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エキスパートが質問に回答「インフルエンザ診療」その2

CareNet.comでは12月のインフルエンザ特集を配信にあたり、会員の先生よりインフルエンザ診療に関する質問を募集しました。その中から、多く寄せられた質問に対し、岡部信彦先生にご回答いただきました。インフルエンザ脳症の早期発見のポイントについて教えてください。インフルエンザ様症状が発現後、比較的早い時期における“意味不明な言動を起こす”“意識状態に異常がみられる(呼んでも反応が鈍いなど)”という症状は、急性脳症を疑う重要なポイントといえるでしょう。もちろん、痙攣や重度の意識障害も、本症を疑う大きなポイントです。インフルエンザに伴う発熱について、解熱に積極的に介入していくべきか教えてください。インフルエンザの発熱は基本的には自然経過で解熱するため、解熱剤を使用しないというのも選択しうる一つの方法だと思います。しかし、一般的には患者さんの辛さや不安、全身状態の一時的な改善などを目的として使用することのほうが多いと思います。その際、小児に関しては、アスピリンなどのサリチル酸系解熱薬はライ症候群発症のきっかけとなる可能性があり、ジクロフェナクナトリウムやメフェナム酸などのNSAIDsについては急性脳症発症者での予後を悪化させる可能性があるため、原則として使用しないという注意を遵守していただきたいと思います。商品名だとわかりにくいことがあるため、一般名を必ず確認するようにしてください。インフルエンザ治療後、職場に出勤する時期の目安は、どのように考えたらよいでしょうか?成人の場合は仕事などの関係上、学校や幼稚園・保育園などのようにはいかないと思いますが、少なくとも解熱しているかどうかの確認は必要です。また、解熱後はウイルス量は減少しますが、他人に感染させうる程度のウイルスは暫くは排泄される可能性があるため、発症(発熱)から5日程度経過し、かつ解熱から2日経過するくらいまでは、マスクや手洗いなどで他人にうつさないようにすることを指導していただければと思います。新型インフルエンザが発生した場合の一般診療所で行うべき防御手段について、スタッフやその家族を守る観点から教えてください。新型インフルエンザが発生した場合、その病原性、感染力については最新の情報を得ることが最も重要です。その程度によって対応は異なりますが、少なくても平常時から、感染対策におけるスタンダード・プレコーション(標準予防策)を、いつでもとれるように準備しておくことが重要です。それをレベルアップするか、レベルダウンするかは状況によって異なりますので、まずは最新の情報を入手してください。日本のインフルエンザの診療水準や予防への取り組みは、諸外国と比較した場合どの程度の水準なのでしょうか? また、どのような特徴があるのでしょうか?診療水準に関しては、インフルエンザ迅速診断キットで丁寧に診断し、抗インフルエンザ薬を豊富に使用するなど世界でも最上位にあるといえるでしょう。インフルエンザワクチンについても、アメリカには及ばないものの、わが国の関心は世界でも最も高いレベルに位置します。また、わが国における医療機関へのアクセスの良さは、やはりトップクラスであり、重症例の早期発見や早期治療に大きく結び付いていることでしょう。とはいえ、その利点は一方では軽症患者が夜昼となく外来および救急医療機関に集中することにもなり、解決すべき問題点としてあげられます。

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ARBの長期使用はがんのリスクを増大させるか?

 アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)の長期使用とがんとの関連については、ランダム化比較試験や観察研究のメタアナリシスで矛盾した結果が報じられており、物議を醸している。 カナダのLaurent Azoulay氏らは、ARBが4つのがん(肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がん)全体のリスク増大に関連するかどうかを判断し、さらにそれぞれのがん種への影響を調べるため、United Kingdom General Practice Research Databaseにおいてコホート内症例対照解析を用いて後ろ向きコホート研究を行った。その結果、ARBの使用は4つのがん全体およびがん種ごとのいずれにおいても、リスクを増大させなかったと報告した。PLoS One 誌オンライン版2012年12月12日号に掲載。 本研究では、1995年(英国において最初のARBであるロサルタンの発売年)から2008年の間に降圧薬を処方された患者コホートを2010年12月31日まで追跡調査した。 症例は、追跡調査中に新たに肺がん、大腸がん、乳がん、前立腺がんと診断された患者とした。ARBの使用と利尿薬やβ遮断薬(両方またはどちらか)の使用とを比較して、条件付きロジスティック回帰分析を行い、がんの調整発生率比(RR)と95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・コホートには116万5,781人の患者が含まれ、4万1,059人の患者が4つのがん種のうちの1つに診断されていた(554/100,000人年)。・ARBの使用とがんの増加率は、利尿薬やβ遮断薬(両方またはどちらか)の使用と比較し、4つのがん全体(RR:1.00、95%CI:0.96~1.03)、およびがん種ごとのどちらにおいても関連が認められなかった。・アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬(RR:1.13、95%CI:1.06~1.20)とCa拮抗薬(RR:1.19、95%CI:1.12~1.27)の使用が、それぞれ肺がんの増加率と関連していた。 著者は、「ACE阻害薬とCa拮抗薬による肺がんの潜在的なリスクを評価するためにさらなる研究が必要」としている。

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最も多い皮膚科医への患者のクレームは「がっかり」

 皮膚科部門に関するクレーム調査の結果、病院の中では皮膚科部門への訴えの割合は低いが、クレーム自体は増加しており、その背景には患者の要求および権利意識の高まりがあると、ポルトガル・Hospital Santo Antonio dos CapuchosのJoana Cabete氏らが報告した。研究グループは本調査を行った前提として、「患者満足度は医療の質を測るのに一般的に用いられるインジケーターであるが、一方で患者は、医療サービスを改善するにあたって重要かつ有効なエージェントであると認知されている。ポルトガルでは苦情や訴訟の解析を通じ、国民保健システム利用者の懸念やニーズを明らかにしながら発展してきた」と述べ、病院の皮膚科外来部門での苦情を解析し、患者はなぜクレームをつけるのかについて調べた。Acta Medica Portugusea誌2012年9月号(オンライン版2012年11月12日号)の掲載報告。 調査は、2000~2010年に登録された皮膚科部門に照会のあったすべての苦情を解析して行われた。 主な結果は以下のとおり。・11年間で記録された皮膚科部門関連の苦情は106件(0.4‰)であった。同期間を通じて増加の傾向が認められた。・苦情を申し出た患者の多くは、女性(60.4%)であった。・苦情は「管理部門または組織」に対するものが、「ヘルスケア専門家」に対するよりも、より多く認められた(58.5%対41.5%)。・前者に対する苦情は主に、その機関の「規定とルール」に言及したもので、次いで「管理の手法」に関連したクレームが続いた。・「ヘルスケア専門家」群に関する記録における不満はすべて、医師と医療行為に向けられたものであった。・「期待を裏切られがっかりした」が、医師に向けられた最も頻度の高いクレームカテゴリーであり、次いで「(患者に対する)態度」が続いた。・皮膚科部門の苦情の割合は、国立病院の平均に対して比較的低いままであった。・クレームを付ける患者数の増加は、より高い要求と権利を熟知(あるいは欠如)していることによると考えられた。・以上の結果は、最近よく言われる組織改善の重要性を際立たせ、医師-患者の関係性を強調するものであった。健康教育が、これからの医療への期待値と医療資源をよりうまくマネジメントしていく可能性がある。

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難治性慢性腰痛患者への高頻度SCS、6ヵ月時点で74%が改善を報告

 難治性の慢性腰痛患者に対して、高頻度の脊髄電気刺激療法(spinal cord stimulation:SCS)は、70%以上で腰痛および下肢痛の軽減を有意かつ持続的にもたらすことが報告された。とくに感覚異常がなく達成され、患者は身体障害や睡眠に関する有意な改善も認められた。Van Buyten JP氏らによるProspective Multicenter European Clinical Studyの報告で、「全体的として、高頻度SCSシステムの良好な安全性と有効性が確認された」と結論している。Neuromodulation誌オンライン版2012年11月30日の掲載報告。 前向きオープンラベル多施設共同欧州臨床試験は、SCSシステムの有効性と安全性を定量化することを目的とした。SCSは、慢性で難治性の腰痛、下肢痛の治療として、高頻度(最高10kHz)波形で、感覚異常をもたらさないように行われた。 評価は、最長6ヵ月間の患者の疼痛評価、身体障害、睡眠障害、満足度、合併症の割合について行われた。 主な結果は以下のとおり。・被験者は83例であった。試験期間終了後、88%(72/82例)がVASスコアについて有意な改善を報告し、高頻度SCSシステムの永続的な埋め込み術を受けた。・腰痛VASスコアは、平均8.4から、6ヵ月時点で2.7まで低下した(p<0.001)。・下肢痛VASスコアは、平均5.4から、6ヵ月時点で1.4まで低下した(p<0.001)。・被験者の74%は、6ヵ月時点で腰痛の50%以上軽減を報告した。・Oswestry障害スコアと睡眠スコアも有意に改善し、疼痛緩和のための薬物使用も減少した。・有害事象は、従来SCS療法を受けた患者でみられ、リードの遊走、創傷部感染、埋め込み部位周辺の痛みなどであった。

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オキシトシン鼻腔内投与は、統合失調症患者の症状を改善

 統合失調症患者に対して、オキシトシンを投与することで症状改善につながるとの先行研究がある。しかし、それらは短期間の研究にとどまっており、統合失調症患者に対するオキシトシン投与について、3週間超のエビデンスは存在しなかった。イラン・テヘラン医科大学Roozbeh精神病院のAmirhossein Modabbernia氏らは、リスペリドンによる治療を受けている統合失調症患者にオキシトシン鼻腔内スプレーを8週間併用し、有効性と忍容性についてプラセボと比較検討した。その結果、オキシトシン鼻腔内投与により統合失調症患者の症状、なかでも陽性症状が著明に改善されることを報告した。CNS Drugs誌オンライン版2012年12月12日号の掲載報告。 本研究は、統合失調症患者におけるオキシトシン鼻腔内スプレーの有効性と忍容性を評価することを目的とした、8週間にわたる無作為化二重盲検プラセボ対照試験。DSM-IV-TRにて統合失調症と診断され、リスペリドン固定用量(5または6mg/日)の治療を少なくとも1ヵ月以上受けている患者40例(18~50歳男女)を対象とし、オキシトシン群またはプラセボ群に無作為に割り付けた。オキシトシン鼻腔内スプレーは、最初の1週間は20 IU(5スプレー)を1日2回投与し、以降は40 IU(10スプレー)を1日2回、7週間投与した。ベースライン時、2、4、6、8週後に、陽性・陰性症状評価尺度(Positive and Negative Syndrome Scale:PANSS)により評価を行った。主要アウトカムは、治療終了時におけるPANSSスコアの2群間の差とした。主な結果は以下のとおり。・全患者がベースライン後1回以上の評価を受け、37例(オキシトシン群19例、プラセボ群18例)が試験を完了した。・反復測定分散分析によると、PANSS総スコア[F(2.291,87.065) = 22.124、p<0.001]および陽性スコア[F(1.285,48.825) = 11.655、p = 0.001]、陰性スコア[F(2.754,104.649) = 11.818、 p < 0.001]、総合精神病理[F(1.627,61.839) = 4.022、 p = 0.03]サブスケールについて、相互作用による有意な効果がみられた。・8週後までに、オキシトシン群はプラセボ群に比べ、PANSSサブスケールの陽性症状について著明かつ有意な改善を示した(Cohen's d=1.2、スコアの減少20%vs. 4%、p<0.001)。・オキシトシン群はプラセボ群に比べ、PANSSサブスケールの陰性症状(Cohen's d=1.4、スコアの減少7%vs. 2%、p<0.001)、総合精神病理(Cohen's d=0.8、スコアの減少8%vs. 2%、p=0.021)においても統計学的に有意な改善を示したが、臨床的にはその差が実感されなかった。・オキシトシン群はプラセボ群に比べ、PANSSの総スコア(Cohen's d=1.9、スコアの減少11%vs. 2%、p<0.001)において有意な改善を示した。・有害事象の発現状況は、2群間で同程度であった。・以上のことから、リスペリドン併用下のオキシトシン鼻腔内投与は、統合失調症患者のとくに陽性症状を、忍容性を保ちつつ有効に改善することが示された。・本パイロット試験で得られた興味深い知見は、より大規模な母集団を用いて再現する必要がある。関連医療ニュース ・統合失調症治療にニコチン作動薬が有効である理由とは? ・統合失調症患者の認知機能改善にフルボキサミンは有効か? ・統合失調症の遂行機能改善に有望!グルタミン酸を介した「L-カルノシン」

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レベチラセタムは末梢性の鎮痛・抗浮腫作用を示す

 セルビア・ベオグラード大学のRadica M. Stepanovic-Petrovic氏らは、ラット炎症性疼痛モデルを用いて、レベチラセタムの末梢局所における鎮痛・抗浮腫作用とその作用機序について検討した。その結果、レベチラセタムはオピオイド受容体、アドレナリン受容体、アデノシン受容体、5-HT受容体を介して末梢性の鎮痛作用を示すことが明らかになった。Anesthesia & Analgesia誌2012年12月号(オンライン版2012年11月9日号)の掲載報告。 本研究は、ラット炎症性疼痛モデルにおいて、レベチラセタムの炎症局所における鎮痛・抗浮腫作用ならびにその作用機序を検討することを目的とした。ラット足底(paw)皮下にカラゲナンを注射して炎症性浮腫を惹起させ、レベチラセタム(200~1,000nmol/paw)および各種受容体アンタゴニストの鎮痛作用を足圧痛法により評価した。さらに、レベチラセタムの浮腫に及ぼす影響を体積変動測定法により測定した。検討した各種受容体アンタゴニストは以下。オピオイド受容体アンタゴニスト:ナロキソン(75~300nmol/paw)、CTAP(1~5nmol/paw)アドレナリン受容体アンタゴニスト:ヨヒンビン(130~520nmol/paw)、BRL 44408(50~200nmol/paw)、MK-912(5~20nmol/paw)アデノシン受容体アンタゴニスト:カフェイン(500~1,500nmol/paw)、DPCPX(3~30nmol/paw)5-HT受容体アンタゴニスト:メチセルギド(10~100nmol/paw)、GR 127935(50~200nmol/paw)GABA受容体アンタゴニスト:ビククリン(400nmol/paw) 主な結果は以下のとおり。・レベチラセタムは、用量依存的かつ有意な疼痛閾値の低下、足浮腫抑制作用を示した。・レベチラセタム(1,000nmol/paw)の鎮痛作用は、GABA受容体アンタゴニストのビククリンで抑制されなかった。一方で、オピオイド受容体アンタゴニスト、アドレナリン受容体アンタゴニスト、アデノシン受容体アンタゴニスト、5-HT受容体アンタゴニストにより有意に抑制された。・ラットの対側後足にレベチラセタム、各種受容体アンタゴニストを投与した場合に効果が観察されなかったことから、これらの作用は末梢性であると考えられた。・以上のことから、レベチラセタムは末梢局所で鎮痛ならびに抗浮腫作用を示し、その作用はオピオイド受容体、アドレナリン受容体、アデノシン受容体、5-HT受容体を介したものであることが示唆された。レベチラセタムは、全身性の副作用および薬物相互作用の出現を低く抑え、炎症性疼痛を改善させうる。■関連記事とくにうつ病患者は要注意?慢性疼痛時のオピオイド使用レベチラセタム、部分てんかん患者に対する1年間の使用結果レビュー疼痛治療「プラセボでも一定の効果が」臨床試験に課題も抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証

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中等度~重度のにきび、家族歴、BMI、食生活が影響?

 イタリアのAnna Di Landro氏らGISED Acne Study Groupは、にきびの原因には、遺伝的要因と環境的要因が関与している可能性があるとして、思春期および若年成人を対象に、それら要因と中等度~重度にきびリスクとの関係について調べた。その結果、家族歴とBMI、食事内容が中等度~重度にきびのリスクに影響を与えている可能性が示されたと報告した。Journal of the American Academy of Dermatology誌2012年12月号の掲載報告。 GISED(Gruppo Italiano Studi Epidemiologici in Dermatologia)は、中等度~重度のにきびの新規診断症例に関して、家族歴、個人の習慣、食事性因子、月経歴の影響を評価するため、イタリアの皮膚科外来診療所で症例対照研究を行った。 症例は、中等度~重度のにきびと新規診断された患者205例で、対照被験者は、にきび以外で受診した、にきびがない(あるいは、あっても軽症の)患者358例であった。 主な結果は以下のとおり。・中等度~重度のにきびは、一等親血縁者でのにきび既往歴と強い関連が認められた(オッズ比:3.41、95%CI:2.31~5.05)。・リスクは、BMIが低い人では低下し、女性よりも男性で顕著な影響が認められた。・喫煙による関連は、みられなかった。・牛乳を週に3ポーション以上消費する人では、消費量が多いほどリスクが上昇した(オッズ比:1.78、95%CI:1.22~2.59)。・その関連は、全乳よりもスキムミルクでより特徴的であった。・魚の消費は、保護作用と関連していた(オッズ比:0.68、95%CI:0.47~0.99)。・月経変数と、にきびリスクとの関連はみられなかった。・本試験は、皮膚科学的対照被験者の選択において、また対照群の軽症患者の組み込みで一部オーバーマッチングの可能性があった。・以上の結果から、家族歴、BMI、食生活は、中等度~重度にきびのリスクに影響する可能性があった。環境および食事要因による影響について、さらに調査を行う必要がある。

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小児急性胃腸炎動向からみえたノロウイルスワクチン開発の鍵

 長崎大学大学院のHoa Tran TN氏らは、小児(18歳以下)の急性散発性胃腸炎におけるノロウイルス遺伝子型分布を明らかにするため、2000年以降の発表論文のシステマティックレビューを行った。その結果、直近10年でGII.4、GII.3が大勢を占めるようになっており、その背景には世界的なGII.4変異型の出現があること、またノロウイルスはロタウイルス感染胃腸炎の減少と相反する形で小児急性胃腸炎での重要度を増している傾向が認められることなどを報告した。著者は、有効なノロウイルスワクチン開発には、GII.4、GII.3株に対する獲得免疫の提供が欠かせないとまとめている。Journal of Clinical Virology誌オンライン版2012年12月4日号の掲載報告。 ノロウイルスは世界的な流行性または散発性急性胃腸炎の原因である。研究グループは、過去20年間、感度の高い分子診断技術の開発がノロウイルス分子疫学の解明に革命をもたらしたものの、ノロウイルス株タイプと散発性胃腸炎との関連については十分に解明されていないとして、ノロウイルスの疫学的解析を行った。 2000年以降に行われた試験報告についてシステマティックレビューを行い、散発性急性胃腸炎の小児(18歳以下)におけるノロウイルス遺伝子型の分布状況を明らかにした。 主な結果は以下のとおり。・遺伝子グループでみるとGIIの占める割合が最も高く、すべての散発的な感染症のうち96%を占めていた。・遺伝子型でみるとGII.4の分布が最も優勢で、カプシド遺伝子型では70%を、ポリメラーゼ遺伝子型では60%を占めていた。次いで、GII.3(カプシド遺伝子型で16%)、GII.b(ポリメラーゼ遺伝子型で14%)であった。・最も頻度の高い組換え型ORF1.ORF2インター遺伝子型は、GII.3カプシド遺伝子型との結合によるGII.b、GII.12およびGII.4ポリメラーゼ遺伝子型で、同定されたすべての遺伝子型の19%を占めていた。・ここ10年間は、GII.4の突然変異の分布が勝っていた。現在までにGII.4/2002、GII.4/2004、GII.4/2006b、GII.4/2008、GII.4/2006bと続いてきている。・直近10年間の小児の散発性急性胃腸炎では、遺伝子型GII.4、GII.3の分布が優勢であった。その動きは、GII.4変異型ノロウイルスの世界的な出現で最も顕著であった。・小児予防接種プログラムの導入に伴ってロタウイルス疾患負荷が減少するに従い、相対的にノロウイルスが小児急性胃腸炎の原因における重要度を増している可能性がうかがえた。・有効なノロウイルスワクチン開発には、カプシド遺伝子型GII.4、GII.3株に対する獲得免疫提供が必要である。

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乳がんのリスクにおけるアルコールと葉酸の影響は?~日本人での研究

 葉酸は、アルコールとの相互作用により、多くのがんのリスクに影響を及ぼすことが示唆されているが、これらの因子がアジア人の乳がんリスクに及ぼす影響については十分に検討されていない。今回、閉経前および閉経後の日本人女性の乳がん患者1,754例とコントロール3,508例におけるケースコントロール研究の結果が、European journal of cancer prevention誌オンライン版2012年11月20日号に報告された。 Tania Islam氏らは、自己申告による飲酒量・食事による葉酸摂取量と、乳がんリスクとの関連を検討した。その結果、アルコール摂取により乳がんのリスクが増大する一方で、葉酸摂取量が多いと日本人の乳がんのリスクが減少することを報告した。著者らは、これら2つの因子は相互に作用しており、飲酒による乳がんリスクの増加が葉酸摂取量の増加により減らせるかもしれないと考察し、さらに葉酸やアルコールの影響は、腫瘍のサブタイプによって異なる可能性があるとしている。 主な結果は以下のとおり。・飲酒量は乳がんリスクと関連しており、非飲酒者に対する23g/日以上の飲酒者のオッズ比は1.39(95%信頼区間:1.07~1.80)であった。・葉酸摂取量と全乳がんリスクの間に有意な逆相関が認められ、葉酸摂取量について最も高い三分位では最も低い三分位に比べオッズ比が0.79(95%信頼区間:0.68~0.93、傾向p=0.004)であった。・葉酸摂取量の最も低い三分位では、非飲酒者に対する23g/日以上の飲酒者のオッズ比は1.58(95%信頼区間:1.06~2.33)であったが、葉酸摂取量の多い第2三分位と第3三分位では、飲酒量にかかわらず乳がんリスクの有意な増加は認められなかった。

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双極性障害の再発予防に対し、認知療法は有効か?

 双極性障害患者は薬物療法を継続してもなお、再発するケースが少なくない。再発抑制を目指し、近年注目されているのがマインドフルネス認知療法(MBCT)である。オーストラリア・ニューサウスウェールズ大学のT Perich氏らは、12ヵ月間のフォローアップを行ったランダム化比較試験により、双極性障害患者の治療におけるMBCTの有用性を検証した。Acta psychiatrica Scandinavica誌オンライン版2012年12月9日号の報告。 対象はDSM-IVで双極性障害と診断された患者95例。通常療法+MBCT実施群48例と通常療法単独群47例に無作為に割り付けた。主要評価項目は、DSM-IVの大うつ病、軽躁、軽躁エピソードの再発までの期間、モントゴメリー/アスベルグうつ病評価尺度(MADRS)、ヤング躁病評価尺度(YMRS)とした。副次的評価項目は再発回数、うつ病・不安ストレススケール(DASS)、特性不安尺度(STAI)とした。 主な結果は以下のとおり。・気分エピソードの最初の再発までの期間、12ヵ月間の再発合計回数は両群間で有意な差が認められなかった(ITT解析)。・MADRS、YMRSのスコアも両群間で有意な差は認められなかった。・STAIの不安状態スコアにおいては、両群間に有意な差が認められた。・DASSのアチーブメントサブスケールの治療反応時間に有意な差が認められた。・今回の試験では、MBCTは主要評価項目に対する有用性は認められなかったものの、双極性障害に併存する不安症状の軽減に対し有効である可能性が示唆された。関連医療ニュース ・アリピプラゾールが有用な双極性障害の患者像とは? ・うつ病の5人に1人が双極性障害、躁症状どう見つける? ・双極性I型障害におけるアリピプラゾールの有効性-AMAZE試験より-

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日本人女性におけるマンモグラフィー検診は生存率向上に効果があるのか?

 マンモグラフィー検診の有効性については、主に欧米諸国の研究によって実証されている。東北大学の河合賢朗氏らは、検診でスクリーニングされた中間期乳がんの40~69歳の日本人女性における累積生存率と乳がんによる死亡リスクについて、乳房視触診とともにマンモグラフィー検診を実施した群、乳房視触診単独群、自己検診群の3群に分け評価した。その結果、40~69歳の日本人女性においては、生存率と乳がんによる死亡リスクの観点からは、乳房視触診とマンモグラフィー検診を実施するほうがマンモグラフィー単独や自己検診より効果的である可能性が報告された。Breast Cancer誌オンライン版2012年12月14日号に掲載。 本研究では、1995年4月1日~2002年12月31日に宮城県対がん協会検診プログラムに参加した12万6,537人の女性(検診者数35万8,242人)のリストと宮城県地域がん登録を照合し、乳房視触診とマンモグラフィー検診群429人、乳房視触診単独群522人、自己検診群3,047人を評価した。 フォローアップ期間は、死亡または2007年12月31日までとし、生存率はKaplan-Meier法により推定した。乳がんによる死亡のハザード比(HR)と95%信頼区間(CI)の推定にはCox比例ハザードモデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・乳房視触診とマンモグラフィー検診群、乳房視触診単独群、自己検診群の5年生存率はそれぞれ96.8%、92.7%、86.6%であった。・乳がんによる死亡のHR(95%CI)は、乳房視触診とマンモグラフィー検診群で乳がんが検出された女性と比較して、40~49歳では、乳房視触診のみで検出された女性が2.38(0.72~7.94)、自己検診で検出された女性が4.44(1.42~13.89)であった。50~69歳では、乳房視触診のみで検出された女性が3.00(1.63~5.50)、自己検診で検出された女性が4.51(2.69~7.56)であった。

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中年期の広範囲の慢性疼痛リスク、少年期の知能指数1SD低下につき1.26倍上昇

 精神的因子は、慢性疼痛に関わる因子の一つと考えられていることから、英国・サウサンプトン大学のCatharine R. Gale氏らは、中年期の慢性疼痛について、少年期の知能との関連について調査した。その結果、少年期知能指数が低値になるほど中年期の慢性疼痛リスクは上昇すること、そのリスク上昇は、BMIが高いほど、また社会経済的階層が低くなるほど有意であることが明らかになったという。Pain誌2012年12月号の掲載報告。 研究グループは、1958年英国生まれの人を登録した全国小児発達サーベイから、男女6,902人について、少年期の知能と、成人期の慢性疼痛リスクとの関連について調査した。 被験者は、11歳時に一般知能指数試験を受け、45歳時点で、広範囲の慢性疼痛について、米国リウマチ学会診断基準(ACR)に基づく評価が行われた。ログ二項式回帰を用いて、性および潜在的な交絡因子、媒介因子を補正しリスク比(RR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。 主な結果は以下のとおり。・ACR基準に基づく広範囲の慢性疼痛リスクは、知能指数が低下するほど段階的に上昇した(線形傾向p<0.0001)。・性補正後解析において、知能指数1SD低下に対する慢性疼痛のRRは1.26(95%CI:1.17~1.35)であった。・多変量後方段階的回帰解析において、少年期知能は、社会階級、教育達成レベル、BMI、喫煙状態、精神的ストレスとともに、慢性疼痛の独立した予測因子であり続けた(RR:1.10、95%CI:1.01~1.19)。・中年期の広範囲の慢性疼痛リスクに対する少年期知能の低さの影響は、BMIが高くなるほど、また社会経済的位置付けがより低くなるほど有意であった。・少年期に高い知能を有する男女はともに、成人期に慢性疼痛を報告する頻度は低いようである。

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手術待機中のOA患者が心に描く期待はICFモデルと合致

 変形性膝関節症(OA)患者が心に描く疾患描写(mental representations)は、国際生活機能分類(International Classification of Functioning Disability and Health:ICF)の機能・障害・健康モデルで用いられる用語と整合性が取れており、ICFの3つの構成概念(障害度、活動度、社会参加)がOA患者にとって重要であることが明らかにされた。英国・アバディーン大学のBeth Pollard氏らが、両者の一致について検証した研究の結果、報告した。Disability and Rehabilitation誌オンライン版2012年11月21日号の掲載報告。 本研究は、OA患者が心に描く疾患描写とICFモデルとの整合性について調べることを目的とし、人工関節置換術を受けることになっているOA患者202例を対象に郵送アンケートにて行われた。 アンケートでは被験者に、人工関節置換術に期待していることを尋ね、心に描く疾患描写(心象)を測った。2人の専門家が、それらを判定して、主要なICFの構成概念[障害(I)、活動性の制限(A)、社会参加への制限(P)]の該当項目に分類した。 主な結果は以下のとおり。・2人の専門家による判定の一致度は高かった。また、各ICF構成概念に分類された被験者の心的表象数は同程度であった。・手術待機中の患者の心象と、主なICFモデルのバイオメディカルな路線とは一致していた(IからA、次いでPへなど)。・そのことは、OA患者は暗黙のうちに、バイオメディカルな障害発生モデルを適用していることを示唆した。そのモデルは、治療や介入が、障害から回復するためだけでなく、活動性の制限、さらには間接的に社会参加への制限に効果をもたらす可能性があるというものであった。・一方で、その方法は、ICFモデルの3つの構成概念の発生要因の関連を調べる新たな道筋を提供するものでもあった。

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医療施設におけるインフルエンザの予防と治療

1 流行に備えた感染対策インフルエンザ対策は、本格的な流行が始まる前に開始する。平素の感染対策活動に加え、流行前に職員に対するインフルエンザ感染対策に関する啓発活動を強化する。また、施設内で患者発生を早期に探知できる体制を構築しておく。職員もインフルエンザ様症状を認めた場合はただちに当該部署に届けて欠勤するなどのルールを作っておく。その他重要な点を以下に示す。(1)ワクチン接種ワクチン接種はインフルエンザ感染対策の基本である。患者に対し、予防接種の意義、有効性、副反応の可能性を十分に説明して同意を得たうえで、禁忌者を除き積極的にワクチンを接種する。とくに65歳以上の者、および60歳以上65歳未満の者であって心臓、腎臓もしくは呼吸器の機能またはHIV感染による免疫機能障害を有する者に対するワクチン接種は、予防接種法上定期接種と位置付けられている。医療施設の職員にも、禁忌者を除き積極的にワクチン接種を勧める。(2)ウイルスの持ち込みリスクの低減流行期間中、ウイルスは医療施設外からもたらされるため、ウイルス持ち込みのリスクを低減する工夫が必要となる。インフルエンザ様症状を呈する者が面会などの目的で施設内に入ることは、必要に応じて制限する。そのため施設の入口にポスターを掲示したり、家族等にはあらかじめ説明しておくなどして、事前に理解を得ておく。施設に入る前に擦り込み式アルコール消毒薬の使用を求めることも必要である。2 流行開始後の感染対策インフルエンザ患者に対しては、まず良質かつ適切な医療の提供が基本となる。治療については後述するので、ここでは医療施設内でインフルエンザが発生した後の対応について述べる。(1)速やかな患者の隔離施設内でインフルエンザ様患者が発生した場合は、迅速診断キットを活用して診断を行う。発症早期には偽陰性となる場合があるので、キットの結果が陰性であっても、臨床的に疑われる場合はインフルエンザとして扱う。患者はただちに個室に隔離し、できるだけ個室内で過ごすように指示する。個室が確保できない場合は、患者とその他の患者をカーテン等で遮蔽する、ベッド等の間隔を2メートル程度空ける、患者との同室者について、入居者の全身状態を考慮しつつサージカルマスクの着用を勧める、といった次善の策も提案されている。患者が複数いる場合は、同型のインフルエンザ患者を同室に集めることも検討する。(2)飛沫感染予防策とその他の予防策職員が患者の部屋に入る場合はサージカルマスクを着用する。インフルエンザ患者がやむを得ず部屋を出る場合は、サージカルマスクを着用させる。インフルエンザの感染対策では通常、空気予防対策は不要であるが、サクションチューブで喀痰を吸引する時や、緊急で心肺蘇生を行う場合などは、N95マスクなどの高性能マスクの着用も勧められる。飛沫予防策として、インフルエンザを発症してから7日間もしくは発熱や呼吸器症状が消散してから24時間のどちらか長い方が経過するまで継続することが推奨されている。(3)患者への抗ウイルス薬の予防投与CDCは、施設内で72時間以内に2名以上のインフルエンザ様患者が発生した場合や、1名のインフルエンザ確定患者が発生した場合は、入所者への抗ウイルス薬の予防投与を勧めている。日本感染症学会は、インフルエンザ患者に接触した患者には、承諾を得たうえで、ワクチン接種歴にかかわらずオセルタミビルかザナミビルによる予防投与を開始すべきであるとしている。予防投与の範囲は、原則的にはインフルエンザ発症者の同室者とする。なお、現時点でペラミビルとラニナミビルには予防投与の適応は無い。(4)職員への予防投与CDCは、医療施設の職員についても、ワクチン未接種者については抗ウイルス薬の予防投与を検討すべきであるとしている。日本感染症学会は、職員は本来健康なので抗ウイルス薬の予防投与は原則として必要ではなく、発症した場合の早期治療開始でよいとしている。しかし、施設内での流行伝搬に職員が関与していると考えられる場合、とくに職員の間でインフルエンザ発症が続く場合は、職員にも予防投与が必要であるとしている。3 インフルエンザの治療-抗インフルエンザウイルス薬-ここでは主に抗ウイルス薬について述べる。現在わが国で使用可能な抗インフルエンザウイルス薬は、アマンタジン、ザナミビル水和物、オセルタミビルリン酸塩、ペラミビル水和物、ラニナミビルオクタン酸エステル水和物の5種類である。そのうちアマンタジンはA型ウイルスにのみ有効であることと、ほとんどの流行株が耐性化していること、ならびに副作用の問題などから使用機会は少なく、現在は主としてノイラミニダーゼ阻害薬が使用される。以下に各薬の特徴をまとめた。ザナミビル水和物(商品名:リレンザ)は、吸入で用いるノイラミニダーゼ阻害薬である。通常インフルエンザウイルスは主に上気道~気管で増殖するため、非常に高濃度のザナミビルが感染局所に到達する。副作用として、まれではあるが吸入に伴い気道攣縮を誘発する可能性がある。これまでにザナミビルでは耐性ウイルスの出現はほとんど報告されていない。オセルタミビルリン酸塩(同:タミフル)は、内服のノイラミニダーゼ阻害薬である。消化管から吸収され、肝でエステラーゼにより加水分解され活性体に変換される。ペラミビル水和物(同:ラピアクタ点滴用)は、1回の点滴静注でA型およびB型インフルエンザウイルス感染症に対して有効性を示す。点滴静注であるため確実に血中に移行し長時間効果を表す。ラニナミビルオクタン酸エステル水和物(同:イナビル吸入粉末剤)の特徴は、初回の吸入のみで完結する点で、服薬中断や服薬忘れの懸念が無い。以上の薬剤をどのように使い分けるかは、臨床的に大きな課題である。社団法人日本感染症学会の提言などが参考になる。文献(1)CDC. Prevention strategies for seasonal influenza in healthcare settings. http://www.cdc.gov/flu/professionals/infectioncontrol/healthcaresettings.htm(2)CDC. Interim guidance for influenza outbreak management in long-term care facilities. http://www.cdc.gov/flu/professionals/infectioncontrol/ltc-facility-guidance.htm(3)厚生労働省健康局結核感染症課、日本医師会感染症危機管理対策室.インフルエンザ施設内感染予防の手引き 平成23年11月改訂.http://dl.med.or.jp/dl-med/influenza/infl_tebiki23.pdf(4)社団法人日本感染症学会.社団法人日本感染症学会提言2012~インフルエンザ病院内感染対策の考え方について~(高齢者施設を含めて).http://www.kansensho.or.jp/influenza/pdf/1208_teigen.pdf(5)Fiore AE, et al. MMWR.Recomm Rep.2011;60 : 1-24.

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エキスパートが質問に回答「インフルエンザ診療」その1

CareNet.comでは12月のインフルエンザ特集を配信にあたり、会員の先生よりインフルエンザ診療に関する質問を募集しました。その中から、多く寄せられた質問に対し、岡部信彦先生にご回答いただきました。成人のインフルエンザワクチン接種について、推奨される接種時期を教えてください。インフルエンザ流行時には抗体をすでに持っていないと予防にならないため、10月下旬から12月中旬までに接種しておくことが望ましいといえます。妊婦へのインフルエンザワクチン接種で注意する点を教えてください。ワクチンは不活化ワクチンなので、妊婦が接種しても直接的な影響はないと考えられています。また、これまで接種により胎児に影響があったというデータもありません。ただし、妊娠の初期段階は不安定な状態であり、インフルエンザワクチン接種の有無にかかわらず、流産など妊娠経過に異常を来しやすい時期です。よって、この点について妊婦さんには十分な説明が必要だと思います。インフルエンザ予防におけるマスク、うがい、手洗い、加湿器などの実際の効果とその根拠について教えてください。身近なインフルエンザ予防については、次のように考えています。マスク:ウイルスをブロックするのであればN95のマスクが有効です。しかし一般生活の中では使い勝手が悪く、実際的ではないでしょう。飛沫感染予防という点では、医療現場ではサージカルマスク、一般の方であれば不織布製マスクが使いやすいと思います。うがい:うがい施行群で上気道感染症全般の頻度が低いというデータがみられますが、インフルエンザウイルス感染について明らかな有効性が示されたデータはないように思います。しかし、口腔内の湿潤を保ち、清浄にするという意味では有効であろうと思います。手洗い:手洗いでインフルエンザ感染が減少したとういうエビデンスは多くないと思いますが、上気道感染症全体の頻度が低下したというデータがあります。手洗いは感染症予防の基本であり、日常の一般的な予防手段として、身につけておきたいことだと思います。加湿器:湿度が高い方がウイルスの広がりを抑えるというデータもあるようですが、これによってインフルエンザウイルスが激減したというデータはないと思います。しかし、加湿することで口腔内や気管のコンディションが良くなることから、気道感染症全体の感染機会を下げるという効果はあると考えられます。インフルエンザ迅速診断キットでは陰性だが、症状からインフルエンザが疑われる場合、すぐに抗インフルエンザ薬を使用した方がよいのでしょうか? とくに小児の対応をお願いします。インフルエンザ迅速診断キットで陰性であってもインフルエンザに感染していることは十分考えられます。迅速診断キットの感度は、キットそのものの性能のほかにも、検体を得るタイミングや手技、つまりそこに含まれるウイルス量に影響されます。一般的には、発症初期の検査ではウイルスが検出されず陰性になることも少なからずあり、やはり診断は、症状や検査、周辺の疫学情報などを考慮した総合的な判断が必要であろうかと思います。つまり、インフルエンザの可能性が高いと思われたら、必ずしもインフルエンザ迅速診断キットに100%頼る必要はありません。これは成人でも小児でも同様です。インフルエンザ迅速診断キット検査で陽性になるのは、発熱出現後何時間くらいでしょうか? 目安があれば教えてください。キットの種類によっても異なりますが、おおむね発熱後12時間あるいは5日以内が陽性結果を得られやすい時期の目安となります。

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米国内科医の総合医キャリア志向、顕著に減少/JAMA

 米国では、慢性疾患増大に伴うゼネラリストとしての内科医不足への懸念から、1970年代に内科プライマリ・ケアプログラムが設けられた。当初は最高90%のプログラム履修者がいたが、最近の調査では、総合医キャリア(general medical careers)を積み上げている内科レジデント卒業生は20~25%にとどまっており、学生にいたっては希望者はさらに少ないことが報告されているという。その状況を明確にするため、米国・メイヨークリニックのColin P. West氏らは、内科研修プログラム別およびレジデントの性別や地域(学校所在地)別でみた総合内科(general internal medicine:GIM)キャリアプランの実態を調べた。JAMA誌2012年12月5日号掲載より。2009~2011年のレジデントのトレーニング履修状況とキャリア志向を調査 研究グループは、2009~2011年の各年10月に、Internal Medicine In-Training Examinationとリンクして入手した米国内科レジデントデータを基に、キャリアプランについて、研修プログラム、性、学校所在地による評価を行った。対象は、6万7,207人の内科各専門および内科プライマリ・ケアレジデント卒業生で、そのうち5万7,087人(84.9%)がサーベイ調査に参加・回答した。5万2,035人の人口統計学的データが入手でき(National Board of Medical Examiners)、全サーベイ項目に回答していたのは5万1,390人(76.5%)、最低1項目を回答していた645例(1.0%)を追加して対象とした。 これら対象サンプルから総計1万6,781人のレジデント卒業生の3年間のトレーニング中のデータを解析に組み込んだ。そのうち、プライマリ・ケアプログラムレジデント卒業生は1,420人(プライマリ・ケア群)、残る1万5,361人は各内科専門プログラム卒業生だった(その他群)。主要評価項目は、彼らが申告した最終キャリアプランとした。最終キャリアプランとしての申告は21.5% 全体では3,605例(21.5%)が、最終キャリアプランとしてGIMを申告した。カテゴリー別にみると、プライマリ・ケア群では39.6%、その他群は19.9%だった[補正後オッズ比(AOR);2.76、99%信頼区間(CI):2.35~3.23、p<0.001]。 一方で、内科各専門キャリアプランを申告したのは、プライマリ・ケア群52.5%、その他群65.3%だった(同:1.90、1.62~2.23、p<0.001)。 性別にみるとGIMキャリアプランを申告した人は、男性よりも女性のほうが多くみられた(26.7%vs. 17.3%、AOR:1.69、99%CI:1.53~1.87、p<0.001)。また、プライマリ・ケア群のほうが、GIMキャリアプランを申告している割合が多い傾向が認められた(57.3%vs. 27.3%、AOR:3.48、99%CI:2.58~4.70、p<0.001)。プライマリ・ケア群はトレーニング中の最初の年にGIMキャリアを積み始めた人がより多く(68.2%vs. 52.3%、AOR:1.81、99%CI:1.25~2.64、p<0.001)、女性が多く(62.4%vs. 47.2%、AOR:1.75、99%CI:1.34~2.29、p<0.001)、米国人の卒業生が多かった(60.9%vs. 49.2%、AOR:1.48、99%CI:1.13~1.93、p<0.001)。 以上を踏まえて著者は、「GIMキャリプランの申告は、内科レジデントでは、各専門キャリア申告の中で顕著に少なかった。また性別、学校所在地別、プログラム別による違いが認められた」とまとめている。

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SSRIの短期治療、うつ症状改善に先立ち正常化する扁桃体機能

 SSRIなどの抗うつ薬は、うつ病患者の行動や神経の評価指標である感情プロセスを改善させる。しかし、それが臨床変化の前に起こるのか、結果として起こるのか明らかではなかった。英国・Warneford病院のGodlewska BR氏らは、うつ病患者へのSSRIの短期治療の影響を調査し、抑うつ症状の改善に先立ち扁桃体機能活性が正常化されることを明らかにした。Psychological Medicine誌2012年12月号の掲載報告。 本研究は、うつ病患者へのSSRIの短期治療について、感情面の臨床的改善以前における恐怖の表情に対する神経性反応への影響について調査した、プラセボ対照無作為化並行群間試験である。42例の未治療うつ病患者に、SSRI(エスシタロプラム10mg/日)かプラセボを投与した。恐怖の表情と幸福な表情に対する神経性反応は、治療開始7日目にMRIを用いて脳内を測定し評価した。同様の方法で、健常者(対照群)の画像診断も行った。 主な結果は以下のとおり。・恐怖の表情に対する扁桃体反応は、対照群よりもうつ病患者群で有意に強かった。・一方で、この反応はSSRIによる治療を7日間受けた患者では正常化していた。・7日時点の臨床的なうつ病評価について、SSRI治療群とプラセボ群に有意な差はみられなかった。・以上から、SSRIの短期治療は、うつ病患者の抑うつ感情を改善するのに先立って、ネガティブな感情刺激に反応する扁桃体機能活性を正常化することが示唆された。・この結果は、抗うつ薬の臨床効果は早期の感情プロセスの変化を通じてもたらされるとの仮説を支持する。さらなる研究で、これら早期の効果が、最終臨床転帰を予想しうるかを検証する必要がある。関連医療ニュース ・うつ病に対するミルタザピンvs他の抗うつ薬 ・検証!デュロキセチンvs.他の抗うつ薬:システマティックレビュー ・双極性障害では短期間の強いうつ症状が高頻度に出現

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プライマリ・ケアでのCOPD患者の自己管理・定期管理vs.通常ケア、長期ベネフィットは?/BMJ

 プライマリ・ケアでの慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のマネジメントについて、総合的自己管理や定期管理と、通常ケア(患者の判断で受診)とを比較した無作為化試験の結果、総合的自己管理や定期管理は通常ケアと比べて、QOLや効果の実感に関して長期的なベネフィットが示されなかったことが、オランダ・Radboud大学のErik W M A Bischoff氏らにより報告された。プライマリ・ケアでは特に、COPDに対して周到で効果的なマネジメント戦略が必要とされる。しかし、著者らは、ガイドラインに即した定期管理の効果には疑問の声もあり、総合的自己管理プログラムのベネフィットは示されているが、プライマリ・ケアでの効果は明らかではないとして本検討を行った。BMJ誌2012年12月1日号(オンライン版2012年11月28日号)掲載より。自己管理、定期管理、通常ケアの3群に無作為化し検討 研究グループは、一般診療所におけるCOPD患者の2つの異なる疾病マネジメント方法(総合的自己管理と定期管理)について、QOL(主要目的)、増悪の頻度と自己管理、効果の実感(副次目的)に関する長期の効果を評価することを目的に、24ヵ月にわたる多施設共同での調査者盲検3群プラグマティック無作為化試験を行った。 被験者は、オランダ東部の15の一般開業医で、スパイロメトリーで確認され治療を受けているCOPD患者を対象とした。呼吸器専門医の治療を受けている重症のCOPD患者は除外された。 被験者は、総合的自己管理群と定期管理群、通常ケアの3群に割り付けられた。総合的自己管理群には、通常ケアの補助として、臨床看護師による4回の特別セッションを含む継続的な電話サポートプラグラムが提供された。定期管理群には、通常ケアの補助として、臨床看護師による年2~4回の体系的コンサルテーションによりモニタリングが行われた。通常ケア群は、患者主導の受診のみであった。 主要評価項目は、CRQ(Chronic Respiratory Questionnaire)の合計スコアで測定した24ヵ月時点のCOPD特異的QOLの変化とした。副次評価項目は、CRQの各領域スコア、Nijmegen telephonic exacerbation assessment systemで測定した増悪の頻度と患者管理、およびCOPD self-efficacy scaleで測定した効果の実感とした。自己管理は通常ケアよりも適切な増悪管理が可能 165例の患者が、自己管理群(n=55)、定期管理群(n=55)、通常ケア群(n=55)に割り付けられた。 24ヵ月時点の、平均CRQスコアについて、3群間の補正後治療格差に有意差は認められなかった。また、増悪に対する自己管理を除き、副次評価項目の結果でも差は認められなかった。 通常ケア群と比較して自己管理群では、増悪の管理を、気管支拡張薬(オッズ比:2.81、95%信頼区間:1.16~6.82)、プレドニゾロンあるいは抗菌薬またはその両方(同:3.98、1.10~15.58)で、より多く行っていることが認められた。 以上の結果を踏まえて研究グループは、「一般診療所のCOPD患者では、総合的自己管理や定期管理は、QOLや効果の実感に関して通常ケアよりも長期的ベネフィットを示さなかった。自己管理群では、通常ケア群よりも増悪を適切に管理することが可能のようである」とまとめている。

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側頭葉てんかんでの海馬内メカニズムの一端が明らかに

 てんかん重積状態(SE)およびその後のてんかん発作を誘発するため、ラットの全身または脳内(海馬や扁桃体など)へのカイニン酸投与が広く行われている。しかし脳内投与では、特発性再発性てんかん発作が認められるラットの割合は低く、再発頻度も比較的低い。ドイツ・ハノーバー獣医科大学のMarta Rattka氏らは、ラットモデルにおける再発側頭葉てんかん発作時の、海馬内のカイニン酸の作用機序について明らかにした。Epilepsy Research誌2012年11月26日号の掲載報告。 特発性再発性てんかん発作の発現や頻度が低いという問題について、最近、カイニン酸を覚醒ラットの背側海馬に投与することで解決できるのはないかということが示唆されており、先行研究が報告されていた。Rattka氏らは、さらにこのモデルの特徴を詳述するため、覚醒ラットの片側の後側海馬のCA3にカイニン酸(0.4μg)を投与した。 主な内容は以下のとおり。・すべてのラットで、死亡例なく、辺縁系SE(範囲:4~20時間)が発生した。・SE後1~8ヵ月の1~2.5週の期間において、再発てんかんビデオ脳波モニタ(24時間/日、7日/週)を行った結果、91%のラットでてんかんが発症し、発作の頻度も有意に増大した。・てんかん発作は、興奮性を増し水迷路試験における学習記憶害を増大することが認められた。海馬の病理学的影響(同側海馬のCA3、歯状回門の広範囲のニューロン欠損や顆粒細胞の拡散によって特徴づけられる)によるものと思われた。・本試験のラットを用いたフェノバルビタールの試験では、すべてのラットが、特発性再発性てんかん発作の抑制に対する治療に反応を示した。・以上の結果より、覚醒ラットの脳内へのカイニン酸投与は、ヒト側頭葉てんかんの優れたモデルを提供するものであり、とくに抗てんかん薬や抗てんかん発作治療のターゲットとしての外傷性てんかんや共存症のメカニズムを検討するモデルとして優れている可能性があることが示された。関連医療ニュース ・てんかん患者のうつ病有病率は高い ・てんかん発作時の脳炎がPET画像診断活用で明らかに ・てんかんを持つ人のうつ病発症を理解することが急務

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次世代エネルギー、風力発電業界で頻度が増している職業性接触皮膚炎

 スペインのG. Larraga-Pinones氏らは、同国の風力エネルギー産業界(タービン製造現場)で働く労働者の主な皮膚疾患について調査を行った。2010年現在、スペインは中国、アメリカ、ドイツに次ぐ世界第4位の風力エネルギーを生産しており、同国内には風力発電所889ヵ所、1万8,933台のタービンがあり、総電力の16%を賄っている。タービン発電機は主に、デンマーク、ポルトガル、スペイン、ドイツで製造されているが、これまで同分野の職業性皮膚疾患については、ほとんど注目されていなかった。Actas Dermo-Sifiliograficas誌2012年12月号(オンライン版2012年11月15日号)の掲載報告。 風力発電機の材質には、カーボンファイバー(最近はファイバーグラスへと変化してきている)や合成繊維(アラミド)、エポキシ樹脂と硬化剤が使われており、タービン製造現場の労働者には、これらの曝露を防御するため特殊な防護服、手袋、ゴーグルの着用が義務づけられている。 研究グループは、風力エネルギー産業界の労働者にみられる主な皮膚疾患とそれに関連するアレルゲンの特徴を描出することを目的とし、2009~2011年に国立産業医学校のクリニックを紹介受診した接触皮膚炎が疑われた同業界の患者について、記述的観察研究を行った。 病歴と職歴を聞き取り、医師の診察を受け、職場で利用されている材料によるパッチテストを行った。 主な結果は以下のとおり。・観察対象は10例(男性8例、女性2例)、平均年齢は33.7歳であった。・主な所見は皮膚炎であった。顔、眼瞼、前腕、手に発症がみられた。・エポキシ樹脂の感作が、4例の労働者で認められた。そのうち1例ではエポキシ樹脂硬化剤にも感作が認められた。・1例では、ビスフェノールF型エポキシ樹脂への感作が認められた。同例では標準型のエポキシ樹脂に対しては陰性であった。・残りの5例の症例の最終的な診断は、ファイバーグラスによる刺激性の接触皮膚炎であった。・風力エネルギー産業界では職業性接触皮膚炎がみられる頻度が増している。主要なアレルゲンはエポキシ樹脂であり、ファイバーグラスは刺激をもたらしやすいようであった。

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