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多発性骨髄腫に新たな治療の選択肢

 11月8日、ヤンセンファーマ株式会社は、多発性骨髄腫治療薬のヒト抗CD38モノクロナール抗体ダラツムマブ(商品名:ダラザレックス点滴静注)が9月27日に製造販売の承認を取得したことを期し、多発性骨髄腫に関するメディアセミナーを都内で開催した。 ダラザレックスは、再発または難治性の多発性骨髄腫(以下「MM」と略す)の治療薬で、現在の適応条件では併用療法で使用される予定である。※本剤は11月22日に薬価収載(100mg5mL1瓶 5万1,312円、400mg20mL1瓶 18万4,552円)され、発売された。寛解と再発を繰り返す多発性骨髄腫 はじめに伊藤 博夫氏(同社オンコロジー事業本部 事業本部長)が、「ダラツムマブは、米国食品医薬品局(FDA)から画期的治療薬指定をもらった治療薬で、早いスピードで承認・発売された。日本でも使用できるようになったことで、今後も、迅速に患者さんに治療薬を届け、安全に使用できるよう副作用情報なども提供していきたい」と挨拶した。 続いて鈴木 憲史氏(日本赤十字社医療センター 血液内科・骨髄腫アミロイドーシスセンター長)を講師に迎え「多発性骨髄腫」をテーマに疾患の概要とダラツムマブの効果について説明が行われた。 MMは、骨髄の形質細胞ががん化し、正常な免疫グロブリンを作らず、異常な免疫グロブリンを過剰産生するために、貧血、腎障害、骨病変、高カルシウム血症などのさまざまな症状を引き起こす。2012年の推定罹患患者数は人口10万人あたり男性5.7人、女性5.1人(男女計5.4人)で、現在も年間7千人前後の患者が推定され、年々増加傾向にあるという。 主な症状としては、造血抑制を原因とする貧血、白血球・血小板減少、骨破壊を原因とする高カルシウム血症、病的・圧迫骨折、脊髄圧迫症状、M蛋白を原因とする免疫グロブリンの低下、腎障害などがみられる。外来診療の場で、「腰痛を訴え、こうした症状も同時に訴える患者がいたら本症を疑うべき」と同氏は言う。 MMの治療では、自家造血幹細胞移植のほか、初期治療として、ボルテゾミブ、レナリドミド、デキサメタゾンの3剤併用、レナリドミド、デキサメタゾンの2剤併用療法が行われている。治療薬もプロテアソーム阻害薬、免疫調整薬と増え、治療薬の増加に比例して患者の生存期間も延長している。しかし、MMでは、いったん寛解するものの、腫瘍細胞を完全になくすことは困難であり、再発することも多く、予後もよいとは言えないのが現在の状況であるという。多発性骨髄腫の治療に新戦力 MMの治療戦略として、いかに微小残存病変(MRD)を陰性にさせ、“Therapy off”にするかがポイントとなる。そのため、体内で多発する遺伝子転座の発生をいかに抑制するかが治療のカギとなる。 MMでは、CD38が免疫細胞の形質細胞に高発現し、有用な治療標的とされている。開発されたダラツムマブは、ヒトCD38に結合し、補体依存性細胞傷害活性、抗体依存性細胞傷害活性などの作用で腫瘍の増殖を抑制すると考えられ、CD8陽性細胞傷害性T細胞・CD4陽性ヘルパーT細胞、免疫抑制細胞に影響を及ぼすとされている。 「腫瘍をしっかりと減らし、免疫をつけることができるのがダラツムマブの特徴」と同氏は言う。また、免疫機構が働くことで、「予後の改善にも期待が持てる」と語る。 ダラツムマブでは、2つの臨床試験が行われ、POLLUX試験では、再発または難治性のMM患者(n=569)をDRd(ダラツムマブ、レナリドミド、デキサメタゾン)群とRd(レナリドミド、デキサメタゾン)に分け、無増悪生存期間を評価した。その結果、DRd群はRd群に比べ細胞増殖および死亡のリスクを59%低下させたほか、24ヵ月時点でMRD陰性もDRd群はRd群に比べ大幅に高かったことが示された。また、CASTOR試験では、再発または難治性のMM患者(n=498)をDVd(ダラツムマブ、ボルテゾミブ、デキサメタゾン)群とVd(ボルテゾミブ、デキサメタゾン)に分け、無増悪生存期間を評価した。その結果、DVd群はVd群に比べ細胞増殖リスクを69%低下させたほか、約19ヵ月時点でMRD陰性も先の試験同様にDVd群はVd群に比べ大幅に高かったことが示された。 副作用については、好中球減少症、貧血、血小板減少症、下痢、上気道感染症などが報告されたが重篤なものはなかったという。ただ、ダラツムマブ(ダラザレックス)が点滴薬のために「鼻水、せき、寒気などのアレルギー様の症状が現れる“インフュージョン・リアクション”と呼ばれる症状が現れることもあり、症状によっては注意が必要」と同氏は指摘する。 今後の治療の展望では、ダラツムマブの出現で臨床症状の改善、通院の利便性、服薬への安全性が改善され、患者ニーズをさらに満たしていくと説明するとともに同氏は、「生存期間の延長を現在の段階とすれば、次の段階では早期の新薬適応で治療を、次の段階でMMの寛解を、そして予防まで進めることを期待したい」と抱負を語り、セミナーを終えた。

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ペムブロリズマブの多発性骨髄腫、臨床試験の一部にFDAが実施保留命令

 Merck & Co., Inc.,は2017年7月5日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ)の多発性骨髄腫に対する3件の臨床試験(KEYNOTE-183試験、KEYNOTE-185試験、KEYNOTE-023試験)において、米国食品医薬品局(FDA)がクリニカル・ホールド(実施保留命令)とした旨を発表した。 この決定は、データ監視委員会によるデータの検討において、KEYNOTE-183試験およびKEYNOTE-185試験で、ペムブロリズマブ群により多くの死亡が認められ、新規患者の登録を保留したことを基に行われている。FDAは現段階のデータで、多発性骨髄腫患者に対するペムブロリズマブとポマリドミドまたはレナリドミドの併用のリスクが潜在的なベネフィットを上回ることが示されていると判断した。KEYNOTE-183試験およびKEYNOTE-185試験の全登録患者、並びにKEYNOTE-023試験におけるペムブロリズマブ・レナリドミド・デキサメタゾン併用コホートの患者は、ペムブロリズマブの治療を中止する。このクリニカル・ホールドはペムブロリズマブの他の臨床試験への影響はない。以下の臨床試験はクリニカル・ホールド •KEYNOTE-183試験:難治性または再発難治性多発性骨髄腫患者にペムブロリズマブ(MK-3475)とポマリドミド+低用量デキサメタゾンの3剤併用またはポマリドミド+低用量デキサメタゾンの2 剤併用で比較した第3相臨床試験(KEYNOTE-183 試験) • KEYNOTE-185試験:未治療の初発多発性骨髄腫患者にペムブロリズマブ(MK-3475)とレナリドミド+低用量のデキサメタゾンの3剤併用またはレナリドミド+低用量のデキサメタゾンの2剤併用で比較した第3相臨床試験(KEYNOTE -185試験)以下の臨床試験は部分的にクリニカル・ホールド •KEYNOTE-023試験コホート1:多発性骨髄腫患者に対するペムブロリズマブ(MK-3475)のバックボーン治療との併用マルチコホート第I相臨床試験(KEYNOTE-023試験)。KEYNOTE-023試験のコホート1では、多発性骨髄腫に対して免疫調節薬(IMiD)(レナリドミド、ポマリドミド、サリドマイド)の治療を受けたことのある患者に対するペムブロリズマブとレナリドミド+デキサメタゾンの併用を評価している。■参考MERCK(米国本社)プレスリリース

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肥満と関連の強い11のがん種/BMJ

 肥満は、消化器系や女性のホルモン関連悪性腫瘍など11のがん種の発生およびがん死と強い関連があることが、英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのMaria Kyrgiou氏らの包括的な検討で明らかとなった。研究の成果は、BMJ誌2017年2月28日号に掲載された。肥満といくつかのがん種の因果関係が、多くのメタ解析で示されているが、これらの関連を過大に評価する固有バイアスの影響が懸念されるという。このバイアスを回避するアプローチとして、近年、多くのメタ解析の全体に共通する主題のエビデンスを系統的に評価する包括的レビュー(umbrella review)が行われている。204件のメタ解析を包括的にレビュー 研究グループは、肥満と発がん・がん死リスクの関連のエビデンスの強度と妥当性を検証するために、系統的レビューとメタ解析の包括的レビューを行った(Genesis Research Trustなどの助成による)。 主解析は、肥満の連続測定値を用いたコホート研究を対象とした。これは、カテゴリカル測定値よりも、連続測定値を用いた研究のほうが、個々の試験の推定値の統合法の妥当性や標準化が優れると考えられるからである。 エビデンスは、ランダム効果を用いた要約推定量や、メタ解析の対象となった最大規模の研究などの統計的有意性から成る判定基準を適用し、4つのGrade(strong、highly suggestive、suggestive、weak)に分けた。エビデンスのGradeがstrongの場合に関連ありとした。 49編の論文に含まれた204件のメタ解析が解析の対象となった。これらのメタ解析は、507件の研究(コホート研究:371件[73.2%]、症例対照研究:134件[26.4%]、横断研究:2件[0.4%])を対象としていた。肥満の7つの指標(BMI、ウエスト周囲長、ヒップ周囲長、ウエスト-ヒップ比、体重、体重増加、肥満手術による体重減少)と、36の原発がんとそのサブタイプの発生、およびがん死との関連を解析した。リスク強度のエビデンスにより、個別化予防戦略の可能性 コホート研究を含み、肥満の測定に連続尺度を用いた95件のメタ解析のうち、がんとの関連のエビデンスがstrongと判定されたのは12件(13%)のみであった。10件がBMI、1件がウエスト-ヒップ比、1件が体重増加との関連を評価したものであった。 BMIの増加が、発症リスクの上昇と関連したがん種は、食道がん、男性の大腸がん(結腸、直腸)、胆道系および膵がん、閉経前女性の子宮内膜がん、腎がん、多発性骨髄腫の8種であった。また、体重増加およびウエスト-ヒップ比が発症リスクの上昇と関連したがん種は、ホルモン補充療法歴のない閉経後女性の乳がんおよび子宮内膜がんの2種であった。 BMIが5増加するごとの発がんリスクの上昇には、男性の大腸がんの9%(相対リスク[RR]:1.09、95%信頼区間[CI]:1.06~1.13)から胆道系がんの56%(1.56、1.34~1.81)までの幅がみられた。また、ホルモン補充療法歴のない閉経後女性の乳がんリスクは、体重増加5kgごとに11%上昇し(RR:1.11、95%CI:1.09~1.13)、子宮内膜がんのリスクは、ウエスト-ヒップ比が0.1増加するごとに21%上昇した(1.21、1.13~1.29)。 肥満の連続測定値に加え、カテゴリカル測定値を解析に含めると、体重増加と大腸がん、さらにBMIと胆嚢・胃噴門部・卵巣のがん、多発性骨髄腫による死亡との関連のエビデンスがstrongと判定された。したがって、全部で11のがん種が、肥満との関連のエビデンスがstrongであった。 一方、コホート研究だけでなく症例対照研究を含め、肥満の連続測定値とカテゴリカル測定値で評価すると、BMIは悪性黒色腫と髄膜腫との関連のエビデンスがstrongと判定されたが、コホート研究のみの評価によるエビデンスはweakであった。 著者は、「肥満は、世界的に公衆衛生の最も大きな問題の1つとされる。関連リスクの強度に関するエビデンスは、がんのリスクが高い集団を、高い精度で選択することを可能とし、これらの集団を対象とする個別化予防戦略の可能性も考えられる」と指摘している。

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抗PD-1抗体キイトルーダ発売:悪性黒色腫とNSCLCに

 根治切除不能な悪性黒色腫およびPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんの効能・効果で承認を取得している抗PD-1抗体ペムブロリズマブの発売が2017年2月15日、MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン)から発表された。商品名はキイトルーダ点滴静注20mgおよびキイトルーダ点滴静注100mg。 この販売開始に伴い、MSDが薬価基準収載までの期間に限り実施していたペムブロリズマブの無償提供は終了する。肺がんにおけるペムブロリズマブ PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の未治療非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第III相臨床試験(KEYNOTE-024試験)および既治療非小細胞肺がん患者を対象とした国際共同第II/III相臨床試験(KEYNOTE-010試験)において、有効性および安全性が示された。PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する初回治療(PD-L1高発現)患者および既治療(PD-L1発現)患者に使用可能な抗PD-1抗体となる。悪性黒色腫におけるペムブロリズマブ 根治切除不能な悪性黒色腫患者を対象とした海外第II相試験(KEYNOTE-002試験)、海外第III相試験(KEYNOTE-006試験)および国内第I相試験(KEYNOTE-041試験)において、有効性および安全性が示された。 また、ペムブロリズマブの治療対象となる非小細胞肺がんのPD-L1高発現(TPS※≧50%)の未治療患者、および治療歴のあるPD-L1発現(TPS≧1%)患者を特定するコンパニオン診断薬 PD-L1 IHC 22C3 pharmDx「ダコ」は、2016年11月25日に本邦での承認を取得している。※TPS:Tumor Proportion Score 腫瘍細胞のうちPD-L1発現陽性細胞の割合 ペムブロリズマブは、米国を含む50ヵ国以上で承認を取得しており、世界では30を超えるがん種に対し約400の臨床試験が進行中。本邦では、2015年10月27日に、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する効能・効果について、厚生労働省から先駆け審査指定制度の対象品目に指定されている。2016年12月22日には、再発または難治性の古典的ホジキンリンパ腫に対する効能・効果について製造販売承認事項一部変更承認申請を行っている。さらに、膀胱がん、乳がん、胃がん、頭頸部がん、肝がん、多発性骨髄腫、食道がん、腎細胞がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中である。MSD株式会社のニュースリリースはこちら

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骨転移へのゾレドロン酸の投与間隔、4週 vs.12週/JAMA

 乳がん、前立腺がんの骨転移および多発性骨髄腫の骨病変の治療において、ゾレドロン酸の12週ごとの投与は、従来の4週ごと投与に比べて骨格イベントの2年リスクを増大させないことが、米国・Helen F Grahamがんセンター・研究所のAndrew L Himelstein氏らが行ったCALGB 70604(Alliance)試験で示された。研究の成果は、JAMA誌2017年1月3日号に掲載された。第3世代ビスホスホネート製剤であるゾレドロン酸は、多発性骨髄腫や固形がん骨転移の疼痛や骨格関連事象を抑制し、忍容性も全般に良好であるが、顎骨壊死、腎毒性、低カルシウム血症などのリスク上昇が知られている。標準的な投与間隔は4週とされるが、これは経験的に定められたもので、さまざまな投与法の検討が進められているものの、至適な投与間隔は確立されていないという。間隔の長い投与法を非劣性試験で評価 CALGB 70604(Alliance)は、がん患者の骨転移の治療において、ゾレドロン酸の投与間隔を12週に延長した治療アプローチの、従来の4週間隔の投与法に対する非劣性を検証する非盲検無作為化第III相試験(米国国立がん研究所[NCI]などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、1つ以上の骨転移を有する転移性乳がん、転移性前立腺がん、多発性骨髄腫で、全身状態(ECOG PS)0~2の患者であった。被験者は、ゾレドロン酸を12週ごとまたは4週ごとに静脈内投与する群に無作為化に割り付けられ、2年間の治療が行われた。主要評価項目は、2年時までの1つ以上の骨格関連事象の発生とし、群間の絶対差7%を非劣性マージンとした。 骨格関連事象は、臨床的骨折(有症状患者の評価時に同定された骨折、偶発的に見つかった骨折は除外)、脊髄圧迫(画像評価を要する神経学的障害、背部痛、これら双方)、骨への放射線照射(疼痛を伴う骨病変への緩和的照射、骨折や脊髄圧迫の治療または予防のための照射など)、骨関連手術(差し迫った骨折の予防や、病的骨折および脊髄圧迫の治療を目的とする外科的手技)と定義した。 2009年5月~2012年4月に、米国の269施設に1,822例が登録され、12週投与群に911例、4週投与群にも911例が割り付けられた。骨格関連事象の2年発生率:28.6 vs.29.5% ベースラインの全体の年齢中央値は65歳、女性が53.8%(980例)を占めた。乳がんが855例、前立腺がんが689例、多発性骨髄腫は278例で、795例が試験を完遂した。 2年時までに1つ以上の骨格関連事象を経験した患者の割合は、12週投与群が28.6%(253例)、4週投与群は29.5%(260例)であった。リスク差は-0.3%(95%信頼区間[CI]:-4~∞)であり、12週投与群の4週投与群に対する非劣性が確認された(非劣性検定p<0.001)。 3つの癌腫とも、両群間に骨格関連事象の発生率の差はみられなかった(乳がん 群間差:-0.02、99.9%CI:-0.13~0.09、p=0.50、前立腺がん:0.02、-0.10~0.14、p=0.59、多発性骨髄腫:0.06、-0.12~0.24、p=0.14)。 疼痛スコア(簡易疼痛調査票)、PS(ECOG)、顎骨壊死の発生(12週投与群:9件[1.0%]、4週投与群:18件[2.0%]、p=0.08)、腎機能障害についても、両群間に差を認めなかった。また、骨格罹患率(骨格関連事象の年間平均発生数)は両群とも同じであった(0.4、中央値:0、IQR:0~0.5)。  骨代謝回転のマーカーであるC末端テロペプチド値(553例、2,530サンプル)は、試験期間を通じて12週投与群のほうが高かった。 著者は、「ゾレドロン酸の投与間隔を12週に延長した治療アプローチは、がん患者の骨転移の治療選択肢として許容される可能性がある」と指摘している。

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多発性骨髄腫の1次治療、ボルテゾミブ追加で予後改善/Lancet

 新規診断多発性骨髄腫患者の治療において、プロテアソーム阻害薬(PI)と免疫調節薬(IM)を含む3剤併用療法は、従来の標準治療に比べ予後を改善し、リスクベネフィット・プロファイルも許容範囲内であることが、米国・Cedars-Sinai Samuel OschinがんセンターのBrian G M Durie氏らが実施したSWOG S0777試験で示された。研究の成果は、Lancet誌オンライン版2016年12月22日号に掲載された。米国の新規診断多発性骨髄腫の標準治療は、レナリドミド+デキサメタゾンである。PIであるボルテゾミブとIMであるレナリドミドは、異なる作用機序による相乗効果が確認され、デキサメタゾンとの3剤併用療法の第I/II相試験では、未治療の多発性骨髄腫患者において高い有効性と良好な耐用性が報告されている。ボルテゾミブの上乗せ効果を無作為化試験で評価 SWOG S0777は、自家造血幹細胞移植に同意していない未治療の多発性骨髄腫患者の治療において、標準治療へのボルテゾミブの上乗せ効果を評価する非盲検無作為化第III相試験(米国国立衛生研究所[NIH]などの助成による)。 対象は、年齢18歳以上、測定可能病変(血清遊離軽鎖の評価で測定)を有し、臓器障害(CRAB基準:高カルシウム血症、腎機能障害、貧血、骨病変)がみられ、全身状態(ECOG PS)が0~3、ヘモグロビン濃度≧9g/dL、好中球絶対数(ANC)≧1×103/mm3、血小板数≧8万/mm3の患者であった。 被験者は、初回治療としてボルテゾミブ+レナリドミド+デキサメタゾン(VRd)を投与する群またはレナリドミド+デキサメタゾン(Rd)を投与する群に無作為に割り付けられた。VRd群は8サイクル(1サイクル21日)、Rd群は6サイクル(1サイクル28日)の治療が行われた。 2008年4月~2012年2月に、139施設に525例が登録され、VRd群に264例、Rd群には261例が割り付けられた。VRd群では有効性は242例、毒性は241例、奏効は216例で、Rd群ではそれぞれ229例、226例、214例で解析が可能であった。PFS、OSが有意に改善 ベースラインの背景因子は、Rd群で女性が多く(37 vs.47%)、年齢が高かった(65歳以上の割合:38 vs.48%)が、これら以外は両群でバランスがとれていた。 主要評価項目である無増悪生存(PFS)期間中央値は、VRd群が43ヵ月であり、Rd群の30ヵ月に比べ有意に優れた(層別化ハザード比[HR]:0.712、96%信頼区間[CI]:0.56~0.906、片側検定p=0.0018)。 副次評価項目である全生存(OS)期間中央値も、VRd群が75ヵ月と、Rd群の64ヵ月に比し有意に良好であった(HR:0.709、95%CI:0.524~0.959、両側検定p=0.025)。 全奏効率(部分奏効[PR]以上)は、VRd群が81.5%(176/216例)、Rd群は71.5%(153/214例)であった(p=0.02)。このうち完全奏効(CR)以上は、それぞれ15.7%(34/216例)、8.4%(18/214例)であった。奏効期間中央値は、VRd群が52ヵ月、Rd群は38ヵ月であった(HR:0.695、両側検定p=0.0133)。 Grade 3以上の有害事象の発現率は、VRd群が82%(198/241例)、Rd群は75%(169/226例)であった。予想されたとおり、Grade 3以上の神経毒性はVRd群のほうが高頻度であった(33 vs.11%、p<0.0001)。有害事象による治療中止の割合は、VRd群が23%(55例)、Rd群は10%(22例)であった。2次原発がんは、20例に認められた(両群10例ずつ)。治療関連死は両群ともみられなかった。 著者は、「これらの知見は、3剤併用療法による1次治療の意思決定に、重要な情報をもたらす可能性がある」としている。

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新たな時代を迎えた「がん免疫療法」

 「免疫チェックポイント阻害薬」の登場以降、がん治療における免疫療法には大きな関心が集まっている。 長年、がん免疫療法分野の研究に携わってきた慶應義塾大学医学部 先端医療科学研究所 教授の河上 裕氏は、医療課題から複合免疫療法まで免疫療法を取り巻く概況について講演した。 当月開催のプレスセミナー「免疫チェックポイント阻害薬の基礎と今後の展望」(主催:アストラゼネカ株式会社 2016年12月13日都内開催)より内容を抜粋して紹介する。求められる、使い方の工夫 免疫チェックポイント阻害薬(以下、免疫CP阻害薬)の登場以降、「がん免疫療法」には注目が集まっている。 ヒトの体には免疫機構が備わっているが、遺伝子異常を持つがん細胞には免疫防御をくぐり抜ける「がん免疫逃避機構」がある。この抗腫瘍免疫にブレーキをかける経路が、免疫チェックポイントと呼ばれるCTLA4経路や PD-1/PD-L1経路である。そして、このブレーキを解除するのが、免疫CP阻害薬である。 治療奏効率の高さで注目を集める免疫CP阻害薬だが、医療経済的課題から議論は続いている。河上氏は「使い方の工夫が必要」と述べる。使用時期、使用症例の選択は? 使い方で問題となるのが「使用時期」だ。河上氏は、「悪性黒色腫や肺がんは未治療例への奏効率が高く、最初に使うことで治療成績が上がる可能性がある」という。しかし、無駄な治療は前述の医療経済的課題につながる。 そこで「使用症例」の選択が重要となる。臨床で唯一使用されているバイオマーカーは「PD-L1」のみだが、今後臨床応用が期待されているバイオマーカーには以下がある。・CD8+T細胞の腫瘍湿潤度・DNA突然変異数、DNA修復関連遺伝子の不良(MMR、POLE、BRCA1/2など)・腫瘍組織の遺伝子発現解析(IFN signature,CTL signature)・治療後のTCRレパートリー解析 これらマーカーのさらなる開発、精度向上が期待されている。 このほか、効きが悪いがん種も明らかになりつつある。「膵がん」「大腸がん」「多発性骨髄腫」「前立腺がん」などは効きが悪い可能性が高い。そこで「効きが悪い症例をどこまで効く状態に変えられるか?」というアプローチにも注目が集まっている。それが「複合免疫療法」である。複合免疫療法で、効きが悪い症例を効く状態に 現在、「複合免疫療法」を検討した臨床試験は複数進行中だ。同じ免疫制御系の組み合わせとして注目されるのが、「抗PD-1 抗体+抗CTLA4抗体」の併用。2剤の併用は単剤治療に比べ奏効率を増加させたと報告されており、補完的作用が期待される。 そのほか、化学療法剤や分子標的治療薬と免疫CP阻害薬とを組み合わせた複合免疫療法の検討も進行中だ。抗腫瘍免疫ネットワークを総合的に制御する「複合免疫療法」の開発に期待がかかる。新しい時代を迎えたがん免疫療法 がん免疫療法はすでに標準がん治療の仲間入りをした。今後、新技術の開発によりがん免疫病態の解明も進むだろう。しかし、米国で1,000以上の臨床試験が進行している一方、日本での臨床試験実施数はまだまだ不足している。 河上氏は「今後は日本でも産学官連携がいっそう重要となる。日本で実施する臨床試験により、免疫病態の解析が進むことを期待したい。」と述べ、講演を締めくくった。

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ペムブロリズマブ、非小細胞肺がんの効能・効果を取得

 MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン、以下MSD)は2016年12月19日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(商品名:キイトルーダ点滴静注20mgおよび100mg[遺伝子組換え])について、PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんに対する効能・効果を追加する一部変更承認を取得したことを発表。ペムブロリズマブは、PD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん患者に対する1次および2次の両治療に使用できる抗PD-1抗体となる。 PD-L1の発現状況を検査するため、ペムブロリズマブのコンパニオン診断薬としてアジレント・テクノロジー株式会社のPD-L1 IHC 22C3 pharmDxTM「ダコ」が2016年11月25日に日本で承認を取得している。 ペムブロリズマブは、国内において、2016年9月28日に根治切除不能な悪性黒色腫に対する効能・効果について承認を取得。これに先立ち、2015年10月27日には、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する効能・効果について、厚生労働省から『先駆け審査指定制度』施行後初めての対象品目の1つに指定されている。また、膀胱がん、乳がん、胃がん、頭頸部がん、肝がん、ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、食道がん、腎細胞がん、大腸がん、卵巣がん、前立腺がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中である。キイトルーダ薬価収載前の薬剤提供 MSDは、治療選択肢が限られているPD-L1陽性の切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんのうち、1次治療におけるPD-L1高発現の患者の緊急の要望にできるだけ早く応えるため、薬価基準収載までの期間に限りキイトルーダを無償で提供する。薬剤提供は、非小細胞肺がんに対する本剤開発治験実施施設のうち、同剤の実薬投与経験があり、かつ薬剤提供を希望し、MSD社が実施する市販直後調査・全例調査や適正使用推進など各種安全対策に協力することに合意した施設に限定して実施される。なお、本剤提供は承認取得日以降、準備が整った時点で開始し薬価収載日に終了となる。薬価収載前の薬剤提供に関する問い合わせ先・医療従事者 MSDカスタマーサポートセンター(抗がん剤専用) 0120-024-905 受付時間:9:00~17:30(土日祝日・MSD社休日を除く)・患者とその家族  MSDカスタマーサポートセンター 0120-024-964 受付時間:9:00~17:30(土日祝日・MSD社休日を除く)

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抗PD-1抗体キイトルーダ、11月の薬価収載見送り

 MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン、以下MSD)は2016年11月9日、抗PD-1抗体ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:キイトルーダ点滴静注20mgおよび100mg、以下キイトルーダ)の11月の薬価収載を見送ると発表した。2016年9月28日に、根治切除不能な悪性黒色腫に対する効能・効果について製造販売承認を取得後、薬価収載に向けて準備を進めていた。 キイトルーダは、米国を含む50ヵ国以上で悪性黒色腫における承認を取得しており、米国では非小細胞肺がん、頭頸部がんの適応においても承認されている。また、世界では30を超えるがん種に対し350以上の臨床試験が進行中である。 国内においては、膀胱がん、肺がん、乳がん、大腸がん、食道がん、胃がん、頭頸部がん、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、肝がん、卵巣がん、前立腺がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中で、2016年2月29日には、切除不能な進行または再発の非小細胞肺がんを効能・効果として承認申請を行った。また、2015年10月27日には、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する効能・効果について、厚生労働省から先駆け審査指定制度施行後初めての対象品目の1つに指定されている。

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多発性骨髄腫〔MM : multiple myeloma〕

1 疾患概要■ 概念・定義多発性骨髄腫(MM)は、Bリンパ球系列の最終分化段階にある形質細胞が、腫瘍性、単クローン性に増殖する疾患である。骨髄腫細胞から産生される単クローン性免疫グロブリン(M蛋白)を特徴とし、貧血を主とする造血障害、易感染性、腎障害、溶骨性変化など多彩な臨床症状を呈する疾患である。■ 疫学わが国では人口10万人あたり男性5.5人、女性5.2人の推定罹患率であり、全悪性腫瘍の約1%、全造血器腫瘍の約10%を占める。発症年齢のピークは60代であり、年々増加傾向にある。40歳未満の発症はきわめてまれである。■ 病因慢性炎症や自己免疫疾患の存在、放射線被曝やベンゼン、ダイオキシンへの曝露により発症頻度が増加するが成因は明らかではない。MMに先行するMGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)や無症候性(くすぶり型)骨髄腫においても免疫グロブリン重鎖(IgH)遺伝子や13染色体の異常が認められることから、多くの遺伝子異常が関与し、多段階発がん過程を経て発症すると考えられる。■ 症状症候性骨髄腫ではCRABと呼ばれる臓器病変、すなわち高カルシウム血症(Ca level increased)、腎障害(Renal insufficiency)、貧血(Anemia)、骨病変(Bone lesion)がみられる(図1)。骨病変では溶骨性変化による腰痛、背部痛、脊椎圧迫骨折などを認める。貧血の症状として全身倦怠感・労作時動悸・息切れなどがみられる。腎障害はBence Jones蛋白(BJP)型に多く、腎不全やネフローゼ症候群を呈する(骨髄腫腎)。骨吸収の亢進による高カルシウム血症では、多飲、多尿、口渇、便秘、嘔吐、意識障害を認める。正常免疫グロブリンの低下や好中球減少により易感染性となり、肺炎などの感染症を起こしやすい。また、脊椎圧迫骨折や髄外腫瘤による脊髄圧迫症状、アミロイドーシス、過粘稠度症候群による出血や神経症状(頭痛、めまい、意識障害)、眼症状(視力障害、眼底出血)がみられる。画像を拡大する■ 分類骨髄にクローナルな形質細胞が10%以上、または生検で骨もしくは髄外の形質細胞腫が確認され、かつ骨髄腫診断事象(Myeloma defining events)を1つ以上認めるものを多発性骨髄腫と診断する。骨髄腫診断事象には従来のCRAB症状に加え、3つの進行するリスクの高いバイオマーカーが加わった。これらはSLiM基準と呼ばれ、骨髄のクローナルな形質細胞60%以上、血清遊離軽鎖(Free light chain: FLC)比(M蛋白成分FLCとM蛋白成分以外のFLCの比)100以上、MRIで局所性の骨病変(径5mm以上)2個以上というのがある。したがって、CRAB症状がなくてもSLiM基準の1つを満たしていれば多発性骨髄腫と診断されるため、症候性骨髄腫という呼称は削除された1)。くすぶり型骨髄腫は、骨髄診断事象およびアミロイドーシスを認めず、血清M蛋白量3g/dL以上もしくは尿中M蛋白500mg/24時間以上、または骨髄のクローナルな形質細胞10~60%と定義された。MGUSは3つの病型に区別され、その他、孤立性形質細胞腫の定義が改訂された1)(表1)。表1 多発性骨髄腫の改訂診断基準(国際骨髄腫ワーキンググループ: IMWG)■多発性骨髄腫の定義以下の2項目を満たす(1)骨髄のクローナルな形質細胞割合≧10%、または生検で確認された骨もしくは髄外形質細胞腫を認める。(2)以下に示す骨髄腫診断事象(Myeloma defining events)の1項目以上を満たす。骨髄腫診断事象●形質細胞腫瘍に関連した臓器障害高カルシウム血症: 血清カルシウム>11mg/dLもしくは基準値より>1mg/dL高い腎障害: クレアチニンクリアランス<40mL/分もしくは血清クレアチニン>2mg/dL貧血: ヘモグロビン<10g/dLもしくは正常下限より>2g/dL低い骨病変: 全身骨単純X線写真、CTもしくはPET-CTで溶骨性骨病変を1ヵ所以上認める●進行するリスクが高いバイオマーカー骨髄のクローナルな形質細胞割合≧60%血清遊離軽鎖(FLC)比(M蛋白成分のFLCとM蛋白成分以外のFLCの比)≧100MRIで局所性の骨病変(径5mm以上)>1個■くすぶり型骨髄腫の定義以下の2項目を満たす(1)血清M蛋白(IgGもしくはIgA)量≧3g/dLもしくは尿中M蛋白量≧500mg/24時間、または骨髄のクローナルな形質細胞割合が10~60%(2)骨髄診断事象およびアミロイドーシスの合併がない(Rajkumar SV, et al. Lancet Oncol.2014;15:e538-548.)■ 予後治癒困難な疾患であるが、近年、新規薬剤の導入により予後の改善がみられる。生存期間は移植適応例では6~7年、移植非適応例では4~5年である。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)■ 検査血清および尿の蛋白電気泳動でβ-γ域にM蛋白を認める場合は、免疫電気泳動あるいは免疫固定法でクラス(IgG、IgA、IgM、IgD、IgE)とタイプ(κ、λ)を決定する。BJP型では血清蛋白電気泳動でMピークを認めないので注意する。血清FLCはBJP型骨髄腫や非分泌型骨髄腫の診断に有用である。血液検査では、正球性貧血、白血球・血小板減少と塗抹標本で赤血球連銭形成がみられる。骨髄ではクローナルな形質細胞が増加する。生化学検査では、血清総蛋白増加、アルブミン(Alb)低下、CRP上昇、ZTT高値、クレアチニン、β2-ミクログロブリン(β2-MG)の上昇、赤沈の亢進がみられる。染色体異常としてt(4;14)、t(14;16)、t(11;14)や13染色体欠失などがみられる。全身骨X線所見では、打ち抜き像(punched out lesion)や骨粗鬆症、椎体圧迫骨折を認める。CTは骨病変の検出に、全脊椎MRIは骨髄病変の検出に有用である。PET-CTは骨病変や形質細胞腫の検出に有用である。■ 診断診断には、前述の国際骨髄腫ワーキンググループ(IMWG)による基準が用いられる1)(表1、2)。また、血清Alb値とβ2-MG値の2つの予後因子に基づく国際病期分類(International Staging System:ISS)は予後の推定に有用である。最近、ISSに遺伝子異常とLDHを加味した改訂国際病期分類(R-ISS)が提唱されている2)(表3)。ISS病期1、2、3の生存期間はそれぞれ62ヵ月、44ヵ月、29ヵ月である。ただし、これは新規薬剤の登場以前のデータに基づいている。表2 意義不明の単クローン性γグロブリン血症(MGUS)と類縁疾患の改訂診断基準■非IgG型MGUSの定義血清M蛋白量<3g/dL骨髄のクローナルな形質細胞割合<10%形質細胞腫瘍に関連する臓器障害(CRAB)およびアミロイドーシスがない■IgM型MGUSの定義血清M蛋白量<3g/dL骨髄のクローナルな形質細胞割合<10%リンパ増殖性疾患に伴う貧血、全身症状、過粘稠症状、リンパ節腫脹、肝脾腫や臓器障害がない■軽鎖型MGUSの定義血清遊離軽鎖(FLC)比<0.26(λ型の場合)もしくは>1.65(κ型の場合)免疫固定法でモノクローナルな重鎖を認めない形質細胞腫瘍に関連する臓器障害(CRAB)およびアミロイドーシスがない骨髄のクローナルな形質細胞割合<10%尿中のM蛋白量<500mg/24時間■孤立性形質細胞腫の定義骨もしくは軟部組織に生検で確認されたクローナルな形質細胞からなる孤立性病変を認める骨髄にクローナルな形質細胞を認めない孤立性形質細胞腫以外に全身骨単純X線写真やMRI、CTで骨病変を認めないリンパ形質細胞性腫瘍に関連する臓器障害(CRAB)がない■微小な骨髄浸潤を伴う孤立性形質細胞腫の定義骨もしくは軟部組織に生検で確認されたクローナルな形質細胞からなる孤立性病変を認める骨髄のクローナルな形質細胞割合<10%孤立性形質細胞腫以外に全身骨単純X線写真やMRI、CTで骨病変を認めないリンパ形質細胞性腫瘍に関連する臓器障害(CRAB)がない(Rajkumar SV, et al. Lancet Oncol.2014;15:e538-548.)画像を拡大する3 治療 (治験中・研究中のものも含む)■ 治療方針IMWGではCRAB症状を有するMMのほか、CRAB症状がなくてもSLiM基準を1つでも有する症例も治療の対象としている。この点について、わが国の診療指針では慎重に経過観察を行い、進行が認められる場合に治療を開始することでもよいとしている3)。MGUSやくすぶり型MMは治療対象としない。初期治療は、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法(HDT/AHSCT)が実施可能かどうかで異なる治療が行われる3、4)。効果判定はIMWGの診断基準が用いられ、CR(完全奏効:免疫固定法でM蛋白陰性)達成例は予後良好であることから、深い奏効を得ることが、長期生存のサロゲートマーカーとなる5)。■ 大量化学療法併用移植適応患者年齢65歳以下で、重篤な感染症や肝・腎障害がなく、心肺機能に問題がなければHDT/AHSCTが行われる。初期治療としてボルテゾミブ(BOR、商品名:ベルケイド)やレナリドミド(LEN、同: レブラミド)などの新規薬剤を含む2剤あるいは3剤併用が推奨される3、4)(図2)。わが国では初期治療に保険適用を有する新規薬剤は現在BORとLENであり、BD(BOR、デキサメタゾン[DEX])、BCD(BOR、シクロホスファミド[CPA]、DEX)、BAD(BOR、ドキソルビシン[DXR]、DEX)、BLd(BOR、LEN、 DEX)、Ld(LEN、DEX)が行われる。画像を拡大する寛解導入後はCPA大量にG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)を併用して末梢血幹細胞が採取され、メルファラン(MEL)大量(200mg/m2)後にAHSCTが行われる。BORを含む3剤併用による寛解導入後にAHSCTを行うことにより、60%以上の症例でVGPR(very good partial response)が得られる。自家移植後にも残存する腫瘍細胞を減少させる目的で、地固め・維持療法が検討されている。新規薬剤による維持療法は無増悪生存を延長させるが、サリドマイド(THAL)による末梢神経障害や薬剤耐性、レナリドミドによる二次発がんの問題が指摘されており、リスクとベネフィットを考慮して判断することが求められる3、4)。■ 大量化学療法併用移植非適応患者65歳以上の患者や65歳以下でもHDT/AHSCTの適応条件を満たさない患者が対象となる。これまでMELとプレドニゾロン(PSL)の併用(MP)が標準治療であったが、現在は新規薬剤を加えたMPT(MP、THAL)、MPB(MP、BOR)、LDが推奨されている3、4)(図3)。わが国でもLd、MPBが実施可能であり、BORの皮下投与は静脈投与と比較し、神経障害が減少するので推奨されている。画像を拡大する■ サルベージ療法初回治療終了6ヵ月以後の再発では、初回導入療法を再度試みてもよい。移植後2年以上の再発では、AHSCTも治療選択肢に上がる。6ヵ月以内の早期再発や治療中の進行や増悪、高リスク染色体異常を有する症例では、新規薬剤を含む2剤、3剤併用が推奨される3、4)。新規薬剤として、2015年にポマリドミド(同: ポマリスト)、パノビノスタット(同: ファリーダック)、2016年にカルフィルゾミブ(同: カイプロリス)が導入され、再発・難治性骨髄腫の治療戦略の幅が広まった。■ 放射線治療孤立性形質細胞腫や、溶骨性病変による骨痛に対しては、放射線照射が有効である。■ 支持療法骨痛の強い症例や骨病変の抑制にゾレドロン酸(同: ゾメタ)やデノスマブ(同: ランマーク)が推奨される。長期の使用にあたっては、顎骨壊死の発症に注意する。腎機能障害の予防には、十分量の水分を摂取させる。高カルシウム血症には生理食塩水とステロイドに加え、カルシトニン、ビスホスホネートを使用する。過粘稠度症候群に対しては、速やかに血漿交換を行う。4 今後の展望有望な新規薬剤として、第2世代のプロテアソーム阻害剤(イキサゾミブなど)のほか、抗体薬(elotuzumab、daratumumab、pembrolizumabなど)が開発中である。これらの薬剤の導入により、多くの症例で微少残存腫瘍(MRD)の陰性化が可能となり、生存期間の延長、ひいては治癒が得られることが期待される。5 主たる診療科血液内科※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報日本骨髄腫学会(医療従事者向けの診療、研究情報)患者会情報日本骨髄腫患者の会(患者と患者家族の会の情報)1)Rajkumar SV, et al. Lancet Oncol.2014;15:e538-548.2)Palumbo A, et al. J Clin Oncol.2015;33:2863-2869.3)日本骨髄腫学会編. 多発性骨髄腫の診療指針 第4版.文光堂;2016.4)日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン.金原出版;2013.p.268-307.5)Durie BGM, et al. Leukemia.2006.20:1467-1473.公開履歴初回2013年12月17日更新2016年10月04日

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抗PD-1抗体ペムブロリズマブ、悪性黒色腫に承認取得

 MSD株式会社(本社:東京都千代田区、社長:ヤニー・ウェストハイゼン、以下MSD)は2016年9月28日、根治切除不能な悪性黒色腫に対して、ヒト化抗ヒトPD-1モノクローナル抗体(抗PD-1抗体)ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)(商品名:キイトルーダ点滴静注20mgおよび100mg)の製造販売承認を取得した。 ペムブロリズマブは、T細胞に主に発現する受容体であるPD-1と、腫瘍細胞に発現するリガンドPD-L1およびPD-L2の相互作用を阻害するヒト化モノクローナル抗体。PD-1受容体に結合して受容体とリガンドとの相互作用を阻害することによって、抗腫瘍免疫応答を含むPD-1経路を介する免疫応答の阻害を解除する。 ペムブロリズマブは、米国を含む50ヵ国以上で悪性黒色腫における承認を取得しており、米国では非小細胞肺がん、頭頸部がんの適応においても承認されている。国内においては、膀胱がん、肺がん、乳がん、大腸がん、食道がん、胃がん、頭頸部がん、多発性骨髄腫、ホジキンリンパ腫、肝がん、卵巣がん、前立腺がんなどを対象とした後期臨床試験が進行中。2015年10月27日には、治癒切除不能な進行・再発の胃がんに対する効能・効果について、厚生労働省から『先駆け審査指定制度』施行後初めての対象品目の1つに指定され、2016年2月29日には、切除不能な進行または再発の非小細胞肺がんを効能・効果として承認申請を行っている。 ペムブロリズマブの製造販売はMSDが行い、大鵬薬品工業株式会社と共同してプロモーションを行う。効能・効果根治切除不能な悪性黒色腫用法・用量通常、成人には、ペムブロリズマブ(遺伝子組換え)として、1回2mg/kg(体重)を3週間間隔で30分間かけて点滴静注する。MSD株式会社のニュースリリースはこちら

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患者・医師間のShared Decision Makingをサポートする新サービスを開発

 治療支援デジタルサービスを展開する株式会社ウェルビー(本社:東京都千代田区、代表取締役:比木武、以下ウェルビー)は、患者・医師間の治療方針選択時のコミュニケーションである、Shared Decision Making(SDM)をサポートする新サービス「Welbyマイチョイス」を本年10月より提供開始する。 「Welbyマイチョイス」は、新たな治療方針を検討・選択する際に、医師が患者に応じた複数の治療選択肢をディスプレイ上に一覧表示し、治療方針比較検討の際のコミュニケーション(SDM)をサポートするもの。 一般的に、治療方針の選択にあたっては、個々の病状やこれまでの治療効果、候補となる治療選択肢の有効性や副作用のリスク、投薬方法やスケジュール、経済負担など、さまざまな側面を考慮して検討が行われる。多くの疾患領域において続々と新薬が開発され、治療選択肢が多様化する一方で、個々の患者の病状、ライフスタイルや価値観を考慮したうえで、適切な治療選択肢の候補を提示し、限られた診療時間で患者・家族の前提知識に合わせてわかりやすく説明するのは容易なことではない。 「Welbyマイチョイス」は、多くの治療選択肢の中から、患者さんに提示する療選択肢を医師がピックアップし、それぞれの治療選択肢について注意すべき副作用、費用、投薬方法とスケジュールなどを一覧で表示する。 第1弾として、2016年10月から、血液がんの一種である「多発性骨髄腫」向けに提供開始する。多発性骨髄腫は近年、新薬が次々と発売され治療選択肢が複雑化・多様化している疾患で、国内患者数は18,000人(平成 26 年人口動態統計・患者調査(厚生労働省大臣官房統計情報部)。多発性骨髄腫向け「Welbyマイチョイス」開発にあたっては、帝京大学ちば総合医療センター 血液内科などと連携している。ウェルビーのプレスリリースはこちら

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再発/難治性多発性骨髄腫、daratumumab追加の3剤併用も有効/NEJM

 再発性または再発・難治性多発性骨髄腫に対し、ヒトIgGκモノクローナル抗体daratumumabを、ボルテゾミブとデキサメタゾンに併用することで、2剤のみの場合に比べ無増悪生存期間が延長し、12ヵ月無増悪生存率は約60%になることが示された。イタリア・トリノ大学のAntonio Palumbo氏らが、約500例の患者を対象に行った第III相無作為化比較試験の結果、明らかにした。daratumumabはCD38をターゲットとし、直接的・間接的な抗骨髄活性を誘発する。先行研究で、多くの前治療歴のある多発性骨髄腫患者に対して、単独療法の高い有効性が示され、またボルテゾミブとの併用療法では、新規に診断された多発性骨髄腫患者において同様の高い効果が示されていた。NEJM誌2016年8月21日号掲載の報告より。daratumumab+ボルテゾミブ+デキサメタゾンについて検討 研究グループは2014年9月~2015年9月にかけて、再発性多発性骨髄腫、再発・難治性多発性骨髄腫の患者498例を対象に試験を開始した。被験者を無作為に2群に分け、一方にはボルテゾミブ(1.3mg/m2体表面積)とデキサメタゾン(20mg)を投与し(対照群)、もう一方の群にはそれら2剤とdaratumumab(16mg/kg体重)を投与した(daratumumab群)。 主要評価項目は、無増悪生存期間だった。12ヵ月無増悪生存率、daratumumab群で60% 事前に特定した中間解析の結果、12ヵ月無増悪生存率は、対照群26.9%だったのに対し、daratumumab群では60.7%と有意に高率だった。 追跡期間の中央値7.4ヵ月の時点で、無増悪生存期間は、daratumumab群では未到達だったが、対照群は7.2ヵ月だった。(daratumumab群の対照群に対する増悪または死亡のハザード比:0.39、95%信頼区間:0.28~0.53、p<0.001)。 全奏効率は、対照群63.2%に対し、daratumumab群は82.9%と有意に高率だった(p<0.001)。また、非常に良好な部分奏効率(very good partial response)や完全奏効率も、対照群29.1% vs.daratumumab群59.2%(p<0.001)、9.0% vs.19.2%(p=0.001)と、いずれもdaratumumab群が有意に高率だった。 両群で発生頻度の高かったGrade3または4の有害事象は、血小板減少症(daratumumab群45.3%、対照群32.9%)、貧血(14.4%、16.0%)、好中球減少(12.8%、4.2%)だった。また、daratumumab群では注入に伴う反応が45.3%に認められた。しかし大半はGrade1または2で(3は8.6%)、98.2%が初回注入時に記録されたものだった。

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がん脊椎転移、手術が不適な患者とは

 治療の進歩により転移性がん患者の生存期間が延長したことから、症候性脊椎転移が増加している。脊椎の病的骨折や脊髄圧迫を有する患者には、手術で痛みを軽減しQOLを改善することができるが、通常、生存期間が3ヵ月未満と推測される場合には手術は不適と考えられている。今回、手術が不適な患者への手術回避を目的として、日本を含む国際多施設共同研究により、術後3ヵ月または2年以内に死亡した患者のデータを分析し、生存期間に関連する術前因子を検討した。その結果、生存期間は全身の術前状態に依存し、とくに術前に「Karnofsky performance score(KPS)が低い」ことが3ヵ月未満の死亡に有意に関連し、「転移脊椎数が少ない」「原発腫瘍が予後良好な組織型」ことが長期生存に有意に関連していたことを、オランダ・ユトレヒト大学医療センターのJorrit-Jan Verlaan氏らが報告した。Journal of Clinical Oncology誌オンライン版2016年7月11日号に掲載。 著者らは、切迫病的骨折と神経障害の両方もしくはどちらかに対する手術を受けた1,266例をプロスペクティブに観察し、腫瘍の特徴、術前状態(米国麻酔学会[ASA])、神経学的状態(フランケル分類)、performance score(KPS)、QOL(EuroQol five-dimensions questionnaire [EQ-5D])などを調査した。アウトカムは、術後3ヵ月および2年における生存とし、単変量および多変量ロジスティック回帰分析を用いて、短期および長期生存に関連する術前因子を調べた。 主な結果は以下のとおり。・単変量解析において、年齢、緊急手術、KPS、EQ-5D、ASA、フランケル分類、徳橋スコア、富田スコアが、短期(3ヵ月未満)の死亡と有意に関連していた。・多変量解析において、KPS(オッズ比[OR]:1.36、95%CI:1.15~1.62)と年齢(OR:1.14、95%CI:1.02~1.27)が短期(3ヵ月未満)の死亡と有意に関連していた。・単変量解析において、年齢、手術に含まれる脊椎レベルの数、KPS、EQ-5D、フランケル分類、徳橋スコア、富田スコアが、長期(2年超)の生存に関連していた。・多変量解析において、手術に含まれる脊椎レベルの数(OR:1.21、95%CI:1.06~1.38)と原発巣が、長期(2年超)の生存と有意に関連していた。

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【JSMO2016見どころ】血液がん

 2016年7月28日(木)から3日間にわたって、第14回日本臨床腫瘍学会学術集会が開催される。これに先立って、先月、日本臨床腫瘍学会(JSMO)のプレスセミナーが開かれ、がん治療の最新動向と、今回のJSMOで注目すべき各領域のトピックが紹介された。 このうち、血液がんについては松岡 広氏(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 准教授)が登壇した。以下、松岡氏のコメントを紹介する。【松岡 広氏コメント】 血液領域では、多発性骨髄腫、悪性リンパ腫(B細胞性リンパ腫)の新規治療薬に関する講演に注目したい。多発性骨髄腫治療では良い治療薬に恵まれない時代が長く続いていたが、10年前よりプロテアソーム阻害剤や免疫調節薬(IMiDS)などの画期的な治療薬が登場し、患者予後は大きく改善した。これらは「新規治療薬」といわれ、時代を変えたといわれた。昨年からはさらなる新薬登場が相次いでおり、治療成績の向上が期待される。現在はいわば「新規治療薬の第二の波」といえる。シンポジウム29では、新規プロテアソーム阻害剤をはじめこれらの“新”新規治療薬について作用機序や治療成績について解説される。B細胞性リンパ腫においては、最近、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)に対する阻害剤が慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫に対する治療薬として承認された。BTKはBリンパ球にとって重要な働きを持つ分子で、これに対する阻害剤はB細胞性リンパ腫治療薬の中で、いわば“横綱クラス”の薬剤になるのではないか、と期待されてきた。シンポジウム28では、BTK阻害剤をはじめB細胞リンパ腫に対する、期待される新しい治療法に関して講演される。【注目演題】 本学会で、松岡氏が血液がん関連の注目演題として挙げたのは、以下のとおり。International Symposium「Emerging new effective treatments of B-cell malignancies」日時:7月30日(土)10:10~12:10場所:Room6(神戸国際展示場1号館2F展示室B)JSH/JSMO Joint Symposium「New era of new drugs for multiple myeloma」日時:7月30日(土)13:30~16:00場所:Room6(神戸国際展示場1号館2F展示室B)一般口演「血液悪性腫瘍①」日時:7月28日(木)9:00~10:00場所:Room12(神戸国際会議場5階502会議室)【第14回日本臨床腫瘍学会学術集会】会期:2016年7月28日(木)~30日(土)会場:神戸国際展示場・神戸国際会議場会長:南 博信(神戸大学大学院医学研究科 腫瘍・血液内科 教授)テーマ:Breaking through the Barriers:Optimizing Outcomes by Integration and Interaction第14回日本臨床腫瘍学会学術集会ホームページはこちら

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多発性骨髄腫、ixazomib追加の3剤併用療法でPFS延長/NEJM

 再発または難治性の多発性骨髄腫の治療において、標準治療にixazomibを加えた経口薬の3剤併用療法は、標準治療のみに比べ無増悪生存期間(PFS)を有意に延長し、毒性は許容できるものであることが、フランス・オテル・デュー大学病院のPhilippe Moreau氏らが行ったTOURMALINE-MM1試験で示された。研究の成果は、NEJM誌2016年4月28日号に掲載された。ixazomibは、経口投与が可能なペプチドボロン酸型プロテアソーム阻害薬で、ボルテゾミブとは化学構造や薬理学的特性が異なる。前臨床試験でレナリドミドとの相乗効果が確認され、未治療の多発性骨髄腫の早期臨床試験ではレナリドミド+デキサメタゾンとの併用で有望な効果と安全性が報告されている。上乗せ効果をプラセボ対照無作為化試験で評価 TOURMALINE-MM1試験は、多発性骨髄腫に対する従来の標準治療へのixazomibの上乗せ効果を検討する二重盲検プラセボ対照無作為化第III相試験(Millennium Pharmaceuticals社の助成による)。 対象は、測定可能病変を有し、全身状態(ECOG PS)が0~2、前治療レジメン数が1~3の再発、難治性、再発・難治性の多発性骨髄腫で、軽度~中等度の腎機能障害がみられる患者も含めた。 被験者は、ixazomib+レナリドミド+デキサメタゾンを投与する群(ixazomib群)またはプラセボ+レナリドミド+デキサメタゾンを投与する群(プラセボ群)に無作為に割り付けられた。両治療群とも28日を1サイクルとし、病勢進行または許容できない毒性が発現するまで継続することとした。 主要評価項目は、無増悪生存期間(PFS)とした。副次評価項目には、全生存期間(OS)、17p欠失例のOS、完全奏効(complete response)+最良部分奏効(very good partial response)の割合などが含まれた。 2012年8月28日~2014年5月27日までに、26ヵ国147施設に722例が登録され、ixazomib群に360例、プラセボ群には362例が割り付けられた。 PFS中央値が約6ヵ月延長、完全+最良部分奏効割合も良好 背景因子は両群間でバランスがよく取れていた。全体の年齢中央値は66歳(範囲:30~91歳)で、65歳以上が52%、男性が57%含まれた。前治療レジメン数は1が61%、2が29%、3が10%であり、再発例が77%、難治例が11%、再発・難治例は12%であった。 フォローアップ期間中央値14.7ヵ月におけるPFS中央値は、ixazomib群が20.6 ヵ月と、プラセボ群の14.7ヵ月よりも有意に延長した(ハザード比[HR]:0.74、p=0.01)。PFSの事前に規定されたサブグループ解析では、高リスクの細胞遺伝学的異常を有する患者などのすべてのサブグループにおいて、ixazomib群がプラセボ群よりも良好であった。 全奏効率はixazomib群が78%と、プラセボ群の72%に比べ有意に優れた(p=0.04)。また、完全奏効+最良部分奏効の割合は、それぞれ48%、39%であり、ixazomib群で有意に良好だった(p=0.01)。奏効までの期間中央値は、ixazomib群が1.1ヵ月と、プラセボ群の1.9ヵ月よりも短く(p=0.009)、奏効期間中央値はそれぞれ20.5ヵ月、15.0ヵ月であった。 フォローアップ期間中央値が約23ヵ月の時点におけるOS中央値は両群とも未到達で、フォローアップが継続されている。 重篤な有害事象の発現率はixazomib群が47%、プラセボ群は49%で、試験期間中の死亡率はそれぞれ4%、6%であり、いずれも両群でほぼ同じであった。また、Grade 3以上の有害事象は、それぞれ74%、69%に認められた。 Grade 3および4の血小板減少症の頻度は、ixazomib群(それぞれ12%、7%)がプラセボ群(5%、4%)よりも高かった。 発疹は、ixazomib群が36%であり、プラセボ群の23%に比べ頻度が高かった。消化器系の有害事象(下痢、便秘、悪心、嘔吐)は多くが低Gradeであったが、ixazomib群のほうが高頻度であった。また、末梢神経障害の発生率は、ixazomib群が27%,プラセボ群は22%であった(Grade3は両群とも2%)。 患者報告による健康関連QOL評価(EORTC QLQ-C30、EORTC QLQ-MY20)のスコアは、試験期間を通じて両群でほぼ同等であった。 著者は、「この経口薬3剤併用レジメンは、再発、難治性、再発・難治性多発性骨髄腫の新たな治療選択肢となるだろう」としている。

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