消化器科の海外論文・最新ニュースアーカイブ|page:48

fruquintinib、難治転移大腸がんに有効/Lancet

 難治性の転移を有する大腸がんの治療において、VEGFR-1、2、3を標的とする経口チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)fruquintinibはプラセボと比較して、全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)が有意に長く、安全性も良好であることが、米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのArvind Dasari氏らが実施した「FRESCO-2試験」で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2023年6月15日号で報告された。  FRESCO-2試験は、日本を含む14ヵ国124施設が参加した二重盲検無作為化プラセボ対照第III相試験であり、2020年8月~2021年12月の期間に患者の登録が行われた(中国・HUTCHMEDの助成を受けた)。

難治性クローン病の寛解導入と寛解維持に対するウパダシチニブの有用性(解説:上村直実氏)

慢性かつ再発性の炎症性腸疾患であるクローン病(CD)の治療に関しては、病気の活動性をコントロールして患者の寛解状態をできるだけ長く保持し、日常生活のQOLに影響する狭窄や瘻孔形成などの合併症の治療や予防が非常に重要である。すなわち、十分な症状緩和と内視鏡的コントロールを提供する新しい作用機序の治療法が求められる中、最近、活動性とくに中等症から重症のCDに対しては、生物学的製剤により寛解導入した後、引き続いて同じ薬剤で寛解維持に対する有用性を検証する臨床試験が多く施行されている。

CAT対策は重要!(解説:後藤信哉氏)

日本の死因の第1位は悪性腫瘍である。悪性腫瘍治療の選択肢は増えた。抗がん剤治療では体内で腫瘍細胞が壊れることになる。組織の壊れたところでは血栓ができやすい。Cancer Associated Thrombosis(CAT)対策は日本でも真剣に考える必要がある。いわゆるDOACは使いやすい。心房細動の脳卒中治療でも、凝固異常を合併しない静脈血栓でも広く使用されている。本研究ではevidenceの豊富な低分子ヘパリンとDOACの比較試験を行った。

HER2陽性胆道がんに対するzanidatamabの有用性(HERIZON-BTC-01)/ASCO2023

 HER2陽性胆道がんに対する抗HER2二重特異性抗体zanidatamabの有用性に関するデータが、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)において、米国・MDアンダーソンがんセンターのShubham Pant氏から発表された。  zanidatamabはHER2の細胞外部位のドメイン2とドメイン4に同時に結合する新規の二重特異性抗体であり、HER2の二量体形成の強力な抑制作用が示されている。今回の発表はアジアを中心に行われた国際共同の第IIb相試験HERIZON-BTC-01の結果である。 ・対象:ゲムシタビン含有レジメンの治療歴を有する局所進行または転移のあるHER2陽性胆道がん ・介入:HER2のIHC2+、3+症例(コホート1)     HER2のIHC0と1+症例群(コホート2)     zanidatamabは20mg/kgを2週間隔で投与し、2週間休薬の4週間サイクルで点滴した ・評価項目: [主要評価項目]独立評価委員会によるコホート1の奏効率 [副次評価項目]奏効期間(DOR)、病勢コントロール率(DCR)、無増悪生存期間(PFS)、安全性など

肝細胞がんデュルバルマブ+トレメリムマブの1次治療、免疫介在性有害事象とOS の関係(HIMALAYA)/ASCO2023

 切除不能肝細胞がん(uHCC)に対する1次治療として抗PD-L1抗体デュルバルマブと抗CTLA-4抗体トレメリムマブの併用は、免疫介在性有害事象(imAE)発生の有無にかかわらず、全生存期間(OS)の延長を示していた。第III相のHIMALAYA試験の探索的解析の結果として、香港humanity and health clinical trial centerのGeorge Lau氏が米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)にて発表した。

がん遺伝子検査、よく受けるがん種・人種は?/JAMA

 米国・スタンフォード大学のAllison W. Kurian氏らは、2013~19年に同国カリフォルニア州とジョージア州でがんと診断された患者のうち、生殖細胞系列遺伝子検査を受けた患者の割合が6.8%とごくわずかであり、非ヒスパニック系白人に比べ、黒人、ヒスパニック系、アジア系の患者ではより低いことを示した。同検査は遺伝性のがんリスクを明らかにし、遺伝学的な標的治療を可能にすることで、がん患者の生存率を向上させるが、米国ではどのくらいの患者が受けているかは、これまで知られていなかった。研究の成果は、JAMA誌オンライン版2023年6月5日号で報告された。

直腸がんへのネオアジュバント強化、長期フォローアップでも有用性示す(PRODIGE 23)/ASCO2023

 局所進行直腸がん患者において、標準治療である術前化学放射線療法よりも前にmFOLFIRINOXによる化学療法を強化することで無病生存期間(DFS)が有意に改善されることを報告した第III相PRODIGE 23試験。米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)では本試験の7年の長期フォローアップの結果を、フランス・ロレーヌがん研究センターのThierry Conroy氏が報告した。

局所進行大腸がんにおける、術前化学療法の有用性は?(NeoCol)/ASCO2023

 局所進行大腸がん初回治療の標準治療は切除と術後補助化学療法だが、ほかのがん種で広がる術前化学療法は有効なのか。この点について検討したランダム化比較第III相NeoCol試験の結果を、米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、デンマーク・Danish Colorectal Cancer Center SouthのLars Henrik Jensen氏が発表した。

がん患者のVTE再発予防、DOAC vs.低分子ヘパリン/JAMA

 静脈血栓塞栓症(VTE)を有した成人がん患者のVTE再発予防に関して、追跡期間6ヵ月にわたり、直接経口抗凝固薬(DOAC)は低分子ヘパリン(LMWH)に対して非劣性であったことが、米国・ハーバード大学医学大学院のDeborah Schrag氏らによる検討で示された。著者は、「この結果は、がん患者のVTE再発予防に対してDOACの使用を支持するものである」とまとめている。VTEを有するがん患者のVTE再発予防にはLMWHの長期投与が推奨されており、DOACの有効性との比較は検討されていなかった。JAMA誌2023年6月2日号掲載の報告。

肝細胞がんへのアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用術後補助療法の患者報告アウトカム(IMbrave050)/ASCO2023

 肝細胞がん(HCC)に対するアテゾリズマブとベバシズマブの併用術後補助療法を評価するIMbrave050試験の探索的研究から、同レジメンは健康関連QOLや機能スコアに悪影響を及ぼさないことが示された。米国臨床腫瘍学会年次総会(2023 ASCO Annual Meeting)で、近畿大学の工藤 正俊氏が発表したもの。  追跡期間17.4ヵ月において、IMbrave050試験の主要評価項目であるRFSは、対照群と比較してアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用群で有意に改善しており(ハザード比:0.72、95%信頼区間:0.56~0.93、p=0.0120)、また、同併用療法の安全性についても既知の報告との一致していた。