膝関節の痛みにウコンが有効か

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/10/20

 

 カレーに使われるスパイスであるターメリック(ウコン)が、膝関節の痛みを和らげてくれるかもしれない。タスマニア大学メンジーズ医学研究所(オーストラリア)のBenny Antony氏らが実施した臨床試験で、ウコン抽出物に変形性膝関節症の痛みを軽減する効果のあることが示された。研究結果の詳細は、「Annals of Internal Medicine」9月15日オンライン版に掲載された。

 関節炎はごくありふれた疾患の一つで、米疾病対策センター(CDC)によると、米国には3250万人以上の患者が存在する。関節炎の中でも多いのが、変形性膝関節症である。変形性膝関節症では、膝関節でクッションとして働いている関節軟骨が加齢に伴いすり減ることで、痛みやこわばりが生じたり、関節可動域が狭まったりする。

 Antony氏らは今回の研究で、症状のある変形性膝関節症患者70人を、ウコン抽出物を12週間にわたり1日2カプセル摂取する群(ウコン投与群、36人)とプラセボを1日2カプセル摂取する群(プラセボ群、34人)にランダムに割り付けて、膝の疼痛軽減に対するウコン抽出物の有効性を検討した。

 その結果、試験開始12週間後に、ウコン投与群ではプラセボ群と比べて、視覚アナログスケール(VAS)で評価した膝の痛みが改善したことが明らかになった(−9.1mm、95%信頼区間−17.8〜−0.4、P=0.039)。また、変形性膝関節症に特異的なQOL尺度で、痛み、こわばり、身体機能の3つのサブスケールから成るWOMAC(Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index)を用いた評価でも、痛みの軽減が確認された(−47.2mm、95%信頼区間−81.2〜−13.2、P=0.006)。一方、MRIによる測定では、滑膜炎に伴う滲出液の量に変化は認められず、関節軟骨の構成成分にも変化は認められなかった。

 Antony氏は、「この研究結果は、ウコンが変形性膝関節症による痛みを緩和するための選択肢となり得ることを示唆するものだ」と述べている。そして、「今回の研究は、規模が小さく、試験期間も3カ月間と短かった。今後、さらに大規模な臨床試験を実施して、ウコンによる膝の痛みの緩和が長期間持続するのかを確認する必要がある」との展望を示している。

 この研究では、ウコン摂取により膝の痛みは軽減したものの、MRIによる所見には明確な改善が認められなかった。この点について、米マウント・サイナイ病院で統合的疼痛管理を指揮するHouman Danesh氏は、「そうした効果は期待していなかったため、驚きはなかった。一つのMRI所見は、ストーリーを構成する一文のようなものだ。画像診断だけでなく、痛みなどの症状とあわせて総合的に解釈する必要がある」と話す。そして、この研究結果については、「有望かつ励みになる」と評価している。

 Danesh氏は、「変形性膝関節症では、疼痛管理のために、市販薬以外の選択肢のあることが重要だ」と強調する。なぜなら、変形性膝関節症患者は市販の鎮痛薬(アセトアミノフェン、イブプロフェン、ナプロキセンなど)を服用することが多いが、これらの薬剤は効果が控えめである上に、胃の不調などの副作用が生じることもあるからだ。また、こうした市販薬の長期使用は、心疾患の発症リスクや腎臓がダメージを受けるリスクの増加を招く可能性もある。

 Antony氏は、「スパイスは、大量に摂取すると胃腸障害を引き起こす可能性があるが、ほどほどの量の摂取であれば安全だと考えられていることから、ウコンを試してみる価値はある」としている。一方、Danesh氏は、ウコン抽出物ではなく、ウコンそのものを試してみることを勧めるとともに、臀筋(尻の筋肉)を動かして鍛えることに重きをおいた運動プログラムを行うことで、バランスの取れた歩行パターンを身につけることも、変形性膝関節症の痛みの軽減に有効だと助言している。

[2020年9月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら