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変異型クロイツフェルト・ヤコブ病診断、有望な血液検査法を開発

 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)の診断のための血液検査法が、イギリス・ユニヴァーシティ・カレッジ・ロンドン神経学研究所のJulie Ann Edgeworth氏らによって開発され、今回、その有用性が確認された。vCJDは牛海綿状脳症様プリオンの曝露に起因する致死的な神経変性疾患で、プリオン感染後は長期の臨床的に無症状な潜伏期間がある。無症候性のプリオン感染者数は把握されておらず、輸血血液製剤、臓器や組織の移植片、汚染された医療機器を介する他者への感染リスクが懸念されている。Lancet誌2011年2月5日号(オンライン版2011年2月3日号)掲載の報告。正常対照100人を含む190人の血液サンプルを分析 研究グループは、vCJDプリオン感染を検出する血液検査法を開発し、その感度および特異度を確認するための検討を行った。 190人の血液サンプル(vCJD 21例、散発性CJD 27例、他の神経疾患42例、正常対照100人)のパネルを用いて、内因性vCJDの検出の感度および特異度を分析した。 血液サンプルは盲検化されて個々に番号が付され、2回ずつの検査が行われた。2回の検査ともに反応がみられたサンプルのみを陽性とした。感度:71.4%、特異度:100% 10(−10)に希釈された内因性vCJDプリオン感染脳の化学発光シグナルの平均値が1.3×10(5)[SD 1.1×10(4)]であったのに対し、10(−6)希釈正常脳は9.9×10(4)[SD 4.5×10(3)]であり、両者は明確に識別が可能であった(p<0.0001)。 15サンプルが陽性と判定された。そのすべてがvCJD例のサンプルであり、本検査法の感度は71.4%(95%信頼区間:47.8~88.7)、特異度は100%(同:97.8~100)であった。 著者は、「本法は、症状のみられる患者のvCJD診断における血液検査のプロトタイプであり、無症候性のvCJDプリオン感染の大規模なスクリーニング法の開発につながる可能性がある」と結論している。

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トロンボポエチン受容体作動薬eltrombopag、特発性血小板減少性紫斑病に有用

eltrombopagは、慢性免疫性血小板減少(特発性血小板減少性紫斑病:ITP)の管理に有用であり、特に脾臓摘出などの治療に反応しなかった患者にベネフィットをもたらす可能性があることが、中国・香港中文大学のGregory Cheng氏らによる検討で明らかとなった。ITPでは、抗血小板抗体によって血小板の破壊が増進されるとともに巨核球からの血小板の放出が抑制されるため、軽度~重度の出血をきたす。eltrombopagは経口投与が可能な小分子の非ペプチド性トロンボポエチン受容体作動薬で、ITPのほかC型肝炎やがんの化学療法に伴う血小板減少の治療に使用されている。Lancet誌2011年1月29日号(オンライン版2010年8月24日号)掲載の報告。6ヵ月治療のプラセボ対照無作為化第III相試験研究グループは、ITPに対するeltrombopagとプラセボの効果、安全性を評価する二重盲検無作為化第III相試験を実施した。対象は、6ヵ月間以上の治療を受け、ベースラインの血小板数が<30,000/μLの成人ITP患者。これらの患者が、各国の標準治療+eltrombopag 50mg/日を投与する群あるいは標準治療+プラセボを投与する群に無作為に割り付けられ、6ヵ月間の治療が行われた。患者、医師、データの評価者には治療割り付け情報は知らされなかった。用量は治療への反応としての血小板数の変動に基づいて調節した。治療への反応(血小板数:5万~40万/μLと定義)は、最初の6週間は毎週1回、その後は少なくとも4週に1回評価した。主要評価項目は、上記の定義による治療への反応とし、intention-to-treat解析を行った。血小板数が増加、レスキュー治療や重度出血は減少2006年11月22日~2007年7月31日までに23ヵ国75施設から197例が登録され、eltrombopag群に135例が、プラセボ群には62例が割り付けられた。治療期間中に1回以上の治療への反応が確認された患者は、eltrombopag群が79%(106例)、プラセボ群は28%(17例)であり、オッズ比は8.2(95%信頼区間:3.59~18.73)と有意な差が認められた(p<0.0001)。併用された標準治療の減量が可能となったのは、eltrombopag群の59%(37例)に対しプラセボ群は32%(10例)であり、有意差がみられた(p=0.016)。治療期間中にレスキュー治療(用量の増量、新たな治療の追加、血小板輸血、脾臓摘出)を要した患者は、eltrombopag群が18%(24例)と、プラセボ群の40%(25例)に比べ有意に良好であった(p=0.001)。血栓塞栓イベントは、eltrombopag群の2%(3例)にみられたが、プラセボ群では認められなかった。ALT値の軽度上昇がeltrombopag群の7%(9例)、プラセボ群の3%(2例)に、総ビリルビン値の上昇がeltrombopag群の4%(5例)に認められた(プラセボ群は0%)。重度出血イベントは、eltrombopag群が<1%(1例)であったのに対し、プラセボ群は7%(4例)で発生した。著者は、「eltrombopagはITPの管理に有用であり、特に脾臓摘出などの治療に反応しなかった患者にベネフィットをもたらす可能性がある」と結論した上で、「これらのベネフィットを選択する場合は、eltrombopag治療に伴う潜在的なリスクとのバランスを十分に考慮して決めるべきである」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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副院長 教授 加藤良二 先生「人を助けるために何かをしたい。その動機が医師の原点となる」

1952年9月25日生まれ。79年群馬大学医学部卒業。専門分野は消化器外科、呼吸器外科、外科免疫。平成21年東邦大学医療センター佐倉病院副院長就任。日本外科学会認定医・指導医、日本胸部外科学会認定医、日本消化器外科学会認定医、日本がん治療認定医機構暫定教育医であり、日本気管食道科学会理事、日本癌治療学会代議員、日本臨床外科学会評議員、日本肺癌学会評議員他。理想とするこれからの外科手術外科手術の習得は決して平易ではありません。人の身体にメスを入れても平常心でいられるまでに十数年はかかります。さらに、外科の手技を習熟するまでは、寝ても覚めても頭の中でシミュレーションを繰り返し、開腹して速やかに対処できるようになるまでは、十数年はかかるでしょう。それまでは、実は怖いのです。正直に言えば最初の1、2年は怖くてしょうがない。5年、6年と経験を積んで後輩を指導する立場になっても、恐怖感をすべて拭えるわけではなく、一つの臓器担当チームのチーフになったとしても怖いという感覚はあります。そのチーフたちを束ねられるようになって、ようやく一人前の外科医になれたかな、と実感するのではないでしょうか。外科は守備範囲の広い分野です。近年では臓器別に守備範囲が細分化されています。しかし、私はむしろ広くあるべきで、外科医は昔のように、一人でどの臓器でもこなせるレベルを目指してほしいと思います。最初から限られた分野だけで臨床トレーニングを行っていると、他分野の進歩についていけず、総合的な臨床力が育成されないことが問題となります。これからの医療は複合的な疾患を持つ高齢者の割合が増えるため、広い臨床的視野が求められます。当科では外科学全般を習熟した後、それぞれの専門分野で臨床・研究活動を行うことが最善と考えております。これが、当外科の最大の特徴です。呼吸器でも消化器でも、外科手術全般においてまず学ぶ。つまり、外科手術の分野においてすべての症例に対応できる医師の育成という日本でも珍しいシステムを構築しています。消化器でも心臓でも当病院の外科に来れば何でも対応できるようになると自負しています。これこそ私の目指す外科医像であり、端的に言えば無医村へ行っても一人で対応できる外科医なのです。私が目指している「患者さんに優しい手術」の具体的なイメージは、笑われるかもしれませんが心霊手術です。患部を撫でたらスーッと切れて、腫瘍だけを取り除いて、またスーッと撫でたら傷も何も残らない。荒唐無稽と思うかもしれませんが、切られる方としては理想です。痛くないのですから。だから「こんなのができたら患者さんの負担がなくていいな、理想だな」と思っていました。すると内視鏡手術が発達してきた。昔だったら30cmも切っていたのに、今では1から3cm程度で済んでしまうことも多い。回復も早く理想に近づいていますよね。映画の『ミクロの決死圏』(20世紀フォックス)では、外科医(この場合は脳外科医)が小さくなって人体に入り込んで治療してしまいます。これはすごい。患者さんにとっては理想の低侵襲手術です。現実の世界では、人は小さくなれませんが、カプセル型の内視鏡を飲み込ませたり、血管の中をカテーテルで進んだりと、映画の世界にどんどん近づいてきています。外科医は法の下に人を切ることができるのです。いかに痛みの少ない手術をするか、それを考えることが外科医の使命でもあるわけです。「あれはオカルトだ」とか「SF映画だからだ」などと馬鹿にしないで、実現したら患者さんのためになることは、常に理想として頭の中に置いておき、少しでもそれに近づける努力をしなければいけないと思っています。模倣とシミュレーションで手術を構築する若手医師には「いい手術だと思ったら、そっくりまねをしなさい」と指導しています。立ち位置からものの言い方まで、すべてその人になりきって覚える。上手いと思った先生の模倣をしろ、ということです。物まねが上手というのもひとつの才能で、早く上手になる秘訣でもあります。なぜならば、より具体的なイメージがつかみやすいからです。上手だと思った先生のイメージを描いて自分の中でシミュレーションし、実践する。実践した中で"なんかおかしいな"と感じたら、そこで修正することができるようになるのです。もしもイメージシュミレーションができなかったとしたら、手術中に何か問題が起きたときに頭の中が真っ白になって、瞬時の対応ができなくなります。こんな時、あの先生だったらどうするかな?と考えられることが大事なのです。だからこそいろいろな場面に立ち会うことが大事で、少しでも多くの手技を学んで、覚えてほしいです。たとえば、初めて虫垂炎の手術を任されたとして、そのシミュレーションが即座に描けなければ実際の手術を遂行するのは無理でしょう。もしも手術を任される場面があったとして、1時間の手術だったとしたら、5分以内に収まるようなシミュレーションをする。もちろん実際に始めると1時間かかりますけどね。(笑)今の若い医師ができないのは、教えてもらうことに慣れてしまっていて、想像力が働かない。現在の教育の弊害というか、勉強とは自分で興味があるから覚えよう、役に立つから覚えようという明確なモチベーションがあってこそ学びますが、今はさしたる動機もなく「さぁ、覚えますから教えてください」というスタンスなのです。学びに対するハングリーさがないのは残念ですね。では、どうしたらいいか?自身の動機付け。なぜ医師になろうと思ったのか?自分の持っている医師としての理想の姿。それを思い出してほしい。そこから始めなければならないと思います。医師になったということは、人のために何かしたい、何かしなくちゃいけない、と思ったはずです。その気持ちを大事にしてもらいたい。その上で人の役に立つためには自分は何をすべきなのかを考えるようにして欲しいです。習得したことはすべて伝播したいこれから私のなすべきことは、教育です。この先教授でいられるのは、あと7、8年。その間に自分の技術を伝えること。今まで私が培ってきたものを、瞬時にして伝えることができたらどんなにいいだろうか、と思います。若手には、気兼ねなくどんどん質問してきてほしいです。何でも教えます。先ほども触れましたが、よいと思ったことはどんどんまねて欲しいです。実は、教えている方も、若い人の手術を見ていて「あっ、こいつは俺のまねをしているな」ってわかった瞬間、すごく嬉しいものなのです。これまで私は、年間約300例、一時は約500例の手術をこなしてきました。それこそ首からお尻まで何でもやりました。消化器だけとか、肺だけとか区切りをつけずにやってきました。今年の正月も、腹腔鏡下虫垂切除術と大腸穿孔の手術をしました。腹腔鏡下虫垂切除術は1月1日、除夜の鐘を聞きながらの執刀でした。何も特別な疾患があって私が執刀したのではなく、当直が一番若い医師だったので「ちょうどいい機会だから直接指導できるな」と思ったのです。昼間のスケジュールに組み込まれた手術は、時間が限られていますが、この場合のようにイレギュラーですと急ぐ必要もないからじっくりと丁寧に指導できるのです。このような機会を得たときに「自分はラッキーだ」と後輩が思ってくれれば嬉しいですね。私達が若いときは、みんな進んで当直しました。多いときで26日、平均20日間くらいは医局に寝泊まりしていました。もう、下宿なんか引き払おうと思ったくらいでしたよ(笑)。たくさんの患者さんを診たい、その一心でした。もちろん毎晩患者さんが来るわけではないのですが、だからこそ毎晩でも当直したかった。昼間の手術なら新人は術野もまともに見られないような手伝いでしたが、夜なら重要な役割をさせてもらえたからです。そういう機会を少しでも得たいと思っていました。今の学生にもそんな気持ちを持ってほしいですね。だからといって無理はいけません。過労死したら元も子もありませんからね。これからも私は"人を助けるために仕事をしている"という初心を忘れない。そして私の理想とする医療を実現するために、常に自身を新陳代謝させて、よいと思ったことは何でも取り入れるように心がけています。大親友の死を期に決意した医師への道医師になろうと思ったきっかけは、小学校の低学年のときに読んだ野口英世の伝記でした。ただ、私が感銘したのは英世にではなく、彼の手を治した医師(現在の形成外科医?)でした。英世の母親は、自分がちょっと目を放した隙に大事な息子の手に大火傷を負わせてしまった。そのことに責任を感じ、悔やみます。そして、少しでも楽に手が使えるように……と願います。後に英世の恩人となる医師によって手の機能が回復し、英世の人生は大きく変わります。つまり、医学の力で手の機能が回復したことによって、その人の人生が大きく変化しただけでなく、母親の気持ちまでをも救えた医師に感動したのです。その事実に気付いたとき、私は医師になりたいと思いました。また、私の出身地である大分県国東半島では、当時風土病とまで言われるほど成人のT細胞白血病発症者が多い地域で、1学年で同級生が1人、2人と亡くなっていました。その頃の治療法は輸血しかなく、採血したばかりの血を直接患者さんに輸血していました。輸血された同級生が「温かい、温かいよ、良ちゃん、ありがとう」って力なく言うのです。その姿を見てますます医師になることへの使命感が高まりました。決して忘れることができないのは、高校生のときに喘息を患っていた大親友がいました。彼とは毎晩一緒に受験勉強をしていました。高校生最後の運動会に、私が応援団長で、彼が私のために太鼓を叩く役を買って出てくれました。そのおかげか、優勝して終えることができました。その夜、夕食時に彼の家族から電話があって「息子は、今日は具合が悪いから一緒に勉強できない」という伝言を受けたのです。1ヵ月前には民間療法の断食道場に行っていて「調子がよくなった」と言っていた矢先だったのですが、運動会の疲れが出たのでしょうか。脱水から来る喘息の重積発作を起こしてその日のうちに亡くなりました。悔しかった。当時の自分は何もできなくてね。この時、医師になると決心しました。深刻な外科医不足と医療の安全管理の問題点深刻なのは外科医不足であること。今は産婦人科医や小児科医の減少が社会問題となっていますが、実は一番減少率が高いのは18%と報告された外科医です。日本外科学会の会員数は約3万5千人で、現役の医師が多く活躍していることから、今まで減少率はあまり問題視されていませんでした。しかし、あと10年もすれば外科医の多い私たちの世代が引退となるので、外科医不足になるのは明らかです。これは由々しき問題です。もしこの先、私に手術が必要になったら誰にやってもらうのだろうと思うと、自分にとっても切実な問題です。人気不足の原因は3K (きつい、汚い、危険)にあるといわれています。以前は、3Kを上回るステイタスがありました。外科医はキング・オブ・ドクターと呼ばれることもありましたが、現在はどうでしょう? 外科は平均的にみて、裁判で訴えられるリスクが比較的高いというデータが検証されています。 けれども、医療ほど不確かなものはない。先進医療ほど不確かです。病院へ行けば皆助かると思っているけれども、病院は亡くなるところでもあるのです。手術がうまくいったからといって助かるとは限らないのです。では、その保障は誰がするのかというと、これは難しい問題です。たとえば、航空機に乗って事故が起きれば保険がおりますが、病気にはこのような事故に対する補償制度はありません。医療保険や医師賠償制度は別として、医療過誤や過失でなく合併症や偶発症によって亡くなった場合の補償がありません。家族あるいは遺族が無念さや怒りのやり場を病院や医療関係者に向けているのが現状です。それはマスコミの煽りによるものも少なくないでしょう。患者さんもしくはそのご家族に何かしてあげたいと思っても、個人の力ではどうしようもありません。そこで、もし過失もないのに招いてしまう不幸な結果に対して何か補填する制度があれば、訴訟も少なくなると思います。その怒りや憤り、悲しみの矛先が、世界に誇れる日本の医療を支えている医師をはじめとした医療従事者に向けられているのは残念です。医療保険制度や政策を充実させて、少しでも患者さん本人や家族の痛みを和らげることができればと思っています。非常に不確かな医療であるからこそ無過失責任補償制度というのも考えるべき一つの方向であると思います。若い医師が訴訟を恐れて萎縮したり、本来の医療ができなくなるのは嘆かわしいことであり、患者さんやその家族が納得のいく方法を考えなければ、と思っています。これは、これからの医療にとって重大かつ深刻な問題です。だからこそ、最善の道を探るのも私自身の大きな課題と考えております。質問と回答を公開中!

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免疫性血小板減少症へのromiplostim治療、治療失敗および摘脾を低下

免疫性血小板減少症に対する治療薬として米国で上市されているromiplostimの、標準治療との比較による、有効性と安全性に関する52週の非盲検無作為化試験の結果が、NEJM誌2010年11月11日号で発表された。試験・報告は米国マサチューセッツ総合病院のDavid J. Kuter氏らによる。romiplostimは、血小板産生に関与するトロンボポエチン受容体に結合し作用を発揮する。これまでの試験で、有害事象がほとんどなく、成人患者に対する持続的投与で最大5年間、血小板増加作用があることが認められていた。標準治療との比較で52週追跡免疫性血小板減少症の米国における標準治療は、副腎皮質ステロイド、免疫グロブリン、抗D免疫グロブリンをファーストラインとし、アザチオプリン(商品名:イムランなど)、リツキシマブ(同:リツキサン)などの薬物療法、摘脾をセカンドラインとする。成人患者の多くがセカンドラインを要し、摘脾となった患者の3分の2は5年間は付加的治療を必要としないが、一方で感染症や血栓症などの周術期・術後合併症で死亡する例も少なくない。また、併存症により摘脾が禁忌の患者もいる。そこでKuter氏らは、romiplostimのこれまでの知見から、romiplostim投与が、摘脾の回避や実施延期を望む患者、摘脾禁忌の患者にとって、長期にわたる効果をもたらす治療となり得るのか検討を行った。試験は、2006年12月~2007年9月に北米、ヨーロッパ、オーストラリアの85施設で登録された、摘脾を受けていない免疫性血小板減少症成人患者234例を対象とし、標準治療を受ける群(77例)か、週1回romiplostim皮下注を受ける群(157例)に割り付け、52週にわたって追跡した。被験者は、一つ以上の免疫性血小板減少症治療を受けており、試験前血小板数50×10(9)/L未満、平均年齢57歳だった。主要エンドポイントは、治療失敗および摘脾となった割合。副次エンドポイントは、血小板反応[定期受診時に50×10(9)/L超]、安全性アウトカム、QOLなどだった。標準治療とのオッズ比、治療失敗0.31、摘脾割合0.17結果、romiplostim治療群の血小板反応は、標準治療群の2.3倍を示し(95%信頼区間:2.0~2.6、P<0.001)、治療失敗率はromiplostim治療群11%(18/157)、標準治療群30%(23/77)で、romiplostim治療群が有意に低かった(オッズ比:0.31、95%信頼区間:0.15~0.61、P<0.001)。摘脾の実行頻度も、各群9%(14/157)、36%(28/77)で、romiplostim治療群が有意に低かった(オッズ比:0.17、95%信頼区間:0.08~0.35、P<0.001)。また、romiplostim治療群は、出血イベントの発生率も低く、輸血量も少なく、QOLが大きく改善されていた。重度有害事象の発生は、romiplostim治療群23%(35/154)、標準治療群37%(28/75)だった。Kuter氏は、「romiplostim治療は標準治療よりも、血小板反応を高め、治療失敗や摘脾の割合を低下し、出血や輸血も減少させ、QOLを高めることが認められた」と結論している。(武藤まき:医療ライター)

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CABG周術期の輸血実施率、病院間で85%差以上と大幅なバラつき:米国

米国で冠動脈バイパス術(CABG)の術中・術後の輸血率は、医療機関によって85%差以上の大幅な格差があることが明らかになった。またその原因が、患者の年齢、性別、症状の程度といったケース・ミックスにあると説明できるのは、約2割程度だったという。周術期の輸血はコスト高の割に安全面に不安があり、実施を減らそうとの動きがある。しかし実施の現状については明らかになっていなかった。そこで米国Duke大学医療センター周術期臨床研究部門のElliott Bennett-Guerrero氏らが、10万人超のCABGを実施した患者について観察コホート試験を実行。JAMA誌2010年10月13日号で発表した。米国内798ヵ所、10万2,470人についてCABG周術期輸血率を調査研究グループは、2008年に全米798ヵ所の医療機関で、一つの血管に対する初回CABGを受けた人10万2,470人について調査を行った。主要評価項目は、術中・術後の赤血球輸血、新鮮凍結血漿輸血、血小板輸血のいずれかの実施率だった。被験者のデータは、Society of Thoracic Surgeons Adult Cardiac Surgeryデータベースに集積した。赤血球輸血、新鮮凍結血漿輸血、血小板輸血いずれの実施率も大幅格差結果、2008年に人工心肺使用心停止下CABGを100回以上実施した408施設における、合わせて8万2,446人について見てみたところ、赤血球輸血実施率は7.8~92.8%、新鮮凍結血漿輸血率は0~97.5%、血小板輸血率は0.4~90.4%だった。被験者全体について多変量解析を行った結果、患者個人のリスク補正後、輸血率は医療施設の場所(p=0.007)、教育病院か否か(p=0.03)、病院規模(p

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20代は献血に消極的? 「献血と血液製剤」認識・意識調査より

 株式会社QLifeは25日、『献血と血液製剤に関する生活者の認識・意識実態調査』の結果を発表した。調査はインターネット上で行われ、全国の生活者7,803人から有効回答を得た。 調査結果によると、20代は献血経験率が39%と、他年代(全体で63%)に比べ大幅に低いことがわかった。また、自身や家族が輸血など血液製剤を使った治療の恩恵を受けた経験がある人でも、特に献血に積極的になるわけではないことも調査結果から示唆された。 一方、血液製剤に関しては、「輸血用の血液製剤が100%国産である」ことをきちんと理解していたのはわずか10%であったが、「なんとなく」知っていたという回答は47%と約半数だった。 また、輸入品を使うことには、輸入を否定する理由は「なんとなく」という多数意見も含め、安全性に対する不安が多かったためと推測できる。ただし、国内の血液製剤事業に対しては「安全性」「管理」「情報開示」を望む声が多く、国産を希望する人が「強く」60%、「どちらかというと」32%と回答者の90%以上が答えており、強い拒否反応がアンケートから見て取れた。詳細はこちらhttp://www.qlife.co.jp/news/1382.html

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トラネキサム酸が、出血性外傷患者の死亡リスクを低減:2万例の無作為化試験

出血性外傷患者に対して、トラネキサム酸(商品名:トランサミンなど)短期治療を早期に開始すると、安全性を保持しつつ死亡リスクが有意に改善されることが、イギリスLondon School of Hygiene & Tropical MedicineのHaleema Shakur氏らが実施した「CRASH-2試験」(http://www.crash2.lshtm.ac.uk/)の結果から明らかとなった。外傷による院内死亡の約3分の1は出血が原因であり、多臓器不全による死亡にも出血が関与している。トラネキサム酸は、待機的手術を施行された患者の出血を低減させる可能性が示唆されているという。Lancet誌2010年7月3日号(オンライン版2010年6月15日号)掲載の報告。40ヵ国、2万例の外傷患者のプラセボ対照無作為化試験CRASH-2試験の研究グループは、外傷患者に対する短期的トラネキサム酸治療の早期投与が、死亡、血管閉塞性イベント、輸血の費用に及ぼす効果を評価するためにプラセボ対照無作為化試験を実施した。40ヵ国274施設から重篤な出血あるいはそのリスクを有する2万211例の外傷患者が登録され、8時間以内にトラネキサム酸を投与する群あるいはプラセボ群に無作為に割り付けられた。トラネキサム酸は、10分以上かけて1gを負荷投与したのち、8時間で1gを静注投与することとした。患者および試験関係者(各施設の担当医師、試験運営センターのスタッフ)には、治療割り付け情報は知らされなかった。主要評価項目は受傷後4週以内の院内死亡とし、死亡原因を出血、血管閉塞(心筋梗塞、脳卒中、肺塞栓)、多臓器不全、頭部外傷、その他のカテゴリーに分けて解析した。全死亡が有意に9%低下、出血による死亡リスクも有意に15%改善トラネキサム酸群に1万96例が、プラセボ群には1万115例が割り付けられ、それぞれ1万60例、1万67例が解析の対象となった。全死亡率は、プラセボ群の16.0%(1,613/1万67例)に対し、トラネキサム酸群は14.5%(1,463/1万60例)と有意に抑制された(相対リスク:0.91、95%信頼区間:0.85~0.97、p=0.0035)。出血による死亡リスクも、プラセボ群の5.7%(574/1万67例)に対し、トラネキサム酸群は4.9%(489/1万60例)と有意に低下した(相対リスク:0.85、95%信頼区間:0.76~0.96、p=0.0077)。著者は、「トラネキサム酸は、出血性外傷患者の死亡リスクを安全に低減する。これらの結果に基づき、出血性外傷患者ではトラネキサム酸の使用を考慮すべきである」と結論している。(菅野守:医学ライター)

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ただの貧血や血尿ではないかも?―命を脅かす超希少疾患、PNH

6月22日、東京のコンファレンススクエアにおいて、記者説明会「命を脅かす進行性の希少疾患 発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)」が開催された(主催:アレクシオン ファーマ)。大阪大学医学部血液・腫瘍内科の西村純一氏は、「PNH原因遺伝子の発見から治療薬『ソリリス(一般名:エクリズマブ)』の登場まで」と題して講演した。貧血やヘモグロビン尿で原因がはっきりせず、確定診断に至っていない場合は、PNHを鑑別診断に入れる必要がありそうだ。西村氏によれば、PNHは希少疾患であり、見過ごされがちであることから、ただの貧血や血尿として扱われている患者が多いとのことである。PNHは、造血幹細胞のPIG-A(Phosphatidyl Inositol Glycan class A)遺伝子に後天的変異が起こり、その幹細胞がクローン性に拡大する造血幹細胞疾患である(※)。正常赤血球においては自己補体による障害をブロックしているCD59やDAF(CD55)などの補体制御因子が、PNH細胞ではPIG-A遺伝子変異により欠損する。その結果、コントロール不能な終末補体複合体の形成が進み、補体による溶血が起こることで多様な症状を呈する。また、再生不良性貧血(AA)や骨髄異形成症候群(MDS)などの骨髄障害患者に多く認められている。生命を脅かし、QOLにも影響を及ぼすPNHには、溶血、血栓症、骨髄不全の3大徴候がある。西村氏は、中でも溶血が生命に関わる腎不全、肺高血圧症、血栓症を引き起こし、また重度の溶血で嚥下障害、疲労、勃起不全などのQOLに関わる症状を訴えることが多いため、PNHの治療方針においては溶血の抑制が重要であると語った。これまでのPNH治療としては、重篤な症例に対する造血幹細胞移植以外、輸血などの対症療法しか選択肢がなかった。PNH治療に光明しかし、PNHがPIG-A遺伝子変異から始まる一連の経路によって発症することが明らかとなったことで、治療薬のターゲットは終末補体複合体の形成阻害となった。補体カスケードの近位にはC3、終末にはC5が関与しており、より他の補体活性に影響の少ない抗C5ヒト化モノクローナル抗体のエクリズマブが開発された。エクリズマブの治療効果が見られるのは溶血症状を有する症例で、PNH患者の3分の1から半分を占める。骨髄不全で溶血がほとんどない場合はベネフィットが少ないが、中には有効な例もある。使い続けることによりQOLの維持や寿命延長も期待される。投薬中止がとりわけ危険ということではないので、スポット的な使用法も今後考えられるとのことである。わが国におけるPNHの患者数は現在400~500人と推定されているが、少なくともその2倍はいるだろうと西村氏は述べている。患者が中心施設に集中する海外とは対照的に、市中病院で1人や2人の患者を診るという状況であるため、医師たちに啓発活動を行い、本来エクリズマブで治療すべき患者を拾い上げていくことが必要であるとした。エクリズマブの有効性・安全性エクリズマブは国内第II相臨床試験(AEGIS試験)において、投与開始1週間でLDH値を有意に減少させ、平均低下率は87%と、主要評価項目である溶血抑制効果が示された。また、エクリズマブ投与前12週の平均輸血単位数が5.2単位であったのが、投与後12週では1.5単位へと有意な減少を示し、輸血を必要とした患者の67%が投与中に輸血不要となった。ヘモグロビン値は投与期間に比例して緩徐に上昇したが、それに関わらず疲労感は投与後2週目で有意なスコア改善が見られ、QOL向上につながると考えられた。他に、慢性腎臓病(CKD)の改善、血栓イベント数の低下が認められた。安全性について、有害事象による試験中止はなく、日本人患者においても忍容性が確認された。副作用の程度は、軽度/中等度が29例中26例、重度1例であり、主な副作用は頭痛、鼻咽頭炎、悪心などであった。なお、エクリズマブによって髄膜炎の発症リスクが上がるため、投与2週間前までに髄膜炎菌ワクチンを接種しなくてはならない。PNHの診断PNHの診断には、フローサイトメトリを用いて血球におけるCD59やCD55の発現低下を確認することが有用である。利用可能であれば、赤血球および顆粒球の定量的フローサイトメトリの実施が推奨される。そこでPNHクローンサイズが1%以上であれば、PNHを疑う必要がある。わが国において保険適応となっているのは、PNH診断時の赤血球CD59/CD55ダブル染色のみで、フォローアップには基本的に使えない。現在、診断網の確立を図っている段階とのことである。※PNH発症のメカニズム:PIG-A遺伝子変異の原因は現在明らかにされていない。また、PIG-A遺伝子変異だけではPNH発症に至らないため、2段階目としてのクローン性の増殖に関するメカニズムが解析の途上にある。仮説の一つとして、AA患者の半数以上はPNH細胞を持つ。AAでみられるような免疫機序による骨髄障害があるとき、PNH細胞は前述のCD59やCD55といったGPI(Glycosyl-Phosphatidyl Inositol)アンカー型蛋白が発現していないために自己免疫的な攻撃のターゲットにならない。すなわち増殖・生存に有利な状況となり、この環境下でさらに遺伝子変異が起こる確率が高まり、PNH細胞がより増殖可能となるという機序が考えられている。(ケアネット 板坂 倫子)

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帝王切開は医学的適応がある場合に限定して施行すべき

妊産婦および新生児の周産期アウトカムを改善するには、帝王切開は医学的適応がある場合に限って施行すべきであることが、タイKaen大学産婦人科のPisake Lumbiganon氏らがWHOの世界調査として実施した出産法と妊娠アウトカムに関する研究で明らかとなった。近年、帝王切開施行率が世界的に上昇しており、その妥当性について議論が起きているという。不必要な帝王切開の実施は、産科領域におけるエビデンスと実臨床のミスマッチの古典的な実例とされ、その議論を通じて実臨床における必然的な帰結を変更する試みの複雑さに注目が集まっている。Lancet誌2010年2月6日号(オンライン版2010年1月12日号)掲載の報告。日本を含むアジア9ヵ国が参加研究グループは、WHOの世界調査の一環として、2004~2005年にアフリカとラテンアメリカで、2007~2008年にはアジアにおいて、個々の出産法の施行率を推算し、出産法と妊産婦、新生児の予後の関連を検討した。アジアの調査には9ヵ国(カンボジア、中国、インド、日本、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム)が参加した。各国の首都と2つの地域あるいは行政区が無作為に選ばれた。施設の詳細と産科治療のリソースのデータを集め、妊婦の診療記録を収集して産科および周産期イベントのデータを解析した。帝王切開で妊産婦、新生児の周産期リスクが増加登録された122施設から11万2,152件の出産が報告され、そのうち10万9,101件(97%)のデータが得られ、10万7,950件が解析可能であった。帝王切開は分娩前と分娩中、医学的適応の有無で4群に分け、経膣分娩は自然分娩(対照)と手術分娩の2群に分けて解析した。全体の帝王切開の施行率は27.3%(2万9,428件)、経膣分娩率は72.7%(7万8,522件)であった。経膣分娩のうち、自然分娩が69.5%(7万5,057件)、手術分娩は3.2%(3,465件)であった。妊産婦の周産期リスクを妊産婦死亡/罹病インデックス(妊産婦死亡、集中治療室入院、輸血、子宮摘出術、内腸骨動脈結紮術のうち一つ以上)で解析したところ、経膣自然分娩に比べ他の5群はいずれもリスクが高かった(補正ハザード比:経膣手術分娩2.1、分娩前非適応帝王切開2.7、分娩前適応帝王切開10.6、分娩中非適応帝王切開14.2、分娩中適応帝王切開14.5)。骨盤位(逆子)の周産期アウトカムは、分娩前帝王切開(補正ハザード比:0.2)、分娩中帝王切開(同:0.3)ともに改善されたが、7日以上の新生児集中治療室(NICU)入室リスクは分娩前帝王切開(同:2.0)、分娩中帝王切開(同:2.1)ともに高かった。著者は、「妊産婦および新生児の周産期アウトカムを改善するには、帝王切開は医学的適応がある場合に限って施行すべき」と結論し、「帝王切開による出産を計画している妊婦と医療者は、可能性のあるリスクについて十分に話し合ったうえで決定すべき」と指摘する。(菅野守:医学ライター)

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ticagrelorは、急性冠症候群の予後をクロピドグレルに比べ有意に改善:PLATO試験

新たな経口P2Y12受容体阻害薬であるticagrelorは、侵襲的治療が適用とされる急性冠症候群(ACS)患者の抗血小板療法において、クロピドグレル(商品名:プラビックス)に比べ有意に予後を改善することが、米国Brigham and Women’s病院TIMI study groupのChristopher P Cannon氏らが実施したplatelet inhibition and patient outcomes(PLATO)試験で示された。クロピドグレルの抗血小板作用には個人差がみられ、不可逆的であるため、ACS患者における至適な用量や投与のタイミングについては議論がある。ticagrelorはクロピドグレルと同じP2Y12受容体阻害薬であるが、その作用は可逆的で、より強力かつ長期に持続するという。Lancet誌2010年1月23日号(オンライン版2010年1月14日号)掲載の報告。約13,000例を対象とした二重盲検ダブルダミー無作為化試験PLATO試験の研究グループは、入院後できるだけ早期に治療を開始する必要があるため侵襲的治療が計画されたACS患者を対象に、ticagrelorとクロピドグレルの予後改善効果および出血リスクを比較する二重盲検ダブルダミー無作為化試験を実施した。ST上昇あるいは非上昇ACSで入院中の患者18,624例が登録され、そのうち侵襲的治療が計画された13,408(72.0%)例が、ticagrelorとプラセボを投与する群(負荷用量180mg投与後、90mg×2回/日を投与)あるいはクロピドグレルとプラセボを投与する群(負荷用量あるいは維持用量として300~600mgを投与後、75mg/日を投与)に無作為に割り付けられ、6~12ヵ月の治療が行われた。全例にアスピリンが投与された。主要評価項目は、心血管死、心筋梗塞、脳卒中の複合エンドポイントとし、intention-to-treat解析を実施した。1,000例当たり年間11例の死亡、13例の心筋梗塞、6例のステント血栓症を防止ticagrelor群に6,732例が、クロピドグレル群には6,676例が割り付けられた。治療開始後360日における複合エンドポイントのイベント発生率は、ticagrelor群が9.0%とクロピドグレル群の10.7%に比べ有意に低かった(ハザード比:0.84、p=0.0025)。大出血の発生率は、ticagrelor群が11.5%、クロピドグレル群は11.6%と両群間に差を認めなかった(ハザード比:0.99、p=0.8803)。GUSTO(Global Use of Strategies To Open occluded coronary arteries)の出血基準に基づく重篤な出血についても、それぞれ2.9%、3.2%と同等であった(ハザード比:0.91、p=0.3785)。著者は、「薬物療法開始時に侵襲的治療が計画されているACS患者に対する抗血小板療法としては、ticagrelorがより有用な選択肢と考えられる」と結論している。これらの知見に基づいて推算すると、ticagrelorはクロピドグレルに比べ大出血や輸血の頻度を上昇させずに、年間にACS患者1,000例当たり11例の死亡を回避し、13例の心筋梗塞および6例のステント血栓症を防止するという。また、今回の結果は、「血小板P2Y12受容体の阻害を増強すれば、大出血を増加させずに死亡率を低減させることが可能との考え方を支持するもの」と指摘している。(菅野守:医学ライター)

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静注用人免疫グロブリン製剤『献血ベニロン‐I静注用』 効能追加で承認取得

化学及血清療法研究所と帝人ファーマ株式会社は20日、静注用人免疫グロブリン製剤『献血ベニロン‐I静注用』(一般名:乾燥スルホ化人免疫グロブリン/以下、献血ベニロン)について、「チャーグ・ストラウス症候群及びアレルギー性肉芽腫性血管炎における神経障害の改善(ステロイド剤が効果不十分な場合に限る)」の効能追加の承認を取得したと発表した。希少疾患である「チャーグ・ストラウス症候群」および「アレルギー性肉芽腫性血管炎」の治療にはステロイド剤が一般的だが、手足のしびれ・筋力低下などの神経障害はステロイド治療に抵抗を示す場合があり、これらの神経障害が日常生活動作を低下させ、患者の社会生活を妨げることが問題となっていた。なお同剤は、今回追加承認された効能・効果に対して、希少疾病用医薬品(オーファン・ドラッグ)の指定を受けている。詳細はプレスリリースへhttp://www.teijin-pharma.co.jp/information/100120.html

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骨髄異形成症候群治療剤の製造販売承認申請

日本新薬株式会社は9日、2006年に米国ファーミオン社(現セルジーン社)より導入し、同社が国内で開発を進めていた骨髄異形成症候群治療剤(国内開発記号:NS-17、一般名:アザシチジン)について、同日、厚生労働省に製造販売承認申請を行ったと発表した。骨髄異形成症候群(MDS:Myelodysplastic syndromes)は、高率で白血病への移行がみられる予後不良の難治性疾患。主な症状には、貧血による全身倦怠感、白血球減少による易感染性、血小板減少による出血傾向、また合併症として、頻回輸血による鉄過剰症や多臓器障害等があげられる。同剤は、MDSの腫瘍細胞のDNAで高頻度にみられる異常なメチル化を阻害することで、正常な造血細胞の分化増殖を導き、併せて腫瘍細胞に対する殺細胞効果を有する。既に欧米をはじめとして20ヶ国以上で販売され、米国ではFAB分類における全てのMDS患者への治療薬として、Vidazaの商品名で販売されており、寛解をもたらすことが難しいMDS治療の第一選択薬として使用されている。高リスクMDS患者を対象とした海外臨床試験では、生存期間中央値が従来の治療群にて15.0ヶ月であったのに対し、アザシチジン群では24.5ヶ月と9.4ヶ月の有意な延長が確認されたとのこと。この承認申請については、同社が国内で実施した臨床試験、および海外で実施された臨床試験から得られた有効性および安全性データをもとに申請した。なお、同剤は、2008年11月に希少疾病用医薬品の指定を受けていて、優先審査の対象となっている。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.nippon-shinyaku.co.jp/assets/files/pdfs/ir/ns2009/091209.pdf

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遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤「エポジン注」がん化学療法に伴う貧血に対する効能追加で承認申請

中外製薬株式会社は19日、遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤「エポジン注」(一般名:エポエチン ベータ〔遺伝子組換え〕)の、がん化学療法に伴う貧血に対する効能追加の承認申請を厚生労働省に行ったと発表した。今回の申請の主体となる国内第Ⅲ相臨床試験は、がん化学療法施行により貧血を呈したがん患者を対象とした二重盲検比較試験として実施され、エポジン注36,000IUまたはプラセボを週1回、12週間投与し、有効性、安全性について検討したもの。エポジン注を投与した患者では、プラセボを投与した患者さんと比較して、主要評価項目である理論輸血率の有意な低下が認められたという。また、エポジン注を投与した患者において認められた副作用は、血圧上昇・高血圧、便秘、下痢等が主なものであったとのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeHeader.jsp;jsessionid=ZDUIDT4HYX2NWCSSUIHCFEQ?documentId=doc_16432&lang=ja

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5q-を伴う低/中間-1リスクの骨髄異形成症候群による貧血治療 -レナリドミドを承認申請

2009年11月4日、セルジーン株式会社は新規免疫調節薬の1つである「レナリドミド水和物(以下、レナリドミド)」を「5番染色体長腕部異常を伴う骨髄異形成症候群(以下、MDS)による貧血治療薬」として、医薬品製造販売承認申請を行った。同日、帝国ホテルでプレスセミナーが開催され、東京医科大学内科学第1講座主任教授の大屋敷一馬氏がMDSの概要と、レナリドミドを含めた今後の治療薬について講演を行った。 なお、本年6月には「再発又は難治性の多発性骨髄腫」の治療薬としてデキサメタゾンとの併用によるレナリドミドの承認申請を行っている。MDSは血液腫瘍の一種で、血液細胞を造る骨髄中の造血幹細胞に異常を来たす疾患であり、予後が悪く、進行すると急性骨髄性白血病へ移行することもある。わが国における患者数は7,100例と推定され、60~75歳に好発し、男性にやや多い疾患である。大屋敷氏によると、わが国におけるMDSの標準治療はなく、代替治療として免疫抑制療法、ステロイド療法が行われている。化学療法の治療効果は低く、また同種幹細胞移植は65歳以下の健康状態が良好な患者が対象のため、高齢者には適応できない。また、MDSでは輸血などの対症療法が行われるが、繰り返しの輸血に伴う感染症や鉄過剰症のリスクが増大する。実際に、輸血量が多くなるにつれてMDS患者の生存率が低下することや、鉄キレート療法により生存期間が延長することが報告されている。一方、MDSの病型を分類したWHO分類では、単独の5番染色体長腕に染色体異常を認めるMDSを「5q-症候群」と分類している。5q-症候群は欧米人では多いが、日本人ではきわめて稀な病型であり、MDSの約1~2%で患者数が131例程度、年間発生率10例程度(特発性造血障害調査研究班による調査報告、平成19年)と推測されている。女性に多く、中等症~重症の貧血、血小板増多症、芽球の増加がないのが特徴である。今回、レナリドミドは、この5q-を伴うMDSによる貧血治療薬としてわが国で承認申請を行った。大屋敷氏は、レナリドミドの海外における第II相試験の結果とともに、国内における多施設共同オープン試験の結果について紹介した。対象は、5q-を伴う低あるいは中間-1リスクのMDSによる貧血症状を有する患者11例で、4週1サイクルとして、レナリドミド10mg/日を1~21日目に経口投与し、32週目に反応があった患者を最長156週まで継続した。中間解析では、約1.5ヵ月で全例が貧血改善を示し、ヘモグロビン値の中央値は、7.0g/dLから、最大値12.7g/dLと改善が見られた。有害事象については、好中球減少がGrade3/4が10例(90.9%)など、骨髄抑制が主であった。さらに大屋敷氏は、高リスク群のMDSに対する治療薬について、欧米ではすでに使用されている脱メチル化薬(アザシチジン、デシタビン)の有用性を紹介し、今後、これらの薬剤も重要な位置付けになってくると述べた。最後に大屋敷氏は、MDSの治療について、どのような患者さんにどうすれば一番よいのか、今後リスクをさらに層別化していく必要があるかもしれない、同種骨髄移植や化学療法のほか、レナリドミドや脱メチル化薬といった選択肢が増えてくることによって治療が幅広くなってきていると将来の展望を述べ、講演を締めくくった。(ケアネット 金沢 浩子)

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「エポジン注」が化学療法に伴う貧血を対象とする第III相臨床試験で主要評価項目を達成

中外製薬株式会社は30日、がん化学療法施行に伴う貧血を予定適応症として開発中の遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤「エポジン注」(一般名:エポエチン ベータ〔遺伝子組換え〕)の第III相臨床試験において、主要評価項目である理論輸血率が有意に低下する結果が得られたことを発表した。この試験は、がん化学療法施行により貧血を呈したがん患者を対象とした二重盲検比較試験で実施し、エポエチン ベータ36000IU またはプラセボを週1回、12週間投与し、有効性、安全性を評価したもの。エポエチン ベータを投与した患者では、主要評価項目の理論輸血率がプラセボを投与した患者と比較して有意に低下した。また、エポエチン ベータを投与した患者において認められた副作用は、血圧上昇・高血圧、便秘、下痢等が主なものだったという。なお、今回の試験に基づく効能・効果の追加承認申請は2009年中に実施の予定とのこと。詳細はプレスリリースへhttp://www.chugai-pharm.co.jp/generalPortal/pages/detailTypeTable.jsp;jsessionid=2LGDVIDHSCD1MCSSUIHCFEQ?documentId=doc_14288&lang=ja

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非ST上昇型急性冠症候群への抗血小板薬投与は、血管造影12時間以上前ではリスク増大

非ST上昇型急性冠動脈症候群の患者への、血管造影前の、抗血小板薬、糖蛋白IIb/IIIa阻害剤の投与は、12時間以上前では、血管造影後の投与(PCI前)と有効性が変わらないばかりか、安全性の面で、非致死的出血リスクの上昇および輸血の必要性が増加することが明らかになった。これまで、同剤投与の開始時期については明らかにされていなかった。報告は、アメリカ・Brigham and Women’s病院TIMI(Thrombolysis in Myocardial Infarction)研究グループのRobert P. Giugliano氏らによるもので、早期投与はハイリスク患者の虚血性合併症予防に有効であるとの仮説を立て行われたEARLY ACS(Early Glycoprotein IIb/IIIa Inhibition in Non.ST-Segment Elevation Acute Coronary Syndrome)試験の結果。NEJM誌2009年5月21日号(オンライン版2009年3月30日号)で発表された。患者9,492例を早期投与群と待機的投与群に無作為化EARLY ACS試験には、2004年3月~2008年8月の間に、29ヵ国440施設から、非ST上昇型急性冠動脈症候群で侵襲的治療適応とされた患者9,492例が参加した。被験者は、ルーチンのeptifibatide早期投与群(血管造影12時間以上前に、180μg/kg体重のボーラス投与を10分間隔で2回と、標準注入)と、待機的投与群(造影前はマッチするプラセボを投与し、造影後PCI実施までに所見に基づき投与)とに無作為に割り付けられた。有効性の主要エンドポイントのオッズ比は0.92有効性の主要エンドポイント[96時間時点での以下の複合:死亡、心筋梗塞、緊急血行再建術を要した虚血の再発、最初の割り付けとは反対のボーラス投与を必要としたPCI中の血栓性合併症(血栓性の緊急処置)]の発生は、早期投与群9.3%、待機的投与群10.0%で、オッズ比は0.92(95%信頼区間:0.80~1.06、P=0.23)だった。また、主な副次エンドポイント(無作為化後30日以内における死亡と心筋梗塞の複合)の発生は、早期投与群11.2%、待機的投与群12.3%で、オッズ比は0.89(0.79~1.01、P=0.08)だった。安全性のエンドポイント(無作為化後120時間以内の出血と輸血の必要性)については、早期投与群で出血率と赤血球輸血率が、有意に高かった。なお、重度の出血、非出血性の重篤な有害事象については、両群で有意差は見られなかった。これらからGiugliano氏は、「eptifibatideの早期投与(血管造影12時間以上前)は、造影後投与より優れていることは確認できなかった。また、リスクに関して、早期投与と非致死的出血リスクの上昇と輸血の必要性の増加との関連が認められた」と報告をまとめた。(武藤まき:医療ライター)

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生物学的製剤の安全性問題の多くは感染症関連

生物学的製剤は相対的に新規クラスの薬剤で、免疫原性など特異的なリスクを伴うが、承認後の安全性の問題に関する情報入手が限られている。そこで、オランダ・ユトレヒト薬学研究所のThijs J. Giezen氏らは、米国およびEU(欧州連合)で承認された生物学的製剤の、その後にとられた安全性に関する規制措置を追跡調査し検証した。JAMA誌2008年10月22日号より。1995年~2007年の米国・EU承認薬を追跡調査追跡調査されたのは、1995年1月~2007年6月に米国およびEUで承認された生物学的製剤で、ワクチン、抗アレルギー薬、後発薬および輸血目的の製品は除外した。主要評価項目は、安全性規制措置の特徴と頻度、タイミングについてで、1995年1月~2008年6月になされた、(1)米国では医療専門家への文書、EUでは医療専門家への直接連絡、(2)米国で黒枠(強調)警告、(3)米国・EUで安全性に関わる薬剤の市場からの回収を調べ評価した。生物学的製剤承認後の安全性に関する規制措置は23.6%期間中に承認された生物学的製剤は計174製剤(米国136、EU105、両地域67)。安全性関連の規制措置は82回(医療専門家への文書46回、医療専門家への直接連絡17回、黒枠警告19回、市場回収なし)で、174製剤のうち41種(23.6%)に出された。カプラン‐マイヤー解析に基づく初回の安全性規制措置の確率は、承認から3年後が14%(95%信頼区間:9~19%)、承認から10年後29%(20~37%)だった。同クラスの生物学的製剤のうち、最初に承認を得た製品は、後から承認された製品と比較して、安全性規制措置が発動されるリスクはより大きかった(12.0/1,000ヵ月対2.9/1,000ヵ月、ハザード比:3.7、95%信頼区間:1.5~9.5)。警告の大部分は、一般疾患、投与部位の様態に関すること、感染症、寄生虫症、免疫系疾患、良性または悪性腫瘍、その他詳細不明だった。このためGiezen氏は「生物学的製剤の承認後に確認される安全性に関わる問題は、しばしば免疫調節作用(感染症)に関連がある。また同クラスで最初に承認された生物製剤が、規制措置を受ける可能性がより高く、緊密な監視が必要である」と結論付けている。(朝田哲明:医療ライター)

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人工肺「キャピオックスBABY-FX」新発売、使用血液量を3割減

テルモ株式会社は、新生児や乳児の心臓手術に対応した人工肺「キャピオックス BABY-FX (キャピオックス FX05)」を医療機関向けに新発売したと発表した。 「キャピオックス BABY-FX」は、人工肺と動脈フィルターを一体化させ小型化したことで、回路内に循環する血液量を従来より最大3割減らすことに成功したとのこと。これにより、体内の血液不足を補うために行われる輸血や輸液の投与量を減らすことができ、副作用や感染リスクの低減につながることが期待される。詳細はプレスリリースへhttp://www.terumo.co.jp/press/2008/025.html

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16-17歳の献血は合併症リスクが高い

米国では輸血や製剤用の血液需要増加を背景に、献血年齢の引き下げを求める動きが高まっているが、「若年」「初回献血」は合併症のリスクが高いことが知られている。このため米国赤十字社のAnne F. Eder氏らが、16-17歳の献血者の合併症リスクを調査。「献血リスクは年長者より高く、ドナーの安全に対する適切な対策が必要」と報告した。JAMA誌2008年5月21日号より。巡回採血車で献血の高校生と18歳以上を比較米国赤十字社による若年者(16-17歳)の献血量は、すでに全献血量の約8%を占め、各地の高校を定期的に回る採血車で献血する若者のうち、16-17歳の提供者は80%に上る。Eder氏らの調査は、採血車を運行する米国内9ヵ所の地方血液センターから、標準的な採血手順と定義、報告様式に基づくデータを求め、16-17歳で全血献血した者の合併症を、年長者と比較して評価した。対象は、2006年に米国赤十字社が9センターで採血した全血献血者で、16-17歳が14万5,678例、18-19歳が11万3,307例、20歳以上は151万7,460例。主要評価項目はドナー1万人当たりの全身性(失神など)等の合併症発生率とした。献血後に失神・転倒して負傷するケースも各年齢層の合併症は、16-17歳が1万5,632例(10.7%)、18-19歳が9,359例(8.3%)、20歳以上は4万2,987例(2.8%)で、多変量ロジスティック回帰分析の結果、「若年」であることが合併症と最も強く関連(オッズ比:3.05、95%信頼区間:2.52~3.69、P<0.001)。次いで、「初回献血」(2.63、2.24~3.09、P<0.001)、「女性」(1.87、1.62~2.16、P<0.001)と続いた。失神して転倒、負傷するケースもあり、16-17歳群が86件(5.9件/万)と有意に多く、18-19歳群が27件(2.4件/万、オッズ比:2.48、95%信頼区間:1.61~3.82)、20歳以上群が62件(0.4件/万、14.46、10.43~20.04)の順だった。16歳の献血者で、軽度でも合併症を経験したグループが12ヵ月以内に再献血する割合は、問題のなかったグループより少なかった(52%対73%、オッズ比:0.40、95%信頼区間:0.36~0.44)。こうした結果からEder氏らは「16-17歳の若者が献血した場合、年長者より高い頻度で合併症と傷害が起こる。定期的に採血車が巡回する高校で、若い献血者を確保・維持するには、ドナーの安全に配慮する必要がある」としている。(朝田哲明:医療ライター)

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輸血赤血球が「古い」と心臓手術後の合併症・死亡率は有意に増大する

保存赤血球は時間とともに構造および機能が変化する。クリーブランド・クリニック(アメリカ)心臓麻酔部門のColleen Gorman Koch氏らは、心臓手術時に輸血された保存赤血球が古い(2週間超)と、術後の深刻な合併症および死亡率を増大させるとの仮説を立て検証を行った。NEJM誌2008年3月20日号より。保存期間14日以下輸血患者2,872例と14日超3,130例を検証Koch氏らは、1998年6月30日~2006年1月30日の間に、冠状動脈バイパス移植、心臓弁手術あるいは両手術の際に、赤血球輸血を受けた患者のデータを調査した。対象となったのは、保存期間14日以下(中央値11日)の「より新しい血液」8,802Uを受けた患者計2,872例と、14日超(中央値20日)の「より古い血液」10,782Uを受けた患者計3,130例。「古い」ほうが術後合併症のリスク増大、生存率低下と有意に関連結果、「より古い血液」を与えられた患者のほうが、合併症および死亡率は高率で、Koch氏らは「保存期間2週間超の赤血球輸血は、術後合併症のリスク増大、生存率低下と有意な関連がみられた」とまとめている。院内死亡率は2.8%(より新しい血液:1.7%、P=0.004)、72時間超の挿管9.7%(同5.6%、P

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