1.
非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)に関連する消化管出血について、関節リウマチや変形性関節症などでは、COX-2選択的NSAIDsを用いたほうがリスクが低いと報告されている。しかし、直接経口抗凝固薬(DOAC)による治療を受けている非弁膜症性心房細動(NVAF)など、出血リスクが高い集団におけるCOX-2選択的NSAIDsの有益性は明らかになっていない。そこで、ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のFabian Maximilian Meinert氏らの研究グループは、NVAF患者におけるDOACとNSAIDsの併用について、NSAIDsをCOX-2選択性で分類し、出血リスクを比較した。その結果、COX-2選択的NSAIDsは消化管出血および非消化管出血リスク低下と関連していた。本研究結果は、JAMA Network Open誌2026年5月26日号に掲載された。 研究グループは、英国のClinical Practice Research Datalink(CPRD)Aurumデータベースおよびカナダ・ケベック州の医療請求データを用いてコホート研究を実施した。対象は、2011~20年に、DOACとNSAIDsの併用を開始した成人NVAF患者とした。DOACはアピキサバン、ダビガトラン、エドキサバン、リバーロキサバンを対象とした。NSAIDsは、COX-2選択的NSAIDs(エトドラク、ジクロフェナク、セレコキシブ、メフェナム酸、メロキシカム、rofecoxib)※と非選択的NSAIDs(イブプロフェン、インドメタシン、オキサプロジン、ケトプロフェン、ナプロキセンなど)に分類した。主要評価項目は消化管出血による入院、副次評価項目は非消化管出血による入院とした。傾向スコアに基づく逆確率重み付けを用いて、Cox比例ハザードモデルでデータベース別のハザード比(HR)を推定した後、ランダム効果モデルで統合した。※:本研究では既報の分類に従いCOX-2選択的NSAIDsとして扱われたが、ジクロフェナクやメフェナム酸、メロキシカムといったCOX-1阻害作用を一定程度有する薬剤も含まれた 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、DOACとNSAIDsの併用を開始したNVAF患者3万240例(英国のデータベース1万335例、カナダのデータベース1万9,905例)であり、3万7,833件の併用エピソードを対象とした。平均年齢は72.1歳、男性は56.7%であった。・英国では、COX-2選択的NSAIDsとしてジクロフェナクが最も多く使用され、非選択的NSAIDsではナプロキセンが最も多かった。カナダでは、COX-2選択的NSAIDsとしてセレコキシブが最も多く、非選択的NSAIDsではナプロキセンが最も多かった。・消化管出血の粗発生率(1,000人年当たり)は、英国ではCOX-2選択的NSAIDs群20.47、非選択的NSAIDs群34.77であった。カナダでは、それぞれ27.04、52.52であった。データを統合すると、COX-2選択的NSAIDsの併用は非選択的NSAIDsの併用と比較して、消化管出血リスク低下と関連していた(重み付けHR:0.63、95%信頼区間[CI]:0.46~0.87)。・非消化管出血の粗発生率(1,000人年あたり)は、英国ではCOX-2選択的NSAIDs群17.92、非選択的NSAIDs群34.82であった。カナダでは、それぞれ31.31、66.92であった。データを統合すると、COX-2選択的NSAIDsの併用は非選択的NSAIDsの併用と比較して、非消化管出血リスク低下と関連していた(重み付けHR:0.54、95%CI:0.40~0.74)。・サブグループ解析において、女性ではCOX-2選択的NSAIDs併用に伴う消化管出血リスク低下がより大きい可能性が示された。女性の重み付けHRは0.50(95%CI:0.31~0.80)、男性では0.85(95%CI:0.55~1.32)であった。