加齢による腎機能の低下速度は男性の方が速い

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2022/09/23

 

 男性は女性よりも腎機能の低下スピードが速く、特に高齢になると、腎機能低下速度の性差がより大きくなるというデータが報告された。北ノルウェー大学病院の腎臓専門医でノルウェー北極大学にも所属しているToralf Melsom氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of the American Society of Nephrology(JASN)」に8月17日掲載された。

 腎機能は糖尿病や高血圧などがある場合に低下しやすいが、それらの疾患がなくても加齢とともに低下していく。Melsom氏らによると、男性と女性を比較した場合、慢性腎臓病(CKD)の患者数は女性の方が多いにもかかわらず、CKDが進行した結果である腎不全の患者は男性の方が多いという。矛盾ともいえるこのような現象の原因を探るため、同氏らは腎機能の変化を長期間追跡して、どのような性差が起きているのかを検討した。

 研究対象は、自己申告による糖尿病、CKD、心血管疾患、がんの既往がなく、BMI30未満で50~62歳の一般住民1,837人。このうち女性が53%を占めていた。腎機能は、一般的に用いられている血清クレアチニン値に基づく推算糸球体濾過量(eGFR)ではなく、造影剤のイオヘキソールを静脈注射した4時間後に糸球体濾過量(GFR)を測定するという方法を用いた。この方法は正確だが煩雑なため通常あまり行われない。しかし、この研究では2007~2009年、2013~2015年、2018~2020年の各期間に1回、計3回施行し、GFRの経時的変化を把握した。

 その結果、ベースライン時点のGFRは、男性の98.0±13.7mL/分/1.73m2に対して女性は90.0±14.0mL/分/1.73m2であり、有意に低値だった(P<0.001)。しかし、加齢に伴うGFRの変化は、男性の-1.20mL/分/1.73m2/年(95%信頼区間-1.12~-1.28)に対して、女性は-0.96mL/分/1.73m2/年(同-0.88~-1.04)であり、腎機能低下速度が緩やかだった。

 また、女性では年齢とGFRが線形の関係にあり、加齢に従いほぼ一定の速度で腎機能が低下していた。しかし男性ではGFRとの関係が非線形であり、高齢になるほど腎機能低下速度が速くなっていた(追跡期間の前期は-0.6mL/分/1.73m2/年、後期は-1.5mL/分/1.73m2/年)。

 Melsom氏は、「われわれの研究は、健康な男性と女性を対象に正確な腎機能検査を繰り返し行った初の研究であり、加齢に伴うGFRの低下とCKD罹患率の変化の性差に関する重要なデータを示し得た」と述べている。結論として、「本研究により、CKDは女性に多いにもかかわらず、腎不全は男性に多いという矛盾の原因の一部を説明できるのではないか」とした上で、「既報研究によると、腎機能の急速な低下は早期死亡と関連のあることが示されている。腎機能低下速度の性差と平均余命の性差との関連について、さらなる研究が求められる」と付け加えている。

 なお、世界の疾病負担に関する研究によると、人口の高齢化を背景としてCKD患者が各地で増加しており、2040年までに世界の死因の第5位にランク入りすることが予測されている。

[2022年8月22日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら