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聖路加GENERAL 【Dr.石松の帰してはいけない患者症例】<下巻>

危険な兆候を見極める!

シリーズ名
聖路加GENERAL
診療科
救急科 
収録内容
3.「腰痛篇」
4.「腹痛篇」
講師
徳田 安春 岡田 正人 岸本 暢將 石松 伸一
収録時間
75分
価格
8,250円(税込)
発行日
2013-06-17
商品コード
CND0187

3.「腰痛篇」


特に高齢の方に多い腰痛。骨の疾患に加えて、中には重篤な疾患も含まれるため要注意です。

【症例1】
1年前に「ぎっくり腰」の診断を受けたことがある76歳の女性。
今回は歩けなくなるほどの腰痛ということで救急で受診されました。診察の結果、圧迫骨折であることがわかりました。圧迫骨折は、骨粗鬆症を原因とする場合が多く、これをきっかけに寝たきりになるケースも多いことから、ぜひとも予防したい疾患です。そのためにも、骨密度検査を積極的に行うことが重要なポイントになります。

【症例2】
3日前から腰痛と右大腿部痛を自覚された79歳の女性。
慢性糸球体腎炎、好酸球性心筋炎の治療中です。この症例を腰痛のRed flag signに照らしあわせて診察を進めていくと、重大な疾患が見つかりました。腰痛の原因となる重大な疾患をどう見つけるかについて詳しく解説します。

【症例3】
37歳の若い男性。
腰背部痛は17年前からと長期にわたり、数年前からは、仰臥位を取ることができず、ソファで座って眠っているとのことです。身体所見、検査ともに大きな異常は見つかりませんでしたが、カギとなった項目がESR上昇でした。腰痛の原因となる重篤な疾患では、ESRが上昇することが多いのです。さっそく、状況から膠原病科にコンサルトしたところ、診断することができました。

【症例4】
2ヵ月前から腰痛が増悪している60歳の男性。
変形性脊椎症を疑われていましたが、ついに激痛で立てなくなり救急外来を受診しました。前回紹介した腰痛のRed flag signに照らし合わせてみると、安静で軽快しないなど、どうやら重大な疾患が隠れていそうです。

4.「腹痛篇」
ひとえに腹痛といっても、その部位、痛みの性質、強さによって症状も原因もさまざまです。なかには、重篤な疾患も含まれているため、注意が必要です。

【症例1】
比較的急激に発症した心窩部痛で救急外来に訪れた37歳の男性。
痛みもスケール10/10と激しい痛みです。このような急性腹症は、消化管の穿孔や肝胆系の急性炎症、大血管系の障害も考えられます。本症例では、多量の飲酒歴から、急性膵炎を疑い検査を進めます。

【症例2】
急激に上腹部痛を発症した55歳の男性。
やはり、飲酒歴があります。腹膜刺激症状が出ていることから、CTを撮影したところ、アルコール性の急性膵炎であることがわかりました。他に、消化管穿孔の症例もご紹介します。

【症例3】
大動脈瘤を指摘されている84歳の男性。
がまんできない下腹部痛で来院しました。さっそく"OPQRST"で診断したところ、腸管穿孔や大動脈瘤破裂が疑われました。検査を進めたところ、CTで腹腔内遊離ガスから、十二指腸潰瘍穿孔であることがわかりました。

【症例4】
糖尿病と高血圧の既往のある55歳の男性。
がまんできない左側腹部痛で来院しました。こちらも、"OPQRST"で診断したところ、重篤な疾患であることはまちがいなさそうです。身体所見では、血圧が収縮期で90mmHgと低下し、ショックバイタルを示していました。急いで腹部造影CTを撮ったところ、大動脈瘤破裂が見つかりました。緊急性の高い急性腹症の重篤な疾患の見分け方についても詳しく解説します。

徳田 安春 ( とくだ やすはる )氏 臨床研修病院群プロジェクト 群星沖縄センター長

1988年琉球大学医学部卒業。沖縄県立中部病院にて研修後、沖縄県立八重山病院内科、 Dartmouth Hitchcock Medical Center(GIM fellow)、沖縄県立中部病院総合内科、 聖路加国際病院一般内科・聖ルカ・ライフサイエンス研究所臨床疫学センター、筑波大学大学院人間総合化学研究科 臨床医学系教授を経て 2017年より現職 。ハーバード大学大学院MPH、医学博士、米国内科学会上級会員、日本内科学会総合内科専門医。 著書に『新・総合診療医学』『バイタルサインでここまでわかる!OKとNG』(ともにカイ書林)。 『アセスメント力を高める! バイタルサイン 』(医学書院)など多数。

岡田 正人 ( おかだ まさと )氏 聖路加国際病院 Immuno-Rheumatology Center 部長・センター長

1991年より米国のニューヨーク・ベスイスラエルメディカルセンターにて内科研修後、1994年よりイェール大学病院にてリウマチ膠原病内科とアレルギー臨床免疫科にて専門研修。1997年から仏国のパリ第5大学医学部およびNYコーネル大学の関連病院にてセクションチーフを8年間務めたのち帰国し2006年より現職。京都大学大学院、東京大学医科学研究所、大分大学非常勤講師、愛知医科大学客員教授。Yale Physician-Scientist Award、ACR Senior Rheumatology Scientist Award受賞。米国内科・リウマチ膠原病内科・アレルギー臨床免疫科(成人・小児)専門医。在仏中はル・コルドン・ブルーのワイン講座に通い、現在もワインセラーには500本以上を貯蔵するワイン通。

岸本 暢將 ( きしもと みつまさ )氏 杏林大学医学部付属病院 腎臓・リウマチ膠原病内科 准教授

米国内科専門医、米国リウマチ膠原病科専門医。 1998年北里大学卒業後、沖縄県立中部病院初期研修、在沖縄米国海軍病院インターンを経てハワイ大学内科レジデンシー。ベストインターン賞、ベストレジデント賞受賞。ニューヨーク大学リウマチ科フェローシップを経て2006年8月より亀田総合病院リウマチ膠原病内科。2009年 8月より聖路加国際病院 アレルギー・膠原病センター副医長、2012年より医長。2019年より現職。東京大学アレルギー・リウマチ内科、東京医科歯科大学臨床医学教育開発学非常勤講師。2006年米国リウマチ学会Distinguished Fellow賞受賞。Bulletin of the NYU Hospital for joint diseases誌編集委員。

石松 伸一 ( いしまつ しんいち )氏 聖路加国際病院 救命救急センター センター長

川崎医科大学附属病院・救急部を経て現職。日本救急医学会専門医。日本集中治療医学会専門医。地下鉄サリン事件をはじめ、さまざまな事件や災害を経験して得た教訓・知識を後進に伝えている。著書:『看護師・研修医のための急変対応101の鉄則 』(照林社)