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高血圧の治療に広く使われているアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)への罹患リスクや合併症リスクを高めないことが、大規模国際研究で示された。米カリフォルニア大学教授のMarc Suchard氏らが実施したこの研究の詳細は、「The Lancet Digital Health」に2020年12月17日掲載された。
COVID-19パンデミックが世界的に巻き起こった早期の段階から、高血圧患者は新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすいことが指摘されており、ACE阻害薬やARBがその原因である可能性が懸念されてきた。
そこでSuchard氏らは今回、降圧薬とCOVID-19重症化の関連について、詳細な検討を行った。解析には、ACE阻害薬、ARB、カルシウム拮抗薬(CCB)、サイアザイド(THZ)系利尿薬を用いる、米国およびスペインの患者135万5,349人のデータが用いられた。治療法としては、ACE阻害薬またはARBの単剤使用、CCBまたはTHZ系利尿薬単剤使用、ACE阻害薬またはARBと別の降圧薬との併用、CCBまたはTHZ系利尿薬と別の降圧薬との併用であった。
解析の結果、ACE阻害薬またはARBの使用とCOVID-19への感染リスクとの間に関連は認められず、CCBまたはTHZ系利尿薬の使用と比べたハザード比は、単剤使用で0.98(95%信頼区間0.84〜1.14)、併用で1.01(95%信頼区間0.90〜1.15)であった。また、ACE阻害薬使用者とCCBまたはTHZ系利尿薬の使用者を比較した場合にも、単剤使用、併用のいずれにおいてもリスク差は認められなかった。さらに、ACE阻害薬使用者とARB使用者の感染リスクは、併用者間で比較した場合にはACE阻害薬使用者の方でやや低かったが、単剤使用者間で比較した場合には有意差は認められなかった。COVID-19による入院リスクに関しては、薬剤間での違いは見出されなかった。
こうした結果を受けてSuchard氏らは、「今回の知見は、COVID-19への罹患リスク増大という懸念があったとしても、高血圧症患者はACE阻害薬またはARBの使用をやめるべきではないとするガイドラインを支持するものだ」と述べている。
Suchard氏らはまた、「われわれの研究により、ACE阻害薬やARBは、他の治療法に比べて特にリスクが高いわけではないことが明らかになった。これに加えて、ARBをACE阻害薬に変更する理由がないことも示された。両薬剤の間にリスク差があるとしても非常にわずかなものだった。今回のような大規模国際研究を行わない限り、この結果に異を唱えることは非常に難しいだろう」と述べている。
研究論文の筆頭著者である英ダンディー大学のDaniel Morales氏は、これら薬剤の安全性を調べるために、今回の研究では1,280もの比較が行われたことに言及し、「極めて一貫性のある結果が得られた」と評価している。
[2020年12月24日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら
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