救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:77

左手(とリズムコントロール)は添えるだけ(解説:香坂俊氏)-1036

心房細動(AF)治療はカテーテルによる肺静脈焼灼術(いわゆるアブレーション)の登場により、多くのブレークスルーが起きているかのように見えるが、実をいうと「リズムコントロールで無理をしない」という軸はブレていない。このことはつい最近結果が発表され巷で話題となっているCABANA試験からも裏打ちされている。今回発表されたRACE-7試験の結果もこの「リズムコントロールで無理をしない」というコンセプトを急性期に拡張したものである。

血栓溶解を用いた低侵襲脳内血腫除去術の有効性と安全性(MISTIE-III)/Lancet(解説:中川原譲二氏)-1031

テント上の脳内出血による急性脳卒中は、高いmorbidityとmortalityを伴う。開頭血種除去術は、大きなRCTで何らの有効性も得られていない。本研究(MISTIE-III)では、血種サイズを15mL以下に低下させることを目標とする低侵襲脳内血腫除去術(MISTIE)が、脳内出血患者の機能的転帰を改善するかどうかを検討した。MISTIE-IIIは、非盲検エンドポイント盲検無作為化対照比較第III相試験である。対象は、年齢18歳以上の非外傷性テント上脳内出血(30mL以上)の患者であった。

VT/VFに対するランジオロールの試験結果が発表/日本循環器学会

 短時間作用型β1選択的遮断薬ランジオロール(商品名:オノアクト)に対し、2019年3月に「生命に危険のある下記の不整脈で難治性かつ緊急を要する場合:心室細動、血行動態不安定な心室頻拍」の効能が追加承認された。  その根拠となった後期第II相/第III相試験[J-LandII study]の結果が、第83回日本循環器学会学術集会(2019年3月29~31日)で発表された。発表者は、東京女子医科大学循環器内科、志賀剛氏。  J-LandII studyは、III群抗不整脈薬を使用しているにも関わらず血行動態が不安定な心室頻拍(VT)/心室細動(VF)を呈する患者を対象に、ランジオロールの有効性と安全性を検討した多施設共同非盲検非対称試験である。主要評価項目には、有効性評価期間(1-49時間)における血行動態不安定なVTあるいはVFの非再発率が設定された。

米国脳神経外科学会で外傷性脳損傷に対する再生細胞薬SB623の効果を発表/サンバイオ

 サンバイオ株式会社およびその子会社であるSanBio, Inc.は、2019年4月17日、再生細胞薬SB623の外傷性脳損傷を対象にした日米グローバル第II相試験(STEMTRA)の有効性および安全性に関する詳細結果を、米国脳神経外科学会(American Association of Neurological Surgeons)の年次総会で発表したことを明らかにした。24週時点の Fugl-Meyer Motor Scale(FMMS)のベースラインからの改善量が、SB623投与群8.7点、コントロール群2.4点となり主要評価項目を達成した。

脳卒中およびその病型を病院到着前から見分ける分類スコア(JUST)を開発

 兵庫医科大学脳神経外科講師 内田 和孝氏らは、病院到着前に脳卒中の病型(脳卒中、脳大血管閉塞[LVO]、頭蓋内出血[ICH]、クモ膜下出血[SAH])を予測する脳卒中病型分類スコア(JUST)を開発した。研究の成果は、Stroke誌2018年8月号に掲載された。  脳卒中は、その病型により治療アプローチや緊急度が大きく異なるため、病院到着前に脳卒中の病型が予測できれば、より早期により適切な治療を提供することが可能となる。しかし、現在報告されている病型予測ツールは、1つの病型のみを対象とするものや病型を分類せずに脳卒中全般を扱うものであった。そこで、本研究は、救急救命士が脳卒中を疑う患者に、脳卒中、LVO、ICH、およびSAHを予測するスコアを開発することを目的に実施された。

「心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)」発表/日本循環器学会

 「心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)」が、2019年3月29日に発表された。本ガイドラインは「肥大型心筋症の診療に関するガイドライン(2012年改訂版)」および2011年発表の「拡張型心筋症ならびに関連する二次性心筋症の診療に関するガイドライン」の統合・改訂版。第83回日本循環器学会学術集会(3月29~31日、横浜)において、心筋症診療ガイドライン作成の合同研究班班長を務めた北岡 裕章氏(高知大学医学部 老年病・循環器内科学)が、その内容について講演した。

院外心停止後蘇生のNSTEMIに、即時冠動脈造影は有効か/NEJM

 院外心停止後に蘇生に成功した非ST上昇型心筋梗塞(NSTEMI)患者では、即時的に冠動脈造影を行い、必要に応じて経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を施行するアプローチは、神経学的回復後に遅延的にこれを施行する戦略と比較して、90日生存率の改善は得られないことが、オランダ・アムステルダム大学医療センターのJorrit S. Lemkes氏らが実施したCOACT試験で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2019年3月18日号に掲載された。

急性アルコール摂取による負傷リスク、男女で差

 飲酒による負傷リスクについて、性別、飲酒頻度、負傷の原因(交通事故、暴力、転倒など)によって違いがあるかを、米国・Alcohol Research GroupのCheryl J. Cherpitel氏らが、分析を行った。Alcohol and Alcoholism誌オンライン版2019年3月11日号の報告。  イベント後6時間以内に救急部(ED)に搬送された負傷患者1万8,627例についてケース・クロスオーバー分析を行った。

症候性心房細動、即時的な洞調律復帰は必要か/NEJM

 発症後間もない(recent-onset)症候性心房細動で救急診療部を受診した患者では、待機的(wait-and-see)アプローチとしての遅延的カルディオバージョン(cardioversion)は、即時的カルディオバージョンに対し、4週時の洞調律復帰の達成が非劣性であることが、オランダ・マーストリヒト大学のNikki AHA Pluymaekers氏らが行ったRACE 7 ACWAS試験で示された。研究の詳細は、NEJM誌オンライン版2019年3月18日号に掲載された。発症後間もない心房細動患者では、薬理学的または電気的カルディオバージョンにより、ただちに洞調律に復帰させるのが一般的である。しかし、心房細動は自然に終息することが多いため、即時的な洞調律復帰が必要かは知られていないという。

日本の頭部外傷の実態/脳神経外傷学会

 日本の頭部外傷診療の現状の把握を目的に、1998年より重症頭部外傷患者を対象とした疫学研究を開始。現在まで、日本頭部外傷データバンク(JNTDB)Projectとして1998、2004、2009、2015が行われ、Project2015(P2015)の結果がまとまり、第42回日本脳神経外傷学会にて、その結果が報告された。P2015の登録対象症例は2015年4月1日~2017年3月31日に、搬入時あるいは受傷後48時間以内にGlasgow Coma Scale(GCS)8以下、あるいは脳神経外科手術を施行した頭部外傷症例(0歳を含む全年齢)。Project2015の参加施設は32施設1,345例が登録された。