっている。26年度からは少子化対策による医療保険料上乗せも始まり、改革の遅れは賃上げ効果を相殺し国民負担をさらに押し上げる懸念が指摘される。今回の試算と緩和策の提示により、年末の社会保障審議会での議論が加速するとみられる。 参考 1) 介護保険料40~120億円圧縮 2割負担拡大巡り厚労省4案(日経新聞) 2) 介護保険料120億円減も 2割負担拡大で厚労省試算(共同通信) 3) 介護保険サービス自己負担引き上げで増額の上限を検討 厚労省(NHK)

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へき地の在宅医療の利用実態が判明/頴田病院・横浜市立大

 わが国では、急激な高齢化と地方での医療者の不足により医療の地域偏在が問題となって久しい。では、実際にこの偏在、とくに在宅医療の利用について、地域格差はどの程度あるのであろうか。この問題について、柴田 真志氏(頴田病院)と金子 惇氏(横浜市立大学大学院データサイエンス研究科)の研究グループは、レセプトデータを用いて、在宅医療利用の地域格差を調査した。その結果、日本全国で在宅医療の利用率に数十倍の地域格差が存在することがわかった。この結果は、Journal of General Internal Medicine誌オンライン版2025年10月30日号で公開された。 研究グループは、2019~20年度のレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)から全国335の二次医療圏の在宅医療利用の実態を分析した。分析では、「訪問診療、緊急往診、死亡診断書、終末期ケア」の4指標を設定し、年齢・性別を調整した標準化レセプト出現比(SCR)を算出し、「へき地度」を表す尺度である「Rurality Index for Japan」(RIJ)との相関を分析した。 主な結果は以下のとおり。・SCRの最大値と最小値の比率は、訪問診療で82.0、緊急往診で210.3、死亡診断書で33.2、終末期ケアで29.5と顕著な地域格差が確認された。・SCRとRIJのスピアマンの順位相関係数は、訪問診療で-0.619、緊急往診で-0.518、死亡診断書で0.225、終末期ケアで-0.541だった(すべてp<0.001)。 研究グループは、この結果から「全国で在宅医療の利用率に数十倍の地域格差が存在し、へき地ほどほとんどのサービス利用率が低い。これらの結果は、地理的障壁が在宅医療へのアクセスに重大な影響を与えることを示唆し、RIJがこうした医療格差を特定・是正する有効な指標として有用であることを示している。わが国のへき地における在宅医療への公平なアクセス改善に向け、対象を絞った政策介入の指針となる」と結論付けている。

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第269回 2026年度改定の主戦場は外来診療 かかりつけ医機能報告制度が“新たな物差し”に/財務省

<先週の動き> 1.2026年度改定の主戦場は外来診療 かかりつけ医機能報告制度が“新たな物差し”に/財務省 2.インフルエンザ12週連続増加 5県で警報レベル、過去2番目の早さで流行拡大/厚労省 3.医師少数区域を再定義、へき地尺度の導入で支援対象を拡大/厚労省 4.大学病院の医師処遇改善へ、給与体系見直しと研究時間確保に向け取りまとめ/政府 5.12月2日からマイナ保険証へ全面移行 期限切れ保険証は3月末まで有効に/厚労省 6.高齢者3割負担拡大も議論加速へ、金融所得の保険料反映が本格化/政府 1.2026年度改定の主戦場は外来診療 かかりつけ医機能報告制度が“新たな物差し”に/財務省2026年度の診療報酬改定に向け、財務省が「診療所・調剤薬局の適正化」を強く打ち出し、開業医を巡る環境が一段と厳しくなりつつある。焦点は、今年度スタートした「かかりつけ医機能報告制度」を土台に、機能を十分に果たしていない診療所の報酬を減算し、機能を発揮する診療所に評価を集中させる方向性だ。具体的には、報告制度上の「1号機能」を持たない医療機関の初診・再診料を減算し、【機能強化加算】【外来管理加算】は廃止、【地域包括診療料・加算】は認知症地域包括診療料などと統合し、発展的改組という案が財政制度等審議会で示されている。かかりつけ医機能報告制度では、研修修了や総合診療専門医の有無、17診療領域・40疾患の1次診療対応、患者からの相談対応などを「1号機能」として毎年報告し、時間外診療・在宅・介護連携などを「2号機能」として申告する。かかりつけ医機能報告制度は今年度始まったばかりで、初回報告が2026(令和8)年1月頃に予定されている。その結果が今後の加算要件・減算判定の「物差し」となる可能性が高い。これにより、機能強化加算と地域包括診療料などの加算要件が報告制度と整合的に整理される可能性がある。財務省は、診療所は過去に「高い利益率を維持してきた」とし、物価・賃上げ対応は病院に重点配分すべきと主張する一方、無床診療所などの経常利益率は中央値2.5%、最頻値0~1%と低水準であり、インフレ下で悪化しているとの日本医師会のデータも示されている。日本医師会の松本 吉郎会長は、開業医の高収入イメージを強調する財務省資料は「恣意的」と強く批判し、補助金終了後の厳しい経営実態を踏まえた「真水」の財源確保と十分な改定率を求めている。開業医にとって当面の実務ポイントは、「報告制度への対応」ならびに「収益構造の見直し」となる。まず、報告制度は、自院がどの診療領域・疾患まで1次診療を担うか、相談窓口としてどこまで責任を負うか、時間外・在宅・介護連携をどう位置付けるかを棚卸しするツールと捉えたい。1号機能の対応領域が限定的であれば、今後の診療報酬上の評価が縮小しかねない。研修修了者の配置や、地域包括診療料・生活習慣病管理料・在宅医療の組み合わせも含め、自院の「かかりつけ医像」を描き直す必要がある。同時に、機能強化加算・外来管理加算への依存度が高いクリニックは要注意となる。これらが縮小・廃止された場合に備え、地域包括診療料・加算への移行、逆紹介の受け皿としての役割強化、連携強化診療情報提供料や在宅関連の評価、オンライン診療(D to P with Nなど)の活用など、収益を強化する戦略が求められる。今年度始まったばかりの「かかりつけ医機能報告制度」、どのように対応するかが、次期改定以降の経営戦略の出発点になりそうだ。 参考 1) かかりつけ医機能報告制度にかかる研修(日本医師会) 2) かかりつけ医「未対応なら報酬減」 財務省、登録制にらみ改革提起(日経新聞) 3) 日医・松本会長 財政審を批判「医療界の分断を招く」開業医の高給与水準は「恣意的にイメージ先行」(ミクスオンライン) 4) 機能強化加算と地域包括診療料・加算を「かかりつけ医機能報告制度」と対応させ整理か(日経メディカル) 2.インフルエンザ12週連続増加 5県で警報レベル、過去2番目の早さで流行拡大/厚労省インフルエンザの感染拡大が全国で続いており、厚生労働省が発表した最新データでは、11月3~9日の1週間の患者数が1医療機関当たり21.82人と、前週の約1.5倍で12週連続の増加となった。注意報レベル(10人)を大きく上回り、宮城県(47.11人)、埼玉県(45.78人)など5県で警報レベル(30人)超。東京都も都独自基準で警報を発表した。全国で3,584校が休校・学級閉鎖となり、前週比1.5倍以上の増加と、教育現場での感染も拡大している。今年の流行は例年より1ヵ月以上早く、過去20年で2番目の早さ。近畿地方・徳島県でも注意報レベルに達する地域が急増し、地域差を超えて全国的に拡大している。クリニックでもワクチン接種希望者が急増しており、現場からは「1~2ヵ月早い流行」との声が上がる。流行の背景には、近年のインバウンドの増加に加え、各地で開催されるイベントや大阪万国博覧会など国際的な催事により、海外からのウイルス流入が増えた可能性が指摘されている。一方、新型コロナウイルスは全国で1医療機関当たり1.95人と前週比14%減で減少傾向にあるが、感染症専門家は「別系統のインフルエンザ流行やコロナ再増加もあり得る」とし、 来年2月までの警戒を継続すべきと警鐘を鳴らしている。厚労省でも引き続き、「手洗い・マスク・換気」など基本的感染対策の徹底を呼びかけている。 参考 1) 2025年 11月14日 インフルエンザの発生状況について(厚労省) 2) インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症の定点当たり報告数の推移(同) 3) インフルエンザ感染者が前週の1.46倍、感染拡大続く…新型コロナは減少(読売新聞) 4) インフルエンザ患者数は8.4万人に 万全な感染予防を(ウェザーニュース) 5) インフルエンザ流行警報、全国6自治体が発令…首都圏・東北で拡大(リセマム) 3.医師少数区域を再定義、へき地尺度の導入で支援対象を拡大/厚労省厚生労働省は、11月14日に開かれた「地域医療構想・医療計画等に関する検討会」で、次期医師確保計画(2025年度以降)で用いる医師偏在指標の見直し案を提示した。現行指標が抱える「地理的条件を十分に反映できない」という課題を踏まえ、人口密度、最寄り2次救急医療機関までの距離、離島・豪雪地帯といった条件を数値化し「へき地尺度(Rurality Index for Japan:RIJ)」を併用し、医師少数区域を再定義する方針。具体的には、現行の医師偏在指標で下位3分の1に該当する区域に加え、中位3分の1のうちへき地尺度が上位10%の区域を「医師少数区域」に追加する案が示された。RIJは(1)人口密度、(2)2次救急病院への距離、(3)離島、(4)特別豪雪地帯の4要素により構成され、へき地度の高い地域では、医師が対応すべき診療範囲が広がる傾向が明確になっている。構成員からは、地理的要素を反映できる点についておおむね評価が示され、一方で「算定式が複雑で現場への説明が難しい」との懸念も上がった。また、全国の医師数自体は増加しているため、偏在指標の下位3分の1基準を固定的に運用すると、多くの都道府県が基準外となる可能性も指摘された。厚労省は、次期計画では医師偏在指標とへき地尺度の双方を踏まえ、都道府県が「重点医師偏在対策支援区域」を設定し、医師確保に向けた重点支援を行う仕組みを強化する方針である。支援対象医療機関の選定においても、へき地医療・救急医療・在宅医療など地域の医療提供体制上の役割を考慮し、地域医療対策協議会および保険者協議会の合意を前提とする。医師偏在は、都市部と地方の医療格差を生み、地域住民のライフラインに影響するため政策課題である。今回の指標見直しは、「人数ベースの偏在」から「地理的ハンディキャップを加味した偏在」へと視点を転換する試みといえ、へき地を抱える地域にとっては実態に即した区域指定につながる可能性が高い。今後は、新指標の丁寧な説明と自治体の運用力が問われる局面となる。 参考 1) 医師確保計画の見直しについて(厚労省) 2) 医師偏在指標に「へき地尺度」併用へ 地域医療構想・医療計画検討会(CB news) 4.大学病院の医師処遇改善へ、給与体系見直しと研究時間確保に向け取りまとめ/政府高市 早苗総理大臣は11月10日の衆院予算委員会で、大学病院勤務医の給与水準や研究時間の不足が深刻な問題となっている現状を受け、「年度内に大学病院教員の処遇改善と適切な給与体系の方針をまとめる」と表明した。自民・維新の連立合意書に基づくもので、教育・研究・診療を担う大学病院の機能強化を社会保障改革の重要項目として位置付ける。質疑では、日本維新の会の梅村 聡議員が、53歳国立大学外科教授の手取りが33万円という給与明細を示し「収入確保のため土日や平日昼にアルバイトせざるを得ず、研究・教育に時間を割けない」と窮状を訴えた。医局員12人中常勤4人、非常勤8人で外来・手術を回す実態も示され、高市首相は「このままでは人材流出につながる」と強い危機感を示した。松本 洋平文部科学大臣は、国公私立81大学病院の2024年度の経常赤字が508億円に達し、診療偏重で教育・研究が圧迫されている現状を説明。大学病院の本来的な機能が損なわれているとの認識を共有した。大学の研究力低下も指摘され、自然科学系上位10%論文数が20年前の世界4位から13位へ後退したこと、医療関連貿易赤字が1990年の約2,800億円から2023年には4兆9,664億円に拡大したとのデータも示された。高市総理はこれらを受け、「大学に対する基盤的経費は必要な財源を確保する」とし、研究開発と人材育成は国の成長戦略そのものであると強調した。さらに、社会保障改革の議論の中で、高齢者層が多く負担する税(例:相続税)を含む財源の再設計についても「1つの提案として受け止める」と前向きな姿勢を見せた。今回の議論は、大学病院の経営改善だけでなく、診療・教育・研究の三位一体機能を再建し、医師の働き方・キャリア形成、ひいてはわが国の医学研究力の立て直しに直結する政策課題として位置付けられつつある。 参考 1) 高市首相、大学病院教員の処遇改善「年度内に方針」人材流出の懸念も表明(CB news) 2) 高市首相 「大学病院勤務医の適切な給与体系の構築含む機能強化」に意欲 経営状況厳しく(ミクスオンライン) 5.12月2日からマイナ保険証へ全面移行 期限切れ保険証は3月末まで有効に/厚労省12月2日から従来の健康保険証が廃止され「マイナ保険証」へ完全移行する中、厚生労働省は移行期の混乱回避を目的に、2026年3月末まで期限切れ保険証の使用を認める特例措置を全国の医療機関に通知した。昨年12月に保険証の新規発行が停止され、最長1年の経過措置が終了するため、12月1日をもって協会けんぽ・健保組合加入者約7,700万人の従来の保険証は形式上すべて期限切れとなるが、資格確認さえできれば10割負担を求めない。すでに7月に期限切れとなった後期高齢者医療制度・国保加入者に続き、今回の通知で全加入者が特例の対象となった。厚労省は医療機関に対し、期限切れ保険証を提示した患者がいた場合、保険資格の確認後、通常の負担割合でレセプト請求するよう要請。一方で、特例は公式な一般向け周知は行わず、原則は「マイナ保険証」または自動送付される「資格確認書」で受診する体制へ移行する方針は変わらない。資格確認書は保険証の代替として使用可能だが、「資格情報のお知らせ」とは異なり、後者では受診できない点を現場で説明する必要がある。背景には、周知不足による混乱リスクがある。国保で期限切れ直後の8月、18.5%の医療機関が「期限切れ保険証の持参が増えた」と回答しており、12月以降は同様の事例が増加することが確実視されている。さらに、マイナ保険証の利用率は10月時点で37.1%にとどまり、若年層や働き盛り世代では周知が届いていない。「期限を知らない」「カードを持ち歩かない」「登録方法を把握していない」といった声も多く、受診機会の確保には医療機関による実務的な対応が不可欠となる。マイナ保険証は、診療・薬剤情報の参照、限度額適用の自動反映、救急現場での活用など医療的メリットが期待される一方、制度への不信も根強く利用が伸びない。完全移行の初動は、現場負担の増加が避けられないが、厚労省は年度末までの特例運用を「移行期の安全策」と位置付けている。医療機関は、資格確認の確実な運用、窓口の説明強化、患者への資格確認書の案内など、年末から春にかけての実務準備が求められる。 参考 1) マイナ保険証を基本とする仕組みへの移行について(厚労省) 2) 「マイナ保険証」完全移行へ、26年3月末までは従来保険証でも使える特例措置…厚労省が周知(読売新聞) 3) 従来の健康保険証、期限切れでも10割負担にならず 26年3月まで(毎日新聞) 4) 12月1日で使えなく…ならない「紙の保険証」 政府が「特例」認めて来年3月末まで使用OK 周知不足で混乱必至(東京新聞) 6.高齢者3割負担拡大も議論加速へ、金融所得の保険料反映が本格化/政府政府・与党内で社会保障制度改革の議論が一気に加速している。最大の論点は、医療・介護保険料の算定に「金融所得」を反映させる新たな仕組みの導入である。現行制度では、上場株式の配当や利子収入などの金融所得は、確定申告を行った場合のみ保険料に反映される。一方、申告を行わない場合は算定から完全に外れ、金額ベースで約9割が把握されない状況だ。厚生労働省や各自治体は確定申告されていない金融所得を把握する手段がなく、「同じ所得でも申告の有無で負担が変わるのは不公平」との指摘が続いていた。これを受け、厚労省は証券会社などが国税庁へ提出する税務調書を活用し、市町村が参照できる「法定調書データベース(仮称)」を創設する案を提示。自民党および日本維新の会も協議で導入の方向性に一致しており、年末までに一定の結論をまとめる見通しだ。上野 賢一郎厚生労働大臣も「前向きに取り組む」と明言しており、制度化に向けた動きが本格化している。同時に議論が進むのが高齢者の医療費自己負担(現役並み所得の3割負担)の拡大である。現行では、単身年収383万円以上などの比較的高所得層が対象だが、高齢者の所得増や受診日数減少を踏まえ、基準の見直しを求める意見が厚労省部会で相次いだ。一方で「高齢者への過度な負担増」への懸念も根強く、慎重な検討が必要との声も大きい。加えて、自民・維新協議では「OTC類似薬」の保険適用見直しも初期の重要論点となっている。湿布薬や風邪薬など市販薬と効果が重複する医薬品を保険給付外とする案だが、利用者負担の増加や日本医師会などの反対もあり調整は難航が予想される。超高齢社会において、医療・介護費の伸びを抑え現役世代の負担をどう軽減するかは避けて通れない課題である。金融所得の把握強化と高齢者負担の見直しという2つの柱は、今後の社会保障制度改革の中核テーマとなり、年末に向けて政策の具体像が示される見込みだ。 参考 1) 社会保障(2)(財務省) 2) 社会保障制度改革 “新たな仕組み導入へ検討進める” 厚労相(NHK) 3) 金融所得、保険料に反映 厚労省検討 税務調書を活用(日経新聞) 4) 社会保障改革めぐる自民・維新の協議 どのテーマでぶつかる? OTC類似薬、高齢者の負担増、保険料引き下げ(東京新聞)

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第268回 高市首相、補正予算で病院支援明言 賃上げ・経営改善を前倒し実施/政府

<先週の動き> 1.高市首相、補正予算で病院支援明言 賃上げ・経営改善を前倒し実施/政府 2.インフルエンザ、全国で急拡大 定点14.9人、注意報レベルに/厚労省 3.出生数減少、上半期31.9万人で過去最少 小児・産科医療は集約化へ/厚労省 4.「かかりつけ医」機能のないクリニックに初再診料減算を提案/財政制度等審議会 5.国立大病院の赤字が過去最大規模に、学長らが国に緊急要望/国立大学病院長会議 6.有料老人ホーム「登録制」へ、頻回訪問の濫用是正、囲い込みも禁止/厚労省 1.高市首相、補正予算で病院支援明言 賃上げ・経営改善を前倒し実施/政府高市 早苗首相は11月7日の衆院予算委員会で、物価高の影響により経営が悪化している医療機関や介護施設を支援するため、2026年度の診療報酬改定を待たず、今国会に提出予定の2025年度補正予算で対応する方針を示した。政府が策定する経済対策では、食材費や光熱水費の高騰に苦しむ医療・介護事業者に対し、経営改善を目的とした補助金を支給し、職員の賃上げにも充てる。あわせて産科・小児科の体制維持、電子カルテや電子処方箋の普及促進、病床削減の支援なども盛り込まれる見通し。厚生労働省によると、2024年度決算速報では民間病院の約49%が赤字に転落し、前年度比で8ポイント近く悪化した。人件費や物価上昇に報酬改定が追いつかず、医療・介護現場では他産業に比べ賃上げが遅れている。一方、四病院団体協議会は10月29日、厚労省に対し「補正予算での早急な病院支援」「26年度に10%超のプラス改定」「消費税補填のばらつき是正」を求める要望書を提出。とくに大規模急性期病院で補填不足が顕著とする調査結果を示した。また、11月5日に開かれた国民医療推進協議会総会では、日本医師会など43団体が「補正」「26年度予算」「真水による抜本対応」を政府に求める決議を採択。政府は今国会での補正予算成立を目指し、年末までに診療報酬改定率を決定する方針で、医療従事者の処遇改善が焦点となる。 参考 1) 医療介護の経営改善に補助金 食費などの高騰対応、支援策判明(共同通信) 2) 医療従事者らの賃上げ後押しへ 補正予算案に補助金調整 厚労省(NHK) 3) 病院への早急な経営支援など求める 四病協 消費税負担、補填ばらつき解消の抜本策も(CB news) 4) 令和7年度補正予算及び令和8年度予算編成で“真水”による対応を求める決議を採択(日医) 2.インフルエンザ、全国で急拡大 定点14.9人、注意報レベルに/厚労省厚生労働省によると、第44週(10月27日~11月2日)のインフルエンザ定点当たり報告数は14.90人で、前週の6.29人から約2.4倍に急増し、注意報基準(10人)を今季初めて超えた。患者報告は5万7,424人に上り、すべての都道府県で増加した。流行入りは10月3日で、昨季より約1ヵ月早い。都道府県別では宮城県で28.58、神奈川県で28.47、埼玉県で27.91、千葉県で25.04、北海道で24.99、沖縄県で23.80、東京都で23.69と続き、神奈川県・宮城県では警報基準(30人)に迫る水準に達した。すでに学校などの休校、学年・学級閉鎖は約2,300施設と、前週の2倍超に拡大している。専門家は、今季はA香港型(H3N2)の割合が高く、集団免疫の低下により高水準がしばらく続く可能性を指摘している。厚労省は、手洗い、適切なマスク着用、咳エチケットなどの基本的な感染対策を呼びかけている。とくに空気が乾燥する季節に入り、室内の換気と湿度50~60%の維持が推奨される。高齢者や基礎疾患のある人は重症化リスクが高く、早期のワクチン接種や、体調不良時の登校・出勤回避、早めの受診が求められる。なお、今年度から定点医療機関は約3,000ヵ所に減少しており、過去との単純比較には注意が必要。 参考 1) 全国インフル定点報告 前週比約2.4倍増 14.90人(CB news) 2) インフル流行「注意報レベル」前週比2倍超、全国で増加 厚労省発表(産経新聞) 3) インフルエンザの流行拡大、注意報レベルに 昨季よりも6週も早く(朝日新聞) 3.出生数減少、上半期31.9万人で過去最少 小児・産科医療は集約化へ/厚労省厚生労働省が11月4日に公表した人口動態統計(概数)によると、2025年上半期(1~6月)の出生数は31万9,079人で、前年同期比3.3%減と過去最少を更新した。外国人を除く数値であり、下半期も同様の傾向が続けば、年間出生数は2年連続で70万人を下回る見通し。2024年は68万6,173人で、1899年の統計開始以来の最少を記録していた。一方、上半期の死亡数は82万3,343人で2.9%増。出生数との差である「自然減」は50万4,264人と、前年より3万人以上増加した。婚姻件数も4.3%減の23万166件にとどまり、晩婚・非婚化の進行が出生数の減少を加速させている。政府は「次元の異なる少子化対策」として児童手当の拡充などを進めているが、現時点で効果は限定的とみられている。こうした急速な少子化を踏まえ、厚労省の「小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ」では、小児科・産科医療機関の集約化と連携強化を軸とした体制再編の議論が開始された。第9次医療計画(2030~35年度)を見据え、症例減少に対応しつつ、医療の質と安全を維持する方針。議論では、地域中核病院の機能強化、オンライン診療や「#8000」相談事業の活用、遠方受診時の交通費支援などの組み合わせ、アクセス低下を防ぐ方策も検討する。厚労省では、出産費用の無償化や産後ケア支援などと併せ、医療提供体制の持続性を確保する構想を進めている。 参考 1) 人口動態統計(厚労省) 2) 小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ(同) 3) 上半期の出生数、31万9千人 2年連続で70万人割れの可能性(共同通信) 4) 上半期の出生数、過去最少ペース…厚労省・人口動態統計(リセマム) 5) 想定超えた少子化が進む中で、小児医療機関、産科・産婦人科医療機関の「集約化、大規模化」をさらに進めよ-小児・周産期WG(Gem Med) 4.「かかりつけ医」機能のないクリニックに初再診料減算を提案/財政制度等審議会財務省は11月5日に財政制度等審議会を開き、2026年度診療報酬改定に向けた外来改革案を提示した。柱は「かかりつけ医機能」の抜本的な見直しで、日常診療を総合・継続的に担う“1号機能”を整備していない診療所に対し、初診料・再診料の減算を求める一方、機能を十分に果たす医療機関をシンプルに高評価する設計への転換を促す。評価項目の簡素化とともに、機能強化加算(80点)は「有効性・効率性に疑義」として廃止を軸に検討、外来管理加算(52点)は即時廃止または地域包括診療料などへの包括化を提起した。制度面では、2025年度に開始となるかかりつけ医機能報告制度を踏まえた公的認定と患者の登録制、包括払い(包括評価)との連動を提案。さらに外来の受診行動の最適化として「受診時定額自己負担」の再検討を要請し、かかりつけ医療機関以外の受診では定額を上積みする二段構えの案も示した。資源配分では、経営状態の悪化している病院に重点配分するため診療所・調剤の「適正化」を主張。無床診療所の24年度経常利益率(平均)6.4%に対し、病院は0.1%と乖離があるとして、機能・病床規模に応じたきめ細かな配点を求めた。ただ、これらは財務省案であり、厚生労働省・与党協議を経て年末の大臣折衝、来年度の個別点数議論に反映される。これまでに受診時の定額負担は過去に「受診抑制」を懸念され、頓挫した経緯もあり、合意されるかは流動的な見通し。 参考 1) 財政制度分科会(財務省) 2) かかりつけ医機能報告制度(厚労省) 3) 「かかりつけ医機能」ない診療所は初再診料減算を 財務省 患者の登録制も提言(CB news) 4) 外来受診時定額負担導入の検討求める、財務省「かかりつけ」以外の受診と金額に差(同) 5) 診療所の診療報酬「適正化不可欠」 財務省主張 病院への重点的な支援を行うため(同) 6) かかりつけ医機能報告制度を、もう「過渡期扱い」した財務省の本音(日経メディカル) 5.国立大病院の赤字が過去最大規模に、学長らが国に緊急要望/国立大学病院長会議国立大学の附属病院の経営悪化が深刻化している。全国44の国立大学学長は11月7日、文部科学省と厚生労働省に対し、運営費交付金や診療報酬の大幅引き上げなどを求める緊急要望を提出した。声明では「大学病院の機能を維持できず、医学研究の停滞や地域医療の崩壊を招きかねない危機的状況」と訴えている。国立大学病院長会議(会長:大鳥 精司千葉大病院長)によると、2025年度の経常損益は全国で400億円を超える赤字となる見込みで、法人化以降で最大規模。2024年度も42病院のうち7割が赤字に陥り、赤字総額は286億円に達した。医薬品や医療機器の高騰、人件費上昇、診療報酬との乖離が要因で、「診療すればするほど赤字が増える構造」となっている。赤字補填は大学本体の財源に依存しており、学長らは「大学全体の経営にも波及する」と危機感を示している。日本記者クラブで会見した大鳥会長らは「経営改善の自己努力だけでは限界」「大学病院は最後のとりで」と強調。最先端医療の提供に加え、教育・研究、地域への医師派遣といった公益的機能を維持するために国の支援を求めた。一方、北海道大の宝金 清博総長は「物価上昇率を考えれば診療報酬を10%上げなければ赤字解消は難しい。1~2%では焼け石に水」と指摘。医療界では、地域偏在や医師の働き方改革への対応など大学病院が抱える多重課題への抜本策が急務との見方が広がっている。 参考 1) 「付属病院の赤字が急増し経営危機」 国立大学長らが国に緊急要望(朝日新聞) 2) 国立大病院の経営「危機的」、44学長らが緊急要望 文科相と厚労相に(日経新聞) 3) 日本記者クラブにて国立大学病院長会議が記者会見を行いました(国立大学病院長会議) 6.有料老人ホーム「登録制」へ、頻回訪問の濫用是正、囲い込みも禁止/厚労省厚生労働省は一部の有料老人ホームで過剰な介護サービスが提供されている問題について検討会を設けて、有料老人ホームのあり方について議論を重ねてきた結果、「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会とりまとめ」を公表した。これによると、有料老人ホーム(とくに要介護3以上や医療的ケア・認知症対応など中重度者を受け入れる類型)に登録制を導入し、基準不適合時は更新拒否・事業停止も可能としている。全施設で契約書に入居可能な要介護度、医療必要度、認知症・看取り可否などの明記と公表を義務化し、職員配置・設備の法定基準、看取り指針の整備も進めるほか、資本関係のある介護事業所の利用を入居条件化する“囲い込み”を契約に盛り込む行為は禁止とする。さらに入居紹介については優良事業者の認定制度を創設し、手数料は賃貸住宅の仲介に準じた算定を促すこととした。一方、ホスピス型住宅で主治医に「頻繁な訪問看護」を一律記載させる要請が判明し、出来高払いを悪用した過剰請求疑念が浮上しており、厚労省では“頻回”は医師が必要性を明示した場合に限定する方向で審議している。現場の医師には、頻回指示の医学的根拠・目標・期間の明記、状態変化に応じた見直し、記録の整合性点検が求められることとなる。また、10月29日に開催された「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」では「在宅医療に積極的役割を担う医療機関」は病院・診療所を基本とし、地域の協力医療機関体制の実装を加速することとなった。急増する有料老人ホーム(全国1万7千超、定員約67万人)に対し、質の担保と監督強化、支払方式の見直し(包括化含む)が医療側の持続可能性を左右するとして引き続き規制が強化される見通し。 参考 1) 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会とりまとめ(厚労省) 2) 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会(同) 3) 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ(同) 4) 有料老人ホーム、規制強化へ 登録制や更新拒否など導入(福祉新聞) 5) 有料老人ホーム、登録制導入へ 規制強化でサービスの質確保 厚労省(朝日新聞) 6) 有料老人ホーム検討会、取りまとめ案を大筋了承 登録制導入や紹介事業者の認定制度も提言(CB news) 7) 【在宅医療において積極的役割を担う医療機関】病院・診療所「以外」を位置づけることは好ましくない-在宅医療、医療・介護連携WG(Gem Med)

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第267回 “VUCA”の時代、医局とどう向き合うか? キャリアの途中で迷う若手医師たちへ

若手医師のキャリア観の変化先日、リクルートメディカルキャリアによる「医師のキャリア観に関する実態調査」が公表されました。これによると、医師免許取得当初の理想像は「専門医として技術を高めたい」(48.0%)が最多、キャリアで重視しているのは全体では「収入の高さ」(29.6%)が最多でした。その一方で、20~40代では「家庭やプライベートとの両立」も高い割合を占め、生活と仕事の両立志向が強いことが明らかになっています。また、30代では結婚や育児といったライフステージの変化を契機にキャリアを見直す割合が突出しており、若手世代では早い段階からキャリアに対する迷いが生じていることも示されています。大学医局離れと新しいキャリア志向こうした背景の中、キャリア形成に伴い転勤や大学院進学、専門医資格の取得といったイベントを経て一人前になる過程で、プライベートにも大きな変化が訪れます。以前であれば、初期臨床研修の間に、先輩の勧めなどで大学医局へ入局、その後は医局の指示するタイミングで大学院への進学や学位審査、併せて専門医の取得といった流れも自然でした。しかし、近年は、最初から大学医局に入らないという選択をする医師が増えています。令和7年度の医師研修制度マッチング結果によると、2000年代に7割が大学病院で研修していたのに対し、現在では約65%が市中病院での研修を希望するようになりました。大学病院での研修を希望する医学生の割合は、低下の一途をたどり、そのためか「医局人事」に縛られないキャリアを求める傾向が強まっています。実際に筆者の身近にも大学医局未入局のまま後期臨床研修を修了して、学会に所属しながら一般病院で働いている医師がいますが、大学医局には現在も所属していません。専門医制度と自由診療への流れ新臨床研修制度の導入から21年、若手医師の中には市中病院から大学医局に入局しても、転勤先について交渉する機会がないまま希望しない病院への異動をきっかけに退局するなど、大学医局人事によってコントロールされるのを望まない医師が増えたのは当然だと思います。さらにコロナ禍の後に繰り返し報道される医療機関の経営悪化や、専門医機構による専門医研修義務化などが加わり、専門医制度に疑問に感じる医師も少なくありません。とくに最近は初期臨床研修後に専門医を取得せず、美容系に代表される自由診療に参入する医師が年間200人以上とされ、「直美」現象として知られるようになりました。形成外科や皮膚科の専門医としてのトレーニングを積む前に美容医療業界に進むケースも多く、美容医療に従事する医師たちがSNSで繰り返し情報発信をするのも「バラ色のキャリア」として映っているのかもしれません。美容医療ブームの裏側:自由診療のリスクしかし、実際の自由診療は競争が激しく、歩合制による給与体系であるなどプレッシャーも強い世界です。SNSで集客し、医師以外のスタッフが「カウンセリング」と称して施術内容を決定するなど、不適切な事例も報告されています。こうした問題を受け、厚生労働省は「美容医療の適切な実施に関する検討会」を設け取りまとめ案をもとに、先日「美容医療に関する取扱いについて」を各都道府県などに通知しました。内容については本稿の「第252回 「『直美』現象はいつまで続くか? 美容医療の現状と医師キャリアの未来」にも書いたように、通知ではカルテ記載や医療安全管理体制の整備、患者保護の徹底など、当然のことが明記されています。こうした医師として当たり前のことを学ばないうちに自由診療の世界に飛び込むと、医療事故や訴訟などでキャリアを失うリスクもあります。VUCA時代に生きる若手医師へさて、表題に挙げた“VUCA”とは、「Volatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)」の頭文字を取った言葉で、将来予測が困難な時代を意味します。筆者が初期研修を受けた平成一桁の時代は、まだインターネットが発展途上であり、情報は紙媒体が中心でのんびりしたものでした。今はSNSの発達で医師向けの情報が洪水のように溢れ、若手医師もその影響を大きく受けています。医師としての労働環境は他職種と大きく異なり、大学医局に所属すれば研究とアルバイト生活の両立で経済的にも厳しい。そんな現実に直面して、キャリアに迷うのは当然のことかもしれません。大学医局という「居場所」の再評価筆者自身、大学院を卒業して循環器専門医として急性期病院に戻った後、せっかく大学院で学んだ経験をもとに新薬開発に関与したいと考え、いったん臨床を離れて大手製薬企業で約10年間、臨床開発の仕事に携わりました。その間も専門医資格の更新を続け、大学医局との交流が途絶えなかったのは、当時の医局長が筆者の考えを理解して、「退局」ではなく「医局人事から離れる」形にしてくれたおかげです。結果として、再び臨床に戻るときにも医局長や教授に連絡をとり、再就職もスムーズでした。もちろん大学医局については「閉鎖的」とか「古い」システムであり問題もまったくないわけではないのですが、相談できる上司や同僚の存在は大きな支えになります。今は女性医師も増え、以前よりも風通しが良くなり、相談できる環境も整いつつあります。キャリア形成に必要な「相談先」-失敗事例から学ぶ診療科によっては医局員の一斉退局などをきっかけに医局崩壊が話題になることもありますが、医師が自由診療に転じても、そこでの関係はライバル同士です。保険診療のように互いに支え合う関係は築きにくいのが現実です。今からちょうど20年前に筆者も将来に迷いを抱き、大学医局人事から離れて製薬企業に勤務し合計10年にわたりましたが、他業界での経験を経て、再び病院で勤務医として働く今、日々患者さんと向き合えることに喜びを感じています。振り返れば、当時の筆者のわがままを受け止め、相談に乗ってくれた上司や大学医局の先輩方に心から感謝しています。今迷いの中にいる医師の皆さまに問いますが、臨床研修を終えて社会に飛び出す前に、上司や先輩、研修同期に相談してみましたか? SNSで見かけた「高待遇」など美味しい話に飛びついていませんか?よく言われているように「うまい話には裏がある」のです。ここに事例を紹介します。ある若手医師が後期臨床研修の途中で、病院も大学医局も辞めて、在宅医療を行うために退職したいと申し出ました。次の転勤先の人事も決まりかける時期の出来事で、上司や医局長も含め大騒ぎになりました。それでも決心が固かったのか大学医局を退局、後期研修の病院も退職しました。その医師は5年目にして次の月からある自由診療のクリニックで院長になっていました。大手チェーンのクリニックなので順調にいくのかと思っていましたが、集客がうまくいかなかったのか、院長就任後わずか1年でそのクリニックは閉院となってしまいました。東京や大阪にも分院があるクリニックでしたが、その医師は結局、保険診療に戻りました。専門医ではないので、今も肩書きを何も持たない状態で当初と別の診療科で勤務医をされています。今後、地方の高齢者人口の増加とさらなる少子化により急性期病院を中心に病院同士の再編も進み、確実に医療を取り巻く環境は変化します。医師として長く続けるためのキャリアについては、外部のキャリアカウンセラーという名の転職サービスに相談する前に、まず先輩医師や指導医、大学医局に相談することをおすすめします。

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第287回 高市新首相の所信表明と閣僚指示で気になった2つの言葉、「新たな地域医療構想」と「自己管理を主眼とした健康維持のための医療制度」

医療界は補正予算での医療機関に対する支援に期待こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。高市政権が誕生しました。新総理大臣は就任直後から、フルスロットルで国内外を飛び回り、タフネス振りをアピールしています。とはいえ60歳を超えた女性です。いつ何時、つまづいたり転んだりして大腿骨頸部などを骨折しないとも限りません。学生時代、カワサキのロードスポーツ、Z400GP(ホンダやヤマハでないところが渋いですね)に乗っていた“走り屋”だそうですが、くれぐれも諸々、飛ばし過ぎには気を付けていただきたいと思います。さて、医療界では、来年の診療報酬改定を待たず、補正予算で医療機関に対する何らかの支援が行われるだろうとの期待が高まっています。しかし、所信表明演説をよく読むと、前回(第286回 連立に向けた与野党の最低パフォーマンスのあげく、高市早苗総理大臣の誕生へ 連立参加で維新の社会保障政策案はどこまで実現できる?)も書いたように、日本維新の会の意向も汲んで、医療界にとってはなかなか厳しい内容も盛り込まれています。ということで、今回も前回に引き続き、高市政権のこれからの医療政策について書いてみたいと思います。国民会議を設置し税と社会保障の一体改革について議論高市早苗首相は10月24日、衆参両院の本会議で就任後初めての所信表明演説を行いました1)。「物価高対策」の中では、「赤字に苦しむ医療機関や介護施設への対応は待ったなしです。診療報酬・介護報酬については、賃上げ・物価高を適切に反映させていきますが、報酬改定の時期を待たず、経営の改善及び従業者の処遇改善につながる補助金を措置して、効果を前倒しします」と、改定前での対応を約束しました。また、「健康医療安全保障」の中では、「社会保障制度における給付と負担の在り方について、国民的議論が必要」として、「超党派かつ有識者も交えた国民会議を設置し、給付付き税額控除の制度設計を含めた税と社会保障の一体改革について議論してまいります」と述べました。そして、「政党間合意も踏まえ、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しや、電子カルテを含む医療機関の電子化、データヘルスなどを通じた効率的で質の高い医療の実現などについて、迅速に検討を進めます」と述べるとともに、「こうした社会保障制度改革を進めていく中で、現役世代の保険料負担を抑えます。当面の対応が急がれるテーマについては、早急に議論を進めます」としました。日本維新の会が強く求める現役世代の保険料負担軽減については、所信表明が行われる前日、10月23日に開かれた社会保障審議会・医療保険部会において、厚生労働省が70歳以上の高齢者が医療機関の窓口で支払う医療費の負担について、現役世代と同じ3割とする対象者の拡大など、医療費負担のあり方が議題として提示され、議論がスタートしています。厚労省からは後期高齢者の給与所得や金融所得が増えていることを示す資料が出されたとのことです。各方面からの抵抗も大きそうですが、一定収入のある高齢者の負担増はほぼ既定路線と言えるでしょう。「新たな(新しい)地域医療構想」という言葉が2度も所信表明で個人的に気になったのは、地域医療構想に言及した部分です。「高齢化に対応した医療体制の再構築も必要です。入院だけでなく、外来・在宅医療や介護との連携を含む新しい地域医療構想を策定するとともに、地域での協議を促します。加えて、医師の偏在是正に向けた総合的な対策を講じます。あわせて、新たな地域医療構想に向けた病床の適正化を進めます」と、「新たな(新しい)地域医療構想」という言葉を2度も使っています。それだけ政府が重要視している政策だということでしょう。高市首相は社会保障分野でこれまで目立った実績はありませんが、第3次安倍内閣で総務大臣をしていた2015年には、「新公立病院改革ガイドライン」の策定に関与し、地域医療構想に沿った公立病院の病床機能分化・連携強化を推し進めました。病院経営や病院再編に関しては一定の素養があるとみられます。とは言うものの、「新たな地域医療構想」が盛り込まれた医療法改正案は、以前の回「第265回 “米騒動”で農水相更迭、年金法案修正、医療法改正案成立困難を招いた厚労相の責任は?」で書いたように今年4月に衆院本会議で審議入りしてから棚ざらしとなり、年金法改正案が優先されたこともあって結局継続審議となっています。厚労省は今の臨時国会での成立を目指しているとのことですが、自民、公明、維新の3党合意を踏まえた法案の修正も行わなければなりません。医療法の施行期日は、最も早いもので来年4月を予定しているそうです。仮に臨時国会でも成立せず、来年の通常国会に回した場合、施行スケジュールの大幅な見直しを迫られ、医療提供体制の改革にも大きな影響が出るでしょう。「重要視」している割に医療法改正案を「棚晒し」にしてきた政府と厚労省の本気度が問われるところです。OTC類似薬含めセルフメディケーションは推進の姿勢ところで、21日の内閣発足にあたり、高市首相が18人の閣僚に出した指示書の全容が明らかになっており、上野 賢一郎厚生労働大臣にも9項目に及ぶ指示が飛んでいます。各紙報道等によれば、総理大臣が就任にあたって各大臣にこのような指示書を出すというのは極めて異例のことだそうです。しかもこの指示書、高市サイドからあえてマスコミにリークしたそうで、「なかなかの剛腕ぶり」と書くメディアもありました。上野厚労省への指示書の中にも気になる文言がありました。2つ目の項目の中に、「関係大臣と協力して、データに基づく医療行政のメリハリ強化を進めるとともに、自己管理を主眼とした健康維持のための医療制度の構築により、医療費を適正化する」と書かれているのです。「自己管理を主眼とした健康維持のための医療制度」とは、OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直しやセルフメディケーション推進のことだと考えられます。所信表明では「OTC類似薬を含む薬剤自己負担の見直し」、大臣への指示では「自己管理を主眼とした健康維持のための医療制度の構築」と表現が微妙に異なるその真意はわかりませんが、OTC類似薬だけではなく広くセルフメディケーションを推進していく意向があるのは間違いないようです。だとすれば、日本医師会とは全面対決となるかもしれません。財務省主計局次長に「診療報酬の地域別単価」の一松氏ところで、財務省は10月21日付で、予算編成を担う主計局の次長に、一松 旬大臣官房審議官(大官房担当)を充てる人事を発令しました。一松氏は次期診療報酬改定も含め社会保障分野を担当するとのことです。一松氏は社会保障に詳しい財務官僚として有名な存在で、主計官の時には2021年度介護報酬改定、2022年度診療報酬改定を担当しました。また、「第209回 これぞ財務省の執念? 財政審・財政制度分科会で財務省が地域別単価導入を再び提言、医師過剰地域での開業制限も」でも書いたように、財務省から出向し奈良県副知事を務めていた時には奈良県(高市首相の地元です)で診療報酬の地域別単価の導入を推し進めようとした人物でもあります。医療関係団体が補正予算対応を喜んでいる間に、政府側は“抵抗勢力”のための布陣をしっかり敷いたという見方もできそうです。これから本格化する次期診療報酬改定に向けての議論、とくに財務省の動きが注目されます。参考1)第219回国会における高市内閣総理大臣所信表明演説/首相官邸

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エンゼルケアについて考えてみる【非専門医のための緩和ケアTips】第110回

エンゼルケアについて考えてみる患者さんが亡くなった際に、多くの施設で看護師を中心にエンゼルケアが行われています。患者さんにとってはもちろん、ご家族にとっても大切な時間なので、丁寧なケア提供が求められます。今回の質問患者さんが亡くなった時、訪問看護師がエンゼルケアをしていますが、どういったことを行うのが標準的なのでしょうか? 在宅医療だと人手も少ないので、医師である私も少し手伝ったほうが良いかなと思う時もありますが、やり方を学んだことがないため、言い出しにくく感じます。死亡確認後にご遺体へのケアを「エンゼルケア」と言います。施設によっては化粧をするといったケアにも取り組んでおり、これは「エンゼルメイク」と言います。私が勤務する施設では、看護師が清拭で身体をきれいにしたうえでメイクをしています。男性の私は普段は化粧をする機会はなく、美容にも関心はありませんが、エンゼルメイクをした患者さんは男女を問わず顔色が良くなり、ご家族に喜んでもらえることを実感します。エンゼルケアを通じて、何を提供しているのか考えてみましょう。エンゼルメイクをテーマにした研究では、家族から「穏やかな表情にしてくれた」「生前と同じような扱いをしてくれた」といった声が寄せられました1)。確かに看護師のエンゼルケアを見学すると、とても丁寧に遺体を扱っています。同時に「頑張りましたね」と声掛けをしたり、ご家族をねぎらったりもします。こうしたケアが「故人を大切にしてもらった」という感覚を生むのでしょう。看護師によっては、ご家族が希望するケアを取り入れるケースもあります。たとえば、お風呂が好きだった患者さんであれば、清拭ではなく湯灌(ゆかん)し、故人をしのびながら、身体をきれいにします。あるケースでは、お孫さんにも湯灌を手伝い、ご家族から「非常に良い時間でした」と言ってもらいました。お孫さん自身も「おじいちゃんが最期に教えてくれた、大切な経験として忘れないようにしたい」と言っており、エンゼルケアは死生観を育む機会にもなるのだなと感じました。ご家族が最期に着せたい服に着替えてもらったうえで、お別れをすることもあります。病院では自動的に病衣に着替えてもらうことが多いですが、スーツなど思い出のある服に着替えた姿からは、患者さんのかつての生き生きとした姿を感じることができます。あれこれ思い出を振り返ってきましたが、このようにエンゼルケアは非常にナラティブなものです。そして、そのケアに対して私が何かするかというと、基本的にはすべて看護師に任せています。とくに在宅でのお見取りの際は、医療機器を外すなど死後の処置が必要なケースも少ないため、死亡確認をして死亡診断書を作成したら、その場を離れることが多いです。長くお世話になっている緩和ケアの看護師は、「エンゼルケアはその患者さんに私たち看護師が提供できる最後のケア」と言っていました。そんな看護師を尊敬しており、看護師とご家族で取り組むケアに医師が無理に割り込む必要はないのかな、と感じます。もちろん、人手が足りないなど事情があれば、邪魔にならないよう手伝うことはありますが、基本的にエンゼルケアはそれを専門とする看護師と患者さん、ご家族のものだと思います。今回のTips今回のTipsエンゼルケアは最後のケアとして、患者さんはもちろんご家族にとっても非常に大切。1)山脇 道晴ほか. ホスピス・緩和ケア病棟におけるご遺体へのケアに関する 遺族の評価と評価に関する要因. Palliative Care Research. 2015;10:101-107.

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第265回 呼吸器感染症が同時急増 インフルエンザ8週連続増 百日咳は初の8万人突破/厚労省

<先週の動き> 1.呼吸器感染症が同時急増 インフルエンザ8週連続増 百日咳は初の8万人突破/厚労省 2.がん検診指針を改正、肺がんは「喀痰細胞診」廃止し「低線量CT」導入へ/厚労省 3.かかりつけ医機能報告制度で「見える化」から「評価」へ/中医協 4.過去最高48兆円突破、国民医療費が3年連続更新/厚労省 5.中堅病院の倒産1.5倍に、民間主導の統合・経営譲渡が進行/北海道 6.美容医療大手が62億円申告漏れで追徴課税、SNS豪遊アピールが引き金か/国税庁 1.呼吸器感染症が同時急増 インフルエンザ8週連続増 百日咳は初の8万人突破/厚労省全国でインフルエンザ、百日咳、マイコプラズマ肺炎といった複数の呼吸器感染症が同時期に急増し、医療現場と地域社会で警戒が強まっている。厚生労働省は10月17日、2025年10月6~12日の1週間におけるインフルエンザの感染者報告数が、全国の定点医療機関当たり2.36人に達したと発表した。これは前週の約1.5倍で、8週連続の増加。総患者報告数は9,074人を超え、昨年の同時期と比較して2倍以上、流行のペースも昨年より約1ヵ月早い状況となっている。都道府県別では、沖縄県(14.38人)が突出して多いほか、東京(4.76人)、神奈川(4.21人)、千葉(4.20人)といった首都圏でも感染が拡大している。この影響で、全国の小学校や中学校など合わせて328ヵ所の学校・学級閉鎖の措置が取られ、厚労省では手洗いやマスク着用などの基本的な感染対策の徹底を呼びかけている。また、激しい咳が続く百日咳の流行も深刻である。国立健康危機管理研究機構によると、今年に入ってからの累計患者数(10月5日時点の速報値)は8万719人に達し、現在の集計法となった2018年以降で初めて8万人を突破した。これは、過去最多だった2019年の約4.8倍という異例の多さとなっている。コロナ対策中に病原体への曝露機会が減り、免疫が弱まったことが一因と指摘されている。感染は10代以下の子供を中心に広がっており、乳児は肺炎や脳症を併発する重症化リスクがあるため、とくに警戒が必要とされる。さらに、マイコプラズマ肺炎も5週連続で増加しており、9月29日~10月5日の定点当たり報告数は1.36人となっている。秋田、群馬、栃木、北海道などで報告が多く、この秋は複数の感染症が同時に拡大する「トリプル流行」の様相を呈している。 参考 1) 2025年 10月17日 インフルエンザの発生状況について(厚労省) 2) インフルエンザ感染者数 前週の1.5倍に 8週連続で増加 1医療機関あたり「2.36人」 厚生労働省(TBS) 3) インフル定点報告2.36人、前週の1.5倍に 感染者数は9,074人に(CB news) 4) マイコプラズマ肺炎の定点報告数、5週連続増 前週比6.3%増 JIHS(同) 5) インフルエンザ患者 昨年同期の2倍超 日ごとの寒暖差が大きいため体調管理に注意を(日本気象協会) 6) 百日ぜきが初の8万人超 2025年患者数、18年以降の最多更新続く(日経新聞) 2.がん検診指針を改正、肺がんは「喀痰細胞診」廃止し「低線量CT」導入へ/厚労省厚生労働省は10月10日、「がん検診のあり方に関する検討会」を開き、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を改正する方針を固めた。最新の医学的エビデンスに基づき、肺がん検診の方法を抜本的に見直すほか、乳がん検診のガイドラインの更新を国立がん研究センターに依頼する。最も大きな変更は、重喫煙者を対象とした「胸部X線検査と喀痰細胞診の併用法」の公費検診からの削除。これは、喫煙率の低下に伴い、喀痰細胞診で見つかる肺門部扁平上皮がんが減少し、現在ではこの検査による追加的な効果が極めて小さい(ガイドラインで「推奨しない:グレードD」)と評価されたためである。厚労省は2026年4月1日の指針改正で同検査を削除する方針。ただし、喀痰などの有症状者に対しては、検診ではなく医療機関での早期受診を促す指導を指針に追記する方向とされる。一方、「重喫煙者に対する低線量CT検査」については、死亡率を16%程度低下させるという高い有効性(グレードA)が認められたため、新たに住民検診への導入を目指す。この導入に向け、2026年度から希望する自治体でモデル事業を実施し、実施マニュアルの作成と課題整理を行う予定。その結果を踏まえ、早ければ2027年以降に指針に追加し、全国で導入される見通しである。また、乳がん検診についても、現在のガイドラインが2013年度版で古いことから、最新の医学研究成果を反映させるため、ガイドラインの更新を国立がん研究センターに依頼した。高濃度乳房で有用性が期待される「3Dマンモグラフィ」や「マンモグラフィ+超音波検査の併用」などの知見を整理し、今後の対策型検診への導入可能性が検討される。厚労省は、これらの検診方法の見直しを通じて、死亡率減少効果が高い検査に重点を置く「エビデンスに基づいたがん検診」への転換を加速させる。今後は、低線量CT導入に必要な実施体制の整備や、受診率の向上、住民への適切な情報提供などが課題となる。 参考 1) 第45回がん検診のあり方に関する検討会(厚労省) 2) 肺がん検診について(同) 3) 胸部X線と喀痰細胞診の併用法、肺がん検診から削除 指針改正へ(MEDIFAX) 4) たん検査、肺がん検診除外 喫煙率低下で効果小さく(共同通信) 5) 最新医学知見踏まえて乳がん検診ガイドライン更新へ、肺がん検診に「重喫煙者への低線量CT」導入し、喀痰細胞診を廃止-がん検診検討会(Gem Med) 3.かかりつけ医機能報告制度で「見える化」から「評価」へ/中医協厚生労働省は、中央社会保険医療協議会総会(中医協)を10月17日に開き、2026年度改定に向けて、2025年度から始まる「かかりつけ医機能報告制度」に関して、制度の背景や今後のスケジュールを説明するとともに、地域医療体制および診療報酬制度との関係を整理するための論点提示を行った。「かかりつけ医機能」の報告は、ほぼすべての医療機関(特定機能病院、歯科診療所を除く)に対して、2026年1~3月に(1)かかりつけ医機能を有するかどうか、(2)対応可能な診療領域・疾患、(3)在宅医療・介護連携・時間外対応の可否について、報告を求める。1号側(支払い側)の委員からは、「かかりつけ医機能報告制度」の項目(1次診療で対応可能な領域・疾患のカバー状況、研修医受け入れなど)と、機能強化加算などの施設基準・算定要件を整合させ、わかりやすい仕組みに再設計すべきと主張する意見が挙げられた。2号側(診療側)の委員からは、2040年像を見据えた制度を1年後の改定に直結させるのは「論外」と反発する意見が出た。改定の論点には、「大病院→地域医療機関」への逆紹介の実効性向上(2人主治医制の推進、情報連携の評価である「連携強化診療情報提供料」の要件緩和)や、外来機能分化の徹底も含まれている。厚労省の提案には、かかりつけ医側に(1)一次診療対応領域の明確化と提示、(2)地域の病院との双方向連携(紹介・逆紹介、共同管理)の定着、(3)データ提出の拡大・標準化が求められている。とくに機能強化加算は、報告制度の実績(対応疾患カバー、ポリファーマシー対策、研修体制など)とリンクした見直しが俎上に上がっており、基準の再整理や算定要件の具体化が想定される。開業医に対しては「対応可能領域・疾患の可視化」「紹介・逆紹介の運用記録」「連携書式・電子共有の整備」などの対応と提出するデータに根拠が求められる。一方で、情報連携加算の要件が緩和されれば、地域のかかりつけ医は大学病院などとの共同管理で報酬評価を得やすくなる可能性がある。全体として「報告制度による見える化」と「診療報酬での評価」をどの程度リンクさせるかで、支払側と診療側の主張が対立し、年末まで引き続き協議が続く見通し。 参考 1) 中央社会保険医療協議会 総会 議事次第(厚労省) 2) 「かかりつけ医機能」報告、診療報酬と「整合を」支払側が主張 日医委員は「あり得ない」(CB news) 3) 大病院→地域医療機関の逆紹介をどう進めるか、生活習慣病管理料、かかりつけ医機能評価する診療報酬はどうあるべきか-中医協総会(Gem Med) 4.過去最高48兆円突破、国民医療費が3年連続更新/厚労省厚生労働省は10月10日、2023年度の国民医療費が48兆915億円に達し、前年度比3.0%増で3年連続の過去最高を更新したと発表した。1人当たりの医療費も38万6,700円と過去最高を記録している。医療費増加の主な要因は、高齢化の進展と医療の高度化に加え、コロナ禍後の反動やインフルエンザなどの呼吸器系疾患が増加したことが背景にあるとされる。とくに、医療費の負担は高齢者層に集中し、65歳以上が国民医療費全体の60.1%を占め、75歳以上の後期高齢者の医療費は全体の39.8%にあたる19兆円超となった。人口の大きなボリュームゾーンである団塊世代が後期高齢者(75歳以上)に到達し始めている影響が顕著となり、2025年度に向けてこの傾向は続くとみられる。財源は、保険料が24.1兆円、公費が18.3兆円、患者負担が5.6兆円で構成されているが、患者負担額が前年度から4.5%増と最も高い伸びを示した。また、1人当たりの国民医療費には依然として大きな地域格差が残っており、最高額の高知県(49.63万円)と最低額の埼玉県(34.25万円)との間で1.44倍の開きがある。医療費の高い地域ではベッド数が多い傾向が指摘され、地域医療構想に基づく病床の適正化が課題として改めて浮き彫りとなった。厚労省は、国民皆保険制度の維持・継承のため、社会経済環境の変化に応じた医療費の適正化と改革を積み重ねる重要性を訴えている。 参考 1) 令和5(2023)年度 国民医療費の概況(厚労省) 2) 国民医療費、3年連続最高 23年度3%増(日経新聞) 3) 2023年度の国民医療費、3.0%増の48兆915億円…3年連続の増加で過去最高を更新(読売新聞) 4) 2023年度の国民医療費は48兆915億円、1人当たり医療費に大きな地域格差あり最高の高知と最低の埼玉とで1.44倍の開き―厚労省(Gem Med) 5.中堅病院の倒産1.5倍に、民間主導の統合・経営譲渡が進行/北海道全国の医療機関の経営環境が急速に悪化し、地域医療に直接影響を及ぼす段階に入っている。東京商工リサーチによると、2025年1~9月の病院・クリニックの倒産は27件と高水準で推移し、とくに病床20床以上の中堅病院の倒産が前年同期比1.5倍の9件に急増した。負債10億円以上の大型倒産も増加し、地域の基幹医療を担う施設が深刻な苦境に立たされている。この経営危機は、物価高、人件費上昇、設備投資負担といったコストアップ要因に加え、理事長・院長の高齢化、医師・看護師不足という構造的な課題が重なり発生している。また、自治体が運営する公立病院も約8割が赤字であり、医療業務のコストと診療報酬のバランスの崩壊が、医療機関全体を採算悪化に追い込んでいる。再編の動きは加速し、とくに北海道では江別谷藤病院(負債25億円)が、給与未払いの事態を経て、札幌の介護大手「ライフグループ」への経営譲渡が決定し、未払い給与が肩代わりされた。また、室蘭市では、日鋼記念病院を運営する法人が、経営難の市立病院との統合協議を棚上げし、国内最大級の徳洲会グループ入りを選択した。これは、公立病院の巨額赤字(年間約20億円)と人口減がネックとなり、民間主導での集約が進んでいるとみられる。こうした倒産・統合の波は、診療科の再配置、当直体制・人事制度の統一、電子カルテや検査体制の共有など、医師や医療者の勤務環境やキャリア設計に直接的な変化をもたらす。地域の医療提供体制を維持するため、再編の移行期における診療体制の維持と、地域住民・自治体との合意形成が、医療従事者にとって重要な課題となる。診療報酬の見直しやM&Aといった手段による医療機関の存続に向けた取り組みが急務となる。また、病院再編にあたっては、移行期の診療体制の維持や、患者の混乱を避けるため、地域住民への情報提供と、自治体との合意形成が鍵となる。 参考 1) 1-9月「病院・クリニック」倒産 20年間で2番目の27件 中堅の病院が1.5倍増、深刻な投資負担とコストアップ(東京商工リサーチ) 2) 負債額約25億円の江別谷藤病院 札幌の「ライフグループ」に経営譲渡(北海道テレビ) 3) 室蘭3病院、再編協議難航 市立病院の赤字ネックに…「日鋼」、徳洲会の傘下模索(読売新聞) 4) 赤字続きの兵庫県立3病院、入院病床130床休止へ…収支改善が不十分ならさらに減床も(同) 5) 突然の来訪、室蘭市に衝撃 日鋼記念病院の徳洲会入り検討、市立総合病院との統合に黄信号(北海道新聞) 6.美容医療大手が62億円申告漏れで追徴課税、SNS豪遊アピールが引き金か/国税庁全国で100以上のクリニックを展開する「麻生美容クリニック(ABC)グループ」が、大阪国税局など複数の国税局による大規模な税務調査を受け、2023年までの5年間で計約62億円の巨額な申告漏れを指摘されていたことが明らかになった。追徴税額は、重加算税などを含め約12億円に上るとみられている。申告漏れの主な原因は、グループ内の基幹法人「IDEA」と傘下の6医療法人の間で、医療機器などの仕入れ価格を約47億円分過大に計上していたと判断されたためである。これにより、各医療法人の課税所得が不当に圧縮されていた。また、患者から受け取った前受金(手付金)約10億円の計上漏れも指摘された。さらに、基幹法人IDEAが得た収入のうち約3億円が、売上記録の偽装など悪質な仮装・隠蔽を伴う所得隠しと認定され、重加算税の対象となった。法人の資金を個人的な用途に流用したとして、グループ関係者にも約2億円の申告漏れが指摘されている。グループ側は報道機関の取材に対し、税務調査の事実を認め、「見解の相違もあったが、当局の指導により修正申告と納税は完了している」とコメントしている。背景には、SNSの普及などで美容医療の市場が急拡大する一方、新規開設費や広告費がかさみ、収益性の低い法人の倒産・休廃業が増えるなど、美容医療業界の過当競争が激化している現状がある。また、グループを率いる医師やその息子が、自家用ジェットや高級車などの豪華な私生活をSNSで積極的に公開していたことが、税務当局による異例の大規模調査のきっかけの1つになった可能性も指摘されている。 参考 1) 美容医療グループが62億円申告漏れ(朝日新聞) 2) 麻生美容クリニックグループ、60億円申告漏れ 大阪国税局など指摘(日経新聞) 3) 「19歳で3,000万円のフェラーリを乗り回し…」 62億円申告漏れの美容外科医と息子が自慢していた豪遊生活(週刊新潮)

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第285回 訪問看護と有料老人ホームに規制強化の動き、現場からは「こんなもので本当にホスピス型住宅における過剰なサービス提供にブレーキをかけられるのか」との厳しい声も

ホスピス型住宅の「実態ない診療報酬請求」事件に関連して厚生労働省などで規制の動きこんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。この週末は、百名山ハンターをしている山仲間に付き合って、紀伊半島の大峰山(八経ヶ岳)と大台ケ原(日出ヶ岳)を登ってきました。東京から京都経由で橿原神宮に入り、レンタカーでぐるりと回って3日間で2峰を落とす(しかも雨の中)という強行軍です。というわけで高市 早苗・自民党新総裁の故郷、奈良県の山間の細い国道、県道を250キロ近く走って実感したのですが、奈良を含め紀伊半島はとても山深くかつ神秘的ですね。中でも大峰山(熊野古道の一部も走っています)は修験道の山としても知られており、山上ヶ岳は今でも宗教的理由から女人禁制が守られており、女人結界門から先は女性の入山が認められていません。日本ではもうほとんどないと言われる女人規制の山が存在する県から、日本初の女性総理が誕生するかもしれないとは……。昨今の政治状況を鑑みるになかなかに意味深なことであるなあと思いながら奈良を後にしました。さて今回は、「第280回 ターミナルケア・ビジネスの危うさ露呈、『医心館』で発覚した『実態ない診療報酬請求』、調査結果の解釈はシロなのかグレーなのか?(前編)」、「第281回 同(後編)」で書いた、アンビスホールディングス(東京都中央区、代表取締役CEO柴原 慶一)の子会社のアンビス(東京都中央区)が運営する末期がん患者や難病患者向けのホスピス型住宅「医心館」で発覚した「実態ない診療報酬請求」事件に関連して、厚生労働省などで興味深い動きがありましたので、それについて書いてみたいと思います。報告書は“グレー”と言っているのに“我々はシロだった”と強引に解釈アンビスホールディングスが8月8日に公表した特別調査委員会の報告書は、「本件通知(厚労省通知)に定める訪問看護時間に比して明らかに短時間であると認められる事例や、複数名訪問の同行者を欠いたと認められる事例が存した。また、勤怠記録と訪問看護記録の齟齬並びに確定時期の異常値に照らせば、訪問実態に疑義を呈さざるを得ない事例も存した」として、記録の不備、営利優先の発想の存在、法令遵守の意識の低さ、業務遂行を確保する組織体制の不十分さなど、さまざまな問題点を指摘、「批判を受けるに値する」としつつも「多額の診療報酬を受けるために架空の事実をねつ造したような悪質な不正請求の事案とまでは認められない」としました。この報告書を受けてアンビスホールディングスは「訪問看護における医療行為が実態のあるものと特別調査委員会により判断されたものと認識」「看護実態について根拠資料の記載が不十分であると認定されたケースは、記録の登録ミス及び記載不足などによる形式的なエラーがその大部分を占めるものと認識」などと、意図的な不正請求はなかった点を強調するコメントを出しました。報告書は”グレー”と言っているのに”我々はシロだった”と強引に解釈しているようで違和感を覚えたのですが、厚労省もやはり同様の違和感を抱いたようです。2026年改定では、主治医が指示書に必要性を明記している場合に限り頻繁な提供を認める方針厚労省は10月1日、中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、有料老人ホームなどで訪問看護を過剰に提供する事業者への規制を強化する方針を明らかにしました。ホスピス型有料老人ホームの入居者らを対象に、一部の事業者による不正な診療報酬請求の横行が疑われることを踏まえたものです。「不正」とは具体的には、必要ないのに「1日3回」の頻繁な訪問や、複数人での訪問、報酬加算が得られる早朝・夜間や深夜の実施などです。2026年度の診療報酬改定で、主治医が指示書に必要性を明記している場合に限り、頻繁な提供を認めることになりそうです。報酬自体も引き下げられるかもしれません。ホームと資本・提携関係のある介護サービス事業所や居宅介護支援事業所の利用を契約条件とすることなどを禁止に続く10月3日、厚労省は「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」を開催し、これまでの議論の課題と論点を整理した取りまとめの素案を提示しました。同検討会は住宅型有料老人ホームなどでの過剰な介護サービスの提供、いわゆる「囲い込み」や、高齢者住まいの入居者紹介事業者への高額な紹介手数料の問題などを議論してきました。素案では、入居契約とケアマネジメント契約が独立していること、契約締結やケアプラン作成の順番といったプロセスにかかる手順書やガイドラインをまとめておき入居希望者に対して明示すること、契約締結が手順書やガイドライン通りに行われているかどうかなどを行政が事後チェックできる仕組みを作ることなどが挙げられています。また入居契約において、ホームと資本・提携関係のある介護サービス事業所や居宅介護支援事業所の利用を契約条件とすることや、そうした外付けサービスを利用する場合に家賃優遇といった条件付けを行うことや、かかりつけ医やケアマネジャーの変更を利用者に強要することを禁止する措置を設ける方針も挙げられました。さらに、中重度の要介護者や医療ケアを要する要介護者などを⼊居対象とする有料⽼⼈ホームについては、現⾏の届け出制から登録制に切り替える案も提示されました。アンビスが運営しているホスピス型住宅は、施設のカテゴリーとしては「住宅型有料老人ホーム」に位置付けられます。住宅型とは、施設内のスタッフではなく、外部(といっても、併設の訪問看護ステーション、訪問介護事業所を使うケースが大半ですが)スタッフによって看護・介護を提供します。この素案が仮にそのまま制度化されるとなると、ホームと資本・提携関係のある介護サービス事業所や居宅介護支援事業所の利用を強制できなくなるわけで、現実にそんなことが可能かどうかは別として、経営的には少なからぬダメージとなるでしょう。医療法人理事長と訪問看護会社の社長がホスピス型住宅の適正化を要望このように、悪質な有料老人ホームへの締め付けは一見強まっているように見えますが、まだまだ「甘い」と指摘する人もいます。10月3日付のメディファクスは、ホスピス型住宅で不正・過剰請求や居者の不利益が生じていることに関連して、医療法人社団悠翔会の佐々木 淳理事長と、訪問看護の会社Graceの西村 直之代表取締役が厚労省を訪問、鰐淵 洋子厚労副大臣らに要望書を提出、適正化を訴えたと報じています。同記事によれば、「要望書では、ホスピス型住宅を運営する企業で、不正請求が明らかになった事例を指摘。不正が発覚した企業への監査が必要だとした。さらに、他の企業でも不正・過剰請求が起きているのではないか、と懸念を示している」としています。対応した鰐淵副大臣も問題意識を示したとのことです。悠翔会の佐々木氏は首都圏を中心に多数の在宅医療のクリニックを経営するとともに、内閣府の規制改革推進会議専門委員(健康・医療・介護)も務める論客です。その佐々木氏は自身のXにこの厚労省訪問についてポスト、中医協が検討する「主治医が指示書に必要性を明記している場合に限り、頻繁な提供を認める」案では甘く「このままだと例によって本丸は無傷、まじめな事業所のとばっちりで終わるパターンだと思います」と書いています。さらに佐々木氏は「こんなもので本当にホスピス型住宅における過剰なサービス提供にブレーキをかけられると思っているのでしょうか。すでに私たちは一部のホスピス型住宅運営者から『1日3回の訪問看護が必要と指示書に記載せよ』と具体的なリクエストを受けています。もちろん週に数回の訪問で十分な安定した患者にそんな指示を書けるわけがありません。しかし、この要求を拒絶すれば、主治医としての関わりが終わるだけ。結局、言われるがままに指示書を書いてくれる医者を囲い込み、ますますブラックボックス化するのでしょう」と中医協案への懸念を示しています。「ホスピス型住宅を新しい施設類型に定義し直し、特定施設と同様、包括報酬にすればいい」そして佐々木氏は「事実上の施設看護を在宅・訪問看護として取り扱うことの弊害」を指摘、「ホスピス型住宅を新しい施設類型に定義し直し、特定施設と同様、包括報酬にすればいいのではないでしょうか。無駄な看護を押し売りする必要はなくなるし、無駄な社会保障費の支出も大幅に圧縮できるはずです」と大胆な改革案を提案しています。まったくの正論と言えるでしょう。住宅型とは名ばかりで、併設するステーションから自前のスタッフに頻回に訪問させているのでは、介護付き有料老人ホーム、すなわち特定施設と何ら変わりはありません。介護付き有料老人ホームとは異なる特定施設の新類型をつくり、報酬もマルメて(包括化して)しまえば、そうそうアコギなことはできなくなるのではないでしょうか。しかしながら、残念なことに来年は介護報酬改定がありません。再来年の改定に向けて、有料老人ホームの類型や特定施設の制度の抜本的見直しが進むことを期待したいと思います。

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第264回 「2040年を見据えた地域医療構想」医師はどう乗り越えるか?

地域医療構想が実現した日本の医療の姿厚生労働省が地域医療構想に着手して10年が経過しました。当時、厚労省は2025年の医療需要を踏まえた全国の二次医療圏ごとに必要病床数を定め、各都道府県に対して、病床機能報告をもとに4つの病床機能(高度急性期、急性期、回復期、慢性期)で必要病床数119.1万床が、2023年度で119.2万床となったため、行政サイドはほぼ目標を達成したとしています(日本医師会雑誌2025年7月号)が、コロナ禍が収束した現在、多くの急性期病院の課題は、稼働率が以前のレベルまで回復せず、大学病院や公立病院を含めて大幅に赤字となっており経営危機が叫ばれています。すでに地域によっては医師や看護師不足のフェーズから、外来患者数の減少や入院患者の減少が予想より早く訪れており、大都市を除くと医師や看護師不足のフェーズから人口減少のため「患者不足時代」に突入したことが明らかになっています。これから迎える高齢患者増加の未来に、地域の医療機関は対応していく必要性があることは間違いありません。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大する2040年に向けた新たな地域医療構想とは厚労省の令和7年版厚生労働白書によれば、2040年の日本の人口は、生産年齢人口(15~64歳)を中心に1,000万人減少する一方、85歳以上を中心に高齢者数は2040年まで増加し続け、高齢化率が35%を超えると見込まれています。少子化の加速で、労働人口が減少するため、医療・介護ニーズは増えてもそれを支える人材が不足する社会に変化することが明らかになっています。とくに85歳以上の高齢者は医療・介護の複合ニーズを有するため、85歳以上人口の増加によって85歳以上の高齢者の救急搬送は、2020年と比較して、75%増加し、85歳以上の在宅医療の需要は62%も増加することが見込まれています。(注:新たな地域医療構想に関するとりまとめ)このため高齢化によって手術などの急性期医療のニーズが減少すると、慢性期や在宅医療へ医療需要が変化するため、現状の医療提供体制のままでは持続不可能となってしまいます。画像を拡大する平成4(1992)年の段階(第8次医療計画及び地域医療構想に関する状況)で、すでに全国の外来患者数は2025年にピークを迎えることが予想され、今後は外来患者のうち65歳以上が占める割合はさらに上昇し、2040年には約6割となることが見込まれています。そして、すでに2020年までに214の医療圏では外来患者数のピークを迎えていると見込まれている一方、在宅医療の需要のピークは2040年以降と推測されています。このため厚労省では、今年の7月24日から「地域医療構想及び医療計画等に関する検討会」を立ち上げています。その第1回の資料(地域医療構想及び医療計画等に関する検討会)によれば、救急医療、小児科、周産期など提供体制について討議。次の第9次医療計画に反映されるよう、地域医療構想の策定状況や医療計画などの課題を国と県で共有することを目的として、検討を開始しています。厚労省は2029年度までの「第8次医療計画」や、「新たな地域医療構想ガイドライン」で、「治す医療」から「治し支える医療」への構造転換を明確に打ち出しています。また、厚労省は各都道府県に命じて、二次医療圏ごとに医療計画の立案を行うと同時に、地域医療構想で、急性期・回復期・慢性期・在宅の病床機能を明確化し、将来、必要とされる病床数を推計して、地域で完結できる体制を整えることを求めています。つまり地域社会の人口構成が変化することに応じて、病院もクリニックも、変わるべきタイミングが訪れてきていることがわかります。今後の人口減少によって、人口30万人を下回る二次医療圏では急性期拠点の集約化を進め、少なくとも1ヵ所の「急性期拠点病院」を確保することが指針とされています。これによって、2040年までに中小病院の統廃合・機能転換が加速し、勤務医の配置・専門医研修にも直接的な影響が及んできます。具体的にどういった動きが医師のキャリアや働き方に影響が出るかみていきましょう。地域医療構想の進捗における課題1)急性期医療の集約化と地域偏在中央社会保険医療協議会(中医協)の「入院・外来医療等の調査・評価分科会」によれば、急性期病棟で最上位の急性期一般入院料1を届け出る病院は近年減少傾向にあり、とくに人口20万人未満の二次医療圏では、急性期充実体制加算を持つ病院が存在しない地域が約8割に上っています。このため、救急医療・手術・産科・小児などの医療人材が不足している地域では、1~2の中核病院への集約が不可避となってきます。画像を拡大する画像を拡大する画像を拡大するすなわち地域の拠点病院に重症患者や医師を集めて、高度医療の中核的な病院を作って、周辺の病院には、(従来は回復期リハビリテーション病棟や地域包括医療・ケア病棟が新たに呼称変換されます)「包括期病棟」を備え、回復期の患者や軽症の救急患者の対応や、医療・介護連携の強化に動くことが求められます(新地域医療構想、「急性期拠点病院の集約化」「回復期病棟からsub acuteにも対応する包括期病棟への改組」など行う-新地域医療構想検討会[Gem Med])。このような病院の再編は、医療資源の効率化を狙う一方で、勤務医にとっては地域医療を守るために、マルチモビディティ(多疾患併存)の高齢患者のために総合的・全人的にアプローチしていく「総合的な診療能力」を持つ医師の働き方が求められるようになります。2)小児・周産期医療の地域完結は困難集約化で問題になるのは「小児・周産期医療」です。少子化により出生数は2024年時点で68万人台にまで落ち込み、分娩を扱う医療機関数も20年間で半減しています。すでに地域によっては分娩取扱施設が10ヵ所未満となり、二次医療圏外への妊産婦の救急搬送が発生している自治体も出てきているはずです。このため、産婦人科・小児科医の偏在と負担集中が顕著化し、都市部の周産期センターでは24時間体制維持が困難となっています。地域の医療提供体制の再編の過程で、産科・小児科の閉鎖や統合が進む地域では、勤務医の確保策と合わせて、医師の労働環境だけでなく、キャリア支援・女性医師復帰支援が課題となってくると思われ、その対応が急がれると思います。本年10月から厚労省は「小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ」を立ち上げており、今後の議論の推移を見守る必要があると感じています。3)都道府県での医師の偏在対策厚労省は2020年度以降、全国の二次医療圏・三次医療圏ごとに、医師の偏在の状況を全国ベースで客観的に示すために、「医師偏在指標」を算出し、上位3分の1を医師多数区域、下位3分の1を医師少数区域として区分しています。このデータをもとに、都道府県に対して医師の確保の方針を踏まえ、目標医師数を達成するための具体的な施策「医師確保計画」を策定し、3年ごとにPDCAを回す仕組みが導入されています。この「医師確保計画」では、短期的には大学医局からの医師派遣調整、中長期的には地域枠・地元出身枠の増加により地域定着を図る方針が明記されています。しかし、「医師少数区域への医師派遣」は大学医局に依存しており、大学側の派遣余力の限界もあり、地域の高度急性期病院にも医師派遣機能を求めるなど対策が強化される見込みです。画像を拡大する4)養成段階での地域偏在是正大学側も医師の偏在対策のため、医学部の「地域枠」や「地元枠」の拡大や奨学金貸与により医師育成数の増加も相まって、若手医師の地方病院での研修医が増えるなど、改善の傾向がみられるものの、若手医師にとっては勤務地域・診療科の拘束が強まり、キャリア選択の自由度が減少しています。また、専門研修として、日本専門医機構によって、専攻医シーリング(診療科・都道府県別上限)が設けられたことで、女性に人気のマイナー診療科では入局待機など都市部での定員が厳格化されたことで、選択肢が少なくなってしまう可能性があります。しかし、これらの方策によって、地域での若手医師の定着率は一定の改善がみられますが、診療科での医師偏在(産科・小児・救急・外科医不足)は依然として深刻なため、若手医師のキャリア志向やQOL重視のライフスタイルとの乖離が広がっているという見方もあり、これについてはさらに見直されると思います。地域医療再編と医師への影響1)医療再編の「担い手リスク」地域医療構想に基づく病床再編は、病院間連携や統廃合を前提としていますが、その過程で医師の異動や配置転換が行われる見込みです。とくに人口20万未満の医療圏では、救急・外科系医師の不足が慢性化し、医師によっては複数施設を兼務する勤務形態が制度的に定着する可能性もあり、医師の働き方改革(時間外960時間上限)との両立が困難となり、結果的に地域医療を支える医師の離職リスクを伴っていますが、地方で医師が充実するには時間がかかるため、大学など派遣側からの協力で耐えるしかないと考えます。画像を拡大する2)医療機関の機能転換とキャリア再構築回復期リハビリテーションや在宅医療への転換が進む中で、急性期医療中心で育成された医師が、慢性期病棟や「包括期病棟」を備えた病院に配置転換されるケースが増加していくとみられます。こうした医師に対し、自治体や医学部が「キャリア形成プログラム」を策定し、医師不足地域勤務と能力開発の両立を支援する仕組みを整えていますが、まだ実際の運用は都道府県による地域差が大きく、実質的には「大学医局による医師派遣の延長線」に留まることも多いなど、さらに再考の余地はあると思われます。今後の重点課題と展望大学と自治体の連携による医師供給調整の実効性では、大学の医局依存から脱却し、地域医療支援センターを中心とした医師配置調整を強化する必要があります。とくに女性医師や家庭のある医師の地域勤務継続支援が鍵となるとみられます。1)医師のキャリアパスの一体化「医師養成-専門研修-配置」の全段階を通じ、地域医療経験を評価するキャリアモデルを確立しなければ、地域勤務は恒常的な人材流出に陥ります。2)医療機関再編と診療科維持の両立急性期集約化の中で、産科・小児・外科を維持できる体制を構築するには、複数の圏域連携型の周産期・小児医療ネットワーク化が必要になると思いますが、まだ地域によっては再編が進まず自治体ごとに周産期医療を開設しようとする動きもあり、地方への働きかけも必要と考えます。3)医師労働環境改革との整合医療再編と同時に、長時間労働の是正と夜間救急体制維持という難題をどう解決するかが最大の焦点となります。結論-将来の地域医療構想は広く医療環境を再編すべき2040年に向けた地域医療構想は、単なる病床数調整ではなく、医師の再配置・育成・労働環境改革を包括する「医療人材の再編」の一環と考えるべきです。人口が減少した地域では医療機関の統廃合は避けられず、医師の勤務場所・診療領域・働き方に直接的な影響を与えると思います。したがって、今後の医療提供体制改革の成否は、医師偏在対策の実効性と、再編後も医師が持続的に働ける場所やキャリア設計にも重要な転換点に差しかかっていると考えます。地域医療構想の最終的な目的は「均質な医療提供」ではなく、限られた医師資源を最適に循環させ、地域の生活インフラである地域医療を絶やさない仕組みの再構築にあると考え、われわれ医師もその流れに乗っていく必要があると感じています。参考 1) 地域医療構想と地域包括ケア-2025と2040(日医雑誌) 2) 地域医療構想及び医療計画等に関する検討会【第1回】(厚生労働省) 3) 新たな地域医療構想に関するとりまとめ(同) 4) 新たな地域医療構想策定ガイドラインについて(同) 5) 医師確保計画を通じた医師偏在対策について(同) 6) 医師偏在対策について(同) 7) 第1回小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ(同) 8) 新地域医療構想、「急性期拠点病院の集約化」「回復期病棟からsub acuteにも対応する包括期病棟への改組」など行う-新地域医療構想検討会(Gem Med)

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第263回 インフルエンザ全国で流行入り、ワクチンは11月末までに接種を/厚労省

<先週の動き> 1.インフルエンザ全国で流行入り、ワクチンは11月末までに接種を/厚労省 2.公立・大学病院の赤字拡大が過去最大に、人件費高騰で持続性に黄信号/総務省 3.機能強化型在支診・在支病を再定義へ 緊急往診・看取りなどの評価へ/中医協 4.周産期・小児医療の集約化が本格議論へ、地域単位での再編を/厚労省 5.医療事故調査制度創設10年、医療事故判断のプロセスを明文化へ/厚労省 6.有料老人ホーム、囲い込み禁止へ 登録制で参入規制強化へ/厚労省 1.インフルエンザ全国で流行入り、ワクチンは11月末までに接種を/厚労省厚生労働省は、9月22日~28日のインフルエンザの定点報告で患者数4,030人、定点当たり1.04人とし、全国流行入りを公表した。昨季より約5週早く、過去20年で2番目の早さである。定点1を超えたのは15都府県で、沖縄8.98、東京1.96、鹿児島1.68などが高かった。保育園・学校などの休校・学級閉鎖は135施設(前週比増)、東京都内でも9月だけで61件の集団感染が報告された。流行前線は、観光地を含む関東・関西・九州・沖縄で目立ち、今季は台湾・香港で夏に流行したA型(H3N2)が国内でも主流になる可能性が指摘されている。インバウンドや海外渡航を介したウイルス流入が早期流行に影響したとの見方が有力。一方、新型コロナの定点は5.87(前週比0.85倍)と2週連続の減少で、呼吸器感染症の鑑別と同時流行への備えが求められる。新型コロナウイルスの流行は例年どおり12月末~2月と見込まれているが、寒冷化とともに患者は増えるため、高齢者・基礎疾患・小児にはワクチン接種を推奨する。なお、インフルエンザワクチンとして、2~18歳には、経鼻生ワクチン(商品名:フルミスト)が昨季から接種可能で、発症リスクを約28.8%低下させる国内成績がある。副反応は、鼻閉・咳などが多く、妊娠・免疫不全・重度喘息、授乳や同居に免疫不全者がいる場合は不活化ワクチンを用いる。基本対策(手洗い、混雑場面でのマスク、体調不良時の外出回避)を徹底し、学齢期の動向に留意した上で、重症化リスクへの早期介入(抗インフルエンザ薬の適応判断、合併症監視)を行いたい。なお、定点数縮小に伴い今季は「流行レベルマップ」と全国推計患者数の公表が停止されている。 参考 1) インフルエンザ全国で流行入り 厚労省、過去20年で2番目の早さ(日経新聞) 2) インフルエンザ、はや流行期入り 昨シーズンより5週早く 厚労省(朝日新聞) 3) インフルエンザ流行入り、2023年除き2番目の早さ…専門家「訪日客の増加が影響」(読売新聞) 2.公立・大学病院の赤字拡大が過去最大に、人件費高騰で持続性に黄信号/総務省総務省が明らかにした地方公営企業決算によると、2024年度の公立病院事業の経常赤字は3,952億円と過去最大(前年2,099億円の約2倍)となった。844病院のうち83.3%が赤字に陥った。要因は賃上げによる人件費の増加、医薬品や診療材料費の上昇、エネルギー価格の高騰で、2025年度の経営状態について、各団体の試算・発言からは厳しい発言が相次いでいる。四病院団体協議会の定期調査でも、2025年6月単月の経営は前年同月よりさらに悪化しており、24年度通年も医業収支・経常収支とも悪化し、赤字病院割合の上昇が報告された。大学病院の打撃はより深刻とされており、全国医学部長病院長会議の集計では、81大学病院の24年度経常赤字は計508億円に拡大(医薬品費+14.4%、診療材料費+14.1%、給与費+7.0%)している。国立大学病院は25年度、経常赤字が400億円超へ拡大する見通しで、42病院中33病院が現金収支赤字に転落する見込み。このため医療機器の更新や建物整備の先送りが常態化し、高度医療や医学研究や人材育成に支障が出始めている。赤字拡大を受けて、病院団体からは2026年度の診療報酬改定に向けて診療報酬の引き上げ要求が相次いでいる。物価・賃金上昇の「2年分」を本体に反映する大幅プラス改定(四病協・大学病院団体は10%超~約11%を要望)、必要なら期中改定の実施も求めている。このほか、急性期の入院基本料や救急・周産期・小児などの基礎コストを底上げし、夜間・時間外、救急搬送受け入れ、重症患者対応の評価を拡充も求めている。さらに働き方改革に伴う人件費増(医師時間外上限、看護職の処遇改善など)を恒常費として補填も求めている。さらに医薬品・診療材料の市況高騰を包括点数や出来高評価に機動的に転嫁(DPC包括の原価乖離補正、材料価格スライド)するほか、高額な医薬品については費用対効果評価の厳格化・再算定を進め、真に臨床的価値の高い薬剤の適正評価を求めている。また、緊急の補正予算による機器更新・老朽施設更新の原資を確保するほか、地域医療構想のために、地域医療が弱体化しないように、過疎・離島や大学の医師派遣機能に配慮した加算の新設を求めている。同じく大学病院団体側は「このままでは高度医療・人材育成・研究の基盤が損なわれる」とし、診療報酬と公的支援の両輪による早期の資金手当てを求めている。今後、患者負担・給付と負担の議論が行われ、次年度の改定を前に政府で社会保障費について検討される見込み。 参考 1) 令和6年度地方公営企業等決算の概要(総務省) 2) 「令和6年度大学病院の経営状況」(国立大学病院長会議) 3) 全国の公立病院、24年度は過去最大の赤字 人件費増が重荷に(日経新聞) 4) 病院経営がさらに悪化、「かなり深刻」四病協調査 6月単月で(CB news) 5) 国立大病院の赤字、今年度は過去最大400億円超の見通し 物価高や人件費上昇(産経新聞) 6) 81大学病院の経常赤字は昨年より悪化、計508億円の赤字に(日経メディカル) 7) 2024年度に大学病院全体で「508億円の経常赤字」、22年度比で医薬品費が14.4%増、診療材料費が14.1%増と経営圧迫-医学部長病院長会議(Gem Med) 3.機能強化型在支診・在支病を再定義へ 緊急往診・看取りなどの評価へ/中医協厚生労働省は、10月1日に開かれた中央社会保険医療協議会(中医協)の総会で、2026年度改定に向け在宅医療の評価見直しを議論した。2020年から2040年にかけて、85歳以上の救急搬送は75%増加し、85歳以上の在宅医療需要は62%増加することが見込まれ、これに対して在宅医療の質的な充実が求められている。連携型の機能強化型在支診・在支病について、24時間往診体制の「実質的な貢献度」に応じた評価を導入すべきだと支払側が主張する一方、診療側は撤退誘発を懸念し、反対した。厚労省提示のデータでは、連携型在支診の往診体制時間は「常時」と「極めて短い」で二極化しており、緊急往診・看取り実績は在宅緩和ケア充実加算の要件超えが多数認められ、重症患者比率が高い施設も一定数あった。これらを踏まえ、(1)地域の中核として、十分な医師配置を行い、在宅での看取りや重症対応を実施して他機関を支援し、さらに医育機能も担う在宅医療機関を評価すること、(2)在宅緩和ケア充実加算を統合して再設計すること、の2点を主要論点として位置付けた。一方、診療側は、要件を強化したり医育機能を加算の要件に組み込んだりする案に反対を示した。併せて、包括的支援加算の算定にばらつきが生じていることから、要介護度の低い患者の割合を報酬に反映させる支払側の提案に対して、診療側は「要介護度が低くても、通院困難で在宅医療が必要な患者が多数存在する」ため、要介護度のみに着目した評価に反対した。へき地診療所については、派遣元が時間外対応を担う場合に在医総管・施設総管を算定できるようにする方向で双方が賛同した。さらに、退院直後の訪問栄養食事指導を新たに評価することも検討し、入退院支援から急変対応・看取りに至るまで在宅医療を整備し、評価にメリハリを付ける方針を、改定の論点として示した。今後、これらの論点についてさらに検討の上、来年度の改定に盛り込まれる見込み。 参考 1) 中央社会保険医療協議会 総会(厚労省) 2) 在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループにおける検討事項等について(同) 3) 訪問診療の報酬に「患者の状態」反映、厚労省案 要介護度低い割合など(CB news) 4) 「在宅医療及び医療・介護連携に関するワーキンググループ」の初会合が開催(日経メディカル) 5) 24時間往診体制への貢献度に応じた評価に意見が分かれる(同) 4.周産期・小児医療の集約化が本格議論へ、地域単位での再編を/厚労省厚生労働省は、10月1日に「小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ」を開催し、少子化と医師偏在の進行を踏まえ、周産期医療と小児医療の提供体制を抜本的に見直す方針を示した。従来の二次医療圏にこだわらず、地域の実情に応じて柔軟に医療圏を設定し、分散した医療資源を集約化する方向性である。小児医療・周産期医療のワーキンググループ(WG)で論点が示され、2025年度末までに一定の取りまとめを行う見通し。周産期医療では、ハイリスク分娩に限らず、一般的な分娩を含む医療圏の再編が検討される。出産件数の減少により、分娩取扱施設は全国で減少傾向にあり、とくに地方では産婦人科医や小児科医、助産師の確保が課題となっている。厚労省は、263ヵ所ある周産期医療圏を再構築し、妊婦健診や産後ケアを担う施設との連携を強化するとともに、周産期母子医療センターの整備や無痛分娩の安全提供体制も検討課題とした。参加した委員からは出生数が減ると分娩を取り扱う医療機関の経営が成り立たなくなるとの指摘もあり、さらに分娩施設の急減は安全確保に影響する可能性があり、早期の結論が求められている。一方、小児医療では、全国1,690病院のうち約48%が常勤小児科医2人以下にとどまり、医療資源の薄い分散配置が明らかとなった。厚労省は「小児医療圏」単位での集約化・重点化を提案し、2030年度から始まる第9次医療計画で具体化する考えを示した。小児医療圏は現行306ヵ所で、救急機能を含め常時小児診療を提供できる体制の確保を求める方針。また、地域で小児科の診療所が不足する場合には、病院の小児科が一般診療に参加し、内科医との連携やオンライン診療、「#8000」電話相談などを組み合わせて医療提供体制を維持する方策も提示された。厚労省は、今後の議論を通じて、人口減少下でも「安全に産み育てられる地域医療体制」の再構築を進める方針である。 参考 1) 第1回小児医療及び周産期医療の提供体制等に関するワーキンググループ(厚労省) 2) 常勤小児科医2人以下の病院が約半数 厚労省(CB news) 3) 周産期医療、ハイリスク分娩以外も集約化へ 年度末をめどに取りまとめ 厚労省(同) 5.医療事故調査制度創設10年、医療事故判断のプロセスを明文化へ/厚労省厚生労働省は、10月1日に開いた「医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会」で、医療事故調査制度の創設から10年を迎えるのに合わせ、医療機関が医療事故を判断する体制や手順を自ら定め、医療安全管理指針に明記する方針を示した。患者の予期せぬ死亡が「医療に起因するか」について医療機関と遺族が対立する事例が相次いでおり、判断の質と透明性を高める狙いがある。同制度は2015年に導入され、病院や診療所、助産所で医療に起因する、またはその疑いがある予期せぬ死亡が発生した場合、第三者機関への報告を義務付けている。しかし、事故に該当するかの判断を管理者が単独で行うことが多く、施設間で判断基準にばらつきがあった。今回の見直しでは、全死亡例を対象としたスクリーニング体制を構築し、疑義がある場合の検討過程を記録として残すことを求める。新たな指針では、医療事故に該当するかの検討を行う際の工程や、遺族からの申し出に応じて再検討する仕組みを明文化する。さらに、判断に至った理由、遺族への説明経過などを保存し、事後検証可能な形で管理することを義務付ける方針。また、厚労省は、管理者に対して医療事故調査制度の研修受講を促すとともに、未修了の場合は修了者である医師や看護師など実務担当者が支援できる体制を整えるとした。日本病院会の岡 俊明副会長は、「全死亡例を対象にスクリーニングし、判断根拠を明確に残すことが制度の信頼性向上につながる」と述べている。同制度は今年3月末までに3,338件の報告があり、厚労省は今後、関連指針の改訂を進める方針。 参考 1) 第4回医療事故調査制度等の医療安全に係る検討会(厚労省) 2) 医療事故の判断、指針明記へ 遺族対応も、調査制度創設10年(共同通信) 3) 医療事故の判断プロセス、安全管理指針に明記へ 判断理由の記録も保存を 厚労省(CB news) 6.有料老人ホーム、囲い込み禁止へ 登録制で参入規制強化へ/厚労省厚生労働省は、10月3日に「有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会」を開き、有料老人ホームをめぐる規制強化の方針を示した。中重度の要介護者や医療ケアが必要な高齢者を受け入れる施設の一部について、現行の「届け出制」から「登録制」へ移行する方向で検討を進める。事業計画の不備や虐待などの行政処分歴がある事業者の参入を拒否できる仕組みを設け、質の担保と安全性確保を狙う。これまで届け出制では、行政が開設を拒めないことから、不適切な事業者が参入し、給与未払い・集団退職・転居強要などのトラブルも相次いだ。登録制では、参入要件を満たさない事業者に対し、開設制限をかけることが可能になる。同時に、介護サービス事業者との「囲い込み」の是正も進める。住宅型ホームで、入居契約時に提携する居宅介護支援事業所や介護サービスの利用を条件としたり、家賃優遇などで自法人サービスを誘導したりする行為を禁止する。さらに、かかりつけ医やケアマネジャーの変更を迫る行為も明確に禁止される。厚労省は、契約の透明化と利用者の選択権を守る観点から、契約締結・ケアプラン作成手順のガイドライン整備を義務付け、行政が事後的にチェックできる仕組みを設ける方針。今後、パブリックコメントを経て報告書をまとめ、老人福祉法改正を視野に制度化を進める。医療現場への影響としては、入居者の医療的ケア連携が明確化され、外部医師の関与が阻まれるリスクが減る点が挙げられる。今後は、地域医療連携室や在宅医が入居後も継続的に介入できる体制が求められ、医療と介護の分断是正に資する動きとなりそうだ。 参考 1) 有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会 とりまとめ素案(厚労省) 2) 重度者向け老人ホームに登録制検討 厚労省、質懸念なら参入拒否(日経新聞) 3) 老人ホーム「囲い込み」是正 ケアマネ変更の誘導・強要を禁止 厚労省 ルール厳格化へ(JOINT) 4) 有料老人ホーム、家賃優遇の条件付け禁止へ「囲い込み」対策 厚労省(CB news)

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