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認知症の診断、実は肝硬変の可能性も?

 高齢化した米国の退役軍人を対象とした新たな研究で、認知症と診断された人の10人に1人は、実際には肝硬変により脳に障害が生じている可能性のあることが示された。米リッチモンドVA医療センターのJasmohan Bajaj氏らによるこの研究結果は、「JAMA Network Open」に1月31日掲載された。 肝硬変は、肝臓の肝組織が徐々に瘢痕化して機能障害を起こすもので、その発症要因には、年齢、男性の性別、アルコール性肝障害、肝炎ウイルス、うっ血性心不全など多数ある。肝硬変の症状の一つである肝性脳症は、本来、肝臓で分解されるはずのアンモニアが、肝硬変や肝臓がんなどによる肝機能の低下が原因で十分に分解されず、血液に蓄積して脳に達し、脳の機能が低下する病態を指す。 肝性脳症では、認知症の症状に似たせん妄や錯乱のエピソードが誘発されることがあるため、臨床症状に基づき両者を鑑別するのは困難な場合が多い。肝性脳症は多くの場合、治療可能であるが、認知症と誤診されることで治療が遅れる可能性がある。肝性脳症患者に治療が施されなければ、患者は昏睡状態に陥り、死に至ることさえある。Bajaj氏は、「肝臓の問題を早期に発見することで的を絞った介入が可能になり、認知機能低下の原因となる治療可能な要因に対処する道が開ける」と話す。 今回の研究でBajaj氏らは、米国退役軍人保健局(VHA)のデータから抽出した、2009年から2019年の間に認知症の診断を受けた17万7,422人(平均年齢78.35歳、男性97.1%)を対象に、未診断の肝硬変の有病率とそのリスク因子について検討した。対象者の中に肝硬変の診断を受けた者はいなかったが、肝臓の線維化を評価する指標であるFibrosis-4(FIB-4)を算出するのに十分な臨床検査(血液検査)の結果がそろっていた。 その結果、対象者の10.3%(1万8,390人)はFIB-4スコアが2.67以上と肝臓の線維化が進行しており、また5.3%(9,373人)ではスコアが3.25以上、つまり肝硬変の可能性が高いことが明らかになった。FIB-4スコア3.25以上と有意な関連を示した因子としては、高年齢(オッズ比1.07、95%信頼区間1.06〜1.09)、男性の性別(同1.43、1.26〜1.61)、うっ血性心不全(同1.48、1.43〜1.54)、ウイルス性肝炎(同1.79、1.66〜1.91)、アルコール使用障害同定テストのスコア(同1.56、1.44〜1.68)、慢性腎臓病(同1.11、1.04〜1.17)が確認された。これに対して、FIB-4スコア3.25以上は白人(同0.79、0.73〜0.85)、糖尿病(同0.78、0.73〜0.84)、脂質異常症(同0.84、0.79〜0.89)、脳卒中(同0.85、0.79〜0.91)、タバコ使用障害(同0.78、0.70〜0.87)、地方に居住していること(同0.92、0.87〜0.97)とは逆相関を示した。 さらに、リッチモンドVA医療センターの認知症患者から二つの検証コホートを作成し、これらのコホートのFIB-4スコアを計算した。その結果、一つのコホートではFIB-4スコアが2.67以上だった患者の割合が11.2%、もう一つのコホートでFIB-4スコアが高スコアだった患者の割合は4.4〜11.2%と類似した結果が得られた。 では、認知症と誤診されがちな肝硬変の診断数を増やすにはどうすればよいのだろうか。Bajaj氏は、肝臓の状態を定期的に評価することが誤診を減らす手始めになると考えている。同氏は、「肝臓の定期的な評価は、肝疾患による認知機能障害を治療して回復させる機会の提供につながり、それが多くの患者やその家族、医師を助けることになる」と話す。その上で同氏は、「本研究の最重要点は、治療可能な肝性脳症を認知症と誤って診断してしまう可能性があることを医師が認識するべきだということだ」と述べている。

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調剤後薬剤管理指導が“格上げ”、対象の薬と患者が拡大【早耳うさこの薬局がざわつくニュース】第127回

2024年度の調剤報酬改定の内容が確定しました。これまでの改定は華々しく何かがスタートしたりしましたが、あまり浮足立った感じはなく、しっかりと地に足が着いた改定のように感じます。今回は2024年度の調剤報酬改定によって新設や変更となった加算を紹介します。「調剤後薬剤管理指導料」が加算→指導料に変更薬学管理料の「調剤後薬剤管理指導加算」が廃止され、「調剤後薬剤管理指導料」が新設されます。2020年度改定で新設された調剤後薬剤管理指導加算は、薬剤を服用中の患者に対する薬剤師のフォローアップを評価する目的で新設された点数でした。その基本的な考え方は受け継がれつつ加算から指導料へ変更されたということは、これらの指導が評価されて格上げされたと考えてよいでしょう。調剤後薬剤管理指導加算の対象となっていた糖尿病薬の範囲はインスリンとSU薬でしたが、「糖尿病用剤」に拡大され、また対象患者に慢性心不全患者が追加されました。調剤後薬剤管理指導加算では、かかりつけ薬剤師管理指導料の算定患者では算定できませんでしたが、調剤後薬剤管理指導料では算定患者に対してフォローアップを実施した場合でも算定ができるようになります。加算から指導料になっても60点という点数に変更はありません。しかし、この調剤後のフォローアップが踏襲され、しかも対象が広がったということは、これを積極的に取り組んでいる薬局が評価されたということでとてもうれしいです。調剤後薬剤管理指導料を算定できる薬局は、地域支援体制加算を算定可能として届出をしている薬局です。ベースが地域支援体制加算というのは、今後も基本要件になってくる可能性は高いでしょう。「在宅移行初期管理料」が新設在宅訪問を開始する際には、あらかじめ患者さん宅やケアマネジャーさんを訪問してさまざまな確認をすると思いますが、その加算や指導料はとくにありませんでした。今回、患者さんが病院から退院するときなど、在宅医療に移行する際の薬学管理に対する評価として、新たに「在宅移行初期管理料」が導入されます。退院直後などに薬局薬剤師が患者宅を訪問し、服薬状況の確認や薬剤の管理などの必要な指導を実施した場合に、1回に限り230点を算定できます。1回だけの算定とはいえ230点は大きいですし、その1回を確実に意味のあるものにしようという気合と責任が芽生えますよね。ただし、認知症や精神疾患、小児、末期がんなど条件を満たす患者さんのうち、とくに重点的な服薬支援を行う必要性があると判断された場合に限る、とされているので、対象となる患者さんの注意が必要です。私は、日々患者さんのために頑張っている薬局や薬剤師が報われてほしいと思ってこのコラムを書いていますが、今回の改定内容を読み込めば読み込むほど、薬局がどんどん増え、薬剤師は稼げると言われた時代は過ぎ去り、地域医療のために実績を上げている薬局や薬剤師が生き残る時代に突入したのだなという実感がします。今回新設・変更された項目に対する取り組みや実績が今後の報酬改定で評価されればよいなと思います。

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認知症発症の危険因子としてのコロナ罹患【外来で役立つ!認知症Topics】第15回

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行が始まってから、コロナと認知症との関係という新たなテーマが生まれた。まず予防には3密だと喧伝された。その結果、孤独化する高齢者が増えたので、認知症の発症が増加しているという報告が相次いだ。つまり孤独という認知症の危険因子を、コロナが一気に後押ししたという考え方である。そうだろうなとは思いつつ、このエビデンスは乏しかった。それから次第に前向きの疫学研究から、コロナ罹患と認知症発症との関係を報告するものが出てきた。そして最近では、こうしたもののレビューも報告されるようになり、なるほど、こういうことかとポイントが見えてきた。そこで今回は、認知症発症の危険因子としてのコロナ罹患を中心にまとめてみたい。スペイン風邪と認知症の関連は?まず人畜共通感染症による第1のパンデミックとされる「スペイン風邪(Spanish Flu)」を連想した。というのは、コロナはスペイン風邪をしのぐ人畜共通感染症によるパンデミックをもたらしたからだ。スペイン風邪の原因は、トリインフルエンザウイルスとヒトインフルエンザウイルスの遺伝子が混ざり合った新型のウイルス(Influenza A virus subtype H1N1の亜系)だと考えられている。そこで1918年の第1次世界大戦当時に世界的に流行したこのスペイン風邪の認知症への影響はどうだったのかと調べてみた。説得力の強いものに、デンマークで1918年当時妊娠中の母親の胎内にあったヒトに注目し、対象とコントロールで合計28万人余りのデータを用いた研究がある1)。ここでは、該当者が62~92歳に達した期間において、あらゆる認知症性疾患についての発症に注目し、その相対危険度を調査している。その結果、スペイン風邪罹患と認知症発症の間には有意な関係はなかったとされる。この報告のように、どうも積極的に両者の関係を指摘する報告は乏しいようだ。コロナと認知症、追跡期間が長いほど発症率が上昇?さてコロナについて成された近年の報告のレビューが注目された2)。多くの研究結果からは、コロナに罹患することでアルツハイマー病を含むすべての認知症の発症率はおよそ2倍と考えられている。実際、これまでの報告の多くは、60歳以上のヒトにおいては、コロナに罹患することで、亜急性期、慢性期の認知症発症は確かに高まりそうだと報告している。もっとも、コロナ罹患による認知症発症への影響力は、他の呼吸器系のインフルエンザ感染や細菌感染と大差がないとの結論になっている。一方で興味深いのは、追跡期間の違いによる認知症の発症率の相違である。すなわち発症から3ヵ月間もしくは6ヵ月間追跡した研究に比べて、1年間追跡した研究では認知症の発症率が高くなっているのである。このことは、コロナによる認知症の発症は、罹患ののち長期間にわたって続くことを示唆している。また疫学から、なぜコロナが認知症とくにアルツハイマー病に関連するかについてのレビューも興味深い3)。まずコロナへの罹患しやすさについては、加齢が最大にして唯一の危険因子だとされる。そしてその背景として高血圧、糖尿病、心疾患など、いわゆる生活習慣病が考えられている。またこうした要因が、回復を遅くすることも事実である。さらに、最初に述べたような孤独化と普通の生活に戻れないことが高齢者においてうつ病や不安を生じる間接的な要因になることも関係しているだろうとされる。ところで、すでに認知症であった人が、パンデミックによって社会的な交流がなくなったり、ケアが手薄になったりしたことで死亡率が高まった可能性もあることが述べられている。実際、パンデミック時代になってから、コロナ感染の有無にかかわらず、認知症者の死亡率が25%も高まったことを報告したメタアナリシスもある4)。認知症発症の原因として注目される炎症こうしたコロナによる認知機能の低下や認知症発症の原因として最も注目されるのは炎症、とくにこれに関わるサイトカインであろう。このサイトカインとは、ある細胞から他の細胞に情報伝達するための物質である。その中でも有名なのは、インターフェロンやインターロイキンだろう。感染量が多くなるほど、サイトカインも大量に放出されるが、それが著しい場合はサイトカインストーム(免疫暴走)と呼ばれる。サイトカインストームが起こることで大脳組織の炎症が生じる結果、認知機能に障害が生じる。なお近年では、アルツハイマー病の病因仮説として、脳の炎症説は主流の1つとなっている。また別の説として、新型コロナウイルスは、微小血管に障害をもたらし、肺の組織を障害することによって、大脳への酸素の流れに支障を来すことに注目するものがある。さらには、新型コロナウイルスとアミロイドやタウとの関係にも注目するもの、あるいはアルツハイマー病の危険因子とされるAPOE4を介して発症に関係するという考えなどもある。いずれにせよ現時点において新型コロナウイルスと認知症の発症との関係について確立しているわけではない。今後の長期的なフォローアップにより、少しずつ解明が進んでいくと思われる。参考1)Cocoros NM, et al. In utero exposure to the 1918 pandemic influenza in Denmark and risk of dementia. Influenza Other Respir Viruses. 2018;12:314-318.2)Sidharthan C. COVID-19 linked to higher dementia risk in older adults, study finds. News-Medical.Net. 2024 Feb 9.3)Axenhus M, et al. Exploring the Impact of Coronavirus Disease 2019 on Dementia: A Review. touchREVIEWS in Neurology. 2023 Mar 24.4)Axenhus M, et al. The impact of the COVID-19 pandemic on mortality in people with dementia without COVID-19: a systematic review and meta-analysis. BMC Geriatr. 2022;22:878.

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歩行を守るために気付いてほしい脚の異常/日本フットケア・足病医学会

 超高齢社会では、いかに健康を保ちつつ日常生活を送るかが模索されている。とくに「脚」は、歩行という運動器の中でも重要な部位である。日本フットケア・足病医学会は、この脚を守るための下肢動脈疾患(LEAD)・フレイル研究募集についてメディア向けにセミナーを開催した。 セミナーでは、研究概要のほか、同学会の活動概要、LEADをはじめとする脚の動脈硬化の診療、LEAD・フレイル研究募集について説明が行われた。あまり社会に知られていないLEADの病態と患者数 はじめに同学会理事長の寺師 浩人氏(神戸大学大学院医学研究科形成外科学 教授)が、「日本フットケア・足病医学会として歩行を守る意義」をテーマに、わが国のLEADの発生状況やLEADが起こすさまざまな弊害、学会が行っている活動を説明した。 高齢化の中、政府は病床数の削減に動いている。その一方で、わが国のLEAD患者は約400万例(うち症候性が100万例)と推定され、この数字は増加中である。また、LEADには透析患者の15~23%が罹患しているとされ、糖尿病を併存しているケースも多いとされている。 通常、脚の創傷は入院となっても、外来などで適切なフットウェアと歩行・生活指導を受けると治癒する。また、脚はADLとも密接に関係し、切断レベル、年齢、神戸分類の要素で複雑に変化する。一例として、高齢者では、脚の大切断後の歩行機能は著明に低下することが知られる一方、小切断後では歩行機能を維持できることが知られている。これは、LEADがなければ創傷治癒後歩行ができることを意味し、LEADが次第に歩行機能を奪っていくという。 最後に学会について触れ、「日本フットケア学会」と「日本下肢救済・足病学会」は2019年に合併し、新たに「日本フットケア・足病医学会」として発足したことを紹介した。足病医学、装具士・整形靴の研究、保険診療要望などのほか橋渡し研究として臨床に即した基礎研究を推進することを目的に活動を行っているという。今後は、さまざまな研究について支援をお願いしたいと語り、説明を終えた。生命予後に関連するLEAD 「LEADとは? 脚の動脈硬化の話」をテーマに東 信良氏(旭川医科大学外科学講座血管・呼吸・腫瘍病態外科学分野 教授)が、LEADの病態についてレクチャーを行った。 はじめに脚の解剖図を示し、動脈網を説明後、脚の動脈疾患があまり知られていないことに警鐘を鳴らした。 脚が動脈硬化になりやすい人としては、「高齢、糖尿病、高血圧、腎機能障害」が主なリスク因子として挙げられる。わが国の発症頻度をみると60歳以上で1~3%、70歳以上では2~5%、とくに65歳以上で糖尿病を発症している人では12.7%、腎不全透析患者では10~20%の頻度でみられると報告され1)、今後の高齢化に伴い患者数はさらに増加すると予想されている。 脚の動脈(側副血行路)の流れが悪くなると、歩行時の筋肉痛や組織の維持に問題が生じる。診断では下肢の脈の触診や足首の動脈圧の測定で判断され、フォンテイン分類(I:無症状、II:間歇性跛行、III:安静時痛、IV:潰瘍・壊死)で4つのステージに分けられる。とくに足関節上腕血圧比(ABI)が1.00以下は要注意とされる。 治療は先述のステージごとに異なり、各ステージ共通では背景リスクの管理が必要となるほか、症例によっては間歇性跛行から血行再建治療が行われる。血行再建治療には、血管内治療(カテーテル治療)、内膜摘除・形成術、バイパス術などが行われる。2017年の学会の調査によれば、血行再建治療数は全体で4万9,833例がおもに循環器内科で実施され、治療方法別では血管内治療が1番多く実施されている。 また、治療後のゴールについて、運動器を中心に歩行改善、歩行器機能回復や救肢が目的とされる。ただ、LEAD患者の生命予後については、救肢できてもステージIII/IVの患者は予後不良であり、とくに術後、歩行機能が回復できないと生命予後が不良になるという研究報告がある2)。さらに近年の研究では、サルコペニアとの関連も研究され、筋肉量の低下が生命予後に影響することもわかってきた3)。そのためフレイルリスクを予防すれば予後改善に期待がもてるという。 今後の課題としては、無症候LEAD患者数や患者像の把握が進んでいないこと、こうした患者の予後やQOLの実態がつかめていないことから重症化予防のためにも、LEAD・フレイル研究が必要とレクチャーを終えた。LEAD・フレイル研究に協力を 次に「LEAD・フレイル研究の概要、現在の応募状況、お問い合わせ方法など」について、河辺 信秀氏(東都大学幕張ヒューマンケア学部理学療法学科 教授)が説明を行った。この研究は、「日本人のABI値異常を呈する症例のフレイル発症率および身体機能低下への影響、LEAD重症化への影響探索」を主たる目的に実施される。 研究デザインは、前向きコホートとして開始時測定から5年を上限に各年で測定を行う。主な測定項目は、身体測定、ABI、心電図、胸部X線、血液、神経伝導検査、下肢歩行機能検査、フレイル測定などで2~3日をかけて実施される。【取り込み基準】・ABIが1.0未満・参加につき文書で同意を得られた者・同意取得時連例が50歳以上90歳未満の者【除外基準】・下肢切断の既往のある者・下肢慢性創傷が存在、または既往のある者・下肢血行再建術を受けた既往のある者 など 被験者は640例で、対象600例とコントロール40例に分けて実施され、2023年11月時点での参加者は316例となっている。 研究実施施設は、医療社団法人恵智会(東京都渋谷区)となり、参加者は施設まで赴き、検査を受けることになる。研究に参加を希望する人は受付サイトなどへアクセスしていただきたいと説明を終えた。 なお、本研究は学会が主体となり、国などから補助を受けない独自研究となるという。■参考サイト日本フットケア・足病医学会LEAD・フレイル研究 医療者向けLEAD・フレイル研究 患者さん向けはこちら

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肥満手術、長期の血糖コントロールが内科的介入より良好/JAMA

 肥満者の2型糖尿病の治療において、内科的介入+生活様式介入と比較して肥満手術は、術後7年の時点で糖尿病治療薬の使用例が少ないにもかかわらず血糖コントロールが優れ、糖尿病の寛解率も高いことが、米国・ピッツバーグ大学のAnita P. Courcoulas氏らが実施した「ARMMS-T2D試験」の長期の追跡結果から明らかとなった。研究の成果は、JAMA誌2024年2月27日号に掲載された。4つの単独無作為化試験の長期結果の統合解析 ARMMS-T2D試験は、2007年5月1日~2013年8月30日に、2型糖尿病における内科的/生活様式管理と肥満手術の有効性、効果の持続性、安全性の評価を目的に、米国の4施設がそれぞれ単独で行った無作為化試験の統合解析である(米国国立糖尿病・消化器病・腎臓病研究所[NIDDK]の助成を受けた)。 2型糖尿病の診断を受け、BMI値27~45の患者を、内科的管理と生活様式管理を受ける群、または3種の肥満外科手術(Roux-en-Y胃バイパス術、スリーブ状胃切除術、調節性胃バンディング術)のいずれかを受ける群に無作為に割り付けた。 主要アウトカムは、ベースラインから7年後までのヘモグロビンA1c(HbA1c)の変化であった。最長で12年間のデータが得られた。12年後の血糖コントロールも良好 この統合解析では、適格例305例のうち262例(86%)を長期追跡の対象とした(肥満手術群166例、内科的/生活様式管理群96例)。全体の平均年齢は49.9(SD 8.3)歳、女性が68.3%で、平均BMI値は36.4(SD 3.5)であった。追跡期間中に内科的/生活様式管理群の25%が肥満手術を受けた。追跡期間中央値は11年だった。 7年後の時点で、平均HbA1cは、内科的/生活様式管理群でベースラインの8.2%から8.0%へと低下し(変化の群間差:-0.2%、95%信頼区間[CI]:-0.5~0.2)、肥満手術群では8.7%から7.2%へと低下した(-1.6%、-1.8~-1.3)。7年時の変化の群間差は-1.4%(95%CI:-1.8~-1.0)であり、肥満手術群でHbA1cの改善効果が有意に優れた(p<0.001)。 12年後の時点での平均HbA1cの変化の群間差は-1.1%(95%CI:-1.7~-0.5)であり、有意差を認めた(p=0.002)。 また、肥満手術群で改善した血糖コントロールは、糖尿病治療薬の使用例がより少ない状態で達成された。ベースラインの糖尿病治療薬の使用率は両群で同程度であり(内科的/生活様式管理群99.0%、肥満手術群97.6%)、7年後まで内科的/生活様式管理群では経時的な変化がみられなかった(7年時使用率96.0%、変化のp=0.19)のに対し、肥満手術群では1年後には38.0%(62/163例)に減少し、7年後も有意に低い状態を維持していた(7年時使用率60.5%[72/119例]、変化のp<0.001)。貧血、骨折、消化器有害事象が多かった 2型糖尿病の寛解率は、7年後(内科的/生活様式管理群6.2%、肥満手術群18.2%、p=0.02)および12年後(0.0% vs.12.7%、p<0.001)のいずれにおいても、肥満手術群で有意に優れた。 12年間に4例(各群2例)が死亡した。主要心血管有害事象の発生は両群で同程度だった。また、肥満手術群で、輸血を要する貧血(3.1% vs.12%)、骨折(5.2% vs.13.3%)、消化器有害事象(胃/吻合部潰瘍[2.1% vs.6%]、胆石/胆嚢炎[3.1% vs.5.4%]、腸閉塞[1% vs.1.8%]など)の頻度が高かった。 著者は、「これらの結果を既存のエビデンスと統合すると、肥満者の2型糖尿病の治療において肥満手術の適用を支持するものである」としている。

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肥満症治療薬のチルゼパチドで肥満者の血圧が低下

 肥満症治療薬のZepbound(ゼップバウンド、一般名チルゼパチド)の効果は、体重の減少や糖尿病コントロールの改善にとどまらないようだ。米テキサス大学サウスウェスタン医療センター心臓病学部長のJames de Lemos氏らによる研究で、チルゼパチドを使用した肥満患者では収縮期血圧(上の血圧)が有意に低下し、同薬が肥満者の血圧コントロールにも有効である可能性が示唆されたのだ。チルゼパチドの製造販売元であるEli Lilly社の資金提供を受けて実施されたこの研究の詳細は、「Hypertension」に2月5日掲載された。 この研究の背景情報によると、収縮期血圧は拡張期血圧(下の血圧)よりも心疾患に関連した死亡リスクとの関連の強いことが判明しているという。De Lemos氏は、「これまでの研究では、チルゼパチドの肥満症治療薬としての効果が検討されてきたが、今回の研究の参加者で確認された同薬による血圧の低下は印象的なものだった」と話す。 チルゼパチドは、体内でインスリンの分泌を促し食後のインスリン感受性を高める作用を持つ2種類のホルモンと同じように働く。同薬には消化のスピードを緩やかにして食欲を低下させ、血糖値の調節を助ける作用がある。なお、日本では、現時点でのチルゼパチドの適応症は糖尿病のみである。 今回の研究では、肥満の成人600人(平均年齢45.5歳、平均BMI 37.4、女性66.8%)をプラセボ投与群(155人)、またはチルゼパチドを5mg(145人)、10mg(152人)、15mg(148人)のいずれかの用量で皮下注射する群にランダムに割り付けた。 その結果、チルゼパチド群ではプラセボ群に比べて試験開始時から36週間目までの間に収縮期血圧が、チルゼパチド5mg投与で平均7.4mmHg、10mg投与で平均10.6mmHg、15mg投与で平均8mmHg低下したことが明らかになった。また、チルゼパチドの降圧効果は日中だけでなく夜間にも認められた。De Lemos氏らによると、日中よりも夜間の収縮期血圧の方が心疾患に関連する死亡リスクのより強い予測因子であるという。 De Lemos氏は、「血圧降下がチルゼパチドによるものなのか、あるいは研究参加者の体重減少によるものなのかは不明だが、チルゼパチドを使用した参加者で認められた血圧の低下度は、多くの降圧薬の使用による低下度に匹敵するものであった」と米国心臓協会(AHA)のニュースリリースで説明している。 今回の研究には関与していない米ミシシッピ大学医療センターのMichael Hall氏は、「全体として、チルゼパチドのような新規の肥満症治療薬は、体重減少だけでなく肥満に伴う高血圧や2型糖尿病、脂質異常症などの心血管代謝系の合併症を大いに改善させることが示されており、励みになる結果だ」と話している。 Hall氏はまた、「これらの有益な効果はいずれも重要ではあるが、肥満に関連した合併症の多くは相乗的に心血管疾患リスクを高める。したがって、肥満に関連した複数の合併症を抑える戦略は、心血管イベントのリスク低下につながる可能性がある」との見方を示している。 ただしHall氏は、「心筋梗塞や心不全、その他の心臓に関連した健康上の問題に対するチルゼパチドの長期的な効果について明らかにするには、さらなる研究が必要だ」と指摘。また、「チルゼパチドのような薬剤を中止した場合に血圧がどのように変化するのか、例えば再び上昇するのか、あるいは低下が維持されるのかを明らかにするための研究も必要だ」と話している。

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日本人NASH患者の臨床的特徴~5年間のRWDを用いた症例対照研究

 得津 慶氏(産業医科大学公衆衛生学 助教)らが非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)およびそれに関連する患者の臨床的特徴を調べるため、国民健康保険ならびに後期高齢者レセプトデータベースといったReal World Data(RWD)を用いて症例対照研究を行った。その結果、NASHの診断定義を満たした患者では非NASH患者に比べてBMIが有意に高いことが示唆された。また、女性、脂質異常症、高血圧症、胃食道逆流症(GERD)、2型糖尿病の罹患割合はNASH群で高く、NASHは肝硬変や肝がんのリスク上昇と関連していたことも示唆された。BMJ Open誌2023年8月22日号掲載の報告。 研究者らは、2015年4月~2020年3月までにNASH(ICD-10の分類表記K75.8[非アルコール性脂肪性肝炎]、K76.0[その他の炎症性肝疾患/その他の脂肪肝])と診断された患者をNASHの診断定義を満たす患者として非NASH患者と照合させ、性別、生年月日、居住地域に従ってランダムに選択した。1次および2次アウトカムの測定値(年齢、性別、BMI、NASH関連の併存疾患、生活習慣病など)の患者背景間の関係についてオッズ比(OR)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・NASH患者545例(男性:38.3%)と非NASH(対照)患者18万5,264例(同:43.2%)を抽出した。各群の年齢中央値は68歳(四分位範囲:63.0~75.0)と65歳(同:44.0~74.0)であった。・BMIはNASH患者のほうが対照患者よりも有意に高かった(25.8kg/m2 vs.22.9kg/m2、p<0.001)。・女性、高血圧症、脂質異常症、2型糖尿病の割合はNASH患者のほうが高かった。さらに、NASHは肝硬変のリスク増加と関連しており(OR:28.81、95%信頼区間[CI]:21.79~38.08)、次に肝臓がんのリスクが高かった(OR:18.38、95%CI:12.56~26.89)。・NASHとうつ病(OR:1.11、95%CI:0.87~1.41)、不眠症(OR:1.12、95%CI:0.94~1.34)、慢性腎臓病(OR:0.81、95%CI:0.58~1.34)のリスクとの間には有意な関連はみられなかった。 これまでの国内研究報告1)にてNAFLD患者の特徴(中年男性と高齢女性の有病率が高い)は示されていた。NASHに関する今回の研究を通じて、本研究者らは「日常診療において、性別や年齢の違いを考慮し、肝臓がんのリスクやNASHに関連するそのほかの生活習慣関連の併存疾患に細心の注意を払う必要がある」としている。

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超加工食品摂取の健康への有害性、アンブレラレビューでも/BMJ

 超加工食品の摂取の多さは、有害な健康アウトカム、とくに心代謝系、一般的な精神障害および死亡のリスク増大と関連していることが、オーストラリア・ディーキン大学のMelissa M. Lane氏らの検討で示された。超加工食品と有害な健康アウトカムとの関連性についてはメタ解析が行われているが、研究グループは幅広い視点を提供し、先行研究のメタ解析によるエビデンスを評価するため、包括的なアンブレラレビューを行った。結果を踏まえて著者は、「今回得られた知見は、健康改善のために超加工食品への曝露を減らす公衆衛生対策の策定、およびその効果の評価に論理的根拠を与えるものである」と述べている。BMJ誌2024年2月28日号掲載の報告。超加工食品の摂取と健康アウトカムとの関連についての疫学的メタ解析のアンブレラレビュー 研究グループは、Nova食品分類システムで定義されている超加工食品の摂取と、健康への悪影響との関連を評価する目的で、既存のメタ解析のアンブレラレビューを行った。 MEDLINE、PsycINFO、Embase、Cochrane Database of Systematic Reviewsおよび参考文献リストをデータソースに、2009年から2023年6月までの研究を検索し、適格基準はコホート研究、症例対照研究、および/または横断研究デザインのシステマティックレビューとメタ解析とした。 アンブレラレビューによる各再メタ解析結果は、エビデンスの信頼性についてはエビデンス分類基準および既存のアンブレラレビューに従い、「クラスI(信ぴょう性が高い)」「クラスII(強く示唆的)」「クラスIII(示唆的)」「クラスIV(弱い)」「クラスV(エビデンスなし)」に分類。また、エビデンスの質についてはGRADEシステムを用いて評価し、「高」「中」「低」「非常に低」に分類した。超加工食品の摂取は、32の健康アウトカムと関連 検索の結果、430本の論文が同定され、適格基準を満たした14件のメタ解析研究、計45件の異なるプール解析が対象となった。 プール解析に含まれた参加者の総数は988万8,373例で、13件は用量反応モデリングが検討されたものであった。32件(71%)の異なるプール解析において、ランダム効果モデルに基づき、超加工食品の摂取の多さと死亡、がん、精神、呼吸器、心血管、胃腸、代謝等に関する健康アウトカムとの間に直接的な関連が示された。 事前に規定したエビデンスの分類に基づくと、クラスIで関連が示されたのは、心血管疾患関連死(リスク比:1.50、95%信頼区間[CI]:1.37~1.63、質:非常に低)および2型糖尿病(用量反応性のリスク比:1.12、95%CI:1.11~1.13、質:中)の発生、ならびに不安アウトカム(オッズ比[OR]:1.48、95%CI:1.37~1.59、質:低)および一般的な精神障害の複合アウトカム(OR:1.53、95%CI:1.43~1.63、質:低)の有病リスクであった。 クラスIIは、全死亡(リスク比:1.21、95%CI:1.15~1.27、質:低)、心疾患関連死(ハザード比[HR]:1.66、95%CI:1.51~1.84、質:低)、2型糖尿病(OR:1.40、95%CI:1.23~1.59、質:非常に低)および抑うつアウトカム(HR:1.22、95%CI:1.16~1.28、質:低)の発生、ならびに有害な睡眠関連アウトカム(OR:1.41、95%CI:1.24~1.61、質:低)、喘鳴(リスク比:1.40、95%CI:1.27~1.55、質:低)および肥満(OR:1.55、95%CI:1.36~1.77、質:低)の有病リスクであった。 残りの34のプール解析のうち、21件はクラスIII~IV、13件はエビデンスなし(クラスV)に分類された。 全体でGRADEシステムによるエビデンスの質は、22件のプール解析が「低」、19件が「非常に低」であり、「中」は4件であった。

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内臓脂肪減少薬オルリスタット、OTCで発売/大正

 大正製薬は日本初の内臓脂肪減少薬オルリスタット(商品名:アライ)を、ダイレクトOTC薬として2024年4月8日に発売する。発売に先立ち世界肥満デーである3月4日に新発売記者会見を開催した。世界的な肥満パンデミック、日本人は小太りでも要注意 米国の若年成人の肥満(BMI30以上)は、1970年代後半には5.5%だったが、2017年には33%と6倍に増加している1)。米国だけでなく1975年当時、成人の平均BMIが25前後だった欧州、中東、オーストラリアなども2014年には30前後になっている2)。いまや肥満は世界的パンデミックと言っても過言ではない。 BMI30の白人の2型糖尿病発症率は10%強だが、日本人を含む東アジア人はBMI24〜25で同じ発症率に達してしまう。つまり、「日本人は小太りでも病気になりやすい」と日本肥満学会理事長である千葉大学の横手 幸太郎氏は述べる。 「肥満」は脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積した状態であり、「肥満症」は肥満に伴って健康を脅かす合併症があるまたは合併症になるリスクが高い場合と定義され、肥満症は医療行為の対象である3)。 肥満における内臓脂肪の蓄積は健康障害の原因となる。積極的保健指導対象者に対する試験では、3%以上の減量で血圧、脂質、血糖、肝機能、尿酸など、内臓脂肪蓄積者における多くのリスク因子に改善がみられた。日本肥満学会でも、肥満症や高度肥満症患者に対する減量を目指した食事、運動、行動療法を提唱している3)。しかし、それらの治療には限界があり、治療薬の登場が期待されていた。そのような中、2023年、30年ぶりの抗肥満薬としてセマグルチドとオルリスタットが登場した。セマグルチドは肥満症治療薬であり、オルリスタットは内臓脂肪減少薬として、未病である肥満から肥満症への進行を抑制する。横手氏は、肥満の予防から健康寿命の延伸に寄与する薬剤として、オルリスタットに期待感を示した。16年間の開発期間を要した日本初の内臓脂肪減少薬オルリスタット オルリスタットは肪分解酵素リパーゼに結合し不活性化することで、脂肪の分解を阻害して腸からの吸収を抑える。摂取した脂肪の約25%を便とともに排出するとされる。 同剤は、海外において、1997年に医療用医薬品として承認され、2007年にはOTC医薬品としても承認されている。大正製薬は2008年に日本への導入契約を締結し、2011年から臨床試験を実施、2019年にダイレクトOTC医薬品として厚労省に承認申請して2023年に承認された。日本での開発期間は16年間におよび、「市販薬では異例といえる長期間の開発」と大正製薬マーケティング本部の宍戸 正臣氏は述べる。52週時で内臓脂肪が2割強減少 オルリスタットは1,700万人以上の使用経験、100以上の臨床プログラムなど、海外では豊富なエビデンスがある。日本人に対しては、探索試験、用量設定試験、検証試験(二重盲検)、長期投与試験、一般臨床試験(薬剤師による有効性安全性の検討)、生活習慣病治療薬併用試験が行われ、安全性と有効性が検証されている。 日本人試験の結果、投与24週時点の内臓脂肪面積は、プラセボ群-5.78%に対しオルリスタット群では-14.1%(検証試験)、52週時点ではオルリスタット群で21.52%、実測値で28.05cm2減少した。内臓脂肪蓄積の指標となる腹囲は、オルリスタット投与52週で4.89%、実測値で4.3cm減少した(長期試験)。 オルリスタットの長期投与試験における副作用発現は60.8%、主なものは油の漏れ34.2%、便を伴う放屁23.3%、脂肪便9.2%、便失禁6.7%などであった。消化管における脂肪吸収を抑えるという作用機序から起こる症状であるため、発現機序を十分に理解して、服用前は脂肪の多い食事を避けるなどの対策をとっておくべきである。症状発現時期は「臨床データ上では服薬開始14日以内が最も高く、その後は率が下がってくる傾向」と大正製薬セルフメディケーション臨床開発部の藤田 透氏は言う。研修を修了した薬剤師による対面販売 オルリスタットは要指導薬のため薬剤師の対面販売でしか購入できない。初回購入には、専用のチェックシートと生活習慣記録(購入1ヵ月前からの記録)を使用者が記入し、薬剤師が確認しなければならない。生活習慣記録については、入力の手間を省くために、LINEアプリ「STEP UP DIARY」を用意している。 一方、特別な販売方法のため薬剤師の継続的な教育は欠かせない。販売に従事する薬剤師は日本肥満学会監修の「アライ専用eラーニング研修」の修了が求められるが、すでに2万6,000人を超える薬剤師が研修を修了しているという。 また、オルリスタットは医薬品卸を介さず、大正製薬が要指導薬と第1類を取り扱う薬局・ドラックストアに直接販売する。販売店は全国で約1万店舗強あるとされるが、ほぼすべての店舗で取り扱いできる見込みだ。販売店は同剤のブランドサイトで検索できる。製品概要・製品名:アライ・効能・効果:腹部が太めな方の内臓脂肪および腹囲の減少(生活習慣改善の取り組みを行っている場合に限る)・用法・用量:年令 成人(18才以上) 1回量1カプセル 服用回数1日3回・成分:1 カプセル中 オルリスタット 60mg・価格:6日分2,530円、30日分8,800円(ともに税込み)使用条件・腹囲:男性85cm以上、女性90cm以上・健康障害*を合併していない・初回購入前3ヵ月以上生活習慣改善の取り組みを行っていること・初回購入前1ヵ月および使用中に生活習慣改善の取り組み**、体重、腹囲を記録すること*:高度肥満または糖尿病、脂質異常症、高血圧などの「肥満診療ガイドライン2016」に記載された11疾患**:定期的に健康診断を受けていること

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非ウイルス性肝疾患による死亡リスクは女性の方が高い

 飲酒やメタボリックシンドローム(MetS)が関与して生じる肝臓の病気は、男性に比べて女性は少ないものの、それによる死亡率は男性よりも女性の方が高いことが報告された。青島大学医学院付属医院(中国)のHongwei Ji氏、米シダーズ・サイナイ医療センター、シュミット心臓研究所のSusan Cheng氏が、米国国民健康栄養調査(NHANES)のデータを解析した結果であり、「Journal of Hepatology」2月号にレターとして掲載された。 肝臓の病気の原因のうち、C型肝炎などのウイルスによるものは治療が進歩して患者数が減少している一方で、MetSなどの代謝性疾患に伴う脂肪性肝疾患「MASLD」やアルコール関連の肝疾患「ALD」、および代謝性疾患とアルコール双方の影響による肝疾患「MetALD」と呼ばれる肝疾患が増加している。Cheng氏は、それらの肝疾患の有病率と死亡率の実態を性別に検討した。 1988~1994年のNHANES参加者から、20歳未満および解析に必要なデータのない人を除外し、1万7人(平均年齢42±15歳、女性50.3%)を解析対象とした。各疾患の定義は、MASLDについては心臓代謝疾患のリスク因子があること、ALDは飲酒量がアルコール換算で男性420g/週超、女性350g/週超、MetALDは同順に210~420g/週、140~350g/週であり、画像検査で脂肪肝が確認されたものとした。 各疾患の患者数は、MASLDが1,461人、ALDが105人、MetALDが225人だった。これらの有病率を性別に見ると大きな性差が認められ、3タイプの疾患の全て、男性の有病率の方が高かった。具体的には、男性ではMASLD、ALD、MetALDの順に18.5%、1.7%、3.2%であるのに対し、女性は10.3%、0.3%、1.2%だった(すべてP<0.001)。一方、死亡リスクについては以下のように、女性の方が高い傾向にあった。 中央値26.7年の追跡で、2,495人の死亡が記録されており、年齢やBMI、人種、喫煙習慣、収縮期血圧、脂質異常症、糖尿病、降圧薬・血糖降下薬・脂質低下薬の処方、世帯収入などを調整後の死亡ハザード比を性別に検討。すると、MetALDに関しては女性でのみ有意なリスク上昇が確認された〔男性1.00(95%信頼区間0.79~1.28)、女性1.83(同1.29~2.57)。ALDは男性・女性ともに有意なリスク上昇が確認されたが〔男性1.89(1.42~2.51)、女性3.49(1.86~6.52)〕、女性のリスクの方が高い傾向にあった(P=0.080)。MASLDは男性・女性ともに有意なリスク上昇は観察されなかった。 MetALDの「Met」とは「代謝性の」という意味の「metabolic」の略であり、肝臓への脂肪の蓄積を引き起こす可能性がある代謝性の問題、つまり肥満や糖尿病、高血圧、脂質異常症を指している。研究グループでは、「これらのリスク因子のいずれかが該当する女性は、飲酒には特に注意が必要」と述べ、その理由を「飲酒と代謝の問題が組み合わさると、肝臓に脂肪がより蓄積しやすくなるからだ」と解説している。 しかし、なぜ女性の肝臓がこれらの変化に対して、男性よりも脆弱であるのかはまだ明らかにされていない。Cheng氏らは現在、その理由の解明と、そのようなリスクの抑制につながる介入方法の確立に向けて、新たな研究を計画している。

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“抗加齢医学”の実学創造~北里 柴三郎博士の思いを継いで~

第24回日本抗加齢医学会総会が2024年5月31日(金)~6月2日(日)の3日間、熊本城ホールにて開催される。今回のテーマは『実学創造~老化制御の一新紀元』。大会長である尾池 雄一氏(熊本大学大学院生命科学研究部分子遺伝学講座 教授/熊本大学医学部長)に本総会に込める思いや注目演題について話を聞いた。予防医学の父、北里 柴三郎氏の精神を引き継ぐ2024年は新日本銀行券が発行されますが、新たな千円札紙幣の顔となる北里 柴三郎博士の生誕の地がこの熊本です。私自身も博士のモットーである『“実学の精神”をもって社会に貢献』にならい、これまで当たり前のように受け入れてきた年齢を重ねることで発症リスクが高まる脳・心血管疾患、悪性腫瘍など加齢関連疾患の発症を”抗加齢医学”の実践により予防するための研究を進めてきました。その思いを詰め込み、本学会総会初となる地方都市開催の実現とともに、北里 柴三郎博士の玄孫にあたる北里 英郎氏による講演「近代医学の父、予防医学の礎を築いた北里 柴三郎博士の功績」ほか、北里 柴三郎博士の意思、精神を引き継ぎ、抗加齢医学の実学創造に挑む関連演題をお届けします。また、会長企画シンポジウムでは、1)コホート研究から健康長寿の鍵を紐解く、2)ミトコンドリア研究から老化制御の実学創造/ミトコンドリア先制医療、3)Inflammagingから老化に迫る、4)老化を予測・制御する最先端研究といったテーマで各々の領域でご活躍されているの方々にご講演いただく予定です。また、『生物はなぜ死ぬのか』の著者で知られる小林 武彦氏(東京大学定量生命科学研究所附属生命動態研究センター 教授)、新たな年齢指標「epigenetic clock(生物学的年齢)」を開発したSteve Horvath氏(米国・カルフォルニア大学)、世界的なエイジング医学ジャーナルnpj Aging編集長のMarco Demaria氏(オランダ・フローニンゲン大学医療センター)を海外からお招きし、抗加齢医学におけるグローバルな話題も提供いたします。予防医学に光明、ミトコンドリア研究が熱い! 私は病的な老化を制御・予防する観点から主に2つの柱で研究を進めております。一つがミトコンドリア機能制御の解明と抗加齢医学への応用です。ヒトの細胞は一人あたりに約200種類、数十兆個が存在していますが、各々の細胞が正常に機能するにはエネルギーが不可欠です。ここで重要なのがミトコンドリアであり、ほぼすべての細胞においてエネルギーを生成する発電所的な役割を果たしているわけです。しかし、このミトコンドリアの機能が異常を示せば細胞レベルで異常がみられるようになり、また、機能異常が進むと、酸化ストレスとも呼ばれる活性酸素(ROS)が細胞内で産生されて体内の老化が一気に加速してしまいます。つまり、ミトコンドリアの機能をいかに正常に保つかが非常に重要課題であることから、さまざまな研究が進められており、近年ミトコンドリアだけにフォーカスした国際シンポジウムが頻繁に開催されたり、CellやNatureといった世界のトップ科学雑誌に新たな研究成果が立て続けに掲載されたりするなど、とても競争が激しくホットな領域なのです。たとえば、“細胞内小器官“であるミトコンドリアが、隣接する細胞間や遠隔の細胞間でやりとりされ、お互いの細胞機能に関わり老化に影響を与えることや、ミトコンドリアの機能に重要なミトコンドリアを構成するタンパク質の合成が活性化されていることが長寿に重要であることなど解明されており、ミトコンドリアを標的とした薬剤やサプリメントの開発など、抗加齢医学への応用が着実に進められています。そこで、皆さまにミトコンドリア研究の今を知ってもらうために、会長企画シンポジウムとしてご用意いたしました。老化に抗う時代の到来か!?もう一つの研究の柱が炎症老化(Inflrammaging)です。これは炎症を意味するinflammationと老化を意味するagingを組み合わせた造語で、老化に伴う慢性炎症のことです。炎症自体は感染や組織損傷への防御反応で、その多くは改善すれば自然と収まるものなので、悪いものではありません。しかしこれまでも、何らかの原因で炎症が遷延し慢性炎症を惹起し、がん化などに繋がることは注目されていました。しかし近年、老化した個体の中で変化し生じるさまざまな機構により慢性炎症が生じ、細胞/臓器/身体の機能低下をもたらし、老化表現型の出現および加齢関連疾患の発症・進展に寄与していることが明らかとなってきました。上述のミトコンドリアの変化も老化に伴う慢性炎症の原因の一つです。現在の老化予防としては老化細胞を除去(セノリシス)する方法や、それとは別に老化細胞のinflammagingなど老化を促進する特徴的な機能を阻害するセノモルフィックな戦略が注目され、既に米国を中心にヒトでの臨床研究が進んでおります。われわれもまた抗老化医学の実学創造の柱としてinflammagingの解明とその制御に挑んでおり、会長企画シンポジウムでもこの話題を盛り込みました。このほか、さまざまな視点から抗加齢に着目した教育講演やシンポジウム、日本血管生物医学会、日本肝臓学会、健康食品産業協議会などとの共催シンポジウム、2025年に向けた大阪万博や世界長寿サミットに関するセッションなどを取り揃え、どんな専門分野の医師、医療関係者も楽しめる総会となっています。ぜひ現地にて皆さまのご参加をお待ちしております。

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第202回 2024年診療報酬改定の内容決まる(後編) 「メリハリ」効かせ過ぎの敷地内薬局、調剤報酬激安化で患者数増加、逆に市中薬局離れ加速の可能性も

成田赤十字病院で人工肛門を大腸ではなく胃に造設する医療過誤発覚こんにちは。医療ジャーナリストの萬田 桃です。医師や医療機関に起こった、あるいは医師や医療機関が起こした事件や、医療現場のフシギな出来事などについて、あれやこれや書いていきたいと思います。先週末、腰を抜かしそうな医療過誤のニュースが入って来ました。2022年に千葉県成田市の成田赤十字病院(青墳 信之院長)で行われた手術で、誤って人工肛門を大腸ではなく胃に造設していたというのです。3月1日付の共同通信等の報道によれば、患者は70歳代の女性で、手術には執刀医のほかに医師2人も立ち会っていたにもかかわらず、横行結腸か胃かを十分に確認することなく漫然と手術を行い胃に人工肛門を造設、術後の検査でやっとミスが発覚したとのことです。女性は再手術を受けた後、快方に向かっていましたが、今年1月に死亡しています。家族は2月27日、病院を運営する日本赤十字社(東京都港区)に計600万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴し、今回の医療過誤が表沙汰になりました。病院は医療過誤を認めているとのことです。日赤の病院の医療過誤としては、本連載の「第199回 脳神経外科の度重なる医療過誤を黙殺してきた京都第一赤十字病院、背後にまたまたあの医大の影(前編)」、「第200回 同(後編)」でも書いた、京都第一赤十字病院の事例が記憶に新しいところです。京都の隠蔽事例と大きく違うのは、今回は、腸と胃を間違えるという重大な過誤であり、患者家族が目で見てもわかりそうなミスだったということです。いずれにせよ、医療事故や医療過誤に対する日赤の体制には大きな問題があると言わざるを得ません。詳細がわかればまた続報しようと思います。普及・定着が全く進まなかったリフィル処方箋、テコ入れへさて、今回も前回に続き、2024年度診療報酬改定の内容のうち、本連載でも過去に取り上げた項目を中心に、いくつかその内容を見てみたいと思います。まず、2022年改定で財務省主導の鳴り物入りで導入された「リフィル処方箋」ですが、その普及・定着がまったく進まず医療費削減効果も軽微だったことから、大幅なテコ入れが行われます。リフィル処方箋については、2022年の診療報酬改定時に、本連載の「第96回 2022年診療報酬改定の内容決まる(前編)オンライン診療初診から恒久化、リフィル処方導入に日医が苦々しいコメント」でも詳しく書きました。2022年度改定における改定率決定の際の大臣合意では、リフィル処方箋の導入・活用促進による医療費効率化効果を、改定率換算でマイナス0.1%(医療費470億円程度)と見込んでいました。しかし、2023年11月に開かれた財政制度等審議会財政制度分科会で、予算未達の実態が明らかにされました。リフィル応需実績0.148%(2023年6月単月のリフィル応需回数/総受付回数[日本保険薬局協会の調査])の実績に基づいて単純計算すると、医療費効率化効果は年間マイナス70億円程度(改定率換算でマイナス0.014%程度)に留まっていたのです。財務省はこの時、リフィル処方箋による適正化効果が達成されるまでの期間、時限的に処方箋料を引き下げるなど、「その分を差し引く調整措置を講ずる必要がある」と厳しい提言をしていました。生活習慣病管理料(I)、(II)、地域包括診療料・地域包括診療加算の施設基準にリフィル処方箋対応盛り込むそうした経緯から、今回の改定では、各種診療報酬の施設基準に絡めてリフィル処方箋の普及・定着を目指すことになりました。今回、リフィル処方箋に関連した施設基準が盛り込まれた主な診療報酬は、診療所や中小病院を対象とする「生活習慣病管理料(I)(II)」、「地域包括診療料・地域包括診療加算」です。これらの算定要件に、患者の状態に応じ、28日以上の長期の投薬を行うこと又はリフィル処方箋を交付することについて、対応が可能であることを医療機関の見やすい場所に掲示し、患者から求められた場合に適切に対応する――ことが盛り込まれました。また、「特定疾患処方管理加算」については、リフィル処方箋の複数回の使用による合計の処方期間が28日以上でも算定可能となりました。財務省はリフィル処方箋普及・定着のPRを自ら行ってもいいのではリフィル処方箋の発行が普及・定着しなかった要因はいくつか考えられます。医療機関が実質収入減となるため積極的に取り組まなかったことに加え、医師側に次回診察までの間の患者管理を薬剤師に任せることに抵抗感があったことなどが指摘されています。また、薬剤師・薬局側(日本薬剤師会)も、日本医師会に遠慮してか、リフィル処方箋に積極的に取り組む姿勢を見せてこなかったことも原因の一つでしょう。私自身は、こうしたいくつかの原因に加えて、厚生労働省も財務省も、国民に対してリフィル処方の意味や利便性を国民に対してアピールしなかったことも大きいと考えます。「リフィル処方」と聞いて、ピンと来る国民はどれだけいるでしょうか。マイナンバー保険証もそうですが、国は制度をつくれば、国民は勝手に勉強して活用するようになると考えているフシがあります。今回のテコ入れは、従来型の診療報酬による医療機関の誘導策に過ぎません。財務省が本当に医療費削減のためにリフィル処方を普及・定着させたいのであれば、そのPRを厚労省だけに任せるのではなく、自らが前面に出て行ってもいいのではないでしょうか。敷地内薬局、「1薬局単位」の各報酬の引き締めに加えて誘致する病院側の評価も見直し薬剤・薬局関係の改定項目でもう1点気になったのは、「敷地外薬局」の扱いです。各地で急増中のいわゆる病院の同一敷地内薬局に対しては、中医協の議論で診療側、支払い側双方から厳しい対応を求める声が強く、厚労省からは「1薬局単位」ではなく「開設者(グループ)単位」の評価に見直す提案まで行われました。しかし、厚労省の提案に対し日本保険薬局協会などから強い反発もあり、そうした対応は一旦見送られ、今後の検討課題とされました。しかし、「1薬局単位」の各報酬の引き締めに加えて、誘致する病院側の評価見直しも盛り込まれました。敷地内薬局が算定する特別調剤基本料(敷地内の医療機関からの処方箋が5割超の場合に適用)がA・Bの2区分に見直され、届け出を行う特別調剤基本料Aは7点から5点に減点(届け出なしのBは3点)されました。各種加算、薬学管理料、薬剤料も大幅に見直されました。たとえば、地域支援体制加算と後発医薬品調剤体制加算はこれまで100分の80に相当する点数を算定していましたが、改定後には100分の10となります。一方、敷地内薬局を誘致する医療機関側への措置も厳しいものとなりました。1ヵ月当たりの処方箋の交付が平均4,000回を超えており、交付する処方箋による調剤の割合が9割を超える薬局と不動産取引等の特別な関係を有する場合、処方箋料が減額になります。具体的には、現在の処方箋料1、2、3が28点、40点、68点のところ、それぞれ18点、29点、42点となります。さらに、敷地内薬局は急性期病院での開設が多いことから、2022年度改定では急性期充実体制加算が算定できなくなりましたが、今改定で2024年4月以降に新規誘致する場合は総合入院体制加算も算定不可となります。人口減社会、高齢社会に向けて、敷地内薬局はむしろ普及・定着させていくのが正解では薬局、病院双方にとって相当厳しい締め付けと言えます。しかし、これが本当に正しい医療提供体制の方向と言えるのでしょうか。敷地内薬局については、本連載の「第182回 アイン、『敷地内薬局』入札妨害事件が問うもの(前編)」「第183回 同(後編)」でも書きましたが、私自身はこれからの人口減社会、高齢社会に向けて、敷地内薬局は規制するのではなく、むしろよい具合に普及・定着させていくのが正解だと考えます。2月19日付のメディファクスによれば、日本保険薬局協会の三木田 慎也会長(総合メディカルグループ株式会社の代表取締役副社長)は2月15日の会見で、今改定での敷地内薬局の評価について「減額幅は常軌を逸するというか、大変大幅な引き下げで、ただただ驚いている」と語り、「(敷地内薬局を)合法でできる状態にしておいて、それに対してこのような評価をするというのは行政の判断としてどうなのか」と疑問を呈したそうです。確かに敷地内薬局を認めた官庁が関係団体等の圧力を理由に規制し直す、というのはある意味、理不尽と言えます。調剤報酬激安化で患者は割安な敷地内薬局を選択するようになる報酬をぐっと下げた結果、行政や関係団体が予期しなかった事態も起こりそうです。調剤報酬の激安化によって、患者はこれまで以上に市中の薬局を避け、安価な敷地内薬局で薬をもらうようになるかもしれないのです。2月19日付のダイヤモンド・オンラインは、「病院の敷地内薬局の『調剤料激安化』が止まらない!患者はどの薬局を選べば、いくらお得?」という記事を掲載、薬局の形態別に患者負担額を比較し、「実は『敷地内薬局』が患者の財布に最も優しい」と結論付けています。マイナンバーカード保険証を普及させ始めた当初、同保険証を使ったほうが患者負担が高くなる、という珍妙な施策を展開し批判を浴びた厚労省ですが、今回の敷地内薬局に対する締め付けも、結果として敷地内薬局の利便性(と割安感)を逆に患者に知らしめる結果となり、またまた各方面から批判を浴びるのではないかと心配になってしまいます。敷地内薬局については、2024年度診療報酬改定の答申の付帯意見に、「いわゆる同一敷地内薬局については、同一敷地内の医療機関と薬局の関係性や当該薬局の収益構造等も踏まえ、当該薬局及び当該薬局を有するグループとしての評価の在り方に関して、引き続き検討すること」と盛り込まれていますが、“規制するべき”という大前提を改め、ゼロベースでその在り方を議論し直すべきではないでしょうか。

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添付文書改訂:ジャディアンスに慢性腎臓病の適応が追加【最新!DI情報】第10回

添付文書改訂:ジャディアンスに慢性腎臓病の適応が追加<対象薬剤>エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス錠10mg、製造販売元:日本ベーリンガーインゲルハイム)<改訂年月>2024年2月<改定項目>[追加]効能・効果慢性腎臓病(末期腎不全または透析施行中の患者を除く)[追加]効能・効果に関連する注意eGFRが20mL/min/1.73m2未満の患者では、本剤の腎保護作用が十分に得られない可能性があること、本剤投与中にeGFRが低下することがあり、腎機能障害が悪化する恐れがあることから、投与の必要性を慎重に判断すること。<ここがポイント!>エンパグリフロジン(商品名:ジャディアンス錠)は、2014年に「2型糖尿病」の効能・効果で承認され、2021年には「慢性心不全」の適応が追加されていましたが、2024年2月、「慢性腎臓病(末期腎不全または透析施行中の患者を除く)」に対する適応も新たに追加承認されました。慢性腎臓病は、腎機能低下や蛋白尿などの尿異常が慢性的に持続する疾患です。慢性腎臓病が進行すると、腎移植や透析療法が必要となるため、腎機能の低下を抑えて末期腎不全への進行を遅らせることが重要です。SGLT2阻害薬は糖尿病治療薬として開発されましたが、腎イベントを抑制することが明らかとなり、慢性腎臓病に対しても適応が拡大されました。国内では2021年8月にダパグリフロジン(同:フォシーガ錠)が慢性腎臓病(末期腎不全または透析施行中の患者を除く)の効能・効果の追加承認を取得し、2022年6月にカナグリフロジン(同:カナグル錠)が2型糖尿病を合併する慢性腎臓病(末期腎不全または透析施行中の患者を除く)の追加承認を取得しました。エンパグリフロジンは2型糖尿病の合併有無にかかわらずに使用できるダパグリフロジンと同様の適応です。腎疾患進行のリスクのある慢性腎臓病患者を対象とした国際共同第III相試験(EMPA-KIDNEY試験)において、腎疾患進行または心血管死が発現した患者の割合は、本剤群(430/3,292例、13.1%)でプラセボ群(553/3,289例、16.8%)より低く、エンパグリフロジンにより腎疾患進行または心血管死の発現リスクはプラセボに比べて有意に低下しました(ハザード比:0.73、99.83%信頼区間:0.59~0.89)。また、ベースラインの糖尿病合併の有無別では、糖尿病合併の有無にかかわらず本剤群とプラセボ群の間で有意な差が認められました(糖尿病合併のハザード比:0.64、p<0.0001、糖尿病非合併のハザード比:0.83、p=0.0443、Cox回帰モデル)。

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ブロッコリーが慢性炎症と死亡を低減?

 わが国において、2026年からブロッコリーが農林水産省の指定野菜(重要な野菜として位置付けているもの)に追加されることになった。そのブロッコリーが、全身の慢性炎症と死亡率の低下に関連していたことが、米国・サウスフロリダ大学のNicholas W. Carris氏らによって明らかになった。Journal of Medicinal Food誌オンライン版2024年2月14日号掲載の報告。 全身性の異常な炎症が続くことで、心血管系やがんなどのさまざまな疾患のリスクが上昇することが知られている。食事習慣の中には、炎症に関連するものもあれば、炎症を抑えて健康を改善するものもある。そこで研究グループは、慢性炎症と死亡率に関連する食品を特定するため、前向きコホート研究を実施した。 研究には、アテローム性動脈硬化に関する多民族研究(MESA)のデータを用いた。評価した食品は、西洋で入手しやすい植物性食品3種類(アボカド、ブロッコリー、青菜[greens])と動物性食品3種類(ハム、ソーセージ、卵)に属するカテゴリーが選ばれた。評価した炎症マーカーは、IL-6、フィブリノゲン、CRP、D-ダイマー、IL-2、MMP-3、TNF-α、酸化LDL、血中総ホモシステインであった。主要アウトカムは、多変量解析における食品および炎症マーカーと全死亡率との関連であった。 主な結果は以下のとおり。・酸化LDLを除くすべての炎症マーカーが死亡率と関連していた。その関連はIL-6とD-ダイマーで最も大きかった。・単変量解析では、ブロッコリーのカテゴリー(ブロッコリー、キャベツ、カリフラワー、芽キャベツ、ザワークラウト、キムチ)の摂取が最も一貫して炎症と死亡率の低下と関連していた。・IL-6とD-ダイマーを使用した多変量解析では、ブロッコリーを摂取していない場合と比較して、ブロッコリーを摂取している場合はその摂取量の多寡にかかわらず死亡リスクの低下と関連していた。 これらの結果より、研究グループは「これらの食品が慢性炎症に対する食事療法としての可能性があるかどうかをランダム化比較試験で検証するべきである」とまとめた。

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普段から活発な高齢者、新型コロナ発症や入院リスク低い

 健康のための身体活動(PA)は、心血管疾患(CVD)、がん、2型糖尿病やその他の慢性疾患の予防や軽減に有効とされているが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の発症や入院のリスク低下と関連することが、米国・ハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院のDennis Munoz-Vergara氏らの研究により明らかになった。JAMA Network Open誌2024年2月13日に掲載の報告。 本研究では、COVID-19パンデミック以前から実施されている米国成人を対象とした次の3件のRCTのコホートが利用された。(1)CVDとがんの予防におけるココアサプリメントとマルチビタミンに関するRCT、65歳以上の女性と60歳以上の男性2万1,442人、(2)CVDとがんの予防におけるビタミンDとオメガ3脂肪酸に関するRCT、55歳以上の女性と50歳以上の男性2万5,871人、(3)女性への低用量アスピリンとビタミンEに関するRCT、45歳以上の女性3万9,876人。 本研究の主要アウトカムは、COVID-19の発症および入院とした。2020年5月~2022年5月の期間において、参加者はCOVID-19検査結果が1回以上陽性か、COVID-19と診断されたか、COVID-19で入院したかを回答した。PAは、パンデミック以前の週当たり代謝当量時間(MET)で、非活動的な群(0~3.5)、不十分に活動的な群(3.5超~7.5未満)、十分に活動的な群(7.5以上)の3群に分類した。人口統計学的要因、BMI、生活様式、合併症、使用した薬剤で調整後、SARS-CoV-2感染およびCOVID-19による入院について、多変量ロジスティック回帰モデルを用いて非活動的な群とほかの2群とのオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。 主な結果は以下のとおり。・6万1,557人(平均年齢75.7歳[SD 6.4]、女性70.7%)が回答した。そのうち20.2%は非活動的、11.4%は不十分に活動的、68.5%は十分に活動的だった。・2022年5月までに、COVID-19の確定症例は5,890例、うち入院が626例だった。・非活動的な群と比較して、不十分に活動的な群は感染リスク(OR:0.96、95%CI:0.86~1.06)または入院リスク(OR:0.98、95%CI:0.76~1.28)に有意な減少はみられなかった。・一方、非活動的な群と比較して、十分に活動的な群は感染リスク(OR:0.90、95%CI:0.84~0.97)および入院リスク(OR:0.73、95%CI:0.60~0.90)に有意な減少がみられた。・サブグループ解析では、PAとSARS-CoV-2感染との関連は性別によって異なり、十分に活動的な女性のみが感染リスクが低下している傾向があった(OR:0.87、95%CI:0.79~0.95、相互作用p=0.04)。男性では関連がなかった。・新型コロナワクチン接種状況で調整後に解析した場合も、非活動的な群と比較して不十分に活動的な群は、感染と入院のORはほとんど変化しなかった。・新型コロナワクチンは、PAレベルに関係なく感染と入院のリスクを大幅に減少させた。感染リスクはOR:0.55、95%CI:0.50〜0.61、p<0.001、入院リスクはOR:0.37、95%CI:0.30~0.47、p<0.001。

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PCSK9阻害薬の処方継続率は?~国内レセプトデータ

 日本を含む諸外国で行われたさまざまな研究結果から、高コレステロール血症治療薬PCSK9阻害薬の使用は費用対効果が見合わないと結論付けられているが、果たしてそうなのだろうか―。今回、得津 慶氏(産業医科大学公衆衛生学 助教)らはPCSK9阻害薬の処方患者の背景や特徴を把握することを目的に、国内のレセプトデータを用いた後ろ向きコホート研究を行った。その結果、PCSK9阻害薬はエゼチミブと最大耐用量スタチンが併用処方された群と比較し、高リスク患者に使用されている一方で、PCSK9阻害薬を中断した患者割合は約45%と高いことが明らかになった。本研究結果は国立保健医療科学院が発行する保健医療科学誌2023年12月号に掲載された。 本研究は、国内3自治体の国民健康保険および後期高齢者医療制度の2015年4月~2021年3月のレセプトデータを用いて調査を行った。2016年4月~2017年3月の期間にPCSK9阻害薬が未処方で、2017年4月~2020年3月に初めてPCSK9阻害薬が処方された患者群を「PCSK9群」、同様の手法で抽出したエゼチミブと最大耐用量スタチンが併用処方された患者を「エゼチミブ最大耐用量スタチン併用群」とした。PCSK9阻害薬もしくはエゼチミブと最大耐用量スタチンが初めて処方された日を起算日とし、起算日より前12ヵ月間(pre-index期間)、起算日より後ろ12ヵ月間(post-index期間)に観察された生活習慣病(脂質異常症、糖尿病、高血圧症)治療薬の処方、心血管イベント(虚血性心疾患、心筋梗塞、脳梗塞、脳出血)や経皮的冠動脈インターベンション(PCI)および冠動脈バイパス術(CABG)などの実施状況について調査し、両群で比較した。また、post-index期間における3ヵ月以上の処方中断についても調査した。 主な結果は以下のとおり。・対象者はPCSK9群184例(平均年齢:74.0歳、男性:57.1%)、エゼチミブ最大耐用量スタチン併用群1,307例(平均年齢:71.0歳、男性:60.5%)だった。・起算日前後(pre-/post-index期間)の虚血性心疾患の診療・治療状況の変化を両群で比較すると、pre-index期間では有意な差はなかったが、post-index期間では、PCSK9群のほうが割合が高かった(85.3% vs.76.1%、p=0.005)。・PCIの実施割合は、起算日前後の両期間においてPCSK9群のほうがエゼチミブ最大耐用量スタチン併用群より有意に高かった(pre-index期間:40.8% vs.24.0%、p<0.001、post-index期間:13.6% vs.8.1%、p=0.014)。・処方中断率はPCSK9群では44.6%であったが、エゼチミブ最大耐用量スタチン併用群ではみられなかった。 研究者らは「因果関係までは言及できないものの、PCSK9阻害薬による治療が患者側の経済的負担になっていること、医療者側が高価な薬剤を予防目的に使用することを躊躇した可能性が示唆された」としている。

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減量で糖尿病が寛解すると心臓病と腎臓病のリスクが下がる

 減量によって2型糖尿病が寛解すると、心臓と腎臓の状態にもメリットがもたらされる可能性のあることが明らかになった。寛解期間が限られたものであっても心臓病のリスクは40%、腎臓病のリスクは33%低下し、寛解期間がより長ければ、より大きなリスク低下につながる可能性があるという。アイルランド王立外科医学院(RCSI)のEdward Gregg氏らの研究によるもので、詳細は「Diabetologia」に1月18日掲載された。同氏は、「本研究は、糖尿病の寛解と糖尿病関連合併症のリスクとの関連を検討した初の介入研究の結果であり、糖尿病の寛解を達成可能な状態にある人たちにとって心強いニュースだ」と話している。 この研究には、5,145人の2型糖尿病患者を、生活習慣への強力な介入を行う群と、教育的サポートのみを行う群に二分して合併症リスクを検討した「Look AHEAD研究」のデータが用いられた。Look AHEAD研究の参加者から、データ欠落者や減量・代謝改善手術が施行された患者、ベースライン時点で既に寛解状態にあった参加者を除外し、4,488人(平均年齢59歳、女性58%、BMI35.8、糖尿病罹病期間6年)を解析対象とした。 血糖降下薬を用いずにHbA1c6.5%未満を達成した場合を「寛解」と定義すると、12年間にわたる追跡期間中に全体の12.7%、強力な介入が行われた群では18.1%が、いずれかの時点で寛解の基準を満たしていた。寛解の達成は、糖尿病罹病期間が短く、ベースラインのHbA1cが低く、減量幅が大きい患者で高い傾向が観察された。 解析結果に影響を及ぼし得る交絡因子〔糖尿病罹病期間、ベースラインのHbA1c、血圧、心血管疾患(CVD)の既往〕を調整後、一度でも寛解に到達した患者は、その記録のない患者に比べて、慢性腎臓病(CKD)発症リスクが33%低く〔ハザード比(HR)0.67(95%信頼区間0.52~0.87)〕、複合CVDイベント(心血管死、非致死性心筋梗塞、非致死性脳卒中、狭心症による入院)リスクは40%低かった〔HR0.60(同0.47~0.79)〕。また、寛解期間が4年以上にわたっていた患者では、CKD発症リスクは55%低く〔HR0.45(0.25~0.82)〕、CVDイベントリスクは49%低かった〔HR0.51(0.30~0.89)〕。 一方、寛解の維持が困難であるという実情も示され、研究開始から8年目まで寛解が維持されていた患者は、全体のわずか約3%、強力な介入が行われた群でも約4%にすぎなかった。ただし、寛解の維持期間が短くても、CVDイベントリスクは有意に低下することも明らかになった。具体的には、寛解期間が1年未満であっても、一度も寛解に至らなかった患者に比べてリスクが34%低かった〔HR0.66(0.46~0.94)〕。なお、寛解期間が1年未満の場合のCKD発症リスクに関しては、交絡因子未調整モデルでは有意なリスク低下が観察されたが、交絡因子調整後は非有意だった。 Gregg氏は、「われわれの研究結果は、減量や糖尿病の寛解状態を維持することの困難さを再確認させるものだ。しかしその達成が、健康上のメリットにつながることを示すものでもある」とRCSI発のリリースで述べている。

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高齢になると糖尿病有病率が高くなる理由/順天堂大学

 加齢に伴うインスリン感受性と分泌の低下により、高齢者では糖尿病の有病率が高いことが知られている。一方で、インスリン感受性と分泌の両方が65歳以降も低下し続けるかどうかは、まだ解明されていなかった。この疑問について、順天堂大学大学院医学研究科代謝内分泌内科学の内藤 仁嗣氏らの研究グループは、65歳以降の糖代謝に対する加齢の影響を調査し、その決定因子を明らかにする研究を行った。その結果、高齢者では加齢に伴い、インスリン抵抗性が増加、膵β細胞機能が低下していることが明らかになった。Journal of the Endocrine Society誌オンライン版2023年12月20日号に掲載。内臓脂肪の蓄積などが関連する高齢者の糖尿病発症 本研究では、文京区在住高齢者のコホート研究“Bunkyo Health Study”に参加した65~84歳の糖尿病既往がなく、糖尿病の診断に用いられる検査である75g経口糖負荷検査(OGTT)のデータが揃っている1,438例を対象とした。 対象者全員に二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)による体組成検査、MRIによる内臓・皮下脂肪面積の測定、採血・採尿検査、75gOGTT、生活習慣に関連する各種アンケートを行い、5歳ごとに4群(65~69歳、70~74歳、75~79歳、80~84歳)に分け、各種パラメータを比較した。 主な結果は以下のとおり。・平均年齢は73.0±5.4歳、BMIは22.7±3.0kg/m2だった。・新たに糖尿病と診断された人の有病率は年齢とともに増加した。・食後初期のインスリン分泌を示す指標であるInsulinogenic indexや、血糖値に対するインスリン分泌指標である75gOGTT中のインスリン曲線下面積/血糖曲線下面積(AUC)は、各年齢群間で同等だった。・インスリン感受性の指標(Matsuda index)、膵β細胞機能の指標(Disposition index)は加齢とともに有意に低くなった。・加齢に伴う脂肪蓄積、とくに内臓脂肪面積(VFA)の増加、遊離脂肪酸(FFA)濃度の上昇が観察された。・重回帰解析により、Matsuda indexおよびDisposition indexとVFAおよびFFAとの強い相関が明らかになった。 研究グループでは、この結果から「高齢者において耐糖能が加齢とともに低下するのは、加齢によるインスリン抵抗性の増加および膵β細胞の機能低下によるもので、それらは内臓脂肪蓄積やFFA値上昇と関連する」としている。

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週1回投与の肥満症治療薬「ウゴービ」を発売/ノボ ノルディスク

 ノボ ノルディスク ファーマは、肥満症を適応症としたヒトグルカゴン様ペプチド1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチド(商品名:ウゴービ皮下注)を2024年2月22日に発売した。 セマグルチドは、週1回皮下投与のGLP-1受容体作動薬で、空腹感を軽減し、満腹感を高めることで、食事量を減らし、カロリー摂取量を抑え、体重減少を促す。 本剤は約4,700例の過体重または肥満の成人が参加した「STEP臨床試験プログラム」の結果に基づき、2023年3月27日に製造販売承認を取得した。 STEP臨床試験プログラムは、肥満の成人を対象としたセマグルチド皮下注2.4mgSDの週1回皮下投与による第III相臨床開発プログラム。過体重または肥満の成人約4,700例を登録した4つの試験で構成される第IIIa相グローバル臨床プログラムに加え、肥満症の成人を登録した東アジア試験(STEP6試験)などが実施された。 とくに日本人585例が参加したSTEP6試験では、生活習慣の改善(食事療法および運動療法)だけでは十分な減量効果が得られない過体重または肥満の成人において、投与68週時に13%以上の体重減少を達成した。また、肥満に関連する合併症(2型糖尿病、高血圧、脂質異常症)についても、セマグルチド皮下注2.4mgSDの投与による血糖、血圧および脂質パラメータの改善が認められた。 現在、わが国には約1,600万例の肥満症患者が推定される一方、医師により肥満症と診断されている人は、そのうちの2.1%(33万例)に止まっており、今後の医療現場での活用が期待されている。 そのほか、同社は、糖尿病の治療で使用されているGLP-1製剤が、近年、美容目的で不適正使用されていることに関し、注意を喚起するとともに、本剤は厚生労働省の最適使用推進ガイドラインに従い、確実な適正使用の推進を目指し、活動するとしている。【製品概要】一般名:セマグルチド(遺伝子組換え)販売名:ウゴービ効能または効果:肥満症ただし、高血圧、脂質異常症または2型糖尿病のいずれかを有し、食事療法・運動療法を行っても十分な効果が得られず、以下に該当する場合に限る。・BMIが27kg/m2以上であり、2つ以上の肥満に関連する健康障害を有する・BMIが35kg/m2以上用法および用量:通常、成人には、セマグルチド(遺伝子組換え)として0.25mgから投与を開始し、週1回皮下注射する。その後は4週間の間隔で、週1回0.5mg、1.0mg、1.7mgおよび2.4mgの順に増量し、以降は2.4mgを週1回皮下注射する。なお、患者の状態に応じて適宜減量する。薬価:ウゴービ皮下注0.25mg:1,876円/キットウゴービ皮下注0.5mg:3,201円/キットウゴービ皮下注1.0mg:5,912円/キットウゴービ皮下注1.7mg:7,903円/キットウゴービ皮下注2.4mg:1万740円/キット薬価収載日:2023年11月22日発売日:2024年2月22日製造販売元:ノボ ノルディスク ファーマ株式会社

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