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再発・難治性多発性骨髄腫治療に対するcarfilzomibレジメン

 多種類の前治療歴を有する再発・難治性の多発性骨髄腫患者に対する治療選択肢は限られている。米国・テキサス州立大学MDアンダーソンがんセンターのJatin J Shah氏らは、carfilzomib+ポマリドミド+デキサメタゾンからなるCPD療法の治療レジメンを、多施設共同オープンラベル第I相用量漸増試験により評価した。Blood誌2015年11月12日号の報告。 前治療後に再発または直近に実施した治療で難治性であった患者を対象とした。すべての患者は、レナリドミド前治療に対して不応であった。患者には、carfilzomib静注(初回用量20mg/m2、以降27mg/m2に増加、第1、2、8、9、15、16日目)、ポマリドミド(初期用量レベルとして4mg、第1~21日目)、デキサメタゾン(40mgを経口または静注、第1、8、15、22)を、28日サイクルで治療を行った。試験の主な目的は、安全性の評価とレジメンの最大耐量(MTD)を決定することとした。 主な結果は以下のとおり。・32例の患者が登録された。・レジメンのMTDは、用量レベル1(carfilzomib:20/27mg/m2、ポマリドミド:4mg、デキサメタゾン:40mg)であった。・血液学的有害事象は、全患者の60%以上(Grade3以上の貧血11例を含む)で発生した。・呼吸困難はGrade1/2に限られ、10例の患者で認められた。末梢神経障害は、まれでGrade1/2であった。・治療中に8例で投与量の減量を行い、7例は有害事象により治療を中止した。・2例の死亡例は、それぞれ肺炎、肺塞栓症によると考えられた。 結果を踏まえ、著者らは「再発・難治性の多発性骨髄腫患者に対するCPD療法は、良好な忍容性と非常に有望な活性をもたらす」としている。(ケアネット 鷹野 敦夫)参考文献Shah JJ, et al. Blood. 2015;126:2284-2290.血液内科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/hemato/archive/news

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多発性骨髄腫に対するVTD療法 vs. VTDC療法、長期アウトカム比較

 多発性骨髄腫の導入療法として、VTD療法(ボルテゾミブ+サリドマイド+デキサメタゾン)とVTDC療法(VTD+シクロホスファミド)の長期アウトカムの違いを評価するため、オーストリア・Wilhelminenがん研究所のHeinz Ludwig氏らは、無作為化第II相試験のフォローアップ結果を報告した。British journal of haematology誌2015年11月号の報告。 多発性骨髄腫の新規診断患者98例をVTD(ボルテゾミブ静注[1.3mg/m2、第1、4、8、11日目]+サリドマイド[100mg、第1~21日目]+デキサメタゾン[40mg、第1~4日目および9~12日目])群とVTDC(VTD+シクロホスファミド[400mg/m2、第1、8日目])群に1:1で割り付け、幹細胞動員・移植前に4サイクル(21日/サイクル)実施した。 主な結果は以下のとおり。・中央値64.8ヵ月のフォローアップ後、次の治療までの期間(中央値)は、VTD群で51.8ヵ月、VTDC群で47.9ヵ月であった。・その後の治療内容は、両群とも類似していた。・中途打ち切りを調整後、進行までの期間(中央値)は、VTD群(35.7ヵ月)とVTDC群(34.5ヵ月)との間で有意な差は認められなかった(HR 1.26、95%CI:0.76~2.09、p=0.370)。・5年生存率は、VTD群で69.1%、VTDC群で65.3%であった。・微小残存病変(minimal residual disease:MRD)の有無により分析すると、骨髄で完全奏効(CR)が確認された患者の全生存期間は、MRD陽性と比較しMRD陰性で長かった(HR 3.66、p=0.0318)。・VTD療法に続く移植は、多発性骨髄腫の長期コントロールを可能とする。1次解析の結果と一致し、VTD療法にシクロホスファミドを追加することによるメリットは示されなかった。(ケアネット 鷹野 敦夫)血液内科関連Newsはこちらhttp://www.carenet.com/hemato/archive/news原著論文はこちらLudwig H, et al. Br J Haematol. 2015;171:344-354.

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難治性多発性骨髄腫、新規CD38標的薬が有望/NEJM

 有効な治療選択肢がほとんどなく治療がきわめて困難な難治性の多発性骨髄腫の患者に対して、daratumumabは単剤で良好な安全性プロファイルを示し、有望な効果を発揮することが、オランダ・アムステルダム自由大学医療センターのHenk M Lokhorst氏らの検討で明らかとなった。プロテアソーム阻害薬や免疫調節薬は多発性骨髄腫の転帰を改善するが、多くの患者が再発し、再発後の予後はきわめて不良である。一方、多発性骨髄腫細胞で過剰発現がみられるCD38は、本疾患の治療標的となる可能性が示唆されている。daratumumabは、CD38を標的とするヒトIgG1κモノクローナル抗体で、前臨床試験では多彩な機序を介してCD38発現腫瘍細胞の標的細胞死を誘導することが確認されていた。NEJM誌オンライン版2015年8月26日号掲載の報告。用量漸増試験30例と用量拡大試験72例で評価 研究グループは、難治性多発性骨髄腫患者に対するdaratumumabの有用性を検討する第I/II相試験を行った(Janssen Research and Development社などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、ECOG PSが0~2で、免疫調整薬やプロテアソーム阻害薬、化学療法薬、自家造血幹細胞移植などによる治療後に再発またはこれらのうち2つ以上の前治療歴のある難治性の多発性骨髄腫患者であった。 用量漸増試験では、daratumumabの0.005~24mg/kgまでの10種の用量を設定し、最も低い2種の用量は1+3デザインで、それ以外の8種の用量は3+3デザインで評価した。初回投与後、安全性と薬物動態の評価を行うために3週間のウォッシュアウト期間を置き、その後は週1回、合計6回の投与を行った(治療期間8週)。 用量拡大試験では、8mg/kgが3種、16mg/kgが2種の合計5種の投与スケジュールの評価を行った。8mg/kg投与群は、週1回で8回、月2回で8回、その後は月1回投与した。16mg/kg投与群は、初回投与後、薬物動態データの収集のために3週間のウォッシュアウト期間を置き、週1回で7回、月2回で7回、その後は月1回投与した。治療期間はいずれも最長で24ヵ月であった。 2008年3月27日~2015年1月9日までに登録された患者のデータを解析した。用量漸増試験には32例が、用量拡大試験には72例が登録された。MTDは同定されず、16mg/kg投与で全奏効率36%、PFSは5.6ヵ月 用量漸増試験では、用量制限毒性(DLT)が0.1mg/kgで1例(Grade 3の貧血)、1mg/kgで1例(Grade 3のAST上昇)に発現したが、24mg/kgまで安全に増量され、最大耐用量(MTD)は同定されなかった。 用量拡大試験の72例のうち、8mg/kg投与群が30例(年齢中央値59歳、女性9例)、16mg/kg投与群は42例(64歳、15例)であった。診断後の経過期間中央値は5.7年、前治療数の中央値は4(範囲:3~10)だった。 このうち難治性病変の患者は79%であり、プロテアソーム阻害薬と免疫調節薬に不応性の患者は64%、ボルテゾミブとレナリドミドに不応性の患者も64%含まれ、76%は自家造血幹細胞移植を受けていた。 用量拡大試験における注射関連反応の発現率は71%であったが、Grade 3の1例を除きGrade 1~2であり、注射関連反応による治療中止例はなかった。また、用量依存性の有害事象は認めなかった。 Grade 3/4の有害事象は、8mg/kg投与群の53%、16mg/kg投与群の26%にみられ、肺炎が5例、血小板減少が4例で、好中球減少、白血球減少、貧血、高血糖が各2例に認められた。重篤な有害事象はそれぞれ40%、33%にみられ、感染症関連イベントが17%、10%と最も高頻度であった。 用量漸増試験の4~24mg/kg投与の12例中4例で部分奏効(PR)が達成され、持続的な臨床的奏効が観察された。また、用量拡大試験では、8mg/kg投与群はPRが3例で全奏効率は10%であり、16mg/kg投与群は完全奏効(CR)が2例、最良部分奏効(very good PR)が2例、PRが11例で得られ、全奏効率は36%であった。 16mg/kg投与群の無増悪生存期間(PFS)中央値は5.6ヵ月(95%信頼区間[CI]:4.2~8.1)であり、奏効例のうち12ヵ月時に病勢が進行していなかった患者の割合は65%(95%CI:28~86)だった。 著者は、「daratumumab(16mg/kg)単剤療法は、標準治療に不応となった患者が多く含まれる集団で、経時的に深まる持続的な奏効をもたらし、奏効例の1年PFSは65%に達した。また、PR以上の患者では全般に骨髄中の形質細胞が著明に低下した」とまとめ、「本薬の治療標的や作用機序は既存の治療法とは異なるものである」としている。

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ベムラフェニブ、悪性黒色腫以外のBRAF V600変異陽性がんにも有効/NEJM

 ベムラフェニブ(商品名:ゼルボラフ)はBRAF V600キナーゼの選択的阻害薬で、BRAF V600変異陽性の転移性悪性黒色腫の標準治療である。米国・スローン・ケタリング記念がんセンターのDavid M. Hyman氏らは、今回、本薬はBRAF V600変異陽性の他のがん腫にも有効であることを確認しことを報告した。近年、BRAF V600変異は悪性黒色腫以外のさまざまながん腫で発現していることがわかっているが、半数以上は変異陽性率が5%未満であるため疾患特異的な試験を行うのは困難だという。本研究では、「basket試験」と呼ばれる新たな試験デザインが用いられている。このアプローチでは、同じバイオマーカーの発現がみられる組織型の異なる多彩ながん腫において、抗腫瘍活性のシグナル伝達の検出と薬剤感受性の評価が同時に可能で、生物統計学的デザインの柔軟性が高いため希少がんでの抗腫瘍活性の同定に有用であり、新たな治療法を迅速に評価できるとされる。NEJM誌2015年8月20日号掲載の報告より。大腸がん、NSCLC、脳腫瘍などへの効果を第II相basket試験で評価 研究グループは、悪性黒色腫以外のBRAF V600変異陽性がんに対するベムラフェニブの有用性を評価する第II相試験を行った(F. Hoffmann-La Roche/Genentech社の助成による)。 対象は、ECOG PSが0~2のBRAF V600変異陽性がん患者とし、悪性黒色腫のほか、全般に変異陽性率が高く疾患特異的な試験が可能と考えられる甲状腺乳頭がんや有毛細胞白血病は除外した。 被験者は、ベムラフェニブ960mgを1日2回経口投与された。大腸がんのうち、ベムラフェニブ単剤では効果が不十分と予測される患者には、上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬セツキシマブを併用投与した。 主要評価項目は8週時の奏効率とし、副次評価項目には無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、安全性などが含まれた。 2012年4月11日~2014年6月10日までに、欧米の23施設に122例が登録された。内訳は、症例数が多い順に、大腸がんが37例(単剤:10例、併用:27例)、非小細胞肺がん(NSCLC)が20例、エルドハイム・チェスター病(ECD)/ランゲルハンス細胞性組織球症(LCH)が18例、原発性脳腫瘍が13例、胆管がんが8例、甲状腺未分化がんが7例、多発性骨髄腫が5例などであった。NSCLC、ECD/LCHで40%以上の奏効率、希少ながん腫にも奏効 NSCLCの評価可能19例のうち8例で部分奏効(PR)、8例で安定(SD)が得られ、8週時の奏効率は42%(95%信頼区間[CI]:20~67)であった。また、PFS中央値は7.3ヵ月(95%CI:3.5~10.8)、1年PFSは23%であった。OS中央値には未到達であったが、初期データに基づく1年OSは66%だった。 ECD/LCHの評価可能14例では、完全奏効(CR)が1例で達成され、PRが5例、SDが8例で、奏効率は43%であった。12例に病変の退縮が認められ、いずれの症例でも疾患関連症状が改善した。治療期間中央値は5.9ヵ月(範囲:0.6~18.6)で、治療中に病勢が進行した症例はなかった。また、PFS中央値には未到達で、初期データによる1年PFSは91%(95%CI:51~99)、1年OSは100%だった。 大腸がんのベムラフェニブ単剤の10例では奏効例はなく、PFS中央値は4.5ヵ月(95%CI:1.0~5.5)、OS中央値は9.3ヵ月(95%CI:5.6~未到達)であった。ベムラフェニブ+セツキシマブ併用の評価可能26例ではPRが1例で得られ、SDが18例であり、奏効率は4%(95%CI:<1~20)だった。PFS中央値は3.7ヵ月(95%CI:1.8~5.1)、OS中央値は7.1ヵ月(4.4~未到達)であった。 甲状腺未分化がんの7例中、CRが1例、PRが1例で得られた。また、未分化型の多形黄色星状細胞腫の4例中3例でPRが得られたほか、胆管がん、唾液腺導管がん、軟部組織肉腫、卵巣がんで1例ずつ奏効例が認められた。甲状腺未分化がん、胆管がん、卵巣がんの各1例は奏効期間が1年以上持続した。さらに、膠芽腫、未分化型上衣腫、膵がんなどで奏効基準を満たさない腫瘍の退縮がみられたが、解析の時点で多発性骨髄腫には奏効例は確認されなかった。 ベムラフェニブ単剤の安全性は、悪性黒色腫の既報のデータと類似していたが、症例数が少ないため比較はできない。最も高頻度に発現した有害事象は、皮疹(68%)、疲労(56%)、関節痛(40%)だった。 著者は、「BRAF V600変異は、すべてではないがいくつかのがん腫で治療標的となるがん遺伝子であることが示された」とし、「組織型にかかわらず、バイオマーカーに基づいて患者を選択するbasket試験は実行可能であり、がんの分子標的治療の開発ツールとして役立つ可能性があるが、多くの場合、同定された有望な抗腫瘍活性を確証するためにさらなる試験を要すると考えられる」と指摘している。

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再生不良性貧血、遺伝子解析による予後予測は可能か/NEJM

 再生不良性貧血における体細胞変異と臨床転帰の関連やクローン性造血の発現状況の詳細が、京都大学大学院の吉里哲一氏らによる次世代シーケンサーを用いた検討で示された。後天性再生不良性貧血は、造血細胞や造血前駆細胞が免疫系によって破壊されることで発症し、汎血球減少を来す。造血幹細胞移植により治癒の可能性があり、免疫抑制療法が有効であるが、生存期間の改善に伴い患者の約15%が遅発性の骨髄異形成症候群(MDS)や急性骨髄性白血病(AML)を発症するという。NEJM誌2015年7月2日号掲載の報告。日米の439例を、deep sequencingとSNPアレイで解析 研究グループは、再生不良性貧血患者において、次世代シーケンサーを用いてMDS、AMLあるいはこれら双方の発症に関与する遺伝子を解析し、変異細胞のクローン集団と臨床転帰の関連について検討した(厚生労働省科学研究費などの助成による)。また、造血細胞のクローン構造の経時的な変化の解析も行った。 対象は、日米の3施設に登録された再生不良性貧血患者439例(米国国立衛生研究所[NIH]:256例、クリーブランド・クリニック:24例、金沢大学:159例)。このうち82例からは経時的に血液サンプルが得られた。解析には、合計668の検体を用いた。 すべての血液サンプルで、ターゲット・シークエンス法を用いて、骨髄腫瘍で高頻度に変異が認められる106の候補遺伝子に関する解析を行った。染色体異常の検出には、一塩基多型(SNP)アレイ核型分析を用いた。また、52例の135の血液サンプルで、全エクソーム・シークエンス法を用いて、経時的なクローン性造血の解析を行った。4つの変異で全変異の77%、クローン性造血は47%に 156例(36%)で249の体細胞変異が検出され、56例(36%)には複数の変異が認められた。最も多くの患者で変異が検出された遺伝子はBCOR/BCORL1(患者の9.3%で検出)で、次いでPIGA(同7.5%)、DNMT3A(同8.4%)、ASXL1(6.2%)の順であり、これら4つで全変異陽性例の77%を占めた。全体の変異陽性率に日米間の差はなかった。 BCOR/BCORL1とPIGAは年齢と関連しなかったが、この2つ以外の変異の頻度および数は、加齢とともに増加した(いずれもp<0.001)。NIHコホートにおける診断時の変異アレルの頻度は、免疫抑制療法開始6ヵ月時に比べて低かった(p<0.001)。また、クローン性造血は患者の47%で同定された。 良好な予後と関連する遺伝子変異としてBCOR/BCORL1、PIGAが、予後不良な変異としてDNMT3A、ASXL1、TP53、RUNX1、JAK2、JAK3、CSMD1が同定された。 BCOR/BCORL1およびPIGAの変異を有する患者は、非変異の患者に比べ免疫抑制療法に対する反応が良好で、生存率や無増悪生存率が高かった。これに対し、DNMT3AやASXL1を含む遺伝子群の変異を有する患者は変異のない患者よりも予後が不良であった。 クローン構造の解析では、DNMT3AおよびASXL1の変異を有するクローンは、経時的にサイズが増大する傾向がみられたのに対し、BCOR/BCORL1およびPIGA変異クローンのサイズは縮小または安定する傾向を認めた。 しかしながら、クローンの動態はきわめて多様であり、必ずしも個々の患者の治療への反応や長期生存を予測することはできなかった。 著者は、「再生不良性貧血患者の多くにクローン性造血がみられる。遺伝子変異の多くは特定の遺伝子に偏っており、変異の一部は臨床転帰と関連するが、個々の患者の体細胞クローンの経時的なパターンは多様で多くは予測不能であった」とまとめている。 また、「特定の遺伝子への変異の高度な偏りは、骨髄不全の環境におけるダーウィン淘汰のエビデンスである」とし、「deep sequencingとSNPアレイ核型分析の双方を用いた綿密なクローン性造血のモニタリングを臨床評価と統合することで、再生不良性貧血患者の予後予測や治療ガイドが可能となるだろう」と指摘している。

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多発性骨髄腫治療薬「レナリドミド」、ワルファリンとの相互作用は

 多発性骨髄腫の治療において、レナリドミドは2次治療に位置付けられており、その効果の大きさから重要な役割を担っている。現在、初発の多発性骨髄腫に対して適応追加の申請中であり、その重要性はますます大きくなっていく可能性がある。 レナリドミドは重大な副作用として静脈血栓症があるため、予防目的でワルファリンが併用されていることも多い。ワルファリンは薬物相互作用が多い薬剤として有名であるが、米国・セルジーン社・Daniel Weiss氏らの調査の結果、レナリドミドとの併用は、薬物相互作用の観点において問題ないことが示唆された。Clinical Drug Investigation誌オンライン版2015年5月30日号にて掲載報告。 調査はプラセボ対照、無作為化二重盲検2期クロスオーバー試験にて行った。対象は18人の健康な男女で、レナリドミドを1日10mgまたはプラセボを9日間投与した。投与4日目に、両群に対して1日25mgのワルファリン単回経口投与を行った。採血を行い、両薬剤のINR・PT・AUC・Cmaxを測定した。 主な結果は以下のとおり。・レナリドミド、プラセボの両群間におけるAUCやCmaxの幾何平均値比は、ワルファリンの光学異性体(R体およびS体)について生物学的同等性の範囲内(80~125%)であった(90%信頼区間)。・ワルファリン投与後0時間~144時間のAUCINRとINRのピーク値は、レナリドミド群・プラセボ群ともに85~125%の範囲内であった(90%信頼区間)。・レナリドミドのAUCとCmaxはワルファリンの併用によって変化はなかった。

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多発性骨髄腫に新薬 ポマリドミドの位置付け

 多発性骨髄腫に、日本では5年ぶりとなる新薬が登場した。現在の標準的治療薬であるレナリドミドおよびボルテゾミブの治療歴がある再発または難治性多発性骨髄腫に適応がある免疫調節薬・ポマリドミド(商品名:ポマリスト)が発売となった。これを受けて、セルジーン株式会社は2015年5月25日、都内にて新製品記者発表会を開催した。 多発性骨髄腫は2006年以降、ボルテゾミブ、サリドマイド、レナリドミドの登場により、寛解率が高まり、生存期間が延長した。しかし、上記薬剤によって治療しても再発する例も多く、他の治療薬の効果が低いため、新たな治療薬が求められていた。 ポマリドミドはレナリドミド同様の免疫調節薬の1つであるが、レナリドミドに効果不十分の患者に対して効果が示されている。本薬剤は現在「3次治療」の位置付けであり、既存薬であるレナリドミド、ボルテゾミブに効果不十分な際の選択肢とすることができる。第III相試験では、レナリドミドを使用しても効果が得られなかった患者の無増悪生存期間を延長することが示されている。安全性の面では、既存薬で問題となっていた眠気・消化器症状の軽減も認められているが、本薬剤には血液毒性や催奇形性があるため、血液内科専門医の厳重な管理の下で慎重に使用していくことが求められる。 多発性骨髄腫治療は、レナリドミドの未治療例への適応拡大をはじめ、カルフィルゾミブ、イグザゾミブ、エロツズマブ、ダラツムマブが開発後期にあり、治療が大きく進歩する領域として注目が集まりつつある。安全性を考慮しつつ、多くの選択肢の中から患者さんにとって最適な治療法を選択できる時代がまもなくやって来るかもしれない。

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多発性骨髄腫~より正確に診断するために

 磁気共鳴画像(MRI)は、多発性骨髄腫(MM)における限局性骨髄病変(FSD)検出において最も感度の高い検査である。しかし、脊柱全体のMRI(WS-MRI)をMM診断におけるスクリーニングテストとして使用すべきかどうかは、明らかになっていない。オーストラリア・ジェームズクック大学のJoel Wight氏らは、MM診断におけるMS-MRIの有用性を明らかにするために調査を行った。その結果、くすぶり型骨髄腫を持つ患者には有用である可能性が示唆された。Internal Medicine Journal誌オンライン版2015年4月14日号の掲載報告。 2008年1月~2013年1月にThe Townsville Hospitalで収集したデータをレトロスペクティブに解析した。同施設において、WS-MRIは新規MMの診断目的で日常的に使用されている。FSDの臨床的予測因子を定め、ガイドラインによるWS-MRIの適応に該当する患者とそうでない患者の調査結果を比較した。 主な調査結果は以下のとおり。・71症例が本分析の対象となった。・WS-MRIの適応に該当する患者は44例(62%)であった。・FSDの最も強力な予測因子は、背部痛(p<0.001)と脊椎圧迫骨折(p=0.003)であった。[ガイドラインによるWS-MRI検査の適応患者群]・該当患者44例のうち、33例(75%)がFSDを有していた。・このうち17例は早急な処置が必要であり、13例に形質細胞腫があった。[ガイドラインによるWS-MRI検査の適応でない患者群]・該当患者27例のうち4例(15%)にFSDが見つかったが、いずれも早急な治療介入は必要なく、形質細胞腫も見られなかった。・8例のくすぶり型骨髄腫の患者のうち、3例がWS-MRI検査により症候性骨髄腫に再分類された。 ガイドラインでWS-MRI検査の適応とされていない患者では、WS-MRIにより治療が早急に必要な脊髄疾患を発見できなかった。しかし、WS-MRIは、くすぶり型骨髄腫の患者において、単純撮影で病巣がみられない場合には有益であり、治療につながる可能性が示唆された。

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骨巨細胞腫〔Giant cell tumor of bone〕

1 疾患概要■ 概念・定義骨巨細胞腫は、病理組織学的に破骨細胞様多核巨細胞がみられる良性骨腫瘍であり、1818年にCooper氏により初めて報告された1)。2013年に改訂されたWHO分類(第4版)では2)、「OSTEOCLASTIC GIANT CELL RICH TUMOURS」の項にIntermediate (locally aggressive、rarely metastasizing) として分類されている。そして「A benign but locally aggressive primary bone neoplasm」と記載されているように、組織学的に良性であっても、局所再発や、まれに肺転移も来す腫瘍である。また、骨巨細胞腫に併存して、あるいは以前骨巨細胞腫が存在した部位に高悪性度肉腫が発生することがあり、これは2013年のWHO分類でmalignancy in GCTと総称されている。■ 疫学発生頻度は原発性骨腫瘍の約8.5%、原発性良性骨腫瘍の約12.3%であり3)、好発年齢は20~30代である。好発部位は、脛骨近位や大腿骨遠位、上腕骨近位、橈骨遠位などの長管骨骨端部であるが、比較的早期に発見された腫瘍は骨幹端に存在するものが多く、骨幹端に発生して速やかに骨端に広がる腫瘍と考えられる。しばしば、脊椎、骨盤などの体幹にも発生する。■ 病因骨巨細胞腫は、主に単核の単球細胞、多核巨細胞、紡錘形細胞で構成されており(図1)、腫瘍の本体は、間質に存在する紡錘形細胞と考えられている。そして、これらの細胞の起源については、単球細胞と多核巨細胞がマクロファージ由来、間質の紡錘形細胞が間葉系幹細胞由来と考えられている4)。本腫瘍に関するこれまでの分子生物学的研究から、間質の紡錘形細胞がRANKLを、多核巨細胞はその受容体であるRANKを高率に発現しており5)、このRANKL-RANKシグナルが骨巨細胞腫の病態形成に深く関わっていることが明らかとなっている。画像を拡大する■ 症状特異的な症状はなく、発生部位の腫脹、熱感、疼痛が主で、関節周囲に発生することから、荷重による疼痛や関節可動域制限を認めることが多い。また、腫瘍の増大が速く、これらの症状が発現してから進行するまでの期間が短く、病的骨折を生じて発見されることもある。■ 分類一般的にX線所見による病期分類6)を用いることが多く、再発などの予後と相関する。Grade1境界明瞭で薄い辺縁硬化を伴い骨皮質が正常Grade2境界明瞭だが辺縁硬化がなく骨皮質の菲薄化を認めるGrade3境界不明瞭で浸潤性および活動性を示し骨皮質の破壊と軟部組織への進展を認める■ 予後エアドリルを併用した病巣掻爬や電気メス、アルゴンビームなどの補助療法を追加する手術を行った場合、再発率は10~25%と報告されており、腫瘍を一塊として切除した場合の再発はこれより少ない。局所再発の多くは、術後2年以内であるが、長期経過後の再発も報告されている。また、約1~2%の例で肺転移を認めることがあり、非常にまれではあるが、肺転移巣の大きさや数、部位によっては死亡する例も存在する。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査1)画像検査(1)単純X線腫瘍は長管骨の骨幹端から骨端にかけての骨溶解像として描出される(図2)。腫瘍は偏心性に存在することが多く辺縁硬化像を伴うことは少ない。腫瘍が進行した場合、皮質骨は菲薄化と膨隆を伴いシェル状となる。また、時に皮質骨が消失することもある。その他、特徴的な所見としては腫瘍内部の隔壁構造がsoap-bubble appearanceを呈する場合がある。画像を拡大する(2)CT菲薄化した皮質骨の評価に有用である。(3)MRI骨髄内や骨外への腫瘍進展を捉えるために有用である。一般的に、腫瘍はT1強調像で等~低信号、T2強調像で高信号を示し、ガドリニウム(Gd)によりよく造影される。しかし、進行した場合、病巣内に出血に伴うヘモジデリン沈着、嚢胞形成、壊死などの多彩な変化を生じる。出血に伴い2次性の動脈瘤様骨嚢腫に発展した場合は、液面形成像(fluid-fluid level)を呈することもある。2)病理検査破骨細胞類似の多核巨細胞と単核の間質細胞からなる組織像を示す。腫瘍の辺縁に反応性骨形成がみられることがあるが、腫瘍による骨形成は通常みられない(図1)。■ 鑑別診断画像上の鑑別診断としては、良性では単純性骨嚢腫、動脈瘤様骨嚢腫、軟骨芽細胞腫など、悪性では通常型骨肉腫、血管拡張型骨肉腫、未分化高悪性度多形肉腫、がんの骨転移などが挙げられる。骨巨細胞腫は、好発年齢・部位と特徴的な画像所見により、診断は可能だが、最終診断には生検による病理検査が必要である。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 外科的治療他の良性骨腫瘍と同様に掻爬を行い、骨欠損部は骨移植や骨セメントで充填することが一般的である。ただし、鋭匙などによる単純な掻爬では再発率が高く、エアドリルの使用、掻爬後のフェノール処置、電気メスやアルゴンビームなどで焼灼など補助療法を追加した外科的治療を行うことが必要である7)。また、関節に浸潤し、軟骨下骨の温存が困難な例や、腫瘍により骨構築が破綻した場合は、切除を行い、骨欠損部を腫瘍用人工関節や人工骨頭で再建することもある。橈骨遠位端発生例では、腫瘍の活動性が高く、切除を行い関節固定で再建することが多い。■ 薬物療法骨転移による病的骨折などの骨関連事象を制御する目的で用いられているゾレドロン酸を切除困難な骨巨細胞腫に使用し、その有用性を述べた報告もある8)。筆者も使用経験があり、骨巨細胞腫に対する治療選択肢の1つと考えている。しかし、明らかな骨形成など明確な変化が得られることは少なく、また、保険適用外であることが問題である。骨巨細胞腫の治療上、革新的な変化が起きたのは、本疾患に対して抗RANKL抗体であるデノスマブの臨床試験が行われ、その結果を受けて2013年6月に米国食品医薬品局(FDA)が、骨巨細胞腫に対する適応を承認したことである。デノスマブは、すでに「多発性骨髄腫による骨病変および固形がん骨転移による骨病変」に対して2012年4月に保険収載され、現在多くの骨転移患者に用いられている。2013年3月には「骨粗鬆症」に対しても保険適用されている。骨巨細胞腫に関しては、FDAの承認後、わが国でも「切除不能または重度の後遺障害が残る手術が予定されている骨巨細胞腫患者」を対象として国内第II相臨床試験が行われ、2014年5月に骨巨細胞腫に対する追加承認を取得、骨巨細胞腫に対して用いることが可能となった。デノスマブは、RANKLを標的とするヒト型モノクローナル抗体製剤である。RANKL は、破骨細胞および破骨細胞前駆細胞表面のRANKに結合し、破骨細胞の形成、機能、生存に関わる分子であり、骨巨細胞腫の病態形成にも深く関与している5)。デノスマブによりRANKLが阻害されることにより、破骨細胞様多核巨細胞が消失し、腫瘍による骨破壊が抑制される。また、腫瘍内に骨形成が起こり、疼痛などの自覚症状も改善する。■ その他脊椎や骨盤など、解剖学的に切除が困難な部位に発生した場合には、腫瘍の進行を制御する目的で動脈塞栓術が試みられている。同じく切除不能例に対する放射線治療も行われてきたが、照射後の悪性化が問題となり、現在ではあまり行われていない。4 今後の展望骨巨細胞腫患者に対するデノスマブの有用性と安全性を明らかにする目的で、米国Amgen社により、骨巨細胞腫患者を対象とした臨床試験(20040215試験および20062004試験)が海外で実施された。いずれの試験においても、安全性と高い抗腫瘍効果が認められ9-11)、これら2試験の成績を基に、骨巨細胞腫に対する承認申請が米国Amgen社により行われ、米国では2013年6月に承認された。わが国においても、「切除不能または重度の後遺障害が残る手術が予定されている骨巨細胞腫患者」を対象に臨床試験が行われ、2013年6月にデノスマブが希少疾病用医薬品に指定され、「骨巨細胞腫」を効能・効果として、2014年5月に承認が得られている。筆者は、現時点での本疾患に対するデノスマブの適用を、「骨格の成熟した12歳以上の骨巨細胞腫患者で切除不可能な場合、もしくは切除に伴い重篤な機能障害を生じる場合」と限定して考えている。デノスマブの出現は、切除困難な骨巨細胞腫患者に大きな変化をもたらしたことは明らかである。しかし、エビデンスのある治療戦略はまだ明らかにされていない。術前投与と縮小手術の詳細や中長期の治療成績に関してもまだ不明である。今後、前向き多施設臨床試験などで、これらの問題を明らかにする必要があると考える。5 主たる診療科整形外科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍相談コーナー(一般利用者向けのまとまった情報)特定非営利活動法人 骨軟部肉腫治療研究会(医療従事者向けのまとまった情報)1)Cooper A, et al. Surgical essays. 3rd ed. Cox & Son; 1818.2)World Health Organization Classification of Tumours of Soft Tissue and Bone. IARC Press; 2013.3)日本整形外科学会 骨・軟部腫瘍委員会 編. 全国骨腫瘍登録一覧表(平成23年度). 国立がん研究センター; 2011.4)Wulling M, et al, Hum Pathol. 2003; 34: 983-993.5)Morgan T, et al. Am J Pathol. 2005; 167: 117-128.6)Campanacci M, et al. J Bone Joint Surg Am. 1987; 69: 106-114.7)岩本幸英 編. 骨・軟部腫瘍外科の要点と盲点(整形外科Knack & Pitfalls). 文光堂; 2005. p.210-213.8)Balke M, et al. BMC Cancer. 2010; 10: 462.9)Thomas D, et al. Lancet Oncol. 2010; 11: 275-280.10)Branstetter DG, et al. Clin Cancer Res. 2012; 18: 4415-4424.11)Chawla S, et al. Lancet Oncol. 2013; 14: 901-908.

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再発多発性骨髄腫へのカルフィルゾミブ上乗せ~第III相試験/NEJM

 多発性骨髄腫の再発例の治療において、カルフィルゾミブ(carfilzomib)を標準治療のレナリドミド+デキサメタゾン療法に加えると、無増悪生存期間(PFS)が9ヵ月近く延長することが、米国・メイヨー・クリニックのA Keith Stewart氏らが行ったASPIRE試験で示された。多発性骨髄腫患者の生存率は改善しているが、再発率は依然として高く、新たな治療アプローチが求められている。カルフィルゾミブは、構成型プロテアソームと免疫型プロテアソームに選択的かつ不可逆的に結合するエポキシケトン型プロテアソーム阻害薬であり、これら3剤の併用療法は第I/II相試験でその有効性が確認されている。NEJM誌オンライン版2014年12月6日号掲載の報告。上乗せによるPFS改善効果を無作為化試験で評価 ASPIRE試験は、再発多発性骨髄腫に対する標準治療へのカルフィルゾミブの上乗せ効果を評価する非盲検無作為化第III相試験(資金提供:Onyx Pharmaceuticals社)。対象は、1~3レジメンの前治療歴のある多発性骨髄腫患者で、一定の条件を満たせばボルテゾミブ治療歴やレナリドミド+デキサメタゾン療法歴のある患者の参加も許容された。 被験者は、カルフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン療法を行う群またはレナリドミド+デキサメタゾン療法を施行する群(対照群)に無作為に割り付けられた。治療は、患者の希望による中止、病勢進行または許容されない毒性が発現するまで継続することとした。 主要評価項目は無増悪生存期間(PFS)であり、intention-to-treat解析が行われた。副次的評価項目には全生存期間(OS)、全体の奏効率(完全奏効[CR]+部分奏効[PR])、奏効期間などが含まれた。PFS中央値:26.3 vs. 17.6ヵ月、OS、奏効率、QOLも良好 2010年7月~2012年3月までに、北米、ヨーロッパ、中東から792例が登録され、カルフィルゾミブ群に396例、対照群にも396例が割り付けられた。全体の年齢中央値は64.0歳、前治療レジメン数中央値は2.0であり、ボルテゾミブ治療歴は65.8%、レナリドミド治療歴は19.8%に認められた。 PFS中央値は、カルフィルゾミブ群が26.3ヵ月であり、対照群の17.6ヵ月に比べ有意に延長した(ハザード比[HR]:0.69、95%信頼区間[CI]:0.57~0.83、p=0.0001)。事前に規定されたサブグループのすべてで、PFS中央値に関するカルフィルゾミブ群のベネフィットが認められた。 中間解析時の2年OSは、カルフィルゾミブ群が73.3%、対照群は65.0%であり、OS中央値には両群とも到達していなかったが、カルフィルゾミブ群で良好な傾向がみられた(HR:0.79、95%CI:0.63~0.99、p=0.04)。この結果は、事前に規定された中間解析時のOSによる試験中止基準を満たさなかった。 全体の奏効率は、カルフィルゾミブ群が87.1%、対照群は66.7%であり、有意な差が認められた(p<0.001)。CR率はそれぞれ31.8%、9.3%と、カルフィルゾミブ群が有意に優れた(p<0.001)。奏効までの平均期間はそれぞれ1.6ヵ月、2.3ヵ月、奏効期間中央値は28.6ヵ月、21.2ヵ月であった。また、健康関連QOLもカルフィルゾミブ群で有意に改善した(p<0.001)。 カルフィルゾミブ群では、対照群よりも5%以上頻度の高い有害事象として、低カリウム血症、咳嗽、上気道感染症、下痢、発熱、高血圧、血小板減少、鼻咽頭炎、筋攣縮が認められた。Grade 3以上の有害事象の発症率は、カルフィルゾミブ群が83.7%、対照群は80.7%であり、重篤な有害事象の発症率はそれぞれ59.7%、53.7%であった。有害事象による治療中止は15.3%、17.7%に認められた。 とくに注目すべきGrade 3以上の有害事象として、呼吸困難(2.8 vs. 1.8%)、高血圧(4.3 vs. 1.8%)、急性腎不全(3.3 vs. 3.1%)、心不全(3.8 vs. 1.8%)、虚血性心疾患(3.3 vs. 2.1%)がみられた。治療関連死はそれぞれ6例、8例であった(心筋梗塞、心不全、敗血症など)。 著者は、「カルフィルゾミブの追加により病勢進行と死亡のリスクが31%低減し、PFS中央値が8.7ヵ月延長した」とまとめ、「移植を行わない場合のPFS中央値が、これに匹敵するレジメンはほかにない」と指摘している。

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がん生存にみる40年間の対策効果は?/Lancet

 英国のロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院のManuela Quaresma氏らは、イングランドとウェールズ住民を対象に40年間(1971~2011年)の、全がん生存指標と年齢・性別で補正した個別がん生存指標の傾向を調べた。その結果、1971-72年当時は、全がんネット生存指標は、診断後1年で50%であったが、40年後の2010-11年には診断後10年でも50%を達成していると予測され大きく改善していること、一方で性別や年齢による生存指標の格差が続いていることなどを明らかにした。Lancet誌オンライン版2014年12月2日号掲載の報告より。英国がん患者、過去40年間720万人のデータを解析 本検討は、がん対策の進展を集団レベルで評価することの重要性を踏まえて、住民ベース生存率の傾向を調べて、がん生存について特色ある対策を提示することが目的であった。住民ベース生存率の傾向は、医療システム全体の効果、および罹患率や死亡率の傾向について鍵となる洞察を与える。 研究グループは観察研究にて、イングランドおよびウェールズ住民で1971~2011年に、原発性、侵襲性の悪性腫瘍と初発診断された720万人のデータを、2012年まで追跡して住民ベース生存率の傾向を分析した。 National Cancer Registry(イングランド)とWelsh Cancer Intelligence and Surveillance Unit(ウェールズ)を用いて全がん生存指標を作成。指標は、がん患者の年齢群別変化と男女別にがん死亡の変化を読み取れるようにデザインされていた。 1971-72年、1980-81年、1990-91年、2000-01年、2005-06年、2010-11年の期間のデータを選び、診断後1、5、10年後のがん生存指標の傾向を分析した。また、最高年世代(75~99歳)患者と最若年世代(15~44歳)患者間のネット生存率の差を、世代間生存格差と定義し、1971年以降の絶対変化(%)を評価した。全体的には上昇、性別、がん種別、年代別の次のターゲットが明らかに 両国の40年間の全がんネット生存指標は、大きく上昇していた。1971-72年当時、診断後1年生存指標が50%を示していたが、2005-06年には、診断後5年生存指標が50%を示すようになっており、2010-11年には診断後10年生存指標が50%を示すことが予測された。 2010-11年の全がん複合生存指標は、診断後1年が69~70%、診断後5年が54%であることが予測された。40年間で、5年生存指標は24%(30%から54%に)、10年生存指標は26%(24%から50%に)上昇しており、1990~2011年の間に大きく伸びたことがみられた。 男女別にみると、全がん生存指標は調査対象期間中一貫して、男性よりも女性が平均10%高かった。 年齢および性別で補正後の10年ネット生存指標の予測値は、がんの種類によって大きく異なり、2010-11年の予測値は、膵臓がんの1.1%から精巣がんの98.2%までにわたっていた。同値について高・中・低値の3群に分けてみると、高値群に分類されたのは、乳がん、前立腺がん、精巣がん、子宮がん、メラノーマ、ホジキンス疾患で、1971-72年の生存指標からの上昇が総じて大きかった。一方で、低値群に分類されたのは、脳、胃、肺、食道、膵臓のがんで、40年間でほとんどまたはまったく改善がみられなかった。 また、最高年世代が最若年世代と比べて、がん以外の高率の死因で補正後も一貫して生存指標が低かった。男性において世代間生存格差が最も大きかったのは、大量化学療法が治療の鍵となるがん(リンパ腫、多発性骨髄腫、白血病)で、女性では脳腫瘍、卵巣・子宮頸部がん、多発性骨髄腫で世代間生存格差が大きかった。また女性では、メラノーマと子宮がんの世代間格差は狭まっていたが、卵巣がんの長期生存の差は拡大していた。 これらの結果を踏まえて著者は、「がん種別によりまた世代間により生存に大きな差があることが示された。このことは、がんアウトカムの新たな対策の必要性を示唆するものである」と述べる一方で、「がん生存指標のさらなるモニタリングは、昨今の個人情報保護に対する懸念が払拭されない限り困難となる可能性もある」と指摘している。

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「腰痛」に潜む多発性骨髄腫

 多発性骨髄腫(MM)は血液悪性腫瘍(形質細胞性腫瘍)の1つであり、悪性リンパ腫や白血病に次いで患者数の多い疾患である。MMは高齢者に多くみられる疾患で代表的な症状の1つに「腰痛」がある。しかし、腰痛を患っている高齢者は多いため、見逃されていることもあるという。 2014年8月27日(水)、JPタワーホール&カンファレンス(東京都千代田区)にてセルジーン株式会社主催「第4回ヘマトロジー勉強会」が開催され、「腰痛から始まる血液悪性腫瘍~多発性骨髄腫を知っていますか?~」と題し、国立国際医療研究センター 血液内科診療科長の萩原 將太郎氏が講演を行った。 MMは、B細胞の最終分化形態である形質細胞ががん化することによって発症する。がん化した形質細胞は、造血を抑制することで貧血を引き起こし、骨芽細胞に対して造骨を抑制し破骨細胞に対して溶骨を促進することで、骨病変(病的骨折・高度の骨粗鬆症など)を引き起こす。また、がん化した形質細胞が産生するM蛋白が心臓、腎、神経などにアミロイド蛋白として沈着することで、アミロイドーシスを引き起こす。このように、MMは多彩な臓器障害を来す複雑な疾患である。 MMのうち治療対象となる症候性MMは、形質細胞とM蛋白の存在だけではなく、臓器障害(腎機能障害、貧血、骨病変など)を呈する状態を指す。治療方針としては、それぞれの患者さんの年齢や合併症などを考慮の上、化学療法あるいは分子標的薬を含む寛解導入療法に引き続く造血幹細胞移植、もしくは移植は行わず、化学療法/分子標的薬のみを選択する。近年、治療法の進歩により、MMの予後は改善傾向にある。治療の方向性は、非特異的な化学療法剤から特異的な分子標的薬へと変化し、現在もさまざまな薬剤の開発が進んでいる。MMの骨病変により圧迫骨折している場合には、椎体形成術が奏効する場合も多く、疼痛の軽減などQOLの改善に有用な方法である。 2025年には、高齢者が最も多くなるといわれており、MMの患者数は今後も増えることが予想されている。日常診療の中で、慢性的で原因のわからない「腰痛」を訴える高齢患者さんを診た場合には、MMの可能性も考慮し、血液検査を行うことが勧められる。

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帯状疱疹のリスク増大要因が判明、若年ほど要注意/BMJ

 帯状疱疹リスクは、関節リウマチ、炎症性腸疾患(IBD)、COPD、喘息などの疾患を有している人では増大し、概して年齢が若い人でリスクが大きいことが明らかにされた。英国・ロンドン大学衛生熱帯医学大学院のHarriet J Forbes氏らが、2000~2011年の同国で帯状疱疹と診断された14万4,959例を対象とした症例対照研究を行い明らかにした。英国では2013年より新たに、高齢者のみを対象とした帯状疱疹ワクチンの接種キャンペーンが始められたが、これまで帯状疱疹リスクを定量化した大規模な検討は行われていなかったという。BMJ誌オンライン版2014年5月13日号掲載の報告より。英国14万4,959症例を、年齢別に疾患リスクとの関連を分析 最近の文献報告において、帯状疱疹のリスクが一部の疾患で増大すること、および若い人のリスクが高い可能性が示唆され、研究グループは、年齢別に影響があると思われる帯状疱疹のリスク因子の定量化を試みた。具体的には、英国プライマリ・ケアのデータベースであるClinical Practice Research Datalinkを活用して症例対照研究を行った。 2000~2011年に帯状疱疹と診断された14万4,959例と、年齢・性別・診療状況で適合した対照54万9,336例を特定し、年齢ごとの各リスク因子と帯状疱疹との関連の強さを、条件付きロジスティック回帰分析にて補正後オッズ比(OR)を求めて評価した。関節リウマチ患者は1.46倍、相対的に疾患のある若い人でリスクが高い 症例群と対照群の年齢中央値は、62歳であった。 分析の結果、帯状疱疹リスクの増大因子として、関節リウマチ(2.1%vs. 1.5%、補正後OR:1.46、99%信頼区間:1.38~1.55)、IBD(1.3%vs. 0.9%、同:1.36、1.26~1.46)、COPD(4.7%vs. 3.7%、同:1.32、1.27~1.37)、喘息(7.1%vs. 5.8%、同:1.21:1.17~1.25)、慢性腎臓病(6.0%vs. 5.4%、同:1.14、1.09~1.18)、うつ病(4.7%vs. 4.0%、1.15、1.10~1.20)が認められた。 糖尿病との関連は部分的で、1型では関連がみられたが(0.3%vs. 0.2%、同:1.27、1.07~1.50)、2型では関連はみられなかった(7.1%vs. 6.9%、同:1.01、0.98~1.04)。 また年齢別(50歳未満、50~59歳、60~69歳、70歳以上)でみると、若年の患者でリスクが高いことがみてとれた。たとえば、関節リウマチ患者の補正後ORは、50歳未満では1.69であったが、70歳以上では1.41となっていた。 帯状疱疹のリスクが最も高かったのは、帯状疱疹ワクチンの接種が非適格である重度の免疫抑制状態患者の患者で、リンパ腫患者の補正後ORは3.90(99%CI:3.21~4.74)、骨髄腫2.16(同:1.84~2.53)などとなっていた。 以上のように、疾患を有している人では帯状疱疹のリスクが増大することが判明した。また概して、リスクの増大は若年者でより高いことが明らかになった。 これらの結果を踏まえて著者は、「現在推奨されているワクチン接種は、帯状疱疹リスクが高い人には禁忌であることが明らかになった。まった、これらの人々にはリスクを抑制するための別の戦略が必要であることが明確になった」とまとめている。

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第55回米国血液学会(ASH 2013)トレンドビュー 血液腫瘍治療の最新知見

第55回米国血液学会(American Society of Hematology 2013)が2013年12月7~10日、米国ルイジアナ州ニューオリンズにて開催された。同学会の内容から血液腫瘍治療の最新のトレンドを、がん研究会有明病院 血液腫瘍科部長/がん化学療法センター臨床部部長の畠 清彦氏に聞いた。iPS細胞研究と次世代シーケンス導入今回のASHでは、まずiPS細胞の基礎研究の広がりが印象的であった。iPS細胞の臨床応用にはまだ時間を要するが、血液系の分化・増殖という方向への展開が明確にみられた。また、次世代シーケンスの導入の活発化も最近の特徴であろう。治療の前後や治療抵抗性時における遺伝子の発現状況の比較や、急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)などにおける遺伝子異常の解析が盛んに進められている。この流れはしばらく続くと予測される。急性骨髄性白血病(AML)AMLについては、有望な新規薬剤のエビデンスの報告はほとんどなかった。印象的だったのは、米国で2010年に販売中止となったゲムツズマブオゾガマイシンの自主研究が着実に進められており、投与スケジュールの変更や減量、他剤との併用により、予想以上に良好な成績が得られていることであった。販売が継続している日本でも、使用機会は減少しているが、工夫の余地は残されていると考えられる。急性リンパ性白血病(ALL)ALLに関しては、フィラデルフィア染色体(Ph)陽性例(ABL-positive)に対するニロチニブと多剤併用化学療法(hyper-CVAD:シクロホスファミド+ビンクリスチン+ドキソルビシン+デキサメタゾン)の第II相試験で良好な成績が報告された。一方、Ph陰性例では有望な新薬は見当たらないが、B細胞性ALLに対するCD19抗体などの検討が進められている。慢性骨髄性白血病(CML)BCR-ABL遺伝子T315I変異陽性CMLの治療において、第3世代ABLキナーゼ阻害薬であるポナチニブの有効性が確認されている。米国では2012年に承認され、日本では現在申請中であるが、2次または3次治療薬として承認される見通しである。ただし、現在、T315I変異の検査が可能な施設は限られており、全国的な検査体制の構築が課題となる。慢性リンパ球性白血病(CLL)CLL領域では、プレナリー・セッションでオビヌツズマブ(GA101)+クロラムブシル(GClb)とリツキシマブ+クロラムブシル(RCbl)のhead-to-headの第III相試験(CLL11試験)の結果が報告された。GA101は糖鎖改変型タイプⅡ抗CD20モノクローナル抗体であり、B細胞上のCD20に選択的に結合し、リツキシマブに比べ抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性が強く、直接的な細胞死の誘導能も高いとされる。結果は、主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)中央値が、GClb群で26.7ヵ月と、RCbl群の15.2ヵ月よりも1年近く延長し(p<0.0001)、全生存期間(OS)中央値も良好な傾向がみられた(p=0.0849)。また、経口投与が可能なBurtonチロシンキナーゼ(BTK)阻害薬であるイブルチニブとリツキシマブ+ベンダムスチン(RB)との併用に関する第Ib相試験では、良好な安全性プロフィールが確認されるとともに、奏効率が90%を超え、推定1年PFSも90%に達しており、注目を集めた。現在、イブルチニブ+RBとプラセボ+RBを比較する無作為化第III相試験が進行中である。ONO-4059は、CLLの第I相試験で有望な結果が示されており、これから第II相試験が開始される。そのほか、イデラリシブ、BAY806946、IPI-145などのPI3キナーゼ阻害薬の開発が、今後、どのように展開するかに関心が集まっている。リンパ腫前述のCLLへの有効性が確認された薬剤の多くがリンパ腫にも効果がある可能性が示唆されている。活性化B細胞(ABC)型のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)に対するR-CHOPへのイブルチニブの上乗せ効果を評価する第III相試験が開始されている。また、イブルチニブは単剤で再発マントル細胞リンパ腫にも有効なことが示されている。前述の経口BTK阻害薬であるONO-4059は、CLLだけでなく、リンパ腫に対する有用性も示唆されている。また、リンパ腫に対するGA101の検討も進められている。ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬では、RAD001やパノビノスタットの検討が進められている。DLBCLについては、胚細胞B細胞(GCB)型に有効な薬剤の開発が課題である。T細胞性リンパ腫では、CD30抗体薬であるブレンツキシマブベドチンの有効性が第II相試験で示され、日本でもまもなく承認が得られる予定である。また、ブレンツキシマブベドチンは未分化大細胞型リンパ腫やホジキンリンパ腫の治療として、多剤併用化学療法への上乗せ効果の検討が進められている。一方、BCL-2拮抗薬であるABT-199(GDC-0199)は、CLLのほか小リンパ球性リンパ腫(SLL)に有効な可能性が第I相試験で示された。骨髄異形成症候群(MDS)MDSの治療では、オーロラキナーゼ阻害薬の進歩がみられたが、その有用性を見極めるにはもう少し時間を要する状況である。多発性骨髄腫多発性骨髄腫の領域では、第2世代プロテアソーム阻害薬であるカーフィルゾミブを中心とする臨床試験が数多く行われている。カーフィルゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(CRd)療法や、カーフィルゾミブ+ポマリドマイド+デキサメサゾン(CPd)療法の第II相試験で良好な成績が報告されていた。また、ダラツムマブなどいくつかの抗CD38抗体薬の開発が進められており、第I相試験で有望な成績が報告されている。さらに、経口プロテアソーム阻害薬であるMLN9708(クエン酸イクサゾミブ)とレナリドミド+デキサメタゾン(Rd)の併用療法は第I/II相試験で良好な成績が示され、現在、MLN9708+RdとRdを比較する第III相試験が進行中である。本試験は開始されたばかりであり、結果を得るには時間を要するが、有望視されている試験の1つである。最後に全体としては、BTK阻害薬のように、対象患者は限られるが有害事象が少ない薬剤を長期的に投与すると、QOLを良好に維持しつつ、徐々にCR例が増加するという状況がみられる。CML治療におけるイマチニブやダサチニブ、ニロチニブに相当する薬剤が、CLLやリンパ腫、マントル細胞リンパ腫の治療においても確立されつつあるという印象である。ただし、単剤で十分か、他剤との併用が必要となるかは、今後の検討課題である。

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脊椎変性疾患の慢性腰痛にパミドロン酸は有効か

 ビスホスホネート静脈内投与は、骨パジェット病、転移性骨疾患、多発性骨髄腫などの疼痛緩和に用いられるが、慢性腰痛に対する症例報告も散見される。米国・Grunenthal社のMarco Pappagallo氏らは、慢性腰痛を伴う脊椎変性疾患患者を対象に、パミドロネート(パミドロン酸二ナトリウム、商品名:アレディアほか)静脈内投与の有効性を検討するパイロット試験を行った。結果、パミドロネート180mg投与において、プラセボと比較して有意な改善効果がみられることが示されたという。PAIN誌2014年1月号(オンライン版2013年9月23日号)の掲載報告。 本研究は、無作為化プラセボ対照比較試験として実施された。対象は慢性腰痛を伴う脊椎の変性疾患患者で、11例ずつ(パミドロネート投与7例、プラセボ投与4例)の4グループが登録され、それぞれパミドロネート30mg、60mg、90mgおよび180mg(90mgを2回)を静脈内投与した。 電子日記を用いて疼痛スコアを毎日記録してもらい、投与1ヵ月後、2ヵ月後、3ヵ月後および6ヵ月後に評価した。主要評価項目は、安全性および試験開始時からの平均疼痛スコアの変化量であった。 主な結果は以下のとおり。・パミドロネートの投与に関連する、重篤な有害事象などは認められなかった。・6ヵ月後の平均疼痛スコアの変化量(最小二乗平均±標準誤差)は、プラセボ群-1.39±0.43、パミドロネート30mg群-1.53±0.71、60mg群-1.26±0.81 、90mg群-1.42±0.65、180mg群-4.13±0.65であった(p=0.012、パミドロネート180mg vs プラセボ)。・パミドロネート180mg群ではプラセボ群と比較して、副次的評価項目(有効率、最悪な疼痛の変化、疼痛による日常生活機能の阻害度)の有意な改善がみられた。

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造血器腫瘍領域で待望の『造血器腫瘍診療ガイドライン2013年版』が発売

 『造血器腫瘍診療ガイドライン 2013年版(第1版)』(編集:日本血液学会)が、10月11日より発売された。 白血病、リンパ腫、骨髄腫などの造血器腫瘍では、従来の化学療法に加え、分子標的療法、造血幹細胞移植など治療選択肢が広がってきている。このことに伴い、現時点でのエビデンスの整理と適切な診療を行うためのガイドラインの必要性が増してきたことから、今回初めて作成された。 本書は、全体を白血病、リンパ腫、骨髄腫の大きく3つに分けたうえで、それぞれの疾患の各病型について、総論、アルゴリズム、CQという構成で解説している。巻末には、効果判定規準一覧、薬剤名一覧、治療一覧なども付録。 ガイドラインは、全国の書店、アマゾンなどで発売。定価は5,250円(本体5,000円+税5%)。詳しくは、金原出版まで

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高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫、早期介入が有用/NEJM

 くすぶり型多発性骨髄腫の高リスク例については、レナリドミド(商品名:レブラミド)、デキサメタゾン(同:レナデックス)を用いた治療を早期に開始したほうがベネフィットを得られることが、スペイン・サラマンカ大学病院のMaria-Victoria Mateos氏らによる検討の結果、明らかにされた。くすぶり型多発性骨髄腫に対する治療は、有効な治療薬がほとんどなく、利用可能な治療薬は長期毒性への懸念があり、症状が発現するまでは経過観察が標準とされている。背景には、同疾患の活動性疾患への進行リスクが低い(年率10%)ことがあるが、研究グループは、これまで研究ターゲット集団として検討されていなかった、同患者の40%を占める高リスク例(進行する確率が2年で50%)について、早期介入の有用性を検討する第3相無作為化オープンラベル試験を行った。NEJM誌2013年8月1日号の掲載報告。高リスクの119例を治療群と観察群に無作為化 試験は、高リスクのくすぶり型多発性骨髄腫患者119例を、治療群と観察群に無作為に割り付けて行われた。治療群の患者は、1サイクル4週間の導入療法[レナリドミド25mg/日(1~21日目)+デキサメタゾン20mg/日(1~4日目、12~15日目)投与]を9サイクル受け、その後に1サイクル28日間の維持療法(1~21日目にレナリドミド10mg/日投与)を2年間受けた。 主要エンドポイントは、症候性疾患に進行するまでの期間とした。副次的エンドポイントは奏効率、全生存率、安全性とした。治療群の進行ハザード比0.18、死亡ハザード比0.31 119例のうち、57例が治療群に、62例が観察群に割り付けられた。ベースラインの両群の特性は均等であった。 追跡期間中央値40ヵ月後、進行までの期間中央値は、治療群(未到達)が観察群(21ヵ月)よりも有意に延長した(治療群の進行のハザード比[HR]:0.18、95%信頼区間[CI]:009~0.32、p<0.001)。 また、3年生存率も治療群のほうが高率であった(94%vs. 80%、治療群の死亡のHR:0.31、95%CI:0.10~0.91、p=0.03)。 治療群では部分奏効以上の達成が、導入療法後に79%、維持療法中では90%で認められた。 毒性は主にグレード2以下であった。

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