サイト内検索|page:3

検索結果 合計:627件 表示位置:41 - 60

41.

深緑の季節、医学生への助言【Dr. 中島の 新・徒然草】(579)

五百七十九の段 深緑の季節、医学生への助言気持ちのいい毎日。花粉も最近は大したことありません。1年で最も爽やかな季節ですね。こういう日は洗濯日和!私もすっかり主夫になりました。さて、先日のこと。医学生が2人、病院見学にやって来ました。いうまでもなく、夏に行われるマッチング試験に備えてのこと。あちこちの病院を見ておき、どこを受験すべきか。それを考えるためです。面接試験の秘訣を伝授しながら、若者たちと話をするのも面白いもの。中島「面接試験でアピールすべきはガクチカだな」学生1、2「やっぱりガクチカですか!」ガクチカというのは「学生時代にチカラを入れていたこと」の略です。この専門用語が通じるのは、真面目に就職活動をしている証拠。中島「クラブ活動とかボランティアとか。なんならアルバイトでもいいぞ」学生1「僕は帰宅部なんで……」中島「何か他の人と違うことがあるだろう」学生1「強いて言えば、母子家庭ということくらいですかね」中島「それや!」どんなことでもアピール材料になります。中島「仕事から疲れて帰ってくるお母さんのために」学生1「はあ」中島「家事を引き受けているんだろ? 掃除・洗濯・炊事とか」学生1「いえ、掃除を少しやっているくらいですけど」中島「今からでもいいからやったれよ、お母さんのために」学生1「でも、家事はあんまり得意じゃないんで……」中島「面接試験のために3ヵ月間だけ頑張れよ」学生1「そんなインチキしていいんですか」中島「本当に実行したらインチキでも何でもないから」学生1「わかりました!」次は学生2です。中島「クラブ活動でいろいろと人間関係のトラブルがあっただろ」学生2「山ほどありました」中島「そいつをアピールしろ」学生2「トラブルがアピールになるんですか?」中島「それを乗り越えて今の自分があります、みたいに締めくくれ」学生2「なるほど、そうですね!」そもそも面接試験は何のためにあるのか?患者さんや職場の同僚との人間関係を上手く築けるかを見るためです。医学的知識や英語の能力は筆記試験で測定可能。でも、人柄や人間関係のスキルは対面で話してみないとわかりません。親子関係やクラブ活動は社会の縮図。まずは、そこで上手くやっているのか、が基本ですね。さすがに医学生は、一を聞いたら十を知ってくれます。中島「いくら人間関係とはいえ、彼女の話とかは出さないほうが無難だぞ」医学生1「確かに『彼女が5人います』と言ったりしたらマズイですね」中島「何っ、5人もいるのか?」医学生1「いるわけないじゃないですか!」中島「そんなことを言ったら絶対に落とされるからな、注意しろよ」医学生1、2「わかりました!」彼らと話をすると、最近の若者の動向がよくわかります。オンラインゲームに嵌まっていたとか、マラソン大会に出たとか。面接の指導を装って最新知識をアップデートするのもまた一興。夏のマッチング試験、彼らの健闘を祈りたいと思います。最後に1句五月晴れ 未来の医師に アドバイス

42.

尋常性ざ瘡の短時間接触療法薬「ベピオウォッシュゲル5%」【最新!DI情報】第38回

尋常性ざ瘡の短時間接触療法薬「ベピオウォッシュゲル5%」今回は、尋常性ざ瘡治療薬「過酸化ベンゾイル(商品名:ベピオウォッシュゲル5%、製造販売元:マルホ)」を紹介します。本剤は、わが国初の尋常性ざ瘡の短時間接触療法薬であり、外用薬の患部への接触を短時間にすることで、副作用を軽減しながら治療効果を発揮することが期待されています。<効能・効果>尋常性ざ瘡の適応で、2025年3月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>1日1回、洗顔後、患部に適量を塗布し、5~10分後に洗い流します。<安全性>副作用として、紅斑(5%以上)、皮膚剥脱(鱗屑・落屑)、刺激感、そう痒、皮膚炎、接触皮膚炎(アレルギー性接触皮膚炎を含む)、びらん、皮脂欠乏性湿疹、AST増加(いずれも5%未満)、乾燥、湿疹、蕁麻疹、間擦疹、乾皮症、脂腺機能亢進、腫脹、ピリピリ感、灼熱感、汗疹、違和感、皮脂欠乏症、ほてり、浮腫、丘疹、疼痛、水疱、口角炎、眼瞼炎、白血球数減少、白血球数増加、血小板数増加、血中ビリルビン増加、ALT増加、血中コレステロール減少、血中尿素減少、呼吸困難感(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、にきび(尋常性ざ瘡)を治療する塗り薬です。2.にきびの原因菌(アクネ菌など)が増えるのを抑え、にきびの原因となる毛穴のつまりを改善します。3.1日1回、洗顔後、患部に塗布し、5~10分後に洗い流してください。眼、口唇、その他の粘膜や傷口は避けてください。4.この薬には漂白作用があるので、髪や衣料などに付着しないように注意してください。5.この薬を使用中は、強い日光に当たるのをなるべく避けるようにしてください。6.過敏反応や強い皮膚刺激症状が現れたときは使用を中止し、医師または薬剤師に相談してください。<ここがポイント!>尋常性ざ瘡は、一般的に「にきび」として知られる炎症性疾患です。好発部位は顔面や胸背部などの脂漏部位で、思春期以降に発生しやすく、病因にはホルモンバランスの乱れ、皮脂の過剰産生、角化異常、Cutibacterium acnes(C. acnes)などの細菌の増殖が複雑に関与しています。過酸化ベンゾイルは強力な酸化作用を持ち、尋常性ざ瘡の原因菌であるC. acnesなどの細菌に対する抗菌作用と、閉塞した毛漏斗部での角層剥離作用を有しています。国内では2.5%のゲルおよびローション製剤が販売されていますが、1日1回洗顔後に患部に塗布する必要があり、刺激やかぶれなどの副作用に加え、衣類に対する脱色作用に注意が必要です。本剤は、国内初の短時間接触療法(Short contact therapy)用ゲル製剤であり、既承認医薬品のゲル製剤(商品名:ベピオゲル2.5%)の新用量医薬品として開発されました。本剤は過酸化ベンゾイルを5%含有しており、外用薬の患部への接触を短時間にすることで副作用を軽減しながら治療効果を発揮します。商品名に「ウォッシュ」とあるように、1日1回、洗顔後に患部に塗布したのち、5~10分後に洗い流すという用法が特徴です。本剤は、高濃度の主薬成分を含む製剤を塗布部位から手早く除去できるように、洗浄力の高いアニオン性界面活性剤2種類を配合しています。顔面に尋常性ざ瘡を有する患者を対象とした第III相プラセボ対照試験(M605110-05試験)において、主要評価項目である治療開始12週後のベースラインからの総皮疹数の減少率(最小二乗平均値)は、本剤群55.90%(両側95%信頼区間:49.89~61.90)であり、プラセボ群の43.85%(38.06~49.64)と比較して統計学的に有意な差が認められました。この結果により、プラセボ群に対する本剤群の優越性が検証されました。

43.

アトピー性皮膚炎へのレブリキズマブ、5月1日から在宅自己注射が可能に/リリー

 日本イーライリリーは、アトピー性皮膚炎治療薬の抗ヒトIL-13モノクローナル抗体製剤レブリキズマブ(商品名:イブグリース皮下注250mgオートインジェクター/同シリンジ)について、厚生労働省の告示を受け、2025年5月1日より在宅自己注射の対象薬剤となったことを発表した。 レブリキズマブは2024年5月に発売され、既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎に使用される皮下投与製剤。これまで、初回以降2週間隔(4週以降は患者の状態に応じて4週間隔も可能)で通院のうえ院内での皮下投与が必要であった。在宅自己注射の対象薬剤となったことに伴い、医師が妥当と判断した患者については、十分な説明およびトレーニングを受けたうえで在宅での自己注射が可能となる。

44.

通院あれこれ【Dr. 中島の 新・徒然草】(578)

五百七十八の段 通院あれこれ大阪では爽やかな日々が続いています。暑からず寒からず、花粉の飛散もみられません。家の外は深緑、青空、白い雲!思わず携帯の待ち受け画面用に写真を撮りました。さて、今日もいろいろな患者さんがやって来る脳外科外来。それぞれに人生ドラマがあり、世の中の広さを感じます。まずは80代の男性患者さん。以前はお一人で通院していたのですが、徐々に足腰が弱り、道に迷うことしきり。そのため、3年ほど前から社会人になったばかりのお孫さんが付き添うようになりました。しかしこの付き添い、双方ともに大変なようです。患者さんご本人は、孫娘にあれこれ指図されるのがどうにも気に入りません。一方でお孫さんも、お祖父さんが言うことを聞いてくれないので、イライラしてしまいます。たとえばこの患者さん、お風呂に入るのを極端に嫌がり、1週間に1度入ればいいほうなのだとか。歯磨きもしないため、外来の前日には、お孫さんにガミガミ言われながら何とか入浴し、当日朝に歯を磨いたそうです。そんな二人を前に、私は真面目な顔で患者さんに言いました。中島「『老いては孫に従え』ですよ。お経にも書いてあるでしょう」この患者さんは熱心な仏教徒です。もちろん、そんなこと、お経のどこにも書かれていません。ただのギャグのつもりでした。しかし、この患者さん、真顔でこう返してきたのです。患者「先生、それは知っています。だから孫娘の言うことはできるだけ守っているんです」するとすかさずお孫さんが「お祖父ちゃん、嘘ばっかり。私の言うことを何も聞かないじゃないの!」と言い、思わず私も笑ってしまいました。とにかく3ヵ月に1度、私の外来に歩いて来ることを目標にしているのだとか。この点については、お二人の意見は一致していました。次に紹介したいのは、超高齢のご夫婦です。なんと、二人の年齢を合わせると194歳!私はいつも「もう少し頑張ったら、夫婦合わせて200歳になりますね!」と励ましています。最近は100歳を超える方も多いそうですが、このご夫婦のように合計200歳近くになっても歩いて外来通院している例は、きわめて珍しいことでしょう。実はこのご夫婦のかかりつけ医である○○先生は、私もよく知っているのです。そのためでしょうか、奥さんがふと言い出しました。奥さん「そうだ、中島先生。○○先生も誘って一緒に食事に行きましょうよ」私は「それもいいですねえ」と適当に受け流していたのですが、奥さんは引き下がりません。奥さん「本気ですよ。○○先生にも都合を聞いておきますからね。近々、行きましょう」ここまで言われたら、もう冗談では済まされません。思わず「確かに……生きているうちに行かないとな」と口にしてしまったのです。すると横にいた看護師さんに「先生、それは洒落になりませんよ」と突っ込まれてしまいました。頭の中で思ったことが全部口から出てしまう私の悪癖、何とかしないといけませんね。そして最後に、60代の男性患者さんのお話です。この方は3ヵ月に一度、薬をもらうために外来に来ることになっていますが、体調が良いときにはほとんど顔を見せません。私は長い間この方を担当していますが、前半はお父さんが代わりに来ていました。「倅は仕事が忙しくて」と言いながら。お父さんが亡くなった後は、奥さんが代理です。「主人は自分の調子が良かったら病院に興味がないみたいなんです」と呆れながら。そんな患者さんが久しぶりに外来に現れたので「これは何かあったな」と思っていたところ、案の定、1週間ほど前に痙攣発作を起こしたとのこと。「先生、薬をサボっていたら痙攣が起こってしまいました。やっぱり飲まないといけませんね」と、今回ばかりは反省している様子です。私はここぞとばかり説教しました。中島「薬を飲んでいるから発作が起きないんです。勝手にやめたらだめですよ」さすがに患者さんは神妙な顔で頷いています。中島「せっかく診察に来たのだから、血液検査もしておきましょう。こればかりは奥さんが代理というわけにいきませんから」ちょうど良い機会なので、抗痙攣薬の血中濃度や副作用の有無をチェックします。それにしてもこの患者さんの場合、ご本人が顔を見せないときは「きっと体調が良いんだな」と好意的に受け止めるしかありませんね。こうしてみると、患者さんの人生は本当にいろいろ。外来診療は健康上の問題解決がメインですが、患者さんたちが明るく楽しく前向きに生きていくためのお手伝い、という側面もあるのではないかと思います。最後に1句深緑の 外来通院 それぞれに

46.

日本と海外の診療ガイドライン比較を効率化するプロンプト【誰でも使えるChatGPT】第3回

皆さん、こんにちは。近畿大学皮膚科の大塚です。前回は、ChatGPTを「病態把握と鑑別診断」のブレーンストーミング・パートナーとして活用するプロンプトをご紹介しました。患者さんの症状から考えられる疾患をリストアップさせ、見落としを防ぐ一助とする使い方でしたが、診断プロセスを検討する際のお役に立てたでしょうか。さて、シリーズ第3回となる今回は、診断後の「治療方針決定」に関わる場面での活用法です。とくに「日本と海外の診療ガイドラインの違い」を、効率的に把握するためのプロンプトをご紹介します。ご存じのとおり、多くの疾患には国内外で作成された診療ガイドラインが存在します。日本のガイドラインは、国内の保険制度や医療実態、日本人におけるエビデンスに基づいて最適化されていますが、一方で、海外のガイドライン、とくに欧米のものは、新薬の承認状況や治療アルゴリズムの考え方に違いが見られることがあります。最新の国際的な治療動向を把握し、自らの診療の参考にしたり、患者さんへの説明に役立てたりするためには、これらのガイドラインを比較検討することが非常に有益です。しかし、複数の言語で書かれた長大なガイドラインを読み込み、比較点を抽出するのは、多忙な日常診療の中ではなかなか骨の折れる作業ですよね。そこで役立つのが、今回のプロンプトです。関連サイトChatGPT(疾患名)における日本と海外(例:米国、欧州など)の診療ガイドラインを比較し、とくに治療法の推奨に関する主な相違点を解説してください。ここで(疾患名)には、比較したい具体的な疾患名、たとえば「アトピー性皮膚炎」や「尋常性乾癬」などを入力します。必要であれば、比較対象にしたい海外の地域(米国皮膚科学会[AAD]、欧州皮膚科学性病学会[EADV]など)を指定すると、より的確な情報が得られやすくなります。アトピー性皮膚炎における日本皮膚科学会の診療ガイドラインと、欧州皮膚科フォーラム(European Dermatology Forum)のガイドライン(またはAADガイドライン)を比較し、とくに中等症~重症例に対する全身療法の推奨(生物学的製剤やJAK阻害薬の位置付けなど)に関する主な相違点を簡潔に解説してください。ChatGPTからの回答例以下に、日本皮膚科学会(JDA)診療ガイドライン(2021年改訂)と、欧州皮膚科フォーラム(EDF 2022)および米国皮膚科学会(AAD 2023)の中等症~重症アトピー性皮膚炎に対する全身療法の位置付けを比較し、主な相違点を簡潔にまとめます。◆比較の焦点:中等症〜重症アトピー性皮膚炎の全身療法(生物学的製剤・JAK阻害薬)画像を拡大する◆解説・まとめ日本(JDA)は依然としてシクロスポリンを中心にした従来の免疫抑制薬を重視しつつ、デュピルマブやJAK阻害薬は新たな選択肢として位置付ける慎重な姿勢が見られます。欧州(EDF)はdupilumabを最も標準的な治療と認識しており、JAK阻害薬は代替的選択肢にとどまります。米国(AAD)はdupilumabとJAK阻害薬の両方を初回治療の選択肢としており、より柔軟な治療戦略を示しています。ご要望があれば、それぞれのガイドラインの具体的な記述や推奨グレードもご紹介いたします。その際は、お知らせください。このように、ChatGPTに尋ねることで、膨大なガイドラインの中から比較すべきポイントや主な違いを短時間でリストアップさせることが可能です。これにより、「どこに注目して原文を読み込むべきか」という当たりをつけることができます。ただし、今回も重要な注意点があります。1.情報の鮮度と正確性ChatGPTが参照しているガイドラインのバージョンが最新であるとは限りません。必ず、回答で示されたガイドライン名や発行年を確認し、必要であれば最新版の原文を参照してください。2.最終判断は医師自身でAIが示す比較・解説はあくまで「要約」や「たたき台」です。治療方針の最終決定は、必ず一次情報であるガイドライン本文や関連論文を確認し、個々の患者さんの状況に合わせて医師自身が行う必要があります。3.解釈のニュアンスガイドラインの推奨度(強く推奨、条件付き推奨など)の微妙なニュアンスは、AIの要約だけではつかみきれない場合があります。重要な判断に関わる場合は、原文での確認が不可欠です。このプロンプトは、国際的な標準治療や最新の考え方を効率的にキャッチアップし、日々の診療に深みを持たせるための「情報収集アシスタント」として活用できるでしょう。次回は、患者さんへの説明資料作成をサポートするプロンプトなど、また別の角度からの活用法をご紹介できればと考えています。どうぞお楽しみに。

47.

円形脱毛症の予後に慢性炎症性疾患の併存が影響

 慢性炎症性疾患(CID)の併存が円形脱毛症(AA)の予後に影響を与えるとするリサーチレターが、「Allergy」に1月8日掲載された。 ボン大学(ドイツ)のAnnika Friedrich氏らは、CIDの併存とAAの予後に関する臨床的特徴との関連性について検討するために、主に中央ヨーロッパ系のAA患者2,657人から取得した自己申告データを使用し、包括的な分析を実施した。全体として、AAコホートの患者のうち53.7%が1つ以上のなんらかのCID併存を報告しており、そのうち44.5%がアトピー性CID、17.4%が非アトピー性CIDであった。 解析の結果、アトピー性皮膚炎(AD)、気管支喘息、慢性甲状腺炎(橋本病)のいずれかを併発している患者では、併存CIDを有さない患者と比較して、AAの早期発症、重症化、長期化の報告率が有意に高いことが分かった。鼻炎または白斑を併発している患者では、AAの長期化リスクが有意に上昇した。気管支喘息を併発している患者では、ADまたは鼻炎を併発している患者と比べて、AAの早期発症、重症化、長期化リスクがより高かった。CIDの併存は、AAの発症年齢や重症度よりも、有病期間との関連が顕著であった。早期発症、重症、長期化したAA患者の方が、遅発性、軽症、長期化しないAA患者より、アトピー性併存疾患の報告数が有意に多かった。アトピー性併存疾患が1つ増えるごとに、早期発症、重症化、長期化するオッズがそれぞれ1.179、1.130、1.202上昇した。AAの平均発症年齢は、AD、気管支喘息、鼻炎の全てを有する患者の方が、AAのみを有する患者と比べてほぼ10年早かった。 著者らは、「われわれの研究結果は、異なる併存疾患の組み合わせが、予後の異なるAAのサブタイプを示唆している可能性を示した」と述べている。

48.

花粉症時のアイウォッシュ、その使用傾向が調査で明らかに

 アイウォッシュ(洗眼)は花粉症シーズンの目のトラブル対策として有効な手段だが、洗眼剤の使用傾向は年齢、既往歴、生活習慣などの違いによって異なる、とする研究結果が報告された。若年層、精神疾患の既往、コンタクトレンズ(CL)利用者などが洗眼剤使用に関連する因子であったという。研究は順天堂大学医学部眼科学講座の猪俣武範氏らによるもので、詳細は「Scientific Reports」に3月10日掲載された。 洗眼剤の使用はアレルギー性結膜炎の初期症状の軽減に効果的であるとされるが、現在、花粉症患者における洗眼剤使用の疫学的特徴に関しては知識のギャップが存在している。このギャップを埋めることは、花粉症管理において包括的でエビデンスに基づいた洗眼剤のガイドラインを作成するために不可欠である。そのような背景から、研究グループは花粉症患者における洗眼剤使用者と非使用者を総合的にプロファイリングし、花粉症とセルフケアの習慣に関連するパターンと特徴を特定することを目的とした大規模疫学研究を実施した。 花粉症患者の人口統計、既往歴、ライフスタイル、花粉症の症状などの疫学情報は、順天堂大学が花粉症研究のために開発したスマートフォンアプリケーション「アレルサーチ」より収集された。収集された1万7,597人のうち、研究に同意し、花粉症を有していた9,041人が最終的な解析対象に含まれた。 解析対象9,041人のうち、3,683人(40.7%)が洗眼剤を使用しており、年齢層は20歳未満(47.6%)の割合が最も多かった。洗眼剤使用群では非使用群に比べ、年齢が若く、体格指数(BMI)が高く、薬による高血圧の割合が低く、精神疾患の既往、ドライアイ(DE)診断、腎臓病の既往の割合が高いことが観察された。さらに、洗眼剤使用群ではCLの使用頻度が高く、花粉症シーズンでその使用を中止している割合は低かった。喫煙は洗眼剤使用群で非使用群より有意に高かった。また、ヨーグルトの摂取は、洗眼剤使用群で多かった。 次に単変量および多変量ロジスティック回帰分析を実施し、花粉症患者における洗眼剤使用の関連要因を検討した。その結果、年齢が若い、BMIが高い、精神疾患の既往歴あり、CL使用歴あり、現在のCL使用、1日当たりの睡眠時間が短い(6時間未満)、喫煙歴あり、ヨーグルトの頻繁な摂取、鼻症状スコアが低い、非鼻症状スコアが高い、DE症状がある(軽度~重度)などが、洗眼剤使用の独立した関連因子であることが明らかになった。 また、花粉症関連の眼症状を有する患者の洗眼剤非使用に関連する独立因子は、高齢であること、BMIの低さ、1日当たりの睡眠時間の短さ、DE症状がある(中等度~重度)であった。 本研究の結果について著者らは、「今回の解析結果から、高齢者や重度のDE患者が花粉症の眼症状に洗眼剤を使用していない可能性があることが浮き彫りにされた。これは、花粉症の予防と管理に対する市販の洗眼薬の有効性、副作用、安全性プロファイルについて、今後の花粉症対策や社会的な取り組みを考える上で重要な意味をもつかもしれない」と述べている。 本研究の限界点については、選択バイアスの影響を受け一般化が制限されている可能性があること、自記式調査を採用していることから、想起バイアスや過剰報告の可能性があること、横断研究であるため、洗眼とBMIやヨーグルト摂取などの要因との因果関係を評価できないことなどを挙げている。

49.

第258回 G氏が状況操作か?上層部も鵜呑みに?~フジの中居問題

前回はフジテレビ女性社員Aさんが元SMAPの中居 正広氏から受けた性暴力に関する第三者委員会(以下、同委員会)報告書について、Aさんの入院直後までの状況と、精神的ダメージを受けた人への対応について、フジテレビ側がいかに場当たりな対応をしていたかについて触れた。今回もその続きである。前回までに登場した関係者は、中居氏、被害者のAさん、健康相談室のC医師、同相談室の心療内科医D医師、アナウンス室長E氏、アナウンス室部長で女性管理職のF氏、編成制作局長G氏、人事局長H氏である。前回取り上げたのは、性暴力を受け、健康相談室から「仕事関係者からのハラスメントによるうつ状態、食思不振」と記載された診療情報提供書により、Aさんが2023年6月10日頃、都内病院の消化器内科に精神科併診で入院。それが長期化しそうなことからF氏の提案により、E氏を通じてG氏、H氏への報告が上がったところまでのフジテレビ側の対応のまずさ、より具体的に言えばメンタルヘルスへの“無理解”である。想像を超えるAさんのつらい入院生活入院後のAさんは、フジテレビ社内の連絡窓口として一本化されていたF氏とチャットで病状確認や業務連絡を行っていたほか、消化器内科に入院中はC医師が週1回面会してその状況をF氏に報告。F氏から都度、E氏とG氏にAさんの状況がメールなどで報告された。入院後、Aさんは頻回なフラッシュバックに襲われて病状が悪化。当初の退院予定の2023年7月末直前に自傷行為におよび、退院が延期された。この時期、身体的にも発熱、痛み、蕁麻疹、光過敏などの症状が出ていたという。結果、2023年7月末頃、同病院の精神科に転科となり、主治医が交代。この主治医がAさんを「心的外傷後ストレス障害(PTSD)」と診断し、テレビ視聴をしないよう指示するとともにトラウマフォーカスト認知行動療法(TF-CBT)を受けるよう勧めた。これはPTSDの主な治療法である持続エクスポージャー療法と思われる。また、精神科への転科以後、Aさんの状況把握は従来のF氏とのチャットとD医師による主治医とのコミュニケーションとなった。フジテレビの健康相談室の産業医たちのAさんへの密な対応からは、それだけ気の抜くことが許されない病状だったことがうかがわれる。7月の段階では、フジテレビ内でAさんの性暴力被害を知っていた最上層部はG氏とH氏で、前回触れたようにG氏個人の判断で取締役への報告は預かりとなっていた。ところが同委員会報告書によると、2023年8月21日、G氏は突然E氏を呼び出し、当時の編成制作局管掌で専務取締役の大多 亮氏(2024年6月より関西テレビ代表取締役社長に就任。今回の事件の責任を取り、2025年4月4日辞任)を尋ねて、Aさんの問題を報告。大多氏はその場で代表取締役社長である港 浩一氏に電話連絡し、そのまま社長室で港氏、大多氏、G氏、E氏の4人での協議が行われた。そもそも取締役への報告を自身預かりにしていたG氏が、突如、大多氏に報告することになったのは、報告書によると「本事案をひとりで抱えられなくなったため」(G氏証言)と記載されている。利己的で場当たり的なG氏前回触れたようにG氏は、E氏からAさんが性暴力を受け入院に至るまで心身の状態が悪化しているとの報告を受けながら、この件は「プライベートな男女問題」と認識している。また、事件を認識直後に役員に報告しなかったのは、Aさんの「誰にも言わないでほしい」という希望があったためと説明しているが、これについては、前回に指摘したように、G氏が都合よく解釈したようにもうかがえる。そして最後は「抱えきれなくなった」と役員に丸投げするなど、G氏は“自分の都合”のみで場当たり的に動いていたと指摘されても仕方がない。また、G氏はE氏から報告を受けた段階で産業医であるC医師、D医師、さらにはAさんと恒常的に連絡を取っているF氏とも面談して状況を聴取するのが最も望ましいはずなのに、それもしていない。報告書によると、C医師がG氏とこの件で初めて顔を合わせたのは、約1年後にAさんが退職の意志を固めた面談の時である。しかも、これに加え報告を受けた大多氏と港氏も、明らかな業務時間外に中居氏所有のマンションで起きたことを主な理由に「性暴力」ではなく「プライベートな男女の案件」と単純にこの事件を捉えている。改めて流れを振り返ると、Aさんが初期に被害報告をしたC医師、D医師、E氏、F氏は、Aさんが性暴力の被害に遭ったと認識していたにもかかわらず、G氏に報告が上がった段階で「プライベートな男女の案件」に変わってしまい、結果的に大多氏、港氏も同様の認識となっている。G氏のところで“伝言ゲーム”が大きく変わっているのだ。また、この港氏、大多氏、G氏、E氏との協議では「なぜ自宅に行ってしまったのだろうか」などの発言もあり、同委員会は報告書内で「本事案についての認識・評価、発言などから、港社長ら3名(注:E氏以外の3名)の性暴力に対する無理解と人権意識の低さが見て取れる」と断じている。この会議で港氏が打ち出した方針は以下のようなものだ。Aさんの生命の安全と(心身の)ケアを最優先にして、本人の意向を汲んで対応していくAさんが笑顔で自然な形で復帰するまでサポートするAさんが業務復帰したら、不自然にならないような形で中居氏の番組起用を終わらせていく情報漏えいしないよう、情報共有範囲は、港社長、大多氏、G氏、E氏、F氏、C医師、D医師に限定する一見すると、ごく当然の方針にも思えそうだが、同報告書では9月上旬まで港氏、大多氏と時にG氏が加わって、最大3人で対応が協議されており、そこにはAさんの意志確認はなく、Aさんの状況をもっともよく知るF氏、C医師、D医師にも相変わらず状況を聞いていない。すべてがE氏やF氏から上がるG氏への報告が元になっている。報告書でもこの点を問題視し、「港社長及び大多専務は、F氏らの得ている情報はレポートライン、すなわち、E氏からG氏を通じて報告を受けることにより、本事案についての必要な情報を得ていたとし、F氏やC医師からの直接報告や意見聴取を不要としている。しかし、それでは、伝言ゲームのように、情報を下から上に伝えているだけである。すべての情報がG氏のフィルター(認識・評価)を通した内容に変換されるため、本事案の対応を検討する上で前提とすべき事実関係、Aさんの病状・心情とこれらの変化、業務復帰に向けた考えについて正確な情報を得ることはできない」と指摘している。また、前述の港氏が決定した方針の中の「笑顔で自然な形で復帰」という言葉も、聞こえは良さそうだが、性暴力被害を受けたAさんの心情を思えば、無神経とも言える。F氏がG氏の思惑を阻止ちなみにこの協議の翌日、傷病名PTSDで2023年9月末まで休務加療が必要である旨記載された診断書が、AさんからF氏を通じてH氏に提出され、その2日後には、Aさんから「医師チームや女性支援団体と具体的な退院時期や仕事復帰時期について意見交換する」といった話がチャットで送られてきたことが、F氏からE氏とG氏に対してメールで報告された。これに対してG氏は「Aさん本人と直接面会できないか、どういった支援団体とつながっているか知りたい」とのメールをF氏に送っているが、F氏は女性支援団体について詳しく確認しようとすることで、相談制限の意図があるように受け取られる可能性があり、また制限すべきでないと考えていたため、G氏に対して医療上必要な場合のみにしか入院患者に面会できない旨を返答し、指示を事実上拒否している。F氏の対応は至極真っ当である。第三者委員会の聴取に対し、G氏はAさんの意思確認だったと回答しているが、むしろ単なる組織防衛のようにしか映らない。実際、報告書では「当該メールの内容には、G氏の本事案への認識、対応方針の内容、中居氏の番組継続の是非についての考えなど、重要事項についての説明は記載されていない。質問の意図や指示の目的も不明である。G氏は、Aさんが中居氏や会社に対して何を求めているのか聞きたかっただけであり、何か会社としての対応方針があったわけではない、何か『こうしたい』という考えがあってAさんの意向を確認しようと思ったわけではないと述べている。以上から、「Aさんの会社や中居氏に対する要望や意思を真摯に確認しようとしたものとはいえない」と、G氏をかなり批判的に断じている。いずれにせよ、港氏がAさんのケアの重要性を打ち出しながら、PTSDと診断されている自社社員に対する適切な医療ケアの視点は、重要な意思決定を行う港氏、大多氏、G氏には微塵も感じられないのである。これら3人の壮年男性の対応は、民放他社のドラマのタイトルを借りるならば「不適切にもほどがある」のだ。さてこのテーマは本稿で終えるつもりだったが、業務に関連して心身を病んだ社員への会社の対応として医療的に問題がある部分は、同報告書を読む限りまだまだある。ということで、次回ももう一度だけこの問題に触れたいと思う。

50.

週2回貼付のアルツハイマー型認知症治療薬「リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg」【最新!DI情報】第37回

週2回貼付のアルツハイマー型認知症治療薬「リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg」今回は、持続放出性リバスチグミン経皮吸収型製剤「リバスチグミン(商品名:リバルエンLAパッチ25.92mg/51.84mg、製造販売元:東和薬品)」を紹介します。本剤は、わが国初の持続放出性のアルツハイマー型認知症の貼付薬であり、介護者の負担軽減やアドヒアランスの改善が期待されています。<効能・効果>軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行抑制の適応で、2025年3月27日に製造販売承認を取得しました。<用法・用量>通常、成人にはリバスチグミンとして1回25.92mgから開始し、原則として4週後に維持量である1回51.84mgに増量します。本剤は背部、上腕部、胸部のいずれかの正常で健康な皮膚に貼付します。原則として開始時は4日間貼付し、1枚を3~4日ごとに1回(週2回)貼り替えます。なお、貼付期間は4日間を超えないようにし、週2回行う本剤の貼り替えのタイミング(曜日)は原則固定します。<安全性>重大な副作用として、QT延長(1%未満)、狭心症、心筋梗塞、徐脈、房室ブロック、洞不全症候群、脳卒中、痙攣発作、食道破裂を伴う重度の嘔吐、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、胃腸出血、肝炎、失神、幻覚、激越、せん妄、錯乱、脱水(いずれも頻度不明)があります。その他の副作用は、接触性皮膚炎、適用部位紅斑、適用部位そう痒感(5%以上)、食欲減退、期外収縮、悪心、嘔吐、適用部位浮腫、適用部位皮膚炎、適用部位発疹、適用部位水疱、適用部位腫脹、体重減少(1~5%未満)、貧血、不眠症、幻視、易怒性、不整脈、心房粗動、高血圧、腹痛、蕁麻疹、適用部位皮膚剥脱、適用部位湿疹、適用部位蕁麻疹、しゃっくり、耳鳴(1%未満)、尿路感染、好酸球増加症、糖尿病、血尿、疲労、肝機能検査異常など(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.この薬は、軽度および中等度のアルツハイマー型認知症における認知症症状の進行を遅らせる薬です。2.この薬は、皮膚から有効成分が吸収される貼り薬(パッチ剤)です。3.初めに貼り替える曜日を決めて、1週間に2回、1回1枚、同じ時間に薬を貼り替えてください。4.背中、上腕、胸のいずれかの健康な皮膚に貼ってください。5.貼る場所は毎回変え、同じ場所に貼らないでください。6.貼り忘れに気付いたときは、気付いた時点で新しい薬を貼り、次からはいつもと同じスケジュールで貼り替えてください。<ここがポイント!>アルツハイマー型認知症は、認知症の原因の約6割を占める緩徐進行性の疾患で、記憶障害や複数の認知機能障害が特徴です。この認知機能の低下は、コリン作動性神経機能の低下と関連するといわれており、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬が現在の治療の中心です。日本では、これらの薬剤は内服薬と貼付薬で販売されており、通常、1日1~2回の投薬が必要です。アセチルコリンエステラーゼおよびブチリルコリンエステラーゼの阻害薬であるリバスチグミンは、2011年4月に1日1回貼付の貼付薬として承認されました。貼付薬は投薬状況が可視化されるため、内服薬に比べて介護者の負担を軽減することができます。服薬管理の負担を一層軽減するために、さらなる投薬頻度の低減が求められていました。リバルエンLAパッチは、日本初の持続放出性リバスチグミン経皮吸収型製剤であり、週2回の貼付が特徴です。従来の毎日1回の貼付薬に比べ、アドヒアランス向上が期待されます。外国人健康成人57例を対象に、本剤の51.84mg製剤を週2回(4日間と3日間の交互)またはリバスチグミン貼付薬(1日1回貼付)の18mg製剤を1日1回、上背部に11日間反復経皮投与したとき、リバスチグミン貼付薬に対する本剤の幾何平均値の比は、Cmax96-264で1.051(90%信頼区間[CI]:0.984~1.124]、Cmin96-264で1.078(0.978~1.189]、Ctau_264で1.086(1.018~1.158)およびAUC96-264で1.136(1.073~1.203)でした。このことから、51.84mg製剤の週2回投与がリバスチグミン貼付薬の18mg製剤の1日1回投与と同程度の曝露量を示すことが確認されました。軽度および中等度アルツハイマー型認知症患者を対象とした無作為化二重盲検並行群間比較試験(国内第III相試験:NDT-2101試験)において、24週時のADAS-Jcogのベースラインからの変化量の最小二乗平均値は、本剤群で-0.54(95%CI:-1.150~0.065)、リバスチグミン貼付薬群で0.30(-0.306~0.900)で、変化量の群間差は-0.84(-1.695~0.016)でした。群間差の95%CIの上限が事前に設定した非劣性限界値1.1を下回ったことから、リバスチグミン貼付薬群に対する本剤群の非劣性が検証されました。

51.

最新の鼻アレルギー診療ガイドラインの読むべき点とは

 今春のスギ・ヒノキの花粉総飛散量は、2024年の春より増加した地域が多く、天候の乱高下により、飛散が長期に及んでいる。そのため、外来などで季節性アレルギー性鼻炎(花粉症)を診療する機会も多いと予想される。花粉症診療で指針となる『鼻アレルギー診療ガイドライン-通年性鼻炎と花粉症- 2024年 改訂第10版』(編集:日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー感染症学会)が、昨年2024年3月に上梓され、現在診療で広く活用されている。 本稿では、本ガイドラインの作成委員長である大久保 公裕氏(日本医科大学耳鼻咽喉科学 教授)に改訂のポイントや今春の花粉症の終息の見通し、今秋以降の花粉飛散を前にできる対策などを聞いた。医療者は知っておきたいLAR血清IgE陰性アレルギー性鼻炎の概念 今回の改訂では、全体のエビデンスなどの更新とともに、皮膚テストや血清特異的IgE検査に反応しない「LAR(local allergic rhinitis)血清IgE陰性アレルギー性鼻炎」が加わった。また、図示では、アレルギー性鼻炎の発症機序、種々発売されている治療薬について、その作用機序が追加されている。そのほか、「口腔アレルギー症候群」の記載を詳記するなど内容の充実が図られている。それらの中でもとくに医療者に読んでもらいたい箇所として次の2点を大久保氏は挙げた。(1)LAR血清IgE陰性アレルギー性鼻炎の概念の導入: このLAR血清IgE陰性アレルギー性鼻炎は、皮膚反応や血清特異的IgE抗体が陰性であるにもかかわらず、鼻粘膜表層ではアレルギー反応が起こっている疾患であり、従来の検査や所見でみつからなくても、将来的にアレルギー性鼻炎や気管支喘息に進展する可能性が示唆される。患者さんが来院し、花粉症の症状を訴えているにもかかわらず、検査で抗体がなかったとしても、もう少し踏み込んで診療をする必要がある。もし不明な点があれば専門医へ紹介する、問い合わせるなどが必要。(2)治療法の選択の簡便化: さまざまな治療薬が登場しており、処方した治療薬がアレルギー反応のどの部分に作用しているのか、図表で示している。これは治療薬の作用機序の理解に役立つと期待している。また、治療で効果減弱の場合、薬量を追加するのか、薬剤を変更するのか検討する際の参考に読んでもらいたい。 実際、本ガイドラインが発刊され、医療者からは、「診断が簡単に理解でき、診療ができるようになった」「『LAR血清IgE陰性アレルギー性鼻炎』の所見をみたことがあり、今後は自信をもって診療できる」などの声があったという。今春の飛散終息は5月中~下旬頃の見通し 今春の花粉症の特徴と終息の見通しでは、「今年はスギ花粉の飛散が1月から確認され、例年より早かった一方で、寒い日が続いたため、飛散が後ろ倒しになっている。そのために温暖な日が続くとかなりの数の花粉が飛散することが予測され、症状がつらい患者さんも出てくる。また、今月からヒノキの花粉飛散も始まるので、ダブルパンチとなる可能性もある」と特徴を振り返った。そして、終息については、「例年通り、5月連休以降に東北以外のスギ花粉は収まると予測される。また、東北ではヒノキがないので、スギ花粉の飛散動向だけに注意を払ってもらいたい。5月中~下旬に飛散は終わると考えている」と見通しを語った。 今秋・来春(2026年)の花粉症への備えについては、「今後の見通しは夏の気温によって変わってくる。暑ければ、ブタクサなどの花粉は大量飛散する可能性がある。とくに今春の花粉症で治療薬の効果が弱かった人は、スギ花粉の舌下免疫療法を開始する、冬季に鼻の粘膜を痛めないためにも風邪に気を付けることなどが肝要。マスクをせずむやみに人混みに行くことなど避けることが大事」と指摘した。 最後に次回のガイドラインの課題や展望については、「改訂第11版では、方式としてMinds方式のCQを追加する準備を進める。内容については、花粉症があることで食物アレルギー、口腔アレルギー症候群(OAS)、花粉-食物アレルギー症候群(PFAS)など複雑に交錯する疾患があり、これが今問題となっているので医療者は知っておく必要がある。とくに複数のアレルゲンによる感作が進んでいる小児へのアプローチについて、エビデンスは少ないが記載を検討していきたい」と展望を語った。主な改訂点と目次〔改訂第10版の主な改訂点〕【第1章 定義・分類】・鼻炎を「感染性」「アレルギー性」「非アレルギー性」に分類・LAR血清IgE陰性アレルギー性鼻炎を追加【第2章 疫学】・スギ花粉症の有病率は38.8%・マスクが発症予防になる可能性の示唆【第3章 発症のメカニズム】・前段階として感作と鼻粘膜の過敏性亢進が重要・アレルギー鼻炎(AR)はタイプ2炎症【第4章 検査・診断法】・典型的な症状と鼻粘膜所見で臨床的にARと診断し早期治療開始・皮膚テストに際し各種薬剤の中止期間を提示【第5章 治療】・各治療薬の作用機序図、免疫療法の作用機序図、スギ舌下免疫療法(SLIT)の効果を追加〔改訂第10版の目次〕第1章 定義・分類第2章 疫学第3章 発症のメカニズム第4章 検査・診断第5章 治療・Clinical Question & Answer(1)重症季節性アレルギー性鼻炎の症状改善に抗IgE抗体製剤は有効か(2)アレルギー性鼻炎患者に点鼻用血管収縮薬は鼻噴霧用ステロイド薬と併用すると有効か(3)抗ヒスタミン薬はアレルギー性鼻炎のくしゃみ・鼻漏・鼻閉の症状に有効か(4)抗ロイコトリエン薬、抗プロスタグランジンD2(PGD2)・トロンボキサンA2(TXA2薬)はアレルギー性鼻炎の鼻閉に有効か(5)漢方薬はアレルギー性鼻炎に有効か(6)アレルギー性鼻炎に対する複数の治療薬の併用は有効か(7)スギ花粉症に対して花粉飛散前からの治療は有効か(8)アレルギー性鼻炎に対するアレルゲン免疫療法の効果は持続するか(9)小児アレルギー性鼻炎に対するSLITは有効か(10)妊婦におけるアレルゲン免疫療法は安全か(11)職業性アレルギー性鼻炎の診断に血清特異的IgE検査は有用か(12)アレルギー性鼻炎の症状改善にプロバイオティクスは有効か第6章 その他Web版エビデンス集ほかのご紹介

52.

不幸のメカニズム【Dr. 中島の 新・徒然草】(573)

五百七十三の段 不幸のメカニズム花粉がきつい!エレベーターなどで他のスタッフと顔を合わせた時にもこの話題は鉄板です。「花粉、大丈夫ですか?」「いや~、まったくダメですね」そんな会話を交わしつつ、私自身も花粉を避けて過ごしています。さて今回は「不幸のメカニズム」について。もちろん、人それぞれに考えは違うので、あくまでも「私はこう考えている」というお話です。私はずっと患者さんに「明るく、楽しく、前向きに生きましょう」とお伝えしてきました。病気を治すことはもちろん大切ですが、それと同じくらい「幸せになること」も大事だと考えているからです。ただ、どうすれば幸せになれるかとなると、これがなかなか難しい。正解があるのかもしれませんが、簡単には見つかりません。一方で「こうすると不幸になりやすい」というパターンは、確かにあると思います。たとえば、何か嫌なことが起きた時に、それを「社会のせい」や「誰かのせい」にするという思考。私の経験上、そうした姿勢は、ますます不幸を引き寄せてしまう気がします。例を挙げてみましょう。「日本はもう終わってる。こんな国に生まれたから、自分は不幸なんだ」といった声。確かに、今の日本の元気のなさは否定できません。バブル時代を知っている私としては、なおさら残念に感じます。また「自分は人間関係に恵まれないから、不幸なんだ」というのもよく耳にする話です。そういう人は、いつも周囲の誰かに腹を立てている印象があります。これは「卵が先か、鶏が先か」のような問題とも言えましょう。つまり、本当に社会や人間関係に問題があるから不幸になっているのかもしれません。その一方で、私にはその人の姿勢や考え方が、不幸を呼び寄せている面もあるように思えます。なぜそう考えるのか、その仕組みを少し説明してみましょう。不幸な状況を変えようとする時、自分でどうにかできることと、できないことがあります。たしかに、個人の力で社会を変えることが難しいのは言うまでもありません。でも、社会ばかりを責めていると、「自分で変えられる部分」に目が向かなくなるのではないでしょうか。「社会が悪いんだ」とばかり言っている人を見ると、「いや、でも変えられることもあるのでは?」と、つい言いたくなります。とはいえ、言ってもなかなか伝わらないので、黙って聞くようにしているわけですが。また「人間関係に恵まれないから不幸になる」という考え方にも、疑問を持たざるを得ません。誰の周りにも、良い人もいれば困った人もいるのが世の常。でも、立派な人ほど負のオーラに敏感な気がします。その結果、文句ばかり言っていると良い人たちが離れていき、周囲に残るのは、同じように不平不満を抱えている人ばかりになってしまうわけですね。結局のところ、「人間関係に恵まれない」という状況が、自らの手で作り出されているのではないでしょうか。逆に不幸を幸福に変えてしまう人もいます。以前、暴漢に襲われて頭を殴られた人が私の外来にやってきました。この患者さんに「頭部MRIでは外傷性の異常はありませんが、多発ラクナ梗塞がありますから生活習慣に気をつけましょうね」とアドバイスしたら「いやあ、先生に病気を見つけていただいて良かったです!」とすごくポジティブな反応。この人はなかなかのリッチマンだったのですが「さもありなん」と感心させられました。もちろん、こういった考えを患者さんに押しつけるつもりはまったくありません。ただ、もしアドバイスを求められるようなことがあったら、そのタイミングで自分の考えを伝えられたらと思いつつ、日々の診療に励んでいます。最後に1句花粉来て 文句を言っても 治らない

53.

レブリキズマブ、日本人アトピー患者におけるリアルワールドでの有効性・安全性

 既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎患者に対する治療薬として、2024年5月に発売された抗ヒトIL-13モノクローナル抗体製剤レブリキズマブについて、日本の実臨床における良好な有効性と安全性が示された。日本医科大学千葉北総病院の萩野 哲平氏らによるDermatitis誌オンライン版2月20日号への報告より。 本研究は2施設の共同研究であり、中等症~重症のアトピー性皮膚炎患者126例が対象。患者はレブリキズマブに外用コルチコステロイド薬を併用する16週間の治療を受けた。治療期間中に、以下の各指標が評価された:Eczema Area and Severity Index(EASI)/Investigator's Global Assessment(IGA)/Peak Pruritus Numerical Rating Scale(PP-NRS)/睡眠障害NRS/Atopic Dermatitis Control Tool(ADCT)/Dermatology Life Quality Index(DLQI)/Patient Oriented Eczema Measure(POEM)/IgE抗体/Thymus and Activation-Regulated Chemokine(TARC)/乳酸脱水素酵素(LDH)/末梢血好酸球数(TEC) 主な結果は以下のとおり。・レブリキズマブは4週時点ですべての臨床指標を改善し、その効果は16週まで維持された。・16週時点のEASI-50、75、90、100、IGA 0/1の達成率はそれぞれ83.1%、57.1%、27.3%、11.7%、33.3%であった。・16週時点のPP-NRS、睡眠障害NRS、DLQIの≧4ポイントの改善、ADCT<7ポイント、POEM≦7ポイントの達成率は、それぞれ75.9%、68.8%、65.9%、76.9%、80.4%であった。・検査指標については、治療期間中にIgE、TARC、LDHは減少したが、TECは増加した。・新たな安全性上の懸念は認められなかった。

54.

抗ヒスタミン薬投与後も症状持続の慢性特発性蕁麻疹、remibrutinibが有効/NEJM

 第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬を投与しても症状が持続する慢性特発性蕁麻疹患者の治療において、プラセボと比較して経口ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬remibrutinibは、12週時のかゆみと蕁麻疹の複合評価尺度が有意に改善し、重篤な有害事象の発現は同程度だが点状出血の頻度は高かったことが、ドイツ・シャリテー-ベルリン医科大学のMartin Metz氏らが実施した「REMIX-1試験」および「REMIX-2試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌2025年3月6日号で報告された。同一デザインの2つの第III相無作為化プラセボ対照比較試験 REMIX-1試験(日本の施設が参加)とREMIX-2試験は、慢性特発性蕁麻疹の治療におけるremibrutinibの安全性と有効性の評価を目的とする同一デザインの第III相二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験(Novartis Pharmaceuticalsの助成を受けた)。 年齢18歳以上、スクリーニングの6ヵ月以上前に慢性特発性蕁麻疹と診断され、第2世代ヒスタミンH1受容体拮抗薬の投与でも症状が持続する患者を対象とした。症状の持続は、スクリーニング前に6週間以上連続でかゆみと蕁麻疹がみられ、無作為化前の7日間に、蕁麻疹活動性スコア(UAS7、0~42点、点数が高いほど重症度が高い)が16点以上、かゆみ重症度スコア(ISS7、0~21点、点数が高いほど重症度が高い)が6点以上、蕁麻疹重症度スコア(HSS7、0~21点、点数が高いほど重症度が高い)が6点以上のすべてを満たすことと定義した。 被験者を、remibrutinib(25mg、1日2回)またはプラセボを経口投与する群に、2対1の割合で無作為に割り付けた。 主要エンドポイントは、UAS7のベースラインから12週目までの変化量であった。UAS7で6点以下達成、同0点も達成と2試験で有意に良好 REMIX-1試験に470例(平均[±SD]年齢45.0±14.0歳、女性68.3%)、REMIX-2試験に455例(41.7±14.5歳、65.3%)を登録した。remibrutinib群に613例(REMIX-1試験313例、REMIX-2試験300例)、プラセボ群に312例(157例、155例)を割り付けた。ベースラインで重症の慢性特発性蕁麻疹(UAS7≧28点)であったのは、REMIX-1試験が63.4%、REMIX-2試験は59.1%で、UAS7の平均値はそれぞれ30.3点および30.0点、無作為化の時点での平均罹患期間は6.7±8.6年および5.2±7.2年だった。 ベースラインから12週目までのUAS7の低下は、プラセボ群に比べremibrutinib群で有意に大きく、変化量の最小二乗平均(±SE)は、REMIX-1試験でremibrutinib群が-20.0±0.7点、プラセボ群が-13.8±1.0点(p<0.001)、REMIX-2試験ではそれぞれ-19.4±0.7点および-11.7±0.9点(p<0.001)であった。この効果は24週目まで持続した。 12週目に、UAS7が6点以下であった患者の割合は、プラセボ群よりもremibrutinib群で有意に高く、REMIX-1試験でremibrutinib群が49.8%、プラセボ群が24.8%(p<0.001)、REMIX-2試験でそれぞれ46.8%および19.6%(p<0.001)であり、UAS7において0点を達成した患者の割合も、REMIX-1試験で31.1%および10.5%(p<0.001)、REMIX-2試験で27.9%および6.5%(p<0.001)と有意に優れた。重篤な有害事象の頻度は同程度だが、点状出血が多い 2つの試験を合わせた有害事象の頻度は両群同程度で、ほとんどが軽度または中等度であった(remibrutinib群64.9%vs.プラセボ群64.7%)。重篤な有害事象(3.3%vs.2.3%)および試験薬の投与中止に至った有害事象(2.8%vs.2.9%)の割合も両群に大きな差はなかった。 最も頻度の高い有害事象は、新型コロナウイルス感染症(remibrutinib群10.7%vs.プラセボ群11.4%)、鼻咽頭炎(6.6%vs.4.6%)、頭痛(6.3%vs.6.2%)であり、点状出血(3.8%vs.0.3%)がremibrutinib群で多くみられた。 著者は、「remibrutinibの効果は早期に現れ、投与1週目には症状(かゆみと蕁麻疹)が減少した」「24週目には、remibrutinib群の半数の患者で慢性特発性蕁麻疹の良好なコントロールが得られ、3分の1の患者でかゆみと蕁麻疹が完全に消失した」としている。

55.

あの男が帰ってきた!【Dr. 中島の 新・徒然草】(571)

五百七十一の段 あの男が帰ってきた!徐々に日が長くなってきました。気持ちのいい季節が来たと思っていたら鼻がグズグズ……また花粉の季節になってしまったのですね。これまでは寒くて外に出れませんでしたが、これからは花粉のせいで引きこもることになりそうです。ところで。ついにあの男が帰ってきました!そう、ショーンKです。かつて一世を風靡したあの低く落ち着いた声、流暢な英語、そして渋いルックス。ショーンKは、自称ニューヨーク生まれの日米ハーフで、11歳のときに日本に帰国。日本語の習得に苦労しながらも勉強に励み、ついにはハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得したとのこと。その経歴を引っ提げて、ラジオパーソナリティとしてキャリアをスタートさせ、やがてテレビに進出。英語講師、経済評論家、コンサルタントとして、八面六臂の大活躍を見せました。さらには、中央官庁での講演を依頼されるまでに!まさに完璧なキャリアでした。ところが2016年、そんな彼の華やかな経歴は『週刊文春』によって粉々に砕かれたのです。ハーバード・ビジネス・スクールのMBAはおろか、そもそもニューヨーク生まれですらなく、実は熊本県生まれの純日本人でした。それでも、あの落ち着いた低音ボイスと堂々とした態度から、多くの人がショーンKの経歴を信じ込んでいたのです。このスキャンダルが発覚した直後、ショーンKは涙ながらに謝罪し、メディアの前から完全に姿を消しました。それから9年、ショーンKは完全に過去の人となったかに思われていたのですが……再びわれわれの前に登場してくれました。なんと千葉県君津市の商工会議所で講演を行うというニュースが飛び込んできたのです。そのニュースは瞬く間に広まり、講演のチケットは即完売。まさに「みんな大好き、ショーンK!」というわけです。「今度はどんなキャラで登場するのだろう?」と期待しながら、彼の公式サイトを覗いてみました。そこにあったのは、以前のプロフィールから「事実無根」の部分を抜いただけの、相変わらずハッタリの利いたもの。開き直って何か自虐ネタでも披露してくれたら面白かったのに。それにしても、彼の英語力はやはりすごいものがあります。かつて英語講師に扮していただけあって、YouTubeには彼のレッスン動画が公開されています。その内容がまた、日本人の苦手な部分に気を配った「痒いところに手の届く」ものです。とくに興味を引いたのは「こう尋ねられたらこう切り抜けよう」とか「この場面はこうやって突破しよう」といった教え方。まるで彼自身の人生を象徴するような表現です。それにしても、どうやったらあれほど流暢な英語を身に付けられるのでしょうか。彼が「こうすればネイティブを装うことができる」といったノウハウを披露するだけで、十分にビジネスとして成立しそうです。YouTubeで公開されている彼の英語教材は非常に完成度が高く、最後のほうには思わず「上手い!」と笑ってしまうギャグも披露されていました。実際、彼の英語を聴いたアメリカ人がYouTubeのコメントで「細かい修正をいくつか加えれば、ニューヨーク生まれと言っても通用するレベルだ!」と絶賛しています。整形疑惑や学歴詐称はともかく、語学力だけは誤魔化せないわけですから感心せざるを得ません。さて、9年間の沈黙を経て再登場したショーンK。今度はどんなパフォーマンスをわれわれに見せてくれるのか。期待せずにはいられませんね。最後に1句春霞 ショーンKが 復活だ!

56.

アトピー、乾癬、円形脱毛症、白斑の日本人患者で多い併存疾患

 アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症、白斑の日本人患者において、アレルギー性またはアトピー性疾患(アレルギー性鼻炎、結膜炎、喘息を含む)、皮膚疾患、感染症が最も頻繁にみられる併存疾患であり、とくにアトピー性皮膚炎および乾癬患者では、静脈血栓塞栓症、リンパ腫、帯状疱疹、結核の発生率が高いことが明らかになった。福岡大学の今福 信一氏らは、日本のJMDCレセプトデータを用いた後ろ向きコホート研究を実施、日本人皮膚疾患患者における併存疾患の有病率および発生率を評価した。The Journal of Dermatology誌オンライン版2025年2月7日号への報告より。 本研究では、2013年6月~2020年12月にJMDC請求データベースから収集されたデータが使用された。アトピー性皮膚炎、乾癬、円形脱毛症、または白斑と診断された患者は、年齢、性別、およびインデックス月(診断または治療の最初の記録があった月)によって、それらの疾患の診断による請求記録がない個人と1:1でマッチングされた。 主な結果は以下のとおり。・データには、アトピー性皮膚炎69万1,338例、乾癬5万1,988例、円形脱毛症4万3,692 例、白斑8,912例が含まれ、それぞれに対応するマッチング対照群が設定された。・それぞれの皮膚疾患患者において有病率の高かった併存疾患とマッチング対照群での有病率は、以下のとおりであった。アトピー性皮膚炎:アレルギー性鼻炎(47%vs.37%)、結膜炎(33%vs.23%)、喘息(27%vs.20%)、ウイルス感染症(22%vs.15%)、ざ瘡(11%vs.3%)乾癬:アレルギー性鼻炎(35%vs.28%)、結膜炎(21%vs.17%)、真菌感染症(17%vs.5%)、高血圧(16%vs.13%)、ウイルス感染症(16%vs.7%)円形脱毛症:アレルギー性鼻炎(40%vs.31%)、結膜炎(26%vs.19%)、ウイルス感染症(17%vs.8%)、喘息(14%vs.11%)、アトピー性皮膚炎(12%vs.3%)白斑:アレルギー性鼻炎(45%vs.36%)、結膜炎(30%vs.23%)、ウイルス感染症(21%vs.12%)、喘息(19%vs.16%)、アトピー性皮膚炎(16%vs.4%)・アトピー性皮膚炎コホートにおける併存疾患の発生率(10万人年当たり)は、マッチング対照群と比較して以下のとおりであった:静脈血栓塞栓症:51.4(95%信頼区間[CI]:48.3~54.7)vs.31.7(29.2~34.2)リンパ腫:13.8(12.2~15.6)vs.5.7(4.7~6.8)皮膚T細胞性リンパ腫:1.6(1.1~2.2)vs.0.1(0.0~0.4)帯状疱疹:740.9(728.8~753.1)vs.397.6(388.9~406.6)結核:8.4(7.1~9.7)vs.5.8(4.8~6.9)・乾癬コホートでのマッチング対照群との比較においても、同様の傾向が認められた。円形脱毛症および白斑のコホートでは、対照群と95%CIがほぼ重なっていた。

57.

抱腹絶倒!? “クセ強め”なお見合い相手たち〜第1弾【アラサー女医の婚活カルテ】第8回

アラサー内科医のこん野かつ美です☆前回は、結婚相談所(以下、相談所)でのお見合いに望む際、筆者なりに心掛けていたことについて書きました。今回は、筆者がお見合いで遭遇した、“クセ強め”な男性の皆さんを振り返ってみます。肩の力を抜いて、読み物としてお楽しみいただけると幸いです。(※個人の特定を防ぐため、大筋に影響しない程度の脚色を加えています)“瓶底メガネ”の丸尾さん1人目は、丸尾さん(仮名)です。32歳、会社員。収入、学歴、居住地などが私の希望条件と合っていたことから、お見合いの申し込みをお受けしました。写真を見ると、取り立てて特徴のない、善良そうなお顔立ちでした。プロフィールの中で、とくに私の目を引いたのは丸尾さんの学歴でした。某有名中高一貫校から一流の大学へ進んでおり、私が医師であることに対して、変に身構えることはなさそうな気がしました。話が合うといいな、と期待が膨らみました。しかし……「こん野さんですか?」当日、私より遅く待ち合わせ場所に現れたご本人を目にして、衝撃を受けました。分厚いレンズのメガネを掛け、さらにその上から、花粉症対策なのかゴーグルまで掛けていて、お顔を見通すのが難しいほどだったのです(そういう訳で、瓶底メガネがトレードマークの『ちびまる子ちゃん』のキャラクターにちなんで、丸尾さんと命名しました)。しかも、髪は伸ばしっぱなしのクセ毛で、使い込まれたジャンパーに、毛玉の目立つセーターという服装でした。清潔感という言葉とは対極です。(見た目はちょっとアレだけど、中身はいい人かもしれないし……)早々に回れ右して帰りたくなった気持ちにフタをして、お見合いのためのカフェに入りました。席に着くなり話し始めた丸尾さん。その内容がまたぶっ飛んでいたのです。「3年間同棲していた彼女と先月別れたばかりなんです。別れた理由は……」初対面でいきなり、元交際相手との生々しいエピソードを延々と聞かされた私は、いったいどういう顔をしていれば良かったのでしょうか…。「お見合いは1時間を目安に」というルールがあったので耐えましたが、人生で最も長く感じた1時間だったかもしれません。丸尾さんは、終始メガネもゴーグルも着けたままだったので、素顔はついぞ拝めずじまいでした。ちなみに、相談所のお見合いでは“お茶代は男性負担”というやや前時代的なルールがあるのですが、丸尾さんとのお見合いは10円単位の割り勘でした(「6円、負けときますね!」と言われました)。お別れしてすぐに、相談所にお断りの連絡を入れたのは言うまでもありません。いろいろな意味で“ハジケ過ぎ”なコーさん2人目はコーさん(仮名)です。35歳、年収1,000万超(私の住む地方ではかなり高いほうです)、肩書は「会社経営者」となっていました。プロフィール写真は、ビジネススーツに黒髪をビシッとセットした、硬派な雰囲気でした。しかし、お見合い当日、待ち合わせ場所にコーさんらしき人はなかなか姿を見せません。私のほかにその場にいたのは、DJ KOOさんのような金髪の男性ただ1人。腹回りが少々ぽっちゃり気味なため、茶色いジャケットのボタンが弾け飛ばんばかりになっています。あれ?まさか……「こん野さんですか?」写真とかなり印象の違うその方こそが、コーさんご本人だったのです(DJ KOOの「KOO」からとって、「コー」さんです)!私の職業について、「いやぁ、お姉さん、この地方の女性会員の中で、年収ぶっちぎりトップだったからさぁ。聞く前から、絶対医者だろって思っていたよ」と、なんともまあフランクな感想を頂きました。お見合い相手から「お姉さん」呼ばわりされたのは初めてでした(笑)。「お姉さん、いいね! お姉さんみたいな人と結婚したら、人生もっと楽しめそう!」ご縁はありませんでしたが、刺激的な1時間で、これも人生経験と思えば、なかなか面白かったです。番外編:個性的過ぎるプロフィールの2人番外編として、お見合いはしなかったものの印象に残ったお相手を2人ご紹介して、締めくくりたいと思います。番外編その1は、某県在住の開業医の先生です。おそらく私のプロフィールから、同業者であることを察して申し込んでくださったのだろうと思うのですが……なんと御年60代。実に2倍以上の年齢差があったので、丁重にお断りさせていただきました。近隣の県にお住まいだったので、もしかしたら今後いつか、患者さんを紹介したりされたりすることがあるかもしれません。番外編その2は、30代のイケメンサラリーマン。年収や学歴など申し分のないプロフィールをお持ちでしたが、自己PRの最後の1文が強烈でした。「ワクチンを一度も打っていない、清らかな女性と巡り合いたいです」これを読んで、プロフィールページをそっと閉じたのは言うまでもありません。世の中には、多種多様な価値観をお持ちの方がいらっしゃるものですね。お見合いに真の“ハズレ”なし以上、相談所での活動で出会った、パンチの効いた男性の皆さんをご紹介しました。ただ、こんなふうに一見“ハズレ”にみえるお見合いも、実は決して無駄ではない……と、思うようにしていました。(私は、こういう男性とは合わないんだな)ということが浮き彫りになるので、自分が求める結婚相手像を改めて確認することができたからです。つくづく、面白い経験をさせてもらったなぁと思います。なお、ここに挙げた“クセ強め”男性陣はほんの一握りで、大多数は礼儀正しい方々だったことを付け加えておきます。次回も引き続き、印象深かったお見合い相手を振り返りたいと思います。お楽しみに。

58.

1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート

 緑茶は、カテキンなどの抗酸化作用による抗炎症効果によって、アレルギー症状に効果があると考えられているが、アレルギー症状との関係を検討した大規模な疫学研究は限られている。今回、順天堂大学の青木 のぞみ氏らは、日本人の大規模疫学コホートにおいて、緑茶、番茶、ウーロン茶、紅茶の摂取頻度とスギ花粉症との関係を検討した。その結果、お茶、とくに緑茶を1日1回以上習慣的に摂取すると、スギ花粉特異的IgE陽性の可能性が低下することがわかった。Journal of Nutritional Science誌に2025年1月10日掲載された。 本研究は、2013~15年に募集した宮城県および岩手県に住む40歳以上の約6万人の大規模コホートにおいて、血液検査によるスギ花粉抗体値を測定され、自記式質問票によるお茶の摂取頻度(週1回未満、週1~2回、週3~4回、週5~6回、1日1杯、1日2~3杯、1日4~6杯、1日7~9杯、1日10杯以上から選択)に回答した1万6,623人のデータを用いた。ロジスティック回帰モデルにより、摂取頻度(週1回未満、週1~6回、1日1杯以上の3群に分類)と血清中のスギ花粉特異的IgE値(ルミカウント0~1.39:陰性、1.40以上:陽性)との関連を解析した。  主な結果は以下のとおり。・緑茶について、1日1杯以上は週1回未満を基準としてスギ花粉特異的IgE陽性の調整オッズ比が0.81(95%信頼区間:0.70~0.94、p<0.01)であった。・緑茶以外では摂取頻度とスギ花粉特異的IgEとの間に統計学的に有意な関連は認められなかった。

59.

映画「クワイエットルームにようこそ」(その4)【だから家族のつながりにとらわれてたんだ!だから人権意識が乏しかったんだ!(直系家族病)】Part 4

結局日本人が家族のつながりにとらわれて、人権意識が低いわけは?入院中に明日香は、蕁麻疹が出ただけで看護師から「クワイエット行き」(隔離拘束)にさせられそうになりました。その時とっさに、蕁麻疹の様子をコモノ(明日香を訪ねてきた面会者)に携帯電話で撮らせます。すると、看護師から「閉鎖病棟では写真撮影は禁止ですよ」と言われ、それを取り上げられそうになります。権威主義の常とう手段、証拠隠滅です。しかし、ひるまず、「初耳ですね。ルールを提供する側なら、あらかじめルールを提示しておくのが、フェアなやり方なんじゃないでしょうか」と言い返すのです。当然の権利を主張した瞬間で、私たちもスカッとします。まさにこのフェアであることは、直系家族(権威主義)ではなく、核家族(自由主義)の価値観による人権意識です。しかし、明日香のような人は少ないようです。なぜでしょうか?この原因を、日本の歴史から解き明かしてみましょう。日本は、平安時代までは相続を分ける平等主義核家族でした。争いが増えた鎌倉時代(14世紀)以降に、一人だけ相続する直系家族が農家でも武家でも徐々に広がり、江戸時代に行き渡りました1)。そして明治になり、明治民法(1896年施行)によって家制度として初めて明文化されました。明治民法では、長男が代々家長(家督)となり、単独で相続を継ぐ権利を得ることとされ、その見返りとして家長はその家族(親族)のメンバーを扶養する義務を負うこととされました。これが、扶養義務の法的な起源です。これは、まさに直系家族という日本の家族システムをそのまま明文化したものです。当時の農村では、親族で集まった集落をつくっており、家督相続と扶養義務のセットはとても合理的でした。そもそも当時は、公的扶助(生活保護)が明確には確立していませんでした。すぐ近くに住む親族が一緒に農作業をしており、日常的にも経済的にも助け合うこと(扶養)は、ごく自然でした。そしてこれが、「子供(家長以外の家族)は成人しても親(家長)の言うことを聞くべきであり、困ったら親(家長)を頼るべきである」というその3で説明した現在の日本人の国民性の起源でもあります。以上から、鎌倉時代から現在まで約600年かけて、直系家族という日本の家族システムを確立させ、家族のつながりにとらわれるという日本独特の国民性(文化)を完成させたことになります。同時にこの600年間で、この家族システム(文化)に適応する人(遺伝子)がより生き残り、より子孫を残してきたことにもなります。それでは、そのような人(遺伝子)とはどんな特徴があるでしょうか?それは、権威にひれ伏し(受け身)、不平等でも恐縮して気を遣うこと(不安)です。まさに、先ほどの鉄雄の「だっておれ、言われるがままじゃん」というセリフです。さらに言えば、彼は番組企画で拉致された時も同じスタンスだったわけですが、そこまで彼ができるのも、その後の番組編集で「きっとおいしくしてくれる」というご褒美(権威)を薄々期待していたからです。あとで鉄雄が明かしたように、実は拉致されることはあらかじめ知らされており、パスポートも周到に用意していたのでした。たとえ人権侵害という形になっても「言うことを聞いていれば悪いようにはされない」という暗黙の了解の文化がそこにあります。実際の研究では、日本人は脳内物質の国際比較においても世界で最も受け身(ドパミン不足)で不安(セロトニン不足)になりやすいことがわかっています。この詳細については、関連記事2をご覧ください。なお、その記事では、受け身で不安になりやすい日本人の気質について、他の要因にも触れています。この受け身で不安になりやすい気質は、「自分はだめだ」という自己肯定感の低さにもつながります。その方が、直系家族の文化に適応できて都合が良いからです。むしろそうなる必要があったというわけです。実際の統計でも、日本人は世界で最も自己肯定感が低いことがわかっていますが、これにも納得がいくでしょう。このように、家族システムにおいても、文化進化と遺伝子進化は共進化していることが考えられます。共進化の詳細については、関連記事3をご覧ください。以上より、日本人が家族のつながりにとらわれ人権意識が低いのは、日本の家族システムが長らく直系家族であったために、権威主義と不平等を受け入れる文化進化と遺伝子進化が共進化してきたからであると説明することができます。<< 前のページへ | 次のページへ >>

60.

1日1回、新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬「ゼポジアカプセルスターターパック/カプセル0.92mg」【最新!DI情報】第31回

1日1回、新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬「ゼポジアカプセルスターターパック/カプセル0.92mg」今回は、スフィンゴシン1-リン酸受容体調節薬「オザニモド(商品名:ゼポジアカプセルスターターパック/カプセル0.92mg、製造販売元:ブリストル・マイヤーズ スクイブ)」を紹介します。本剤は、1日1回服用の新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬であり、既存薬で効果不十分であった患者や利便性の向上を望む患者の新たな選択肢として期待されています。<効能・効果>中等症~重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)を適応として、2024年12月24日に製造販売承認を取得しました。本剤は、過去の治療において、ほかの薬物療法(5-アミノサリチル酸製剤、ステロイドなど)で適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に投与します。<用法・用量>通常、成人にはオザニモドとして1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mg、8日目以降は0.92mgを1日1回経口投与します。<安全性>重大な副作用として、感染症(帯状疱疹[2.8%]、口腔ヘルペス[0.6%])など)、進行性多巣性白質脳症(頻度不明)、黄斑浮腫(0.6%)、肝機能障害(4.5%)、徐脈性不整脈(1.7%)、リンパ球減少(10.2%)、可逆性後白質脳症症候群(頻度不明)が報告されています。本剤投与による心拍数の低下は、漸増期間中に生じる可能性が高いので、循環器を専門とする医師と連携するなど適切な処置が行える管理下で投与を開始する必要があります。また、黄斑浮腫に備えて、眼底検査を含む定期的な眼科学的検査を実施する必要があります。その他の副作用は、頭痛、高血圧、γ-GTP増加、ALT増加(いずれも1%以上)、発疹や蕁麻疹を含む過敏症(1%未満)、上咽頭炎、末梢性浮腫、努力呼気量減少、努力肺活量減少(いずれも頻度不明)があります。<患者さんへの指導例>1.本剤は、中等症~重症の潰瘍性大腸炎に用いられる薬です。結腸に浸潤するリンパ球数が減少することで、潰瘍性大腸炎を改善すると考えられています。2.過去の治療において、ほかの薬物療法(5-アミノサリチル酸製剤、ステロイドなど)で適切な治療を行っても、疾患に起因する明らかな臨床症状が残る場合に使用されます。3.服用開始から徐々に用量を増やしていきますが、心拍数が低下することがあるので、異常を感じたら直ちに医師に連絡してください。4.服用中に重篤な眼疾患が現れることがあるので、異常を感じたら直ちに医師に連絡してください。<ここがポイント!>潰瘍性大腸炎(UC)は、主として粘膜にびらんや潰瘍が生じる非特異性炎症疾患です。再燃と寛解を繰り返すことが多く、長期間の医学管理が必要となります。薬物療法には、5-アミノサリチル酸製剤や副腎皮質ステロイドが用いられますが、これらの治療薬が無効であった場合には、免疫調整薬やヤヌスキナーゼ阻害薬、抗TNF抗体製剤、抗IL-12/23抗体製剤などが使用されます。しかし、無効例や通院での注射投与が困難な場合のほか、安全性の問題などで治療薬の変更が生じる懸念もあることから、とくに中等症~重症のUC患者に対しては、既存薬と異なる新たな作用機序で、症状や粘膜損傷などの改善効果が高く、難治性に移行させない経口治療薬が求められていました。オザニモドは、1日1回の経口投与で中等症~重症のUCに効果を示します。オザニモドは、スフィンゴシン1-リン酸(S1P)受容体のサブタイプ1(S1P1)と5(S1P5)に対して高親和性で結合し、リンパ球の遊走を抑制します。これにより、循環血中のリンパ球数が減少することで、炎症性細胞のさらなる動員や炎症性サイトカインの局所的な放出を防ぎ、腸粘膜が継続的に損傷する状況を改善します。日本人の中等症~重症の活動性UC患者を対象とした国内第II/III相試験(J-True North試験)において、主要評価項目である投与12週時点の完全Mayoスコアに基づく臨床的改善率は、本剤0.92mg群で61.5%、プラセボ群で32.3%と、本剤群で統計学的に有意に高い改善が認められました(p=0.0006)。同様に、副次評価項目である投与12週時点の臨床的寛解率は、本剤群で24.6%、プラセボ群で1.5%と、本剤群で統計学的に有意に高い改善が認められました(p=0.0002)。

検索結果 合計:627件 表示位置:41 - 60