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スタチンによる糖尿病発症の危険因子~日本のPMSデータ

 スタチン使用と糖尿病や高血糖症リスクの増加との関連について、慶應義塾大学薬学部の橋口 正行氏らが、日本の市販後調査(PMS)データベースを使用したコホート内ケースコントロール研究で検討した。その結果、脂肪肝および高尿酸血症を併存している患者で、スタチン使用により糖尿病や高血糖症の発症が増加する可能性が示唆された。Clinical Pharmacology in Drug Development誌オンライン版2018年2月20日号に掲載。 データベースには、スタチンを使用している2万6,849例と他の脂質降下薬を使用している5,308例の高脂血症患者が含まれていた。本研究には、1種類以上のスタチンを使用し、スタチンの明確な投薬歴があり、糖尿病ではない患者が参加した。ケースは、スタチン使用中に糖尿病もしくは高血糖症が発症した患者で、各ケースに対して20例のコントロールを無作為に選択しマッチさせた。スタチン使用中の糖尿病および高血糖症のリスク上昇に関連する因子として、性別、年齢、BMI、スタチン使用期間、併存疾患、併用薬、臨床検査値などを検討した。スタチンに関連する糖尿病もしくは高血糖症は、基準範囲を超える異常な血糖値上昇により同定した。 主な結果は以下のとおり。・1万9,868例が試験対象基準を満たし、そのうち24例がケース(スタチン使用中に糖尿病もしくは高血糖症を発症)群の患者であった。・糖尿病もしくは高血糖症の発症について、脂肪肝(調整オッズ比:16.10)および高尿酸血症(調整オッズ比:28.96)の2つの併存疾患因子が抽出された。・非アルコール性脂肪肝は、糖尿病、肥満、インスリン抵抗性と関連し、高尿酸血症は生活習慣と関連していた。

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病的肥満、肥満外科手術で死亡率減少/JAMA

 肥満症患者において、肥満外科手術(腹腔鏡下での胃バンディング術、ルーワイ胃バイパス術、またはスリーブ状胃切除術)は、手術治療を行わない通常ケアと比較して、全死因死亡率の低下と関連することが示された。イスラエル・Clalit Health ServicesのOrna Reges氏らが、イスラエルの半数超の国民が加入する健康保険データを用いて行った後ろ向きコホート研究の結果で、追跡期間中央値は約4.5年間であった。著者は「通常ケアの肥満症マネジメントのみと比較した、3タイプの肥満外科手術の有益性アウトカムの文献記述は限られているが、それらに今回のエビデンスを加えたい」とまとめている。JAMA誌2018年1月16日号掲載の報告。3タイプの肥満外科手術群vs.非手術群で検討 研究グループは、肥満症患者における3タイプの肥満外科手術と非手術治療の死亡率および臨床的アウトカムの関連を比較する目的で、イスラエルの大規模総合健康保険(国民の54%が加入し、特色として約1%の年間ターンオーバー率)のデータを用いて、後ろ向きコホート研究を行った。 2005年1月1日~2014年12月31日に肥満外科手術(腹腔鏡下での胃バンディング術、ルーワイ胃バイパス術、またはスリーブ状胃切除術)を受けた肥満症患者を特定し、年齢、性別、BMI値、糖尿病で適合した非手術肥満症患者(食事指導と行動変容などを含むと思われる、プライマリケア医による肥満症マネジメントの通常ケアのみ)と比較した。最終フォローアップは2015年12月31日。検討には、3万3,540例の患者が包含された。 主要アウトカムは全死因死亡で、手術前のBMI値、年齢、性別、社会経済的地位、糖尿病、脂質異常症、高血圧症、心血管疾患、喫煙について適合および補正を行い評価した。非手術群の手術群に対する死亡ハザード比は2.02倍、タイプ別では1.60~2.65倍 肥満外科手術を受けたのは8,385例(年齢中央値46歳[IQR:37~54]、女性65.5%、ベースラインBMI中央値40.6[IQR:38.5~43.7])、適合した非手術患者は2万5,155例(46歳[37~54]、65.5%、40.5[37.0~43.5])であった。手術タイプの内訳は、バンディング術3,635例、バイパス術1,388例、スリーブ状胃切除術3,362例。全死因死亡に関するフォローアップデータは、100%を入手できた。 追跡期間中央値4.3年(IQR:2.8~6.6)において、肥満外科手術群の死亡は105例(1.3%)で、内訳はバンディング術群61例(1.7%)、バイパス術群18例(1.3%)、スリーブ状胃切除術群26例(0.8%)であった。一方、追跡期間中央値4.0年(IQR:2.6~6.2)において、非手術群の死亡は583例(2.3%)であった。 手術群の死亡は非手術群と比べて、絶対差で2.51(95%信頼区間[CI]:1.86~3.15)/1,000人年少なかった。非手術群の手術群に対する死亡率の補正後ハザード比は、全登録患者集団ベースでは2.02(95%CI:1.63~2.52)であり、手術タイプ別にみると、バンディング術群2.01(1.50~2.69)、バイパス術群2.65(1.55~4.52)、スリーブ状胃切除術群1.60(1.02~2.51)であった。

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病的肥満に対する袖状胃切除術 vs.ルーワイ胃バイパス術/JAMA

 病的肥満患者を対象とした、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術と腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術の比較検討で、術後5年時点での超過BMI減少率に有意差は確認されなかったことが示された。スイス・St ClaraspitalのRalph Peterli氏らが、減量、併存疾患の変化、QOLの改善、有害事象という点で、両手術の間で違いがあるかを検証した無作為化比較試験「SM-BOSS試験」の結果を報告した。病的肥満の治療において、スリーブ状胃切除術の使用が増加しているが、標準治療であるルーワイ胃バイパス術と比較した場合の、スリーブ状胃切除術の長期成績は不明であった。JAMA誌2018年1月16日号掲載の報告。病的肥満約200例で、スリーブ状胃切除術とルーワイ胃バイパス術を比較 SM-BOSS試験(Swiss Multicenter Bypass or Sleeve Study)は、2007年1月~2011年11月にスイスの肥満症治療センター4施設で実施された(最終追跡調査は2017年3月)。 減量手術を検討した病的肥満患者3,971例のうち、217例を登録し、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(SG)群(107例)または腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術(RYGB)群(110例)のいずれかに無作為に割り付け、5年間追跡した。 主要評価項目は体重減少で、超過BMI減少率(100×[ベースラインBMI値-追跡時BMI値]/[ベースラインBMI値-25])で算出した。併存疾患(高血圧、2型糖尿病、脂質異常症、閉塞性睡眠時無呼吸、胃食道逆流、関節痛、うつ、高尿酸血症)の変化および有害事象についても、探索的評価項目とした。5年後の超過BMI減少率に、両術式間で有意差なし 登録された217例(平均年齢45.5歳、女性72%、平均BMI値43.9)のうち、205例(94.5%)が試験を完遂した。 SG群とRYGB群とで、術後5年時の超過BMI減少率に有意差は確認されなかった(61.1% vs.68.3%、絶対差:-7.18%[95%CI:-14.30~-0.06]、多重比較補正後のp=0.22)。 胃食道逆流症は、RYGB群のほうがSG群より改善率が高く(60.4% vs.25.0%)、悪化(症状の悪化または治療の増加)率は低かった(6.3% vs.31.8%)。再手術または処置が必要となった患者数は、SG群101例中16例(15.8%)、RYGB群104例中23例(22.1%)であった。 なお、探索的評価項目の2型糖尿病については検出力が不足しており、厳格に管理された状況下での無作為化試験であるため一般化の可能性は低いなど、研究の限界について著者は指摘している。

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病的肥満にスリーブ状胃切除術vs.ルーワイ胃バイパス術/JAMA

 病的肥満患者に対し、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術は腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術に比べ、5年後の超過体重減少率において、その効果は同等ではないことが明らかにされた。また、ルーワイ胃バイパス術のほうがスリーブ状胃切除術と比べて5年後の超過体重減少率はより大きかったが、その差は事前規定の同等性マージンに照らして統計的に有意ではなかった。フィンランド・トゥルク大学のPaulina Salminen氏らが、240例を対象に行った多施設共同非盲検無作為化試験「SLEEVEPASS試験」の結果で、JAMA誌2018年1月16日号で発表された。同研究グループによれば、腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術と比較した長期的エビデンスがないにもかかわらず、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の施術件数は急増しているという。5年間追跡し超過体重減少率や併存疾患などを比較 SLEEVEPASS試験は、2008年3月~2010年6月に18~60歳の病的肥満患者240例を対象に行われた。 被験者は無作為に2群に分けられ、一方には腹腔鏡下スリーブ状胃切除術(121例)が、もう一方には腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術(119例)が施術された。研究グループは、術後5年間追跡し、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術の腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術に対する有効性の同等性を検証した。 主要エンドポイントは超過体重減少率(%EWL)で、事前に規定した臨床的同等性マージンは-9~9%EWL。副次エンドポイントは、併存疾患の解消や生活の質(QOL)の改善、すべての有害事象(全罹患率)および死亡率などだった。有効性に有意差なし、QOLや治療関連死亡率も同等 被験者240例の平均年齢は48歳(SD 9)、ベースライン平均BMI値は45.9(SD 6.0)、女性は69.6%だった。80.4%が5年間の追跡を完了した。ベースライン時、2型糖尿病の罹患率は42.1%、脂質異常症は34.6%、高血圧症は70.8%だった。 5年後の推定平均%EWL値は、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術群が49%(95%信頼区間[CI]:45~52)だったのに対し、腹腔鏡下ルーワイ胃バイパス術群は57%(同:53~61)だった。胃バイパス術群のほうが高率で群間差は8.2%(同:3.2~13.2)であったが、信頼区間値が事前に規定したマージン内になく、同等性の基準は満たしていなかった。 一方で、2型糖尿病の完全または部分寛解が認められたのは、胃切除術群37%(41例中15例)、胃バイパス術群45%(40例中18例)だった(p>0.99)。脂質異常症治療薬の服用を中止した患者は、それぞれ47%、60%(p=0.15)、高血圧症治療薬の服用を中止した患者は、それぞれ29%、51%(p=0.02)だった。 QOL(p=0.85)や治療関連死亡率も、両群間で統計的有意差はなかった。5年後の全罹患率は、胃切除術群19%(23例)、胃バイパス術群26%(31例)だった(p=0.19)。

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レパーサ新剤形発売。9分で投与可能に

 アステラス・アムジェン・バイオファーマ株式会社(本社:東京、代表取締役社長:スティーブ・スギノ)とアステラス製薬株式会社(本社:東京、代表取締役社長 CEO:畑中好彦)は2018年1月12日、抗PCSK9モノクローナル抗体エボロクマブ(商品名:レパーサ皮下注40mgシリンジ、レパーサ皮下注140mgペン)への追加剤形として「レパーサ皮下注420mgオートミニドーザー(AMD)」の発売を開始した。レパーサは、心血管イベントの発現リスクが高く、スタチンで効果不十分な家族性高コレステロール血症、高コレステロール血症の治療に適応される。 ニュースリリースによれば、レパーサ皮下注420 mg AMDは、手のひらに収まるコンパクトサイズで、薬剤が充填されたカートリッジと、専用の自動注入器から構成されている。従来のシリンジまたはペン製剤では420mgの投与に140 mg剤形を用いて3回の皮下注射の必要があったところ、AMD 製剤は、1回9分かつハンズフリーで投与でき、歩行、手を伸ばす、腰を曲げるといった日常の軽い動作の妨げにならない。また、投与の際に注射針が見えにくい製品設計になっている。

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貧血と認知症の関係:韓国国民健康スクリーニング研究

 貧血が高齢者における認知症発症と関連しているか、韓国・ソウル大学のSu-Min Jeong氏らが調査を行った。Alzheimer's research & therapy誌2017年12月6日号の報告。 認知症および脳卒中でない66歳の高齢者3万7,900例を、NHIS-HEALS(韓国国民健康保険サービス-国民健康スクリーニングコホート)のデータベースを用いて抽出した。貧血(ヘモグロビン濃度:女性12g/dL未満、男性13g/dL未満)および貧血の重症度(軽度、中等度、重度)は、WHO(世界保健機構)の基準で定義した。認知症の発症は、ICD-10(国際疾病分類 第10版)の認知症診断コード(F00、F01、F02、F03、G30)で確認され、抗認知症薬を処方された患者とした。貧血による認知症発症のハザード比(HR)は、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。 主な結果は以下のとおり。・性別、ベースラインの認知機能状態、BMI、喫煙、世帯収入、障害、うつ病、高血圧、糖尿病、脂質異常症で調整した後、貧血と認知症との間に有意な関連が認められた(調整HR:1.24、95%CI:1.02~1.51)。・貧血の重症度に応じた認知症発症率の調整HRは、軽度の場合1.19(95%CI:0.98~1.45)、中等度の場合1.47(95%CI:0.97~2.21)、重度の場合5.72(95%CI:1.84~17.81)であり、有意なp for trendが認められた(p=0.003)。 著者らは「貧血は、認知症発症の独立したリスク因子であり、重度においては顕著なリスク増加を伴うと考えられる」としている。■関連記事婚姻と認知症リスクに関するシステマティックレビューアルツハイマー病に対する新規ベンゾジアゼピン使用に関連する死亡リスクのコホート研究認知症発症への血圧の影響、ポイントは血圧変動:九州大

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雨が降ると関節痛の受診は増えるのか/BMJ

 降雨と関節痛や背部痛による外来受診に関連はないことが、米国・ハーバード大学医学大学院のAnupam B. Jena氏らによる、155万人以上の米国人高齢者のデータを解析した研究で明らかとなった。多くの人々が、とくに関節炎の患者において、気象条件の変化で関節痛や背部痛の症状が増悪すると考えている。気象パターンと関節痛の関連を検討した研究において至った結論はさまざまであり、種々の気象条件下で関節痛を詳細に評価した研究は、どれも症例数が少ないという。BMJ誌2017年12月13日号掲載のクリスマス特集での報告。医療保険申請データと降雨データを関連付け 研究グループは、降雨と関節痛や背部痛による外来受診の関連を評価する観察研究を行った(研究助成は受けていない)。 米国のメディケア医療保険申請データと、米国気象台(US weather stations)の降雨データを関連付けた。2008~12年に一般内科医の外来診療を受けた65歳以上の155万2,842例(総受診件数:1,167万3,392件)を解析の対象とした。 疾患(関節リウマチ、変形性関節症、脊椎症、椎間板障害、その他の非外傷性関節障害)に関連した関節痛または背部痛による外来受診の割合を、雨が降った日と降らなかった日で比較した。患者の背景因子、慢性疾患、地理的な固定効果(同一地域内の降雨日と非降雨日で、外来受診関連の関節痛または背部痛の割合を比較)で調整した。予想とは逆の結果だが、関連の可能性はまだ残る メディケア加入者による1,167万3,392件の外来受診のうち、209万5,761件(18.0%)が降雨日のものであった。 患者の平均年齢は、降雨日が77.0歳、非降雨日は77.1歳、女性がそれぞれ62.1%、62.2%、白人が87.3%、85.8%であった。主な慢性疾患として、高血圧が降雨日で89.0%、非降雨日で88.8%にみられ、脂質異常症がそれぞれ85.2%、85.1%、関節リウマチが62.3%、62.9%、冠動脈疾患が58.3%、58.7%に認められた。 補正前および補正後解析では、関節痛または背部痛患者の割合は、降雨日のほうが非降雨日よりも低く(補正前解析:6.23% vs.6.42%、p<0.001、補正後解析:6.35% vs.6.39%、p=0.05)、予想とは逆の結果が示された。しかし、その差は小さいため臨床的な意義はないと考えられた。 外来受診した週に関節痛または背部痛で保険申請をした割合とその週の降雨日数にも、統計学的に有意な関連は認められなかった。たとえば、雨の日が7日間すべてだった週と雨の日が1日もなかった週で、関節痛や背部痛の割合は類似していた(p=0.18)。 地域、年齢層、人種別のサブグループ解析でも、関節痛や背部痛と降雨に関連はみられず、関節リウマチ患者においても有意な関連は認められなかった。 著者は、「降雨と関節痛や背部痛に関連がある可能性はまだ残っており、この一般的な通念の妥当性を立証するには、疾患の重症度や疼痛に関する、より大規模で詳細なデータが有用と考えられる」としている。

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眼瞼炎は初期メタボリックシンドロームのサイン

 眼瞼炎は、メタボリックシンドローム(MetS)と有意に関連していることを、台湾・Show Chwan Memorial HospitalのChia-Yi Lee氏らが、台湾のLongitudinal Health Insurance Database(LHID)を用いて後ろ向きに症例対照研究を行い明らかにした。著者は、「眼瞼炎は初期のMetSであることを示すサインとして役立つ可能性がある。今後は、重症度の観点から眼瞼炎とMetSとの関連を調査すべきであろう」とまとめている。British Journal of Ophthalmology誌オンライン版2017年11月16日号掲載の報告。 研究グループは、台湾のLHIDを用い、2009~13年のデータを解析した。適格基準は、国際疾病分類(ICD)第9版の診断コードに従い、眼瞼炎と診断された患者で、法的盲、眼球除去、眼腫瘍の既往、眼瞼炎の診断と同時に抗菌薬治療が開始された患者は除外した。 眼瞼炎患者群と年齢、性別および疾患をマッチさせた非眼瞼炎患者(対照)群について、眼瞼炎とMetSとの関連について、多重Cox回帰モデルを用いた多変量解析にて評価した。 主な結果は以下のとおり。・解析対象は、眼瞼炎患者群1万93例、対照群4万372例であった。・条件付きロジスティック回帰分析の結果、脂質異常症および冠動脈疾患の累積確率が高いことが示された。・補正後、眼瞼炎患者群は対照群に比べ、新規MetSの発症率が高かった。・サブグループ解析で、脂質異常症と冠動脈疾患は、眼瞼炎の先行発症と有意な相関が認められた。高血圧症、糖尿病、インスリン抵抗性と、眼瞼炎との間には相関は認められなかった。

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糖尿病医と循環器医の連携を考える

 2017年11月17日、都内にて「糖尿病患者さんの合併症予防・進展リスク低減に向けた糖尿病・循環器領域の連携の重要性と現状」と題するセミナー(主催:サノフィ株式会社)が開かれた。 演者のローレンス・A・レイター氏(セント・マイケルズ病院 内分泌学・代謝学/トロント大学 医学・栄養学 教授)は、循環器医のもとに運ばれてくる患者に糖尿病が隠れている可能性に触れ、糖尿病・循環器領域の連携の必要性や脂質管理の重要性について語った。 以下、セミナーの内容を記載する。急性心筋梗塞患者の約3割に、未診断の糖尿病 糖尿病の死因第1位は心血管疾患だが、糖尿病と気付かれずに心血管イベントを発症する患者さんも、実は多いのかもしれない。ある研究では、急性心筋梗塞を発症した糖尿病既往のない患者200例を、あらためて検査したところ、27%が糖尿病、39%は耐糖能異常を有していたことが明らかとなっている。循環器医のもとに運ばれてくる患者の中には、かくれ糖尿病が存在しているのかもしれない。かくれ糖尿病を見つけ出すのは難しいが、少なくともすでに糖尿病と診断されている患者さんは積極的に治療する必要があるだろう。糖尿病治療は、多元的アプローチが主流 その際の代表的な治療ターゲットはHbA1c値だが、ACCORD試験などをきっかけに、従来の血糖値を下げるだけの治療は見直されてきた。現在は、血糖値だけではなく、血圧、肥満、運動、脂質、禁煙などの複合的管理が主流だ。 米国糖尿病協会(ADA)も、「生活習慣の改善」「血糖コントロール」「血圧」「抗血小板療法」「脂質異常症の管理」などの多元的アプローチを推奨しており、すでに高い有用性が認められている。糖尿病患者の脂質管理は、世界的に厳格な方向へ このうち、「脂質異常症の管理」について、日本と海外との違いをみていく。日本における糖尿病患者のLDL-C管理目標値は、1次予防で120mg/dL未満、2次予防で100mg/dL未満だが、海外ではどうか。2017年、米国臨床内分泌学会(AACE)は新しいカテゴリーとして「Extreme risk群」を設け、糖尿病患者の2次予防においては、55mg/dL未満という目標値を掲げた。レイター氏の祖国であるカナダでも、糖尿病の罹病期間が長い患者は77mg/dL未満が目標値だ。糖尿病患者の脂質管理は、世界的に、より厳格な方向へシフトしている。 しかし、スタチン単独で目標値に到達できない糖尿病患者が多いのも事実だ。この点で、いまPCSK9阻害薬の有用性が注目されている。糖尿病患者におけるPCSK9阻害薬の有用性 糖尿病患者を対象にしたODYSSEY DM INSULIN試験において、PCSK9阻害薬であるアリロクマブ(商品名:プラルエント)の有用性が示されている。試験対象は、心血管イベントリスクが高く、スタチン最大用量で治療されている脂質異常症患者でインスリン治療中でもある糖尿病患者517例。主要アウトカムの「2型糖尿病患者のLDL-C変化率」は、アリロクマブ群がプラセボ群に比べて、49%の低下を示した(p<0.0001)。インスリン併用による新規の有害事象も報告されていない。この試験は、PCSK9阻害薬の糖尿病患者における有用性が示された点で意義深いといえる。診療科を越えた包括的治療が求められる 糖尿病患者の脂質管理が心血管イベント抑制につながることは、過去の大規模臨床試験からも明らかである。この点でPCSK9阻害薬は、イベント抑制を考慮した治療手段として有用だろう。さらに最近では、新規血糖降下薬による心血管イベント抑制効果が、複数報告されてきている。今後いっそう糖尿病、循環器といった、診療科を越えた包括的治療が求められる。 演者のレイター氏は、「糖尿病患者の心血管イベントリスク抑制のためにどのような治療選択が望ましいか、日本でも診療科を越えたさらなる議論が必要となるだろう」と述べ、講演を終えた。

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特定の歯周病菌感染が頻脈性不整脈の進行に影響か

 頻脈性不整脈の患者は、徐脈性不整脈の患者と比較して、唾液中から特定の歯周病原菌が多く検出されることが、神奈川歯科大学の青山 典生氏らの研究により示された。BMC cardiovascular disorders誌 2017年10月17日号の報告。 頻脈性不整脈および徐脈性不整脈は、QOL低下をもたらす心調律異常である。歯周病の人は、心血管疾患のリスクが高いといわれるが、頻脈性不整脈および徐脈性不整脈との関連性についての報告はほとんどない。 著者らは、その関連性を明らかにするため、東京医科歯科大学病院を受診した頻脈性不整脈患者(n=98)と徐脈性不整脈患者(n=40)の2群を対象に、唾液中の歯周病原性細菌を調査した。 主な結果は以下のとおり。・頻脈性不整脈の患者からは、徐脈性不整脈の患者よりも、唾液中の歯周病原菌Porphyromonas gingivalisおよびPrevotella intermediaが多く検出された。・高血圧、脂質異常症をもつ患者の割合は、両群間で同等であった。

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lorlatinibのALK/ROS1陽性NSCLCにおける成績発表/WCLC2017

 lorlatinibは、高い選択性と強力な活性を持ち、良好な脳浸透性を示す次世代ALK/ROS1-TKIである。とくにALKキナーゼ領域の変異に対する活性が知られており、第1世代、第2世代ALK-TKI後に発現するG1202Rなどの耐性変異に対し、最も広いスペクトラムを有する。横浜で開催された第18回世界肺がん学会(WCLC)では、オーストラリア・Peter MacCallum Cancer CentreのBenjamin J Solomon氏が、lorlatinibの第II相試験の主要な結果について発表した。 この第II相試験(NCT 01970865)は、6つの拡大コホート(EXP1~6)で行われている。ALK陽性非小細胞肺がん(NSCLC)は前治療歴に応じてEXP1~5で評価され、ROS1陽性NSCLCは前治療歴にかかわらずEXP6で評価された。今回の発表は、EXP6を含む全コホートの解析である。同試験の主要評価項目は、独立評価委員会(IRC)による客観的奏効率(ORR)と頭蓋内ORR(IC ORR)。副次評価項目は、安全性と忍容性、患者報告アウトカム(PRO)などであった。 全体で275例の患者が登録され、ベースライン時に165例が脳転移を有していた。コホート別、またクリゾチニブとその他のTKIによる前治療歴ごとに解析されたORR、IC ORRは以下の通り。・ALK陽性、未治療(EXP1):ORR 90%、IC ORR 75%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ±化学療法(EXP2+EXP3A):ORR 69%、IC ORR 68%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ以外のTKI±化学療法(EXP3B):ORR 33%、IC ORR 42%・ALK陽性、前治療クリゾチニブ以外のTKIを2~3ライン±化学療法(EXP4+EXP5):ORR 39%、IC ORR 48%・ROS1陽性(EXP6):ORR 36%、IC ORR 56% なお、EXP2~5で19例がG1202R変異を有しており、11 例(58%)で応答が確認された。 全コホートの治療関連有害事象(AE)発現率は、95%。Grade3/4のAEは41%の患者で発現した。AEによる投与延期は30%、減量は22%、治療中止は7例(3%)、死亡例はなかった。発現頻度が高い項目は、高脂血症(81%)、高トリグリセライド血症(60%)であった。 現在、ALK陽性NSCLC の1次治療での有効性をクリゾチニブと比較する、第III相試験(NCT 03052608)が進行中である。■参考NCT 01970865(Clinical Trials.gov)NCT 03052608(Clinical Trials.gov)■関連記事第2世代ALK-TKI既治療のNSCLCにおけるlorlatinibの成績/ESMO2017 第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017 次世代ALK/ROS1阻害剤lorlatinib、ALK肺がんでFDAのブレークスルー・セラピー指定

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中年期の脂質異常が晩年の認知低下に関連

 これまでの研究では主に、晩年における脂質レベルとその後の認知機能変化との関連を検討しているが、晩年よりも中年期でのリスク因子が認知機能の健康に最も関連していることが多い。今回、米国・ジョージワシントン大学のMelinda C. Power氏らは、コホート研究で、中年期の総コレステロール・LDLコレステロール・トリグリセライドの値が高いことが、その後20年の認知機能低下と関連していたことを報告した。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2017年9月12日号に掲載。 著者らは、Atherosclerosis Risk in Communities研究の参加者1万3,997人において、中年期の血清脂質と、3つの認知機能テストでの成績における20年後の変化の関連を定量化した。 主な結果は以下のとおり。・中年期の総コレステロール・LDLコレステロール・トリグリセライドの値が高いことが、実行機能・注意の持続・情報処理速度のテストでの20年での大きな低下に関連していた。・中年期の総コレステロール・トリグリセライドの値が高いことは、記憶スコアおよび3つのテストすべての成績をまとめた尺度においても、20年での大きな低下に関連していた。・HDLコレステロールは認知機能の変化と関連していなかった。・informative missingnessに対処した感度分析でも、実質的な結果は変わらなかった。

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エボロクマブ、LDL-C下げるほど心血管リスク減/Lancet

 安定期アテローム動脈硬化性心血管疾患患者へのPCSK9阻害薬エボロクマブ(商品名:レパーサ)治療では、LDLコレステロール(LDL-C)値の低下が大きいほど主要心血管アウトカムが改善し、超低LDL-C値でも安全性に懸念はないことが、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のRobert P. Giugliano氏らが行ったFOURIER試験の2次解析で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2017年8月25日号に掲載された。LDL-Cはアテローム動脈硬化性心血管疾患のリスク因子として確立されているが、どこまで低くすべきか、どこまで安全に低くできるかの議論が続いている。約2万6,000例で、1ヵ月後のLDL-Cと心血管アウトカムの関連を評価 研究グループは、今回、FOURIER試験の事前に規定された2次解析として、4週時のLDL-C値と心血管アウトカムの関連の評価を行った(Amgen社の助成による)。 本試験は、年齢40~85歳の安定期アテローム動脈硬化性心血管疾患(心筋梗塞、非出血性脳卒中、症候性末梢動脈疾患)および他の心血管リスクを増加させるリスク因子を有し、至適な脂質低下レジメン(中~高強度スタチン±エゼチミブなど)を行ってもLDL-C値>1.8mmol/L(≒70mg/dL)または非HDL-C値>2.6mmol/L(≒100mg/dL)の患者を対象とする二重盲検プラセボ対照無作為化試験である。 被験者は、エボロクマブ(2週ごとに140mgまたは1ヵ月ごとに420mg、いずれかを患者が選択)を皮下投与する群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中、冠動脈血行再建術、入院を要した不安定狭心症の複合であり、主な副次評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合であった。また、事前に規定された10項目の安全性イベントの評価を行った。フォローアップ期間中央値は2.2年だった。 2013年2月8日~2015年6月5日に2万7,564例が登録され、4週時にLDL-Cの測定値がない1,025例(4%)、4週時の前に主要評価項目または安全性の10項目の評価が行われた557例(2%)を除く2万5,982例(エボロクマブ群:1万3,013例、プラセボ群:1万2,969例)が解析の対象となった。最低値群は最高値群に比べ24%改善、プラトーには未到達 2万5,982例の4週時のLDL-C値は、<0.5mmol/Lが2,669例(10%)、0.5~<1.3mmol/Lが8,003例(31%)、1.3~<1.8mmol/Lが3,444例(13%)、1.8~<2.6mmol/Lが7,471例(29%)、≧2.6mmol/Lは4,395例(17%)であった。4週時のLDL-C値中央値はエボロクマブ群が0.8mmol/L、プラセボ群は2.2mmol/Lだった。 主要評価項目の発生率は、4週時のLDL-C値が低い群ほど減少した(<0.5mmol/L群:10.3%、0.5~<1.3mmol/L群:12.4%、1.3~<1.8mmol/L群:13.6%、1.8~<2.6mmol/L群:13.7%、≧2.6mmol/L群:15.5%、傾向のp<0.0001)。≧2.6mmol/L群をレファレンスとした場合の補正ハザード比(HR)は、LDL-C値が低い群から高い群の順に0.76、0.85、0.94、0.97であった(傾向のp<0.0001)。回帰モデルでは、LDL-C値が低下するほどリスクは減少し、LDL-C値<0.2mmol/Lでもこの関連は保持されていた(β係数のp=0.0012)。 副次評価項目についても主要評価項目と同様の関連が認められ(β係数のp=0.0001)、<0.5mmol/L群の心血管死、心筋梗塞、脳卒中の3年発生率は6.6%であり、≧2.6mmol/L群との比較における補正HRは0.69(95%信頼区間:0.56~0.85)であった。 4週時までに重篤な有害事象は6,106例(24%)に発現し、4週時のLDL-C値の違いによる差は認めなかった。有害事象による投与中止は4%未満であり、こちらも4週時のLDL-C値の違いによる差はなかった。ASTまたはALT上昇(基準値上限の3倍以上)、クレアチンキナーゼ上昇(基準値上限の5倍以上)、糖尿病の新規発症、白内障関連有害事象、悪性腫瘍の新規発症または進行、出血性脳卒中、非心血管死にも、LDL-C値の違いによる差はなかった。 著者は、「4週時のLDL-C値が低下するほど心血管イベントが減少し、プラトーに達したとのエビデンスはなく、有害事象の増加も認めなかった」とまとめ、「最もリスクの高い患者では、現行のガイドラインの推奨値(<0.5mmol/L)よりも低い目標値を設定しても安全と考えられる」と指摘している。

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170)中性脂肪の代謝を阻害する“喫煙”【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者今日は朝食を食べて採血をしました。医師なるほど。中性脂肪が300mg/dLと驚くほど上昇していますね。空腹時は150mg/dL前後なのですが…。患者中性脂肪って食事で動くんですね。医師そうですね。食事で大きく変動します。食後の中性脂肪が高いと心筋梗塞になりやすいと言われています。患者どうやったら、中性脂肪を下げることができますか?医師食事をすると中性脂肪が上がりますが、血管の内側で中性脂肪は代謝されます。でも、その機能を落としてしまうのが「タバコ」です。患者やっぱり、タバコですか。肺がん以外にもいろいろと悪さをするんですね。明日から禁煙、いえ今日から禁煙準備を始めます。●ポイントすぐに禁煙に取り組む自信がない人には禁煙準備(例:灰皿の整理、カートン 買いを止めるなど)から始めてもらいます1)Staniak HL, et al. Atherosclerosis. 2014;233:381-386.2)Kabagambe EK, et al. Atherosclerosis. 2009;203:633-639.

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エボロクマブによるLDL-C低下は認知機能に影響せず/NEJM

 スタチンへのエボロクマブ(商品名:レパーサ)併用による心血管イベント抑制効果を検証するFOURIER試験に参加した患者を対象に、認知機能を前向きに評価した結果、追跡期間中央値19ヵ月において両群で認知機能に有意差は確認されなかったことを、米国・ブリガム&ウィメンズ病院のRobert P. Giugliano氏らが報告した。これまでのPCSK9阻害薬の臨床試験から、同薬によるLDLコレステロール(LDL-C)低下と認知機能低下の関連が懸念されていた。NEJM誌2017年8月17日号掲載の報告。タッチスクリーン式の認知機能検査CANTABを用い認知機能を評価 研究グループは、FOURIER試験の患者を対象に、ケンブリッジ神経心理学テスト(CANTAB)を用い前向きに認知機能を評価した(ベースライン時、24週時、年1回、試験終了時に実施)。 主要評価項目は、実行機能の空間認識作業記憶スコア(範囲:4~28点、スコアが低いほど戦略と計画をより効率的に利用していることを示す)、副次評価項目は作業記憶スコア(範囲:0~279点、スコアが低いほど誤りが少ない)、エピソード記憶スコア(範囲:0~70点、スコアが低いほど誤りが少ない)、および精神運動速度(範囲:100~5100msec、速いほど成績良好)である。解析は、エボロクマブ群とプラセボ群で、空間認識作業記憶スコアのベースラインからの平均変化量を比較し、非劣性マージンをプラセボ群のスコアの標準偏差の20%に設定した。全認知機能評価項目、エボロクマブ併用群とプラセボ併用群で有意差なし 合計1,204例を中央値19ヵ月間追跡した結果、主要評価項目である空間認識作業記憶スコア素点のベースラインからの変化量(平均±SD)は、エボロクマブ群-0.21±2.62、プラセボ群-0.29±2.81であった(非劣性のp<0.001、優越性のp=0.85)。 副次評価項目である作業記憶スコア(変化量:エボロクマブ群-0.52、プラセボ群-0.93)、エピソード記憶スコア(変化量:それぞれ-1.53、-1.53)、精神運動速度(変化量:それぞれ5.2msec、0.9msec)は、両群間に有意差はなかった。また、探索的解析の結果、LDL-C値と認知機能の変化との間に関連は認められなかった。 著者は、認知症あるいは軽度認知障害患者が除外されていることや追跡期間が短いことなどを研究の限界として挙げている。なお現在、EBBUNGHAUS試験に参加した患者を対象としたCANTAB評価を含むFOURIER試験の5年間継続投与試験が進行中だという。

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169)意外と盲点!? ナッツ摂取の適正量【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者最近、ビールが美味しくて、つい飲み過ぎです。医師ハハハ。それは要注意ですね。つまみはどうされていますか?患者なんか健康に良いということでナッツを食べています。雑誌でコレステロールも下がるって書いてあったんで…。医師そうでしたか。どんなのを食べているんですか?(興味を持って質問)患者え~と、コンビニにお気に入りのミックスナッツがあるんです。このくらいの大きさので(80~100g)…。医師それだと500~600kcalくらいありそうですね。素焼きのアーモンド30gでLDLコレステロールは4mg/dL強下がるそうです。とくに効果があるのはアーモンドの皮の部分だそうです。ナッツは7つくらいが、ちょうど良いくらいかもしれませんね。患者えっ、それくらいしか下がらないんですか。それなら私、食べ過ぎですね。●ポイントナッツの健康効果について具体的に説明することで、患者の納得度が深まります1)Del Gobbo LC, et al. Am J Clin Nutr. 2015;102:1347-1356.2)Staniak HL, et al. Atherosclerosis. 2014;233:381-386.

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168)内臓脂肪がつきやすい人の食の3特徴【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者最近、妻から、お腹が出てきたと言われて…。医師それは内臓脂肪がついてきたということですね。患者どうやったら、内臓脂肪を減らすことができますか?医師内臓脂肪がつきやすい人の食生活の特徴として「早食い」「残さず満足するまで食べる」「緑黄色野菜は食べないが、間食、スナック菓子、アイスクリームを好む」という傾向があります。患者まさに、私のことです。医師とくに寝る前のアイスは要注意ですね。患者私、風呂上がりにアイスを食べるのが習慣になっていました。これからは気を付けます。●ポイント内臓脂肪がつきやすい食生活パターンを順序立てて説明します

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高齢糖尿病患者の降圧薬アドヒアランスと効果の関連

 米国Kaiser Permanente Institute for Health ResearchのMarsha A. Raebel氏らによる約13万例の高齢糖尿病患者の後ろ向きコホート研究で、85歳以上もしくは複数の併存疾患を持つ糖尿病患者では、アンジオテンシン変換酵素阻害薬/アンジオテンシンII受容体遮断薬(ACEI/ARB)の服薬アドヒアランスと血圧低下が関連しないことが示された。一方、スタチンのアドヒアランスはLDLコレステロール(LDL-C)の低下と関連していた。Pharmacotherapy誌オンライン版2017年7月28日号に掲載。 米国Centers for Medicare and Medicaid ServicesのMedicare Starプログラムでは、糖尿病患者がACEI/ARBとスタチンの服薬アドヒアランスの目標を満たした場合、ヘルスプランにインセンティブを与えている。これまでに、アドヒアランスと心血管リスク因子のコントロールとの関連は報告されているが、ほとんどの研究が併存疾患のほとんどない若年の患者が含まれており、併存疾患の多い高齢患者における関連はよくわかっていない。そこで著者らは、Medicareでの65歳以上の糖尿病患者12万9,040例において、Starアドヒアランスの目標達成(8割以上の日数)が血圧(140/90mmHg未満)およびLDL-C(100mg/dL未満)に及ぼす影響を調べた。 主な結果は以下のとおり。・アドヒアランスは、高齢者のどの年代群でもほとんど差がなかった。・併存疾患なし患者に比べ、併存疾患4以上の患者ではACEI/ARB(RR:0.88、95%CI:0.87~0.89)やスタチン(RR:0.91、95%CI:0.90~0.92)のアドヒアランスが低かった。・ACEI/ARBのアドヒアランスは、85歳以上の患者における血圧140/90mmHg未満(RR:1.01、95%CI:0.96~1.07)、複数の併存疾患(たとえば、併存疾患3つでのRR:1.04、95%CI:0.99~1.08)と関連がみられなかった。・スタチンのアドヒアランスは、高齢者のすべての年代群(たとえば、85歳以上のRR:1.13、95%CI:1.09~1.16)、すべての併存疾患数(たとえば、4つ以上でのRR:1.13、95%CI:1.12~1.15)でLDL-C 100mg/dL未満と関連していた。

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血中カルシウム濃度に関連する遺伝子多型が冠動脈疾患・心筋梗塞発症に関与するか(解説:今井 靖 氏)-708

 カルシウム濃度あるいはカルシウム経口補充に伴うカルシウム血中濃度上昇が、冠動脈疾患・心筋梗塞に関連するとするいくつかの疫学研究がある。しかし、ヒトの長い生涯におけるカルシウム濃度上昇が、冠動脈イベント発症に関連するか否かについては明らかではない。 今回の論文では、メンデル無作為群間比較Mendelian randomizationという遺伝疫学手法でアプローチが行われている。この方法は、生下時から遺伝的に規定されている遺伝子型別に中間形質とその後の最終表現型(イベント発症)を検証するもので、「ポストゲノム時代の自然が行うランダム化試験」といわれている。2008年ごろから行われるようになり、例を出せば、中間表現型(たとえばhs-CRP)と最終表現型(たとえば心筋梗塞)との因果関係を証明するために、そのもととなる遺伝子多型(たとえばCRP産生に関与する遺伝子多型)と最終表現型(心筋梗塞)との関連を示すものであり、最近の代表的な研究のひとつとして、LDLコレステロール低値が冠動脈疾患発症低下につながることを、LDLコレステロール低下を伴うPCSK9遺伝子多型が冠動脈疾患発症低下に関与することで示した報告も、この手法によるものであり、この遺伝疫学的研究手法の有用性が理解されてきている。 今回の論文では、カルシウム血中濃度に相関することが大規模なゲノム解析で検出された7つの一塩基多型SNPについて糖尿病、脂質異常症、肥満などの冠危険因子に相関するものを1つ除いた後の6SNPsに関して、欧米人主体の冠動脈疾患患者6万801例、非罹患者12万3,504例で遺伝子多型頻度を調査したところ、遺伝素因から推定されるCa血中濃度が0.5mg/dL(ほぼ1SDに相当)上昇は、冠動脈疾患、心筋梗塞をそれぞれオッズ比1.25、1.24と有意に上昇させることが示されている。 ただ、この研究の限界として、個々のSNPが必ずしも冠動脈疾患・心筋梗塞発症との関連が示されていないことがある。また、この研究成果からカルシウム経口補充をどうするのかといった点、日本人にその成果を外挿できるかどうかについては回答は得られない。

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167)旨いけど注意したい牛丼の落とし穴【脂質異常症患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話医師ふだん、外食はどんなものを食べられていますか?患者そうですね…時間があまりないので、すぐに食べられるもの、牛丼とかが多いですね。肉も入っているので…。医師なるほど。お店では何を頼むことが多いですか?患者大盛でなく、並盛を頼むようにしています。医師それはいいですね。ただし、牛丼の肉は、ばら肉を使っています。ばら肉の3割近くが脂です。患者えっ、そんなにあるんですか。医師そうなんです。脂と炭水化物の組み合わせが、最も中性脂肪を上昇させます。患者わかりました。これからは気を付けます。●ポイント牛丼のばら肉の3割近くが脂肪であることを説明します

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