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限局型小細胞肺がん、デュルバルマブ地固めでOS・PFS改善(ADRIATIC)/ASCO2024

 本邦では、StageI/IIA(UICC第8版)以外でPS0~2の限局型小細胞肺がん(LD-SCLC)の治療は、プラチナ製剤を用いた同時化学放射線療法(cCRT)および初回治療で完全寛解が得られた患者への予防的頭蓋照射(PCI)が、標準治療となっている。新たな治療法として、cCRT後のデュルバルマブ地固め療法が有用である可能性が示された。国際共同第III相無作為化比較試験「ADRIATIC試験」の第1回中間解析において、cCRT後のデュルバルマブ地固め療法が全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で、米国・Sarah Cannon Research InstituteのDavid R. Spigel氏が本研究結果を報告した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:I~III期(I/II期は外科手術不能の患者)でPS0/1のLD-SCLC患者のうち、cCRT後に病勢進行が認められなかった患者730例(PCIの有無は問わない)・試験群1(デュルバルマブ群):デュルバルマブ(1,500mg、cCRT後1~42日目に開始して4週ごと)を最長24ヵ月 264例・試験群2(デュルバルマブ+トレメリムマブ群):デュルバルマブ(同上)+トレメリムマブ(75mg、cCRT後1~42日目に開始して4週ごと)を最長24ヵ月 200例・対照群(プラセボ群):プラセボ 266例・評価項目:[主要評価項目]OS、RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS(いずれもデュルバルマブ群vs.プラセボ群)[副次評価項目]OS、RECIST v1.1に基づくBICRによるPFS(いずれもデュルバルマブ+トレメリムマブ群vs.プラセボ群)、安全性など 今回は、デュルバルマブ群とプラセボ群の比較結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時点(2024年1月15日)において、OSおよびPFSの追跡期間中央値は、それぞれ37.2ヵ月、27.6ヵ月であった。・放射線照射は、1日1回がデュルバルマブ群73.9%、プラセボ群70.3%、1日2回がそれぞれ26.1%、29.7%であった。・OS中央値はデュルバルマブ群が55.9ヵ月、プラセボ群が33.4ヵ月であり、デュルバルマブ群が有意に改善した(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.57~0.93、p=0.0104)。24ヵ月OS率はそれぞれ68.0%、58.5%、36ヵ月OS率はそれぞれ56.5%、47.6%であった。・BICRによるPFS中央値は、デュルバルマブ群が16.6ヵ月、プラセボ群が9.2ヵ月であり、デュルバルマブ群が有意に改善した(HR:0.76、95%CI:0.61~0.95、p=0.0161)。18ヵ月PFS率はそれぞれ48.8%、36.1%、24ヵ月PFS率はそれぞれ46.2%、34.2%であった。・OSとPFSは、いずれも事前に規定されたサブグループ間で一貫してデュルバルマブ群で改善する傾向にあった。・Grade3/4の有害事象(AE)はデュルバルマブ群24.4%、プラセボ群24.2%に発現した。投与中止に至ったAEはそれぞれ16.4%、10.6%、死亡に至ったAEはそれぞれ2.7%、1.9%に発現した。・肺臓炎/放射線肺臓炎はデュルバルマブ群38.2%、プラセボ群30.2%(Grade3/4はそれぞれ3.1%、2.6%)に発現した。 Spigel氏は、本結果について「デュルバルマブ地固め療法は、cCRT後に病勢進行が認められないLD-SCLC患者に対する新たな標準治療となるだろう」とまとめた。

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うつ病リスクと関連する飲料は?~5年間コホート研究

 飲料摂取がうつ病に及ぼす影響について、アジア人ではエビデンスが限られている。具体的には、野菜や果物をそのまま摂取することはうつ病の予防につながると報告されているが、野菜や果物をジュースにした場合の情報はほとんどない。さらに、加糖コーヒーとブラックコーヒーの影響の差異を比較した研究も十分ではない。国立精神・神経医療研究センターの成田 瑞氏らは、一般集団における加糖飲料、炭酸飲料、野菜・フルーツジュース、加糖コーヒー・ブラックコーヒー、緑茶の摂取とその後のうつ病との関連を調査した。Clinical Nutrition誌オンライン版2024年4月17日号の報告。 2011~16年に、ベースラインでがん、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病、うつ病の既往歴がない9万4,873例を対象に、5年間のフォローアップ調査を実施した。うつ病のリスク差(RD)の算出には、ポアソン回帰モデルおよびg-formulaを用いた。多重感度分析も実施した。欠損データの処理には、ランダムフォレストを用いた。相互作用による相対過剰リスクとリスク比を分析することで、性別、年齢、BMIに基づく効果の不均一性を調査した。 主な結果は以下のとおり。・5年間のフォローアップを完了した8万497例のうち、1万8,172例がうつ病を発症した。・高摂取群と非摂取群を比較した場合の完全調整後RDは、次のとおりであった。【加糖飲料】3.6%(95%信頼区間[CI]:2.8~4.3)【炭酸飲料】3.5%(95%CI:2.1~4.7)【野菜ジュース】2.3%(95%CI:1.3~3.4)【果汁100%フルーツジュース】2.4%(95%CI:1.1~3.6)【加糖コーヒー】2.6%(95%CI:1.9~3.5)【ブラックコーヒー】-1.7%(95%CI:-2.6~-0.7)・緑茶は、統計学的に有意な差が認められなかった。・多重感度分析では、結果は頑健であった。・性別、年齢、BMIに基づく実質的な効果の不均一性は認められなかった。 著者らは「加糖飲料、炭酸飲料、野菜・フルーツジュース、加糖コーヒーはうつ病リスクを上昇させる可能性がある一方、ブラックコーヒーは低下させる可能性が示唆された」としている。

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統合医療システムにおけるプロトンポンプ阻害薬の過剰使用を減らすための大規模な多要素介入の影響:差分の差分法研究 (解説:上村直実氏)

 わが国では、ピロリ菌感染率の低下や食べ物の欧米化などにより胃がんが減少している。一方、胃酸分泌が亢進する傾向とともに食道・胃逆流症(GERD)の増加とともにGERDに対する薬物治療として頻用されているプロトンポンプ阻害薬(PPI)が長期使用されるケースが増加しているのが現状である。 最近、PPI長期投与による副作用に関する欧米からの研究報告が散見されている。すなわち、市中肺炎や骨折のリスク増加、胃酸分泌抑制に伴って生ずる腸内細菌叢の変化に起因するClostridium difficile(CD)腸炎など腸内感染症の増加、腎機能の低下などが報告されている。日本人を対象とした精度の高い臨床研究によるエビデンスはないが、PPIの過剰投与に関する副作用や不必要なPPIの処方による医療費の増大にも注意するべき時代となっている。 今回、PPIの過剰使用を減らすための薬剤師による介入が医師の処方パターンや臨床転帰にどのように影響するかを検証する差分の差分法による研究のRCTがBMJ誌に掲載された。大規模な薬局ベースの介入試験であり、GERDなど適切な適応がないと思われる患者に対するPPIの制限やH2ブロッカーの推奨、および臨床医と患者に対する教育を行った介入群と介入を行わなかった対照群の両群における介入前後の副作用の発現率と医療費を差分の差分法により検証した結果、PPIの処方を受ける患者が7.3%減少し、さらに処方期間の短縮も認められた。一方、介入前後で市中肺炎や骨折の増加など副作用の発現率の割合には影響しなかった。 われわれは日本人のGERD患者を対象として、PPIとさらに酸分泌抑制力が強力なP-CABの長期5年間投与による安全性を検証する試験(VISION研究)を行い、現在投稿中であるが重大な副作用の発現は認めていない。しかし、診療現場では不要と思われるPPIの処方もみられることから、今回示された薬剤師による介入試験は重要と思われる。 わが国の医師法ではPPIを処方する医師に対して、薬剤師が薬剤の減量や処方の変更を推奨することは難しいと思われる。PPIなど広範に処方されている薬剤によって生ずる副作用や医療費の増大に対する有用な臨床研究が必要であり、実際に検証する方法を模索する必要性を感じさせる研究論文である。

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身体活動の指標、時間ではなく歩数でもOK?

 米国における身体活動のガイドラインでは、健康のために中~高強度の身体活動を週150分以上行うことを推奨しているが、歩数に基づく推奨はエビデンスが十分ではないため発表されていない。今回、米国・Brigham and Women's Hospital/Harvard Medical Schoolの浜谷 陸太氏らによる米国の62歳以上の女性を対象としたコホート研究において、中~高強度身体活動時間および歩数と全死亡率および心血管疾患(CVD)の関連が質的に同様であることが示唆された。JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年5月20日号に掲載。 このコホート研究は、1992~2004年に米国で実施した無作為化試験であるWomen's Health Studyの参加者の追跡データを解析したもの。参加者はCVDやがんを罹患していない62歳以上の女性で、年1回アンケートに回答し、中~高強度身体活動に費やした時間と歩数を加速度計で連続7日間測定した。交絡因子調整後の中~高強度身体活動の時間および歩数と全死亡およびCVD(心筋梗塞・脳卒中・CVD死亡の複合)との関連を、Cox比例ハザード回帰モデル、制限付き平均生存時間の差、受信者動作特性曲線下面積(AUC)を用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・計1万4,399人の女性(平均年齢:71.8歳)が対象となった。・中~高強度身体活動時間の中央値は週62分(四分位範囲:20~149分)、歩数の中央値は1日5,183歩(同:3,691~7,001歩)であった。・追跡期間中央値9.0年で、全死亡の1標準偏差当たりのハザード比は、中~高強度身体活動時間が0.82(95%信頼区間[CI]:0.75~0.90)、歩数が0.74(同:0.69~0.80)であった。・中~高強度身体活動時間および歩数が多い(上位3四分位群vs.最低四分位群)ほど生存期間(period free from death)が長かった。・中~高強度身体活動時間および歩数での全死亡率のAUCは同様で、どちらの指標も0.55(95%CI:0.52~0.57)であった。CVDとの関連についても同様だった。 著者らは「今後のガイドラインにおいては、個々人の好みに対応できるよう、時間に基づく目標と共に歩数に基づく目標が検討されるべき」としている。

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ASCO2024スタート!注目演題を集めた特設サイトオープン

 5月31日~6月4日(現地時間)、世界最大の腫瘍学会であるASCO 2024(米国臨床腫瘍学会年次総会)が、米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催される。 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」(医師会員限定)では、ASCO 2024のスタートに合わせ、数千に及ぶ演題の中から、複数のエキスパートが専門分野の注目演題をピックアップ。 学会スタートを受けてオープンした「ASCO2024特設サイト」では、「肺がん」「消化器がん」「乳がん」「泌尿器がん」「がん全般」のカテゴリーに分け、ASCO視聴サイトの該当演題へのリンクを、エキスパートのコメントと共に紹介している。 エキスパートが選定した、各がん種別の注目演題の一部は下記のとおり。このほかにも多くのユーザーが注目すべき演題を紹介している。【肺がん】山口 央氏(埼玉医科大学国際医療センター 呼吸器内科)によるまとめ【消化器がん(1)】加藤 健氏(国立がん研究センター 中央病院 消化器内科)によるまとめ【消化器がん(2)】山本 駿氏(国立がん研究センター 中央病院 消化器内科)によるまとめ【乳がん】寺田 満雄氏(名古屋市立大学 乳腺外科/UPMC Hillman Cancer Center)によるまとめ【泌尿器がん】三好 康秀氏(藤沢市民病院 泌尿器科)によるまとめ――――――――――Doctors’Picks ASCO2024特設サイト―――――――――― 学会終了後は、視聴レポートやまとめ記事なども続々アップしていく予定だ。

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前立腺全摘除術後放射線療法へのADT追加、6ヵ月vs.24ヵ月/Lancet

 前立腺全摘除術後の放射線療法への24ヵ月のアンドロゲン除去療法(ADT)の追加は、6ヵ月のADTを追加した場合と比較して無転移生存期間(MFS)を改善したことが示された。英国・The Institute of Cancer ResearchのChris C. Parker氏らRADICALS investigatorsが、カナダ、デンマーク、アイルランド、英国の138施設で実施した無作為化非盲検試験「RADICALS-HD試験」の結果を報告した。これまで、中間および高リスクの限局性前立腺がんに対しては、初期治療として放射線療法とADTの併用を支持するエビデンスがあるが、前立腺全摘除術後の放射線療法とADTの至適併用期間は不明であった。Lancet誌オンライン版2024年5月16日号掲載の報告。主要評価項目はMFS 研究グループは、前立腺全摘除術後の放射線療法の適応があり、前立腺特異抗原(PSA)が5ng/mL未満で転移病変がなく書面による同意が得られた患者を、放射線療法(RT)+6ヵ月間のADT併用(短期ADT併用)群、またはRT+24ヵ月間のADT併用(長期ADT併用)群に1対1の割合で無作為に割り付けた。層別因子は、グリソンスコア、断端陽性、放射線療法の時期、予定された放射線療法のスケジュール、予定されたADTの種類であった。 ADTは、無作為化後2ヵ月以内に開始し、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アナログに加え、GnRHアナログ初回投与の1週間前から経口抗アンドロゲン薬を3週間投与した。GnRHアナログは、短期ADT併用群では月1回、長期ADT併用群では3ヵ月に1回の投与が推奨された。カナダ以外では、ビカルタミド単剤150mg連日経口投与、またはデガレリクス月1回皮下投与も許容された。 主要評価項目はMFSで、前立腺がんの遠隔転移またはあらゆる原因による死亡と定義し、標準的なtime-to-event解析を行った(ITT解析)。 本試験は当初、RT単独群vs.短期ADT併用群vs.24ヵ月のADTを併用する長期ADT併用群の3群割り付け(1対1対1)、または、RT単独群vs.短期ADT併用群(1対1)と短期ADT併用群vs.長期ADT併用群(1対1)の2通りの2群割り付けのいずれかを選択するようになっていたが、ほとんどの患者が後者に割り付けられたことから、途中で2群比較の2試験として実施された(RT単独群vs.短期ADT併用群の結果は別途報告)。最終的に、10年MFS率が75%から81%に増加(ハザード比[HR]:0.72)することに関して、両側α値5%で80%の検出力を有していた。短期ADTに対する長期ADTのハザード比は0.773(p=0.029) 2008年1月30日~2015年7月7日に、計1,523例(年齢中央値65歳、四分位範囲[IQR]:60~69)が短期ADT併用群(761例)または長期ADT併用群(762例)に割り付けられた。1,523例のうち、326例は当初の3群割り付けで無作為化された症例(3群割り付けでのRT単独群の症例は除外)であった。追跡調査は2021年12月31日に終了した。 追跡期間中央値8.9年(IQR:7.0~10.0)において、MFSイベントは計313例報告された(短期ADT併用群174例、長期ADT併用群139例)。HRは0.773(95%信頼区間[CI]:0.612~0.975、p=0.029)であり、短期ADT併用群と比較して長期ADT併用群でMFSが改善した。 10年MFS率は、短期ADT併用群71.9%(95%CI:67.6~75.7)、長期ADT併用群78.1%(74.2~81.5)であった。 Grade3以上の有害事象の発現率は、短期ADT併用群14%(105/753例)、長期ADT併用群19%(142/757例)であり、治療関連死は報告されなかった。

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モジュール式リードレスペーシング除細動システム、主要エンドポイント達成/NEJM

 皮下植込み型除細動器(S-ICD)と無線通信するリードレスペースメーカーは、植込み後6ヵ月時におけるリードレスペースメーカー関連主要合併症非発生率、リードレスペースメーカーとS-ICD間の通信成功率、およびパルス幅0.4msでペーシング閾値2.0V以下の患者の割合に関して、パフォーマンス目標を超えた。オランダ・アムステルダム大学医療センターのReinoud E. Knops氏らが、国際共同単群試験「Effectiveness of the EMPOWER Modular Pacing System and EMBLEM Subcutaneous ICD to Communicate Antitachycardia Pacing study:MODULAR ATP試験」の結果を報告した。S-ICDは、経静脈ICDよりリード関連合併症が少ないが、抗頻拍および徐脈ペーシングができない。リードレスペースメーカーとS-ICDの無線通信による抗頻拍および徐脈ペーシングを行うモジュール式ペーシング除細動システムの安全性は明らかになっていなかった。NEJM誌オンライン版2024年5月18日号掲載の報告。心室性不整脈による突然死のリスクがある患者を登録 研究グループは、ICD植込みの適応があり単形性心室頻拍のリスクが高い18歳以上の患者でベースライン時にペーシングを必要とせず、変時性応答不全を有する、または心室同期不全のためにペーシングを必要とする患者を登録し、リードレスペースメーカー(商品名:EMPOWER)とS-ICDシステム(同:EMBLEM)を植え込み、退院前、1ヵ月、6ヵ月、12ヵ月時およびその後は6ヵ月ごとに追跡調査した。 安全性のエンドポイントは、植込み後6ヵ月時におけるリードレスペースメーカーに関連する主要合併症非発生率で、86%を目標として評価した。リードレスペースメーカー関連主要合併症は、ペースメーカーや手技または治療に関連した合併症で、システム交換、永久的ペースメーカー機能喪失、入院または死亡と定義した。 パフォーマンスの主要エンドポイントは、植込み後6ヵ月時におけるリードレスペースメーカーとS-ICD間の通信成功率(目標88%)、およびパルス幅0.4msでペーシング閾値2.0V以下の患者の割合(目標80%)であった。 2021年7月~2024年1月に、38施設において計293例が登録され、そのうち植込み後6ヵ月時の評価対象コホートには162例が含まれた。患者の平均年齢は60歳、女性が16.7%、平均左室駆出率は33.1(SD 12.6)%であった。162例のうち、151例が6ヵ月の追跡調査を完遂した。主要合併症の非発生率97.5% リードレスペースメーカー関連主要合併症非発生率は97.5%、片側98.8%信頼区間(CI)の下限値は94.2%で、事前に規定された目標を上回った。 リードレスペースメーカーとS-ICD間の通信成功率は98.8%、片側97.5%CIの下限値は97.0%で、事前に規定された目標を上回った。 パルス幅0.4msでペーシング閾値2.0V以下の患者の割合は97.4%(147/151例)、片側97.5%CIの下限値は93.4%で、事前に規定された目標を上回った。 抗頻拍ペーシング成功率は61.3%で、デバイスの通信障害により抗頻拍ペーシングが実施されなかったエピソードはなかった。 死亡は8例報告された。うち4例が植込み後6ヵ月以内であったが、死因がデバイスや手技に関連すると判定された死亡例はなかった。

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専属英会話講師の登場【Dr. 中島の 新・徒然草】(531)

五百三十一の段 専属英会話講師の登場もうすぐ衣替えの季節。最近は深緑と涼風の良い気候ですね。1年中こうだったらいいのですけど。さて、前回に引き続いて、今回もChatGPTと英語ですよ。「またかよ」という読者がおられたらすみません。でも皆さん、どちらか一方には興味をお持ちではないでしょうか。今回は「音声会話機能を使ったらChatGPTが専属英会話講師になってしまった」というお話です。スマホ版のChatGPTには音声会話機能があります。無料版のGPT-3.5でも、回数制限付きでGPT-4o(オムニ)の音声会話が可能なようです。試しに知り合いのスマホにChatGPTをダウンロードし、そのまま試してみたら、無料版でも音声でやりとりすることができました。ただ、途中で「また後でお試しください」という意味のメッセージが出てきて中断されました。無料版ゆえの使用時間の制限か、通信回線の混雑で接続が不安定になったのかもしれません。というわけで、実際にChatGPTを英会話講師として使う方法を紹介しましょう。まずプロンプトと呼ばれる入力は日本語でOK。ChatGPTの入力画面を開け、右下のヘッドホンマークを押します。そしたら画面中心の模様がグルグル回ってグレーの丸になり、「話し始める」という表示が出ます。そしたら「英会話の練習をしたいのでロールプレイのお相手をしてくれませんか?」と声を掛けましょう。5秒ほどすると「承知しました。どのような状況を考えていますか」みたいな返事があるので、日本語で適当な設定をしてください。たとえば、「私が医者でそちらが患者さん。めまいを主訴に受診したという設定で、一問一答でお願いします」と言っておいてから“What matters to you?”と英語で話し掛けると英会話開始です。ChatGPTのほうは「1週間ほど前からめまいがあります」とか「部屋がグルグル回ります」とかいろいろ訴えてくるので「何かめまいを誘発させたり悪化させたりするようなことはありますか?」などと聞くわけです。すると“When I move my head, it gets worse, but if I keep my head still, the vertigo slowly goes away.”(頭を動かすとめまいがひどくなり、頭を動かさないと徐々にめまいが去っていきます)といった答えが返ってきました。これは完全にBPPV(Benign Paroxysmal Positional Vertigo;良性発作性頭位めまい症)を意識している返答なので、こちらも「大人しくしていたら数日で改善しますよ」などとアドバイスをします。同じように頭痛のことでロールプレイをした時には、“Bright lights and loud noises definitely make my head worse. Sometimes strong smells can trigger them too.”(明るい光や大きな騒音で確かに頭痛が悪化します。時には強い匂いで頭痛が誘発されます)などという答えが返ってきました。典型的な偏頭痛ですね。診察室ではいつもの会話なので、英語でも何とか最後までやり通すことができました。問題があるとすれば、ChatGPTが時々暴走して医師のセリフを横取りしたり、日本語になったりすることです。こういった場合には「それは私のセリフなので、貴女は患者さんの役をしてください。それと英語でお願いします」と日本語で言うと、素直に元の設定に戻ってくれます。いろいろ試した結果、ChatGPTを使った英会話ロールプレイは、もう最強の英会話練習ではないかと思うようになりました。さて、ChatGPTで英会話ロールプレイをする時のいくつかの注意点を挙げておきましょう。若干のタイムラグがあるので、相手が話し始めるまで辛抱強く待つこと。プロンプトは日本語でOK。途中から条件を追加するのも問題なし。相手はAIなので、忖度する必要はまったくなし。先方が逆ギレしたり拗ねたりする場面には出くわしたことがありません。いつ始めてもOK、唐突に終わってもOK、相手が気を悪くする心配なし。10分ほどの隙間時間があれば、いつでもどこでも始めることができますが、周囲に人がいないところのほうがよさそうです。会話の記録はテキストで残っているので、後で復習するのも簡単。というわけで、ついに到達した最強の英会話勉強法。読者の皆さんもぜひお試しください。最後に1句衣替え 熱血勉強 AIと

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ウイルスと関連するがん【1分間で学べる感染症】第4回

画像を拡大するTake home messageウイルスと関連するがんを理解しよう。HBVとHPVはワクチンにより予防可能である。がんの原因にはさまざまな因子があることが知られていますが、その中でも近年とくに注目を浴びているのが、感染症によるがんです。人間に感染症を引き起こす病原微生物は、一般的には大きく細菌・ウイルス・真菌・寄生虫と分類されますが、その中でもとくにウイルスはがんと関連するものが多く報告されています。具体的には以下の8つです。EBウイルス(EBV)・バーキットリンパ腫 ・ホジキンリンパ腫 ・鼻咽頭がん などB型肝炎ウイルス(HBV)・肝細胞がんC型肝炎ウイルス(HCV)・肝細胞がん ・非ホジキンリンパ腫HIV・カポジ肉腫 ・非ホジキンリンパ腫 ・子宮頸がん ・非AIDS関連がんヒトヘルペス8型ウイルス(HHV-8)・カポジ肉腫 ・原発性胸水性リンパ腫 ・多中心性キャッスルマン病ヒトパピローマウイルス(HPV)・肛門・子宮頸・陰茎・咽頭・膣がんHTLV-1・成人T細胞性白血病/リンパ腫メッケル細胞ポリオーマウイルス(MCPyV)・メッケル細胞がんこれらのうち、HBVとHPVに関してはワクチンが普及しており、予防可能であるといわれています。がん全体の約12~20%がウイルスと関連すると推定されており、実に大きな割合を占めています。このことを念頭に置き、必要な患者へのスクリーニングや早期発見に役立てましょう。1)Jennifer Brubaker. “The 7 Viruses That Cause Human Cancers”. American Society for Microbiology. 2019-01-25., (参照2024-05-01)

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前立腺全摘除術後放射線療法、ADTなしvs.短期ADT/Lancet

 前立腺全摘除術後の前立腺床に対する放射線療法後に転移がみられることはまれであるが、放射線療法に6ヵ月のアンドロゲン除去療法(ADT)を追加しても、ADTを行わない場合と比較して無転移生存期間(MFS)は改善しないことが示された。英国・The Institute of Cancer ResearchのChris C. Parker氏らRADICALS investigatorsが、カナダ、デンマーク、アイルランド、英国の121施設で実施された無作為化非盲検試験「RADICALS-HD試験」の結果を報告した。これまで、中間および高リスクの限局性前立腺がんに対しては、放射線療法とともに術後補助療法として短期間のADTを行うとMFSが改善することが示されていたが、前立腺全摘除術後の放射線療法とADT併用の有用性は不明であった。Lancet誌オンライン版2024年5月16日号掲載の報告。RT単独とRT+ADT6ヵ月間でMFSを比較 RADICALS-HD試験は、前立腺がんに対する術後放射線療法と併用するADTの有効性を検証する国際第III相ランダム化比較試験である。 研究グループは、前立腺全摘除術後の放射線療法の適応があり、前立腺特異抗原(PSA)が5ng/mL未満で転移病変がなく書面による同意が得られた患者を、放射線療法(RT)単独群、RT+6ヵ月間のADT(短期ADT)併用群に、1対1の割合で無作為に割り付けた。層別因子は、グリソンスコア、断端陽性、放射線療法の時期、予定された放射線療法のスケジュール、予定されたADTの種類であった。 ADTは、無作為化後2ヵ月以内に開始し、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)アナログを、通常は月1回皮下投与が推奨された。加えて、GnRHアナログ初回投与の1週間前から抗アンドロゲン薬を3週間投与した。カナダ以外では、ビカルタミド単剤150mg連日経口投与、またはデガレリクス月1回皮下投与も許容された。 主要評価項目はMFSで、前立腺がんの遠隔転移またはあらゆる原因による死亡と定義し、無作為化の層別因子による層別log-rank検定により群間比較を行った(ITT解析)。 本試験は当初、RT単独群vs.短期ADT併用群vs.24ヵ月のADTを併用する長期ADT併用群の3群割り付け(1対1対1)、または、RT単独群vs.短期ADT併用群(1対1)と短期ADT併用群vs.長期ADT併用群(1対1)の2通りの2群割り付けのいずれかを選択するようになっていた。しかし、3群割り付けを選択した患者は少数であったことから、途中で2群比較の2試験として実施された(短期ADT併用群vs.長期ADT併用群の結果は別途報告)。最終的に、10年MFS率が80%から86%に増加(ハザード比[HR]:0.67)することに関する試験の検出力は80%(両側α値5%)であった。追跡期間中央値9.0年においてMFSに有意差なし 2007年11月22日~2015年6月29日に、計1,480例(年齢中央値66歳、四分位範囲[IQR]:61~69歳)がRT単独群(737例)または短期ADT併用群(743例)に割り付けられた。1,480例のうち、330例は当初の3群割り付けで無作為化された症例であった(3群割り付けでの長期ADT併用群の症例は解析から除外)。追跡調査は2021年12月31日に終了した。 追跡期間中央値9.0年(IQR:7.1~10.1)において、MFSイベントは計268例報告された(RT単独群142例、短期ADT併用群126例)。HRは0.886(95%信頼区間[CI]:0.688~1.140、p=0.35)であり、短期ADT併用によるMFSの改善は認められなかった。 10年MFS率は、RT単独群79.2%(95%CI:75.4~82.5)、短期ADT併用群80.4%(76.6~83.6)であった。 Grade3以上の有害事象の発現率は、RT単独群17%(121/737例)、短期ADT併用群14%(100/743例)であり、治療関連死は報告されなかった。

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血液がん患者のICU退室後1年の生存率は21%

 集中治療室(ICU)に入室した血液がん(HM)患者の7日生存率は49%、12カ月生存率は21%であるという研究結果が、「Intensive Care Medicine」に3月11日掲載された。 トロント大学マウントサイナイ病院(カナダ)のLaveena Munshi氏らは、2018~2020年にICUに入室したHM患者を対象に、前向き観察研究を実施した。生存者は長期生存と機能的転帰について追跡された。 患者414人が登録され、そのうち急性白血病患者が51%、リンパ腫・多発性骨髄腫患者が38%、造血幹細胞移植(HCT)を受けた患者は40%であった。解析の結果、ICU入室の最も一般的な理由は、急性呼吸不全と敗血症であった(それぞれ50%、40%)。退室後7日時点に生存していた対象者(ICU生存者)は、49%であった。コホート全体の12カ月生存率は21%であった(ICU生存者では43%)。生存者のうち、中等度から重度のフレイルの有病率は、7日時点で42%、6カ月時点で14%、12カ月時点で8%であった。機能的自立指標の中央値は7日目で80であった。6カ月時点および12カ月時点の身体機能、疼痛、社会機能、メンタルヘルス、精神的ウェルビーイングは、年齢および性別でマッチさせた一般集団のスコアを下回っていた。12カ月生存率の低下は、フレイル、同種HCT、腎障害、ICU入室中の心臓合併症と関連していた。 著者らは、「重症疾患とがんの複雑な相互作用を鑑みると、重症疾患がHM/HCT患者の長期生存に影響を及ぼす可能性があることが示された」と述べている。

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食事前の10秒をください!?(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者この間、ネットを見ていたら「食事前の10秒だけください」と書かれている写真があって。医師 それで?(患者の話に興味を示す)患者 最後まで読んだら健康食品の広告で、食事前に飲むのに10秒もかからないって話みたいで。画 いわみせいじ痩せた人もいるって書いてあるし、今だけお得だからつい購入したのですが、全然、効果はなかったです…。医師 そうでしたか。せっかく食事前の10秒を使うなら、お金もかからずにもっと良い方法がありますよ!患者 それはどんな方法ですか?医師 食事前に、これから食べる食事を記録することです。食べた後ではなくてね。患者 なるほど。それなら、食べ過ぎないかもしれませんね。(納得した顔)ポイント食事前に食べる予定の食事を記録する習慣を作ることがダイエットにつながることを上手に説明します。Copyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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カリウム吸着薬の必要性を検討して薬剤性便秘を解消【うまくいく!処方提案プラクティス】第60回

 今回は、治療評価がなされずに長期服用していたカリウム吸着薬の副作用と思われる便秘に着目し、中止することで解消した症例を紹介します。患者さんや施設スタッフの負担となっていることを聴取し、服薬契機や治療評価の時期などに注目してみると、現在の治療の必要性を考えやすくなります。薬剤師の視点で考えたことを整理して、医師と意見共有してみましょう。患者情報88歳、男性(施設入居)基礎疾患認知症、脳梗塞、糖尿病、胸部大動脈瘤、大腸がん術後介護度要介護4服薬管理施設職員が管理処方内容1.アスピリン・ランソプラゾール配合錠 1錠 分1 朝食後2.ビソプロロール錠0.625mg 2錠 分1 朝食後3.ポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリー20% 25g 分1 朝食後4.トラゾドン錠25mg 1錠 分1 朝食後5.シタグリプチンリン錠50mg 1錠 分1 朝食後6.酪酸菌配合錠 3錠 分3 毎食後7.酸化マグネシウム錠330mg 3錠 分3 毎食後8.ピコスルファートNa内用液0.75% 10mL 便秘時5〜15滴で調整本症例のポイントこの患者さんは、施設入居から間もなく硬便(ブリストル便形状スケール[BSFS]1〜2)と便秘症状が強くなり、酸化マグネシウムと頓用のピコスルファートを開始して2週間が経過しました。BSFS 2および排便頻度が2〜3日のため、ピコスルファート15滴で調整を続けていましたが、便秘解消がいまひとつで不穏症状も出現していました。介護スタッフから、服薬錠数が増えると介護抵抗なども強くなるので何かよい手立てはないか、と相談がありました。現状の服用薬剤から何か減らすことで工夫はできないかという点から、薬剤性便秘の可能性を探りました。そこで着目したのが、ポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリーでした。ポリスチレンスルホン酸Caは、腸内のカリウムイオンと本剤のカルシウムイオンを交換することで、カリウムを体外に排泄する薬剤(陽イオン交換樹脂)1)ですが、便秘の副作用が多く、重大な副作用として腸管穿孔の報告2)もあります。導入の経緯を診療情報提供書にさかのぼって調査すると、カリウム値が5.6mEq/Lと高カリウム血症を発症した際に、ポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリー50g 分2 朝夕食後の処方が開始となっていました。その3週間後の採血で3.5mEq/Lに低下したことから現在の量に減量となっていました。大腸がん術後でイレウスのリスクもあることと、認知症があることから便秘増悪でせん妄リスクもあることから排便コントロールは重要です。カリウム値をモニタリングしながらポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリーを中止することで、服薬数も減らすことができ、排便コントロールも少なからずポジティブな効果になるのではないだろうかと考えました。医師への相談と経過医師に電話で、下剤調整後の現況を情報共有し、ポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリーによる弊害の可能性について相談しました。医師も、用量は少ないものの副作用報告として多いことを認識しており、中止しようと返答がありました。また、カリウム値については次回の診療で採血をしてフォローすることとなりました。指示を受けた翌日からポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリーが中止となりました。患者さんは、中止して2日後には排便があり(BSFS 3、中等量)、その後も安定して0〜1日の排便(BSFS 2〜3、中等量)で安定して経過しています。さらに、その後のカリウム値の検査結果も4.0mEq/Lと基準値内で推移していました。便秘増悪には環境変化などさまざま要因がありますが、薬剤性のアプローチは薬剤師にとって大事なアクションの1つだと実感した事例です。1)ポリスチレンスルホン酸Ca経口ゼリー20% インタビューフォーム2)「消化器内視鏡」編集委員会編. 大腸疾患アトラスupdate. 東京医学社;2020. p232.

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単剤療法を開始する統合失調症患者のケアパターンと経口抗精神病薬切り替えコスト

 統合失調症において抗精神病薬は主要な治療法であるが、治療目標の達成や副作用を最小限にするため、疾患経過に伴って薬剤を変更する必要がある。実臨床における治療パターンや、切り替えを含む抗精神病薬の変更に関連する経済的な影響について、評価した研究は限られている。米国・OptumのRebecca Fee氏らは、経口抗精神病薬(OAM)の単剤療法を開始した統合失調症患者の治療パターンを調査し、抗精神病薬の切り替えに関連する医療資源利用およびコストを評価した。Journal of Managed Care & Specialty Pharmacy誌オンライン版2024年4月9日号の報告。 米国のメディケア・アドバンテージおよび民間医療保険に加入していて、2015~21年6月にOAMの単剤療法を開始(または6ヵ月以上経過した後に再開)した統合失調症患者(2件以上の請求データを有する成人患者)を対象とした。治療の時機および間隔を用いた請求データに基づくアルゴリズムにより、最長7年間にわたるOAM単剤療法開始患者の投与変更、とくに単剤療法の切り替えを特定した。最初のOAM単剤療法から次のOAM単剤療法へ切り替えた患者(切り替え群)を、臨床的および人口統計学的特徴に基づき、切り替えを行っていないOAM単剤療法開始患者(非切り替え群)とマッチさせた。切り替えに関連する医療資源利用および最初の切り替えの前後3ヵ月に発生したコストを、両群で比較した。 主な結果は以下のとおり。・OAM単剤療法を開始した患者6,425例中1,505例(23.4%)は、フォローアップ期間中に少なくとも1回、他のOAM単剤療法切り替えを経験していた。・最初の切り替えまでの平均時間は209±333日(中央値:67日)であり、フォローアップの人年当たりの切り替え率は0.65、最初の切り替えの56%はOAM開始から3ヵ月以内に行われていた。・OAM単剤療法を開始した患者のうち947例(14.7%)は、最初のOAM単剤療法切り替え患者あった。傾向スコアマッチング後、最初の切り替え群865例と非切り替え群865例がマッチされた。・非切り替え群と比較し、最初の切り替え群は、すべての原因による受診の平均回数、統合失調症関連の緊急受診および入院の平均回数が多く、1ヵ月当たりの入院日数は長かった。・統合失調症関連の平均コストは、患者1人当たり、切り替え群で1,252±2,602ドル、非切り替え群で402±2,027ドルであった(p<0.001)。 著者らは「OAM単剤療法を開始した統合失調症患者の約4分の1は最初のOAMの変更を行っており、その多くは最初のOAM切り替えから3ヵ月以内であった。また、切り替えを行った患者は、行わなかった患者と比較し、医療資源利用およびコストの増加が認められた」とまとめ、「本結果は、症状コントロールを効果的に維持し、忍容性のリスクを最小限にするOAM単剤療法を開始する重要性を強調するものであり、これによりOAM切り替えの必要性を最小限とし、過剰な医療資源の利用およびコストを削減することが可能である」としている。

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HPVワクチン接種プログラムの効果、社会経済的格差で異なるか?/BMJ

 以前の検討によってイングランドで観察されたヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチン接種プログラムの高い予防効果は、その後12ヵ月間の追跡調査においても継続しており、とくにワクチンの定期接種を受けた女性では、社会経済的剥奪の程度5つの段階のすべてで子宮頸がんとグレード3の子宮頸部上皮内腫瘍(CIN3)の発生率が大きく低下したが、剥奪の程度が最も高い地域の女性では低下の割合が最も低い状態にあることがわかった。一方で、子宮頸がんの罹患率は、ワクチン接種女性において、未接種の女性でみられる社会経済的剥奪の程度による勾配はみられなかったことが、英国・ロンドン大学クイーンメアリー校のMilena Falcaro氏らの調査で示された。研究の成果は、BMJ誌2024年5月15日号に掲載された。イングランド居住女性の観察研究 本研究は、2006年1月1日~2020年6月30日にイングランドに居住した20~64歳の女性を解析の対象とした住民ベースの観察研究である(Cancer Research UKの助成を受けた)。 イングランドでは、2008年にHPVワクチン接種が導入され、12~13歳の女児に定期接種が行われた。また、2008~10年には、より年長で19歳未満の集団を対象に接種の遅れを取り戻すためのキャッチアップ・キャンペーンが展開された。 2006年1月1日~2020年6月30日に、2万9,968例が子宮頸がんの診断を、33万5,228例がCIN3の診断を受けた。追加追跡期間の相対リスク減少率:子宮頸がん83.9%、CIN3は94.3% 12~13歳時にHPVワクチンの定期接種を受けた集団では、追加された12ヵ月間の追跡調査(2019年7月1日~2020年6月30日)における子宮頸がんおよびCIN3の補正後年齢調整罹患率に関して、ワクチン接種を受けなかった集団と比較した相対リスク減少率が、子宮頸がんで83.9%(95%信頼区間[CI]:63.8~92.8)、CIN3で94.3%(92.6~95.7)と大幅に低下していた。 また、2020年の半ばまでに、HPVワクチン接種により、687例(95%CI:556~819)の子宮頸がんと2万3,192例(2万2,163~2万4,220)のCIN3を予防したと推定された。 社会経済的剥奪の程度が最も強い地域に居住する女性では、ワクチン接種後の子宮頸がんおよびCIN3の割合は最も高いままであったが、剥奪の5段階すべてでこれらの割合は大幅に低下していた。健康格差の縮小をもたらす可能性も キャッチアップ・キャンペーンでワクチン接種を受けた女性のCIN3予防率は、社会経済的剥奪の程度が最も弱い地域に比べ最も強い地域で低く、16~18歳時に接種した女性では40.6%に対し29.6%、14~16歳時に接種した女性では72.8%に対し67.7%であった。 また、ワクチン接種を受けていない女性における子宮頸がんの罹患率には、社会経済的剥奪の程度が強い地域から弱い地域へと下方に向かう急峻な勾配を認めたのに対し、ワクチン接種を受けた女性では、もはやこのような勾配はみられなかった。 著者は、「本研究の知見は、十分に計画を立てて実行された公衆衛生介入は、健康状態を改善するだけでなく、健康格差の縮小ももたらす可能性があることを示している」としている。

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日本人結節性痒疹、ステロイド外用薬使用下のネモリズマブの有用性は?

 日本人の結節性痒疹患者におけるネモリズマブの長期投与の最適用量、有効性、安全性を評価した国内第II/III相無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験の結果が報告された。本試験では、試験開始前のステロイド外用薬の継続下においてネモリズマブ30mg、60mgの有用性をプラセボと比較した。その結果、ネモリズマブ群で結節性痒疹のそう痒や皮膚症状の改善が認められた。東京医科歯科大学皮膚科の横関 博雄氏らNemolizumab-JP11 Study GroupがBritish Journal of Dermatology誌オンライン版2024年4月17日号で報告した。 本試験は、高用量ステロイド外用薬による治療を実施したにもかかわらず、中等度以上のそう痒(かゆみスコア3以上かつPeak Pruritus Numerical Rating Scale[PP-NRS]7以上)を有する13歳以上の日本人結節性痒疹患者を対象とした。対象患者を、ネモリズマブ30mg群(初回投与のみ60mg)、同60mg群(本邦承認外用量)またはプラセボ群に1対1対1の割合で無作為に割り付け、4週間ごとに16週間投与した。対象患者はいずれもステロイド外用薬を併用した。 有効性の主要評価項目は、投与開始16週後のPP-NRS週平均の変化率。有効性の副次評価項目は、そう痒、結節性痒疹の重症度、睡眠、QOLなどであった。なお、本試験は2020年12月に開始され、データ解析は2022年5月に行われた。16週の治療完了後、適格患者は52週の長期試験に組み込まれ追跡された。 主な結果は以下のとおり。・230例が対象となり、ネモリズマブ30mg群に77例、同60mg群に76例、プラセボ群に77例が割り付けられた。・投与開始16週後のベースラインからのPP-NRS週平均の変化率(最小二乗平均値)は、ネモリズマブ30mg群-61.1%、同60mg群-56.0%、プラセボ群-18.6%であった。・ネモリズマブ群とプラセボ群のPP-NRS週平均の変化率の群間差は、30mg併用群が-42.5%(95%信頼区間[CI]:-51.9~-33.1、p<0.0001)、60mg併用群が-37.4%(-46.7~-28.1、p<0.0001)であり、いずれも統計学的に有意な差が認められた。・ネモリズマブ群は、プラセボ群と比較して、結節性痒疹の重症度、睡眠、QOLの改善が大きかった。・ネモリズマブの忍容性は、両用量群とも良好であった。

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喫煙歴があっても食習慣次第で肺気腫リスクが低下

 現喫煙者や元喫煙者など、肺気腫のリスクが高い人であっても、植物性食品中心の食習慣によって、その罹患リスクが抑制される可能性を示唆するデータが報告された。米ネブラスカ大学医療センターのMariah Jackson氏らの研究によるもので、詳細は「Chronic Obstructive Pulmonary Diseases : Journal of the COPD Foundation」3月発行号に掲載された。 肺気腫は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の一種で、血液中の二酸化炭素と酸素の交換が行われる肺胞の構造が破壊されて、呼吸機能が不可逆的に低下する病気。原因は主に喫煙であり、肺気腫の進行抑制には禁煙が必須だが、禁煙治療の成功率は高いとは言えない。一方で、植物性食品中心の食習慣が、呼吸器疾患の病状に対して潜在的な保護効果をもたらす可能性が報告されている。Jackson氏らはこのような背景の下、食習慣と肺気腫リスクの関連の有無を検討した。 この研究は、若年成人の冠動脈疾患リスクを探索する目的で実施された、米国での多施設共同前向きコホート研究(CARDIA研究)のデータを用いた二次分析として行われた。CARDIA研究の参加者は18~30歳で、30年間追跡されている。研究参加者5,515人から、追跡開始後20年目までに、自己申告に基づく喫煙習慣(現喫煙または元喫煙)が確認されなかった人や、食習慣に関する調査に回答していなかった人などを除外し、1,351人(平均年齢25.5±3.5歳、女性58.4%)を解析対象とした。 追跡開始25年目に行ったCT検査で、175人(13.0%)に肺気腫が確認された。食習慣の質を評価するスコア(APDQS)の五分位に基づき、植物性食品中心の食習慣らしさで全体を5群に分類して肺気腫の罹患者率を比較すると、スコアの第5五分位群(最も植物性食品中心の食習慣である上位20%)は4.5%であるのに対して、第1五分位群(最も植物性食品中心の食習慣でない下位20%)は25.4%だった。 肺気腫の罹患リスクに影響を及ぼし得る因子(年齢、性別、人種、BMI、累積喫煙量、摂取エネルギー量、教育歴など)を調整後、第5五分位群は第1五分位群に比べて肺気腫罹患のオッズ比(OR)が56%低かった〔OR0.44(95%信頼区間0.19~0.99)、傾向性P=0.008〕。また、APDQSスコアが1標準偏差高いごとにオッズ比は34%低下していた。つまり、食事に占める野菜や果物の割合が高いほど、肺気腫のリスクは低かった。 Jackson氏は、「われわれの研究結果は、食習慣と喘息の罹患リスクとの関連を示した先行研究の結果と一致している。喫煙歴のある人の慢性肺疾患リスクを抑制しようとする場合、食事などの修正可能な因子が極めて重要なポイントとなる」と話している。また同氏は、「食習慣を健康的なものに改善することが、慢性肺疾患に罹患しながらも禁煙が困難な状況にある人の一助となるのではないか。さらなる研究が必要ではあるが、将来的には公衆衛生関連のガイドラインなどで、特に子どもや若年者に対する食事の推奨事項として、これらの情報を提供できる可能性がある」と付け加えている。

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小児期の運動不足が若年成人期の心肥大と関連

 子どもの頃の運動量と若年成人期の心臓の大きさとの間に有意な関連があり、運動不足だった子どもは成人後に心肥大が見られるとする研究結果が報告された。東フィンランド大学のAndrew Agbaje氏の研究によるもので、詳細は「European Journal of Preventive Cardiology」に5月7日掲載された。 心肥大とは心臓のサイズや重量が過度に増大した状態であり、成人の心肥大は心血管疾患や早期死亡といったイベントのリスクを高める。小児期にはそのようなイベントの発生は少ないものの、心肥大自体は後年のリスク上昇につながる可能性がある。一方、成人では適度な運動が心血管の健康増進に役立つことが広く認識されている。しかし、小児期の運動習慣が心臓の形態に与える影響についてはよく分かっていない。これらを背景としてAgbaje氏は、子どもの運動習慣が、その後の心臓の形態や機能に及ぼす影響について、縦断的に検討した。 この研究は、英国の子どもとその親を対象に行われている出生コホート研究(ALSPAC)のデータを用いた二次分析として行われた。平均年齢11.75±0.24歳の子ども1,682人(女児62.7%)を約13年間にわたって追跡。日常の運動量は、11歳、15歳、24歳の時点で加速度計を4~7日間、身に着けて生活してもらい把握した。心臓の形態と機能については、17歳、24歳の時点で行った心エコー検査により、左室心筋重量係数(LVMI)や左室拡張能などを評価した。 研究参加者全体の座位行動時間を平均すると、ベースライン(11歳時点)が6時間だったものが、24歳時点では9時間となり、13年間で3時間増加していた。またLVMIは、17歳から24歳の7年間で平均3g/m2.7上昇していた。 運動量とLVMIの変化との関連性を解析した結果、小児期からの座位行動の累積時間の長さは、性別や肥満の有無、血圧レベルにかかわらず、LVMIの上昇幅が最大40%増えることと関連していた。その反対に、小児期からの軽強度運動の累積時間の長さは、LVMIの上昇幅が最大49%減ることと関連していた。また、軽強度運動の累積時間が長いと、左室拡張能などの指標も良好だった。なお、小児期からの中~高強度運動の累積時間が長いことは、LVMIの上昇幅が最大5%増えることと関連していたが、これは運動負荷に伴う生理的な変化と考えられるという。 Agbaje氏は、「子どもの頃の座位行動が成人後の健康上の脅威となるという報告が増えてきており、それらの知見を真剣に受け止める必要がある」と述べている。一方で同氏は、「軽強度運動は座位行動の弊害を打ち消す効果的な手段だ。毎日3~4時間の軽強度運動を続けるということは、それほど困難なことではない」と解説。子ども向きの軽強度運動の具体的な例として、外遊び、犬の世話、おつかい、徒歩または自転車での通学、公園の散歩、ガーデニングなどのほかに、バスケットボール、サッカー、ゴルフ、フリスビーといった競技性の高くないカジュアルなスポーツなどが該当するとのことだ。

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Grade1のILD回復後のT-DXdによる再治療、7割弱でILD再発なし/ESMO BREAST 2024

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)によるがん治療におけるGrade1の間質性肺疾患(ILD)発症後、回復および適切な管理の実施後であれば、T-DXd再投与が有用な可能性が示唆された。米国・UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S.Rugo氏が乳がん、肺がん、胃がんなど9つの臨床試験の後ろ向きプール解析結果を欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。T-DXdによる再治療を受けた患者の約69%は減量しておらず、約67%はILDの再発がなかった。また約18%は1年超再治療を継続していた。 本プール解析では、T-DXd(5.4~8.0mg/kg)単剤療法を1回以上受けたHER2陽性の乳がん、非小細胞肺がん、胃がん、大腸がんの患者を対象とした9つの臨床試験のデータを用いて、Grade1の初回ILD後の患者を対象に、T-DXdによる再治療期間とILD再発について評価した。 主な結果は以下のとおり。・9試験から2,145例が解析対象とされた。べースラインの患者特性は、年齢中央値が58.0歳、日本の患者が27.3%、乳がん患者が68.2%を占め(肺がん16.3%、胃がん13.7%、大腸がん0.9%など)、肺の併存疾患なしが94.3%、SpO2≧95%が94.5%、T-DXdの用量5.4mg/kgの患者が67.6%であった。・193例が治験責任医師評価によりGrade1の薬剤関連ILDと判定され、うち97例(50.3%)がステロイドによる治療を受け、45例(23.3%)がT-DXdによる再治療を受けていた。・初回のILD発症からT-DXdによる再治療開始までの期間中央値は28(8~48)日であった。・45例中31例(68.9%)が減量なくT-DXdによる再治療を行い、15例(33.3%)は>6ヵ月、8例(17.8%)は>12ヵ月T-DXdによる再治療を継続していた。・45例中15例(33.3%)がILD再発を経験しており、Grade1が40.0%、Grade2が60.0%であった。8例がステロイドによる治療を受けており、うち6例が回復/後遺症を伴う回復をしていた。≧Grade3のILDおよび再発ILDのアウトカムとしての死亡は確認されていない。 Rugo氏は、より大きなデータセットでのリアルワールド研究が必要としたうえで、適切なモニタリングと管理によりGrade1のILDから完全に回復後のT-DXd再治療は、治療によるベネフィットを最大化する可能性があるとまとめている。

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