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家庭で手作り料理を食べる頻度と、子どもの心血管疾患リスク因子との関連が明らかになった。東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科国際健康推進医学の谷友香子氏、藤原武男氏らの研究によるもの。手作り料理の回数が少ない家庭の子どもは、拡張期血圧が高く、善玉コレステロールが低いという。詳細は「Nutrients」に12月16日掲載された。
先進国を中心に、女性の就業率の上昇を背景として家庭内で料理を手作りする機会が減っている。例えば米国では1960年から2000年の間に、摂取エネルギー量に占める手作り料理の割合が約25%低下し、日本では1993年から2015年の間に、調理済み食品の支出が26%増加したと報じられている。このような変化が成人の健康状態に影響を及ぼしている可能性は既に報告されているが、子どもへの影響は明らかでない。
谷氏らは、東京都足立区で行われている「足立区子どもの健康・生活実態調査(A-CHILD研究)」のデータを横断的に解析し、この関連を検討した。対象は、足立区内の公立中学校7校の中学2年生(13~14歳)676人で、そのうち583人の生徒とその保護者が、家庭での食事に関する自記式質問票に回答した。質問票では、手作り料理の頻度のほかに、野菜摂取頻度、朝食摂食頻度、世帯収入などを調査した。
手作り料理の頻度は、6日/週以上の頻度「高」が85%、4~5日/週の頻度「中」が11%、3日/週以下の頻度「低」が3.8%だった。また、野菜摂取頻度が3回/週未満の生徒が12.7%、朝食を毎日食べない生徒が16.9%、肥満(BMIが平均+1標準偏差を超える生徒)が10.8%存在し、世帯の10.5%は低所得(年収300万円未満)に該当した。
野菜摂取頻度が3回/週未満の生徒の割合を、手作り料理の頻度別に見ると、頻度「高」の家庭では9.2%であるのに対し、頻度「中」では30.2%、頻度「低」では38.1%を占めていた。また、朝食を毎日食べない生徒の割合は、同順に、13.4%、30.2%、57.2%であり、手作り料理の頻度が少ないほど、野菜摂取頻度が低く、朝食欠食頻度が高いという有意な関係が認められた。
一方、生徒の肥満の割合は、頻度「高」の家庭が9.2%、頻度「中」が22.2%、頻度「低」が14.3%であり、U字型の関係にあった。世帯収入との関連については、低所得世帯は手作り料理の頻度が低い傾向が認められた。
次に、性別、世帯収入などの交絡因子で調整後の線形重回帰分析により、手作り料理の頻度と学校健診の結果との関連を検討した。すると、手作り料理の頻度が低い家庭の生徒は、拡張期血圧が高く(β=3.59、95%信頼区間0.42~6.75)、HDL-C(善玉コレステロール)が低い(β=-6.15、同-11.2~-1.07)という有意な関連が明らかになった。
また、ロジスティック回帰分析の結果、手作り料理の頻度が「高」の家庭の生徒に比べて、「中」の家庭の生徒の肥満のオッズ比が有意に高かった(OR2.67、同1.37~5.23)。手作り料理の頻度「低」の生徒の肥満リスクは、「高」の家庭と有意差がなかった。
媒介分析の結果、拡張期血圧が高いことの12.3%は朝食の欠食により説明でき、HDL-Cが低いことの9.7%は野菜の摂取頻度が少ないこと、14.9%は朝食の欠食により説明可能であることが分かった。一方、BMIは両者の関係を媒介しないことが分かった。
一連の結果を基に著者らは、「手作り料理の頻度が低いことは、肥満の増加とは別の経路で子どもの血圧やHDL-Cに影響を与えるようだ。調理済食品の摂取量が多くなることなどが関係しているのではないか」とまとめている。また、手作り料理の頻度が「中」の家庭の生徒には肥満が多いにも関わらず、「低」の家庭の生徒では少なかったことについて、手作り料理の頻度の低さのために栄養不良が生じている可能性を指摘している。
[2021年1月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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