重度の先天異常に「オピオイド危機」が関連か、米CDC調査

提供元:
HealthDay News

重度の先天異常に「オピオイド危機」が関連か、米CDC調査のイメージ

 米国では、1995年から2012年にかけて、へその脇の腹壁の穴から小腸や胃などの臓器が外に飛び出す「腹壁破裂」で生まれる新生児が増加している。今回、米疾病対策センター(CDC)の調査で、この腹壁破裂の増加には、米国内で深刻な社会問題となっているオピオイド危機が関連している可能性があることが明らかになった。調査結果の詳細は「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」1月18日号に掲載された。

 この研究は、CDC傘下にある国立出生異常・発達障害センター(NCBDDD)のJennita Reefhuis氏らが実施したもの。同氏らは、米国20州で2006~2015年に生まれた腹壁破裂の症例を対象に分析した。その結果、2006~2010年の5年間に比べて、2011~2015年の5年間では腹壁破裂の有病率が10%上昇し、ほとんどの年齢層の母親で増加が認められた。

 また、腹壁破裂の有病率とオピオイド処方データとの関連を調べた結果、2006~2015年に、オピオイドの処方率が高かった郡では、処方率が低かった郡に比べて腹壁破裂の有病率は1.6倍に上ることが明らかになった。

 これまでの研究で、10代など低年齢の出産がこうした重度の先天異常の強力なリスク因子である可能性が示唆されているが、研究グループは「その他にも、妊娠中のオピオイドの使用を含めたさまざまな因子が関連している可能性もあるのでは」との見方を示している。

 ただ、「現時点では、オピオイドの使用が腹壁破裂の原因であるとは言い切れない」とReefhuis氏は強調する。一方、同氏は「この知見は妊娠中のオピオイド使用と胎児への影響に関して、さらに研究を重ねる必要があることを警告するものだ」として、「妊娠中のオピオイド使用による影響を調べる今後の研究の指針として、この結果を活用していきたい」と述べている。

 腹壁破裂で生まれた新生児には、緊急手術に加えて、経腸栄養や感染症予防のための抗菌薬の投与、低体温を避けるための体温モニターなど慎重な観察が必要になる。

 NCBDDDで先天異常および発達障害部門のディレクターを務めるPeggy Honein氏は「オピオイド危機は、現代社会の公衆衛生上の緊急事態だ。オピオイドの過剰摂取による死亡者数の急増という面で深刻な問題となっているが、母体と胎児への影響についても解明していく必要がある」と述べている。また、同氏は「母親のオピオイド中毒は新生児の薬物離脱症候群を引き起こすことがあるが、腹壁破裂などの多くの有害な影響については明らかになっていない。また、オピオイドは子どもの成長発達や行動に影響を与える可能性も考えられる」と付け加えている。

 Reefhuis氏によると、オピオイド使用障害の治療などのために、一部の妊婦は妊娠中もオピオイドの使用が必要になるという。「妊娠中あるいは妊娠を計画しており、オピオイドを使用しているか、使用を考えている女性は、母体と胎児へのリスクとベネフィットについて医師と十分に話し合う必要がある」と、同氏は述べている。

[2019年1月17日/HealthDayNews]Copyright (c) 2019 HealthDay. All rights reserved.利用規定はこちら

掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。)

会員の方へ