緩和ケア導入でICU利用率が低下

提供元:HealthDay News

印刷ボタン

公開日:2020/01/29

 

 重篤な疾患による症状や苦痛を和らげることを目的とした緩和ケアを病院で行うことで、集中治療室(ICU)において終末期ケアを受ける患者が減少したとする研究結果が、米コロンビア大学メールマン公衆衛生学部のMay Hua氏らにより報告された。ICUにおける終末期ケアは医療の質の低さを示す指標とみなされているが、「緩和ケアを導入することが、病院で死を迎える患者のエンド・オブ・ライフケア(最期までその人にとって最善の生き方ができるよう支援する医療)の質を向上させる方法となる可能性がある」とHua氏は述べている。研究の詳細は「JAMA Network Open」1月8日オンライン版に掲載された。

 今回の研究で対象とした病院は、米ニューヨーク州で2008~2014年の間に緩和ケアを導入した24の病院(大半は大学病院や大病院)と導入していない27の病院の計51施設。この期間に緩和ケアプログラムを常設していた病院や病床数が100床以下の病院などは対象外とした。研究期間中に18歳以上の患者7万3,370人(平均年齢76.5歳、52.4%が女性)が、対象病院で入院中に死亡した。それらの患者のうち、緩和ケアを導入した病院において治療を受けた人の割合は51.3%(3万7,628人)だった。

 解析の結果、緩和ケアを導入した後の病院で治療を受けた患者は、緩和ケアが導入される前に同じ病院に入院していた患者に比べ、ICU入室率が低いことが明らかになった(49.3%対52.8%)。3.5%の違いは小さく見えるかもしれないが、Hua氏らの推算によると、これは米国で年間2億6500万ドル(約289億円)の医療費が節約されることに相当するという。また、緩和ケアを導入した病院では、導入していない病院に比べ、ICU利用率が10%減少したことも分かった。

 こうした結果を受けてHua氏らは、病院が緩和ケアを取り入れることでICUにおける終末期ケアを減らせる可能性があるとする考えを裏づける結果が得られたと結論付けている。しかし、それと同時に「終末期における良質の医療を、ICU入室を減らすことと同義とみなすべきではない」と注意を呼びかけ、「明確なことは分かってはいないが、ICUにおける終末期ケアが患者やその家族に何らかの価値をもたらしていることも考えられる」と述べている。

[2020年1月16日/HealthDayNews]Copyright (c) 2020 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら