喫煙と乾癬は因果関係にある

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/11/25

 

 乾癬は、喫煙とは因果関係にあるが、アルコールの摂取とは関連しないという研究結果が、「British Journal of Dermatology」に6月28日掲載された。

 アルコール摂取と喫煙は乾癬リスクと関連することが報告されている。しかし、それらの因果関係に関する質の高いエビデンスを示して結論を導き出すことは、通常行われているような観察研究では困難である。

 杭州医学院(中国)のJiahe Wei氏らは今回、アルコールの摂取や喫煙と乾癬の関連性を調べた。GSCANコンソーシアム(Sequencing Consortium of Alcohol and Nicotine use)が発表した大規模なゲノムワイド関連研究(GWAS)から、アルコール摂取(N=94万1,280)、喫煙開始(N=123万2,091)、1日当たりの喫煙量(N=33万7,334)、禁煙(N=54万7,219)に関する遺伝子多型のデータを抽出した。生涯の喫煙量(N=46万2,690)に関するGWASの結果は、UKバイオバンクから入手した。乾癬の要約統計は、乾癬患者1万9,032人と対照28万6,769人から成る8つのコホートを対象にした最近のGWASメタアナリシス、および乾癬患者4,510人と対照21万2,242人から成るFinnGenから得た。アルコール摂取、喫煙と、乾癬との遺伝的相関をLDスコア回帰(linkage disequilibrium score regression)で検討した。また、ゲノムワイド有意水準(P<5×10−8)に達した、独立した遺伝的バリアントを用いて、双方向メンデルランダム化(MR)解析により因果の方向性の評価を行った。

 喫煙と乾癬の間には正の遺伝的相関が認められた〔喫煙開始:遺伝的相関(rg)=0.152、P=5.9E−08、1日当たりの喫煙量:rg=0.139、P=4.3E−5、生涯の喫煙量:rg=0.171、P=8.27E−8、禁煙:rg=0.217、P=2E−4〕。アルコール摂取と乾癬の間の相関は、ボンフェローニ法で補正すると有意ではなくなった(rg=0.067、P=0.028)。

 MR解析では、喫煙開始〔統合オッズ比(OR)1.46、95%信頼区間(CI)1.32〜1.60、P=6.24E−14)、1日当たりの喫煙量(同1.38、1.13〜1.67、P=0.001)、生涯の喫煙量(同1.96、1.41〜2.73、P=7.32E−05)が乾癬リスクに及ぼす因果効果が確認された。禁煙については、示唆的な因果関係(同1.39、1.07〜1.79、P=0.012)が見られた(いずれもランダム効果逆分散加重MR解析)。しかし、アルコール摂取と乾癬の間には、因果関係が認められなかった(P=0.379)。また、逆方向メンデルランダム化分析を行ったが、乾癬の喫煙やアルコール摂取への影響に、有意な関連は認められなかった。

 著者らは、「われわれの研究により、喫煙が乾癬リスクに及ぼす因果効果を裏付ける遺伝的エビデンスを得ることができた。得られた知見は、喫煙の制限は乾癬の疾病負荷軽減に役立つ可能性があることを示唆するものだ」と結論付けている。

[2022年7月20日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら