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厳しい寒さは心筋梗塞リスクを高める

 厳しい寒さは短期的に心筋梗塞(MI)リスクを高めることが、新たな研究で明らかになった。低い気温や寒波がMI発症に与える短期的な影響について検討した、米ハーバード大学のWenli Ni氏らによるこの研究結果は、欧州心臓病学会年次総会(ESC Congress 2024、8月30日~9月2日、英ロンドン)で発表されるとともに、「Journal of the American College of Cardiology(JACC)」に9月1日掲載された。Ni氏は、「寒冷ストレスがかかっている間は特に、急性MIが生じやすい可能性がある」と述べている。 研究グループによると、過去の研究では、外気温が心血管に及ぼす負荷は、高温よりも低温の方が大きいことが明らかにされている。今回、Ni氏らは、より寒冷な地域において低温と寒波が心血管に及ぼす影響を検討するために、スウェーデンのSWEDEHEART登録者12万380人の転帰を追跡した。対象者は、2005年から2019年の寒冷期(10〜3月)にMIにより入院していた。機械学習を用いて1km2単位での日平均気温を推定し、同じ自治体に住む人が経験した日々の気温のパーセンタイルに基づいて、それぞれの自治体ごとの寒さに対する適応度を評価した。寒波は、各自治体の気温分布の10パーセンタイル以下の日平均気温が2日以上続く期間として定義された。低温と寒波の影響は、ラグ(低温や寒波の発生からその影響が現れるまでの時間差)0〜1日(即時)とラグ2〜6日(遅延)に分けて検討した。 その結果、低温になってから2〜6日後に外気温パーセンタイルが1単位低下すると、MI、非ST上昇型MI(NSTEMI)、およびST上昇型MI(STEMI)のリスクがそれぞれ有意に増加し、そのオッズ比は同順で、1.099(95%信頼区間1.057〜1.142)、1.110(同1.060〜1.164)、1.076(同1.004〜1.153)であると推定された。また、到来から2〜6日後の寒波もMI、NSTEMI、STEMIの有意なリスク増加と関連し、オッズ比は同順で1.077(同1.037〜1.120)、1.069(同1.020〜1.119)、1.095(同1.023〜1.172)であった。一方、ラグ0〜1日の低温と寒波は、MIのリスク低下と関連していた。これらの結果は、初発のMIであったかや、MIの既往歴の有無を考慮しても変わらなかった。 Ni氏らは、寒くなってすぐの時点ではMIの発生が減少していた理由について、「気温が下がり始めた当初は、人々が用心して屋内で過ごそうとしたためかもしれない。しかし、そのような行動を持続するのは難しく、数日のうちに外出して極寒の気温に身をさらし、それがMIリスクの上昇を招いたのではないか」との見方を示す。 本論文の付随論評を執筆した、米イェール大学公衆衛生大学院疫学分野のKai Chen氏と米ヒューストン・メソジスト病院心臓病学のKhurram Nasir氏は、気候変動により気温は極端に高くなったり低くなったりし続けていることを踏まえ、「医療システムが心血管の健康に対するこれらの課題を管理し、緩和するのに十分な備えを整えるには、両極端の気温に対処する必要がある」と述べている。

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頻尿とは?起こる原因は?

患者さん、それは…頻尿 かもしれません!「頻尿」は、一般的には朝起きてから就寝までの排尿回数が8回以上の場合のことを言いますが、8回以下でも自分自身で排尿回数が多いと感じる場合は該当します。以下のような原因や症状はありませんか?●原因□子宮や腸の手術後□膀胱炎/前立腺炎□腰部椎間板ヘルニア□前立腺肥大症□緊張などのストレスがある□糖尿病●こんな症状はありますか?□尿がたくさん出る□水分を3L以上飲む□夜間、2回以上トイレに起きる□すぐにトイレに行きたくなる□咳やくしゃみで出てしまう◆その頻尿は…過活動膀胱のせいかも!?• 急に強い尿意を感じませんか(尿意切迫感)• 何度もトイレに行きたくなりませんか(頻尿)• トイレが間に合わず尿が漏れてしまいませんか(尿失禁)出典:日本泌尿器科学会-頻尿とは監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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第234回 これまでにない作用の統合失調症治療薬を米国が承認

これまでにない作用の統合失調症治療薬を米国が承認ここ数十年なかった新しい作用機序の統合失調症治療薬Cobenfyが米国で先月末26日に承認されました1,2)。その承認により、統合失調症患者にこれまで処方されてきた薬剤とは一味違う抗精神病薬の使用が同国で可能になります。Cobenfyは神経伝達に携わるコリン作動性受容体の1つであるムスカリン受容体を標的とします3)。それらの受容体を活性化することは幻覚や妄想などの統合失調症を特徴づける症状の源である神経伝達物質ドーパミン放出に影響することが知られています。ムスカリン伝達は認知や感情の処理に携わる脳回路を調節することも知られています。ムスカリン伝達を手入れするCobenfyはそれゆえドーパミン活性の抑制を主とする他の統合失調症治療薬に比べてよりあまねく効果があるようです。Cobenfyの道のりCobenfyの歴史は古く、その始まりは米国の製薬会社Eli Lillyが1990年代の初めにキサノメリン(xanomeline)という化合物の開発を始めたことに端を発します3)。キサノメリンはムスカリン受容体の作動薬です。もっぱらアルツハイマー病患者の記憶の改善を目指して開発が始まりましたが、統合失調症の治療の可能性も検討されていました。幸いキサノメリンはアルツハイマー病患者や統合失調症患者を募った試験で認知機能や精神症状の改善効果を示しました4,5)。しかし、どうやら消化管のムスカリン受容体活性化のせいで、キサノメリン投与群には悪心や嘔吐などの胃腸有害事象が多く生じました。たとえばアルツハイマー病患者342例が参加した試験ではキサノメリン高用量投与群の半数強(52%)が有害事象で脱落しており4)、用量依存的な有害事象はもっぱら胃腸系でした。Lillyは最終的にキサノメリンの開発から手を引くことになります。Lillyが手を引いてからしばらくしてキサノメリンの復活を図る取り組みが始まります。2009年に米国のボストンにバイオテクノロジー企業Karuna Therapeuticsを設立したAndrew Miller氏は、ムスカリン受容体作動薬と脳の外でのその働きを打ち消す化合物を組み合わせた薬なら大した胃腸障害を生じることなく認知や精神症状への有益効果を保てるのではないかと思いつきました。そこでKarunaはLillyから権利を手に入れたキサノメリンと血液脳関門(BBB)を通過しないムスカリン受容体拮抗薬であるトロスピウム(trospium)を組み合わせた薬を作りました。それがCobenfyです。Cobenfyはキサノメリンが胃腸に手出しするのをトロスピウムによって防ぎ、脳に限って作用するようにすることを目指します。その後の臨床試験は順調に進み、最終的に2つの第III相試験(EMERGENT-2とEMERGENT-3)でCobenfyの統合失調症症状改善効果がプラセボを有意に上回りました。陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)の合計点がCobenfy投与群5週時点ではベースラインに比べて21点ほど低く、プラセボ群の約12点低下を10点弱ほど上回りました6)。胃腸の有害事象はプラセボに比べてどうしても多かったものの、たいていは1週間か2週間で解消しました3)。Cobenfyとプラセボ群の有害事象での脱落率は似たりよったりでどちらも5%ほどです(それぞれ6%と4%)6)。Cobenfyで心配なことCobenfyはいくつか悩ましいことがあります。いまや抗精神病薬の多くは年に数回の注射で事足りる持効性製剤をそろえていますが、Cobenfyは1日2回の服用が必要です。頻繁な投与を要する薬は続けることが困難であり、中止してしまう統合失調症患者が多いようです7)。また、Cobenfyはご多分にもれずいい値段で、1ヵ月あたりの定価は1,850ドル、1年間では2万ドル強かかります。医療経済の専門家は他の薬剤に比べてその価格が効果に見合ったものかどうかを心配しています3)。そんな心配をよそに製薬業界のアナリストのほとんどはCobenfyの需要は大きいとみており、やがて数十億ドルの年間売り上げに達すると予想しています。そういう期待を背景にしてBristol Myers Squibb(BMS)は140億ドルも払ってKaruna Therapeuticsを今春3月に手中に収めました8)。BMSは米国の患者が今月遅くにCobenfyを入手できるようにするつもりです。長期効果は有望Cobenfyの長期使用の成績は有望で、この4月に発表された52週間のEMERGENT-4試験では同剤投与患者のPANSS合計点がベースラインと比べて約33点低下しました9)。EMERGENT-4試験は上述した5週間の二重盲検第III相試験2つのいずれかを完了した患者を募って実施されています。参考1)FDA Approves Drug with New Mechanism of Action for Treatment of Schizophrenia / PRNewswire2)U.S. Food and Drug Administration Approves Bristol Myers Squibb’s COBENFY? (xanomeline and trospium chloride), a First-In-Class Muscarinic Agonist for the Treatment of Schizophrenia in Adults / BUSINESS WIRE3)Revolutionary drug for schizophrenia wins US approval / Nature 4)Bodick NC, et al. Arch Neurol. 1997;54:465-473.5)Shekhar A, et al. Am J Psychiatry. 2008;165:1033-1039.6)OBENFY U.S.:Prescribing Information7)Zacker C, et al. Clinicoecon Outcomes Res. 2024;16:567-579.8)Bristol Myers Squibb Completes Acquisition of PureTech's Founded Entity Karuna Therapeutics for $14 Billion / BUSINESS WIRE9)Bristol Myers Squibb Presents New Interim Long-Term Efficacy Data from the EMERGENT-4 Trial Evaluating KarXT in Schizophrenia at the 2024 Annual Congress of the Schizophrenia International Research Society / BUSINESS WIRE

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乳がん術前療法でのDato-DXd+デュルバルマブからの逐次治療、免疫反応陽性例で高いpCR率(I-SPY2.2)/ESMO2024

 StageII/IIIの高リスクHER2-乳がんの術前療法において、datopotamab deruxtecan(Dato-DXd)+デュルバルマブで始める3段階の逐次治療戦略により、50%で病理学的完全奏効(pCR)を達成したことが第II相I-SPY2.2試験で示された。免疫療法に反応する免疫反応陽性サブタイプでpCR率が最も高く、標準化学療法なしで50%以上、アントラサイクリンなしで90%以上がpCRを達成した。また、ホルモン受容体(HR)・免疫反応・DNA修復欠損(DRD)がすべて陰性のサブタイプでpCR率が対照群を上回ったという。米国・Columbia University Vagelos College of Physicians and SurgeonsのMeghna S. Trivedi氏が、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で発表した。本結果はNature Medicine誌オンライン版2024年9月14日号に同時掲載された。 I-SPY2.2試験は、外科的切除時のpCR達成のために術前療法を個別化・最適化することを目的とし、反応予測サブタイプ(RPS)に基づいて治療ブロックを割り当て、ブロックAでは新規薬剤を投与、ブロックBとCでは従来の標準療法を行う連続多段階ランダム割付試験である。治療は標準療法とマッチングされ、RPSは免疫療法の有用性、DRD、HRの有無、HER2の有無により分類された。 本試験の適格患者は、70遺伝子シグネチャー(MammaPrint)で高リスクのStageII/IIIのHER2-乳がんである。Dato-DXd+デュルバルマブアームにおける治療は、ブロックAではDato-DXd 6mg/kg+デュルバルマブ1,120mgを3週ごと4サイクルまで静注、ブロックBはタキサンを含む化学療法±ペムブロリズマブ、ブロックCはアントラサイクリンを含む化学療法±ペンブロリズマブとした。ブロックAまたはBの終了時にpCRが予測された患者は手術に移行し、予測されない場合はブロックB±ブロックCに進む。予測残存腫瘍量の評価のために乳房MRIと生検で治療への反応を評価し、治療方針は最終的に担当医師が決定した。主要評価項目はpCRで、以前のI-SPYデータから得られた各サブタイプの対照群と比較した。 ASCO2024ではブロックAの結果が報告され、今回はDato-DXd+デュルバルマブアーム全体の結果が報告された。 主な結果は以下のとおり。・2022年9月~2023年8月に106例がDato-DXd+デュルバルマブ群に無作為に割り付けられた。・年齢中央値は50.5歳で、免疫+のサブタイプが47例と最も多く、うち3分の1(17例)がHR+だった。・pCR率は、HR+/免疫-/DRD-および免疫-/DRD+のサブタイプでは対照群を上回らなかったが、すべて陰性(HR-/免疫-/DRD-)のサブタイプでは対照群を有意に上回った。・一方、pCRの達成時期をみると、pCRを達成した53例(50%)のうち、ブロックA後が25例、ブロックB後が22例、ブロックC後が6例であった。・免疫+およびトリプルネガティブのサブタイプで高いpCR率(順に79%、62%)を示し、どちらのサブタイプもこのうち54%がブロックAで達成し、92%がブロックBまでに達成した。・Dato-DXd+デュルバルマブ併用で報告された毒性プロファイルは先行研究と一致しており、全ブロックにおける免疫関連有害事象もこれまでの結果と一致していた。・高血圧既往のある70歳の参加者1例がブロックBで心停止により死亡した。

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切除不能大腸がん1次治療、ラムシルマブ併用のFOLFIRI対FOLFOXIRIはOSも同等(WJOG9216G)/ESMO2024

 転移のある未治療の大腸がん患者には、年齢や遺伝子変異の有無などに応じて多様な併用療法が使われており、最適な個別化が課題となっている。WJOG9216G/RECAST試験は同患者を対象に、現在は2次治療以降で使われている分子標的薬ラムシルマブを1次治療として用い、併用療法としてFOLFIRIとFOLFOXIRIを比較した国内ランダム化第II相試験である。すでに奏効率(ORR)および無増悪生存期間(PFS)が同等だったことが報告されているが、2024年9月13~17日に行われた欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)において、静岡県立静岡がんセンターの山崎 健太郎氏が本試験の全生存期間(OS)のデータを発表した。・試験デザイン:第II相ランダム化比較試験・対象:手術不適、化学療法未治療の局所再発/転移大腸がん、PS 0~1・試験群: アームA:ラムシルマブ+FOLFIRI(イリノテカン、ロイコボリン、5-FU)、PDまたは許容できない毒性が出るまで2週ごと継続 アームB:導入療法としてラムシルマブ+FOLFOXIRI(イリノテカン、ロイコボリン、オキサリプラチン、5-FU)を8サイクル実施後、維持療法としてラムシルマブ+5-FU+ロイコボリン、PDまたは許容できない毒性が出るまで2週ごと継続・評価項目:[主要評価項目]ORR[副次評価項目]OS、PFS、8週時点でのETS(Early Tumor Shrinkage)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2017年6月~2020年9月に、122例が割り付けられた(アームA:59例、アームB:63例)。肝臓限局性病変(32%/19%)を除き、患者特性はバランスが取れていた。・追跡期間中央値はアームAが42.1ヵ月でアームBが40.4ヵ月、OS中央値はアームAが32.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:26.8~36.5)でアームBが28.2ヵ月(95%CI:21.9~31.2)、ハザード比[HR]1.58(95%CI:1.03~2.41、p=0.003)と、アームBが劣る結果だった。・次治療として、R0切除(A/B群で19/11%)、放射線療法(12/16%)、化学療法(98/91%)が実施された。2次治療として化学療法を受けた患者は、アームAではFOLFOX+ベバシズマブ(45%)が最多、アームBではFOLFIRI+ラムシルマブ(26%)が最多だった。・アームA/Bを合わせたバイオマーカー解析では、治療後のIL-8値が中央値より高い患者は、低い患者と比較してOSが短かった(29.3ヵ月vs.31.6ヵ月、HR:0.60、p=0.049)。また、治療前から2サイクル目にかけてヘパリン結合性上皮成長因子(HB-EGF)レベルが上昇した患者は、低下した患者と比較して全生存期間が長かった(34.3ヵ月vs.28.2ヵ月、HR:1.78、p=0.024)。 山崎氏は「WJOG9216試験では、転移のある大腸がんに対する1次治療として、FOLFOXIRI+ラムシルマブ併用療法は、FOLFIRI+ラムシルマブ併用療法と比較して、OS、ORR、PFSの観点で優位性は示されなかった」と結論付けた。

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敗血症生存者の再入院リスクは高い

 敗血症との闘いを幸運にも生き延びたとしても、安心はできないようだ。7,000人以上の敗血症患者を対象にした研究で、退院後30日以内の敗血症の再発やその他の原因による再入院率は驚くほど高いことが明らかになった。米オーガスタ大学看護学部のPriscilla Hartley氏らによるこの研究の詳細は、「American Journal of Critical Care」に9月1日掲載された。論文の筆頭著者であるHartley氏は、「再入院は、自宅退院または在宅医療に移行できるほど健康だと判断された患者の間でも頻発している」と指摘している。 米国立衛生研究所(NIH)によると、敗血症とは、肺炎などの命を脅かす感染症により臓器障害や組織障害が生じている状態を指す。敗血症は急速に進行することがあり、ショック状態に陥ったり臓器障害が重篤化したりすると致死的になる。実際に、敗血症患者の5人に1人は死亡するとされている。 この研究では、2008年から2019年の間に米ボストンのベス・イスラエル・ディーコネス医療センターで敗血症の診断を受けて入院した成人患者7,107人(平均年齢66.5歳、女性46.2%)のデータを用いて、敗血症の診断後30日以内の再入院率が調査された。患者の主な退院先は、高度看護施設(29.5%)や自宅(19.5%)、長期急性期ケア施設(13.4%)などで、在宅医療を受けている患者も多かった(24.4%)。 患者の23.6%(1,674人)が、診断後30日以内に再入院していた。これらの患者の平均再入院回数は1.6回だったが、30%近くの患者が1〜3回再入院しており、最も多いケースでは17回に上った。再入院の主な原因は感染症(敗血症の再発68.3%、嚥下性肺炎26.1%、尿路感染症14.9%、院内感染症9.4%)で、その他、急性腎不全(28.7%)、心不全(6.9%)などがあった。 再入院と関連する因子について検討したところ、退院後の環境と年齢との間に有意な関連が認められたが、性別、民族、加入保険のタイプとの間に関連は見られなかった。再入院率の高かった退院後の環境は、高度看護施設(29.6%)、在宅医療(26.9%)、自宅(15.0%)だった。 Hartley氏らは、多くの場合、患者は病院から「不適切な環境」に退院し、再感染のリスクが高まったとの見方を示している。またHartley氏は、「敗血症からの生存率を継続的に向上させたいのであれば、入院中と退院後の環境の間のギャップを埋める方法を見つけなければならない」と米国クリティカルケア看護師協会(AACN)のニュースリリースで述べている。 研究グループは、同ニュースリリースでさらに、「再入院リスクが最も高い患者を特定することで、適切な環境への退院が促される。それにより患者の回復が維持され、必要な介入や経過観察も行われるようになる」と述べている。

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lupus(全身性エリテマトーデス)【病名のルーツはどこから?英語で学ぶ医学用語】第12回

言葉の由来“lupus”は自己免疫疾患の1つであるSLE(systemic lupus erythematosus:全身性エリテマトーデス)の別名として知られています。この病名は、ラテン語で「オオカミ」を意味する“lupus”に由来しています。“lupus”(ループス)という言葉が医学的に使用された起源は、中世欧州にさかのぼります。12世紀に活躍したイタリアの医師、ルッジェーロ・フルガルドが、下肢の皮膚病変を「オオカミに噛まれたような」と表現した、という記録が残っています。当時、欧州ではオオカミは身近な存在であり、オオカミに襲われた人の傷痕と、SLEの皮膚症状が類似していたことから、このような表現が用いられたと考えられています。1850年ごろから“lupus erythematosus”という言葉で顔面の蝶形紅斑が定義されるようになり、さらにその後、近代医学の父であるウィリアム・オスラー医師が皮膚の病変を全身性の症状と関連付けたことで、病気の理解がより深まりました。1971年に米国リウマチ学会が提唱した分類基準で、“systemic lupus erythematosus”(全身性エリテマトーデス)という病名が正式に採用され、現在の疾患概念が確立されました。併せて覚えよう! 周辺単語蝶形紅斑malar rash光線過敏症photosensitivity多発関節炎polyarthritis心膜炎pericarditis胸水pleural effusionこの病気、英語で説明できますか?Lupus is an autoimmune disease where the immune system attacks healthy tissues, leading to inflammation and damage in various parts of the body, including the skin, joints, kidneys, and heart. Symptoms can range from mild to severe and may include fatigue, joint pain, skin rashes, and fever.講師紹介

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インフルワクチンがCVD患者の予後を改善~メタ解析

 心血管疾患患者では、インフルエンザワクチンの接種は全死亡、心血管死および脳卒中の低下と関連していることが、米国・Lehigh Valley Heart and Vascular Institute のRahul Gupta氏らによるシステマティックレビューおよびメタ解析で明らかになった。Cardiology in Review誌2024年9・10月号掲載の報告。 これまでの研究により、インフルエンザの予防接種を受けた高齢者では急性心筋梗塞のリスクが下がる可能性1)や、急性冠症候群治療中のインフルエンザワクチン接種によって心血管転帰が改善する可能性2)が報告されるなど、インフルエンザワクチン接種による心保護効果が示唆されている。そこで研究グループは、心血管疾患患者におけるインフルエンザワクチン接種による心血管系疾患の予防効果に関するエビデンスを深めるために、システマティックレビューおよびメタ解析を実施した。 研究グループは、インフルエンザワクチン接種の心血管転帰を評価した試験を同定するため、系統的な文献検索を行った。DerSimonian and Laird固定効果モデルおよびランダム効果モデルを用いて、すべての臨床的エンドポイントについてオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を算出した。 主な結果は以下のとおり。●合計74万5,001例の患者を対象とした15件の研究が解析に含まれた。●インフルエンザワクチンを接種した群では、プラセボを接種した群と比較して、全死亡、心血管死および脳卒中のORが有意に低かった。 ・全死亡のOR:0.74、95%CI:0.64~0.86 ・心血管死のOR:0.73、95%CI:0.59~0.92 ・脳卒中のOR:0.71、95%CI:0.57~0.89●心筋梗塞と心不全による入院では有意な差は認められなかった。 ・心筋梗塞のOR:0.91、95%CI:0.69~1.21 ・心不全による入院のOR:1.06、95%CI:0.85~1.31

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EGFR exon19挿入変異NSCLCへのEGFR-TKI、第1~3世代の効果は?/WCLC2024

 EGFR遺伝子exon19挿入変異を有する非小細胞肺がん(NSCLC)に対して、第2世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬(EGFR-TKI)が有効であることが示唆された。EGFR-TKIの登場により、主要なEGFR遺伝子変異(exon21 L858R、exon19欠失変異)を有するNSCLC患者の予後は改善している。しかし、uncommon変異を有するNSCLC患者に対するEGFR-TKIの有効性はさまざまであり、希少変異であるexon19挿入変異に対する有効性は明らかになっていなかった。そこで、上原 悠治氏、泉 大樹氏(国立がん研究センター東病院 呼吸器内科)らの研究グループは、遺伝子スクリーニングプロジェクト「LC-SCRUM-Asia」において、NSCLC患者のEGFR遺伝子exon19挿入変異の発現割合およびEGFR-TKIの有効性を検討した。本研究結果は、2024年9月7~10日に米国・サンディエゴで開催された世界肺がん学会(WCLC2024)において発表された。 研究グループは、遺伝子スクリーニングプロジェクト「LC-SCRUM-Asia」の対象となったNSCLC患者1万6,204例について、次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析によりEGFR遺伝子exon19挿入変異を有する割合を調べた。また、EGFR遺伝子exon19挿入変異を有するNSCLC患者の共変異の割合も検討した。さらに、EGFR遺伝子exon19挿入変異(K745_E746insIPVAIK)またはexon19欠失変異(E746_A750)を導入したEGFR分子を発現するBa/F3細胞モデルを用いて、EGFR-TKIへの感受性を検討した。また、AlphaFoldとOpenFoldを用いた立体構造予測により、EGFR exon19挿入変異体とEGFR-TKIとの結合状態を予測した。最後に、EGFR遺伝子exon19挿入変異を有するNSCLC患者における第1~3世代EGFR-TKIの臨床的有効性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・次世代シークエンサーを用いた遺伝子解析が可能であった1万5,226例中3,269例(21%)にEGFR遺伝子変異が認められ、そのうちexon19挿入変異が認められた患者は13例であった(0.1%)。EGFR遺伝子exon19挿入変異の内訳は、K745_E746insIPVAIKが12例、 K745_E746insVPVAIKが1例であった。・主要なEGFR遺伝子変異を有するNSCLC患者とEGFR遺伝子exon19挿入変異を有するNSCLC患者の背景には違いがみられなかった。・EGFR遺伝子exon19挿入変異を有するNSCLC患者における主な共変異は、TP53遺伝子変異(62%)、EGFR遺伝子増幅(15%)、CDKN2B遺伝子増幅(8%)、PIK3CA遺伝子変異(8%)、FGFR遺伝子変異(8%)であった。・Ba/F3細胞モデルを用いた解析では、EGFR遺伝子exon19挿入変異(K745_E746insIPVAIK)を導入したEGFR分子を発現する細胞株のEGFR-TKIに対する感受性は、第2世代EGFR-TKIが最も高かった(IC50の範囲:0.57~0.95pM)。第1世代EGFR-TKI、第3世代EGFR-TKI、EGFR exon20挿入変異体への活性を示すEGFR-TKIのIC50は、それぞれ61~158nM、13.8nM、1.78~21.3nMであった。・立体構造予測においても、第2世代EGFR-TKIのアファチニブがEGFR exon19挿入変異体のcavityに入り込み、結合すると予測された。・EGFR遺伝子exon19挿入変異を有するNSCLC患者13例中12例がEGFR-TKIによる治療を受けた。無増悪生存期間(PFS)中央値は7.2ヵ月(95%信頼区間:6.0~推定不能)、全生存期間(OS)中央値は20.1ヵ月(同:16.3~推定不能)であった。・細胞株と立体構造予測の知見に基づいて、EGFR-TKIの世代別に抗腫瘍効果を比較したところ、第2世代EGFR-TKIが最も高い奏効割合を示した。【PFS中央値】 第1世代(2例):8.7ヵ月 第2世代(5例):14.7ヵ月 第3世代(5例):4.4ヵ月【OS中央値】 第1世代(2例):25.5ヵ月 第2世代(5例):未到達 第3世代(5例):15.9ヵ月【奏効】 第1世代(2例):PR 1例、SD 1例 第2世代(5例):PR 4例、SD 1例 第3世代(5例):SD 3例、PD 2例 以上の結果について、研究グループは「細胞株、立体構造予測、大規模臨床データベースのすべての結果が一致し、EGFR遺伝子exon19挿入変異を有するNSCLC患者に対して、第2世代EGFR-TKIが最も有効であることが示唆された」とまとめた。

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新規非複雑病変へのDCB、DESに非劣性示せず/Lancet

 標的血管径を問わず新規の非複雑病変を有する患者において、薬剤コーティングバルーン(DCB)血管形成術とレスキューステント留置を併用する治療戦略は、計画された薬剤溶出性ステント(DES)留置と比較し、2年後のデバイス指向複合エンドポイント(DoCE)に関して非劣性を示さなかった。中国・第四軍医大学のChao Gao氏らREC-CAGEFREE I Investigatorsが、同国43施設で実施した医師主導の無作為化非盲検非劣性試験「REC-CAGEFREE I試験」の結果を報告した。新規冠動脈病変を有する患者に対するDCB血管形成術の長期的な影響はわかっていない。Lancet誌2024年9月14日号掲載の報告。2年時のDoCE(心血管死、標的血管心筋梗塞、標的病変再血行再建術)を比較 研究グループは、急性冠症候群または慢性冠症候群で経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を必要とする18歳以上の患者で、標的血管径を問わず新規の非複雑病変を有する患者を登録し、標的病変の前拡張が成功した患者を、パクリタキセルコーティングバルーンを用いたDCB血管形成術(レスキューステントオプション付き)群と第2世代のシロリムス溶出ステントを留置するDES群に、1対1の割合で無作為に割り付け、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、12ヵ月、18ヵ月および24ヵ月後に追跡評価した。 割り付けに関しては、患者および治験責任医師は盲検化されなかったが、独立した臨床事象判定委員会(CEC)の委員および解析を行った統計学者は盲検化された。 主要アウトカムは、ITT集団(無作為化されたすべての患者)における24ヵ月時のDoCE(心血管死、標的血管心筋梗塞、臨床的・生理学的に適応とされた標的病変再血行再建術)で、非劣性マージンは絶対群間リスク差の片側95%信頼区間(CI)上限が2.68%未満とした。安全性についても、ITT集団で評価した。DoCE発生率はDCB群6.4%、DES群3.4%、DCBの非劣性は認められず 2021年2月5日~2022年5月1日に2,902例が登録され、前拡張に成功した2,272例が無作為化された(ITT集団:DCB群1,133例[50%]、DES群1,139例[50%])。DCB群の1,133例中106例(9.4%)は、DCBによる血管形成術が不十分でレスキューDESを受けた(ITT集団ではDCB群に含まれる)。 計2,272例の患者背景は、年齢中央値62歳(四分位範囲[IQR]:54~69)、男性1,574例(69.3%)、女性698例(30.7%)であった。 データカットオフ(2024年5月1日)時点で、追跡期間中央値は734日(IQR:731~739)であった。 24ヵ月時のDoCEは、DCB群で72例(6.4%)、DES群で38例(3.4%)に発生し、累積イベント発生率の群間リスク差は3.04%であった(片側95%CI:4.52[非劣性のp=0.65]、両側95%CI:1.27~4.81[p=0.0008])。 インターベンション中の急性血管閉塞は、DCB群では発生しなかったが、DES群では1例(0.1%)に認められた。周術期心筋梗塞はDCB群で10例(0.9%)、DES群で9例(0.8%)発生した。 本試験は、現在、延長追跡試験が進行中である。

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入院中の高齢者におけるせん妄が長期的な認知症リスクに及ぼす影響

 これまでの研究において、せん妄と認知症との関連性が示唆されているが、その多くは術後環境においての検討である。韓国・亜洲大学のGyubeom Hwang氏らは、幅広いリアルワールドデータを活用し、入院患者におけるせん妄とその後の認知症との関連を評価するため、レトロスペクティブコホート研究を実施した。The American Journal of Geriatric Psychiatry誌オンライン版2024年8月21日号の報告。 韓国の医療機関9施設より抽出された60歳以上の入院患者1,197万475例を対象に、分析を行った。せん妄の有無を特定し、傾向スコアマッチング(PSM)を用いて比較可能なグループを作成した。10年間の縦断分析を行うため、Cox比例ハザードモデルを用いた。ハザード比(HR)および95%信頼区間(CI)を算出した。すべての結果を集約し、メタ解析を実施した。さまざまなサブグループ解析および感度分析を実施し、各条件における結果の一貫性を評価した。 主な結果は以下のとおり。・1:1のPSM後、せん妄群および非せん妄群で合計4万7,306例がマッチングされた。・両群とも年齢中央値は75〜79歳、女性の割合は43.1%であった。・せん妄群は、非せん妄群と比較し、すべての原因による認知症リスクが有意に高かった(HR:2.70、95%CI:2.27〜3.20)。・認知症サブグループにおいても、せん妄群は、非せん妄群と比較し、認知症の発症リスクが高かった。【すべての原因による認知症または軽度認知障害】HR:2.46、95%CI:2.10〜2.88【アルツハイマー病】HR:2.74、95%CI:2.40〜3.13【血管性認知症】HR:2.55、95%CI:2.07〜3.13・これらのパターンは、すべてのサブグループおよび感度分析において、一貫していた。 著者らは「せん妄は、いずれの認知症タイプにおいてもリスクを有意に高めることが明らかとなった。これらの結果は、せん妄の早期発見および早期介入の重要性を示唆している」とし「せん妄と認知症とのメカニズムを明らかにするためには、さらなる研究が求められる」と結論付けている。

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病気が潜んでいる“ふるえ”とは

患者さん、それは…ふるえ かもしれません!「ふるえ」とは、医学用語で振戦(しんせん)とも呼ばれます。主に手足、頭、声で起こります。寒さや緊張などのように生理現象で生じるものもあれば、パーキンソン病や本態性振戦という病気が原因で生じるものもあるので、以下のことが該当するか確認してみましょう。●いつ、症状が表れますか?□安静時 □ある一定の姿勢を保持した状態●症状が出るのは、どの部位ですか?□手指□声(のど)□頭部□動作時(箸やペンを持つ…)□顔面□足□体幹◆ある病気が潜んでいる“手のふるえ”は…• 安静時に手がふるえれば、パーキンソン病を疑います• 手のふるえで字がうまく書けないときは、本態性振戦であることが多いです• 甲状腺機能亢進症や尿毒症を発症していると、手がふるえます出典:今日の治療指針2020、MSDマニュアルプロフェッショナル版_振戦監修:福島県立医科大学 会津医療センター 総合内科 山中 克郎氏Copyright © 2022 CareNet,Inc. All rights reserved.

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肛門扁平上皮がん1次治療、新規抗PD-1抗体上乗せが有用(POD1UM-30)/ESMO2024

 肛門管扁平上皮がん(SCAC)は、肛門がんの主要なリスク因子であるHPVウイルス感染の増加などを背景に、患者が増加傾向にある。新たな抗PD-1抗体であるretifanlimab単剤療法は、化学療法で進行したSCAC患者において抗腫瘍活性を示すことが報告されている1)。未治療の進行SCAC患者を対象に、retifanlimabの標準化学療法への追加投与を評価するPOD1UM-303試験が行われ、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)Presidential Symposiumで、英国・Royal Marsden HospitalのSheela Rao氏が初回解析結果を発表した。・試験デザイン:第III相二重盲検比較試験・対象:手術不適、化学療法未治療の局所再発/転移SCAC患者・試験群:retifanlimab 500mgを4週ごと(最長1年)+標準化学療法(カルボプラチン+パクリタキセル、6サイクル)・対照群(プラセボ群):プラセボ+標準化学療法、PD後のクロスオーバー可・評価項目:[主要評価項目]無増悪生存期間(PFS)[副次評価項目]全生存期間(OS)、奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性など 主な結果は以下のとおり。・2020年11月~2023年7月に308例(試験群154例、プラセボ群154例)が登録された。年齢中央値は62(SD 29~86)歳、72%が女性、87%が白人、4%がHIV陽性、36%が肝転移あり、90%がPD-L1≧1だった。・PFS中央値は、試験群9.3ヵ月(95%信頼区間[CI]:7.5~11.3)に対し、プラセボ群は7.4ヵ月(95%CI:7.1~7.7)で、試験群が有意に良好な結果だった(ハザード比[HR]:0.63、95%CI:0.47~0.84、p=0.0006)。・OSは未成熟であるものの、試験群29.2ヵ月に対しプラセボ群23.0ヵ月と、試験群で改善傾向が認められた。クロスオーバー群のOSはプラセボ群とほぼ変わらない結果だった。・ORRは試験群55.8%に対してプラセボ群44.2%、DOR中央値は14.0ヵ月と7.2ヵ月だった。・Grade3以上の治療関連有害事象は試験群83.1%、プラセボ群75.0%に発生した。うちGrade5はそれぞれ2.6%(4例)、0.7%(1例)だった。Grade3以上で多かったものは好中球減少症(35.1%と29.6%)、貧血(19.5%と20.4%)などだった。 Rao氏は「本試験は転移SCACにおける最大規模のランダム化試験であり、標準化学療法に比べてretifanlimab併用の有効性を示した。安全性シグナルもこれまでの免疫チェックポイント阻害薬の併用療法と一致していた。retifanlimabと化学療法の併用は、進行SCAC患者の新たな標準治療となる可能性がある」とまとめた。 ディスカッサントを務めたドイツ・シャリテー病院のDominik P. Modest氏は「retifanlimab群におけるPFSのハザード比は非常に良好で、しかも早い段階から効果が出ているのが印象的な結果だ。一方、クロスオーバー群はretifanlimabのベネフィットを受けておらず、投与が遅いと効果が出ない可能性もある。本試験のOSや、ニボルマブの化学療法への上乗せ効果を検討したEA2176試験などの結果を見て、さらに検証する必要があるだろう」とした。 retifanlimabは米国・インサイトが開発したPD-1阻害薬で、米国では再発性局所進行メルケル細胞がんに対して承認されている。また、今回のPOD1UM-30試験には日本の施設も参加している。

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日本人治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療の有用性~二重盲検ランダム化比較試験

 治療抵抗性うつ病(TRD)に対しケタミンが抗うつ効果をもたらすことは、北米や欧州各国から頻繁に報告されているが、アジア人患者におけるエビデンスは、これまで十分ではなかった。慶應義塾大学の大谷 洋平氏らは、日本人TRD患者におけるケタミン静脈内投与の有効性および安全性を評価するため、二重盲検ランダム化プラセボ対照試験を実施した。Psychiatry and Clinical Neurosciences誌オンライン版2024年8月30日号の報告。 TRDの日本人患者34例を対象に、ケタミン群(0.5mg/kg)またはプラセボ群にランダムに割り付け、2週間にわたり週2回、40分間静脈内投与を行った。主要アウトカムは、ベースラインから治療終了までのMontgomery Asbergうつ病評価尺度(MADRS)合計スコアの変化とした。副次的アウトカムは、その他のうつ病症状スコア、寛解率、治療反応率、部分反応率などであった。また、ベースライン時の臨床人口統計学的特性とMADRS合計スコアの変化との関連も調査した。 主な結果は以下のとおり。・ITT解析では、両群間でMADRS合計スコアの減少に有意な差は認められなかったが(−8.1±10.0 vs.−2.5±5.2、t [32]=2.02、p=0.052)、per-protocol解析では、ケタミン群はプラセボ群よりも、MADRS合計スコアの有意な減少が認められた(−9.1±10.2 vs.−2.7±5.3、t [29]=2.22、p=0.034)。・その他のアウトカムは、両群間で差は認められなかった。・ケタミン群はプラセボ群よりも有害事象の発現が多かったが、重篤な有害事象は報告されなかった。・ベースライン時のMADRS合計スコアが高い、およびBMIが高い場合、MADRS合計スコアの減少は大きかった。 著者らは「日本人TRD患者において、ケタミン静脈内投与は、プラセボよりも優れており、多様な民族におけるTRD患者の抑うつ症状軽減に対するケタミンの有用性が示唆された」と結論付けている。

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転移を有するホルモン感受性前立腺がん、ダロルタミド+ADTがrPFS改善(ARANOTE)/ESMO2024

 転移を有するホルモン感受性前立腺がん(mHSPC)に対して、ダロルタミド+アンドロゲン遮断療法(ADT)の併用療法が、プラセボ+ADTと比較して画像上の無増悪生存期間(rPFS)の有意な改善を示した。カナダ・モントリオール大学のFred Saad氏が、国際共同第III相ARANOTE試験の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。同患者に対しては、第III相ARASENS試験において、ダロルタミドをADT+ドセタキセルに加えた併用療法が、ADT+ドセタキセルと比較して全生存期間(OS)を有意に改善している。・対象: mHSPC患者(ECOG PS 0~2)・試験群(ダロルタミド+ADT群):ダロルタミド(1日2回、600mg)+ADT 446例・対照群(プラセボ+ADT群):プラセボ+ADT 223例・評価項目:[主要評価項目]中央判定によるrPFS[副次評価項目]OS、次の抗がん剤治療開始までの期間、mCRPCまでの期間、前立腺特異抗原(PSA)増悪までの期間、PSA不検出率(<0.2ng/mL)、疼痛増悪までの期間(BPI-SF)、安全性・層別化因子:内臓転移、局所療法の有無 主な結果は以下のとおり。・ベースライン特性は両群でおおむね一致しており、年齢中央値はともに70歳、アジア人がダロルタミド+ADT群32.3% vs.プラセボ+ADT群29.1%、PSA中央値が21.4ng/mL vs. 21.2ng/mL、初回診断時に転移あり(de novo)が71.1% vs.75.3%、CHAARTED試験の高腫瘍量に該当したのが70.6% vs.70.4%、内臓転移ありが11.9% vs.12.1%、局所療法歴ありがともに17.9%であった。・2024年6月7日のデータカットオフ時点におけるrPFS中央値は、ダロルタミド+ADT群未到達 vs.プラセボ+ADT群25.0ヵ月(ハザード比[HR]:0.54、95%信頼区間[CI]:0.41~0.71、p<0.0001)であった。・rPFSのサブグループ解析の結果、すべてのサブグループでダロルタミド+ADT群における一貫したベネフィットがみられた。・副次評価項目についても、すべての項目でダロルタミド+ADT群で優位な傾向がみられ、層別HRはOSが0.81(95%CI:0.59~1.12)、次の抗がん剤治療開始までの期間が0.40(0.29~0.56)、mCRPCまでの期間が0.40(0.32~0.51)、PSA増悪までの期間が0.31(0.23~0.41)、疼痛増悪までの期間が0.72(0.54~0.96)であった(OSのデータは未成熟)。・治療中に発現した有害事象(TEAE)の発生状況は同様であり、Grade3/4はダロルタミド+ADT群30.8% vs.プラセボ+ADT群30.3%、Grade5は4.7% vs.5.4%で発生した。・治療期間中央値はダロルタミド+ADT群24.2ヵ月 vs.プラセボ+ADT群17.3ヵ月であった。試験薬の中止につながるTEAEは、6.1% vs.9.0%で発生した。 Saad氏は、ドセタキセルを使用しないダロルタミド+ADT併用療法が、mHSPC患者の治療選択肢の1つとなるだろうと結論付けている。ディスカッサントを務めたオランダ・Radboud University Medical CenterのNiven Mehra氏は、本試験の対象とならなかった機能的に脆弱な集団における有効性についてのデータも求められるとし、ドセタキセルやアビラテロン、エンザルタミドに適応のなかった集団における本療法の有効性を評価する、進行中のPEACE-6試験の結果に注目したいとコメントした。

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複雑病変へのPCI、OCTガイドvs.血管造影ガイド/Lancet

 複雑病変に対し薬剤溶出ステント(DES)の留置が必要な患者において、光干渉断層撮影(OCT)ガイド下の経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は血管造影ガイド下PCIと比較し、1年後の主要有害心血管イベント(MACE)の発生率が有意に低下した。韓国・延世大学校のSung-Jin Hong氏らが、同国20病院で実施した医師主導の無作為化非盲検優越性試験「Optical Coherence Tomography-guided Coronary Intervention in Patients with Complex Lesions trial:OCCUPI試験」の結果を報告した。PCI施行中にOCTは詳細な画像情報を提供するが、こうした画像診断技術の臨床的有用性は不明であった。Lancet誌2024年9月14日号掲載の報告。DESによるPCI施行予定患者を無作為化、1年後のMACEを評価 研究グループは、DESによるPCIが適応と判断された19~85歳の患者を登録してスクリーニングを行い、1つ以上の複雑病変を有する患者をOCTガイド下PCI群(OCT群)またはOCTを用いない血管造影ガイド下PCI群(血管造影群)に1対1の割合で無作為に割り付けた。 複雑病変の定義は、急性心筋梗塞、慢性完全閉塞、long lesion(ステント長≧28mm)、石灰化病変、分岐部病変、非保護の左主幹部病変、小血管疾患(血管径<2.5mm)、冠動脈内血栓、ステント血栓症、ステント内再狭窄、バイパスグラフト病変であった。 アウトカム評価者は割り付けについて盲検化されたが、患者、追跡調査の医療従事者、データ解析者は盲検化されなかった。PCIは、エベロリムス溶出ステントを用いて従来の標準的方法に従って実施された。 主要アウトカムは、PCI施行1年後のMACE(心臓死、心筋梗塞、ステント血栓症、虚血による標的血管血行再建の複合)で、ITT解析を行い、優越性のマージンはハザード比1.0とした。MACE発生率、OCT群5% vs.血管造影群7%、ハザード比は0.62 2019年1月9日~2022年9月22日に、複雑病変へのDESによるPCIを必要とする患者1,604例が無作為化された(OCT群803例、血管造影群801例)。患者背景は、1,290例(80%)が男性、314例(20%)が女性で、無作為化時の平均年齢は64歳(四分位範囲:57~70)であった。1,588例(99%)が1年間の追跡調査を完了した。 主要アウトカムのイベントは、OCT群で803例中37例(5%)、血管造影群で801例中59例(7%)に発生した。絶対群間差は-2.8%(95%信頼区間[CI]:-5.1~-0.4)、ハザード比は0.62(95%CI:0.41~0.93)であり、有意差が認められた(p=0.023)。 副次アウトカムの脳卒中、出血イベント(BARC出血基準タイプ3または5)、造影剤誘発性腎症の発生率に、両群間で有意差はなかった。 なお、著者は、追跡期間が短いこと、完全な盲検化が困難であったこと、血管造影ガイド下PCIは術者の経験に影響される可能性があること、韓国のみで実施されたことなどを研究の限界として挙げている。

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HFpEFに2番目のエビデンスが登場―非ステロイド系MRAの時代が来るのか?(解説:絹川弘一郎氏)

 ESC2024はHFpEFの新たなエビデンスの幕開けとなった。HFpEFに対する臨床試験はCHARM-preserved、PEP-CHF、TOPCAT、PARAGONと有意差を検出できず、エビデンスのある薬剤はないという時代が続いた。 CHARM-preservedはプラセボ群の一部にACE阻害薬が入っていてなお、プライマリーエンドポイントの有意差0.051と大健闘したものの2003年時点ではmortality benefitがない薬剤なんて顧みられず、PEP-CHFはペリンドプリルは1年後まで順調に予後改善していたのにプラセボ群にACE阻害薬を投与される例が相次ぎ、2年後には予後改善効果消失、TOPCATはロシア、ジョージアの患者のほとんどがおそらくCOPDでイベントが異常に少なく、かつ実薬群に割り付けられてもカンレノ酸を血中で検出できない例がロシア人で多発したなど試験のqualityが低かった、PARAGONではなぜか対照にプラセボでなくARBの高用量を選んでしまうなど、数々の不運または不思議が重なってきた。 その後ここ数年でSGLT2阻害薬がHFmrEF/HFpEFにもmortality benefitこそ示せなかったが心不全入院の抑制は明らかにあることがわかり、初のHFpEFに対するエビデンスとなったことは記憶に新しい。今回のFinearts-HF試験は、スピロノラクトンやエプレレノンと異なる非ステロイド骨格を有するMRA、フィネレノンがHFmrEF/HFpEFを対象に検討された。ここで、ステロイド骨格のMRAとフィネレノンとの相違の可能性について、まず説明する。 アルドステロンが結合したミネラルコルチコイド受容体は、cofactorをリクルートしながら核内に入って転写因子として炎症や線維化を誘導する遺伝子の5’-regionに結合して、心臓や腎臓の臓器障害を招くとされてきた。ステロイド骨格のMRAではアルドステロンを拮抗的に阻害するものの、ミネラルコルチコイド受容体がcofactorをリクルートすることは抑制できず、わずかながらではあっても炎症や線維化を促進してしまうことが知られている。このことがステロイド系MRAに腎保護作用が明確には認めづらい原因かといわれてきた。 一方、フィネレノンはもともとCa拮抗薬の骨格から開発された非ステロイド系MRAであり、cofactorのリクルートはなく、アルドステロン依存性の遺伝子発現はほぼ完全にブロックされるといわれている。FIDELIO-DKD試験ですでに示されているように糖尿病の合併があるCKDに限定されているとはいえ、フィネレノンには腎保護作用が明確にある。さらに、フィネレノンの体内分布はステロイド系MRAに比較して腎臓より心臓に多く分布しているようであり、腎臓の副作用である高カリウム血症が少なくなるのではないかという期待があった。このような背景においてHFmrEF/HFpEF患者を対象に、心不全入院の総数と心血管死亡の複合エンドポイントの抑制をプライマリーとして達成したことはSGLT2阻害薬に続く快挙である。カプランマイヤー曲線はSGLT2阻害薬並みに早期分離があり、フィネレノン20mgをDKDに使用している現状では血圧や尿量にさほどの変化を感じないが、早期に効果があるということは、やはり血行動態的に作用しているとしか考えられず、40mgでの降圧や利尿に対する効果を今一度検証する必要があると感じた。またかというか、HFpEFでは心血管死亡の発症率が低いため、mortalityに差がついていないが、これはもともと6,000人2年の規模の試験では当初から狙えないことが明らかなので、もうあまりこの点をいうのはやめたほうがいいかと思われる。 ちなみに死亡のエンドポイントで事前に有意差を出すための症例数を計算すると、1万5,000人必要だそうである。しかし、高カリウム血症の頻度は依然として多く、非ステロイド系MRAとしての期待は裏切られた格好になっている。もっとも、プロトコル上、eGFR>60の症例にはターゲット40mg、eGFR<60ではターゲット20mgとなっており、腎機能の低い症例に高カリウムが多いのか、むしろ高用量にした場合に一定程度高カリウムになっているのか、など細かい解析は今後出てくる予定である。腎保護の観点でもAKIはむしろフィネレノンで多いという結果であり、DKDで認められたeGFR slopeの差などがHFpEFでどうなのかも今後明らかになるであろう。このように、現状では非ステロイド系という差別化にはいまだ明確なデータはないようであり、それもあってTOPCAT Americasとのメタ解析が出てしまうことで、MRA一般にHFpEFに対するクラスエフェクトでI/Aというような主張も米国のcardiologistから出ている。 しかし、前述のようにいかにロシア、ジョージアの症例エントリーやその後のマネジメントに問題があったとはいえ、いいとこ取りで試験結果を解釈するようになればもう前向きプラセボ対照RCTの強みは消失しているとしかいえず、あくまでもTOPCAT全体の結果で解釈すべきで、ここまで長年そういう立場で各国ガイドラインにも記述されてきたものを、FINEARTS-HF試験の助けでスピロノラクトンの評価が一変するというのは、さすがに多大なコストと時間と手間をかけた製薬企業に残酷過ぎると思う。 少なくともFINEARTS-HF試験の結果をIIa/B-Rと評価したうえで、今後フィネレノン自体がHFrEFにも有効であるのか、または第III相試験中の他の非ステロイド系MRAの結果がどうであるかなどを合わせて、本当に非ステロイド系MRAが既存のステロイド系MRAに取って代わるかの結論には、まだ数年の猶予は必要であろうか。

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StageIのTN乳がんにおける術前化療後のpCR率とOSの関係/ESMO2024

 StageIのトリプルネガティブ乳がん(TNBC)において、術前化学療法後のpCR率は良好な長期転帰と関連することが示され、同患者における術前化学療法の実施が裏付けられた。オランダ・Netherlands Cancer InstituteのManon De Graaf氏が、1,000例以上のTNBC患者を対象としたレジストリ研究の結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2024)で報告した。 本研究では、2012~22年に術前化学療法後に手術が施行されたcT1N0のTNBC患者をオランダがん登録のデータから特定し、pCR率と全生存期間(OS)との関連を評価した。 主な結果は以下のとおり。・アントラサイクリンおよびタキサンベースの術前化学療法を受けた患者1,144例が特定された。・年齢中央値は50.0(22.0~77.0)歳、94.1%がcT1c腫瘍で、90.4%が乳管がんであった。41.3%がプラチナベースの術前化学療法を受け、24.7%が術後カペシタビン療法を受けていた。・全体のpCR達成率は57.3%(656例)であった。・多変量ロジスティック回帰分析の結果、若年(50歳未満vs.50歳以上、オッズ比[OR]:1.75、95%信頼区間[CI]:1.36~2.26)および腫瘍グレードの高さ(グレード3 vs.1または2、OR:2.07、95%CI:1.55~2.76)はpCR率の高さと関連し、小葉がんはpCR率の低さと関連していた(小葉がんvs.乳管がん、OR:0.18、95%CI:0.03~0.69)(いずれもp<0.05)。・プラチナベースの術前化学療法は、pCR率の改善と有意な関連はみられなかった(プラチナベースの術前化学療法ありvs.なし、57.6% vs.57.1%、OR:1.02、95%CI:0.80~1.29、p=0.9)。・4年時OSは、pCR達成群で98% vs.残存病変群で93%となり、pCR達成群で有意に良好であった(ハザード比[HR]:0.29、95%CI:0.15~0.36、log-rank検定のp<0.001)。・残存病変群における術後カペシタビン療法の有無によるOSへの影響をみると、4年時OSはカペシタビン群93% vs.術後化学療法なし群91%であった(HR:0.65、95%CI:0.31~1.39、log-rank検定のp=0.3)。 Graaf氏は、StageIのTNBC患者のうち術前化学療法が必要な患者を決めるため、またTILsや免疫関連遺伝子シグネチャ―などの予測バイオマーカーを評価するために、さらなる研究が必要と結んでいる。

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HER2陽性胃がん1次治療、ペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法の最終OS(KEYNOTE-811)/ESMO2024

 昨年の欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)において局所進行または切除不能のHER2陽性胃がん1次治療として、トラスツズマブ+化学療法にペムブロリズマブを上乗せすることによって奏効率(ORR)と無増悪生存期間(PFS)が改善したことを報告したKEYNOTE-811試験。本試験における全生存期間(OS)の最終解析結果を、イタリア・Veneto Institute of Oncology のSara Lonardi氏がESMO2024で発表した。・試験デザイン:第III相無作為化プラセボ対照比較試験・対象:未治療の切除不能HER2陽性胃がんまたは胃食道接合部がん、PS 0~1・試験群(ペムブロリズマブ群):ペムブロリズマブ200mgを3週間ごと+トラスツズマブ+化学療法(5-FUおよびシスプラチン[FP]またはカペシタビンおよびオキサリプラチン[CAPOX])、最大35サイクル・対照群(プラセボ群):プラセボを3週間ごと+トラスツズマブ+化学療法・評価項目:[主要評価項目]PFS、OS[副次評価項目]ORR、奏効期間(DOR)、安全性 主な結果は以下のとおり。・計698例がランダム化され、ペムブロリズマブ群350例、プラセボ群348例に割り付けられた。最終データカットオフは2024年3月20日、追跡期間中央値は50.2ヵ月であった。・最終のOS中央値はペムブロリズマブ群20.0ヵ月に対し、プラセボ群 は16.8ヵ月と有意にペムブロリズマブ群で良好な結果だった(ハザード比[HR]:0.80、95%信頼区間[CI]:0.67~0.94、p=0.0040)。PD-L1 CPS≧1の患者におけるOS中央値は、ペムブロリズマブ群で20.1ヵ月、プラセボ群で15.7ヵ月であった(HR:0.79、95%CI:0.66~0.95)。・最終のPFS中央値は、ペムブロリズマブ群が10.0ヵ月に対しプラセボ群は 8.1ヵ月で、引き続きペムブロリズマブ群が良好な結果だった(HR:0.73、95%CI:0.61~0.87)。PD-L1≧1の患者におけるPFS中央値は10.9ヵ月対7.3ヵ月(HR:0.72、95%CI:0.60~0.87)であった。・ORRはペムブロリズマブ群で72.6%、プラセボ群で60.1%であった。 ・Grade3以上の治療関連有害事象はペムブロリズマブ群59%、プラセボ群51%で発生した。 Lonardi氏は「切除不能なHER2陽性、PD-L1≧1の胃がん患者において、1次治療としてのペムブロリズマブ+トラスツズマブ+化学療法は、OSを統計的に有意に改善し、臨床的に意義のある改善をもたらした。これらのデータは、このレジメンの有用性を確認するものである」とした。 この最終結果をもって、国内においても同レジメンの承認が進むとみられる。

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急性心筋梗塞による心原性ショック、MCSデバイス使用は有益か/Lancet

 急性心筋梗塞による心原性ショック(AMICS)の患者に対する積極的な経皮的機械的循環補助(MCS)デバイスの使用は、6ヵ月死亡を抑制せず、大出血および血管合併症を増加したことが、ドイツ・ライプチヒ大学ハートセンターのHolger Thiele氏らMCS Collaborator Scientific Groupが行った個別患者データのメタ解析の結果で示された。ただし、低酸素脳症のリスクがないST上昇型心筋梗塞(STEMI)による心原性ショックの患者では、MCS使用後に死亡率の低下が認められた。積極的な経皮的MCSは、死亡への影響に関して相反するエビデンスが示されているにもかかわらず、AMICS治療での使用が増加しているという。本検討で研究グループは、AMICS患者における早期ルーチンの積極的な経皮的MCSと対照治療の6ヵ月死亡率への影響を確認した。結果を踏まえて著者は、「MCSの使用は、特定の患者のみに限定すべきである」としている。Lancet誌2024年9月14日号掲載の報告。MCS(VA-ECMOなど)vs.対照治療の6ヵ月死亡率をメタ解析で評価 個別患者データのメタ解析は、言語を制限せず、PubMed経由のMEDLINE、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Embase、ClinicalTrials.govの電子データベースを2024年1月26日時点で検索し、適切な無作為化比較試験(3つの検索単語群を用い、各群の少なくとも1単語がマッチした試験)を特定した。 解析には、AMICS患者の治療について早期ルーチンの積極的な経皮的MCS治療(無作為化後カテーテル検査室でただちに施行)と対照治療の6ヵ月死亡のデータを比較しているすべての無作為化比較試験を組み入れた。 主要アウトカムは、対照治療を受けた場合と比較した、早期ルーチン積極的経皮的MCS治療を受けたAMICS患者の6ヵ月死亡率で、デバイスタイプ(loadingタイプ[venoarterial extracorporeal membrane oxygenation:VA-ECMOなど]、unloadingタイプ)および患者の選択(すべての心筋梗塞、低酸素脳症リスクがないSTEMI)に焦点を当て、Cox比例モデルを用いてハザード比(HR)を算出し評価した。MCS使用の6ヵ月死亡率への影響に有意差は認められず 無作為化比較試験の報告9件(患者1,114例)が詳細に評価された。 全体として、VA-ECMO治療と対照治療の試験が4件(611例)、左室unloadingデバイス使用治療と対照治療の試験が5件(503例)であった。2試験に含まれていたAMICSではない患者55例(44例がVA-ECMO、11例が左室unloadingデバイスで治療を受けていた)のデータは除外された。 患者の年齢中央値は65歳(四分位範囲[IQR]:57~73)、データが得られた1,058例のうち845例(79.9%)が男性で、213例(20.1%)が女性であった。 ITT集団において、早期MCS使用の6ヵ月死亡率への影響について有意差は認められなかった(HR:0.87[95%信頼区間[CI]:0.74~1.03]、p=0.10)。VA-ECMO治療と対照治療(0.93[0.75~1.17]、p=0.55)、左室unloadingデバイス使用治療と対照治療(0.80[0.62~1.02]、p=0.075)でも有意差は観察されなかった。 低酸素脳症リスクがないST上昇型心原性ショックの患者では、MCS使用による6ヵ月死亡率の低下がみられた(HR:0.77[95%CI:0.61~0.97]、p=0.024)。 大出血(オッズ比:2.64[95%CI:1.91~3.65])および血管合併症(4.43[2.37~8.26])は、対照治療群と比べてMCS治療群で多くみられた。

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