新しい乳がん画像診断技術は標準的なマンモグラフィよりも有用な可能性

提供元:HealthDay News

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公開日:2023/03/31

 

 トモシンセシスと呼ばれる新しい画像診断技術を乳がんのスクリーニング検査(乳がん検診)に利用することで、より多くの乳がんを発見でき、また、要精検率が低く、精密検査での陽性的中率は高いことが、米ペンシルベニア大学病院乳房画像診断部門のEmily Conant氏らが実施した大規模研究で示された。Conant氏は、「トモシンセシスは標準医療となりつつあり、通常は保険が適用される。トモシンセシスの装置がある医療機関を探してみてほしい」と呼びかけている。この研究結果は、「Radiology」に3月14日掲載された。

 トモシンセシスは、低線量のX線を使用して複数の方向から乳房を撮影し、それをコンピューターで3次元(3D)化するという、がん発見を目的とした技術で、3Dマンモグラフィとも呼ばれる。Conant氏は、トモシンセシスにより得られた画像を使えば、「乳房組織の断層画像をスクロールしながら調べることができる。断層画像ごとに乳房組織を調べ、本物の病変か否かを判断することができる」と説明している。これに対し、従来のマンモグラフィで得られるのは、乳房の2次元(2D)画像である。

 Conant氏らは今回の研究で、2014年1月から2020年12月の間に、米国の5つの大規模なヘルスケアシステムでデジタル乳房トモシンセシス(DBT)検査またはデジタルマンモグラフィ(DM)検査による乳がん検診を受けた40~79歳の女性110万447人(平均年齢57±10歳)のデータを解析した。ほとんどの女性が観察期間中に2回以上の検診を受けており、解析対象者が受けた検診の回数は合計で252万8,063件だった。

 解析の結果、乳がんの検出率は、DM検査群では1,000人当たり4.5例であったのに対し、DBT検査群では1,000人当たり5.3例であった。それに加え、DBT検査群ではDM検査群と比べて要精検率が低く(8.9%対10.3%)、精密検査での陽性的中率が高かった(5.9%対4.3%)。生検率はDBT検査群で1,000人当たり17.6件であったのに対してDM検査群では1,000人当たり14.5件であったが、両群間で生検での陽性的中率に有意差はなかった(29.3%対30.0%、P=0.16)。

 ただし、トモシンセシスのような3D技術は、従来の2Dマンモグラフィよりも乳腺の密度が高い高濃度乳房(デンスブレスト)の女性の乳がんスクリーニングに適しているが、トモシンセシスによって問題を全て解決できるわけではないこともConant氏は指摘している。同氏は、「高濃度乳房の場合、画像によっては猛吹雪の景色のように白っぽく写って病変が隠れてしまうため、それを見つけられなくなってしまう」と説明する。

 Conant氏によると、特に乳腺密度が高い高濃度乳房の場合の乳がんスクリーニングには、2Dか3Dかにかかわらず、マンモグラフィ検査の後に超音波や乳房MRIによる検査が必要であるという。

 乳がんの専門家らは、この3Dの乳がんスクリーニング技術に強い関心を示している。乳腺外科医で米マサチューセッツ州ウェルスレイのニューイングランド・ブレスト・アンド・ウェルネスの創設者であるKatherina Sawicki Calvillo氏は、「トモシンセシスでは従来のマンモグラフィと比べてより詳細な情報を得ることができ、機能もより高度だ」と話す。トモシンセシスのマイナス面としては、従来のマンモグラフィよりも放射線への曝露量が増えることが挙げられる。それでも同氏は、「がんの検出に優れているというメリットが、そのリスクを上回る」との見解を示している。その上で、「高濃度乳房と指摘されたことのある人は、トモシンセシスによる検査を受けられる医療機関を探すべき」と呼びかけている。

[2023年3月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2023 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら