鉢植え植物は室内の空気をきれいにする?

提供元:HealthDay News

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公開日:2019/12/13

 

 鉢植え植物に室内の空気の質を良くする効果は期待できないようだ。一般に空気清浄効果があると考えられている観葉植物だが、自宅やオフィスの空気の質を良くするには、室内に植物を置くよりも自然換気を行う方がはるかに高い効果が得られることが、米ドレクセル大学建築環境工学准教授のMichael Waring氏らによる研究で示された。この研究結果は、「Journal of Exposure Science and Environmental Epidemiology」11月6日オンライン版に掲載された。

 今回の研究は、過去30年間に実施された、鉢植え植物が室内の揮発性有機化合物(VOC)量に及ぼす影響を検討した12件の研究結果を分析したもの。Waring氏らは、これらの研究から得られたデータをクリーンエア供給率(CARD)と呼ばれる空気清浄機の性能を表す指標に換算した。

 分析の結果、自然換気か換気装置によるものかにかかわらず、換気によって室内のVOC濃度が低下する速度は、植物が空気中からVOCを除去する速度を大幅に上回っていることが明らかになった。

 結果を受けてWaring氏は、「鉢植え植物が部屋の空気をきれいにするというのは、かねてより信じられてきたよくある誤解の1つだ。植物に優れた力があるのは確かだが、自宅やオフィスの空気の質に効果をもたらすほど素早く室内の空気を清浄化することはできない」と述べている。

 研究チームによると、鉢植え植物には空気清浄効果があるという誤解は、1989年にNASAが発表した「植物は発がん性化学物質を空気から除去するのに役立つ可能性がある」とする研究結果がきっかけで広まったのではないかという。しかし、この研究でもその他の同様の研究でも、実験が行われたのは締め切った空間であり、実際のオフィスや家庭の環境とは共通点がほとんどないものであった。

 また、これらの研究では植物がVOC濃度を徐々に低下させることがデータとして示されたが、自然換気が行われる室内や換気設備の備わった室内に実際に植物を置いた場合はどうなるのかまでは検討されていなかった。研究チームが計算したところ、建物の空気処理システムによる空気清浄能力、あるいは単に家の窓をいくつか開けるだけの換気に匹敵する効果を鉢植え植物から得るには、床面積1平方メートル当たり100~1,000鉢が必要であるという。

 Waring氏は「このことは、科学的知見がいかに誤解につながりやすいかを示す一例である。それと同時に、科学研究において、身の回りで実際に起こっていることの理解につながる確かなデータに近づくためには、常に結果に疑問を持ち、検討を重ねていく必要があることを示す好例でもある」と話している。

[2019年11月12日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら