高血圧と乳がんに共通するリスク因子を発見か

提供元:HealthDay News

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公開日:2019/10/07

 

 高血圧と乳がんの双方において、GRK4(Gタンパク質共役受容体キナーゼ4)と呼ばれるタンパク質が共通のリスク因子である可能性があるとする研究結果が、米バージニア大学医学部のWei Yue氏らにより報告された。GRKにはGRK1からGRK7まで7種類あり、これまでの研究によりGRK2、GRK5とさまざまながんとの関連が報告されている。しかし、GRK4と高血圧、乳がんの関連を調べたのは、同氏らが初めてだという。この研究は、米国心臓協会(AHA)Hypertension 2019 Scientific Session(9月5~8日、米ニューオーリンズ)で発表された。

 高血圧を持つ成人のほぼ半数は女性であり、65歳を過ぎると高血圧患者の割合は男性よりも女性のほうが多くなる。また、妊娠、避妊薬、閉経はいずれも高血圧リスクを上昇させる。さらに、高血圧の女性では、正常血圧の女性に比べ乳がんリスクが約15%高くなることや、GRK4の高値は高血圧の原因となることが過去の研究により示されている。一方、乳がんは女性に最も多いがんであり、がんの部位別の死亡数では第2位となっている。

 Yue氏らは過去に行った研究で、乳がんをはじめとする多くのがんで発現が増加するc-Mycというがん遺伝子により、GRK4が制御されていることを明らかにしていた。このことから同氏らは、GRK4が乳がんと高血圧を結び付けているのではないかと仮説を立てた。

 Yue氏らが、乳がん細胞と正常な乳腺上皮細胞におけるGRK4の発現を調べたところ、乳がん細胞ではさまざまなレベルでGRK4が発現していたのに対し、正常な乳腺上皮細胞では発現がみられなかった。さらに、GRK4をノックダウンすると、乳がん細胞の増殖が有意に減少することも確認された。これらの結果を踏まえ同氏は、「GRK4には乳がん細胞の増殖を促す働きがあることが示された。GRK4は、通常は乳腺組織では発現しないため、医薬品開発の標的となる可能性がある」と結論づけている。

 ただし、乳がんはどれも同じではない。Yue氏によると、今回の研究でGRK4の発現を調べたのは、ホルモン感受性乳がんおよびトリプルネガティブ乳がんの2種類であり、「研究結果は、別のタイプの乳がんには当てはまらない可能性がある」という。

 今回の研究には関与していない、米メイヨー・クリニックのVesna D. Garovic氏は、GRK4の遺伝子変異が人種により異なる可能性を指摘。さまざまな人種や民族を対象にGRK4を研究することで、これまで報告されてきた、腫瘍タイプ、治療反応、転帰における人種差について洞察を得られる可能性があるとしている。

 また、Garovic氏は、「これまでの研究で高血圧の女性は乳がんリスクが高いことが明らかにされていた。今回の研究によりその根拠となる分子機序が示され、この知見に新たな裏づけが与えられた」と今回の研究成果についてまとめるとともに、疾患を引き起こす分子機序やシグナル伝達経路を特定するこのような研究は、治療の選択に関する新たな見識をもたらす可能性があると話している。

[2019年9月6日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら