重症下肢虚血の血管内治療はバイパス手術と同等の有効性

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重症下肢虚血の血管内治療はバイパス手術と同等の有効性のイメージ

 重症下肢虚血の治療において、血管内治療は観血的手術と少なくとも同等の有効性があるとの研究結果が報告された。研究の詳細は「Circulation:Cardiovascular Quality and Outcomes」8月号に掲載された。

 重症下肢虚血は末梢動脈疾患が最も重症化した病態で、創傷の治癒遅延や壊疽の原因となり、下肢切断に至ることが少なくない。治療法は詰まっている血管から先への血流を再開させることだ。その方法の1つは観血的手術で、患者自身から採取した静脈の一部(または人工血管)を用いて、動脈の閉塞部位を迂回するバイパスを作製する。もう1つの治療法は、体の負担が少ないことが特徴の血管内治療。足の付け根の小さな切開創から細く柔軟なカテーテル(管)を血管内に挿入し、動脈の閉塞部位で風船を膨らませるように血管を広げた後、ステントという金属を留置して閉塞の再発を防ぐ。

 観血的手術は入院が必要で回復には約1カ月かかるのに対し、血管内治療は外来で行うことも可能。また別の病気を併発している場合など、観血的手術のリスクが高い患者にも血管内治療は比較的安全に行える。今回、米カリフォルニア大学(UC)デービス校のJonathan Lin氏らは、これら観血的手術と血管内治療という2つの治療法の有効性を検討した。

 Lin氏らが、2005~2013年にカリフォルニア州の病院で重症下肢虚血の治療を受けた1万6,800人(平均年齢71±12歳)の医療記録を分析した結果、初回治療として観血的手術が36%、血管内治療が64%に施行されていた。患者背景をみると、血管内治療群は観血的手術群に比べわずかに若年で、糖尿病、冠動脈疾患、うっ血性心不全、腎不全の有病率が高く、いずれも有意差があった。

 血管内治療群は観血的手術群に比べて下肢切断回避生存率(下肢を切断することなく生存していた患者の割合)が有意に高かった(ハザード比1.16)。反対に再血行再建術率(治療後に血流が再び悪くなり再治療を要した患者の割合)は血管内治療群が有意に高かった(ハザード比1.19)。死亡率に関しては、前述のように血管内治療群において冠動脈疾患や腎不全などの併存疾患を有する率が高かったにもかかわらず、両群同等だった。

 Jonathan Lin氏は「このデータを見ると血管内治療を第一選択としても、少なくとも結果が悪化することはないと思われる。重症下肢虚血の治療は必ずしも緊急を要するとは限らず、最適な治療手段を検討する時間はある」と述べ、「いずれにせよ、患者が受ける治療は、患者と医師が話し合って決めなくてはならない」とまとめている。

 なお、重症下肢虚血は米国の人口高齢化に伴い増加している。この疾患のために下肢切断術を受ける患者の数は、2050年までに160万人から360万人へと2倍以上に増加すると推定されている。

[2019年7月30日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

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