膝への負担の大きい職業は何?

提供元:HealthDay News

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公開日:2020/08/05

 

 変形性膝関節症のリスクを上昇させる具体的な職業が、システマティックレビューとメタ解析の結果から明らかになった。建設関連業や農業などに従事する人は、変形性膝関節症のリスクが明らかに高いという。シドニー大学(オーストラリア)や英オックスフォード大学、英サウサンプトン大学の研究グループによる論文が、「Arthritis Care and Research」7月7日オンライン版に掲載された。

 同研究グループは、変形性膝関節症と職業との関連について報告した研究論文を対象とする、システマティックレビューを行った。2人のレビュアーが独立して文献検索を行い、適格基準にマッチする25件の症例対照研究、36件の横断研究、19件のコホート研究を含む80件の論文を抽出。そのうち71件の研究(解析対象者数約100万人)のデータを統合してメタ解析を実施した。

 その結果、デスクワーク中心の職業に比べ身体的負荷の高い職業では、変形性膝関節症発症のオッズ比が1.52(95%信頼区間1.37~1.69)と、有意なリスク上昇が認められた。また、膝立ち、しゃがむ、立つ、物を持ち上げる、階段を上るなどの姿勢や動作を頻繁に求められる職業は、いずれもリスクを増大させることが分かった。

 その他の明らかになった職種ごとの変形性膝関節症への影響を、以下にまとめる。

・大工、れんが職人、床張り職人は、デスクワークの人に比べ、変形性膝関節症になるリスクがおよそ3倍。
・農業従事者は、変形性膝関節症のリスクが最大で64%高く、建設業従事者の63%よりもやや高い。
・家事にもリスクがあり、変形性膝関節症リスクが最大で93%高くなる。
・膝への負担が少ない業種もあり、例えば、商業、林業、漁業、機械工、配管工、電気技師、技術者、郵便職員などでは、統計的に有意なリスク増大は認められない。

 論文の上席著者であるシドニー大学骨・関節研究所のDavid Hunter氏は、「変形性膝関節症は世界的に失業や身体障害の主要な原因となっており、侵襲的な手術が必要となることもあるため、職場の作業環境に潜む危険を取り除くことが重要である」と述べている。

 変形性膝関節症は軟骨が劣化することで発症し、痛みや腫れ、あるいは可動域制限の原因となり、生活にも影響が及ぶ。怪我が誘因となることもあるが、多くの場合は原因不明とされる。米レノックス・ヒル病院のJeffrey Schildhorn氏は、「遺伝的な要因もあるが、生活面の要因もある」と解説し、最も大きな危険因子の一つとして、過体重や肥満を挙げる。

 軟骨は再生能力が極めて乏しい。そこで重要となる最善の予防法として、節度のある食事をして体重増加に気をつけることのほか、ストレッチやヨガなども膝関節の柔軟性を維持するのに有効であると、Schildhorn氏は助言している。発症後の治療法としては、鎮痛薬による痛みの管理、理学療法、認知行動療法などがあるが、効果が十分でない場合には膝関節置換術が必要となることもある。なお、変形性膝関節症は加齢の影響を受ける疾患のため、「平均寿命の延びとともに膝関節置換術を受ける患者が増えているが、驚くことではない」と同氏は言う。

 同氏はまた、「変形性膝関節症は関節の機械的な摩耗である。軟骨の弾力性には個人差があって、軟骨が非常にもろい人の場合には職業によらず発症する」と、対処にも限界があることに触れている。しかし、そうであっても、「事業主は従業員に理学療法の機会を提供したり、膝に負荷のかからない状態で仕事を行うように指導することは可能だ」としている。

[2020年7月14日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら