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診療科別2024年上半期注目論文5選(消化器内科編)

Durvalumab plus gemcitabine and cisplatin in advanced biliary tract cancer (TOPAZ-1): patient-reported outcomes from a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trialBurris HA 3rd, et al. Lancet Oncol. 2024 May;25:626-635.<進行胆道がんGCD療法のQOL>:進行胆道がんにおける1次治療としてGCD療法は忍容される進行胆道がんに対する GCD療法は、良好な治療効果に加え、 QOLに有害な影響を及ぼさないことが示されました。進行胆道がんにおいて、GCD療法が1次治療における第一選択薬として支持される結果となっています。Factors Affecting Nonfunctioning Small Pancreatic Neuroendocrine Neoplasms and Proposed New Treatment StrategiesHijioka S, et al. Clin Gastroenterol Hepatol. 2024;22:1416-1426.<非機能性PNENに対する治療戦略>:PNENは悪性度、サイズによっては経過観察が推奨されるPNENは従来外科的治療が画一的に推奨されてきましたが、その侵襲性の大きさから手術の絶対的な必要性は明らかではありませんでした。本結果により腫瘍の悪性度、サイズによっては経過観察が適切な可能性が示唆されました。Neoadjuvant Immunotherapy in Locally Advanced Mismatch Repair-Deficient Colon CancerChalabi M, et al. N Engl J Med. 2024;390:1949-1958. <NICHE-2 試験>:局所進行dMMR結腸がん腫瘍に対してニボルマブ+イピリムマブによる術前補助療法の有効性が報告されたミスマッチ修復機構欠損(dMMR)腫瘍は、転移のない結腸がん患者の 10~15%に認められます。ニボルマブ+イピリムマブによる術前補助療法により病理学的著効が95%に、病理学的完全奏功が68%に確認されました。dMMR結腸がんに対する術前補助療法は今後の標準治療になる可能性が示唆された結果です。Aspirin for Metabolic Dysfunction-Associated Steatotic Liver Disease Without Cirrhosis: A Randomized Clinical TrialSimon TG, et al. JAMA. 2024;331:920-929.<MASLDに対するアスピリンの有用性>:MASLDへの低用量アスピリンで肝脂肪量が減少基礎研究や観察研究からアスピリンはMASLDの治療薬として有望視されていましたが、この第II相試験により低用量アスピリンが肝脂肪量を有意に減少することが証明されました。臨床的アウトカムの結果も出れば、すぐに臨床に活用できる結果です。Tirzepatide for Metabolic Dysfunction-Associated Steatohepatitis with Liver Fibrosis Loomba R, et al. N Engl J Med. 2024 Jun 8. [Epub ahead of print]<SYNERGY-NASH trial>:線維化F2/F3を伴うMASH患者に対するチルゼパチドの安全性と有効性が証明された第II相試験でGIP/GLP-1のデュアルアゴニストであるチルゼパチドは、すべての容量においてMASH消失効果(15mg群62% vs.プラセボ群10%)、1ステージ以上の線維化改善効果を認めました。すでに市場にある薬での卓越した奏効率であり、今後の第III相試験結果が期待されます。a

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日本のプライマリケアにおける不眠症の治療戦略の実態

 オレキシン受容体拮抗薬やメラトニン受容体作動薬などの新規睡眠薬の導入後、プライマリケア医による不眠症治療実態は、明らかとなっていない。秋田大学の竹島 正浩氏らは、日本のプライマリケア診療における不眠症の治療戦略を調査するため、Webベースのアンケート調査を実施した。BMC Primary Care誌2024年6月18日号の報告。 対象は、プライマリケア医117人。不眠症の各マネジメントオプションの精通度を2段階(精通していない:0、精通している:1)で評価し、不眠症のマネジメント法を9段階リッカート尺度(処方/実施したことがない:1、頻繁に処方/実施している:9)を用いて調査した。マネジメントオプションに精通していないと回答した医師は、処方/実施したことがないとみなした。 主な結果は以下のとおり。・薬物療法に関しては、ほとんどのプライマリケア医が、新規睡眠薬に精通していると回答した。・最も多く使用されていた睡眠薬はスボレキサントであり、次いでレンボレキサント、ラメルテオンであった。・これら新規睡眠薬の9段階リッカート尺度は、入眠障害に対し平均4.8〜5.4ポイント、中途覚醒に対し平均4.0〜4.7ポイントであった。・対照的に、多くのベンゾジアゼピン系睡眠薬は2ポイント未満であり、使用されることは少なかった。・心理療法に関しては、認知行動療法(CBT-I)に精通しているプライマリケア医は、約40%であり、9段階リッカート尺度は平均1.5〜1.6ポイントと、ほとんど行われていなかった。・CBT-Iと比較し、多くの医師はリラクゼーション、睡眠制限法、刺激制御法などに精通していると回答した。このようなプライマリケア医はCBT-Iをやや頻繁に実施し(48〜74%)、スコアは2.6〜3.4ポイントであった。 著者らは、「日本のプライマリケア医は、不眠症に対してCBT-Iをほとんど行っておらず、薬物療法に関しては、ベンゾジアゼピン系睡眠薬ではなく新規睡眠薬を使用する傾向にあった。日本のプライマリケア医による不眠症に対するCBT-Iの利用促進には、教育、簡易またはデジタルCBT-Iの導入、CBT-I専門医との連携構築などが求められる」としている。

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もし過去に戻れたらどの診療科を選ぶ?後輩には勧める?/医師1,000人アンケート

 厚生労働省が2024年3月19日に公表した「医師・歯科医師・薬剤師統計」の最新結果では、全国の医師数は34万3,275人で、前回調査(2020年)と比べて1.1%増加した。本調査では、前回調査時と比べて美容外科、アレルギー科、産科、形成外科などの診療科で医師数の増加がみられた。一方、気管食道外科、小児外科、外科、心療内科、耳鼻咽喉科などの診療科では医師数の減少がみられた(詳細は関連記事参照)。この結果には、ワークライフバランスや年収、やりがい、キャリアなどを含めた診療科への満足度が影響している可能性も考えられる。そこで、CareNet.comでは40~50代の医師1,005人を対象に、診療科への満足度に関するアンケートを実施した(2024年5月24~31日実施)。本アンケートでは、現在の診療科にどれだけ満足しているか、もし医学生や研修医に戻れるとしたらどの診療科を選ぶか、自身の診療科を医学生や自分の子供などに勧めるかを聞いた。医師の約4分の3が現在の診療科に満足 現在の専門の診療科について満足度を聞いたところ、「非常に満足」が20.7%、「満足」が54.4%であった。これらを合わせると約4分の3(75.1%)が満足していた。一方、「非常に不満」は0.7%、「不満」は3.5%であり、現在の診療科への不満を有している医師は少ないことが明らかになった。これらの結果について、診療科別に大きな違いはみられなかった。診療科を選び直せても現在の診療科を選ぶのは63.1%、人気は内科 次に、「もし医学生や研修医に戻れるとしたらどの診療科を選ぶか」を聞いた。その結果、「現在の診療科を選ぶ」と回答したのは63.1%であった。この割合は、皮膚科(76.3%)、救命救急科(73.5%)、精神科/心療内科(69.8%)、産婦人科(67.7%)、外科(67.7%)などで高かった。 また、「現在の診療科以外」を選択した371人について集計した結果、内科(12.9%)、皮膚科(7.3%)、放射線科(5.4%)、外科(5.1%)、美容外科(5.1%)が人気であった。医師は選ばないとの回答も2.7%あった。主な理由は以下のとおり。【内科を選んだ理由】・いろいろな症例がみられる(40代、精神科/心療内科)・手術はしたくない(50代、循環器内科)・開業を目指す(50代、腎臓内科)・自分の健康に寄与するから(40代、小児科)【皮膚科を選んだ理由】・目に見えて効果がわかるから(40代、神経内科)・開業もしやすい。ランニングコストが少ない(40代、腎臓内科)・美容皮膚科に携わりたいから(40代、整形外科)【放射線科を選んだ理由】・放射線治療がますます進歩すると考えているから(50代、脳神経外科)・主治医にならないから(40代、救命救急科)・若いころに戻るならば、リモート診療、AIの発達に向けて動いてみたいと思えたから(40代、精神科/心療内科)【外科を選んだ理由】・なり手が少なく社会的な意義が高そう(40代、糖尿病・代謝・内分泌科)・将来AIの台頭で、機械では代用できない技術が重宝されると思うため(40代、放射線科)・外科に憧れがある(40代、消化器内科)【美容外科/美容皮膚科を選んだ理由】・健康な方をより元気にする科であるため(40代、総合診療科)・保険診療はもう嫌(40代、内科)・お金と時間がありそうなイメージ(40代、脳神経外科)・美容に興味があるから(50代、精神科/心療内科)自身の診療科を勧めるのは26.6%、勧めないのは18.3% また、「医学生や自分の子供などに自身の診療科を勧めるか」を尋ねた。その結果、「強く勧める」が7.4%、「勧める」が19.2%であり、合わせて約4分の1(26.6%)が自身の診療科を勧めるという結果であった。一方、「強く勧めない」は5.3%、「勧めない」は13.0%であり、合わせて約5分の1(18.3%)は自身の診療科を勧めないという結果であった。 この結果を診療科別にみると、自身の診療科を勧める(「強く勧める」と「勧める」の合算)と回答したのは、内科系が31.9%と多い傾向にあり、外科系(23.9%)、産婦人科・小児科・救命救急科(21.9%)は少ない傾向にあった。外科系の診療科のなかでも、脳神経外科(6.3%)、外科(12.9%)、消化器外科(15.2%)などで少ない傾向にあった。 勧めない(「強く勧めない」と「勧めない」の合算)と回答したのは、内科系が13.4%と少ない傾向にあり、外科系(22.3%)、産婦人科・小児科・救命救急科(23.1%)は多い傾向にあった。こちらも外科系のなかで、脳神経外科(34.4%)、消化器外科(27.3%)、外科(22.6%)が多い傾向にあった。アンケート結果の詳細は以下のページに掲載中。現在の診療科の満足度は?過去に戻れるならどの診療科を選ぶ?/医師1,000人アンケート

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自然の中での運動は屋内での運動よりも有益

 公園での散歩や小道を自転車で走るなどの自然の中で行う運動は、室内で行う運動よりも有益である可能性が、新たなレビューで示唆された。ただし、公共の自然エリアへのアクセスは地域により異なり、全ての人が屋外で運動できるわけではないと研究グループは指摘している。米テキサスA&M大学健康・自然センターのJay Maddock氏とHoward Frumkin氏によるこの研究の詳細は、「American Journal of Lifestyle Medicine」に5月11日掲載された。 Maddock氏らは本研究の背景説明の中で、現在、米国成人の4人に3人以上が推奨されている1週間の運動量を確保できていないと述べている。同氏らは、このような運動は、心臓病、糖尿病、一部のがん、骨粗鬆症などの慢性的な健康問題の予防に役立つ上に、免疫機能を高め、気分を改善し、痛みのコントロールを助け、寿命の延長にもつながると説明している。 この研究では、屋内運動との比較で屋外運動の利点を検討した先行研究のデータが分析された。その結果、屋外での運動には、気分や脳機能の改善や社会的交流の向上、運動することの楽しさの増大、労作感の軽減など、さまざまな利点のあることが明らかになった。ただし、これらの先行研究は1年未満という短期間で認められる結果に焦点を当てたものであり、得られた利点が長期的に蓄積されるかどうかは不明であるとMaddock氏らは説明している。 また、特定の集団は公園や緑地などの自然空間で運動するのが困難なことも分かった。例えば、地方では私有地が多いため、自然空間へのアクセスが少ないことが多いのだという。この点についてMaddock氏は、「例えば、公園から半マイル(約800m)以内の距離に住んでいる住民は、イリノイ州では98%近くに上るのに、ミシシッピ州ではわずか29%にとどまる」と述べている。 さらに、男性は女性よりも、公園や自然空間を利用する傾向が強いことも明らかになった。Maddock氏らは、これは、おそらく安全性への配慮に由来する結果だとの見方を示している。このほか、ロサンゼルスを拠点とするある研究によると、黒人の成人は白人、ラテン系、アジア系太平洋諸島民の成人よりも自然空間で運動する人が少ないことや、子ども、高齢者、障害を持つ人々は自然空間へのアクセスに課題を抱えていることなども明らかになった。Frumkin氏は、「公園やその他の自然空間を、容易に移動できる安全な空間とし、適切なプログラムを用意することで、そのような環境の利用を増やすことができる」と述べている。 こうした結果を踏まえてMaddock氏とFrumkin氏は、医師は患者に公園や自然空間を「処方」することを検討すべきだと主張している。Maddock氏は、「患者に自然の中で過ごす時間を増やすように勧めることは、自然処方、あるいは『ParkRx』として知られている。今後、研究を重ねる必要はあるものの、これまでの研究ではこのアプローチが効果的であることが示唆されている」と述べている。 Maddock氏らはさらに、医療専門家は、公園や緑地の造成・維持のための資金援助や、それらの利用を促進する地域社会の取り組みを手助けすることもできると話す。Maddock氏は、「公園や自然空間を身体活動に利用することは、運動することと自然の中で過ごすことという2つの重要な健康行動を同時に促進する強力な手段となり得ることは明らかだ。米国人の大多数が運動不足で、屋外で過ごす時間も不十分であることを考慮すると、これは特に重要な可能性がある」と述べている。

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スマホのツールによる顔のスキャンで脳卒中を検出

 救急隊員がスマートフォン(以下、スマホ)のツールを使って患者の顔をスキャンすることで、数秒以内に脳卒中の有無を判定できる可能性のあることが、RMIT大学(オーストラリア)のGuilherme Camargo de Oliveira氏らの研究で示された。人工知能(AI)で駆動するこのツールは、顔の対称性と特定の筋肉の動きを分析し、脳卒中のわずかな兆候を検出することができるという。研究の詳細は、「Computer Methods and Programs in Biomedicine」6月号に掲載された。 脳卒中は、動脈の閉塞により脳への血流が止まったり、血管が破裂して脳内で出血したりすることで発症する。脳卒中の症状には、錯乱、身体の一部または全身の運動コントロールの喪失、言語障害、表情の消失などがある。 De Oliveira氏は、「脳卒中患者に認められる重要な特徴の1つとして、顔の筋肉の動きが通常は片側性となり、左右で異なる動きをすることが挙げられる」と言う。さらに同氏は、「われわれは、笑顔の非対称性に変化があるかどうかを検出できるAIツールと画像処理ツールを手に入れた。こうした非対称性を検出することは、患者の脳卒中を見つける鍵となる」と同大学のニュースリリースの中で付け加えている。 研究グループが、脳卒中を発症した14人の患者と11人の健康な人の動画を用いてこのAIツールの脳卒中検出能を検証したところ、82%の精度で脳卒中を検出できることが示された。この結果について、論文の上席著者でRMIT工学部教授のDinesh Kumar氏は、「われわれのスクリーニングツールは、救急隊員と比較しても遜色のない検出率を示した」と説明している。 Kumar氏は、「われわれは、患者が脳卒中を発症しているかどうかを救急隊員が瞬時に判断し、救急車が患者の自宅から出発する前に病院に情報提供することを可能にするシンプルなスマホのツールを開発した」と話す。ただし、このツールは病院で行われている診断目的の臨床検査の代わりにはならないことをde Oliveira氏らは強調している。それでも、症状から脳卒中発症の可能性を見極めることで、治療が必要な患者の特定につなげることができる可能性がある。 Kumar氏は、「これまでの研究から、救急外来や地域の病院で脳卒中の13%近くが見逃されている一方で、神経学的検査を受けた記録がない患者の65%が未診断の脳卒中を経験していることが示唆されている」と言う。また同氏は、「多くの場合、その兆候は極めて微妙なものだ。その上、ファーストレスポンダーが自分と同じ人種や性別ではない人、特に女性や有色人種の人に対応する場合には、脳卒中の兆候が見逃される可能性が高くなる」と付け加えている。 De Oliveira氏らは、次の段階として、このスマホのツールをアプリとして開発する予定だ。また、同氏らは表情に影響を与える他の脳の状態もこのアプリによって検出できるようにするため、医療従事者と連携していきたいとの意向も示している。Kumar氏は、「われわれは、感度と特異度を可能な限り高めたいと考えており、現在、さらなるデータを使い、脳卒中以外の疾患も考慮したAIツールの開発に向けて取り組んでいるところだ」と話している。

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第222回 結核薬ベダキリンを米国と欧州が本承認

結核薬ベダキリンを米国と欧州が本承認欧米で10年以上前にひとまず許可されたJohnson & Johnsonの結核薬ベダキリン(商品名:サチュロ錠)がそれら地域で本承認にこぎ着けました1,2)。第II相試験で良い結果が得られたことを受けて、米国FDAは10年以上前の2012年に同剤を取り急ぎ承認(accelerated approval)しました。欧州はその2年後の2014年にやはり第II相試験結果に基づいてFDAと同様に同剤を条件付き承認(conditional approval)しています。米国での2012年の承認の際の同剤使用は成人に限られていました。2019年になって12歳以上の小児への使用も許可され、その翌年2020年には5歳以上の小児への使用も認められました。そして今回第III相STREAM Stage 2試験でベダキリンを含む経口薬治療の臨床的有用性(clinical benefit)が示されたことを受けて、米国と欧州の両方で本承認に至りました。2022年にLancet誌に結果が報告されたSTREAM Stage 2試験は7ヵ国の13の病院で実施され、15歳以上のリファンピシン耐性結核患者588例が参加しました3)。76週時点で結核菌が見当たらず(培養検査陰性)、それまでを死なずに無事に過ごした経過良好患者の割合の比較で、ベダキリンを含む経口薬治療群が対照の注射薬治療群に勝りました。経過良好の患者割合は、ベダキリンを含む経口薬治療群では83%、同剤を含まない対照群では71%でした。米国と欧州のどちらも、少なくともリファンピシンとイソニアジドに耐性のある結核菌が原因の肺結核の併用療法(combination therapy)の一環としてベダキリンを使うことを認めています。日本では2018年1月に承認され、同年5月に発売されました4)。いまやベダキリンは世界保健機関(WHO)が推奨する薬剤耐性結核治療の要となっており、ベダキリンを含む経口薬のみの投与が多剤耐性結核患者4例に3例の治療を担っています。昨年Johnson & Johnsonは結核治療普及の取り組みであるStop TB Partnershipがベダキリンの後発医薬品を世界のほとんどの低~中所得国(LMIC)に提供するのを許可しました。また、134のLMICでベダキリンの特許を行使しないとの意向も同社は示しています。参考1)Johnson & Johnson Receives Approval from U.S. FDA and European Commission for SIRTURO? (bedaquiline) / J&J2)FDA Roundup: June 25, 2024 / PRNewswire3)Goodall RL, et al. Lancet. 2022;400:1858-1868.4)新規抗結核薬「サチュロ錠100mg」新発売のお知らせ/ヤンセン

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消化器内科「ピロリ菌感染症関連」【臨床実習を味わうケアネット動画Café】第1回

動画解説臨床研修サポートプログラムの研修医のための内科ベーシック1消化器内科より、宮垣亜紀先生の「ピロリ菌感染症関連」を鑑賞します。実習中に聞かれがちなピロリ菌除菌に使用する3剤、答えられますか?

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臨床現場で感じる甲状腺眼症診療の課題とは?/アムジェン

 アムジェンは、2024年6月20日に、甲状腺眼症の診療を取り巻く現状や課題をテーマとしたメディアセミナーを開催した。同セミナーでは、渡邊 奈津子氏(伊藤病院 内科部長)が甲状腺眼症の診断や治療について、神前 あい氏(オリンピア眼科病院 副院長)が甲状腺眼症の臨床経過についてそれぞれ語った。活動期の早期の治療が求められる甲状腺眼症 甲状腺眼症はバセドウ病やまれに橋本病に伴ってみられる眼窩組織の自己免疫性炎症性疾患であり、多岐にわたる眼症状を引き起こす。甲状腺は、甲状腺ホルモンを合成・分泌する役割を担っており、正常な状態では下垂体から分泌される甲状腺刺激ホルモン(TSH)が甲状腺のTSH受容体と結び付き、適量のホルモンが分泌される。しかし、バセドウ病では、TSH受容体に対する抗体が生成され、常にTSH受容体が刺激されて過剰なホルモンが分泌される。甲状腺眼症は、目の周囲の眼窩におけるTSH受容体が刺激されることで発症する。甲状腺眼症の病態は非常に広範であり、瞼、角膜、結膜、外眼筋、視神経、脂肪組織、涙腺など、さまざまな部位に影響を及ぼす。たとえば、涙腺の炎症によって涙が出にくくなったり、脂肪組織や外眼筋の肥大により眼球が飛び出したりするケースがある。最重症例では、視神経が圧迫されて視力障害や視神経萎縮が起こることもある。一方で、眼の症状については見落とされることがしばしばあり、臨床で問題となることもあるという。 甲状腺眼症においては、軽症から中等症の患者の約6割が自然に改善するとされるが、眼球突出や外眼筋障害の場合は治療介入が必要となる。治療法としては、活動期にステロイド治療や放射線治療を行うことが有効だが、活動期を過ぎてしまうとこれらの効果が薄れてしまう。そのため、重症度分類とClinical Activity Score(CAS)を用いた活動性評価を実施し、タイミングを見極めて治療を行うことが重要となる。また、活動性の評価にはMRIを用いた画像診断も推奨される。また、喫煙や甲状腺機能の管理、酸化ストレスなどの甲状腺眼症のリスク因子の管理が重要であり、初診時だけでなく定期的な目のチェックが必要である。 甲状腺眼症の患者は、視機能障害のみならず、見た目の変化や職業での制限、心理的な影響などによってQOLが損なわれることが多い。とくに複視や眼球突出がQOLに大きな影響を与えるとされるほか、若い女性では外見上の問題が深刻で、軽症であってもQOL改善のために治療を望む患者も多いことに注意が必要である。 渡邊氏は内科医として、眼科専門医と患者との三者間で連携し、甲状腺眼症の診療を行うことが重要であると強調した。甲状腺眼症の特徴的な所見とは 続く講演で神前氏は、自身の経験した症例から甲状腺眼症の治療と臨床経過について説明した。甲状腺眼症において、眼瞼や眼球突出などの症状の進行具合や重さは患者によって異なるという。甲状腺眼症の所見として最も多いのは眼瞼の症状で、バセドウ病を併発している場合はその症状の悪化に伴い、ミュラー筋の緊張により上眼瞼が開くことが多い。この症状はバセドウ病の治療で改善するが、上眼瞼挙筋の炎症や腫れが進行すると、瞼が腫れ、目が閉じにくくなることがある。神前氏の施設では約6割の患者がこの瞼の腫れを訴えているというが、一重まぶたが多い日本人では腫れがわかりにくいこともある。その場合は、目を下に向けると目が閉じにくいといった所見を確認することで鑑別できるという。また、眼球突出は脂肪や筋肉の腫れが原因で起こるが、黒目の下の白目が見えてくるという点が眼球突出を見極めるポイントとなる。アンメットニーズを満たす新たな治療への期待 甲状腺眼症の炎症が続いて眼の症状が悪化した場合は、炎症が治まる前に消炎治療が必要になる。日本での消炎治療としてはステロイド治療や放射線治療が用いられるが、消炎治療のみで改善しない場合には、手術が必要になることもある。また、2015年からは斜視に対するボツリヌス毒素注射も保険適用されている。瞼の腫れや見開きに対しては、ステロイドの局所注射が効果的であり、約6割の患者が1回の注射で症状が改善するという。複数回の注射を行うことで、瞼の見開きや腫れがさらに改善される。また、複視の治療では、ステロイドパルス治療や放射線治療が行われ、斜視が残った場合には手術が必要な症例もある。最重症例の圧迫性視神経症は、視神経が筋肉に圧迫されることで視力障害を引き起こす症状であり、ステロイドパルス治療や眼窩減圧手術が必要になることが多い。とくに視力が0.1以下の重症例では、手術が必要になる確率が高いという。 講演の最後に神前氏は、甲状腺眼症のアンメットニーズについて、現状の消炎治療では眼球突出の改善が難しく手術が必要になってしまうと語り、「ステロイド治療や放射線治療が効果のない症例に対しては新たな治療法が望まれる」と締めくくった。

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糖尿病患者の認知症リスク低減、GLP-1RA vs.DPP-4i vs.SU薬

 65歳以上の2型糖尿病患者9万例弱を最長10年間追跡した結果、GLP-1受容体作動薬を服用する患者では、スルホニル尿素(SU)薬やDPP-4阻害薬を服用する患者よりも認知症の発症リスクが低かったことが、スウェーデン・Karolinska InstitutetのBowen Tang氏らによって明らかになった。eClinicalMedicine誌オンライン版2024年6月20日号掲載の報告。 これまでの研究により、2型糖尿病患者は認知症の発症リスクが高いことが報告されている1)。一部の血糖降下薬は、プラセボまたはほかの血糖降下薬との比較において、2型糖尿病患者の認知障害および認知症のリスクを低減させる可能性が示唆されているが、相反する報告もあり、さらなる研究が求められていた。そこで研究グループは、糖尿病を有する高齢者の認知症リスクに対する3つの薬剤クラス(GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬、SU薬)の影響を比較するため、スウェーデンの全国登録から取得したリアルワールドデータを用いて、2010年1月1日~2020年6月30日に臨床試験を模した逐次試験エミュレーション(sequential trial emulation)を実施した。 対象は、65歳以上で2型糖尿病を有し、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬またはSU薬の投与を開始したスウェーデン居住者であった。認知症の既往や過去1年間に研究対象の薬剤クラスを服用したことがある参加者は除外した。基準を満たした参加者を、最初の月をベースラインとして試験に毎月組み入れた。 主な結果は以下のとおり。●ベースラインでGLP-1受容体作動薬(1万2,351例)、DPP-4阻害薬(4万3,850例)、SU薬(3万2,216例)が処方された8万8,381例が含まれた。平均年齢はそれぞれ71.62歳、74.78歳、74.21歳であった。●平均追跡期間は4.3年で、追跡期間中に4,607例が認知症を発症した。GLP-1受容体作動薬開始群では278例(発症率は1,000人年当たり6.7)、DPP-4阻害薬開始群では1,849例(11.8)、SU薬開始群では2,480例(13.7)であった。●ITT解析において、GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬の開始群では、SU薬開始群と比較して認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のハザード比(HR):0.69(95%信頼区間[CI]:0.60~0.79、p<0.000) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:0.89(95%CI:0.82~0.97、p=0.0069)●GLP-1受容体作動薬開始群は、DPP-4阻害薬開始群と比較しても認知症リスクが有意に低かった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.77(95%CI:0.68~0.88、p<0.0001)●パー・プロトコル解析において、GLP-1受容体作動薬開始群は、SU薬およびDPP-4阻害薬の開始群と比較して認知症リスクが有意に低かったが、DPP-4阻害薬開始群とSU薬開始群との間には有意な差は認められなかった。 ・GLP-1受容体作動薬vs.SU薬のHR:0.41(95%CI:0.32〜0.53、p<0.0001) ・GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬のHR:0.38(95%CI:0.30〜0.49、p<0.0001) ・DPP-4阻害薬vs.SU薬のHR:1.07(95%CI:0.98〜1.17、p=0.13)

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低リスク前立腺がんの監視療法、10年後の病勢進行率は?/JAMA

 未治療の低リスク前立腺がん患者では、プロトコールに基づく監視療法(active surveillance)により、診断から10年の時点で49%の男性が病勢の進行がないか治療を開始しておらず、転移病変の発生は2%に達せず、前立腺がんによる死亡は1%未満であり、監視療法中の病勢進行や治療はアウトカムの悪化とは関連しないことが、米国・Fred Hutchinson Cancer CenterのLisa F. Newcomb氏らが実施した「Canary PASS研究」で示された。研究の成果は、JAMA誌2024年6月25日号で報告された。北米10施設の前向き観察研究 Canary PASS研究は、米国とカナダの10施設で実施した前向き観察研究であり、2008~22年8月に、低リスク前立腺がんと診断され、前治療歴のない男性2,155例を登録した(Canary Foundationなどの助成を受けた)。 全例で、限局性前立腺がんに対し、標準化されたプロトコールに基づいて前立腺特異抗原(PSA)の測定と、前立腺生検による監視療法を行った。 主要評価項目として、生検に基づく悪性度の再分類、根治的治療(根治的前立腺全摘除術、放射線療法、アンドロゲン除去療法[ADT]、その他)、根治的前立腺全摘除術時の有害な病理所見、治療後の再発、転移、全死亡、疾患特異的死亡の評価を行った。10年後の生検による悪性度再分類43%、治療49% 診断後の追跡期間中央値は7.2年であった。診断時の年齢中央値は63歳、83%が非ヒスパニック系の白人、7%が黒人であった。90%がグレードグループ1(GG1)の診断を受けており、PSA中央値は5.2ng/mLだった。 2,155例中2,008例が、診断のための初回生検後に監視療法としての生検を1回以上受けた。このうち約半数(1,003例)は悪性度の再分類または治療を受けなかった。374例が、確認生検で早期に、より悪性度の高いがんに再分類され、404例はその後の生検で悪性度の高いがんに再分類された。 診断から10年後に、生検による悪性度再分類は43%(95%信頼区間[CI]:40~45)で、治療は49%(47~52)で行われていた。 また、確認生検に基づき治療を受けた患者は425例(診断後の経過期間中央値1.5年)、その後の生検に基づき治療を受けた患者は396例(4.6年)であり、5年再発率はそれぞれ11%(95%CI:7~15)および8%(5~11)であった。10年後の転移発生率1.4%、前立腺がん特異的死亡率0.1% 根治的前立腺全摘除術時に、転移を有するがんへと進行していた患者は21例で、このうち10例は遠隔転移、5例は領域転移、6例はリンパ節転移であった。また、前立腺がん関連死は3例だった。 診断後の10年転移発生率の推定値は1.4%(95%CI:0.7~2)、10年前立腺がん特異的死亡率は0.1%(0~0.4)と低く、同じ経過期間における全死亡率は5.1%(3.8~6.4)であった。 著者は、「これらの結果は、低リスク前立腺がんと診断された患者では、監視療法が有効な疾患管理戦略であることを示すものである」と指摘している。

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座位時間を減らすことが健康的な老化につながる

 テレビは、ついだらだらと見てしまうものだが、健康的な老化のためにはソファーに座っている時間は短い方が良いことを明らかにした研究結果がまた1件報告された。米ハーバード大学T.H.チャン公衆衛生大学院疫学分野のMolin Wang氏らによる研究で、詳細は「JAMA Network Open」に6月11日掲載された。 この研究は、Nurses' Health Studyに参加した4万5,176人の女性の20年間の追跡データを用いて、座位行動および低強度の運動(light-intensity physical activity;LPA)と健康的な老化との関連を調査したものである。全参加者が1992年時点で50歳以上であり(平均年齢59.2歳)、慢性疾患は持っていなかった。座位行動の指標として、座位でテレビを見ている時間、座位で仕事をしている時間、その他の家庭での座位時間、LPAの指標として、家庭(LPA-HOME)と仕事(LPA-WORK)でそれぞれ立ったり歩いたりして過ごす時間を調べた。健康的な老化とは、主要な慢性疾患に罹患しておらず、主観的認知機能・身体機能・メンタルヘルス障害がない状態で70歳以上に達している場合と定義された。 20年にわたる追跡期間中に、3,873人(8.6%)が健康的な老化を達成していた。結果に影響を与える因子を調整して解析した結果、座位でテレビを見る時間が1日当たり2時間増えるごとに健康的な老化を達成するオッズが12%低下するが、LPA-WORKが1日当たり2時間増えるごとに同オッズは6%上昇することが示された。また、座位でテレビを見る時間のうちの1時間をLPA-HOME、LPA-WORK、または中強度から高強度の運動に置き換えることで、健康的な老化を達成するオッズがそれぞれ8%、10%、28%上昇することも明らかになった。さらに、夜間の睡眠時間が7時間未満の人は、テレビの視聴時間を睡眠に置き換えることで、健康的な老化を達成するオッズが高まることも示された。 この研究には関与していない、米ナショナル・ジューイッシュ・ヘルスで心血管の予防と健康を担当するAndrew Freeman氏はCNNの取材に対し、「テレビを見ることは、特に不健康な行為だ。その理由は、動かないからというだけではない。テレビを見るという行為には、ジャンクフードやTVディナー(温めるだけでそのまま食べられるワンプレートタイプの冷凍食品)を食べたり、人とコミュニケーションを取る機会を失ったり、睡眠が妨げられたりといったことを伴いがちだ」と指摘する。 Freeman氏は、「運動は、どんな方法でも、どんな時間でも、全てを好転させることができる。運動は、心血管系のリスクと血圧を下げる、本当に素晴らしい方法だ」と話す。同氏は、「私が強く勧めたいのは、職場でのスタンディングデスクやトレッドミルデスクの使用だ。私の考えでは、一度に30分以上座っているのであれば、それはおそらく長過ぎであり、少しでも動くように努めるべきだ」と述べている。

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8年間レーザーポインタを自分の眼球に当て続けた男の子【Dr. 倉原の“おどろき”医学論文】第260回

8年間レーザーポインタを自分の眼球に当て続けた男の子12歳の男の子が、少なくとも1年間続く両眼性の視力低下を訴えて来院しました。しかし、どうやらただの調節障害というわけではないようです。どういうことでしょう。Coombs RA, et al. Sneeze and burn: Macular scars secondary to sun- and laserbeam-staring to induce photic sneeze reflex.Am J Ophthalmol Case Rep. 2024 Jun;34:102018.彼には太陽や光を見たときにくしゃみが誘発される反射がありました。俗にいう、「光くしゃみ反射」です。花粉症のようにずっとくしゃみが起こるわけではなく、まぶしさを感じたときに1回か2回くしゃみが出るだけで終わります。彼にとってはそれが心地よかったのでしょうか、小さいころからその反射を誘発しようとしていたみたいです。赤いレーザーポインタが出てくる猫のおもちゃをこよなく愛し、それを眼球に当てるとくしゃみが出るので、日課にしていたようです。来院時、視力は右目20/30、左目20/40でした。細隙灯生体顕微鏡検査と眼圧は両目とも正常でしたが、眼底検査では萎縮性瘢痕がみられました。光干渉断層計(OCT)では、視野欠損部位に一致して網膜外層の構造異常(ellipsoid zoneの欠損、interdigitation zoneの消失)が確認されています。彼には、抗精神病薬を使用する注意欠陥多動性障害(ADHD)の既往がありましたが、内服している薬剤に光線障害の感受性を上昇させるものはなかったそうです。なので、純粋に8年間当て続けたがゆえの視力障害だったといえます。ちなみに今回の症例でみられた光くしゃみ反射ですが、ある調査では日本人の約4人に1人がこの反射を持っていることがわかっています1)。少し甘い基準で調査したこともあって、ほぼ確実に光くしゃみ反射を起こすのはこの半分くらい、約8人に1人と考えられています。顕性遺伝で親から子へ受け継がれていくこともわかっていて、くしゃみ反射を持つ家系では他の家族も光くしゃみ反射を持っていることが多いです。決して、眼球にレーザーポインタを当ててくしゃみを誘発させるといった真似はしないように。1)児玉正志、他. 東北地方における光刺激によって誘発されるくしゃみ反射に関するアンケート調査.医学と生物学. 1992;125(6):2159.

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polypharmacy(ポリファーマシー)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第7回

言葉の由来高齢者医療の分野でよく耳にするようになった用語「ポリファーマシー」は、英語の“polypharmacy”をカタカナにしたものです。“polypharmacy”という言葉は、ギリシャ語由来の2つの部分から成り立っています。接頭辞の“poly-”は、ギリシャ語由来の“polys”から来ており、「多い」「複数の」という意味があります。たとえば、“polyarthritis”は「多関節炎」を意味しますし、“polyuria”は「多尿」を意味します。このように医療現場でもいろいろな単語の中に登場するので、ご存じの方も多いかもしれません。一方、後半の“-pharmacy”はギリシャ語の“pharmakeia”から来ており、「薬」や「薬学」を意味します。単独の“pharmacy”で「薬局」という意味で日本でもよく用いられていますので、こちらもぴんとくる方が多いかもしれません。これら2つの要素が合わさって形成された“polypharmacy”という単語、意味としては「多くの薬を使用した状態」を指します。とくに高齢者や慢性疾患を持つ患者で、薬の相互作用や副作用に対して注意が必要な状況で重要となる言葉です。ただし、過去のシステマティックレビュー1)によれば、ポリファーマシーの定義(1日何錠以上から該当するのかなど)は厳密には定まっておらず、それが研究や臨床現場での評価を困難にしている、という指摘もあります。併せて覚えよう! 周辺単語薬物相互作用drug interaction脱処方deprescribing併存疾患comorbidity用量調整dose adjustment薬剤の照合と調整medication reconciliation(よくmed recと略して用いられる)この言葉、英語で説明できますか?Polypharmacy refers to the use of multiple medications by a patient, often to manage several health conditions at the same time. This is common in older adults who may have several chronic illnesses. While taking several medications can be necessary, it also increases the risk of side effects and drug interactions.参考1)Masnoon N, et al. BMC Geriatr. 2017;17:230.講師紹介

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統合失調症の診断、治療、モニタリングおける酸化バイオマーカーの重要性

 統合失調症は、非常に複雑な疾患であり、その病因は多面的である。これまでに、統合失調症の病態生理学と酸化ストレスとの関連を示唆する報告がされている。ポーランド・Pomeranian Medical UniversityのElzbieta Cecerska-Heryc氏らは、統合失調症と酸化ストレスとの関連を明らかにするため、本研究を実施した。Schizophrenia Research誌オンライン版2024年6月7日号の報告。 対象は、慢性期統合失調症患者および発症しやすい状態(初回エピソード精神疾患、超高リスク)の患者150例。統合失調症を発症しやすい状態の患者は、4つのサブグループ(欠損型統合失調症、非欠損型統合失調症、初回エピソード精神疾患、超高リスク)に分類した。対照群は、健康ボランティア34例とした。酸化ストレスマーカーと脳由来神経栄養因子(BDNF)の測定には、分光光度法、ELISA法を用いた。 主な結果は以下のとおり。・すべての患者は、対照群と比較し、抗酸化酵素の活性および還元型グルタチオン総抗酸化能の濃度が低かった(p<0.001)。・BDNF濃度は、超ハイリスク患者を除くすべての患者において、対照群よりも低かった(p=0.01)。・BDNF、グルタチオン還元酵素、グルタチオンS-トランスフェラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ活性と罹病期間との間に相関が認められた(p<0.02)。・酸化ストレスマーカーに対する喫煙のわずかな影響が確認された(rho<0.06、p<0.03)。 著者らは、「酸化ストレスは、統合失調症の臨床パターンが発現する前に、統合失調症の病態生理学に重要な役割を果たす可能性が示唆された。統合失調症患者は、重篤な酸化還元不均衡が出現し、精神疾患発症につながる状態であるため、自然な抗酸化システムで完全に補完することは困難である」とし、「酸化ストレスバイオマーカーは、統合失調症の診断をサポートし、進行予測に役立つ可能性がある」としている。

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AKT阻害薬カピバセルチブ、使用のポイントと今後への期待/AZ

 アストラゼネカは、カピバセルチブ(商品名:トルカプ)について、「トルカプ 上市メディアセミナー ~進行再発乳がんへの有効性を示した世界初のAKT阻害薬~」と題したメディアセミナーを2024年6月21日に開催した。 本セミナーでは、がん研有明病院 乳腺センター センター長の上野 貴之氏より、カピバセルチブの臨床成績および遺伝子検査の現状について語られた。カピバセルチブの作用機序 閉経後ホルモン受容体(HR)陽性HER2陰性転移・再発乳がんに対する1次内分泌療法として、非ステロイド性アロマターゼ阻害薬とCDK4/6阻害薬の併用が標準的に使用されているが、2次内分泌療法の最適な治療選択は確立されていない。そこでAKT阻害薬カピバセルチブなどの新たな治療選択肢が期待されている。 カピバセルチブは、PI3K/AKT/PTENシグナル伝達経路にあるAKTを阻害する。AKTの活性化が、がん細胞の生存や増殖を促進し、内分泌療法に対する抵抗性に関与するといわれており、HR陽性乳がん患者ではこれらの遺伝子変異が観察されることから治療ターゲットとして注目されている。AKTを阻害することで経路全体を抑えることができ、ホルモン療法に対する耐性を克服し、がん治療の効果を高めることが期待されている。カピバセルチブの臨床成績 アロマターゼ阻害薬を含む内分泌療法後に増悪した、エストロゲン受容体陽性かつHER2陰性の手術不能または再発乳がん患者を対象とした、第III相試験(CAPItello-291試験)について紹介された。患者背景を見ると、約70%の患者がCDK4/6阻害薬による前治療を受けており、PIK3CA、AKT1、PTEN遺伝子のいずれかの変異がある患者は約40%、変異がない患者は約56~62%であり、約15%は変異の有無が不明である。 有効性については、PIK3CA、AKT1、PTEN遺伝子変異が1つ以上認められる集団において、カピバセルチブとフルベストラント(商品名:フェソロデックス)の併用療法が、フルベストラント単剤療法と比較し、病勢進行または死亡のリスクを50%低下させることが示された(ハザード比:0.50、95%信頼区間:0.38~0.65、p<0.001、無増悪生存期間[PFS]中央値:7.3ヵ月vs.3.1ヵ月)。上野氏は「カピバセルチブ併用群では投与開始2~4ヵ月後のPFSの落ち込みの抑制が見られる。早期の治療効果判定は、医師と患者間の良好な関係を保つうえでも重要なポイントだ」と語った。 安全性については主に高血糖、下痢、皮膚障害に触れ、「有害事象のマネジメントは早めに対応しながら、必要に応じて休薬や減量による用量調節が重要である。また本剤の用法は4日間連続して服薬し、その後3日間の休薬を1サイクルとしているため、飲み間違えないよう注意が必要だ」と上野氏は解説した。遺伝子検査の現状 カピバセルチブを投与するに当たってはPIK3CA、AKT1またはPTEN遺伝子変異を有する患者が対象とされる。この遺伝子変異を検出するためには「FoundationOne CDx がんゲノムプロファイル」によるコンパニオン診断が必要であるが、コンパニオン診断可能施設は、がんゲノム医療の中核拠点病院や拠点病院、連携病院と限られる。同氏は、「自施設で検査ができない場合は連携病院などに依頼しなければならない点が課題である。今後はより依頼しやすい連携がつくられることが望まれる」と述べている。

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中等度~重度の外傷性脳損傷アウトカム、非制限輸血vs.制限輸血/NEJM

 貧血を伴う重度の外傷性脳損傷患者において、非制限輸血戦略は制限輸血戦略と比較して6ヵ月後の不良な神経学的アウトカムのリスクを改善することはなかった。カナダ・ラヴァル大学のAlexis F. Turgeonらが、無作為化比較試験「Hemoglobin Transfusion Threshold in Traumatic Brain Injury Optimization pragmatic trial(HEMOTION試験)」の結果を報告した。重度の外傷性脳損傷患者のアウトカムに対する制限的輸血戦略と非制限輸血戦略の有効性は不明であった。NEJM誌オンライン版、2024年6月13日号掲載の報告。6ヵ月後の神経学的アウトカム不良について比較検証 HEMOTION試験は、カナダ、イギリス、フランス、ブラジルの神経集中治療専門の外傷センター34施設で実施された、PROBE(Prospective Randomized Open Blinded End-Point)デザインの試験である。 研究グループは、中等度または重度の外傷性脳損傷(グラスゴー昏睡尺度[GCS、スコア範囲3~15で低スコアほど意識レベルが低いことを示す]スコア3~12)および貧血(ヘモグロビン値10g/dL以下)の18歳以上の患者を、非制限輸血戦略群(非制限群)と制限輸血戦略群(制限群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 非制限群では、ヘモグロビン値が10g/dL以下で、制限群ではヘモグロビン値が7g/dL以下で赤血球輸血を行った。 主要アウトカムは、拡張グラスゴー転帰尺度(Glasgow Outcome Scale-Extended[GOS-E]、スコア範囲:1[死亡]~8[上位の良好な回復])の評価に基づく6ヵ月後の不良なアウトカムであった。ベースライン時点で各患者の予後を3つのリスクレベル(最悪、中間、最良)に分類し、6ヵ月後のGOS-Eスコアがそれぞれ3、4、5以下であった場合に不良なアウトカムと定義した。 副次アウトカムは、6ヵ月以内の死亡、機能的自立度(Functional Independence Measure[FIM])、QOL(EQ-5D-5Lなど)、うつ病(Patient Health Questionnaire-9[PHQ-9])などであった。主要アウトカムに両群で有意差なし 2017年9月1日~2023年4月13日に、計742例が無作為化され(各群371例)、722例が主要アウトカムの解析対象集団となった。集中治療室(ICU)におけるヘモグロビン値(中央値)は、非制限群では10.8g/dL、制限群では8.8g/dLであった。 不良なアウトカムは、非制限群では364例中249例(68.4%)、制限群では358例中263例(73.5%)に認められた(制限群と非制限群の補正後絶対群間差:5.4%、95%信頼区間[CI]:-2.9~13.7)。 6ヵ月死亡率は非制限群26.8%、制限群26.3%(ハザード比:1.01、95%CI:0.76~1.35)であった。6ヵ月時の生存例において、非制限群は制限群と比較し機能的自立度やQOLの一部で良好なスコアが得られたが、輸血戦略と死亡率またはうつ病との間に関連性は認められなかった。 静脈血栓塞栓症の発現率は各群8.4%で、急性呼吸窮迫症候群は非制限群で3.3%、制限群で0.8%に発現した。 なお、著者は研究の限界として、貧血患者のみを募集し、より重度の外傷脳損傷患者を対象としたこと、ベースラインでいくつかの予後変数を含む両群間の不均衡が確認されたこと、治療の割り付けに関して診療チームに対する盲検化はできなかったことなどを挙げている。

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2型糖尿病薬で高K血症リスクが低いのは?/BMJ

 2型糖尿病患者において、SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症のリスクが低いことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のEdouard L. Fu氏らによる同国内の3つの医療保険請求データベースを用いた解析結果で示された。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬およびDPP-4阻害薬は、2型糖尿病の治療においてますます用いられるようになっているが、日常臨床における高カリウム血症の予防に関して、これらの薬剤の相対的な有効性は不明であった。著者は、「SGLT2阻害薬およびGLP-1受容体作動薬の各クラスにおける個々の薬剤で結果は一貫していることから、クラス効果が示唆される。このことは2型糖尿病患者、とくに高カリウム血症のリスクがある患者へのこれらの薬剤の使用を支持するものである」とまとめている。BMJ誌2024年6月26日号掲載の報告。傾向スコアマッチングでSGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬の高K血症の発症を比較 研究グループは、2013年4月~2022年4月の3つの米国医療保険請求データベース(メディケア、Optum’s deidentified Clinformatics Data Mart、MarketScan)を用い、1対1の傾向スコアマッチングにより、新たに治療を開始したSGLT2阻害薬vs.DPP-4阻害薬(コホート1:77万8,908例)、GLP-1受容体作動薬vs.DPP-4阻害薬(コホート2:72万9,820例)、SGLT2阻害薬vs.GLP-1受容体作動薬(コホート3:87万3,460例)の3つのコホートを同定し解析した。 解析対象は、2型糖尿病と診断され、過去365日間に比較対象である2種類の薬剤のいずれかを使用しておらず、年齢18歳以上(メディケアの場合は65歳以上)、コホート登録前に12ヵ月以上継続して保険に加入していた患者であった。 主要アウトカムは、入院または外来における高カリウム血症の診断、副次アウトカムは、外来での追跡中における高カリウム血症(血清カリウム値5.5mmol/L以上)の発症、および入院または救急外来における高カリウム血症の診断とした。SGLT2阻害薬、GLP-1受容体作動薬はDPP-4阻害薬よりリスクが低い SGLT2阻害薬による治療開始は、DPP-4阻害薬より高カリウム血症の発症率が低く(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.73~0.78)、GLP-1受容体作動薬との比較でも発症率がわずかに低下した(HR:0.92、95%CI:0.89~0.95)。GLP-1受容体作動薬の使用は、DPP-4阻害薬より高カリウム血症の発症率が低かった(HR:0.79、95%CI:0.77~0.82)。 3年間の絶対リスクは、SGLT2阻害薬(4.6%)がDPP-4阻害薬(7.0%)より2.4%(95%CI:2.1~2.7)低く、GLP-1受容体作動薬(5.7%)がDPP-4阻害薬(7.5%)より1.8%(95%CI:1.4~2.1)低く、SGLT2阻害薬(4.7%)がGLP-1受容体作動薬(6.0%)より1.2%(95%CI:0.9~1.5)低かった。 これらの結果は、副次アウトカム、および年齢、性別、人種、併存疾患、他の薬剤の使用、HbA1c値によって定義されたサブグループ間で一貫していた。SGLT2阻害薬ならびにGLP-1受容体作動薬のDPP-4阻害薬に対する絶対スケールでの有益性(率差)は、心不全、慢性腎臓病、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬を使用している患者で最も大きかった。 DPP-4阻害薬と比較して高カリウム血症の発症率が低いことは、SGLT2阻害薬(カナグリフロジン、ダパグリフロジン、エンパグリフロジン)およびGLP-1受容体作動薬(デュラグルチド、エキセナチド、リラグルチド、セマグルチド)の個々の薬剤で一貫して観察された。

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ペットと一緒に健康管理(Dr.坂根のすぐ使える患者指導画集)

患者さん用画 いわみせいじCopyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.説明のポイント(医療スタッフ向け)診察室での会話患者医師患者医師患者医師患者先生、最近、犬が太ってきたようで…。どんな感じなんですか?(患者の話に興味を示す)首と肩の境がなくて、くびれもなくなってきて…やっぱり、犬も飼い主に似るんですかね。ハハハ…。西郷さんも甘党で太ってきて、医師から運動しなさいって言われてたそうですよ!(興味がありそうなエピソードを紹介する)画 いわみせいじえっ、そうだったんですね。最近、犬の散歩も家族にまかせていてサボっていて…。それに喜ぶんで好きなものをやっていて…(反省している顔)そうでしたか。犬の健康管理も是非、お願いします。わかりました。犬と一緒にダイエットに取り組みます!ポイント犬と一緒に散歩することで運動を習慣化させ、食事にも気を配ってもらうように説明します。Copyright© 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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グロービッシュとは?【Dr. 中島の 新・徒然草】(536)

五百三十六の段 グロービッシュとは?毎日、鬱陶しい雨が続きます。ようやく梅雨らしい天気になりました。さて、今回も英語ネタです。かつて中学校の英語の教科書の2~3年を暗記したら流暢にしゃべれるようになる、という話を本で読んだことがあります。そのときは信じられませんでした。だいたい中学校の英語なんて基礎中の基礎でしょ。そんな簡単なことでペラペラになれるのか、と思ったわけですよ。が、今では中学英語でも十分にしゃべれるんじゃないか、という気になってきました。なぜか?それはグロービッシュというものの存在を知ったからです。グロービッシュというのはフランス人ビジネスマン、ジャン=ポール・ネリエール氏が提唱したものです。現在、事実上の世界共通語は英語なのですが、非ネイティブにとっては習得が難しいのが現実です。それを克服するために非ネイティブ同士、あるいは非ネイティブとネイティブの間で意思疎通ができるように英語を土台とした簡単な言語を作ろう、というのがグロービッシュの趣旨です。基本的な単語と単純な構文しか使わないので、誰でも簡単に習得できるのだそうです。何かの本には1年で習得できるとありました。それなら私にもできるはず!以下、グロービッシュのルールを挙げておきます。グロービッシュで使う単語は基本的な1,500語。双方の合意があれば専門用語を用いてもよい。できるだけ能動態を用い、難しい構文を使ってはならない。比喩、ユーモア、否定疑問文を使ってはならない。身振り手振りを活用する。意思疎通ができないときには話し手側が歩み寄る。単語の発音はアクセントの位置に気をつける。必ずしもフルセンテンスでしゃべる必要はない。たとえば“Can I park here?”は“Parking, okay?”でいいのだとか。考えてみれば、中学英語はまさしくグロービッシュじゃありませんか。使われている語彙数も1,500語程度。間接話法、分詞構文、仮定法はまだ出てきません。そもそも英会話において、こちらから発信する文が難しい必要はまったくありません。逆に、どれだけ易しくても誰にも文句は言われないはず。なので、中学教科書の丸暗記は、英会話上達には非常に有効な気がします。そして、話が通じないのは話し手の責任であり聴き手の責任ではない、というのも新鮮な考え方です。われわれが外国人と日本語で話をする時は、無意識のうちにゆっくりしゃべったり、難しい言葉を避けたりしているじゃありませんか。何で英語ネイティブ達は歩み寄ってくれないのでしょうか?それにしてもグロービッシュという言語の存在を知ると、なんだか希望が湧いてきますね。まずはグロービッシュで意思疎通できるようになりたいものです。グロービッシュを土台にして、さらに英語上級者にステップアップしようとするのもいいですね。上達の過程において、何を土台にするかはその人次第。かつて頑張った受験英語の上に積み上げるというのも1つの方法かもしれません。本稿が読者の皆さまの英会話上達のヒントになれば幸いです。最後に1句梅雨さなか 中学英語で ペラペラに

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