緑内障リスクを遺伝子検査で判定

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/08/05

 

 緑内障のリスクを遺伝子検査で把握し早期治療につなげようとする研究の進捗状況が、「JAMA Ophthalmology」に7月15日、短報として掲載された。論文の筆頭著者のフリンダース大学(オーストラリア)准教授で、ガーヴァン医学研究所(同)の研究者であるOwen Siggs氏は、「これまでに知られている緑内障の遺伝子診断に比較し、15倍も多くのハイリスク者を特定できる」と述べている。

 緑内障は先進国の主要な視覚障害の原因疾患であり、日本でも視覚障害原因のトップ。緑内障の多くは開放隅角緑内障というタイプで、このタイプは眼圧がそれほど高くならず、また視野の異常もゆっくり進むために症状に気付きにくく、視覚障害への進行を許してしまうことが少なくない。視覚障害の進行を防ぐポイントは早期診断であり、Siggs氏は、「遺伝子検査による緑内障の早期診断は、従来の検査より優れているのではないか」と述べている。

 Siggs氏らは、オーストラリアとニュージーランドの開放隅角緑内障患者2,507人が登録されている「ANZRAG」と、英国の一般住民41万1,337人が登録されている「UKバイオバンク」のデータを解析。緑内障発症にかかわる単一遺伝子変異、および複数の遺伝子変異の影響を数値化した「多遺伝子リスクスコア(polygenic risk score;PRS)」による緑内障発症予測能を検討した。

 その結果、既知の単一遺伝子変異の中で最も高頻度に見られるMYOC p.Gln368Terという変異のヘテロ接合体を持つ人の緑内障発症オッズ比(OR)は4.19(95%信頼区間3.25~5.31)であり、PRS上位5%に該当する人はOR2.77(同2.58~2.98)と、ともにハイリスクであることが確認された。

 一方、緑内障コホート(ANZRAG)でMYOC p.Gln368Terヘテロ接合体を持つ人の割合は2.6%であるのに対し、PRS上位5%に該当する人は15.7%と6倍以上多かった。また一般住民(UKバイオバンク)でのその頻度は同順に0.32%、5.0%であり、15倍以上の開きがあった。

 米レノックス・ヒル病院の眼科医であるMark Fromer氏は、遺伝子検査を用いたスクリーニング法に期待を寄せている。同氏は開放隅角緑内障を、「早期に治療を開始すれば視覚障害に至らないが、自覚症状に気付かれにくいため、視野が大きく欠けるまで診断されないことが多い病気」と解説。その上で、「現在、緑内障のスクリーニングのための遺伝子検査は一般的でない。多くの緑内障患者を発見できるこの方法は、スクリーニングの重要な補助的手段として活用できる可能性がある」と述べている。

 論文の上席著者で、フリンダース大学で緑内障研究を統括しているJamie Craig氏は、「遺伝子検査で緑内障を早期に診断できれば、視覚障害への進行を遅らせることができ、治療法の選択にも有用ではないか」と、将来性を語っている。同氏らは既に、臨床試験のための組織を設立しており、2022年中に参加登録を開始する予定。

[2021年7月16日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら