サイト内検索|page:589

検索結果 合計:11763件 表示位置:11761 - 11763

11761.

無煙の嗅ぎタバコへの切り替えが、喫煙による健康被害を集団レベルで抑制

喫煙に起因する死亡者数は、2005年の540万人から2015年には640万人、2030年には830万人に達すると予測されている。Lancet誌は慢性疾患による死亡率を毎年2%ずつ低減させるという大きな目標の実現を呼び掛けているが、その主要原因である喫煙率を抑制するには、世界中が一致団結して努力する必要がある。オーストラリアのクイーンズランド大学のCoral E. Gartner氏らは、紙巻きタバコの害を低下させるとの指摘があるスウェーデン製の無煙の嗅ぎタバコであるスヌース(snus、上唇と歯茎の間に挟んで使用する)に着目、その集団レベルの健康増進効果を評価するための疫学研究を実施した。Lancet誌6月16日号にその結果が報告された。禁煙者とスヌース切り替え者の平均余命はほとんど同じGartner氏は、オーストラリアにおけるスヌースによる集団レベルの健康増進効果を評価するために、多次元生命表(multistate life table)を用いて喫煙未経験者およびスヌースへの切り替えを含む喫煙者の健康調整平均余命について検討した。また、スヌース使用率が異なる喫煙者、元喫煙者、喫煙未経験者が集団レベルの健康被害に及ぼす影響について評価を行った。喫煙未経験者と喫煙者の健康調整平均余命の差は、男性では2.4~5.0年、女性の場合は1.9~4.1年であった。喫煙未経験者と喫煙未経験のスヌース使用者の差は、男性0.2~0.5年、女性0.2~0.3年とわずかであった。同様に、タバコをやめた禁煙者とスヌースに切り替えた喫煙者の健康調整平均余命はほとんど差を認めず、禁煙および切り替えの時期の影響のほうが大きかった。スヌースへの切り替えが集団レベルの健康状態にベネフィットをもたらす紙巻きタバコよりもスヌースの使用量を増やした喫煙者は、本質的な健康の増進効果を実感しているという。Gartner氏は「常習的喫煙者が十分な量のスヌースを使用すれば、集団レベルの健康状態に本質的なベネフィットがもたらされるだろう。現行の制限を緩和すれば、より多くの本質的ベネフィットが生み出されると考えられる」と指摘し、「ベネフィットの大きさは、どれだけの常習的喫煙者がスヌースに切り替えるかにかかっている」と述べている。(菅野 守:医学ライター)

11762.

ロシグリタゾンの心血管リスク増加について「断定はできない」

最近のメタ解析の結果に懸念が示されている2型糖尿病治療薬のロシグリタゾンの心血管系へのリスクについて、RECORD研究グループが中間解析を発表した。心不全に対する有意なリスク増加が認められたものの、今回の解析結果からは、心筋梗塞のリスク増加に関係していると言い切れるだけの十分なデータが得られなかったと報告している。本論文の詳細はNEJMオンライン版6月5日号に掲載された。RECORDの4,447例対象に中間解析ロシグリタゾンの心血管系への影響については、市販後の安全性に関する非劣性試験で、オープンラベルの大規模無作為化試験RECORD(Rosiglitazone Evaluated for Cardiac Outcomes and Regulation of Glycaemia in Diabetes)が現在進行中である。その研究グループが中間解析を行った。解析対象は、メトホルミンあるいはSU剤での血糖コントロールが不十分な2型糖尿病患者4,447例。ロシグリタゾン追加投与群(2,220例)と、メトホルミン+SU剤併用群(対照群:2,227例)に割り付け、主要エンドポイントは、心血管系に起因する入院または死亡である。心不全リスク増加を確認するも心筋梗塞リスク増加断定にはデータ不十分解析は、平均追跡期間3.75年で統計的な検出力を限定して行われた。その結果、ロシグリタゾン群(217例)と対照群(202例)の主要エンドポイントのハザード比は1.08(95%信頼区間0.89-1.31)で、両群に統計学的な有意差は見られなかった。ただ、心不全を呈する患者がロシグリタゾン群に多く存在していたことが確認された(ハザード比2.15;95%信頼区間1.30-3.57)。しかし研究グループは今回の解析からは、ロシグリタゾンが心血管系に起因する入院・死亡リスクに関係しているとは断言できないと結論。死亡増加の要因が心血管系に起因するかどうか、ロシグリタゾンが心筋梗塞のリスク増加と関係していたか断定するだけのデータは得られなかったと述べている。(武藤まき:医療ライター)

11763.

テロや紛争起因のPTSDに認知療法は効果的

テロや紛争に起因するPTSD症状に悩まされる人々に対し、認知療法が有効であるとの報告が、英国ウルスター大学Michael Duffy氏らの研究グループによって寄せられた。宗教対立から長年にわたり無差別テロなどが日常化してきた北アイルランドで行われた無作為化臨床試験で、認知療法を行った患者群に大幅な改善が見られた結果を受けての報告。本論文の詳細は、BMJ誌6月2日号に掲載された。北アイルランドのNICTT基点に行われた無作為化臨床試験テロに起因する精神的外傷(トラウマ)に対する効果的な治療法はほとんど報告されていない。Duffy氏らは、テロや紛争を背景要因とするPTSD症状に苦しむ住民の多い北アイルランドで、PTSDに対する認知療法の有効性を無作為化臨床試験で検証した。対象者は、PTSDに苦しむ人々に、認知療法のプログラムを提供することを目的に設立されたNICTT(The Northern Ireland Centre for Trauma and Transformation)に紹介されてきた患者の中から、主としてテロや紛争に起因する慢性PTSDの患者58人(中央値5.2年、3ヵ月から32年)を選定し、ただちに認知療法を行う群と12週待ちの待機群に振り分けた。治療群には平均5.9セッション、必要に応じてさらに2セッションの治療プログラムが行われた。患者スコア、エフェクトサイズとも大幅改善示す主要評価項目はPTSDスケールおよびベック抑うつ評価尺度を用い、副次評価項目にSDS(Sheehan disability scale)の労働・社会生活面(労働障害、社会生活障害、家庭生活障害)を用いてスコアを判定。12週間後に行った判定では、治療群と待機群では、PTSDスコアでは平均差9.6(95%信頼区間3.6-15.6)、ベック抑うつ評価尺度では同10.1(同4.8-15.3)、自己申告による労働・社会生活面への影響については同1.3(同0.3-2.5)といずれも大幅な改善が認められた。また、治療前後のエフェクトサイズについても、PTSD1.25、抑うつ1.05、労働・社会生活面1.17と、あらかじめ設定した「large」(0.8以上)に該当する変化が見られた。対照群にはまったく変化が見られなかったこと、さらに追跡調査の結果などとも合わせて、認知療法はテロや紛争に起因するPTSDに効果的な治療法であると結論づけている。(武藤まき:医療ライター)

検索結果 合計:11763件 表示位置:11761 - 11763