皮膚科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:11

喫煙と乾癬は因果関係にある

 乾癬は、喫煙とは因果関係にあるが、アルコールの摂取とは関連しないという研究結果が、「British Journal of Dermatology」に6月28日掲載された。  アルコール摂取と喫煙は乾癬リスクと関連することが報告されている。しかし、それらの因果関係に関する質の高いエビデンスを示して結論を導き出すことは、通常行われているような観察研究では困難である。  杭州医学院(中国)のJiahe Wei氏らは今回、アルコールの摂取や喫煙と乾癬の関連性を調べた。GSCANコンソーシアム(Sequencing Consortium of Alcohol and Nicotine use)が発表した大規模なゲノムワイド関連研究(GWAS)から、アルコール摂取(N=94万1,280)、喫煙開始(N=123万2,091)、1日当たりの喫煙量(N=33万7,334)、禁煙(N=54万7,219)に関する遺伝子多型のデータを抽出した。生涯の喫煙量(N=46万2,690)に関するGWASの結果は、UKバイオバンクから入手した。乾癬の要約統計は、乾癬患者1万9,032人と対照28万6,769人から成る8つのコホートを対象にした最近のGWASメタアナリシス、および乾癬患者4,510人と対照21万2,242人から成るFinnGenから得た。アルコール摂取、喫煙と、乾癬との遺伝的相関をLDスコア回帰(linkage disequilibrium score regression)で検討した。また、ゲノムワイド有意水準(P<5×10−8)に達した、独立した遺伝的バリアントを用いて、双方向メンデルランダム化(MR)解析により因果の方向性の評価を行った。

コロナワクチンで帯状疱疹リスクは上がるのか~大規模調査

 新型コロナワクチン接種後に帯状疱疹が発症した症例が報告されているが、ワクチンによって帯状疱疹リスクが増加するのかどうかは不明である。今回、新型コロナワクチン接種が帯状疱疹リスク増加と関連するかどうかについて、米国・カリフォルニア大学サンフランシスコ校のIdara Akpandak氏らが検討した。その結果、新型コロナワクチン接種後の帯状疱疹の発生率比が0.91であり、本研究では帯状疱疹リスクの増加と関連していないことが示唆された。JAMA Network Open誌2022年11月16日号に掲載。

アトピー性皮膚炎の湿疹とかゆみ、臨床で推奨される測定手法は?

 臨床において、アトピー性皮膚炎患者の湿疹コントロールおよびかゆみの強度測定に推奨される手法は何か。イスラエル・ラビン医療センターのYael A. Leshem氏らHarmonising Outcome Measures for Eczema in Clinical Practice(HOME-CP)イニシアチブが、システマティックレビューを介して入手した測定手法についてエビデンスレビューを行った。  結果、湿疹の長期コントロールの測定には、Recap of Atopic Eczema(RECAP)とAtopic Dermatitis Control Tool(ADCT)が、かゆみ強度の測定には、かゆみに関するPatient-Reported Outcomes Measurement Information System(PROMIS)質問票に基づく、かゆみの数値評価スケール(NRS-itch)でみた24時間ピーク値および1週間ピーク値と1週間平均値が推奨される、とのコンセンサスステートメントを発表した。

神経線維腫症1型における叢状神経線維腫治療薬「コセルゴカプセル」発売/アレクシオン

 アレクシオンファーマは、11月16日付のプレスリリースで、「神経線維腫症1型における叢状神経線維腫」の効能または効果として、コセルゴカプセル10mgおよび25mg(一般名:セルメチニブ硫酸塩、以下「コセルゴ」)の販売を11月16日より開始したことを発表した。  神経線維腫症1型(NF1)は、世界で出生約3,000人に1人が罹患している遺伝性疾患であり、10歳未満の小児で最もよく診断される。患者の30~50%で神経鞘に叢状神経線維腫(PN)が発生し、外見の変形、運動機能障害、疼痛、気道の障害、視力障害、膀胱/腸の機能障害などの病的状態を引き起こすことがある。PNは幼児期に発症し、その重症度は多岐にわたる。NF1患者では健康な人と比較して、平均余命が最長で15年短くなる可能性があるとの報告もある。にもかかわらず、主な治療選択肢が手術に限られるケースもあり、新たな治療法の登場が望まれていた。

サル痘、発症前の症例から感染の可能性も/BMJ

 英国健康安全保障庁(UKHSA)のThomas Ward氏らは、英国でのサル痘の感染動態を調べる目的で接触追跡研究を実施した。英国では、サル痘の流行は2022年7月9日時点でピークとなりその後に低下。発症間隔は潜伏期間より短い場合が一般的であったことから、症状発現前のサル痘症例からの感染伝播があったことが示唆されたとしている。また、症状発現前に感染が検出されたのは最大4日間であったことから、感染の可能性がある人々の95%を検出するためには16~23日の隔離期間が必要と考えられたこと、発症間隔の95パーセンタイル値は23~41日間であり、感染期間が長いことが示唆されたとしている。BMJ誌2022年11月2日号掲載の報告。

毛髪を生み出すオルガノイド作成に成功―白髪や脱毛症の治療に期待

 生体外でも毛髪を生み出せる毛包オルガノイド(ミニ臓器)の作成に成功したとする論文が、「Science Advances」に10月21日掲載された。「ヘアフォリクロイド」と名付けられたこの毛包オルガノイドをマウスに移植すると、毛包が生着して毛髪が生え変わることも確認されたという。横浜国立大学大学院工学研究院の福田淳二氏らの研究によるもの。研究グループでは、白髪や脱毛症の治療薬の開発、毛髪再生医療への応用が期待されるとしている。  身体を構成する臓器や組織は、異なる種類の細胞からなる複雑な構造を持っていて、その発生過程では上皮系細胞と間葉系細胞の相互作用が重要。ただし、研究のために生体から分離した上皮系細胞と間葉系細胞を試験管内で培養しても、目的とする細胞への分化に必要な相互作用が起こらずに、目指す臓器や組織にはならない。毛根を包んでいる「毛包」についても、この2種類の細胞を用いたオルガノイドの作成が試みられてきているが、成熟した毛包の形成は成功していなかった。

新生児への毎日の保湿剤、アトピー性皮膚炎を予防しない

 生後1年間、保湿剤を毎日塗布しても、アトピー性皮膚炎への予防効果は認められなかったことが、英国・ノッティンガム大学のLucy E. Bradshaw氏らが行った無作為化試験「Barrier Enhancement for Eczema Prevention(BEEP)試験」の結果、示された。食物アレルギー、喘息、花粉症への予防効果も認められなかった。保湿剤塗布のアトピー性皮膚炎/湿疹への予防効果については議論が分かれている。Allergy誌オンライン版2022年10月19日号掲載の報告。  BEEP試験では、アトピー性皮膚炎およびアトピー性の症状に対する生後1年間の毎日の保湿剤塗布の効果を、5歳まで評価した。  アトピー性疾患の家族歴がある新生児1,394人を、1対1の割合で無作為に2群に割り付け、毎日の保湿剤塗布+標準的スキンケアをアドバイス(保湿剤塗布群:693人)または標準的スキンケアのみをアドバイス(対照群:701人)した。

ルキソリチニブクリーム、白斑に有効/NEJM

 白斑に対するJAK阻害薬ルキソリチニブ(本邦では骨髄線維症、真性多血症の適応で承認)のクリーム製剤は、基剤クリーム(対照)よりも病変部の再色素沈着を拡大したことが示された。安全性については最も多く報告された有害事象は、塗布部におけるにきびやかゆみであった。米国・タフツ医療センターのDavid Rosmarin氏らによる、2件の第III相二重盲検溶媒対照無作為化試験の結果で、同剤については白斑成人患者を対象に行った第II相試験で、再色素沈着をもたらしたことが報告されていた。著者は今回の結果を踏まえて、「有効性および安全性について、より大規模かつ長期の試験を行い確認することが必要である」とまとめている。NEJM誌2022年10月20日号掲載の報告。  2試験は、Topical Ruxolitinib Evaluation in Vitiligo Study 1(TRuE-V 1)と2(TRuE-V 2)で、北米および欧州で、12歳以上、総体表面積の10%以下に色素脱失を有する非分節型白斑患者を対象に行われた。  患者を2対1の割合で、ルキソリチニブ1.5%クリーム群または対照群に無作為に割り付け、顔面および体幹のすべての白斑病変部に1日2回、24週間塗布した。その後は、全患者について52週までルキソリチニブ1.5%クリーム塗布を可能とした。  主要エンドポイントは、ベースラインから24週時点の顔面Vitiligo Area Scoring Index(F-VASI、範囲:0~3、高スコアほど顔面の白斑面積が大きいことを示す)の低下(改善)が75%以上(F-VASI75)とした。主な副次エンドポイントは5つで、Vitiligo Noticeability Scale(VNS)の改善などが含まれた。

マイナ保険証への対応、他の医院はどうしてる?/1,000人アンケート

 2022年10月から、マイナンバーカードを健康保険証として利用するシステム「マイナ保険証」が本格導入され、2024年を目処に現行の保険証を廃止するという方針も打ち出された。ケアネットでは10月17日、診療所を経営、勤務する会員医師1,000人を対象に、マイナ保険証への対応についてのアンケートを行った。  「自身はマイナンバーカード取得と保険証機能への連携をしているか」を聞いた設問では、「取得・連携済み」が32.5%、「取得済みでこれから連携予定」が26.2%と合わせて約6割を占めた一方で、「マイナンバーカード自体を未取得」と答えた人も3割近くいた。

小児アトピー性皮膚炎と神経発達に関連はあるか?

 2歳以前にアトピー性皮膚炎(AD)を発症した子供は、6歳時の発達スクリーニング検査における神経発達障害と有意な関連があることが報告された。Allergology International誌オンライン版2022年9月1日号掲載の報告。  小児におけるADと認知機能障害との関連を報告した研究はほとんどない。韓国・翰林大学校のJu Hee Kim氏らは、小児におけるADと神経発達障害との関連を評価した。  2008~12年に韓国で生まれた239万5,966例の小児を分析した。すべてのデータは、韓国国民健康保険制度のデータベースより用いられた。ADは、生後24ヵ月までに5つ以上の診断を受けたものと定義した。アウトカムは、6歳時の韓国乳幼児発達スクリーニングテストの粗大運動能力、微細運動能力、認知、言語、社会性、セルフケア領域における神経発達障害の疑いであった。陽性対照アウトカムは、注意欠陥多動性障害(ADHD)とした。喘息とアレルギー性鼻炎を調整した順序ロジスティック回帰を用いて関連性を評価した。