4剤配合「polypill」が心疾患予防に有用

提供元:
HealthDay News

4剤配合「polypill」が心疾患予防に有用のイメージ

 心血管疾患(CVD)患者は何種類もの薬剤を服用しなければならないが、近い将来、1日1錠飲むだけで済む日が来るかもしれない。この度、米国の低所得層を対象としたランダム化比較試験の結果から、スタチンと複数の降圧薬を配合した「polypill」を1日1回、1年間服用すると、通常ケアに比べて血圧やLDL-コレステロールの値が低下し、CVD予防に有用であることが明らかになった。詳細は「New England Journal of Medicine」9月19日号に掲載された。

 この研究は、米バンダービルト大学医療センターのDaniel Munoz氏らが行ったもの。米アラバマ州の住民のうちCVDを有さない成人303人を対象に、低用量のアトルバスタチン、アムロジピン(Ca拮抗薬)、ロサルタン(ARB)、ヒドロクロロチアジド(サイアザイド系利尿薬)の4剤を配合したpolypillを服用する群、または地域の医療センターで通常ケアを受ける群にランダムに割り付けて比較した。参加者の96%は黒人で、4分の3は年収が1万5,000ドル(約160万円)に満たなかった。また、多くは肥満で、約半数は高血圧患者だった。

 その結果、1年後には、収縮期血圧値はpolypill群では平均9mmHg低下したのに対し、通常ケア群では2mmHgだった。また、悪玉コレステロール(LDL-コレステロール)の低下度は、polypill群では平均15mg/dLだったのに対し、通常ケア群では4mg/dLだった。

 今年の8月には、英国のグループが、2種類の降圧薬とスタチン、アスピリンの4剤を配合したpolypillの服用で、イラン人集団の生命に関わる心疾患リスクが5年間で3分の1以上低減したと「The Lancet」に発表した。Munoz氏は「“polypill”は新しい概念ではなく数十年前から既にあり、これまで主に低中所得国で研究が行われている」と指摘。「特に十分な医療サービスが受けられない層のCVDを予防する上で、このシンプルな治療戦略が功を奏す可能性がある」と述べている。

 Munoz氏らの研究でpolypillが有益だった理由の一つは、参加者の服薬遵守率にあるようだ。同氏によれば、複数の薬剤を処方された患者の半数は指示通りに飲まないが、今回の研究では86%もの人が服薬を守っていたという。

 また、研究期間中、医師は必要に応じて併用薬を追加できるとされていた。Munoz氏は「polypillを使用する場合、一つのサイズが全ての人に適する訳ではないことを認識しておくことが重要だ」と強調する。固定の低用量で配合するpolypillは、医師が併用薬を調整する必要はあるが、それでも医療サービスを十分に受けられない人の疾患予防に有益であるという。

 この研究には関与していない米デトロイト医療センター心臓病院のChadi Alraies氏は、「polypillの使用で服薬アドヒアランスが飛躍的に向上した。polypillは公衆衛生に大きな影響を与え、医療格差の解消につながる可能性がある」と述べている。また、AlraiesとMunozの両氏は、低用量であれば副作用のリスクも低いという利点も考えられると付け加えている。

[2019年9月18日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

会員の方へ