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英語で「慎重かつ前向きに」は?【1分★医療英語】第117回

第117回 英語で「慎重かつ前向きに」は?《例文1》 Let's prepare for the worst and hope for the best.(最悪の事態に備えて準備して、最善を祈りましょう)《例文2》He always has a glass-half-full mentality and never pessimistic.(彼は常に「コップが半分満たされている」という精神でいて、決して悲観的にならない)《解説》“cautiously optimistic”は英語の頻用表現です。“optimistic”は前向き、楽観的という意味で、“pessimistic”(悲観的)の対語です。医療現場では気軽に楽観的な言葉を掛けられない深刻な状況もありますが、「そんな状況でも患者さんを励ましたい」という場面で使うことができます。“cautiously”と前置きすることで、「医師として最大限に慎重に対応はしているが、そのうえで前向きに希望を持って臨みたい」という気持ちを伝えることができます。類似表現として、例文に示した“prepare for the worst and hope for the best”も同じような状況・意図で使われます。英語表現では楽観的・悲観的という性格を、“glass-half-full mentality” or “glass-half-empty mentality”と呼ぶことがあります。これは、水が半分入ったコップを見たときに、楽観的な人は「コップは半分まで満ちている」と言い、悲観的な人は「コップは半分まで空になっている」と言う、という逸話に由来します。講師紹介

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鳥取救急に関する「ニュース批評」で批判的に取り上げた当事者が真相を語る

CareNet.comに2月7日に掲載した記事「救急医を巡るパワハラ疑い、鳥取県立中央病院で起こったこととは」(ニュース批評 ざわつく水曜日)に対して、記事中で、批判的に取り上げた当人、鳥取県立中央病院 院長補佐/救急集中治療部長の小林誠人氏から記事に事実と異なる部分があると編集部に連絡があり、取材を行った。何が事実で何が誤りなのか?ニュースの当事者からの情報をお届けする。まず、パワハラについてです。鳥取県東部広域行政管理組合消防局から当院の医師、看護師の対応が「パワーハラスメントではないか」と調査依頼を受けたのは事実ですが、病院ではホットラインはすべて録音していますし、初療の対応は医療安全の観点から全部動画撮影しています。つまり、指摘されたことが事実か否か事後検証できます。それを検証すると、消防局の指摘は必ずしも事実ではありません。パワハラは疑い事例について専門委員会に判断を仰いでいる段階だからといって、消防局の指摘が間違いだとただす気持ちはありません。人間の記憶はあいまいで、そこにいろいろな感情や2次情報、3次情報が加わって書き換えられてしまうものですから、仕方ないことだと思っています。一方、一連の報道は誤りであるとはっきりと申し上げたい。具体的には、当院の職員の対応が「パワハラであった」と断定している部分です。事実は、パワハラの可能性があると考えられた事例について、裁定を仰ぐため鳥取県病院局のハラスメント防止委員会に上げた段階であるということです。院長はそれを記者会見で説明したのですが、すべての報道で明白なパワハラがあったかのごとく取り上げられています(※記事では訂正済み)。今お話ししている時点(2024年2月8日)で、委員会の裁定は下っていません。動画を見ると、若いスタッフが厳しく言っていたりするところがあり、それを受け取り側が…、というのがあったのでしょうが、それも救急活動をよくしたいという一心からです。私としては、改めて動画を見て、医師も救急隊も看護師も、患者を救うために救命のために協働しながら一生懸命やってるな、と純粋に感じました。しかし、専門委員会がパワハラと認定するのかどうか私にはわかりません。指示要請は受けていた。「応諾」しなかったが「拒否」はしていないもう1つの論点が、救急活動プロトコルと特定行為に関する指示要請についてです。ここでまず理解していただきたいのは、パワハラ問題と本件はまったく別の話だということです。私たちは病院に来る前と病院内と分けて考え業務を行っています。パワハラ問題は病院内の管轄で、責任者は院長です。一方、特定行為に関する指示要請は地域メディカルコントロール協議会の管轄です。救急救命士の活動を医師が担保するというのが救急救命士法の趣旨であり、当県の主管は鳥取県救急搬送高度化推進協議会、私たちは通称「県メディカルコントロール協議会」と言っています。この論点についての記事の大きな誤りは、われわれが「特定行為に関する指示要請を拒否した」と書かれている部分があることです。「特定行為に関する指示要請に応諾しなかった」というのが正しい表現になります(※記事では訂正済み)。「拒否」と「応諾しない」は大きく異なります。「拒否」は何かをお願いされたときに門前払いすることで、「特定行為の指示要請をかけていいですか?」という電話も受けませんということです。それはメディカルコントロール体制下で許されないことであり、私たちは一度も「拒否」はしていません。一方、「応諾しない」というのは、指示要請に対してイエスもノーも言わないということです。しかし、それでは電話をかけてきた救急救命士が困るので、私たちは「特定行為の指示要請」を救急救命士法上の「助言」や「指導」に切り替えて対応していました。「先生、心肺停止の傷病者です。この特定行為をしてもよろしいでしょうか?」という依頼に対して「いや、特定行為は許可できません。その状況であれば、代わりに何々をしてください」ということを伝えていました。これが当方が説明してきた真実、1次情報です。実際に録音も残っています。その前段階で「医学的観点からの責任もあり、当院ホットラインへの指示要請、及び検証医への検証は応諾いたしかねます」というメールを私が消防局に送っています。では、なぜ私がそのような対応をとったのか説明します。傷病者に医学的に不利益があるプロトコルでは医師として応諾できない鳥取県のメディカルコントロール協議会の救急活動プロトコルは何年も改訂されておらず、現在の救急の実態とそぐわない部分があります。プロトコルは、フローチャートと手順書がセットになっていますが、県のプロトコルには、フローチャートしかない部分が多々あります。また、その内容も、現在の医学的な知見に照らし、傷病者にとって不利益になる内容が含まれています。そのことについては関係者の間で異論はなく、現在、県メディカルコントロール協議会のプロトコル改訂作業が進められており、もうすぐ改訂版が出来上がる見込みです。では、改訂されるまでの間、不具合があるとわかっている、立て付けの悪いプロトコルを現場で使うべきかということになるわけですが、傷病者に対して不利益があることが明らかなプロトコルを使うことは医学的にあり得ません。このため、われわれの地域、東部地域メディカルコントロール協議会では、地域に見合った補完したプロトコルを救急救命士法の範囲内で運用していました。これは私たちの地域だけの特殊事例ではなく、全国どこの地域でも普通のことだと思います。ところが、先の県のプロトコル改訂作業と並行して進めていた地域のプロトコルの文書化が一時ストップしてしまって、改めて、どのプロトコルを運用するのかという議論になったのです。責任者である東部地域メディカルコントロール協議会の会長に判断を求めたところ、それまでの改訂・文書化作業は中断して、昔の県のプロトコルで運用するように、という指示が出ました。それでは問題があるので何度も確認しましたが、県のプロトコルでやりなさいという指示は変わりませんでした。なので、傷病者、県民にとって不利益になるので、私たちはそのような指示要請には応諾できません。受けますけれどもイエスとは言えません、とお伝えしたのです。わずか10日後に「応諾しない」方針を撤回した真の理由このような経緯で、あのメールは「応諾いたしかねる」という表現を使い、会長の許可ももらったうえで出しています。病院の許可は必要なく、そもそも病院ではなく地域メディカルコントロール協議会が主体となる事案です。組織構造の理解と事実関係の確認が不十分なままに、病院側への謝罪要求が行われたことで、話がややこしくなっているのです。記事にもありますように、10日後には「ホットラインの運用を通常通り再開する」と連絡し、実際にそうしました。しかし、これは報道されていませんが、私たちが判断を変えたわけではありません。会長の方が判断を変えられたのです。つまり従来から運用してきたプロトコルに戻すことになったので、私たちも応諾しない理由はなく、従来の通常対応に戻したということです。そこで、会長はなぜわずか10日で判断を覆し従来のプロトコルに戻すよう指示したのかという疑問が沸くでしょう。プロトコルの明文化、改訂作業と並行して、救急救命士のプロトコル違反および事故事案の検証を行っていました。その検証作業中に県のプロトコルの不具合が改めて認識され、露呈したことで従来から運用されてきた地域のプロトコルに戻されたのだと理解しています。実事案の情報提供は、患者個人情報の絡みもあり慎重にならざるを得なかったのですが、患者家族への説明、県メディカルコントロール協議会への報告も行われましたので、今回情報提供に至りました。今回は、事実確認が不十分なマスコミの報道で相当振り回されましたが、その間も、当院は変わらず救急応需率100%、ホットライン通話時間1分以内を維持し、例年以上に多くの救急車搬入を受け入れています。救命救急士も救急医も傷病者のため県民のために粛々と救命救急をやり続けています。現場ではとくに大きな問題は起こっていないのです。逆に、この問題が明るみに出たことで、プロトコルの改訂作業を含む当地域の救急体制の課題解決へ向けての動きが一気に進み始めました。その意味では良かったと思っています。しかしながら、一方的かつ出所が不明確な情報だけで県民の不安を煽る報道、メディア・スクラムによる医療への悪影響は誰も幸せにしないことを改めて痛感しました。なお、2月10日付で県病院局が、私が救命救急センター長を外れる人事を発令していますが、これは先を見据え、今回の件で露呈した当県、当地域の救急医療体制、各組織の問題、課題を解決し、整備していくためです。院長補佐、救急集中治療部長の任は変わらず、私の役目、仕事はこれまでとまったく変わるところはありません。ニュース批評 ざわつく水曜日「救急医を巡るパワハラ疑い、鳥取県立中央病院で起こったこととは」(2月7日配信、一部修正済み)

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学会のSNS発信はどうあるべき?JSMO2024でシンポジウム開催

 2024年2月22日(木)~24日(土)、第21回日本臨床腫瘍学会学術集会(JSMO2024)が名古屋国際会議場とオンラインのハイブリッド形式で開催される。新薬開発や臨床課題に関する多くの演題が並ぶ中、一風変わったシンポジウムが企画されている。 テーマは「学会としてSNSをどう活用していくべきか」、昨年4月にJSMO広報渉外委員会の下部組織として「SNSワーキンググループ(SNS-WG)」が発足したことを契機に企画されたシンポジウムだ。SNS-WGは立候補制で、現在専攻医からがん薬物療法専門医まで、幅広い世代のJSMO会員メンバーが参加する。 SNS-WGの活動目的は下記のとおり。1)JSMO会員のSNS利用を活発にするための環境整備2)医学生・研修医や一般市民に向けた腫瘍内科・JSMOの認知度向上3)JSMOの国際化 今回のシンポジウムでは、SNS-WGの活動内容、米国臨床腫瘍学会(ASCO)、欧州臨床腫瘍学会(ESMO)、国内でSNS活動を最も精力的に行っている学会の1つである日本循環器学会がSNSを活用するために行っている取り組みを共有し、今後のJSMOのSNS-WGが進むべき方向性やSNSの上手な使い方について討論する予定だという。SNS-WGメンバーのほか、X(旧Twitter)で長年医療情報の発信を続ける循環器内科医・岸 拓弥氏が、日本循環器学会と自身の取り組みを紹介する予定だ。JSMO2024では会場内での許可のない撮影は禁止されているが、本シンポジウムに限っては、スライドの撮影およびSNSへの投稿を自由としている。 SNS-WGのメンバーの1人である寺田 満雄氏(名古屋市立大学大学院 医学研究科 乳腺外科学分野/The University of Pittsburgh Medical Center)は、「海外と比べ、日本ではまだ腫瘍内科はマイナーな存在。SNSで医学生や研修医に向けて情報発信し、魅力を伝えて志望者を増やしたい」と語る。さらに「最大のイベントであるJSMO2024会期中にSNSでの発信を増やし、学術集会を盛り上げることも目指したい」と語る。さらに「国内での情報発信の基盤ができたあとは、ASCOやESMOのように発表スライドを撮影して即時にSNSに投稿、その場でディカッションが起きるような環境整備も進めたい」と今後の展望を語る。 学会のSNS活用においては、投稿が炎上する、といったリスクも指摘されるところだが、「海外学会を見ていると、情報公開、拡散は避けられない流れ。投稿規定を定め、リテラシーを高めて経験を重ねれば、不要なリスクは避けられるはず。日本のプレゼンスを高め、患者・市民参画(Patient and Public Involvement)を促進するためにSNSは欠かせない手段だと考えている」(寺田氏)。まずはSNSを使うJSMO会員を増やそうと、シンポジウムでは個人向けにSNSを使った上手な情報収集法、上手なセルフブランディングなどの話題も提供するという。 シンポジウムの詳細は以下のとおり。JSMO2024(名古屋国際会議場)委員会企画2(SNS-WGシンポジウム)2月22日(木)15:40~17:10Room 6(1号館3F 会議室131+132)【司会】後藤 知之氏(滋賀県立総合病院 腫瘍内科)【冒頭挨拶】武藤 学氏(京都大学大学院医学研究科 腫瘍薬物治療学講座)【演者】山口 祐平氏(名古屋医療センター)上原 悠治氏(都立駒込病院 呼吸器内科) 岸 拓弥氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科  循環器内科)【ディスカッサント】岸 拓弥氏(国際医療福祉大学大学院医学研究科  循環器内科)上原 悠治氏(都立駒込病院 呼吸器内科) 扇屋 大輔氏(東海大学医学部 内科学系 血液・腫瘍内科学)尾崎 由記範氏(がん研究会有明病院 乳腺内科)高見澤 重賢氏(NTT東日本関東病院 腫瘍内科)山口 祐平氏(名古屋医療センター) 学会はライブ配信のほか、3月1日(金)~29日(金)の期間にオンデマンド配信も行われる。

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ER陽性/HER2陽性乳がん、PR陽性vs.陰性で転帰の差は

 エストロゲン受容体(ER)陽性プロゲステロン受容体(PR)陽性HER2陽性(ER+/PR+/HER2+)乳がんとER+/PR-/HER2+乳がんは、異なる臨床病理学的特徴および生存転帰を示すことが示唆された。中国・Shaoxing Second HospitalのWu Ding氏らによるBreast Cancer誌オンライン版2024年1月17日号掲載の報告より。 本研究では、Shanghai Jiao Tong University Breast Cancer Data Baseと国立がん研究所のSEER(Surveillance、Epidemiology、and End Results)データベースを用いて分析。傾向スコア調整法により両サブタイプ間の患者特性のバランスが調整された。カプランマイヤー生存曲線により両サブタイプの無病生存期間(DFS)、乳がん特異的生存期間(BCSS)、全生存期間(OS)を推定したほか、多変量モデルを使用して閉経状態、病理学的分類(pN)、抗HER2療法および内分泌療法の有無についてサブグループ解析が行われた。 主な結果は以下のとおり。・ER+/PR+/HER2+乳がんは、とくに閉経後およびpN0の患者において、ER+/PR-/HER2+ 乳がんと比較して有意に良好なDFSおよびBCSSを示した。・抗HER2療法および内分泌療法後の生存転帰は両サブタイプで同様であった。・選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)治療を受けたER+/PR-/HER2+乳がん患者では、ER+/PR+/HER2+乳がん患者と比較して予後が有意に悪かった。 著者らは今回の結果を踏まえ、ホルモン受容体の状態と特定のモダリティについて考慮した個別の治療戦略を立てる必要があると結論付けている。

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神経発達障害リスク、中等度/後期早産児で高い/BMJ

 正期産(在胎期間39週0日~40週6日)で出生した子供と比較して、中等度早産(同32週0日~33週6日)および後期早産(同34週0日~36週6日)で出生した子供は、有害な神経発達アウトカムのリスクが高く、このリスクは在胎週数32週から41週まで徐々に低下することが、スウェーデン・カロリンスカ研究所のAyoub Mitha氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年1月24日号で報告された。スウェーデンの128万人の子供のコホート研究 本研究は、異なる在胎週数で出生した子供における長期的な神経発達アウトカムの評価を目的とするスウェーデンの全国規模のコホート研究である(スウェーデン・カロリンスカ研究所研究基金などの助成を受けた)。 解析には、Swedish Medical Birth Registerといくつかの全国的な登録システムのデータを用いた。対象は、1998~2012年に、在胎期間32週0日~41週6日の単胎の生児として出生し、先天奇形のない子供128万1,690人であった。 主要アウトカムは、16歳までに診断された運動障害、認知障害、てんかん発作、視覚障害、聴覚障害、およびあらゆる神経発達障害の複合であった。神経発達障害は1万人年当たり47.8人で発生 7,525人(0.6%)が在胎週数32~33週(中等度早産)、4万8,772人(3.8%)が同34~36週(後期早産)、25万7,591人(20.1%)が同37~38週(早期正期産)、71万3,952人(55.7%)が同39~40週(正期産)、25万3,850人(19.8%)が同41週(後期正期産)に出生した。 追跡期間中央値は13.1年(四分位範囲[IQR]:9.5~15.9)で、この間に7万5,311人(47.8人/1万人年)の子供が、少なくとも1回の神経発達障害の診断を受けた。内訳は、運動障害が5,899人(3.6人/1万人年)、認知障害が2万7,371人(17.0人/1万人年)、てんかん発作が1万1,870人(7.3人/1万人年)、視覚障害が1万9,700人(12.2人/1万人年)、聴覚障害が2万393人(12.6人/1万人年)であった。同胞比較解析でも、ほぼ同様の関連性 あらゆる神経発達障害の複合リスクは、正期産児と比較して、中等度早産児(ハザード比[HR]:1.73[95%信頼区間[CI]:1.60~1.87]、リスク群間差:4.75%[95%CI:3.88~5.60])および後期早産児(1.30[1.26~1.35]、2.03%[1.75~2.35])で高かった。 同様に、運動障害、認知障害、てんかん発作、視覚障害、聴覚障害、重度障害のリスクはいずれも、正期産児に比べ中等度早産児および後期早産児で高かった。 また、運動障害、認知障害、てんかん発作、視覚障害、聴覚障害、あらゆる神経発達障害の複合、重度障害のリスクはいずれも、在胎週数32週に出生した子供で最も高く、41週まで徐々に低下しており、正期産(在胎週数39~40週)と比較して早期正期産(同37~38週)の子供で高かった。 一方、同胞比較解析(34万9,108人)では、在胎週数とてんかん発作および聴覚障害には関連がなかったが、これらを除けば、在胎週数と神経発達障害の関連性は安定的に維持されていた。 著者は、「これらの早産児は、早産児全体の中でも大きな割合を占めるため、絶対リスクが小さくても過小評価すべきではない。今回の知見は、医療従事者と家族が中等度/後期早産児のリスク、フォローアップ、医療システム計画のより良い評価を行うのに役立つだろう」としている。

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短時間睡眠は女性のインスリン感受性を低下させる

 女性の短時間睡眠はインスリン感受性の低下につながることを示すデータが報告された。睡眠時間が90分短い状態が6週間続くと、空腹時インスリン値やインスリン抵抗性(HOMA-IR)が有意に上昇するという。米コロンビア大学アービング医療センターのFaris M. Zuraikat氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetes Care」に11月13日掲載された。 これまでに、睡眠不足が糖代謝に悪影響を及ぼすとする研究結果が複数報告されている。それらの研究の中には、睡眠不足による悪影響は男性よりも女性でより強く現れることを示唆するものもある。そこでZuraikat氏らは、女性の睡眠不足の糖代謝に及ぼす影響に焦点を当てた研究を行った。 研究参加者は、習慣的に1日7~9時間の睡眠を取っている心血管代謝疾患のない20~75歳の女性38人で、うち11人は閉経後女性。研究デザインは無作為化クロスオーバー法とし、短時間睡眠(sleep restriction;SR)条件と十分な睡眠(adequate sleep;AS)条件をそれぞれ6週間継続。SR条件では、リアルワールドで起こりやすい1.5時間の睡眠不足を再現するため、就床時刻を1.5時間遅らせてもらった。実際の睡眠時間はウェアラブルデバイスによってモニタリングされ、SR条件では睡眠時間が1.34±0.04時間短縮されて(P<0.0001)、平均6.2時間であったことが確認された。 ベースライン特性を調整した線形モデルでの解析の結果、SR条件ではAS条件よりも空腹時インスリン値(β=6.8±2.8pmol/L、P=0.016)やHOMA-IR(β=0.30±0.12、P=0.016)がともに有意に高値であり、インスリン抵抗性の亢進が認められた。また、閉経後女性ではより強い影響が生じることが確認された。具体的には、HOMA-IRが全例では約15%の上昇であるのに対して、閉経後女性に限ると約20%の上昇であり、変動幅に有意な交互作用が観察された(閉経前後での交互作用P=0.042)。 交絡因子に体脂肪量を追加した場合、解析結果に有意な違いは認められず、睡眠時間短縮の糖代謝に及ぼす影響が肥満によって媒介される可能性は示されなかった。なお、血糖値に関しては参加者全員、研究期間を通して安定していた。 以上より著者らは、「医師は患者に対して、健康にとって睡眠が重要な役割を果たしていることを教育すべきだろう。特に女性に対しては、睡眠時間を増やすことがインスリン感受性の低下や2型糖尿病発症予防につながり、ひいては健康寿命を延伸する可能性があることを伝える必要がある」と述べている。 コロンビア大学発のリリースによると、成人に推奨される睡眠時間は7~9時間であるが、米国人の約3分の1はこの下限を下回っているという。論文の上席著者である同大学のMarie-Pierre St-Onge氏は、「女性は生涯を通して、出産、子育て、閉経などの要因によって、男性よりも睡眠衛生に影響が及びやすい」と解説。また、このテーマに関連する次のステップとして、「日常的に睡眠時間が不足している人や睡眠時間が変動しやすい生活を送っている人の睡眠パターンを安定化させることで、糖代謝や血糖管理を改善させ得るかを検討する予定」としている。

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冠動脈CT血管造影による冠血流予備量比は安定狭心症の3年転帰を予測

 安定狭心症患者において冠動脈CT血管造影から得た冠血流予備量比(FFR)は、3年間の全死亡または非致死的心筋梗塞のリスクを予測するという研究結果が、「Radiology」9月号に掲載された。 南デンマーク大学病院(デンマーク)のKristian T. Madsen氏らは、新規発症の安定狭心症の患者において、冠動脈CT血管造影から得られたFFR検査の結果による3年間の臨床転帰の予測能を評価した。解析対象は、デンマークの3 施設で2015年12月~2017年10月に登録され、30%以上の冠動脈狭窄を1カ所以上有し、冠動脈CT血管造影によるFFR検査の結果を取得できた連続症例900人(平均年齢64.4歳、男性65%)であった。 冠動脈CT血管造影から得られた狭窄部から遠位部2cmまでのFFR値が0.80以下の場合を異常と判定した。主要エンドポイントは全死亡と自然発症の非致死的心筋梗塞の複合、副次エンドポイントは心血管死亡と自然発症の非致死的心筋梗塞の複合とした。全ての対象者はFFR検査後3年間または死亡まで追跡された。エンドポイントの発生率は1標本の二項モデルにより推定し、FFRが正常だった群と異常だった群との間で相対リスク(RR)と95%信頼区間(CI)を算出し、カイ二乗検定またはフィッシャーの直接確率検定を用いて比較した。 ベースライン時の冠動脈CT血管造影によるFFRは、対象者のうち377人が異常、523人が正常であった。追跡の結果、主要エンドポイントはFFR異常群の6.6%、正常群の2.1%で発生した(RR 3.1、95%CI 1.6~6.3、P<0.001)。副次エンドポイントはFFR異常群の5.0%、正常群の0.6%で発生した(RR 8.8、95%CI評価不能、P=0.001)。 こうしたFFR異常群におけるリスク上昇は、狭窄の重症度(50%以上または50%未満)と冠動脈石灰化(CAC)スコア(400以上または400未満)で調整後も認められた(主要エンドポイントの調整RR 2.5、95%CI 1.2~5.2、P=0.02、副次エンドポイントの調整RR 8.0、95%CI 2.1~30.2、P=0.002)。さらに、CACスコア高値(400以上)のサブグループ解析を実施したところ、主要エンドポイントはFFR異常群の9.0%、正常群の2.2%で発生し(RR 4.1、95%CI 1.4~11.8、P=0.001)、副次エンドポイントはFFR異常群の6.6%、正常群の0.5%で発生した(RR 12.0、95%CI評価不能、P=0.01)。 冠動脈CT血管造影によるFFRの予後予測能を評価したところ、ベースライン時のリスク変数(糖尿病、高血圧、脂質異常症、喫煙)、CACスコア、狭窄の重症度にFFRを追加することにより、主要エンドポイントと副次エンドポイントの診断能が向上した〔ROC曲線下面積はそれぞれ0.62から0.74(P<0.001)、0.66から0.81(P=0.02)〕。 Madsen氏は、「本研究から、CACスコアの高い患者における冠動脈CT血管造影によるFFRの予後予測の可能性を示すエビデンスが示された。患者のベースラインリスクやCACにより測定された冠動脈疾患の程度にかかわらず、冠動脈CT血管造影によるFFRの結果が正常であれば予後良好である」と述べている。 なお、複数人の著者が医療機器企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。

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日本未承認の肺塞栓症へのカテーテル治療、t-PAより有効か?【臨床留学通信 from NY】第56回

第56回:肺塞栓症へのカテーテル治療、t-PAより有効か?現在私はMontefiore Medical Centerで3年目の循環器フェローとして働いていますが、同時にJacobi Medical Centerのカテーテル室もカバーし、心臓冠動脈カテーテル治療と、主に下肢血管等の末梢血管治療を行っています。2018年の渡米前まで心臓カテーテル治療を主に行っていましたが、さすがに5年も間が空いてしまったため、手先の感覚を戻すのに四苦八苦している日々です。末梢血管治療の中には肺塞栓症へのカテーテル治療が含まれています。ここは米国、BMIが高い人も多く、人種の特性によるのか血栓性が強いため、肺塞栓症を診療することは日常茶飯事です。日本では認可されていませんが1)、重症肺塞栓症に対して、米国で認可されている24Frの大口径デバイスでの血栓吸引(FlowTriever)2)、もしくはカテーテルによる超音波補助血栓溶解療法(EKOS)3)があります。そしてガイドライン上では、ショックバイタルの肺塞栓症例に関してt-PA(tissue plasminogen activator:血栓溶解療法)以外にカテーテル治療を考慮するということになっており、pulmonary embolism response team(PERT)との連携が重要とされています。多くの病院では外科手術的な血栓摘除術を行うことが難しいため、カテーテル治療医の判断となることが多いと思います。とはいうものの、BMI 50くらいの患者さんに、静脈とはいえ24Frの大きなカテーテルを挿入するのはそれなりに大変です。ショックバイタルもしくは心肺停止後にすでにt-PAが投与されていて、それでもショックバイタルが遷延したため、やむなく大口径デバイスを挿入して血栓吸引を施行することも場合によってはあります。ただし、実はこの領域は大規模なRCTがないため、はっきりと結論付けられてはいませんが、われわれが以前に行ったメタ解析においてはカテーテル治療の有用性が示唆されています4)。この領域の患者さんのアウトカム改善につながるような追加の研究ができないかと、日々模索中です。参考1)早期導入を要望する医療機器等に関する要望書 INDIGO Aspiration System2)Acute Pulmonary Embolism treated with Inari FlowTriever system in Hospital Santa Cruz Lisbon, Portugal. radcliffe cardiology. 2023 Jul 12.3)EKOS Endovascular System:Boston Scientific4)Ishisaka Y, Kuno T, et al. Comparison of interventions for intermediate to high-risk pulmonary embolism: A network meta-analysis. Catheter Cardiovasc Interv. 2023;102:249-265.

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がんの企業治験で分散型臨床試験を使用開始/アムジェン・MICIN・聖マリアンナ医大

 アムジェン、MICIN、および聖マリアンナ医科大学病院は、アムジェンが聖マリアンナ医科大学病院で実施するがんの企業治験において、分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trial:DCT)のプラットフォーム使用を開始した。DCTプラットフォームはMICIN社が提供する「MiROHA(ミロハ)」である。 同取り組みの対象となるアムジェンの企業治験は、発現頻度が低いバイオマーカーを対象としたものである。患者数が少なく、スクリーニングでの脱落率も高いことが予想されているため、より多くの患者からインフォームド・コンセント(IC)を取得し、患者組み入れを促進する必要がある。 同治験では、治験実施医療機関と関連病院をMiROHAを使用してオンラインでつなぐことによって、遠隔でICを実施する。患者は治験実施医療機関を直接受診することなく、紹介元の病院にいながら治験の説明を受けることができる。 DCTを活用した治験は、居住地域にかかわらず、適切な患者が治験の情報を知り、治験に参加できるようになる可能性がある。さらに、治験登録が速く進み、有効な薬剤をいち早く患者に届けられると期待される。

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FoundationOne CDx、BRCA変異陽性の去勢抵抗性前立腺がんに対するコンパニオン診断として承認/中外

 中外製薬は2024年2月5日、遺伝子変異解析プログラム「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」(FoundationOne)について、ファイザーのPARP阻害薬タラゾパリブ(商品名:ターゼナ)のBRCA遺伝子変異陽性の遠隔転移を有する去勢抵抗性前立腺がんに対するコンパニオン診断として厚生労働省より承認を取得したと発表。 FoundationOneは、今回の承認で8つのがん種(非小細胞肺がん、悪性黒色腫、乳がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がん、胆道がん、固形がん)、計25薬剤に対するコンパニオン診断機能を保有することになった。

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双極性障害患者における摂食障害の有病率

 摂食障害と双極性障害は症状が類似しており、摂食行動や感情制御に根付いた特定の類似点が認められる。摂食障害と双極性障害の併存に関する研究は増えているものの、両疾患の同時進行に関する科学的データは十分に体系化されていない。ロシア・V.M. Bekhterev National Medical Research Center for Psychiatry and NeurologyのYana V. Yakovleva氏らは、双極I型およびII型障害患者におけるさまざまなタイプの摂食障害の有病率について、性別および両疾患の同時進行の臨床的特徴を考慮したうえで、スコーピングレビューを実施した。Consortium Psychiatricum誌2023年7月10日号の報告。 スコーピングレビューのためのPRISMAガイドラインに従い分析を行った。研究の検索にはMEDLINEデータベースを用いた。双極性障害および摂食障害と診断された患者に焦点を当てた研究を分析に含めた。摂食障害および双極性障害の診断の検証には、DSM-IV、DSM-5またはICD-10を用いた。レビュー結果の要約には、記述的分析法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・レビューには、41件の研究を含めた。・双極性障害患者における摂食障害の生涯有病率は2.2~31.1%、摂食障害患者における双極性障害の有病率は11.3~68.1%であった。・双極II型障害および女性において、摂食障害の有病率が高かった。・双極性障害患者における摂食障害の併存は、気分障害の早期発症、抑うつエピソードの増加、自殺企図、強迫症および不安症、依存症、各種代謝障害の併存率の増加と関連が認められた。 著者らは、「研究結果により違いがあるものの、摂食障害と双極性障害の併存率は非常に高いことが示唆された。双極性障害患者における摂食障害のスクリーニングまたはその逆のスクリーニングは、正確な診断や最も効果的な治療法を選択するうえで重要である」とし、「性別に応じた、さまざまな摂食障害と双極性障害との併存パターンについては、今後さらなる研究が必要である」とまとめている。

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ペットボトルの水1L中に24万個のプラスチック粒子

 ペットボトルの水で喉を潤す人は、水と一緒に何十万もの微細なプラスチック粒子を摂取しているかもしれない。米コロンビア大学ラモント・ドハティ地球観測所のBeizhan Yan氏らによる研究で、1Lのペットボトル入り飲料水の中には検出可能なプラスチック粒子が平均約24万個含まれており、それらの10個に9個はナノプラスチックであることが明らかになった。この研究の詳細は、「Proceedings of the National Academy of Sciences(PNAS)」に1月8日掲載された。 マイクロプラスチックとは、直径5mm以下から1μm(1mの100万分の1)までのプラスチックの破片であり、1μmよりも小さなものはナノプラスチックと呼ばれる。1μmがいかに小さいかは、人間の髪の毛の太さが約70μmであることを考えると分かりやすいだろう。自然界の有機物とは異なり、ほとんどのプラスチックは無害な物質へと分解されず、単にどんどん小さくなっていくだけであり、理論的にどこまで小さくなるかに限界はないという。 このように、ナノプラスチックは非常に小さいため、腸や肺を通過して血流に入り、最終的には心臓や脳などの臓器に蓄積する。そのため、研究者らは、ナノプラスチックが人体に与え得る影響を突き止めようと、精力的に研究を進めている。 Yan氏らによると、ペットボトル入りの飲料水中に含まれるプラスチック粒子は、2018年に1L当たり平均325個の粒子が検出されたことが報告されたことを機に、社会問題になっている。その後の追跡調査では、それ以上のプラスチック粒子が含まれていることが判明している。ただし、今回の研究論文の筆頭著者である同大学化学分野のNaixin Qian氏は、「これまでの技術では、ナノの世界の粒子については推定が不可能だった」と話す。 今回の研究では、刺激ラマン散乱顕微鏡(stimulated Raman scattering microscopy)と呼ばれる新たな技術が採用された。これは、特定の分子に共鳴するように調整した2種類のレーザーを同時に試料に照射することで、そこに含まれる標的分子を検出する技術だ。研究グループはこの技術を用いて、一般的なプラスチック7種類を対象とし、米国で販売されている主要な3種類のボトル入り飲料水中に含まれているプラスチック粒子の量を100nm(1nm=0.001μm)のサイズまで調べた。 その結果、1L当たり平均約24万個のプラスチック粒子が検出され、その90%がナノプラスチックであることが明らかになった。検出されたプラスチック粒子の中で多かったのは、ペットボトルの原料であるポリエチレンテレフタレート(PET)であった。研究グループは、「PETは、ボトルが絞られたり、熱にさらされたりすると、水の中に溶け出してしまう可能性がある」と述べている。PET粒子よりも多く検出されたのは、ボトルに水を注入する際の浄化に使われるプラスチックフィルターの材料であるポリアミドの粒子であった。そのほか、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート(PMMA)などの工業用プラスチックの粒子も含まれていた。 しかし、研究グループによると、本研究で対象とした7種類のプラスチックは、サンプルから検出されたナノ粒子の約10%を占めるに過ぎず、残りの粒子が何なのかについては見当もつかなかったという。もしそれらが全てナノプラスチックであれば、1L当たりの水に含まれる粒子の数は数千万個に達する可能性がある。 研究グループは今後の計画として、10ポンド(約4.5kg)の洗濯物に含まれる衣類の合成素材から数百万個のマイクロプラスチックやナノプラスチックの粒子が剥がれ落ち、排水に流れ込んでいるとの仮定に基づき、水道水と廃水中に含まれるナノプラスチックの量を調べる予定だとしている。

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チョコレートを食べると脳機能が改善【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第251回

チョコレートを食べると脳機能が改善photoACより使用バレンタインデーが近づいてきました。コロナ禍になってから、飲み会とかこういう行事とか鳴りを潜めているように思います。私は、チョコレートなんてもう数年、誰からももらっていないです。いや、ひがんでいるわけではないです。さて、チョコレートの消費量とノーベル賞の相関関係が示された研究が2012年に発表され、話題になりました1)。しかしながら、いろいろなリミテーションがある研究だと指摘され、当時喧々囂々と議論されました。Sasaki A, et al. Cacao Polyphenol-Rich Dark Chocolate Intake Contributes to Efficient Brain Activity during Cognitive Tasks: A Randomized, Single-Blinded, Crossover, and Dose-Comparison fMRI Study. Nutrients. 2023 Dec 21;16(1):41.この研究は、機能的MRI(fMRI)を用いて、認知テスト中の脳機能改善に対するダークチョコレート摂取の効果を検討するという、珍しいランダム化単盲検クロスオーバー用量比較試験です。26人の健康な成人被験者が、低濃度(211.7mg)または高濃度(635mg)のカカオポリフェノール入りのダークチョコレート(25g)を摂取しました。いやー、美味しそう。摂取後25分、摂取後50分の2回、fMRIを用いて実行機能に関連するテスト中の脳活動を分析しました。チョコレート摂取と脳活動測定セッションの間に、左背外側前頭前皮質と左下頭頂小葉における有意な交互作用が観察され、ダークチョコレートを1回摂取することで、継続的かつ努力的な課題中の脳機能効率の向上に寄与することが示されました。これまでも、チョコレートと脳機能の関係はさまざまな研究で検証されています。今回はカカオポリフェノール入りのダークチョコレートでしたが、カカオフラバノール2)は血圧も低下させる作用があるとされています。こちらは、森永製菓がイチオシしている成分でもあります。1)Messerli FH. Chocolate consumption, cognitive function, and Nobel laureates. N Engl J Med. 2012 Oct 18;367(16):1562-1564.2)Tsukamoto H, et al. Flavanol-rich cocoa consumption enhances exercise-induced executive function improvements in humans. Nutrition. 2018 Feb;46:90-96.

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「HEPT」を受講してみませんか?【非専門医のための緩和ケアTips】第69回

第69回 「HEPT」を受講してみませんか?心不全患者さんの緩和ケア、最近ニーズが増えている分野です。この分野について学ぶためのベストな方法は何でしょうか? 関連する書籍も増えてきて、学びやすくなってきましたが、本日はオンラインで効率的かつ深く学べるコースを紹介します。今日の質問心不全の緩和ケアについて学んでいるのですが、循環器の専門家ではないので難しさも感じます。循環器の専門医の先生がどのように考えているかなど、いろいろ議論したいとも思います。こういったことは本だけでは学べないので、何か良い手段はないでしょうか?よくぞ聞いてくれました! ぜひ、日本心不全学会公認の緩和ケア推進委員会オフィシャルコースである「HEPT (Heart failure Palliative care Training program for comprehensive care provider)心不全緩和ケアトレーニングコース」の受講をお勧めしたいと思います。このコースは日本心不全学会が運営しており、心不全における「基本的」緩和ケアを実践できるスキルを身に付けることを目的としてつくられました。HEPTは、事前にeラーニングで受講するパートとグループワークを含むオンライン講習会のパートの2つで構成されています。eラーニングのパートでは「心不全緩和ケア概論」「主な身体症状への対応」「心不全患者への精神ケア」という3つのコンテンツを、2時間程度で受講します。オンライン講習会の受講までに、ご自身の都合に合わせて見るかたちです。忙しい方にとっては、都合のいい時間に学べるのは良いですよね。オンライン講習会では、「意思決定支援におけるAdvance Care Planning」「DNAR指示と治療の差し控えにおける臨床倫理」の2つのテーマに取り組みます。それぞれ仮想症例が用意され、それを基にグループワークを行います。グループワークには循環器専門医だけでなく、診療所に勤務するプライマリ・ケア医や緩和ケアの専門家も参加します。その時の参加者の状況によっても変わりますが、少なくともファシリテーターには循環器医と緩和ケア医が含まれており、多様な視点からの議論ができるよう工夫されています。私はこのHEPTのコアメンバーとして、プログラムの立ち上げから関わってきました。今回質問いただいたように、緩和ケアの学びは本だけでは不十分なところがあります。また、連携する循環器の先生の考え方や、受講者の方の悩みを共有することも非常に大切です。このコース、なんと、無料で受講可能です。申し込みは、こちらのサイトからとなります。すべてオンライン受講なので、ネットワークや騒がしくない環境を準備する必要があります。グループワークがありますので、パソコン等のカメラ・マイクが使用可能であることも事前にご確認ください(カメラがオフのままだと、受講の本人確認ができないという問題も生じます)。ぜひHEPTを受講し、心不全の緩和ケアについて学びとネットワーク構築に取り組んでみてください。参考サイト心不全緩和ケアトレーニングコース HEPT今回のTips今回のTips心不全における緩和ケアを学ぶなら、HEPTコースを受講してみよう!

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論文での生成AI使用、投稿雑誌のガイドライン整備状況は?/BMJ

 著者による生成人工知能(generative artificial intelligence:生成AI)の使用に関して、一部の大手出版社や雑誌によるガイドラインが不足しており、ガイドラインを提示していても許容される生成AIの使用やその開示方法は大きく異なり、出版社と提携雑誌間でガイドラインの不均一性が存在している場合があるという。米国・南カルフォルニア大学のConner Ganjavi氏らが、学術出版社および科学雑誌による著者に対する生成AI使用のガイダンスの範囲と内容を明らかにすることを目的に、横断的な計量書誌学的研究を行った結果を報告した。2022年後半以降、ChatGPTを含む生成AIツールが学術論文や研究で広く利用されるようになり、出版社、雑誌、監督官庁のメンバーを含む出版エコシステム(publishing ecosystem)の関係者は、この新しいテクノロジーを監視し、安全に使用する方法について議論をしている。著者は、「標準化の欠如は、著者への負担につながり、規制の効果を限定的なものとする可能性がある。生成AIの人気が拡大し続ける中、研究成果の科学的誠実性を確保し続けるためにも標準化されたガイドラインが必要となる」とまとめている。BMJ誌2024年1月31日号掲載の報告。各公式ウェブサイトで生成AIに関するガイドラインを計量書誌学的に調査 研究グループは、テーマ、言語、発行国に関係なく、最大手の学術出版社上位100社と高ランクの科学雑誌上位100誌を対象として、各社の公式ウェブサイトを手作業で検索し、生成AIに基づくものも含めて広く生成AIツールに関する著者ガイダンスを調査した。 出版社はポートフォリオ内の雑誌の総数によって特定し、学術誌は雑誌の生産性と影響力の指標として、Hirsch index(H index)を用いるSCimago journal rank(SJR)によって特定した。各社の公式ウェブサイトについて、2023年5月19~20日にスクリーニングを行い、同年10月8~9日に検索を更新した。 主要アウトカムは、上位100の学術出版社および科学雑誌の公式ウェブサイトに掲載されている生成AIガイドラインの内容、および出版社とその提携雑誌間のガイダンスの一貫性とした。ガイドラインの記載は、上位100の学術出版社で24%、科学雑誌で87% 上位100の学術出版社のうち、生成AIの使用に関するガイダンスを提示していたのは24%で、そのうちの15社(63%)は上位25社に含まれていた。また、上位100の科学雑誌のうち、生成AIに関するガイダンスを提示していたのは87%であった。 ガイドラインを設けている出版社と雑誌のうち、著者として生成AIを含めることを禁止しているのは、それぞれ96%、98%であった。原稿作成における生成AIの使用を明確に禁止している雑誌は1誌(1%)のみで、出版社2社(8%)と雑誌19誌(22%)は執筆過程にのみガイドラインが適用されるとしていた。 生成AIの使用を開示する場合、出版社の75%、雑誌の43%が特定の開示基準を定めていたが、生成AIの使用を開示する場所は、方法あるいは謝辞、カバーレター、新しいセクションなど、さまざまであった。 雑誌と出版社間で共有されている生成AIガイドラインへのアクセス方法についても、ばらつきがあることが確認された。12誌の生成AIガイドラインは、出版社が作成したガイドラインとは相反するものであった。トップ医学雑誌(medical journals)が作成したガイドラインは、学究的な雑誌(academic journals)のガイドラインとほぼ類似していた。

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第83回 反ワクチンは左派が多い?

illustACより使用SNSでは反ワクチン・反マスク・反医療などが話題になりました。ある程度弱毒化したため、COVID-19のワクチンも以前ほど取り上げられなくなりました。医療従事者でも、もう接種していない人であっても普通に働いている印象です。さて、X(旧Twitter)を使った興味深い研究結果が報告されました1,2)。ズバリ、「反ワクチンは左派が多い」というものです。個人的には右派だろうと左派だろうと、どちらでもいいのですが、SNSでは結構バズっているので取り上げてみました。とはいえ、反ワクチンにも幅があります。何となく心配だから…という人の気持ちはよくわかります。「殺人ワクチンや!」みたいなことを叫んでいる人は、ガチの反ワクチンでよいと思います。そういう方は、攻撃的なアカウントのことが多く、私も職場にいくつか誹謗中傷のお手紙が届きました。風の噂では、「ワクチン接種をやめろ」とカッターナイフが職場に届いた医師もいるそうです。さて、この研究は、2021年1~12月にワクチンを含んだツイート(現在は「ポスト」といいます)を収集して、機械学習を用いて「ワクチン賛成」「ワクチン政策批判」「ワクチン反対」の3つのクラスターに分類しました。ワクチン反対ツイートを多く投稿したアカウントを特定し、このアカウント周辺の方々を反ワクチンと定義しています。ワクチン賛成派と反対派を比較して、反対派の特徴を明らかにしました。結果、ワクチン反対派は賛成派と比べて政治的関心が強いことがわかりました。基本的に、左側に偏った意見が多かったようです。これはわれわれも実感するところです。他方、ワクチン賛成派は政治的なツイートは多くなかったようです。また、コロナ禍以前から反ワクチンだった人は、同様に政治的関心が強く、ほとんどが左派政党や陰謀論に偏っていることもわかりました。そして、コロナ禍以降に新たに反ワクチンになった人は陰謀論・スピリチュアリティ・代替医療に傾倒しやすく、反ワクチンを掲げる参政党への支持を高めているという結果が示されています。確かに、アメリカにおいても反ワクチンは、イベルメクチンや一部政党と関連があったという研究結果も報告されています。国を挙げた政策になることから、ワクチンと政治は切っても切れない関係なのかもしれません。個人的にはワクチンに懐疑的な集団をすべて反ワクチンとひとくくりにするのではなく、エビデンスがしっかり確立されているにもかかわらず、強い熱意を持って反対活動を行い、周囲の人へ当該危険性を知らしめるような行動を取る人に注意すべきだと思っています。参考文献・参考サイト1)Toriumi F, et al. Anti-vaccine rabbit hole leads to political representation: the case of Twitter in Japan. J Comput Soc Sci. 2024 Feb 5. [Epub ahead of print]2)東京大学工学部:人はなぜワクチン反対派になるのか ―コロナ禍におけるワクチンツイートの分析―

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ニーマン・ピック病C型へのN-アセチル-L-ロイシン、神経学的状態を改善/NEJM

 ニーマン・ピック病C型(NPC)の患者において、リソソームと代謝の機能障害改善が期待されるN-アセチル-L-ロイシン(NALL)による12週間の治療はプラセボと比較し、神経学的状態を改善したことが、スイス・ベルン大学のTatiana Bremova-Ertl氏らが、60例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検クロスオーバー試験の結果で示された。NPCは、進行性、衰弱性、早期致死性の常染色体劣性遺伝性リソソーム蓄積症(ライソゾーム病)で、発症頻度は10万人に1人(本邦では12万に1人)と報告される希少疾病である。現行では、ミグルスタットによる薬物治療があるが進行抑制に限定され、欧州連合(EU)と本邦を含むいくつかの国では承認されているが、米国では未承認である。NALLの有効性と安全性を評価した今回の結果について著者は、「さらなる検討で長期の有効性を確認する必要がある」とまとめている。NEJM誌2024年2月1日号掲載の報告。12週投与後の小脳性運動失調評価法(SARA)の合計スコアをプラセボと比較 研究グループは、4歳以上の遺伝学的に確認されたNPC患者を1対1の割合で無作為に2群に割り付け、一方にはNALLを12週間投与後にプラセボを12週間投与、もう一方にはプラセボを12週間投与し、その後NALLを12週間投与した。 NALLまたはプラセボは、体重35kg未満の4~12歳には体重ベースの用量(2~4g/日)を1日2~3回、体重35kg以上の4~12歳および13歳以上には4g/日を1日3回(朝2g、昼1g、夜1g)経口投与した。 主要エンドポイントは、小脳性運動失調評価法(SARA:0~40で数値が低いほど神経学的状態が良好)の合計スコアだった。副次エンドポイントは、臨床全般印象度改善度(CGI-I)スコア、脊髄小脳性運動失調症機能指数(SCAFI)スコア、modified Disability Rating Scale(mDRS)スコアなどだった。 各群のクロスオーバーデータを用いて、NALL群とプラセボ群の比較を行った。合計スコア変化量、NALL群-1.97ポイントvs.プラセボ群-0.60ポイント 5~67歳の患者60例が登録された。主要エンドポイントであるSARAのベースライン時の平均合計スコアは、NALL初回投与前(60例)が15.88、プラセボ初回投与前(59例、1例はプラセボ投与なし)が15.68だった。 SARA合計スコアのベースラインからの平均変化量(±SD)は、NALL 12週間投与後は-1.97±2.43ポイント、プラセボ12週間投与後は-0.60±2.39ポイントだった(最小二乗平均差:-1.28ポイント、95%信頼区間:-1.91~-0.65、p<0.001)。 副次エンドポイントについては、概して主要解析の結果を支持するものだったが、それらの結果について、多重比較補正は事前に規定していなかった。有害事象の発現率はNALLとプラセボで同等で、重篤な治療関連有害事象は認められなかった。

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GLP-1受容体作動薬、血糖値や体重減少効果が高いのは?~76試験メタ解析/BMJ

 中国・北京中医薬大学のHaiqiang Yao氏らが成人の2型糖尿病患者を対象としたGLP-1受容体作動薬の76試験をネットワークメタ解析した結果、プラセボと比べ、チルゼパチドによるヘモグロビンA1c(HbA1c)と空腹時血糖値の低下が最も大きく、血糖コントロールの有効性が最も高いGLP-1受容体作動薬であることが示された。また、GLP-1受容体作動薬は体重管理も大幅に改善することが示され、なかでも体重減の効果が最も大きかったのはCagriSema(セマグルチドとcagrilintideの合剤)だった。一方で、GLP-1受容体作動薬は、とくに高用量の投与で消化器系の有害事象がみられ、安全性について懸念があることも明らかになったという。BMJ誌2024年1月29日号掲載の報告。2023年8月までの試験をシステマティックレビューとネットワークメタ解析 研究グループは、2型糖尿病成人患者において、GLP-1受容体作動薬による血糖コントロール、体重、脂質プロファイルの有効性と安全性を比較評価することを目的とし、システマティックレビューとネットワークメタ解析を行った。 PubMed、Web of Science、Cochrane CENTRALおよびEmbaseを、データベース発刊から2023年8月19日まで検索し、GLP-1受容体作動薬治療を受けた2型糖尿病成人患者を登録しプラセボまたはほかのGLP-1受容体作動薬と比較した、追跡期間12週間以上の無作為化対照試験を適格とし特定した。クロスオーバーデザインの試験、GLP-1受容体作動薬と他クラスの薬剤をプラセボ群なしで比較した非劣性試験、販売が中止された薬剤を使用したもの、英語以外で記述された試験などは除外した。体重減は対プラセボでCagriSemaが-14kg、チルゼパチドが-8kg 適格基準を満たしたのは76試験で、15種のGLP-1受容体作動薬と被験者総数3万9,246例が、ネットワークメタ解析に組み入れられた。プラセボとの比較において、15種すべてのGLP-1受容体作動薬が、HbA1cと空腹時血糖値を低下させた。 なかでもチルゼパチドは、HbA1c濃度(対プラセボの平均差:-2.10%、95%信頼区間[CI]:-2.47~-1.74、SUCRA:94.2%、信頼性のエビデンス:高)、空腹時血糖値(-3.12mmol/L、95%CI:-3.59~-2.66、97.2%、高)の低下が最も大きく、血糖コントロールについて最も有効なGLP-1受容体作動薬であることが示された。 さらに、GLP-1受容体作動薬は、2型糖尿病成人患者の体重管理に強力なベネフィットを有することが示された。なかでもCagriSemaは体重減少が最も大きく(対プラセボの平均差:-14.03kg、95%CI:-17.05~-11.00、信頼性のエビデンス:高)、チルゼパチド(-8.47kg、-9.68~-7.26、高)がそれに続いた。 セマグルチドは、LDL値の低下(対プラセボの平均差:-0.16mmol/L、95%CI:-0.30~-0.02)と総コレステロール値の低下(-0.48mmol/L、-0.84~-0.11)に有効であった。 また今回の解析では、GLP-1受容体作動薬による消化器系の有害事象、とくに高用量投与の安全性について懸念があることが示唆された。

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自殺未遂者の身体損傷、精神疾患のない人ほど大きい

 精神疾患は自殺の主な危険因子の一つであり、自殺予防対策では精神疾患のある人への支援が重要視されている。秋田大学大学院看護学講座の丹治史也氏らが秋田市内の自殺未遂者のデータを分析した結果、精神疾患の既往のない人は、その既往がある人と比べて、致死性の高い自殺企図の手段を選ぶ傾向があり、身体所見の重症度も高いことが分かった。同氏らは、精神疾患のある人だけでなく、精神疾患のない人にも配慮した自殺予防対策が重要だとしている。詳細は「Journal of Primary Care & Community Health」に11月19日掲載された。 日本の自殺率は近年減少傾向にあったが、新型コロナウイルス感染症の流行が影響して増加に転じている。自殺の主な危険因子には自殺未遂歴と精神疾患が挙げられる。自殺企図者の9割以上が精神疾患を有するとの報告もあり、精神疾患のある人は自殺リスクが高いと言われている。一方で、精神疾患のない人は致死性の高い自殺手段を選ぶ傾向のあることが報告されているが、精神疾患の有無と自殺未遂者の身体所見の重症度との関連は明らかになっていない。そこで、丹治氏らは今回、秋田市のデータを用い、自殺未遂者における精神疾患の既往の有無と救急搬送時の身体所見の重症度との関連を調べる二次データ解析を実施した。 この研究は、秋田市内5施設で収集した自損患者診療状況シートのデータを用い、2012年4月から2022年3月の間に救急搬送された自殺未遂者806人を対象に実施したもの。精神疾患の既往を曝露変数とし、主要評価項目は、自殺未遂者の身体所見の重症度(中等症または重症)とした。対象者のうち女性が67.6%を占め、76.4%(616人)は1つ以上の精神疾患の既往を有していた。 年齢と性、自殺企図の回数および支援者の有無で調整した解析の結果、自殺未遂者において、精神疾患の既往と身体所見の重症度との間に有意な負の関連が認められた〔有病割合比(PR)0.40、95%信頼区間0.28~0.59〕。つまり、自殺未遂者において、精神疾患の既往がない人は身体所見の重症度が高いことが分かった。この関連には年齢や性による差は認められなかった。また、自殺企図の手段に関する分析では、精神疾患の既往がある人は薬物過剰摂取などの致死性の低い方法を選ぶケースが多かったのに対し、既往のない人は、首つりや手首の深い損傷など致死性の高い方法を選ぶ傾向にあった。 以上から、著者らは「致死性の高い自殺企図の手段を選択するということは、自殺死亡に至るリスクが高まることを意味する。今回の研究は、精神疾患の診断がつく前に自殺を企図する可能性は高いことを考慮することの重要性を強調するものだ」と述べ、「精神疾患がなくても精神科を受診したり、社会的な支援を得られたりしやすい環境を整えることが自殺率の低下につながる可能性がある」と付言している。

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アルコールや肉は大腸がんと因果関係なし?~メンデルランダム化解析

 食事パターンと大腸がんリスクとの関連については、数多くの疫学研究が報告されているが相反する報告もあり、また人種・民族による違いもみられている。今回、中国・Beijing University of Chinese MedicineのMengyang He氏らが、主にヨーロッパ人である英国Biobankデータを用いて9つの食習慣と大腸がんリスクとの潜在的な因果関係をメンデルランダム化解析で検討した結果、遺伝的に予測されるアルコール・果物・肉・牛乳・菓子・紅茶の摂取と大腸がんに因果関係はないことが示唆された。一方、野菜との間には因果関係が示唆された。BMC Medical Genomics誌2024年1月17日号に掲載。 本研究では、英国Biobankから、アルコール(54万9,703人)、インスタントコーヒー(25万308人)、果物(21万947人)、肉(21万947人)、牛乳(4万1,306人)、菓子(2万5,521人)、紅茶(50万1,494人)、野菜(21万947人)、ヨーグルト/アイスクリーム(21万947人)の摂取習慣に関するゲノムワイド関連研究の要約データと大腸がんに関するデータ(症例:5,567例、対照:37万2,016例)を収集し、メンデルランダム化解析を実施した。 主な結果は以下のとおり。・野菜の摂取と大腸がんリスクとの間に正の因果関係が観察された(オッズ比[OR]:1.014、95%信頼区間[CI]:1.000~1.029、p=0.048)。・アルコール(OR:1.012、95%CI:0.974~1.051、p=0.556)、果物(OR:1.007、95%CI:0.986~1.029、p=0.512)、肉(OR:1.000、95%CI:0.987~1.026、p=0.968)、牛乳(OR:1.019、95%CI:0.979~1.061、p=0.357)、菓子(OR:0.998、95%CI:0.991~1.004、p=0.524)、紅茶(OR:1.002、95%CI:0.994~1.009、p=0.672)の摂取習慣と大腸がんリスクとの間に因果関係は認められなかった。

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