高地での運動は低血糖リスクを高める

提供元:HealthDay News

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公開日:2022/01/24

 

 標高の高い山でのハイキングやスキーなどは、低地での運動よりも、1型糖尿病患者の低血糖リスクを高める可能性のあることが明らかになった。西オーストラリア大学のCory Dugan氏らの研究によるもので、詳細は「The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism」に12月22日掲載された。

 運動は糖尿病患者に対して、インスリン感受性の改善や心臓の健康の維持、生活の質(QOL)の向上など、さまざまなメリットをもたらすため、基本的には医師から運動が推奨される。ただし、インスリン製剤やインスリン分泌促進薬を使用中の場合、運動中や運動後に、血糖値が基準値以下になる低血糖が引き起こされることがある。血糖値が大きく低下すると、低血糖発作で意識を失ったり、死に至ることもあるため、迅速な対処が必要。

 1型糖尿病患者はインスリン治療が必須であるため、低血糖には常に注意が欠かせない。これまでにもガイドライン等で、1型糖尿病患者の運動時の低血糖への注意喚起がなされてきている。しかし、1型糖尿病患者が高地で運動した場合の血糖値への影響は考慮されていなかった。

 Dugan氏らは、1型糖尿病患者7人を対象に、通常の酸素濃度(標高0メートルの海面条件)と、低酸素濃度(標高約4,200mをシミュレーションした高地条件)という二つの条件設定で、運動負荷試験を実施した。海面レベルでの最高酸素摂取量(VO2peak)の45%の強度に設定された自転車エルゴメーターを60分間こいでもらい、その後の60分間をリカバリーに充てた。また、運動前からリカバリー終了までの血糖、乳酸、インスリンのレベル、および炭水化物の酸化速度を計測した。

 運動開始後30分以内という早い段階では、両条件ともに血糖値の低下は見られなかった。しかし高地条件では、運動開始60分後とリカバリー中の血糖値が、運動開始前より有意に低下し(P=0.008)、かつ、海面条件に比べて有意に低値になった(P=0.027)。炭水化物の酸化速度は両条件ともに運動開始直後から大幅に上昇し、運動終了後はベースラインレベルに戻った。運動前からリカバリー終了までの炭水化物酸化率は、高地条件の方が有意に高かった(P<0.001)。

 Dugan氏は、「これらのデータは、糖尿病患者が高地へ移動した直後に運動を行った場合に、低血糖のリスクが上昇する可能性があることを示唆している。糖尿病患者が高地での運動を行う際には、細心の注意を払って血糖値をモニタリングする必要があるのではないか」と結論付けている。また、ジャーナル発のニュースリリースの中で同氏は、「将来策定されるガイドラインではこれらのエビデンスを反映し、1型糖尿病患者が低地から高地へ移動する際には高地順応を行うなど、安全性を高めることを推奨すべきだ」と述べている。

[2021年12月28日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら