乳製品は心臓に良い?悪い?

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/10/21

 

 乳製品は脂肪分が多く、心血管疾患(CVD)のリスクを高める可能性があるとの理由で、過剰摂取を控えるようにアドバイスされることがある。しかし、乳製品の摂取量が多い方が、心血管系の健康に良いことを示唆する研究結果が、「PLOS Medicine」に9月21日掲載された。論文の筆頭著者であるオーストラリアの研究所、George Institute for Global HealthのKathy Trieu氏は、「乳製品の健康への影響は脂肪含有量ではなく、チーズやヨーグルト、牛乳、バターなど、食品としての種別に依存しているのかもしれない」と述べている。

 Trieu氏らが報告した論文は、大きく分けると二つのパートから構成されている。前半のパートは、スウェーデンの医療データベースを利用した研究で、対象は同国の一般成人4,150人(年齢中央値60.5歳、女性51%、BMI中央値26.3)。16.6年(中央値)追跡し、CVDイベント(致死性/非致死性の心筋梗塞・脳梗塞、狭心症による入院)、および全死亡(あらゆる原因による死亡)の発生率と、乳脂肪(牛乳の脂肪成分)摂取量のマーカーとされるペンタデカン酸の値との関連を検討した。なお、スウェーデンは国民1人当たりの乳製品摂取量が多い国として知られている。

 追跡期間中にCVDイベントが578件発生し、676人の死亡が記録されていた。年齢、性別、BMI、飲酒・喫煙・身体活動習慣、高血圧、脂質異常症、糖尿病、教育歴などで調整後、ペンタデカン酸レベルが高いほどCVDイベント発生率が低いという線形の用量反応関係が認められた〔第1四分位群に対して第4四分位群はハザード比(HR)0.76(95%信頼区間0.59~0.97)、傾向性P=0.016〕。全死亡に関しては非線形の関係であり、全体の傾向性は非有意ながら(P=0.38)、ペンタデカン酸摂取量の第3四分位群は第1四分位群に比べて有意なリスク低下が認められた〔HR0.78(同0.62~0.98)〕。

 研究論文の後半のパートでは、乳脂肪の摂取量と健康アウトカムとの関連を調査した報告を対象とする、システマティックレビューとメタ解析の結果が述べられている。ヒトを対象とする18件の前向き観察研究(うち1件は上記のスウェーデンのデータの解析結果)のメタ解析により、検討されていた3種類の乳脂肪摂取量マーカーのうち2種類で、CVDイベント発生率との有意な負の相関が認められた。全死亡については、有意な相関は見られなかった。

 論文の上席著者である同研究所のMatti Marklund氏は、「乳脂肪の摂取量が多い人はCVDイベントリスクの低いことが分かった。この関係は非常に興味深い。ただし、乳脂肪摂取量と健康との関連、および、さまざまな乳製品の摂取量と健康との関連の理解を深めるため、さらなる研究が求められる」と述べている。

 なお、今回発表された研究は、乳脂肪摂取量とCVDイベント発生率との間に関連が存在することを示したものであり、因果関係の有無に関して新たな情報は何も得られていない。そのような限界点はあるが、Trieu氏は一般的な考え方として、「乳製品は飽和脂肪酸を多く含んでいる一方で、同時に多くの栄養素を豊富に含んでおり、健康的な食事の一部となる可能性があるのではないか」と語っている。ただし、「シーフードやナッツなどの方が、より明らかな健康上のメリットが示されている」と付け加えている。

[2021年9月23日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら