サイト内検索|page:12

検索結果 合計:2040件 表示位置:221 - 240

221.

症例発見法によるCOPD・喘息の早期診断、医療利用の低減に/NEJM

 未診断の慢性閉塞性肺疾患(COPD)または喘息の成人を特定するための症例発見法(case-finding method)によって呼吸器専門医の指示による治療を受けた患者は、通常治療の患者と比較して、その後の呼吸器疾患による医療利用が少なくなることが、カナダ・オタワ大学のShawn D. Aaron氏らUCAP Investigatorsが実施した「UCAP試験」で示された。研究の成果は、NEJM誌オンライン版2024年5月19日号に掲載された。カナダ17施設の無作為化対照比較試験 研究グループは、未診断のCOPDまたは喘息を有する患者では、症例発見法を用いた早期の診断と治療により、呼吸器疾患に対する医療利用が低減し、健康アウトカムが改善するかを検証する目的で無作為化対照比較試験を実施し、2017年6月~2023年1月にカナダの17施設で参加者を登録した(カナダ保健研究機構[CIHR]の助成を受けた)。 症例発見法により、肺疾患の診断を受けていないが呼吸器症状を呈する成人を特定した。被験者を、ガイドラインに基づく治療を開始するよう指示された呼吸器専門医と喘息/COPD指導員による評価を受ける群(介入群)、またはプライマリケア医による通常治療を受ける群(通常治療群)に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、呼吸器疾患に対する参加者の自主的な医療利用の年間発生率とした。SGRQ、CAT、FEV1も良好 受診した3万8,353例中595例で未診断のCOPDまたは喘息を発見し、このうち508例を無作為化の対象とした。253例が介入群(平均年齢63.4[SD 13.4]歳、男性64%)、255例が通常治療群(62.8[13.6]歳、58%)に割り付けられた。 主要アウトカムのイベントの年間発生率は、通常治療群に比べ介入群で有意に低かった(0.53件vs.1.12件/人年、発生率比:0.48、95%信頼区間[CI]:0.36~0.63、p<0.001)。 St. George Respiratory Questionnaire(SGRQ、0~100点、点数が低いほど健康状態が良好)で評価した疾患特異的QOLは、通常治療群ではベースラインから6.8点低下したのに対し、介入群では10.2点の低下と良好であった(群間差:-3.5点、95%CI:-6.0~-0.9)。 COPD評価テスト(CAT、0~40点、点数が低いほど健康状態が良好)で評価した症状負担は、通常治療群ではベースラインから2.6点低下したのに比べ、介入群では3.8点低下し良好であった(群間差:-1.3点、95%CI:-2.4~-0.1)。 また、1秒量(FEV1)は、通常治療群ではベースラインから22mL増加したのに対し、介入群では119mLの増加であった(群間差:94mL、95%CI:50~138)。有害事象は両群で同程度 有害事象の発生は両群で同程度であり、介入群では21例に24件、通常治療群では14例に16件発生した。めまいや失神(スパイロメトリー検査による)、筋肉のけいれん(処方された呼吸器疾患治療薬による可能性がある)に関連するものが多かった。入院に至る重篤な有害事象は、介入群で5件、通常治療群で7件報告された。12ヵ月の追跡期間中に、介入群で2例(心停止、肺がん)、通常治療群で2例(心停止、肝不全)の死亡が発生した。 著者は、「この症例発見法は、多くの医療システムに導入可能であり、未診断のCOPDまたは喘息患者における診断と治療の改善に寄与する可能性がある」としている。

222.

医療用麻薬って、一生飲み続けるのですか?【非専門医のための緩和ケアTips】第77回

第77回 医療用麻薬って、一生飲み続けるのですか?患者さんから、そして医療者向けのレクチャーにもしばしば聞かれる質問の1つに、「医療用麻薬って一生飲むのですか?」というものがあります。そんな時、どう答えるのがよいでしょう? 一緒に考えてみたいと思います。今回の質問先日、がん疼痛が強くなってきた患者さんにオピオイドを処方しようとした際のこと。不安にならないよう丁寧に説明して、必要性は理解してもらいました。その際、「この薬って一生飲み続けるのでしょうか?」と尋ねられました。比較的全身状態の保たれた患者さんでしたが、病状は進行すると考え、「そうです」とは答えたのですが、これでよかったのでしょうか?終末期に近い病状の患者さんを診ている場合、オピオイドの減量や中止を経験することは、あまりないかもしれません。この中であり得るパターンとしては、「内服で継続していたオピオイドが身体状況の悪化で飲めなくなり、痛みも訴えていないことや投与量自体があまり多くないことから、そのまま中止」というものがあります。このような場合、多くは1週間程度で亡くなる経過をたどります。こうした場合以外は、それなりの投与量のオピオイドを急に中止してしまうと、退薬症状が生じる懸念があります。そのため、「内服できない」といった状況が生じれば、皮下投与や静脈投与に投与経路を変更して投与を継続することが一般的です。では、「がん疼痛自体が軽減したので、オピオイドを減量・中止する」という機会はあるのでしょうか? 悪性疾患の特性上、病状の進行に伴い症状も強くなる場合が大半ですが、少ないながらもオピオイドが不要になるケースは存在します。具体的な例としては、「がん疼痛が強く、大量のオピオイドが必要だったが、オピオイド“以外”の介入によって、症状が改善した」というケースです。たとえば、「放射線治療や化学療法が奏効し、痛みの主要因であった病変が縮小・消失した」場合には、オピオイドの中止の可能性が出てきます。この場合、オピオイドは「鎮痛薬以外の治療を行うために一時的に使用した」という役割になります。さらに、痛みは改善しているのにそのままの量を処方し続ければ、過量投与になる恐れがあります。「放射線治療をしていたら、傾眠傾向になってきた…」といった時には、オピオイドが過量になってないかを検討しましょう。さて、最初の質問に対して、私はどのように答えているでしょうか?私自身は上記のような医学的な説明をする前に、「どういった気掛かりからの質問なのか」を確認しています。こうした質問が出る場合、相手には何らかの懸念があることが一般的です。たとえば、「長期間使用すると依存症になってしまうのではないか?」「医療費がずっとかかるのではないか?」といったことです。相手の気掛かりを確認したうえで、「病状や症状によっては、オピオイドの減量や中止に至るケースもあります」と説明することもあります。ただ、こうした場合でも「あまり多くはないですが…」といった枕詞を置くなど、過度に期待させないよう配慮します。そのうえで、「できるだけ症状が和らぐように、ベストだと思われる調整を提案します」とお伝えします。今回のTips今回のTipsオピオイドの減量・中止が必要となるケースを知り、患者さんの気掛かりに対応しよう。

224.

限局型小細胞肺がん、デュルバルマブ地固めでOS・PFS改善(ADRIATIC)/ASCO2024

 本邦では、StageI/IIA(UICC第8版)以外でPS0~2の限局型小細胞肺がん(LD-SCLC)の治療は、プラチナ製剤を用いた同時化学放射線療法(cCRT)および初回治療で完全寛解が得られた患者への予防的頭蓋照射(PCI)が、標準治療となっている。新たな治療法として、cCRT後のデュルバルマブ地固め療法が有用である可能性が示された。国際共同第III相無作為化比較試験「ADRIATIC試験」の第1回中間解析において、cCRT後のデュルバルマブ地固め療法が全生存期間(OS)と無増悪生存期間(PFS)を有意に改善した。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)で、米国・Sarah Cannon Research InstituteのDavid R. Spigel氏が本研究結果を報告した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:I~III期(I/II期は外科手術不能の患者)でPS0/1のLD-SCLC患者のうち、cCRT後に病勢進行が認められなかった患者730例(PCIの有無は問わない)・試験群1(デュルバルマブ群):デュルバルマブ(1,500mg、cCRT後1~42日目に開始して4週ごと)を最長24ヵ月 264例・試験群2(デュルバルマブ+トレメリムマブ群):デュルバルマブ(同上)+トレメリムマブ(75mg、cCRT後1~42日目に開始して4週ごと)を最長24ヵ月 200例・対照群(プラセボ群):プラセボ 266例・評価項目:[主要評価項目]OS、RECIST v1.1に基づく盲検下独立中央判定(BICR)によるPFS(いずれもデュルバルマブ群vs.プラセボ群)[副次評価項目]OS、RECIST v1.1に基づくBICRによるPFS(いずれもデュルバルマブ+トレメリムマブ群vs.プラセボ群)、安全性など 今回は、デュルバルマブ群とプラセボ群の比較結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・データカットオフ時点(2024年1月15日)において、OSおよびPFSの追跡期間中央値は、それぞれ37.2ヵ月、27.6ヵ月であった。・放射線照射は、1日1回がデュルバルマブ群73.9%、プラセボ群70.3%、1日2回がそれぞれ26.1%、29.7%であった。・OS中央値はデュルバルマブ群が55.9ヵ月、プラセボ群が33.4ヵ月であり、デュルバルマブ群が有意に改善した(ハザード比[HR]:0.73、95%信頼区間[CI]:0.57~0.93、p=0.0104)。24ヵ月OS率はそれぞれ68.0%、58.5%、36ヵ月OS率はそれぞれ56.5%、47.6%であった。・BICRによるPFS中央値は、デュルバルマブ群が16.6ヵ月、プラセボ群が9.2ヵ月であり、デュルバルマブ群が有意に改善した(HR:0.76、95%CI:0.61~0.95、p=0.0161)。18ヵ月PFS率はそれぞれ48.8%、36.1%、24ヵ月PFS率はそれぞれ46.2%、34.2%であった。・OSとPFSは、いずれも事前に規定されたサブグループ間で一貫してデュルバルマブ群で改善する傾向にあった。・Grade3/4の有害事象(AE)はデュルバルマブ群24.4%、プラセボ群24.2%に発現した。投与中止に至ったAEはそれぞれ16.4%、10.6%、死亡に至ったAEはそれぞれ2.7%、1.9%に発現した。・肺臓炎/放射線肺臓炎はデュルバルマブ群38.2%、プラセボ群30.2%(Grade3/4はそれぞれ3.1%、2.6%)に発現した。 Spigel氏は、本結果について「デュルバルマブ地固め療法は、cCRT後に病勢進行が認められないLD-SCLC患者に対する新たな標準治療となるだろう」とまとめた。

225.

高リスクEGFR陽性NSCLC、amivantamab+lazertinibの効果は?(MARIPOSA)/ASCO2024

 未治療のEGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、EGFRおよびMETを標的とする二重特異性抗体amivantamabと第3世代EGFRチロシンキナーゼ阻害薬lazertinibの併用療法は、オシメルチニブ単剤と比較して無増悪生存期間(PFS)を改善したことが、欧州臨床腫瘍学会(ESMO Congress 2023)で報告されている1)。EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者において、TP53遺伝子変異、血中循環腫瘍DNA(ctDNA)の検出、ベースライン時の肝転移または脳転移を有する場合は予後が不良であることが知られている。そこで、国際共同第III相無作為化比較試験「MARIPOSA試験」において、これらの予後不良因子を有する患者の治療成績が検討された。その結果、amivantamabとlazertinibの併用療法は、これらの予後不良因子を有する患者集団においても、オシメルチニブ単剤と比較してPFSを改善することが明らかになった。米国臨床腫瘍学会年次総会(2024 ASCO Annual Meeting)において、スペイン・Vall d’Hebron University HospitalのEnriqueta Felip氏が本研究結果を報告した。・試験デザイン:国際共同第III相無作為化比較試験・対象:未治療のEGFR遺伝子変異(exon19delまたはL858R)陽性の進行・転移NSCLC患者・試験群1(ami+laz群):amivantamab(体重に応じ1,050mgまたは1,400mg、最初の1サイクル目は週1回、2サイクル目以降は隔週)+lazertinib(240mg、1日1回) 429例・試験群2(laz群)lazertinib(240mg、1日1回) 216例・対照群(osi群):オシメルチニブ(80mg、1日1回) 429例・評価項目:[主要評価項目]盲検下独立中央判定に基づくPFS(ami+laz群vs.osi群)[副次評価項目]奏効率、全生存期間など  今回は、サブグループ別のami+laz群とosi群におけるPFSの比較結果が報告された。主な結果は以下のとおり。・ベースライン時にctDNAが検出された患者は、ami+laz群320例、osi群316例であった。・ドロップレットデジタルPCR(ddPCR)によってベースライン時にctDNAが検出された患者の割合は、ami+laz群69%、osi群71%であったが、9週時にctDNAが検出された患者の割合は、いずれの群も15%であった。・サブグループ別のami+laz群およびosi群のPFS中央値、ami+laz群のosi群に対するハザード比(95%信頼区間)、p値は以下のとおり。- TP53遺伝子変異あり:18.2ヵ月vs.12.9ヵ月、0.65(0.48~0.87)、p=0.003- TP53遺伝子変異なし:22.1ヵ月vs.19.9ヵ月、0.75(0.52~1.07)、p=0.114- ベースライン時にddPCRでctDNAあり:20.3ヵ月vs.14.8ヵ月、0.68(0.53~0.86)、p=0.002- ベースライン時にddPCRでctDNAなし:27.7ヵ月vs.21.9ヵ月、0.68(0.53~0.86)、p=0.002- 9週時にctDNA消失:20.3ヵ月vs.14.8ヵ月、0.64(0.48~0.87)、p=0.004- 9週時にctDNA残存:16.5ヵ月vs.9.1ヵ月、0.49(0.27~0.87)、p=0.015- ベースライン時に肝転移あり:18.2ヵ月vs.11.0ヵ月、0.58(0.37~0.91)、p=0.017- ベースライン時に肝転移なし:24.0ヵ月vs.18.3ヵ月、0.74(0.60~0.91)、p=0.004- 脳転移歴あり:18.3ヵ月vs.13.0ヵ月、0.69(0.53~0.92)、p=0.010- 脳転移歴なし:27.5ヵ月vs.19.9ヵ月、0.69(0.53~0.89)、p=0.005 Felip氏は、本結果について「amivantamabとlazertinibの併用療法は、予後不良因子を有する患者においてもPFSを改善した。したがって、EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者の1次治療における新たな標準治療として有望である」とまとめた。

226.

5月31日 世界禁煙デー【今日は何の日?】

【5月31日 世界禁煙デー】〔由来〕世界保健機構(WHO)が、たばこを吸わないことが一般的な社会習慣となるように、さまざまな対策を講ずべきという決議により1988年に設けられた。翌89年からは5月31日に定められた。また、厚生労働省は、1992年から毎年5月31日~6月6日までを「禁煙週間」と定め、啓発活動が全国で行われている。関連コンテンツ生活習慣の改善(1)禁煙【一目でわかる診療ビフォーアフター】患者向け広告が解禁される「治療用アプリ」って何?【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】電子タバコでは禁煙できない【患者説明用スライド】植物由来cytisinicline、禁煙効果を第III相試験で検証/JAMA電子タバコは禁煙継続に有効?/NEJM

227.

ASCO2024スタート!注目演題を集めた特設サイトオープン

 5月31日~6月4日(現地時間)、世界最大の腫瘍学会であるASCO 2024(米国臨床腫瘍学会年次総会)が、米国シカゴとオンラインのハイブリッド形式で開催される。 ケアネットが運営する、オンコロジーを中心とした医療情報キュレーションサイト「Doctors'Picks」(医師会員限定)では、ASCO 2024のスタートに合わせ、数千に及ぶ演題の中から、複数のエキスパートが専門分野の注目演題をピックアップ。 学会スタートを受けてオープンした「ASCO2024特設サイト」では、「肺がん」「消化器がん」「乳がん」「泌尿器がん」「がん全般」のカテゴリーに分け、ASCO視聴サイトの該当演題へのリンクを、エキスパートのコメントと共に紹介している。 エキスパートが選定した、各がん種別の注目演題の一部は下記のとおり。このほかにも多くのユーザーが注目すべき演題を紹介している。【肺がん】山口 央氏(埼玉医科大学国際医療センター 呼吸器内科)によるまとめ【消化器がん(1)】加藤 健氏(国立がん研究センター 中央病院 消化器内科)によるまとめ【消化器がん(2)】山本 駿氏(国立がん研究センター 中央病院 消化器内科)によるまとめ【乳がん】寺田 満雄氏(名古屋市立大学 乳腺外科/UPMC Hillman Cancer Center)によるまとめ【泌尿器がん】三好 康秀氏(藤沢市民病院 泌尿器科)によるまとめ――――――――――Doctors’Picks ASCO2024特設サイト―――――――――― 学会終了後は、視聴レポートやまとめ記事なども続々アップしていく予定だ。

228.

Grade1のILD回復後のT-DXdによる再治療、7割弱でILD再発なし/ESMO BREAST 2024

 トラスツズマブ デルクステカン(T-DXd)によるがん治療におけるGrade1の間質性肺疾患(ILD)発症後、回復および適切な管理の実施後であれば、T-DXd再投与が有用な可能性が示唆された。米国・UCSF Helen Diller Family Comprehensive Cancer CenterのHope S.Rugo氏が乳がん、肺がん、胃がんなど9つの臨床試験の後ろ向きプール解析結果を欧州臨床腫瘍学会乳がん(ESMO Breast Cancer 2024、5月15~17日)で報告した。T-DXdによる再治療を受けた患者の約69%は減量しておらず、約67%はILDの再発がなかった。また約18%は1年超再治療を継続していた。 本プール解析では、T-DXd(5.4~8.0mg/kg)単剤療法を1回以上受けたHER2陽性の乳がん、非小細胞肺がん、胃がん、大腸がんの患者を対象とした9つの臨床試験のデータを用いて、Grade1の初回ILD後の患者を対象に、T-DXdによる再治療期間とILD再発について評価した。 主な結果は以下のとおり。・9試験から2,145例が解析対象とされた。べースラインの患者特性は、年齢中央値が58.0歳、日本の患者が27.3%、乳がん患者が68.2%を占め(肺がん16.3%、胃がん13.7%、大腸がん0.9%など)、肺の併存疾患なしが94.3%、SpO2≧95%が94.5%、T-DXdの用量5.4mg/kgの患者が67.6%であった。・193例が治験責任医師評価によりGrade1の薬剤関連ILDと判定され、うち97例(50.3%)がステロイドによる治療を受け、45例(23.3%)がT-DXdによる再治療を受けていた。・初回のILD発症からT-DXdによる再治療開始までの期間中央値は28(8~48)日であった。・45例中31例(68.9%)が減量なくT-DXdによる再治療を行い、15例(33.3%)は>6ヵ月、8例(17.8%)は>12ヵ月T-DXdによる再治療を継続していた。・45例中15例(33.3%)がILD再発を経験しており、Grade1が40.0%、Grade2が60.0%であった。8例がステロイドによる治療を受けており、うち6例が回復/後遺症を伴う回復をしていた。≧Grade3のILDおよび再発ILDのアウトカムとしての死亡は確認されていない。 Rugo氏は、より大きなデータセットでのリアルワールド研究が必要としたうえで、適切なモニタリングと管理によりGrade1のILDから完全に回復後のT-DXd再治療は、治療によるベネフィットを最大化する可能性があるとまとめている。

229.

NSCLCへのICI、抑うつ・不安が効果を減弱か/Nat Med

 抑うつや不安などの精神的苦痛は、がん患者において、抗腫瘍免疫応答を損なう可能性がある。実際に、悪性黒色腫患者を対象とした研究では、精神的苦痛が免疫チェックポイント阻害薬(ICI)の効果を低下させたことが報告されている1)。そこで、中国・中南大学のYue Zeng氏らの研究グループは、非小細胞肺がん(NSCLC)患者における抑うつ・不安とICIの治療効果の関連を調べた。その結果、治療開始前に抑うつ・不安を有する患者は、無増悪生存期間(PFS)や全生存期間(OS)、奏効率(ORR)が不良であった。本研究結果は、Nature Medicine誌オンライン版2024年5月13日号で報告された。 研究グループは、NSCLC患者227例を対象とした前向き観察研究(STRESS-LUNG)を実施し、抑うつ・不安とICIによる治療効果の関連を検討した。抑うつと不安は、それぞれPatient Health Questionnaire-9(PHQ-9)、Generalized Anxiety Disorder 7-item(GAD-7)を用いて評価し、PHQ-9スコア5以上またはGAD-7スコア5以上のいずれかを満たす場合、抑うつ・不安ありと定義した。主要評価項目はPFS、副次評価項目はOS、ORRなどとし、抑うつ・不安の有無別に評価した。 主な結果は以下のとおり。・PFS中央値は、治療開始前の抑うつ・不安あり群が7.9ヵ月であったのに対し、抑うつ・不安なし群は15.5ヵ月であり、抑うつ・不安あり群が有意に不良であった(ハザード比[HR]:1.73、95%信頼区間[CI]:1.23~2.43、p=0.002)。・傾向スコアマッチング法(HR:2.08、95%CI:1.42~3.04、p<0.001)、逆確率重み付け法(HR:1.71、95%CI:1.21~2.42、p=0.002)を用いても、治療開始前の抑うつ・不安あり群はPFSが不良であった。・多変量解析におけるPFS不良の独立した予測因子は、抑うつ・不安あり(HR:1.63、95%CI:1.15~2.31、p=0.006)、StageIV(同:1.72、1.13~2.63、p=0.012)であった。・OSは、治療開始前の抑うつ・不安あり群が、抑うつ・不安なし群と比較して不良であり(HR:1.82、95%CI:1.12~2.97、p=0.016)、2年OS率はそれぞれ46.5%、64.9%であった。・ORRは、治療開始前の抑うつ・不安あり群が46.8%であったのに対し、抑うつ・不安なし群は62.1%であり、抑うつ・不安あり群が有意に低かった(オッズ比:0.54、95%CI:0.32~0.91、p=0.022)。 本研究結果について、著者らは「進行NSCLC患者において、治療開始前の精神的苦痛がICIの効果を低下させることが示唆され、精神的苦痛を適切に管理することの潜在的な重要性が強調された」とまとめた。

230.

がん診療に携わるすべての人のレベルアップ目指しセミナー開催/TCOG

 東京がん化学療法研究会(TCOG)は、第24回臨床腫瘍夏期セミナーをオンラインで開催する。 同セミナーは、がん診療に携わる医師、薬剤師、看護師、臨床研究関係者、製薬会社、CROなどを対象に、治療の最新情報、臨床研究論文を理解するための医学統計などさまざまな悪性腫瘍の基礎知識から最新情報まで幅広く習得できるよう企画している。セミナー概要・日時:2024年6月28日(金)~29日(土)・開催形式:オンライン(ライブ配信)・定員:500人・参加費:12,000円(2日間)・主催・企画:特定非営利活動法人 東京がん化学療法研究会・後援:日本医師会、東京都医師会、東京都病院薬剤師会、日本薬剤師研修センター、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会、日本産科婦人科学会、日本医療薬学会、日本がん看護学会、西日本がん研究機構、North East Japan Study Group・交付単位(予定):日本薬剤師研修センターによる単位、日本医療薬学会 認定がん専門薬剤師・がん指導薬剤師認定単位、日本看護協会 認定看護師・専門看護師:「研修プログラムへの参加」(参加証発行)プログラム(要約)6月28日(金)9:30~16:309:30~10:55 【がん薬物療法 TOPICS】 胃がん、肺がん11:05~12:30 【医学統計】 基礎、臨床13:30~14:55 【最新のがん薬物療法I】 膵がん・胆道がん、大腸がん15:05~16:30 【AYA世代のがん診療とがん生殖医療】 AYA世代のがん診療、がん生殖医療6月29日(土)9:30~16:309:30~10:55 【がん免疫と免疫療法】 がん細胞を標的とする抗体療法、遺伝子改変T細胞療法11:05~12:30 【がんゲノム医療 BRAF・MEK阻害薬】 基礎、頭頸部がん13:30~14:55 【最新のがん薬物療法II】 乳がん、泌尿器がん15:05~16:30 【緩和医療と支持療法】  緩和医療、制吐薬適正使用ガイドラインプログラム・申し込みはTCOG「臨床腫瘍夏期セミナー」ページから

231.

切除可能NSCLC、周術期ニボルマブ追加でEFS改善/NEJM

 切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)患者において、周術期(術前および術後)補助療法にニボルマブを用いることで、化学療法単独の補助療法と比較して無イベント生存期間(EFS)が有意に延長し、新たな安全性シグナルは観察されなかった。米国・テキサス大学MDアンダーソンがんセンターのTina Cascone氏らCheckMate 77T Investigatorsが試験の結果を報告した。切除可能なNSCLC患者において、ニボルマブ+化学療法の術前補助療法はアウトカムを有意に改善することが示され、術前補助療法における標準治療となっている。ニボルマブを周術期に用いることで、臨床的アウトカムがさらに改善する可能性が示唆されていた。NEJM誌2024年5月16日号掲載の報告。化学療法単独と比較、EFSを評価 CheckMate 77T試験は、国際共同第III相無作為化二重盲検試験。切除可能なStage IIA~IIIBのNSCLC成人患者を対象とし、被験者を、ニボルマブ群(術前にニボルマブ+化学療法を3週ごと4サイクル投与→手術→ニボルマブを4週ごと1年間投与)、または化学療法群(術前にプラセボ+化学療法を3週ごと4サイクル投与→手術→プラセボを4週ごと1年間投与)に無作為化して追跡評価した。 主要評価項目は、盲検下独立中央判定によるEFSであった。副次評価項目は、盲検下独立病理判定による病理学的完全奏効(pCR)および病理学的奏効(MPR)、全生存期間、安全性とした。 2019年11月~2022年4月に計735例が登録され、うち461例が無作為化された(229例がニボルマブ群、232例が化学療法群)。 本報告は、事前に規定されていた中間解析(追跡期間中央値25.4ヵ月)の結果である。中間解析時点でニボルマブ群のEFSのハザード比は0.58で有意差 中間解析時点において、18ヵ月EFS率は、ニボルマブ群70.2%、化学療法群50.0%であった(病勢進行または再発、手術中止、死亡のハザード比[HR]:0.58、97.36%信頼区間[CI]:0.42~0.81、p<0.001)。 pCR率は、ニボルマブ群25.3%、化学療法群4.7%であった(オッズ比[OR]:6.64、95%CI:3.40~12.97)。MPR率はそれぞれ35.4%、12.1%であった(OR:4.01、95%CI:2.48~6.49)。 Grade3/4の治療関連有害事象は、ニボルマブ群32.5%、化学療法群25.2%に発現した。

232.

BiTE抗体tarlatamab、進行・再発の進展型小細胞肺がんに申請/アムジェン

 アムジェンはデルタ様リガンド3(DLL3)を標的とするBiTE(二重特異性T細胞誘導)抗体tarlatamabについて、進行・再発の進展型小細胞肺癌(ED-SCLC)を予定の効能又は効果として、日本国内で製造販売承認申請を行った。 小細胞肺がん(SCLC)は肺がんの約15%を占め、世界で毎年33万例超が新規に診断されている。SCLCは最も悪性度が高い固形がんの1つで、増殖速度が非常に早く早期に転移する。5年相対生存率(全Stage)は10%未満と予後不良である。ED-SCLCに対する現行の1次治療の奏効率は60〜70%と比較的良好だが、ほとんどの症例で治療耐性が生じ、治療後1年以内に再発を認める。 DLL3は85〜96%のSCLCの腫瘍細胞表面に発現する一方、正常細胞での発現はごくわずかであることから、SCLCに対する有望な治療標的とされている。tarlatamabはT細胞上のCD3とSCLC細胞上のDLL3に結合する新規のBiTE抗体であり、T細胞をSCLC細胞に誘導してがん細胞を溶解する。 tarlatamabの申請は、プラチナ併用化学療法後の進行・再発のED-SCLCを対象にした第II相国際多施設共同非盲検DeLLphi-301試験から得られた結果に基づき行ったもの。DeLLphi-301試験では、2ライン以上の前治療が無効であった進行SCLC患者に対して40%の奏効率を示した。主な治験関連有害事象はサイトカイン放出症候群(52〜55%)、発熱(31〜37%)および味覚異常(22〜26%)で、有害事象による投与中止は3〜4%に認められた。 tarlatamabは、2023年12月に米国食品医薬品局(FDA)の優先審査(Priority Review)に指定され、2024年2月9日に厚生労働省から希少疾病用医薬品の指定を受けている。

233.

この錠剤、飲みにくいのでつぶしてください【非専門医のための緩和ケアTips】第76回

第76回 この錠剤、飲みにくいのでつぶしてください私自身、クスリを飲むたび体感するのですが、錠剤って、大きさによっては飲みにくいですよね…。錠剤と水を口に含み、ごっくんとしたけれど、きれいに水だけを飲み込んでいたことが何度もあります。そんな体験が続くと、精神的にも負担です。緩和ケアではとくに嚥下機能の落ちている患者さんが多いので、クスリの飲みやすさは重要です。今回の質問患者さんから「先生に出してもらった痛み止め、よく効いたのですが錠剤は苦手です。つぶして出してもらえますか?」と相談されました。私としては希望に応えようと思って、粉砕で処方したところ、薬局から「この医療用麻薬はつぶせません」と連絡がありました。その時は忙しかったので、粉砕できないことだけ患者さんに説明し、納得してもらったのですが…。ご質問ありがとうございます。医療用麻薬の処方でたまに経験する「ピットフォール」(落とし穴)ですね。がんの鎮痛で処方するオキシコドンの錠剤でよく経験するケースです。オキシコドン錠は、ゆっくりと吸収されることで鎮痛効果が12時間程度持続するようにつくられています。粉砕すると想定以上のスピードで吸収されてしまうため、粉砕した処方はできません。さらに、最近では、オキシコドン錠は乱用防止のための加工がされています。錠剤の強度を上げ、粉砕することが困難な錠剤になっています。また、水に溶かそうとするとゲル状になるよう加工されています。加工の理由は、オピオイド乱用への対策です。米国を中心にオピオイド錠を粉末にして鼻腔から吸う、水に溶かして注射をするといったオピオイドによる薬物中毒問題は深刻化しており、製薬メーカーも対策をせざるを得ない状況になっています。日本では、あまりオピオイドが処方されてこなかったことや、処方や薬局での管理上の厳密さが求められるため、米国ほど大きな問題にはなっていませんが、注意は必要です。処方する側の私たちは、こうした知識を持ったうえで、患者さんの服薬問題にどのように取り組むべきでしょうか? まずは、患者さんへの指導と内服状況の確認に取り組むことが大切です。「飲みにくいクスリ」は飲まなくなります。「最近、痛みが強くなって…」といった訴えがあれば、きちんと服薬できているか、剤形の問題で服薬できないことがないかをチェックしましょう。オキシコドン錠に乱用防止加工がされる前のエピソードです。知り合いの医師が診ていた患者さんで、「オキシコドン錠をかみ砕いて飲んでいる」という方がいたそうです。その患者さんはもともと錠剤の服薬困難があり、ほかの薬剤はすべて散剤で処方されていました。オキシコドンだけが錠剤で処方されていたため、かみ砕いていたのですが、服薬後には非常に眠くなっていたそうです。本来は12時間程かけてゆっくり吸収されるはずの成分が一気に吸収されるのですから、非常に危険な状態です。処方時には、錠剤で処方することについて何らかの説明はあったのでしょうが、問題なく内服できるかといったフォローが十分でなかった可能性があります。患者さんも、あまり気に留めていなかったのかもしれません。オピオイドも散剤、貼付薬、坐薬、注射薬など、さまざまな剤形があります。患者さんごとに使い分け、正しく服薬できるように本人をはじめ、薬剤師さんにも確認するとよいでしょう。今回はオピオイド処方の隠れたピットフォールについてお伝えしました。今回のTips今回のTips粉砕できないオピオイドがあることを理解し、飲みやすさを確認しよう。

235.

コロナワクチンに不安のあるがん患者の相談相手は?

 外来で化学療法を受けるがん患者を対象に、新型コロナワクチンに関して不安を感じることの内容やその相談相手などが調査された。その結果、相談相手としてプライマリケア医が最も多いことが明らかとなった。研究グループは、薬剤師が介入できる可能性も示唆されたとしている。これは順天堂大学医学部附属順天堂医院薬剤部の畦地拓哉氏らによる研究であり、「Journal of Pharmaceutical Health Care and Sciences」に3月4日掲載された。 新型コロナワクチンは日本で2021年2月に承認され、がん患者において接種が推奨されている。しかし、がん患者のワクチン接種状況や副反応に焦点を当てた研究はほとんどない。患者はがん治療への影響も含めて多くの不安を抱えるため、医療職の関与が重要となる。 著者らは今回、順天堂大学医学部附属順天堂医院で外来化学療法を行い、2022年10月~2023年1月に薬剤師の服薬指導を受けたがん患者を対象としてオンライン横断調査を行った。無記名の質問紙を用いて、新型コロナワクチンの接種歴や副反応、ワクチン接種に関する不安の内容、相談相手や情報の入手源などを調べた。 調査の回答者は60人(男性16人、女性44人)であり、年齢層は40歳未満が3人、40~49歳が15人、50~59歳が21人、60~69歳が13人、70~79歳が8人。主ながんの種類は、乳がん(21人)、卵巣がん(9人)、肺がん(6人)、膵がん(5人)、子宮がん(5人)などだった。 不安の内容として、「がん治療がスケジュール通りにできないのではないか?」(29人)、「がんなので特別な副作用がでないか?」(24人)などの回答が多かった。一方、調査時点でワクチンを2回以上接種していた人の割合は96.7%(58人)であり、これは同時期の日本全体の接種率よりも高かった。副反応は注射部位の痛みが最も多く、全身症状は発熱と倦怠感が多かったが、がんの治療スケジュールに影響があった人はほとんどいなかった。 ワクチンについての相談相手・情報入手源としては、プライマリケア医(25人)、家族・親族(22人)、インターネット(15人)、テレビ・ラジオ(13人)、友人・知人(12人)の回答が多かった。その他、医療職に関する回答は、プライマリケア医以外の医師と看護師はどちらも4人、病院薬剤師は1人のみで、薬局薬剤師やケアマネジャーの回答はなかった。 さらに、各相談相手について、今後ワクチン接種に不安を感じたときにどの程度相談しやすいかが検討された。6段階の回答を点数化・平均し、医療職間で比較すると、最も相談しやすいのはプライマリケア医(3.55点)、次に看護師(3.20点)だったが、どちらも病院薬剤師(2.85点)との統計的な有意差はなかった。また、病院薬剤師とプライマリケア医以外の医師(2.50点)や薬局薬剤師(2.27点)との間にも有意差は認められなかった。 以上、病院薬剤師は相談相手としての回答自体は少なかったが、プライマリケア医、看護師の次に相談しやすいとされたことについて著者らは、「外来化学療法時の服薬指導や有害事象のモニタリングを通じて築かれた信頼関係による可能性がある」と説明。また、がん患者の多くはプライマリケア医に相談した場合にも、ワクチンに対して不安を抱いていることが示されたという。患者はワクチン接種後の発熱や治療薬との相互作用などを不安に感じるが、「一般集団との間で副反応に有意差がないことを経験として伝えることも不安を和らげる上で有益」とし、薬剤師が介入できる可能性を示す結果だったと総括している。

236.

術後の静脈血栓塞栓リスク、最も高いがんは?

 がん手術後の静脈血栓塞栓のリスク増加を、がん種別に評価した研究結果が発表された。スウェーデン・カロリンスカ研究所のJohan Bjorklund氏らによる本研究結果は、JAMA Network Open誌2024年2月2日号に掲載された。 本試験は1998~2016年のスウェーデンの全人口データを用いた後ろ向きコホート研究であった。膀胱がん、乳がん、大腸がん、婦人科がん、腎臓・上部尿路上皮がん、肺がん、前立腺がん、胃・食道がんの8種のがんで手術を受けた全患者を、非がんの一般集団と1対10の割合でマッチさせた。データは2023年2月13日~12月5日に解析された。 主要アウトカムは、術後1年以内の静脈血栓塞栓イベントの発生率であった。1年以内のイベントの絶対リスクおよびリスク差、退院後イベントの時間依存性変数を調整したハザード比(HR)を算出した。 主な結果は以下のとおり。・がん手術群は計43万2,218例で、年齢中央値67歳(四分位範囲[IQR]:58~75歳)、女性68.7%だった。非がん対照群は400万9,343例で、年齢中央値66歳(IQR:57~74歳)、女性69.3%であった。・静脈血栓塞栓症の1年累積リスクは、すべてのがん手術群で対照群よりも高かった。がん種別にみたリスク差は、膀胱がん2.69パーセントポイント(95%信頼区間[CI]:2.33~3.05)、乳がん0.59(0.55~0.63)、大腸がん1.57(1.50~1.65)、婦人科がん1.32(1.22~1.41)、腎臓・上部尿路がん1.38(1.21~1.55)、肺がん2.61(2.34~2.89)、前立腺がん0.57(0.49~0.66)、胃・食道がん2.13(1.89~2.38%)であった。・1年HRは、肺がんで最も高かった(HR:8.89、95%CI:5.97~13.22)。・がん手術群の静脈血栓塞栓リスクは、退院直後にピークに達し、60~90日後にはおおむねプラトーになった。術後30日時点では乳がんを除くすべてのがん手術群におけるHRは対照群の10~30倍だったが、30日を過ぎるとHRはプラトーに達した。しかしながら、前立腺がんを除いて対照群のレベルにまで達することはなかった。深部静脈血栓症についても同様の結果だった。 研究者らは「がん手術群は静脈血栓塞栓症の1年累積リスクが統計学的に有意に増加しており、手術に伴う最初の増加がプラトーになるまでの期間はがん種によって異なることが示唆された。静脈血栓塞栓イベント予防における過剰治療と過小治療の両方を避けるために、手術外傷、疾患の重症度、および全身化学療法への曝露を考慮して、個別のリスク評価と予防策が必要である」としている。

237.

NSCLC術前補助療法、ニボルマブ+relatlimabの生存ベネフィットは?(NEOpredict-Lung)/Nat Med

 複数の免疫チェックポイント分子を阻害する治療法は、免疫抵抗性の克服の観点から注目されている。抗PD-1抗体ニボルマブと抗LAG-3抗体relatlimabの併用療法は、悪性黒色腫においてニボルマブ単剤療法と比較して、無増悪生存期間の改善が認められたことが報告されている1)。また、この結果をもとに米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得している。切除可能な非小細胞肺がん(NSCLC)の術前補助療法においてもニボルマブ+relatlimab併用療法の有用性が検討されており、全例で手術の施行が可能であったほか、1年無病生存(DFS)率が93%、1年全生存(OS)率が100%と有用性を示唆する結果が報告された。本研究結果は、ドイツ・エッセン大学病院のMartin Schuler氏らにより、Nature Medicine誌オンライン版2024年4月30日号で報告された。試験デザイン:海外第II相無作為化非盲検比較試験対象:未治療の切除可能なStageIB、II、IIIA(UICC第8版に基づく)のNSCLC患者60例試験群:ニボルマブ(240mg)+relatlimab(80mg)を2週ごと2回→手術→標準治療(併用群、30例)対照群:ニボルマブ(240mg)を2週ごと2回→手術→標準治療(単独群、30例)評価項目:[主要評価項目]術前療法後43日以内の手術施行[副次評価項目]RECIST1.1に基づく術前の奏効率(ORR)、病理学的奏効(MPR)、R0切除率、1年DFS率、1年OS率、安全性など 主な結果は以下のとおり。・全例が術前療法後43日以内に手術を受け、R0切除率は併用群90%、単独群100%であった。・術前のORRは併用群27%、単独群10%であった。・MPR率は併用群30%、単独群27%であり、病理学的完全奏効率はそれぞれ17%、13%であった。・1年DFS率は併用群93%、単独群89%であった。・1年OS率は併用群100%、単独群93%であった。・MPRが得られた患者は、末梢血においてCD8陽性T細胞、CD8陽性Granzyme B陽性エフェクターT細胞が増加した。・併用群でMPRが得られた患者では、CD24、CXCL1、CXCL14、IL8、MIF、ISG15といった顆粒球や単球、マクロファージに関連する遺伝子発現が抑制されていたが、単独群でMPRが得られた患者ではこれらの所見は確認されなかった。・Grade3以上の試験治療下における有害事象は併用群13%、単独群10%に発現した。

238.

自分でトイレに行きたい【非専門医のための緩和ケアTips】第75回

第75回 自分でトイレに行きたい緩和ケアの仕事を始めた当初、患者にとって排泄の問題はこんなにも大切なのか! とびっくりする経験がいくつかありました。とくにADLが低下し、身の回りのことができなくなってくると、こうした問題はより頻繁に発生します。今回の質問訪問診療で担当している、がん終末期の患者さんの悩みです。自力でトイレに行きたがるのですが、呼吸困難が強く、自力歩行は危険と判断してオムツでの排泄をお願いしています。そのように何度も説明しているのですが、「トイレに行く」と聞いてもらえません。こうした場合、どう対応すればよいでしょうか?これは非常によくある、悩ましい状況ですね。客観的には自立して排泄することは難しいけれど、患者さんが自分で行きたがる…。緩和ケアをやっていると関係者で必ず話題になるトピックです。医師はもちろん、看護師や介護士はさらに頻繁に遭遇しているでしょう。呼吸困難低減を優先するならば、オムツや尿道カテーテル留置がシンプルな対応法でしょうが、医療者としてもなかなか割り切れない部分があります。そもそも、なぜ患者さんは自身でトイレに行きたいのでしょうか? 「自立したい」という気持ちは誰にとっても大切です。また、「迷惑を掛けたくない」という気持ちが強い方も多くいます。私はご本人がお話しできるコンディションであれば、率直にお尋ねします。「症状を考えると少し負担が大きいのではと心配しています。『トイレは自分で…』というのは、どういうお気持ちからですか?」といった感じです。もう一方の論点として、なぜ私たち医療者は、患者さんが自力でトイレに行くことを心配するのでしょうか? 「何よりも患者の希望を優先する」のであれば、そんなに悩まずに従っておけばよい、という考え方もあるはずです。この点についてもいろいろ議論はあるでしょうが、私自身の「ちゅうちょする理由」を挙げれば、「患者さんの呼吸困難を最小限にしたい」「転倒して、さらにQOLが下がることを避けたい」といったあたりが大きいと思います。このテーマは、患者さんの意向の深掘りや医学的状況の検討、関係者の思いなどの擦り合わせが必要となり、臨床倫理的な観点も重要です。「患者の希望通りにしておけばいい。転倒しても仕方がない!」というのはちょっと極端ですし、「転倒したら医療側の責任なので、絶対にオムツにしてください!」というのもケアの質に疑問を感じます。こうした生活に近い問題は、ケースごとに、対話を基盤としながらその場その場で最適な落とし所を考える必要があります。まずは「自分で排泄したい」「他者に迷惑を掛けたくない」といった多くの人が大切にしていることを前提として理解し、一緒に最適解を考えていく態度が大切です。結果として、医療者目線では心配であっても、「自力でトイレに行くのを見守る」といった対応もありえるでしょう。個別性を尊重したケアは大変さもありますが、緩和ケアのやりがいにもつながる部分です。皆さんはどのように考えますか?今回のTips今回のTips「自力でトイレに」…。患者が大切する価値観を理解し、関係者と一緒にベストなケアを考えよう。

239.

若年世代の老化が加速、がんリスク上昇の可能性

 若い世代での老化が加速しており、それが若年発症型のがんリスクの上昇と関連している可能性のあることが、新たな研究で明らかになった。1965年以降に生まれた人では、1950年から1954年の間に生まれた人に比べて老化が加速している可能性が17%高く、また、このような老化の加速は、55歳未満の成人における特定のがんリスクの増加と関連していることが示されたという。米ワシントン大学医学部のRuiyi Tian氏らによるこの研究結果は、米国がん学会年次総会(AACR 2024、4月5〜10日、米サンディエゴ)で発表された。 Tian氏は、「若年成人の間で複数のがん種の罹患率が、米国だけでなく世界的に見ても上昇しつつある」とAACRのニュースリリースの中で述べている。同氏は続けて、「このリスク上昇の要因を解明することは、若い世代や将来の世代におけるがんの予防や早期発見を改善するための鍵となるだろう」と話す。 今回の研究でTian氏らは、UKバイオバンク参加者14万8,724人の血液データを用いて、9種類のバイオマーカー(アルブミン、アルカリホスファターゼ、クレアチニン、C反応性蛋白、グルコース、平均赤血球容積、赤血球分布幅、白血球数、リンパ球比率)を基に、それぞれの参加者の生物学的年齢を推定した。「老化の加速」は、生物学的年齢が歴年齢を上回っている場合と定義された。 その結果、1965年以降に生まれた人では、1950年から1954年の間に生まれた人に比べて老化が加速している可能性が17%高いことが示された。次に、老化の加速と若年(55歳未満)発症型のがんとの関連を検討したところ、老化の加速が1標準偏差増加するごとに、肺がんリスクは42%、消化器がんリスクは22%、子宮体がんリスクは36%、それぞれ上昇するものと推定された。また、老化の加速と高齢発症型のがんとの関連も検討したところ、肺がんとの関連は有意ではなかったが、消化器がんでは16%、子宮体がんでは23%のリスク上昇と関連していた。 Tian氏は、「老化の加速と若年発症型のがんリスクとの関係を検討したこの研究は、若年発症型のがんに共通する原因について新たな視点を提供するものだ」と話す。その上で同氏は、「得られた知見が検証されれば、生物学的老化を遅らせるための介入が、がん予防の新たな手段となり得る可能性も見えてくる。また、老化が加速している兆候が認められる若年者に対するスクリーニングの取り組みが、がんの早期発見に役立つ可能性もある」との見方を示している。 研究グループは今後、若年成人の老化が加速している理由と、それががんリスクを高めている理由の解明を目的に研究を進めていく予定であると話している。 なお、学会発表された研究結果は、査読を受けて医学誌に掲載されるまでは一般に予備的なものと見なされる。

240.

世界中でがんによる死亡者数は増加傾向

 世界的な高齢化が拍車をかけ、がんの患者数は増加の一途をたどり、2050年までに3500万人に達するだろうとの予測が、米国がん協会(ACS)が「CA: A Cancer Journal for Clinicians」に4月4日発表した「Global Cancer Statistics 2022」の中で示された。この報告書によると、2022年には世界で推定2000万人が新たにがんの診断を受け、970万人ががんにより死亡したという。報告書の共著者である、ACSがんサーベイランス上級主任科学者であるHyuna Sung氏は、「2050年までに予測されるこのがん患者数の増加は、現在の罹患率が変わらないと仮定した場合、人口の高齢化と増加のみに起因するものだ」と説明している。 Sung氏は、「不健康なライフスタイルの選択もまた、新たながん患者の発生に関与し続けるだろう。注目すべきは、不健康な食事、運動不足、多量のアルコール摂取、喫煙などのがんの主要なリスク因子を有する人が世界中で増加していることだ。大規模な介入を施さない限り、将来のがんによる負担を増大させる可能性が高い」とACSのニュースリリースの中で述べている。 2022年において世界中で最も診断数が多かったがんは肺がんの約250万人(全がん症例の12.4%)であり、次いで、女性での乳がん(11.6%)、大腸がん(9.6%)、前立腺がん(7.3%)、胃がん(4.9%)の順だった。肺がんは、がんによる死亡の原因としても最も多く、2022年には180万人(がんによる死亡者の18.7%)が肺がんにより死亡していた。肺がんの次には、大腸がん(9.3%)、肝臓がん(7.8%)、女性での乳がん(6.9%)、胃がん(6.8%)による死亡者が多かった。新規罹患者数と死亡者数が最も多かったがんは、男性では肺がん、女性では乳がんだった。 女性では、2022年には毎日約1,800人が子宮頸がんに罹患し、約1,000人が同がんにより死亡していた。研究グループは、子宮頸がんは予防可能ながんであり、事実上、全ての子宮頸がんはHPV(ヒトパピローマウイルス)によって引き起こされているにもかかわらず、世界でのHPVワクチンの接種率はわずか15%だと指摘している。接種率には中央・南アジアでの1%からオーストラリア・ニュージーランドでの86%までの幅がある。同様に、世界での子宮頸がんの検診受診率も36%と低い。子宮頸がんは、サハラ以南のアフリカとラテンアメリカの37カ国の女性のがんによる死因の第1位であり、エスワティニ、ザンビア、マラウイ、ジンバブエ、タンザニアでの罹患率(10万人当たり65〜96人)は米国の罹患率(10万人当たり6人)の10倍から16倍であるという。 さらに報告書では、低所得国においては早期発見・早期治療サービスが不十分なため、がんの罹患者数が少ないにもかかわらず、がんによる死亡率は高いことが指摘されている。例えば、エチオピアでは、乳がんの罹患率は米国と比べて60%も低い(10万人当たり40人対60人)一方で、乳がんによる死亡率は米国の2倍(10万人当たり24人対12人)である。 報告書の上席著者で、ACSのサーベイランスと健康の公平性に関する科学分野でバイスプレジデントを務めるAhmedin Jemal氏は、「世界のがんによる死亡の半分以上は予防可能だ。がん予防は最も費用対効果が高く、持続可能ながん対策である。例えば、禁煙だけで、がんによる死亡者の4人に1人、つまり年間約260万人の死亡を防ぐことができる」と話している。 一方、ACSの最高経営責任者(CEO)であるKaren Knudsen氏は、「世界のがん負担を理解することは、全ての人ががんを予防し、がんが発見され、がん治療を受け、生存する機会を確保するために極めて重要である」と述べている。

検索結果 合計:2040件 表示位置:221 - 240