減量手術で肥満糖尿病患者の心血管イベントが4割減少

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HealthDay News

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 肥満糖尿病の患者に減量手術を行うと、従来の内科的治療を継続した場合に比べて、死亡を含む心血管イベントが約4割減少することが報告された。米クリーブランドクリニックのAli Aminian氏らが欧州心臓病学会(ESC 2019、8月31日~9月4日、フランス、パリ)で9月2日に発表し、同日「JAMA」オンライン版に掲載された。

 研究グループは、1998~2017年に減量手術を受けたBMI30以上の肥満2型糖尿病患者2,287人を対象に、後ろ向きコホート研究を実施。減量手術に用いられた術式は、胃バイパス術、スリーブ状胃切除術、調節性胃バンディング術、十二指腸スイッチ術の4種だった。手術以外の治療を受けていた患者から、年齢やBMIなどの背景因子をマッチさせ1対5の比率で割り当てた1万1,435人を比較対照群とした。

 追跡期間は8年(中央値3.9年)で、一次エンドポイントは全死亡、冠動脈イベント、脳血管イベント、心不全、腎障害、心房細動で構成される複合エンドポイントとし、その構成因子を個別に二次エンドポイントとして評価した。その他、体重や糖尿病の治療状態の経時的な変化も検討した。

 8年間での一次エンドポイント累積発生率は、手術群30.8%、非手術群47.7%で、手術群が有意に低く(ハザード比0.61、P<0.001)、二次エンドポイントの発生率も全て手術群が有意に低かった。個別に見ると、手術群は非手術群に対し、全死亡41%、冠動脈イベント31%、脳血管イベント33%、心不全62%、腎障害60%、心房細動22%、それぞれリスクの低下が認められた。また体重の減少やHbA1cの改善に及ぼす影響も、手術群の方が有意に大きかった。さらに血糖降下薬、降圧薬、脂質低下薬、アスピリンが処方されている割合は、手術群の方が有意に少なかった。

 Aminian氏は、「全死亡も含め評価した全ての項目において、減量手術によるリスクの低下が認められた」と結論付けるとともに、「プライマリケア医や内分泌医、循環器医は減量手術を治療の選択肢として考慮すべき」とし、「薬剤の追加ではなく、減量手術の適応がないか肥満外科医と相談すべきだ」とメッセージを送っている。

 一方、本報告のレビュー者である米モンテフィオーレ医療センターのJoel Zonszein氏は、「手術は“万能薬”ではない。術後にダンピング症候群(消化不十分な食物が胃から小腸に短時間で流れ込む現象)や栄養障害などの合併症が生じたり、追加手術が必要になったりする場合もあり、すべての患者に適用されるわけではない」と述べている。

 同氏はまた、近年の比較的新しい2型糖尿病治療薬を用いることで、今回の研究における非手術群に比べ良好な予後につながる可能性を指摘。さらに「この試験の参加者の多くは、現在では2型糖尿病患者に広く処方されている降圧薬や脂質低下薬が使われていなかった」と、結果解釈上の留意点を挙げている。

[2019年9月3日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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