布製マスクを着用時はトレーニング負荷を少し低めに

提供元:HealthDay News

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公開日:2021/06/12

 

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックで、ユニバーサルマスク(全ての人がマスクをすること)が推奨されるようになり、呼吸が荒くなることの多い運動トレーニング中でもマスク着用が求められる。こうした中、布製マスクを着用すると、運動パフォーマンスがやや低下する可能性のあることが分かった。研究者らは、布製マスク着用時のトレーニングでは、負荷量を加減することを推奨している。

 これまでに、サージカルマスク(着用者の飛沫拡散抑制が主目的の手術用マスク)着用によるトレーニングへの影響に関しては、いくつかの報告があるが、布製マスクの影響を評価した研究はほとんどない。今回、米Baylor Scott & White運動療法研究所のSimon Driver氏らは、布製マスク着用の影響を検討し、その結果が「British Journal of Sports Medicine」に4月13日掲載された。

 研究の対象は、18~29歳の健康な成人31人(平均年齢23.2±3.1歳、女性が14人)で、習慣的に中強度運動を170±158分/週、高強度運動を206±205分/週行っている人たち。参加者全員に対して、布製マスクを着けた状態と着けない状態で、トレッドミルによる心肺運動負荷試験(cardiopulmonary exercise test;CPET)を施行。血圧、心拍数、経皮的動脈血酸素飽和度(SpO2)、最大酸素摂取量(VO2max)、自覚的運動強度(rating of perceived exertion;RPE)などを測定した。

 その結果、布製マスク着用条件では非着用条件に比べて、疲労困憊に至るまでの時間が有意に短く(条件間の差-01分39秒)、VO2maxが有意に低下すること(同-818±552mL/分)が分かった(ともにP<0.001)。また、最大心拍数の低下(同-8.4±17.0拍/分、P<0.01)や、呼吸困難のスコア(修正Borgスケール)の有意な上昇が認められた(同1.7±2.9、P<0.001)。SpO2やRPEは、運動強度が低い場合は有意差がないものの、運動強度を高く設定するとマスク着用条件でSpO2が低くRPEが高くなり、条件間に有意差が生じた。

 CPET施行後のアンケートでは、31人の研究参加者のうち30人が、「布製マスク着用により最大強度のトレーニングが困難になる」と回答した。なお、負荷終了から7分間の回復期間後には、運動負荷中に有意差の見られた測定項目も有意差が消失した。

 結論として、布製マスクを着用したまま運動を行うと、非着用時に比較して疲労困憊に至る時間が14%短くなり、VO2maxは29%低下することが明らかになった。著者らは、「われわれの研究結果は、布製マスクを着用した状態では、トレーニングやスポーツパフォーマンスに若干の影響が及ぶことを示している」と述べている。また、「COVID-19パンデミック中の安全なトレーニングのために、布製マスクを着用する場合、トレーニングを行う本人だけでなくコーチやトレーナーも、運動負荷強度や時間、メニューの変更を検討する必要があることを認識すべきである」と注意喚起している。

[2021年4月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2021 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら