アレルギー科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:20

アトピー性皮膚炎患者の長期心房細動リスク、絶対リスクは低いものの1.2倍に

 アトピー性皮膚炎(AD)患者と心血管リスクの関連を示唆する報告が相次いでいる。デンマーク・オーフス大学病院のSigrun A. J. Schmidt氏らは、ADと心房細動の関連について35年の長期フォローアップ研究を行い、AD(中等症~重症)患者において、心房細動リスクが20%高いことを見いだしたという。ただし、絶対リスクは低いままであった。その背景要因として、著者は「患者は早期にADを発症することが多く、担当医は心疾患リスク低減に向けた健康的なライフスタイルを推奨する機会があるためと考えられる」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2019年8月20日号掲載の報告。

成人軽症~中等症喘息の発作治療、ICS/LABA vs.SABA/Lancet

 軽症~中等症の成人喘息患者の治療では、症状緩和のためのブデソニド/ホルモテロール配合薬の頓用は、低用量ブデソニド維持療法+テルブタリン頓用に比べ、重度喘息増悪の予防効果が優れることが、ニュージーランド・Medical Research Institute of New ZealandのJo Hardy氏らが行ったPRACTICAL試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年8月23日号に掲載された。軽症の成人喘息患者では、発作時の単剤治療としての吸入コルチコステロイド(ICS)と即効性長時間作用性β2刺激薬(LABA)の配合薬は、短時間作用性β2刺激薬(SABA)による発作時治療に比べ、重度増悪の抑制効果が高いと報告されている。

アナフィラキシーには周囲の理解が必要

 2019年8月21日、マイランEPD合同会社は、9月1日の「防災の日」を前に「災害時の食物アレルギー対策とは」をテーマにしたアナフィラキシー啓発のメディアセミナーを開催した。セミナーでは、アナフィラキシー症状についての講演のほか、患児の親の声も紹介された。  セミナーでは、佐藤さくら氏(国立病院機構相模原病院 臨床研究センター 病態総合研究部)を講師に迎え、「アナフィラキシーの基礎知識とガイドラインに基づく正しい治療法について」をテーマに講演を行った。

アトピー性皮膚炎、FLG変異に人種差

 アトピー性皮膚炎(AD)とフィラグリン遺伝子(FLG)変異との関連について、米国・ペンシルベニア大学のDavid J. Margolis氏らは、軽症~中等症アトピー性皮膚炎児のコホートにおいて、FLG機能欠損(LoF)変異は人種による顕著な違いがみられること、そしてそれがADの持続と関連していることを明らかにした。ADとFLG変異の関連に関しては4つの変異が最もよく評価に使われている。今回の結果を踏まえて著者は、「従来の4つの変異を調べるだけでは不十分である。ADについてFLG LoF変異に基づく遺伝子診断テストを計画する場合は包括的に行うべきであり、最もよく試験されている変異に依存すべきではない」と指摘している。JAMA Dermatology誌オンライン版2019年7月31日号掲載の報告。

IL-23p19阻害薬グセルクマブ、中等症~重症の乾癬に有効/Lancet

 中等症~重症の乾癬の治療において、インターロイキン(IL)-23p19阻害薬グセルクマブはIL-17A阻害薬セクキヌマブに比べ、約1年の長期的な症状の改善効果が良好であることが、ドイツ・ハンブルク・エッペンドルフ大学医療センターのKristian Reich氏らが行ったECLIPSE試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2019年8月8日号に掲載された。乾癬治療薬の臨床試験では、最長でも12週または16週という短期的な有効性の評価に重点が置かれてきたが、乾癬は慢性疾患であるため、長期的なエンドポイントの評価が求められていた。

喘息患者の3 人に1 人は救急経験あり

 アストラゼネカ株式会社は、気管支喘息患者を取り巻く現状や喘息治療の実態を明らかにすることを目的とした患者調査を全国3,000名の患者に実施し、その結果が公表された。  調査結果は今回発表の「喘息患者さんの予定外受診・救急受診・救急搬送の現状」編のほか、「喘息患者さんの通院・服薬の現状」編、「重症喘息患者さんの現状」編という3つのテーマで公開される。監修は東田 有智氏(近畿大学病院 病院長)が担当した。  調査実施日:2019年4月15~26日

今シーズンのハチ毒被害に備える方策

 第68回 日本アレルギー学会学術大会(会長:相良 博典氏[昭和大学医学部内科学講座呼吸器・アレルギー内科学部門])が、6月13~15日まで都内で開催された。大会期間中、喘息、食物アレルギー、アトピー性皮膚炎など多彩なセッションが開催された。  これからのシーズン、ハチ刺されによるアナフィラキシーショックの事例も増えることから、本稿では教育講演で行われた「ハチアレルギーの現状」の概要をお届けする。  講演では、平田 博国氏(獨協医科大学埼玉医療センター 准教授)を講師に迎え、ハチ毒による症状、治療、アレルゲン免疫療法(予防)について説明が行われた。

アレルギー総合ガイドライン2019が発行、アレルギーとアナフィラキシーを網羅

 アレルギー疾患罹患率はとくに先進国で増加し、いまや日本人の約50%が何らかのアレルギー症状を有しているといわれる。代表的なアレルギー疾患に関する12の最新ガイドラインの内容を1冊にまとめた「アレルギー総合ガイドライン」の改訂版が、3年ぶりに発行された。アレルギー総合ガイドライン2019は診療科を超えて横断的に出現し、急性増悪のリスクもはらむアレルギー疾患に対して、標準的な臨床的対応を円滑に行うことができるよう、実用性を重視した構成となっている。

犬との暮らし、乳幼児の食物アレルギーを予防か

 わが国ではペットの飼育方法が変化し、近年、室内での飼育が進んでいる。それに伴いペット飼育と健康について高い関心が集まっているなかで、犬を飼うことが乳幼児にメリットを与えるという新たな知見が報告された。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのThomas Marrs氏らは、食物アレルギー予防の無作為化試験「Enquiring About Tolerance(EAT)試験」に登録された生後3ヵ月の児1,303人について、犬猫飼育の有無とアレルギー発症との関連を調査。その結果、犬の飼育が食物アレルギー予防と関連する可能性が示されたという。Allergy誌オンライン版2019年5月11日号掲載の報告。

新生児アトピー予防戦略、ビタミンD補給よりも紫外線曝露

 ビタミンDとアトピー性疾患の関連はさまざまに取り上げられている。オーストラリア・西オーストラリア大学のKristina Rueter氏らは、新生児におけるビタミンD補給による湿疹および免疫能への効果を明らかにするため、二重盲検無作為化プラセボ対照試験を実施。その結果、ビタミンD補給と湿疹罹患率との間に有意な関連はみられなかった。一方で、一部の対象児について行った紫外線曝露量との関連評価(非無作為の探索的解析)から、その曝露量が多い児では湿疹罹患率が低く、炎症誘発性免疫マーカー値が低値であったことを報告した。著者は今回の検討は紫外線量と湿疹罹患率などの関連を初めて明らかにしたものだとしたうえで、「生まれて間もない時期のアレルギー予防策として、紫外線曝露がビタミンD補給よりも有益と思われることを示すものである」とまとめている。Journal of Allergy and Clinical Immunology誌2019年3月号掲載の報告。