救急科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:109

分娩後の急性腎不全が増加した理由/BMJ

 カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のAzar Mehrabadi氏らは、同国2003~2010年の分娩後急性腎不全について、発生率の動向や背景要因を調べた。その結果、同期間中に同国では発生率が61%増大しており、増大は高血圧症を有する妊産婦、とくに妊娠高血圧腎症を有する妊産婦に限定されたものであったことが判明したという。著者は、「なぜ妊娠高血圧症候群の妊産婦で増加したのか、原因を特定する研究が必要である」とまとめている。BMJ誌オンライン版2014年7月30日号掲載の報告より。

敗血症のアルブミン、死亡抑制に差なし/BMJ

 成人敗血症に対する体液補充や蘇生輸液におけるアルブミン製剤の使用は、クリスタロイド溶液やコロイド溶液に比べて全死因死亡を改善しないことが、英国インペリアル・カレッジ・ヘルスケアNHSトラスト、ハマースミス病院のAmit Patel氏らの検討で示された。イギリス国立医療技術評価機構(NICE)やSurviving Sepsis Campaignのガイドラインは、主に2011年のメタ解析や2004年のSAFE試験の結果に基づき、成人敗血症の体液補充や蘇生輸液へのアルブミン製剤の使用を推奨している。一方、これらの試験の質は十分に高いとは言えず、その後に行われた試験の結果も相反するものだという。BMJ誌オンライン版2014年7月22日号掲載の報告。

精神疾患患者、救急受診の現状は

 米国では年間推定約9万件の、精神疾患治療薬に関連した薬物有害事象での救急部門受診(ADE ED)が発生していることが、米国疾病予防管理センター(CDC)のLee M. Hampton氏らによる分析調査の結果、明らかになった。処方薬の種類ごとのADE ED受診率なども分析され、著者は「ADEを減らす努力は、すべての年代の成人を対象に必要だが、有害事象での救急部門受診が多発している薬物を優先する必要がある」とまとめている。JAMA Psychiatry誌オンライン版2014年7月9日号の掲載報告。

外傷性脳損傷へのEPO投与/JAMA

 閉鎖性外傷性脳損傷患者に対して、エリスロポエチン(EPO)投与およびヘモグロビン値10g/dL超維持の積極的な輸血管理は、6ヵ月時点の神経学的アウトカムの改善に結びつかなかったことが示された。米国・ベイラー医科大学のClaudia S. Robertson氏らが無作為化試験の結果、報告した。試験では輸血閾値10g/dLと高頻度の有害イベント発生との関連も認められ、著者は、「いずれのアプローチも支持できない」と結論している。これまで、外傷性脳損傷後のEPO投与または積極的な輸血管理の効果に関する情報は、いずれも限定的なものであった。JAMA誌2014年7月2日号掲載の報告より。

「心筋梗塞治療」を追いかける「虚血性脳卒中治療」(解説:後藤 信哉 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(223)より-

歴史は繰り返す。1980年代に、急性心筋梗塞に対するt-PA治療が米国を中心に広く普及した。当初、「発症後6時間以内の心筋梗塞」が適応とされていたが、「発症後24時間以内」でも有効とされ適応が広まった。医療機関へのアクセスが遠い米国では、心筋梗塞症例を救急搬送するときに救急車内での投与も施行された。血栓溶解により虚血を改善すれば、臓器機能の改善の著しい症例が一部ある。

肺塞栓症への血栓溶解療法、全死因死亡は減少、大出血は増大/JAMA

 肺塞栓症に対する血栓溶解療法について、全死因死亡は減少するが、大出血および頭蓋内出血(ICH)は増大することが、メタ解析の結果、明らかにされた。米国・マウントサイナイヘルスシステムの聖ルーク-ルーズベルトがん病院のSaurav Chatterjee氏らが、16試験2,115例のデータを分析し報告した。一部の肺塞栓症患者に対して血栓溶解療法は有益である可能性が示されていたが、これまで行われた従来抗凝固療法と比較した生存の改善に関する解析は、統計的検出力が不十分で関連性は確認されていなかった。JAMA誌2014年6月18日号掲載の報告より。

脳卒中対応救急車はt-PAの治療開始時間を短縮し、実施率を高めた。(解説:内山 真一郎 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(221)より-

CT、簡易迅速血液検査、電子画像転送システムを装備した脳卒中対応救急車(STEMO)の効果を検討するPHANTOM-S研究がドイツのベルリン地区で行われ、発症からt-PA治療開始までの時間の有意な短縮効果とt-PA治療実施率の有意な改善効果が示された。

脳卒中に対するrtPA、臨床でも時間依存的有効性を確認/BMJ

 脳卒中に対する遺伝子組換え組織型プラスミノーゲン活性化因子(rtPA)療法の時間依存的有効性について、ドイツの大規模脳卒中レジストリデータの後ろ向き解析の結果と、無作為化試験プール解析で示されている結果を比較した結果、類似していることが示された。同国ハイデルベルク大学のChristoph Gumbinger氏らによる報告で、著者は、「臨床でも早期のrtPA療法が良好な転帰と関連しているようであった。入院中または救急搬送時におけるrtPA療法を、早期に開始することの重要性を強調するものである」とまとめている。無作為化試験のプール解析の結果では、rtPA療法開始時間について、リスクベネフィットの境界時間は発症から最長4.5時間であることが示されていた。しかし無作為化試験は一部の患者を対象としたものであり、臨床に一般化して適用できるのかについては確認されていなかった。BMJ誌オンライン版2014年5月30日号掲載の報告より。

脳卒中対応救急車の導入による効果/JAMA

 CT機器や遠隔医療接続装置などを備えた脳卒中対応救急車、通信指令係の段階でのスクリーニングなどの専門的システムの構築により、急性虚血性脳卒中に対する通報から血栓溶解療法開始までの所要時間は、有害イベントの増大なく15~25分短縮したことが報告された。ドイツ・ベルリン大学附属シャリテ病院のMartin Ebinger氏らが、6,000例超について行った試験で明らかにした。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。

急性虚血性脳卒中へのt-PA開始、全国的取り組みで有意に改善/JAMA

 急性虚血性脳卒中への組織プラスミノーゲン活性化因子(t-PA)投与の適時開始を推進するため、米国では2010年1月から全国的な質的改善の取り組み「Get With The Guidelines-Stroke」が始められた。その成果についてカリフォルニア大学のGregg C. Fonarow氏らが調べた結果、60分未満で開始するというdoor-to-needle time(DTN時間)内での実施率は、取り組み開始直前四半期の29.6%から開始後最終四半期には53.3%まで増え、それに伴い院内死亡、頭蓋内出血の発生は低下し自宅に退院する患者の割合は増加していたことが明らかになった。JAMA誌2014年4月23・30日号掲載の報告より。