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新型コロナウイルス受診の目安を発表/厚生労働省

 国内での新型コロナウイルスの感染拡大が懸念される中、先日開催された内閣の新型コロナウイルス感染症専門家会議で議論された「新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安」が、2月17日に厚生労働省より発表された。主な目的は、国民の新型コロナウイルスへの不安の鎮静化と検査や診療による医療機関への過度な集中を防ぐためのものである。 具体的な相談・受診の目安として、「風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く」「強いだるさや息苦しさがある」、また、「高齢者や基礎疾患(糖尿病、心不全など)があり、前記の2つの症状が2日程度続く」という人は、各都道府県に設置されている帰国者・接触者センターへの相談を要請している。 同省では、同時に「国民の皆さまへのメッセージ」として風邪や季節性インフルエンザ対策と同様に各自の咳エチケットや手洗いなどの実施による感染症対策の励行のほか、症状がある人には「帰国者・接触者相談センター」への相談を呼び掛けている。また、国民向けに啓発資料として「マスクについてのお願い」「一般的な感染症対策について」「手洗いについて」「咳エチケットについて」なども掲載されている。 なお、症状に不安がある場合など、一般的な問い合わせ先も掲載されている。・厚生労働省 相談窓口 電話番号:0120-565653(フリ―ダイヤル) 受付時間9:00~21:00(土日・祝日)・電話でのご相談が難しい方 FAX:03-3595-2756新型コロナウイルス感染症についての相談・受診の目安1.相談・受診の前に心がけていただきたいこと○発熱等の風邪症状が見られるときは、学校や会社を休み外出を控える。○発熱等の風邪症状が見られたら、毎日、体温を測定して記録しておく。2.帰国者・接触者相談センターに御相談いただく目安○以下のいずれかに該当する方は、帰国者・接触者相談センターに御相談ください。 ・風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続く方 (解熱剤を飲み続けなければならない方も同様です) ・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある方○なお、以下のような方は重症化しやすいため、この状態が2日程度続く場合には、帰国者・接触者相談センターに御相談ください 。 ・高齢者 ・糖尿病、心不全、呼吸器疾患(COPD等)の基礎疾患がある方や透析を受けている方 ・免疫抑制剤や抗がん剤などを用いている方 (妊婦の方へ) 妊婦の方については、念のため、重症化しやすい方と同様に、早めに帰国者・接触者相談センターに御相談ください。 (お子様をお持ちの方へ) 小児については、現時点で重症化しやすいとの報告はなく、新型コロナウイルス感染症については、目安どおりの対応をお願いします。○なお、現時点では新型コロナウイルス感染症以外の病気の方が圧倒的に多い状況であり、インフルエンザ等の心配があるときには、通常と同様に、かかりつけ医等に御相談ください。3.相談後、医療機関にかかるときのお願い○帰国者・接触者相談センターから受診を勧められた医療機関を受診してください。複数の医療機関を受診することはお控えください。○医療機関を受診する際にはマスクを着用するほか、手洗いや咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖を使って、口や鼻をおさえる)の徹底をお願いします。(厚生労働省 新型コロナウイルス感染症についてのサイトより引用)

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米国うつ病患者の薬物療法と治療パターン

 ケアの潜在的なギャップを特定するためには、リアルワールドで患者がどのように治療されているか理解することが不可欠である。米国・Janssen Research & DevelopmentのDavid M. Kern氏らは、現在の米国におけるうつ病に対する薬理学的治療パターンについて解析を行った。BMC Psychiatry誌2020年1月3日号の報告。 2014年1月~2019年1月に、4つの大規模な米国レセプトデータベースよりうつ病患者を特定した。対象は2回以上のうつ病診断歴またはうつ病入院患者で、最初のうつ病診断の1年以上前および診断後3年間にデータベースへの登録がある患者を適格とした。対象患者に対する治療パターンは、薬剤クラスレベル(SSRI、SNRI、三環系抗うつ薬、その他の抗うつ薬、抗不安薬、催眠鎮静薬、抗精神病薬)で、利用可能なすべてのフォローアップ期間中に収集した。 主な結果は以下のとおり。・対象のうつ病患者は、26万9,668例であった。・フォローアップ期間中に、薬理学的治療を行っていなかった患者の割合は29~52%であった。・治療を行っていた患者の約半数は、2つ以上の異なるクラスの薬剤で治療が行われていた。また、3クラス以上の薬剤で治療が行われていた患者は4分の1、4クラス以上の薬剤で治療が行われていた患者は10%以上であった。・最も一般的な第1選択薬はSSRIであったが、多くの患者において抗うつ薬治療前に、抗不安薬、催眠鎮静薬または抗精神病薬による治療が行われていた。・クラス間の併用による治療は、第1選択薬での治療の約20%から第4選択薬での治療の40%の範囲内で認められた。 著者らは「うつ病と診断された多くの患者は治療を受けていない。また、治療を受けていた患者の多くは、最初の治療が抗うつ薬以外の薬剤によって行われていた。半数以上の患者は、フォローアップ期間中に複数のタイプの治療を受けており、多くの患者において初回治療が最適ではなかった可能性が示唆された」としている。

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化学療法誘発性悪心嘔吐に対するオランザピン5mgの追加効果(J-FORCE)/日本がんサポーティブケア学会

 オランザピンは化学療法誘発性悪心嘔吐(CINV)に対して有効であるが、国際的に使用されている用量10mgでは過度の鎮静が懸念されている。NCCNやMASCC/ESMOの制吐療法ガイドラインでは、5mgへの減量について言及しているもののエビデンスはない。わが国では、標準制吐療法へのオランザピン5mgの上乗せ効果を検証した3つの第II相試験が行われ、その有効性が示唆されている。そこで、シスプラチン(CDDP)を含む化学療法に対する標準制吐療法へのオランザピン5mg上乗せの有用性の検証を目的としたプラセボ対照二重盲検無作為化第III相J-FORCE試験が行われた。その結果を第4回日本がんサポーティブケア学会学術集会において、静岡県立静岡がんセンターの安部 正和氏が発表した。・対象:CDDP50mg/m2以上を含む高度催吐性化学療法(HEC)を受ける固形がん患者・試験群:オランザピン5mg(day1~4)+標準制吐療法(パロノセトロン0.75mg[day1]+アプレピタント125mg[day1]、80mg[day2~3]+デキサメタゾン12mg[day1]、8mg[day2~4])・対照群:プラセボ(day1~4)+標準制吐療法(同上)・評価項目:[主要評価項目]遅発期CR(Complete Response=嘔吐なし、救済治療なし)割合。[副次評価項目]急性期(CDDP開始~24時間)および全期間(CDDP開始~120時間)のCR割合、各期間のCC(Complete Control=CRかつ悪心なしまたは軽度)割合とTC(Total Control=CRかつ悪心なし)割合、治療成功期間、眠気と食欲不振割合、患者満足度など 主な結果は以下のとおり。・710例の患者が登録され、オランザピン群356例、プラセボ群354例に無作為に割り付けられた。安全性解析は706例、有効性解析は705例で行われた。・遅発期CR割合はオランザピン群79%、プラセボ群66%とオランザピン群で有意に良好であった(p<0.001)。また、その差は13.5%と国際的コンセンサスで有効とされる10%を満たした。・副次評価項目である急性期および全期間のCR割合、各期間のCC割合はいずれも有意にオランザピン群で良好であった。各期間のTC割合は、急性期を除き有意にオランザピン群で良好であった。・治療関連有害事象である眠気、口喝、浮遊性めまいはオランザピン群で多くみられた。・「日中の眠気あり」の頻度は両群で大きな差はなく、「不眠なし」と「食欲低下あり」の頻度はオランザピン群で良好であった。・患者満足度は、「とても満足・満足」の割合は有意にオランザピン群で良好であった(p<0.001)。

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転倒前に調整できなかったベンゾジアゼピン系薬の減量提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第4回

 今回は、残念ながら転倒を起こす前にベンゾジアゼピン系睡眠薬の調整ができなかった反省症例です。高齢者では転倒・骨折がその後の生活に大きな影響を与えるため、転倒を予測した用量の検討や、家の動線など生活背景を読み解く力が必要だとあらためて実感しました。患者情報80歳、男性、独居、要介護3現 病 歴:アルツハイマー型認知症、高血圧、不眠症短期記憶が乏しく、物忘れや受診忘れなどの認知機能低下あり。原因は不明だが、訪問当初から左下肢の動きがやや悪い(脳梗塞や脳出血などの既往はなし)。服薬状況:服薬カレンダーで薬を管理している。用法は就寝前で統一しているが、週2~3回内服を忘れる。介護状況:訪問看護師が毎週金曜日に訪問している。それ以外の通所介護、通院介助などはなし。処方内容1.アムロジピン錠5mg 1錠 分1 就寝前2.ドネペジル錠5mg 1錠 分1 就寝前3.トリアゾラム錠0.25mg 1錠 分1 就寝前本症例のポイントこの患者さんは高齢にもかかわらず、トリアゾラムを0.25mgという高用量で服用していました。高齢者でのベンゾジアゼピン系睡眠薬の懸念事項は、過鎮静と筋弛緩作用による転倒リスクです。服用忘れがある日も含めて入眠は良好で、日中の眠気やふらつきがないことは訪問看護師とも情報共有していました。しかし、この患者さんは左下肢を引きずって歩くなど、より転倒リスクが高いと考えられます。<高齢者におけるベンゾジアゼピン系睡眠薬の注意点>ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、過鎮静、身体機能低下、認知機能低下、筋弛緩作用による転倒・骨折、CYP活性低下による血中濃度上昇などのリスクがあるため、高齢者では成人と同等量用いることのリスクを検討しなければならない。また、トリアゾラムがCYP3A4で代謝された活性代謝物であるα-ヒドロキシトリアゾラムには、トリアゾラムと同等か1/2程度の活性があるといわれており、とりわけ高齢者(肝機能低下、CYP活性低下)では薬理作用が遷延しやすいという懸念がある。そのため、高齢者では筋弛緩作用の比較的弱いゾルピデムやエスゾピクロンのほうが、安全性が高いと考えられる。転倒によるトリアゾラムの減量提案この患者さんは、週2~3回服用忘れがあっても入眠は良好でした。一方で、独居のため家の片付けが不十分で寝室からトイレまでの動線に不安がありました。高齢者は転倒すると、ADL(日常生活動作)や認知機能の低下が加速することが多いとされています。これらの理由を示し、医師にトリアゾラムの減量を提案しましたが、現状は状態が安定しているということを理由に採用はされず、継続となりました。ところがある日、患者さんが背中をさすりながら布団で横になっているのを発見しました。転倒して背中を打ったとのことです。整形外科を受診したところ、腰椎圧迫骨折の診断でした。この転倒を機に再度トリアゾラムの減量を医師に提案し、半量の0.125mgに減量する承認を得ることができました。その後は訪問の都度、医師に腰椎圧迫骨折の疼痛管理とトリアゾラム減量後の状況を報告することで安心していただくことができました。アドヒアランス不良によるトリアゾラムの中止提案一方、この患者さんに関してアドヒアランス不良という問題も徐々に顕在化してきました。訪問開始当初から服薬カレンダーで薬の管理を行っていましたが、週2回程度であった服用忘れが4~5回と増加してきたのです。ケアマネジャーに状況を話し、ヘルパーさんの訪問介護で服薬確認ができないか相談したところ、就寝前の薬を朝に変更できれば可能との返答でした。しばらく様子を見ていると、服用忘れがあっても入眠は依然として良好で、中途覚醒などの問題がないことが確認できました。これらをレポートでまとめて再再度医師へ報告したところ、トリアゾラム中止の承認を得ることができました。また、服薬確認のための朝のヘルパー訪問についても相談して、すべての薬を朝食後にまとめてもらうことができました。処方変更のタイミングでヘルパーさんによる毎朝の服薬確認とともに、食事の準備、入浴介助も開始となり、その後の服用忘れはなくなりました。また、トリアゾラム中止後の睡眠トラブルもなく、現在の経過は安定しています。

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急性期統合失調症治療に対する経口抗精神病薬32種類の有効性と忍容性の比較

 統合失調症は、最も一般的な疾患の1つであり、世界中の成人において負担や費用のかかる精神疾患である。統合失調症治療では、抗精神病薬が選択されるが、どの薬剤を使用するべきかについては意見が分かれている。ドイツ・ミュンヘン工科大学のMaximilian Huhn氏らは、ランダム化比較試験のデータを定量化することにより、抗精神病薬の比較とランク付けを行った。Lancet誌オンライン版2019年7月11日号の報告。抗精神病薬の比較に5万3,463例のデータを分析 プラセボ対照試験およびhead-to-headランダム化比較試験のネットワークメタ解析を実施し、32種類の抗精神病薬を比較した。各データベースより、2019年1月8日までのデータを検索した。2人の独立した著者が研究を選択し、データを抽出した。統合失調症または関連疾患の急性期症状を有する成人患者を対象としたランダム化比較試験を選択した。治療抵抗性、初回エピソード、陰性症状または抑うつ症状が主症状、併存疾患、再発予防に関する研究は除外した。主要アウトカムは、標準化された評価尺度を用いて測定された全体的な症状変化とした。8つの有効性および8つの安全性アウトカムのデータを抽出した。研究結果の差異は、メタ回帰および感度分析により調査した。エフェクトサイズの尺度は、標準化平均差(SMD)、平均差、リスク比(95%信用区間[CrI])とした。エビデンスの信頼性は、CINeMA(ネットワークメタ解析の信頼性)を用いて評価した。 抗精神病薬を比較した主な結果は以下のとおり。・402研究、5万3,463例のデータを分析した。・エフェクトサイズの推定値は、すべての抗精神病薬においてプラセボよりも全体的な症状改善が認められたが、6剤では統計学的に有意な差は認められなかった。SMDの範囲は、クロザピンの-0.89(95%CrI:-1.08~-0.71)~レボメプロマジンの-0.03(95%CrI:-0.59~0.52)であった(4万815例)。・抗精神病薬をプラセボと比較したSMDは、陽性症状(3万1,179例)においてamisulprideの-0.69(95%CrI:-0.86~-0.52)~ブレクスピプラゾールの-0.17(95%CrI:-0.31~-0.04)、陰性症状(3万2,015例)においてクロザピンの-0.62(95%CrI:-0.84~-0.39)~flupentixolの-0.10(95%CrI:-0.45~0.25)、抑うつ症状(1万9,683例)においてスルピリドの-0.90(95%CrI:-1.36~-0.44)~flupentixolの0.04(95%CrI:-0.39~0.47)であった。・抗精神病薬をプラセボと比較したリスク比は、すべての原因による中止(4万2,672例)においてclopenthixolの0.52(95%CrI:0.12~0.95)~ピモジドの1.15(95%CrI:0.36~1.47)、鎮静(3万770例)においてピモジドの0.92(95%CrI:0.17~2.03)~zuclopenthixolの10.20(95%CrI:4.72~29.41)、抗パーキンソン薬の使用(2万4,911例)においてクロザピンの0.46(95%CrI:0.19~0.88)~ピモジドの6.14(95%CrI:4.81~6.55)であった。・抗精神病薬をプラセボと比較した平均差は、体重増加(2万8,317例)においてziprasidoneの-0.16kg(95%CrI:-0.73~0.40)~ゾテピンの3.21kg(95%CrI:2.10~4.31)、プロラクチン上昇(2万1,569例)においてクロザピンの-77.05ng/mL(95%CrI:-120.23~-33.54)~パリペリドンの48.51ng/mL(95%CrI:43.52~53.51)、QT延長(1万5,467例)においてルラシドンの-2.21ms(95%CrI:-4.54~0.15)~sertindoleの23.90ms(95%CrI:20.56~27.33)であった。・効果に影響を及ぼす因子で調整または感度分析(プラセボ対照試験の除外など)においても、主要アウトカムに実質的な変化は認められなかった。・エビデンスの信頼性は、低いまたは非常に低いものであった。 著者らは「抗精神病薬は、いくつかの効果に違いがあるものの、それらの多くは段階的であり、より顕著な差は副作用にみられる。本結果は、臨床医が薬剤のリスクとベネフィットのバランスをとるうえで役立つであろう。そして、各アウトカムの重要性、患者の医学的背景や選択を考慮すべきである」としている。

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第26回 化学療法時に用いられる各制吐薬の有用性をエビデンスから読み解く【論文で探る服薬指導のエビデンス】

 がん化学療法では、疼痛管理や副作用の予防などさまざまな支持療法を行うため、それぞれのレジメンに特徴的な処方があります。代表的な副作用である悪心・嘔吐に関しては、日本癌治療学会による制吐薬適正使用ガイドラインや、ASCO、NCCN、MASCC/ESMOなどの各学会ガイドライン1)に制吐療法がまとめられていますので、概要を把握しておくと患者さんへの説明やレジメンの理解に有用です。悪心・嘔吐は大きく、化学療法から24時間以内に出現する急性悪心・嘔吐、25~120時間に出現する遅発性悪心・嘔吐、予防薬を使用しても出現する突出性悪心・嘔吐、化学療法を意識しただけでも出現する予期性悪心・嘔吐に分けられ、化学療法の催吐リスクに応じて制吐薬が決められます。今回は主な制吐薬である5-HT3受容体拮抗薬のパロノセトロン、NK1受容体拮抗薬のアプレピタント、MARTAのオランザピンのエビデンスを紹介します。パロノセトロンまずは、2010年に承認された第2世代5-HT3受容体拮抗薬であるパロノセトロンを紹介します。本剤は従来のグラニセトロンやオンダンセトロンとは異なる構造であり、5-HT3受容体への結合占有率、親和性、選択性が高く、半減期も約40時間と長いことから遅発性の悪心・嘔吐にも有効性が高いとされています。2018年版のNCCNガイドラインでは、パロノセトロンを指定しているレジメンもあります1)。パロノセトロンとグラニセトロンの比較試験では、CR(Coplete Response)率、すなわち悪心・嘔吐がなくレスキュー薬が不要な状態が、急性に関しては75.3% vs.73.3%と非劣性ですが、遅発性に関しては56.8% vs.44.5%(p<0.0001、NNT 9)とパロノセトロンの有効性が示されています2)。また、同薬剤によりデキサメタゾンの使用頻度を減らすことができる可能性も示唆されています3)。添付文書によると、便秘(16.5%)、頭痛(3.9%)のほか、QT延長や肝機能値上昇が比較的高頻度で報告されているため注意が必要ですが、悪心の頻度が多いと予期性の悪心・嘔吐を招きやすくなるため、体力維持や治療継続の点でも重要な薬剤です。院内の化学療法時に静注される薬剤ですので院外では見落とされることもありますが、アプレピタント+デキサメタゾンの処方があれば、5-HT3受容体拮抗薬の内容を確認するとよいでしょう。アプレピタント2009年に承認されたアプレピタントは、中枢性(脳内)の悪心・嘔吐の発現に関与するNK1受容体に選択的に結合することで、悪心・嘔吐を抑制します。一例として、NK1受容体拮抗薬を投与された計8,740例を含む17試験のメタアナリシスを紹介します4)。高度または中等度の催吐性化学療法に対して、それまで標準的だった制吐療法(5-HT3拮抗薬、副腎皮質ステロイド併用)に加えてNK1受容体拮抗薬を追加することで、CR率が全発現期において54%から72%(OR=0.51、95%信頼区間[CI]=0.46~0.57、p<0.001)に増加しています。急性/遅発性の両方で改善効果があり、なおかつ、この高い奏効率ですので、本剤が標準的に用いられるようになったのも納得です。一方で、因果関係は定かではありませんが、重度感染症が2%から6%に増えています(1,480例を含む3つのRCT:OR=3.10、95%CI=1.69~5.67、p<0.001)。また、CYP3A4の基質薬剤なので相互作用には注意です。オランザピンMARTAのオランザピンは、D2受容体拮抗作用および5-HT3受容体拮抗作用によって有意な制吐作用を示すと考えられており、2017年に制吐薬としての適応が追加されました。直近のASCOやNCCNのガイドラインの制吐レジメンにも記載があります1)。従来の5-HT3受容体拮抗薬+NK1受容体拮抗薬+デキサメタゾンの3剤併用と、同レジメンにオランザピンまたはプラセボを上乗せして比較した第3相試験5)では、シスプラチンまたはシクロホスファミド、およびドキソルビシンで治療を受けている乳がんや肺がんなどの患者を中心に約400例が組み入れられました。併用の5-HT3受容体拮抗薬はパロノセトロンが約75%で、次いでオンダンセトロンが24%でした。ベースの制吐薬3剤は、5-HT3受容体拮抗薬、NK1受容体拮抗薬に加えて、デキサメタゾンが1日目に12mg、2~4日目は8mg経口投与でガイドラインのとおりです。エンドポイントである悪心なしの状態は0~10のビジュアルアナログスケールで0のスコアとして定義され、化学療法後0~24時間、25~120時間、0~120時間(全体)で分けて解析されました。いずれの時点においてもオランザピン併用群で悪心の発生率が低く、化学療法後24時間以内で悪心がなかった割合はオランザピン群74% vs.プラセボ群45%、25~120時間では42% vs.25%、0~120時間の5日間全体では37% vs.22%でした。嘔吐やレスキューの制吐薬を追加する頻度もオランザピン群で少なく、CR率もすべての時点で有意に改善しています。なお、忍容性は良好でした。論文内にあるグラフからは、2日目に過度の疲労感や鎮静傾向が現れていますが、服用を継続していても後日回復しています。うち5%は重度の鎮静作用でしたが、鎮静を理由として中止に至った患者はいませんでした。服用最終日およびその前日には眠気は軽快しています。以上、それぞれの試験から読み取れる制吐薬の効果や有害事象を紹介しました。特徴を把握して、患者さんへの説明にお役立ていただければ幸いです。1)Razvi Y, et al. Support Care Cancer. 2019;27:87-95.2)Saito M, et al. Lancet Oncol. 2009;10:115-124.3)Aapro M, et al. Ann Oncol. 2010;21:1083-1088.4)dos Santos LV, et al. J Natl Cancer Inst. 2012;104:1280-1292.5)Navari RM, et al. N Engl J Med. 2016;375:134-142.

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HR+/HER2-進行乳がんへのPI3K阻害薬alpelisib、日本人解析結果(SOLAR-1)/日本臨床腫瘍学会

 ホルモン受容体陽性/HER2陰性(HR+/HER2-)進行乳がんに対する、α特異的PI3K阻害薬alpelisibとフルベストラント併用療法の有効性を評価する第III相SOLAR-1試験の日本人解析結果を、第17回日本臨床腫瘍学会学術集会(7月18~20日、京都)で、愛知県がんセンターの岩田 広治氏が発表した。なお、同患者に対するalpelisib併用療法は、SOLAR-1試験の結果に基づき、2019年5月にPI3K阻害薬として初めてFDAの承認を受けている。alpelisib併用群とプラセボ群に割り付け SOLAR-1試験は、HR+/HER2-進行乳がん患者(ECOG PS≦1、1ライン以上のホルモン療法歴あり、進行後の化学療法歴なし)を対象とした国際第III相無作為化二重盲検プラセボ対照試験。登録患者はPIK3CA遺伝子変異陽性もしくは陰性コホートに分けられ、それぞれalpelisib併用群(alpelisib 300mg/日+フルベストラント500mg/1サイクル目のみ1日目、15日目に投与、以降28日を1サイクルとして1日目に投与)とプラセボ群(プラセボ+フルベストラント)に1:1の割合で無作為に割り付けられた。 主要評価項目は、PIK3CA陽性コホートにおける無増悪生存期間(PFS)。副次評価項目は、PIK3CA陰性コホートのPFS、両コホートの全生存期間(OS)、客観的奏効率(ORR)、安全性などであった。 alpelisib併用療法の主な結果は以下のとおり。・全体で572例が登録され、うち日本人は68例(PIK3CA陽性が36例、陰性が32例)。両コホートでそれぞれalpelisib併用群またはプラセボ群に無作為に割り付けられた(陽性:alpelisib併用群17例 vs.プラセボ群19例、陰性:15例 vs.17例)。・日本人集団の年齢中央値は両群とも67歳。BMI中央値は25kg/m2 vs.21.4kg/m2で全体集団(26.5kg/m2 vs.26.1kg/m2)よりも低く、PS 0の割合は88.2% vs.89.5%と全体集団(66.3% vs.65.7%)よりも高かった。その他のベースライン特性は全体集団と同様であった。・PIK3CA陽性コホートにおけるPFS中央値は、全体集団ではalpelisib併用群11.0ヵ月に対しプラセボ群5.7ヵ月とalpelisib併用群で有意に改善した(ハザード比[HR]:0.65、95%信頼区間[CI]:0.50~0.85; p=0.00065)。これに対し日本人集団では、alpelisib併用群9.6ヵ月に対しプラセボ群9.2ヵ月と両群で差はみられなかった(HR:0.78、95%CI:0.35~1.75)。・PIK3CA陽性コホートにおけるalpelisibの曝露期間は、全体集団で平均8.0ヵ月、中央値5.5ヵ月(0.0~29.0)、平均相対的用量強度(RDI)77.8%だったのに対し、日本人集団では曝露期間の平均4.2ヵ月、中央値1.4ヵ月(0.3~21.1)、平均RDI 58.8%であった。・日本人集団において、全体集団と比較してalpelisib併用群で多くみられたGrade3以上の有害事象は、皮疹(日本人集団:43.8%/ 全体集団:20.1%)、膵炎(15.6%/5.6%)、重度皮膚有害反応(9.4%/1.1%)であった。・alpelisib併用群の有害事象による治療中止は、日本人集団では全Gradeで56.3%、Grade3以上で25.0%と、全体集団(25.0%、13.0%)と比較して多く発生した。日本人集団で治療中止につながった有害事象は、高血糖症(18.8%)、皮疹(12.5%)、重度皮膚有害反応(9.4%)など。Grade3以上の皮疹は多くが14日以内に起きていた。・投与開始後8日目におけるalpelisibの血中トラフ濃度を日本人と日本人以外で比較すると、平均値474ng/mL vs.454ng/mL、中央値410ng/mL vs.442ng/mLと差はみられなかった。 ディスカッサントを務めた虎の門病院の尾崎 由記範氏は、他のPI3K阻害薬による臨床試験での重篤な皮疹の発生率は3.8~8.0%(全体集団)1)2)で、43.8%という数字は顕著に高いことを指摘。alpelisibの第I相試験で皮疹の発生は用量依存的に増加している点3)、今回のサブセット解析で最初の数週間で多く発生している点などに触れ、日本人集団での最適用量の再検討や、経口非鎮静性抗ヒスタミン薬の予防的使用の検討が必要ではないかとの考えを示した。 岩田氏は発表後の質疑において、アジア人の他のポピュレーションでは全体集団と同様の結果が得られていることを明らかにし、日本人集団を対象とした追加試験を行う必要があるとした。

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脳損傷急性期の15%は行動反応なくとも脳活動あり/NEJM

 急性脳損傷患者の15%で、運動指令に対する行動反応はなくても、脳波測定(EEG)では指令に反応を示す記録がみられ、脳が活性化していることが明らかになった。米国・コロンビア大学のJan Claassen氏らが、脳損傷患者を対象に、音声による運動指令に反応する脳活動と予後への影響を検証した前向き試験の結果を報告した。臨床的に無反応な患者において、体を動かすよう声掛けをした際に脳活動を示す脳波が検出される場合がある。そのような認知と運動の解離が、脳損傷後の数日間にみられる割合や予後についての重要性は、これまで十分に解明されていなかった。NEJM誌2019年6月27日号掲載の報告。無反応患者を対象に、声による運動指令に対する脳活動を脳波で確認 研究グループは、2014年7月~2017年9月の期間に、1施設の集中治療室で、さまざまな原因による急性脳損傷があり、音声による運動指令に無反応な患者(痛み刺激部位を特定できる患者や、視覚刺激で凝視または追視できる患者を含む)を前向きに連続登録した。 「手を動かして」という指令に対する脳活動を、機械学習を応用したEEGにより検出。また、12ヵ月時点の機能アウトカムを、Glasgow Outcome Scale-Extended(GOS-E:スコア範囲1~8、高いほうが良好であること示す)で評価した。15%の認知と運動の解離を認めた患者のうち、半数で解離が解消 脳損傷後の期間中央値4日の時点で、無反応患者104例中16例(15%)でEEGによる脳活動が検出された。これら16例中8例(50%)、ならびに脳活動が検出されなかった88例中23例(26%)は、退院前には指令に従うことができるまでに改善した。 12ヵ月時のGOS-Eスコアが4以上(8時間独力で機能することを意味する)であったのは、脳活動が検出された患者で44%(7/16例)、検出されなかった患者で14%(12/84例)であった(オッズ比:4.6、95%信頼区間:1.2~17.1)。 なお、著者は、さまざまな原因(心停止、脳内出血、頭部外傷または硬膜下血腫、クモ膜下出血)による脳損傷患者を対象としたこと、12ヵ月時の追跡調査は電話によるもので直接行っていないこと、鎮静が交絡因子である可能性などを挙げて、結果については限定的だとしている。

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不眠症治療薬と自殺未遂リスク

 成人における慢性不眠症の薬理学的治療のためのガイドラインでは、エビデンスが不十分であるにもかかわらず、トラゾドンや他の適応外投与が一般的に行われているとされる。退役軍人保健局(VA)では、ベンゾジアゼピンやゾルピデムに加え、市販の鎮静性抗ヒスタミン薬、古い抗うつ薬などの安価な薬剤が大量に使用されている。これら薬剤の自殺行動に関する安全性の比較については、十分にわかっていない。米国・Canandaigua VA Medical CenterのJill E. Lavigne氏らは、VAにおいて、不眠症治療に一般的に使用されている薬剤の安全性について比較を行った。Journal of General Internal Medicine誌オンライン版2019年6月3日号の報告。 本研究は、傾向スコア一致サンプルを用いた効果比較研究である。対象は、初回薬物投与の12ヵ月前までに自殺念慮または自殺行動が認められず、不眠症治療薬未使用で不眠症を発症し、VAにおいて単剤治療を行った患者。薬物治療後、12ヵ月以内に多剤併用または切り替えを行った患者は除外した。VAでの処方およびデータを用いて、不眠症に対する薬理学的治療を特定した。すべての不眠症治療において、1%以上を占める薬剤は、トラゾドン200mg未満、ヒドロキシジン、ジフェンヒドラミン、ゾルピデム、ロラゼパム、ジアゼパム、temazepamであった。主要アウトカムは、初回薬物投与から12ヵ月以内の自殺未遂とした。 主な結果は以下のとおり。・基準を満たした患者34万8,449例を、ゾルピデムと一致した薬物クラスにより3つのバランスの取れたコホートを作成した。・投与量、メンタルヘルス健康歴、疼痛薬と中枢神経系薬の投与歴で調整した後、ゾルピデムと比較したハザード比は以下のとおりであった。●トラゾドン200mg未満(HR:1.61、95%CI:1.07~2.43)●鎮静性抗ヒスタミン薬(HR:1.37、95%CI:0.90~2.07)●ベンゾジアゼピン系薬(HR:1.31、95%CI:0.85~2.08) 著者らは「自殺未遂リスクは、トラゾドン200mg未満において、ゾルピデムと比較し、61%高かった。鎮静性抗ヒスタミン薬とベンゾジアゼピン系薬では、有意な差が認められなかった」としている。

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第2世代抗精神病薬経口剤の長期有効性~メタ解析

 統合失調症の維持療法においては、第2世代抗精神病薬(SGA)の使用が推奨される。しかし、各SGAの長期有効性の違いは、明らかとなっていない。慶應義塾大学の岸本 泰士郎氏らは、統合失調症および関連疾患におけるSGAの有効性を直接比較した6ヵ月以上のランダム化試験について、システマティックレビュー、メタ解析を実施した。World psychiatry誌2019年6月号の報告。 主要アウトカムは、全原因による中止とした。副次アウトカムは、精神病理、無効および忍容性に関連した中止、再発、入院、寛解、機能、QOL、有害事象を含む有効性および忍容性とした。プールされたリスク比(RR)および標準化平均差(SMD)の算出には、ランダム効果モデルを用いた。 主な結果は以下のとおり。・59研究(4万5,787例、持続期間47.4±32.1週[24~186週])からの有効性、忍容性の結果において、SGAの一貫した優位性は認められなかった。・全原因による中止では、クロザピン、オランザピン、リスペリドンは、他のSGAよりも有意に優れていたが(p<0.05)、クエチアピンは他のSGAよりも劣っていた。・精神病理学的側面では、クロザピン、オランザピンは他のSGAよりも優れていたが、クエチアピン、ziprasidoneは、他のSGAよりも劣っていた。・他の有効性アウトカムに関するデータは、希薄であった。・忍容性に関連した中止では、他のSGAと比較し、リスペリドンは優れており、クロザピンは劣っていた。・体重増加については、オランザピンは、クロザピンを除く他のすべてのSGAよりも悪く、リスペリドンは、いくつかのSGAよりも有意に悪かった。・パーキンソン症候群については、オランザピンは、リスペリドンよりも優れていたが、アカシジアについては有意な差が認められなかった。・鎮静および傾眠作用については、クロザピンおよびクエチアピンは、他のSGAよりも有意に悪かった。 著者らは「本検討により、さまざまなSGAの長期有効性および忍容性のパターンが明らかとなった。特定のSGAにおける長期的なリスクとベネフィットのプロファイルは、維持療法の治療効果を最適化するため、個々の患者に合わせて調整する必要がある」としている。

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中等症~重症ARDS、早期神経筋遮断薬は無益か/NEJM

 中等症~重症の急性呼吸促迫症候群(ARDS)患者において、早期cisatracurium持続注入と深鎮静を行っても、ルーチンの神経筋遮断を行わず目標鎮静深度がより浅い通常治療を行った場合と比べて、90日院内死亡リスクは減少しないことが示された。米国・国立心臓・肺・血液研究所(NHLBI)が資金援助するPETALネットワーク(Clinical Trials Network for the Prevention and Early Treatment of Acute Lung Injury)が、1,000例超の患者を対象に行った無作為化比較試験で明らかにした。NEJM誌2019年5月19日号掲載の報告。両群ともに高PEEP時の戦略を含む人工呼吸管理を実施 研究グループは、中等症~重症のARDS患者(動脈酸素分圧/吸入酸素濃度比150mmHg未満、呼気終末陽圧[PEEP]8cmH2O以上と定義)を無作為に2群に分け、一方にはcisatracuriumの48時間持続注入と深鎮静を同時に行い(介入群)、もう一方にはルーチンの神経筋遮断は行わず目標鎮静深度がより浅い通常治療を行った(対照群)。人工呼吸管理に関する方針は両群で同一で、高PEEP戦略などを含んでいた。 主要エンドポイントは、90日時点のあらゆる院内死亡だった。90日院内死亡率、両群ともに約43% 本試験は、無益性を理由に2回目の中間解析後に中止となった。 2016年1月~2018年4月に、米国48病院で4,848例がスクリーニングを受けて、中等症~重症のARDSで、発症後間もない(発症後の経過時間の中央値7.6時間)1,006例が主要解析に包含された。 無作為化後48時間以内にcisatracuriumの持続注入を行ったのは、介入群501例中488例(97.4%)で、注入時間中央値は47.8時間、投与量中央値は1,807mgだった。対照群で48時間以内に神経筋遮断薬を投与されたのは、505例中86例(17.0%)で投与量中央値は38mgだった。 90日院内死亡率は、介入群42.5%(213例)、対照群42.8%(216例)であり、両群で同等だった(群間差:-0.3ポイント、95%信頼区間[CI]:-6.4~5.9、p=0.93)。 なお入院中、介入群は対照群に比べ身体活動度が低く、有害心血管イベントの発生率が高かった。3、6、12ヵ月時点に評価したエンドポイントに関する群間差は一貫して認められなかった。

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日本人統合失調症患者に対するブロナンセリンとハロペリドールの二重盲検ランダム化比較試験

 以前、CNS薬理研究所の村崎 光邦氏が、統合失調症患者に対するブロナンセリンの有効性および安全性について、ハロペリドールとの比較を行った日本の多施設共同ランダム化二重盲検試験を日本語で発表した。米国・マイアミ大学のPhilip D. Harvey氏らは、以前報告されたプロトコルごとのデータセットの代わりに完全な分析データセットに基づく試験結果を提示し、統合失調症の薬理学的治療の最新知識に照らし合わせて、調査結果についての議論を行った。Neuropsychopharmacology Reports誌オンライン版2019年4月30日号の報告。 対象患者265例は、ブロナンセリン(8~24mg/日)またはハロペリドール(4~12mg/日)の1日2回8週間投与に、ランダムに割り付けられた。有効性の評価には、臨床全般印象改善度(CGI-I)および陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)を用いた。 主な結果は以下のとおり。・試験終了時のCGI-I改善率において、ブロナンセリンはハロペリドールに劣ることなく、10%のマージンを示した(60.5% vs.50.0%、p<0.001)。・PANSS合計スコアの減少については、両群間で差は認められなかった(-10.3 vs.-7.1)。・PANSS陰性症状スコアの減少は、ハロペリドールよりもブロナンセリンで有意に大きかった(p=0.006)。・ブロナンセリンは、忍容性が良好であった。・有害事象発生率は、両群間で同様であった。・錐体外路系有害事象、鎮静、低血圧、プロラクチン上昇の発生は、ハロペリドールよりもブロナンセリンで低かった。・臨床的に重要な体重増加は、認められなかった。 著者らは「統合失調症治療において、ブロナンセリンはハロペリドールと同様に効果的である。そして、ブロナンセリンは、ハロペリドールと比較し、錐体外路症状のリスクが低く、陰性症状に対してより効果的である」としている。

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女性へのゾルピデム使用リスク

 2013年、女性に対するゾルピデム就寝前投与は、昼間の鎮静リスクを上昇させ、運転技能の低下を来すことを示す新たなデータの存在をFDAが報告した。これには、女性では男性と比較し、ゾルピデムの代謝クリアランスの減少および朝の血中濃度の上昇が影響していると推定される。このことから、FDAは、女性へのゾルピデム推奨投与量を、男性の50%まで減量するよう指示した。しかし、世界的にどの規制当局においても同様な指示は出ていない。米国・睡眠障害研究センターのDavid J. Greenblatt氏らは、女性へのゾルピデム使用リスクについて、レビューおよび評価を行った。Journal of Clinical Psychopharmacology誌2019年5月号の報告。ゾルピデムの男女差は臨床試験では実証されていない ゾルピデムの薬物動態、薬力学、有害事象、臨床的有効性、運転能力に対する男女差の影響を評価するため、文献レビューとともにこれまでの研究データをさらに分析した。 ゾルピデムの薬物動態などに対する男女差の影響を評価した主な結果は以下のとおり。・女性では、男性と比較し、ゾルピデムの見かけのクリアランスが平均35%低いことが示唆された(236 vs.364mL/分、p<0.001)。・この違いは、体重による影響を受けていなかった。・いくつかの臨床試験において、同用量を服用している場合、男性よりも女性において機能障害が大きかったが、すべての研究において、経口投与8時間後における活性薬物は、プラセボ群と区分できなかった。・路上走行試験でも同様に、経口即時放出型ゾルピデム10mg投与8時間後において、男性および女性に運転障害があることは示されなかった。・ゾルピデムの臨床的有効性および有害事象における男女差は、臨床試験では実証されておらず、女性において特別なリスクがあることは示されなかった。 著者らは「女性に対するゾルピデム投与量減量は、入手可能な科学的根拠では裏付けられていない。過少投与が不適切な不眠症治療につながり、その結果として起こるリスクを上昇させる可能性がある」としている。■関連記事ゾルピデム処方と自動車事故リスク睡眠薬使用は自動車事故を増加させているのか日本人高齢者の不眠、男女間で異なる特徴:岡山大

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「働き方改革」一歩前進へ-ロボット麻酔システム-

 2019年4月16日、福井大学医学部の重見 研司氏(麻酔・蘇生学教授)、ならびに松木 悠佳氏(同、助教)とその共同研究者らは、全身麻酔の3要素である鎮静・鎮痛・筋弛緩薬をすべて自動的に制御する日本初のシステムについて厚生労働省で記者発表した。本会見には共同研究者の長田 理氏(国立国際医療研究センター麻酔科診療科長)、荻野 芳弘氏(日本光電工業株式会社 呼吸器・麻酔器事業本部専門部長)も同席し、実用化に向けた取り組みについて報告した。なぜ麻酔システムを開発したのか 近年、全身麻酔が必要な手術件数は全国的に年々増加傾向にある。他方で、医師の「働き方改革」が叫ばれているが、医師偏在など問題解決の糸口は未だ見えていない。これに対し、労働時間の削減とともに質の担保が不可欠と考える重見氏は、「血圧測定や人工呼吸は看護師による手助けを要する。しかし、容態安定時や、繰り返しになるような単純作業は、機械の助けを借りることで“ついうっかり”がなくなり、安全面にも貢献する」と述べ、「機械補助によって麻酔科医の業務負担が劇的に軽減される。働き方改革と医療の質のバランスをとるための技術が必要」と、開発の経緯を語った。機械化のメリットとは ロボット麻酔システムは、“ロボット”と銘打っているが、実は、制御用のソフトウェアのことを指す。このシステムは、脳波を用いて薬剤を自動調節するため、医療ビッグデータやAIに頼らずとも、麻酔薬を至適濃度に保つことができる。 このシステムは、1)バイタルサインを測定し、催眠レベルの数値、筋弛緩状態を出力するモニター、2)制御用コンピューター、3)麻酔薬3種を静脈に注入するシリンジポンプの3つで構成されている。また、重見氏によると「麻酔科医の生産性・患者QOL・医療経済性の向上、患者安全への寄与、さらには、“診断”を加味して“加療”するシステム」という点が特徴だという。 期待できる業務として、鎮痛・鎮静・筋弛緩薬の初回投与および投与調節、脳波による鎮静度評価、筋弛緩薬の投与調節があり、本システムは婦人科の腹腔鏡手術、甲状腺、腹部などの脳波モニターに影響を及ぼさない術野での使用が可能である。松木氏は「これらを活用することで、麻酔科医の時間的余裕が生まれ、容態急変時など患者の全身状態の看視に注力ができる」と、麻酔科医と患者の両者における有用性について語った。実用化までの道のり これまで、2017年より2つの予備研究を実施し100例近くのデータ収集を行うことで、自動制御に関するアルゴリズム改善に役立ててきた。今年3月より臨床研究法に則り、特定臨床研究として、ロボット麻酔システムを使用し、全身麻酔時に使用する静脈麻酔薬の自動投与調節の有効性と安全性の検討に関する対象無作為化並行群間比較試験を開始。目標症例数は福井大学と国立国際医療研究センターを併せて60例とし、2019年9月までを予定。現時点ですでに21例が登録を終えている。今後、治験などを経てシステム運用のための講習会の企画や2022年の発売を目指す。■関連記事ソーシャルロボットによる高齢者の認知機能検査の信頼性と受容性

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ICU重症例への心理学的介入、PTSD症状を改善するか/JAMA

 集中治療室(ICU)に入室した重症患者では、看護師主導による予防的な心理学的介入を行っても、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の症状は軽減しないとの研究結果が、英国・University College London Hospitals NHS Foundation TrustのDorothy M. Wade氏らが行ったPOPPI試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年2月19日号に掲載された。ICU退室後6ヵ月のアウトカムに関するメタ解析では、臨床的に重要なPTSD症状の有病率は25%とされる。ICU入室中の急性ストレスや恐怖体験(幻覚、偏執性妄想、悪夢)の記憶は、PTSD症状などの長期的な心理学的合併症の独立のリスク因子であり、その予防への取り組みは退室後では遅すぎ、ICUで行う必要があるという。外傷でICUに入室した患者では、ICUでの臨床心理士との面談で、PTSD症状の経験が減少するとの報告がある。24のICUが参加したクラスター無作為化試験 本研究は、ICUで開始された看護師主導による複合的な心理学的予防介入が、患者報告による6ヵ月後のPTSD症状の重症度を軽減するかを検討するクラスター無作為化試験である(英国国立健康研究所[NIHR]の助成による)。 英国の24のICUが登録され、介入群または対照群に12施設ずつが無作為に割り付けられた。試験参加者は、年齢18歳以上、ICU入室から48時間以上が経過し、この間にレベル3(intensive)の治療を受け、意思決定能力が回復した重症患者であった。 介入群のICUでは、ベースラインの期間中(1~5ヵ月)に通常治療を行った後、訓練を受けた看護師により高リスク(急性の強いストレス下にある)患者に対し、複合的な心理学的予防介入が実施された。介入は、ICUの治療環境に加え、3つのストレス支援のセッションと、リラクゼーション・リカバリー・プログラムの推進で構成された。対照群のICUでは、ベースライン期および介入期ともに通常治療が行われた。 主要臨床アウトカムは、PTSD症状スケール自己報告(PSS-SR)質問票による、6ヵ月時の生存者のPTSD症状の重症度とした。PSS-SR質問票は、0~51点でスコア化され、点数が高いほど症状の重症度が高い。臨床的に意義のある最小変化量は4.2点とされた。副次アウトカムも、全項目で有意差なし 2015年9月~2017年1月の期間に1,458例(平均年齢58[SD 16]歳、599例[41%]が女性)が登録され、試験を完遂した1,353例(93%)が最終的な解析に含まれた。 主要臨床アウトカムは達成されなかった。介入ICU群のPSS-SR質問票の平均スコアは、ベースライン期が11.8点であったのに対し、介入期は11.5点であった(差:-0.40、95%信頼区間[CI]:-2.46~1.67)。また、対照ICU群ではそれぞれ10.1点、10.2点(0.06、-1.74~1.85)だった。6ヵ月時のPTSD症状の重症度の両群間の差は有意ではなかった(推定治療効果[差分の差分]:-0.03、95%CI:-2.58~2.52、p=0.98)。 副次アウトカムも、2つの短期的アウトカム(30日までの非鎮静での生存日数、ICU入室日数)および4つの6ヵ月時のアウトカム(PSS-SR質問票スコアがその時点およびその後のPTSDを予測する閾値[18点]以上の患者の割合、Hospital Anxiety and Depression Scale[HADS]で評価した不安スコア、HADSによる抑うつスコア、EQ-5D-5Lで評価した健康関連QOL)のすべてにおいて、有意差のある結果は得られなかった。 また、事前に規定されたサブグループ(年齢、性別、重複剥奪指標、せん妄の発現日数、STAI-6で評価した不安、手術の種類など)のいずれにおいても、有意差のある結果は認めなかった。 著者は、有効性が示せなかった原因として、(1)ストレス支援セッション開始のタイミングが早すぎた、(2)3セッションすべてを受けたのは全例ではなかった、(3)ICU看護師は専門家ではないため目的どおりにセッションを行うのが困難だったなどの可能性を挙げている。

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ネコ型ロボット、せん妄に有効

 せん妄は入院患者に多く発症し、入院期間、死亡率、および長期的な認知の転帰など負の予測因子に強く一貫している。せん妄に関連する症状としては、集中力の低下、睡眠障害、精神運動興奮、および情緒障害が含まれる。また、せん妄による行動障害の管理は困難であり、せん妄の持続期間または重症度を軽減するために、初期の身体離床、方向転換、自然な睡眠パターンを高めるための試み、およびベッドサイドのシッターなどの非薬理学的手段が提唱されているが、それらを超える確立された治療は限られている。今回、米国・Albany Medical CenterのJoshua S-M氏らは、ペット型ロボットによるICUでのせん妄患者による行動障害軽減の可能性を明らかにした。The American Journal of Medicine誌2月7日号掲載の報告。 近年、ペット型ロボットの使用は、認知症の特別養護老人ホームに入居する患者の興奮抑制に役立つと報告されている。認知症はせん妄の主要な危険因子であるため、病院内でこれらが役立つかどうかが推測されている。研究者らは、せん妄を持つICU患者に対し、非薬理学的行動介入としてペット型ロボットの使用に関する実現の可能性を評価するために、パイロット試験を行った。 研究者らは、2017年7~12月に、当院のICUでせん妄治療を受けている20例に対し、ICUにおけるせん妄評価法(CAM-ICU)で評価を実施。患者の代理人は、書面による同意説明後、new Joy For All robotic cat(Hasbro、RI:ネコ型ロボット)を受け取った。このネコは電池式で、触るとゴロゴロ、ニャーなどの鳴き声を発する。患者、家族、そしてベッドサイドの看護師は、このネコの使用を勧められた。ICUへ入室3日目に、患者(可能なら)とその家族(すぐに可能なら)に対して、5つの質問を行い、体系化されていないフィードバックを求めた。同じ調査をすべてのICUの看護師、サポートスタッフ、および医師に電子メールで送信した(n=400)。調査の質問事項は、リッカート尺度を用いて5段階で評価した(1:強く反対~5:強く同意する)。 主な結果は以下のとおり。・患者/家族全体のうち23件、ICUサポートスタッフから70件の結果が報告された。・患者20例の年齢中央値は73歳(26~94歳)で、50%が女性だった。・ICUでの1次診断は65%が内科的、35%が外科的であった。・調査登録前に投与された薬は、鎮静薬:85%、ベンゾジアゼピン系:55%、抗精神病薬:30%だった。・ミトンは65%、拘束は40%の患者にされていた。・全体として、患者/家族および臨床スタッフそれぞれ65%が、ネコ型ロボットの使用によって落ち着いたと回答。また、回答者の70%以上が、ネコ型ロボットによる臨床ケアの妨害はなかったと回答した。・回答者の大多数は、ネコ型ロボットがICU患者へ将来的な役割を果たす可能性があることに同意した(患者/家族:95%、スタッフ:72%)。・介入は簡潔、目立たず、安全で低コストだった。・ペット型ロボットは一般的に患者、家族、そしてスタッフに好評だった。・主な不満や参加辞退の理由は、「イヌ型ロボットがなかった」というもので、最も多かったのは、「ネコ型同様にイヌ型ロボットを提供してほしい」という声だった(コメントの20%)。 本試験の見解は研究デザインとサンプルサイズによって制限されており、実現の可能性の探索研究であったため、対照群の登録はない。しかし、これはICU環境でのペット型ロボットによる初の研究で、この研究の終了以降、せん妄のある特定の患者へペット型ロボットの利用についてICUの看護師から問い合わせが増えている。 潜在的には、ペット型ロボットの使用および同様の介入は、患者および家族の経験を改善しながら、向精神薬の使用および拘束の必要性を減らすことができる。さらに、そのような装置はほかの入院患者(小児科、脳外傷など)、または重症度が低いユニットにおいてもいっそう役立つかもしれず、今後、より大規模な検証が求められる。

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脳波に基づく麻酔薬の調節、術後せん妄を抑制せず/JAMA

 大手術を受けた高齢患者の術後せん妄の予防において、脳電図(EEG)ガイド下麻酔薬投与は、通常治療と比較して有効ではないことが、米国・セントルイス・ワシントン大学のTroy S. Wildes氏らが行ったENGAGES試験で示された。研究の詳細は、JAMA誌2019年2月5日号に掲載された。術中EEGにおける脳波の平坦化(suppression)は過剰に深い全身麻酔を示唆することが多く、術後せん妄と関連するとされる。術後せん妄の抑制効果を検討する単施設無作為化試験 本研究は、EEGの脳波図に基づき麻酔薬の投与を調節するアプローチによる、術後せん妄の抑制効果の評価を目的に、単施設(米国、セントルイス市のBarnes-Jewish病院)で行われたプラグマティックな無作為化臨床試験である(米国国立衛生研究所[NIH]の助成による)。 患者登録は、2015年1月~2018年5月の期間に実施され、フォローアップは2018年7月まで行われた。対象は、年齢60歳以上、大手術を施行され、全身麻酔を受ける患者であった。被験者は、EEGガイド下麻酔薬投与または通常の麻酔治療を行う群に無作為に割り付けられた。 主要アウトカムは、術後1~5日におけるせん妄の発症とした。せん妄の評価には、confusion assessment method(CAM)またはCAM for the intensive care unit(CAM-ICU)が用いられた。術中に、麻酔薬濃度、EEG suppression、低血圧の評価が行われた。せん妄発症率:26.0 vs.23.0%、最近のメタ解析と対照的な結果 1,232例(年齢中央値:69歳[範囲:60~95歳]、女性:563例[45.7%])が無作為割り付けの対象となり、このうち1,213例(98.5%、EEGガイド麻酔群:604例、通常麻酔治療群:609例)で主要アウトカムの評価が行われた。 術後1~5日におけるせん妄は、EEGガイド麻酔群では604例中157例(26.0%)、通常麻酔治療群では609例中140例(23.0%)に認められ、両群間に有意な差はなかった(差:3.0%、95%信頼区間[CI]:-2.0~8.0、p=0.22)。 呼気終末揮発性麻酔薬濃度(最小肺胞濃度[MAC])中央値は、EEGガイド麻酔群が通常麻酔治療群に比べ有意に低く(0.69 vs.0.80、差:-0.11、95%CI:-0.13~-0.10)、EEG suppressionの累積時間中央値(7 vs.13分、-6.0、-9.9~-2.1)およびバイスペクトラルインデックス(BIS、0~100、スコアが低いほど催眠[鎮静状態]が深い)<40の累積時間中央値(32 vs.60分、-28.0、-38.0~-18.0)もEEGガイド麻酔群で有意に短かった。平均動脈圧<60mmHgの累積時間中央値は、両群間に差はなかった(7 vs.7分、0.0、-1.7~1.7)。 術中の望ましくない体動は、EEGガイド麻酔群が137例(22.3%)と、通常麻酔治療群の95例(15.4%)よりも多く認められた(差:6.9%、95%CI:2.5~11.4、p=0.002)。術中の記憶をともなう覚醒は両群ともにみられなかった。術後の悪心・嘔吐は、それぞれ48例(7.8%)、55例(8.9%)で発現した(-1.1%、-4.3~2.1、p=0.49)。 重篤な有害事象の発症は、EEGガイド麻酔群が124例(20.2%)、通常麻酔治療群は130例(21.0%)と報告された(差:-0.8%、95%CI:-5.5~3.8、p=0.72)。術後30日以内に、EEGガイド麻酔群の4例(0.65%)、通常治麻酔療群の19例(3.07%)が死亡した(-2.42%、-4.3~-0.8、p=0.004)。 著者は、「これらの知見は、EEGガイドにより術後せん妄の発症が3分の1以上減少したとする最近のメタ解析と対照的な結果であるが、メタ解析に含まれた試験との方法論的な違い(麻酔技術、プロトコール順守、患者集団のリスクプロファイル、EEGガイドが麻酔管理に及ぼす影響、せん妄の確定の厳密さなど)が、この乖離をある程度説明できると考えられる」としている。

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統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビュー

 ブレクスピプラゾールは、日本、米国、EU(成人患者対象)など、各国において統合失調症治療薬として承認されている、経口非定型抗精神病薬である。ニュージーランド・SpringerのJames E. Frampton氏は、統合失調症に対するブレクスピプラゾールのレビューを行った。Drugs誌オンライン版2019年1月22日号の報告。 主なレビューは以下のとおり。・アリピプラゾールのように、ドパミンD2およびセロトニン5-HT1A受容体に対する部分アゴニスト作用と、セロトニン5-HT2A受容体に対するアンタゴニスト作用を有する薬剤である。・ブレクスピプラゾールはD2受容体への活性が低く、5-HT1A、5-HT2A、ノルアドレナリンα1B受容体への作用を併せ持つことで、アリピプラゾールよりも有害事象や錐体外路症状が少ないと推測される。・急性増悪を伴う統合失調症の成人患者に対するブレクスピプラゾール2~4mg/日での治療は、プラセボと比較し、全体の症状および心理社会的機能において、統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善が認められた。・維持療法におけるブレクスピプラゾール1~4mg/日での治療は、プラセボと比較し、再発までの時間を有意に遅らせ、症状および機能の安定化または継続的な改善が認められた。・ブレクスピプラゾールは、一般的に忍容性が高かった。有害事象プロファイルでは、賦活化および過鎮静の発現率が低く、QT間隔および代謝パラメータの変化はわずかで臨床的に有意ではなく、中程度の体重増加が認められた。 著者らは「これまでの臨床的エビデンスによると、ブレクスピプラゾールにより、統合失調症の治療選択肢がより良い方向へ広がることが示唆された」としている。■関連記事日本人統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの長期安全性・有効性に関する52週オープンラベル試験日本の急性期統合失調症患者に対するブレクスピプラゾールの有効性と安全性急性期統合失調症患者におけるブレクスピプラゾールの代謝パラメータや体重増加への影響

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不安や睡眠の質と飲酒との関係

 睡眠不足の人は、睡眠の質を高めるために不安を和らげようとするが、毎日の飲酒が不安や睡眠障害を緩和する要因であるかはよくわかっていない。台湾・輔仁大学のKe-Hsin Chueh氏らは、不安と睡眠の質との関連および毎日の飲酒が、睡眠不足の人の不安や睡眠の質に対し調整因子として働くかについて、検討を行った。The Journal of Nursing Research誌オンライン版2018年11月28日号の報告。 台湾北部で睡眠不足(ピッツバーグ睡眠質問票:5超)を報告した20~80歳の84例を対象に、横断研究を行った。毎日の飲酒を含む人口統計、不安のレベル、うつ病のレベル、睡眠の質を網羅した構造化された質問票を用いてデータを収集した。 主な結果は以下のとおり。・対象者は、女性の割合が高かった(72.6%)。・平均年齢は41.81歳(SD:12.62)であった。・不安の重症度の割合は、最小51.2%、軽度19.0%、中等度13.1%、重度14.3%であった。・重回帰分析を用いて睡眠の質に関連する因子で調整した結果、睡眠療法実施、毎日の飲酒、不安が睡眠の質不良の予測因子であった。・毎日の飲酒は、不安と睡眠の質との関連を緩和することが示唆された。 著者らは「睡眠不足の人は、睡眠の質不良や不安を自己治療するための誤った飲酒を避け、代わりに睡眠衛生教育とメンタルヘルスケアを利用するべきである。毎日の飲酒は、不安症状と睡眠の質との関係の調整因子となる可能性がある」としている。■関連記事不眠症とアルコール依存との関連入院患者の不眠症治療における催眠鎮静薬減量のための薬剤師介入睡眠薬使用で不眠症患者のQOLは改善するのか

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入院患者の不眠症治療における催眠鎮静薬減量のための薬剤師介入

 多くの患者において入院は不眠症の原因となり、通常は対症療法で治療が行われる。しかし、催眠鎮静薬の誤った使用は、とくに高齢入院患者において合併症と関連している。この合併症には、めまい、転倒、過鎮静が含まれる。このような潜在的な危険性のため、とくに高齢者においては、不眠症に対する催眠鎮静薬の広範な使用は、多くの病院で推奨されていない。サウジアラビア・King Abdulaziz University Faculty of PharmacyのAisha F. Badr氏らは、処方パターンの検討および評価を行い、地域病院における日々の薬剤師介入を通じた催眠鎮静薬の使用最適化について検討を行った。Saudi Pharmaceutical Journal誌2018年12月号の報告。 本研究は、前後比較研究として催眠鎮静薬の使用や合併症発症などについて、薬剤師による介入前と介入後で比較を行った。催眠鎮静薬の使用に関するデータを2ヵ月間レトロスペクティブに収集し、分析のために100例の患者サンプルをランダムに選択した。2ヵ月間のフォローアップでは、薬剤師1名が日々の処方を検討し、必要に応じて不要薬の中止や催眠鎮静薬の新規処方の勧告を行った。介入前後における結果は、患者の人口統計学的要因の違い、複数の催眠鎮静薬の処方、合併症の記録について比較を行った。 主な結果は以下のとおり。・薬剤師の介入により、97例の患者の25%が催眠鎮静薬を中止した。・複数の催眠鎮静薬を投与されている患者数は、介入後のほうが介入前よりも有意に少なかった(15例 vs.34例、p=0.0026)。・合併症の発生率は、介入前後で有意な差は認められなかった(過鎮静:p=0.835、転倒:p=0.185、せん妄:p=0.697)。 著者らは「救命救急を除く入院患者において、催眠鎮静薬の使用は広まっている。また、多くの患者が複数の催眠鎮静薬を服用している可能性もあり、潜在的な問題が蓄積する可能性がある。薬剤師介入により、催眠鎮静薬を処方されている入院患者の25%が使用を中止し、複数の催眠鎮静薬使用患者も有意に減少した。入院患者に対する不必要な催眠鎮静薬の使用を避け、薬剤師によるモニタリングが最適化されるよう、さらなる努力を行うべきである」としている。■関連記事ベンゾジアゼピン系薬の中止戦略、ベストな方法は不眠症におけるデュアルオレキシン受容体拮抗薬とその潜在的な役割に関するアップデートメラトニン使用でベンゾジアゼピンを簡単に中止できるのか

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