ペットの死は小児のメンタルヘルス問題に関連

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/10/26

 

 大切な家族の一員であるペットの死は、小児の心に長期にわたって深い悲しみをもたらし、将来、心の病を引き起こす可能性があるとする研究結果が、米マサチューセッツ総合病院(MGH)の研究チームにより報告された。研究論文の上席著者である、MGHゲノム医学センターのErin Dunn氏は、「ペットの死は、社会経済的状況やこれまでに経験した苦痛とは関係なく、子どもに精神病理的な症状をもたらし得ることが分かった」と述べている。詳細は、「European Child & Adolescent Psychiatry」9月10日オンライン版に掲載された。

 先進国では、約半数の世帯がペットを1匹以上飼っているとされる。研究チームによると、小児がペットとの間に築く絆は、愛情を注ぎ、保護し、安心を与えるという点で、固く結ばれた人間関係に類似するという。過去の研究では、小児はペットに安らぎを求め、怖かったことや心に残った思いをペットに吐露することが報告されている。ペットを飼うことの明らかな利点は、こうしたペットとの関係性の中で、小児が共感する力(エンパシー)や自尊心、社会的スキルを育くんでいけることだ。しかし、マイナス面もある。それは、ペットとの別れである。

 Dunn氏らは今回、英国で実施中の縦断研究「Avon Longitudinal Study of Parents and Children(ALSPAC)」から抽出された小児6,260人のデータを対象に、ペットの死が小児のメンタルヘルスに及ぼす影響について調べた。対象者を、誕生から7歳までの間にペットを飼った経験とその死に遭遇した経験の有無で、「ペットを飼ったことがない」「ペットを飼っていてその死に遭遇したことがない」「ペットを飼っていてその死に遭遇した」の3群に分け、8歳時の精神病理的な症状について各群間で比較した。

 今回の研究では、ペットを飼っていた小児の63%は、7歳までにペットの死に遭遇していた。解析の結果、ペットの死に遭遇した小児は、ペットの死に遭遇したことがない小児に比べて、精神病理的な症状を抱えやすいことが明らかになった。この結果は、経済的苦境や親や他人からの身体的または精神的虐待などのその他の辛い出来事を調整した後でも変わらなかった。また、ペットの死は、女児に比べて男児により大きな影響を与える可能性も示唆された。さらに、ペットの死に遭遇した年齢や回数、それが最近のことであるか否かと精神病理的な症状は関連しないことも判明した。

 今回の研究では、小児がペットを失ったときの最善の対処策については検討されていないが、Dunn氏らは、まずは小児の感情に気付き、それを認めることだと述べている。

 今回の研究には関与していない、米サザンメソジスト大学心理学部長のGeorge Holden氏は、親がペットの死について子どもたちと率直に話をすることを提案している。そして、「親はしばしば、子どもには伝えないでおく方がよいこともあると考える。だが、それは明らかに間違っている。ありのままの事実に向き合い、それについて子どもに話をし、子どもの意見を聞く方がはるかに良い」と主張する。同氏はまた、ペットが老齢や病気である場合には、子どもに積極的に働きかけて、やがて訪れる別れに対して、心の準備をさせておくべきことも提案している。

 ペットの死は子どもの心に大きな傷を残すことが多いが、それでも、研究チームは、ペットを飼わない方が良いとは考えていない。Dunn氏は、「ペットを飼うことで得られるベネフィットを、さらなる研究により解明していくべきだ。そうした情報は、親がペットを飼うことの費用対効果を検討する際に役立つだろう」と述べている。

[2020年9月23日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら