バイアグラの同効薬が認知症に有効な可能性

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/03/21

 

 バイアグラのような勃起障害(ED)治療薬は、主として生活の質(QOL)の改善を目的に使われている。しかし、QOL改善を上回る変化を人々にもたらす可能性が、新たな研究によって示された。血管性認知症の治療にも役立つかもしれないという。英ロンドン大学セントジョージ校のJeremy Isaac氏らの研究によるもので、詳細は「Alzheimer's & Dementia」に2月8日掲載された。

 Isaac氏らの研究は、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬であるタダラフィル(商品名シアリス)が、脳動脈の狭窄を伴う高齢者の脳血流を増加させ得るかを検討する、第II相臨床試験として実施された。脳動脈の狭窄は血管性認知症の主要な原因であり、また脳卒中を引き起こすことがある。Isaac氏によると、「脳動脈の狭窄は高齢者の認知機能低下の原因としてよく見られるものだが、現在のところ治療法はない」とのことだ。

 治験薬として用いられたタダラフィルなどのPDE5阻害薬には血管拡張作用があり、それによって陰茎への血流を増やしEDを改善する。また肺高血圧症の治療にも用いられる。PDE5阻害薬に該当する薬として、タダラフィルのほかに、シルデナフィル(同バイアグラ)や、バルデナフィル(レビトラ)があるが、これらの中でタダラフィルは血中濃度の半減期が長いために作用も長く続き、かつ脳へ移行しやすいという特徴を持つ。そのため、タダラフィルが高齢者の脳血流量を増加させるとの仮説の下、本臨床試験が行われた。

 研究参加者は55人で平均年齢66.8±8.6歳。二重盲検プラセボ対照クロスオーバー試験として実施され、実薬(タダラフィル20mg)およびプラセボを単回投与。投与後、動脈スピンラベル標識法という、造影剤を使わずに血流を測定できる手法でのMRIにより脳血流量を測定して、両条件での差異を比較検討した。なお、両条件の試行順序は無作為化し、7日以上のウォッシュアウト期間をあけて試行された。

 その結果、測定した脳のいずれの部位でも、タダラフィル投与による有意な血流量の増加は見られなかったが、血管性認知症の発症との関連が深いと考えられる白質と呼ばれる部位では、プラセボ投与時よりも血流量が9.8%多いことが確認された(P=0.096)。なお、タダラフィル投与後に血圧の低下が認められた(収縮期血圧-7.8mmHg、拡張期血圧-4.9mmHg、P<0.001)。重大な有害事象は認められなかった。

 Isaac氏は、「この結果は、高齢者の血管性認知症の治療におけるタダラフィルの有用性について、さらなる研究を進める意義があることを示している。タダラフィルの単回投与では有意な変化は見られなかったが、継続投与によって有効性を得られる可能性も考えられる」と述べている。

 論文の上席著者である同大学のAtticus Hainsworth氏も、「認知症の予防や治療におけるバイアグラなどのPDE5阻害薬の有用性について、さらに研究を推進する価値がある」とし、「それらの研究結果が実り多いものとなって、認知症治療に携わる臨床医に、新たな治療選択肢を提供できることを期待したい」と語っている。

[2022年2月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2022 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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