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医師の「スーツ」事情、所持数や予算は?/医師1,000人アンケート

 ビジネスパーソンにとってユニフォーム的な存在である「スーツ」。一方、医師の仕事着といえば白衣のイメージがあるが、実際には勤務中に何を着ているのか?スーツを着る機会はいつなのか?ケアネット会員の男性医師を対象に、仕事中の服装やスーツの所有状況などについてアンケート形式で聞いた。対象:ケアネット会員の男性医師1,008人(30代以下、40代、50代、60代以上の年代別で各252人)実施日:2024年10月30日診療中の服装、若手ほどスクラブ派が多数、ベテランはワイシャツ&白衣派も 「Q1. 診察中の服装として、最も多い服装は?」(単一回答)との質問では、「スクラブのみ」「スクラブ&白衣」が同率の27%だった。とくに30代以下の若手医師では7割以上が「スクラブのみ」もしくは「スクラブ+白衣派」だった。一方、ベテランになると「ケーシー」や「スラックス+ワイシャツ(=スーツのジャケットなしの服装)&白衣」という回答が増えた。年配の医師は開業している割合が高く、検査や手技をする機会が限られる、手術を行う機会が減る、といった事情も影響していそうだ。実際、「スラックス+ワイシャツ&白衣」の回答は20床未満の診療所の勤務者で最も多かった(16%)。「その他」の回答としては外科系の医師を中心に「術衣」「術衣+白衣」との回答が目立った。スーツを着るのは「学会参加時」、所有数は3着以内が7割 「Q2. 勤務中にスーツを着るシチュエーションを挙げてください」(複数回答)との質問には「学会に参加するとき」が751人(75%)と最多となった。その後には「講演をするとき」が528人(52%)、「会食・パーティ」が289人(29%)などとなった。一方で、「着る機会はない」「ほぼない」との回答も複数あった。 「Q3. 現在、スーツを何着持っていますか?」(数値で回答)との質問には、平均3.4着、中央値2着という結果だった。0着12人(1%)、1着156人(16%)、2着337人(34%)、3着202人(20%)と3着以内で7割、以後4着95人(9%)、5着101人(10%)と5着以内で9割を占めた。一方で、「50着」「30着」という回答もあった。購入場所は量販店が半数、予算は年齢が上がるにつれ変化 「Q4. 通常、スーツをどこで買うことが最も多いですか?」との質問には洋服の青山、スーツセレクトなどのスーツ量販店が最多で半数近く(47%)を占め、続いてデパート・ブランド店(39%)だった。「Q5. スーツ1着(上下一式)のおおよその予算はいくらですか?」への回答では全体では「5~8万円台」が最多で32%、続いて「2~4万円台」が30%だった。年齢が上がるにつれ量販店での割合が減る一方で、デパート・ブランド店やオーダースーツ専門店の割合が上がり、同時に1着当たりの予算も上がる傾向があった。1着当たりの予算が2万円以下とした人は20代では13%だったが、60代では6%と半分以下に減り、一方で5~8万円台との回答は20代で28%だったが、60代以上では42%に増え、9万円以上との回答者も35%存在した。機能性重視が大半だが、オーダーメイドへの憧れの声も 最後に「Q6.スーツに対する思いや要望」を自由回答で聞いたところ、「動きやすいものがいちばん」(消化器内科・20代)、「洗濯がしやすいもの」(循環器内科・40代)、「伸縮性の良いもの」(循環器内科・40代)、「ポケットがめちゃくちゃ多いもの」(消化器外科・60代)など、機能面の要望に集中した。とくに「学会出張時、シワになりにくい」(糖尿病・代謝・内分泌内科・30代)との回答は多数あった。「内科とはいえ処置の機会が多いため、季節を問わず常に半袖のケーシー。スーツ着用の機会はほとんどないので、とにかく安いものが良い」(内科・60代)といった実用的な回答が目立った。 一方で、「イタリアンスタイルが体格に合う」(内科・60代)、「ずっとアルマーニに決めている」(循環器内科・60代)、「普段は着ないので、着る時は楽しみたい。オーダースーツは裏地もこだわることができるし、生地を決めている時も楽しい」(循環器内科・30代)という、“スーツこだわり派”からの回答もあった。「オーダーメイドスーツを作りたいが敷居が高い」(糖尿病・代謝・内分泌内科・30代)という回答も10人近くから寄せられており、「状況が許せばオーダースーツに挑戦したい」という層も一定数いるようだ。アンケート結果の詳細は以下のページで公開中。スーツに関するアンケート/医師1,000人アンケート

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時間制限食でメタボ該当者のHbA1cが有意に低下

 メタボリックシンドローム(MetS)該当者の食事療法に時間制限食を用いることで、標準的な食事療法よりもHbA1cが有意に低下したとする研究結果が報告された。米ソーク生物学研究所のEmily N.C. Manoogian氏らの研究によるもので、詳細は「Annals of Internal Medicine」に10月1日掲載された。 時間制限食(time-restricted eating;TRE)は、1日の中でエネルギー量のある飲食物を摂取可能な時間帯を限定し、少なくとも14時間以上はエネルギーを摂取しないという食事療法。一方、摂取を禁止する時間帯以外はエネルギー量を考えず自由な飲食が可能で、総摂取量の増大が許容されることもある。この手軽さから人気が高まりつつあり、また減量や心代謝関連マーカーの改善につながるとする研究報告が増えているものの、まだ評価は確立されていない。 Manoogian氏らは、心代謝関連マーカーに対するTREの有用性を、標準的な食事療法と比較するランダム化比較試験を実施した。研究参加者は、空腹時血糖値高値またはHbA1c高値を含む代謝異常を呈している成人のMetS該当者。無作為にTRE群と標準的食事療法群(対照群)に割り付け、3カ月間の介入を行った。なお、食事療法の有用性を検討する場合、薬物療法施行中の患者は対象から除外することが多いが、本研究では対象に含めた。著者らは、これによって「薬物療法にTREを上乗せすることのメリットも検討し得た初の研究となった」としている。 介入に際して、TRE群では個人の起床/就床パターンを把握した上で、摂食可能時間が4時間以上短縮されるように個別に設定。その結果、起床1時間後から就床3時間前までの間の8~10時間が摂食可能時間として設定された。介入期間中の遵守状況は、スマートフォンのアプリを用いてリアルタイムで追跡された。研究参加者全員が標準的な治療を継続し、食事に関しては地中海式ダイエットに関する栄養カウンセリングが行われた。 研究参加者の89%に当たる108人が介入を終了した。ベースライン時点の主な特徴は、平均年齢59歳、女性56人、BMI31.22、摂食時間14.19時間だった。年齢の影響を調整後、介入後のTRE群のHbA1cは対照群に対して-0.10%(95%信頼区間-0.19~-0.003)であり、有意差が認められた。また、体重、BMI、腹部体幹脂肪(abdominal trunk fat)の低下幅も、対照群より3~4%多かった。減量時の一般的な懸念材料の一つである、除脂肪体重の有意な低下は認められなかった。全体として、重大な有害事象は報告されなかった。 著者らは、「個別化されたTREは成人MetS該当者の高血糖改善につながり、心代謝系の健康に広範なメリットをもたらす可能性のある、実践的なライフスタイル介入と言える」と述べている。

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脳卒中の重症度を高める3つのリスク因子とは?

 喫煙、高血圧、心房細動の3つのリスク因子は、脳卒中リスクだけでなく、脳卒中の重症度を高める可能性のあることが、新たな研究により明らかになった。ゴールウェイ大学(アイルランド)老年医学分野のCatriona Reddin氏らによるこの研究の詳細は、「Neurology」に11月13日掲載された。 Reddin氏は、「脳卒中は、障害や死にさえつながる可能性があるが、生活習慣の是正や薬物療法により改善できるリスク因子は数多くある。われわれの研究結果は、障害を伴う重度の脳卒中を予防するためには、さまざまな脳卒中のリスク因子の中でも特に、高血圧、心房細動、喫煙の管理が重要であることを強調するものだ」と述べている。 今回の研究でReddin氏らは、世界32カ国で募集された患者を対象に、初発の急性脳卒中のリスク因子について検討した国際的な症例対照研究(INTERSTROKE)のデータを用いて、脳卒中のリスク因子が重症度にどのように影響するのかを検討した。対象は、急性脳卒中を発症した1万3,460人と発症していない1万3,488人の計2万6,948人(平均年齢61.74歳、男性59.58%)、検討した脳卒中のリスク因子は、高血圧(140/90mmHg以上)、心房細動、糖尿病、高コレステロール、喫煙、飲酒、食事の質、運動不足、心理的・社会的ストレス、ウエストヒップ比であった。対象者の脳卒中の重症度をmRS(修正ランキンスケール)で評価したところ、4,848人(36.0%)が重度の脳卒中(4〜6点)に該当し、残りの8,612人(64.0%)は非重度(軽度〜中等度)の脳卒中(0〜3点)であった。重度の脳卒中の発症者は、介助なしでは歩くことや身の回りのことができなくなり、生涯にわたって継続的な介護が必要になる場合が多いと研究グループは説明する。 年齢、性別、国籍、脳卒中のタイプで調整して解析した結果、高血圧に罹患していた人では正常血圧の人に比べて、重度の脳卒中の発症リスクが3.2倍(オッズ比3.21、95%信頼区間2.97〜3.47)、軽度から中等度の脳卒中の発症リスクが2.9倍(同2.87、2.69〜3.05)高いことが明らかになった。また、心房細動のある人ではない人に比べて、同リスクがそれぞれ4.7倍(同4.70、4.05〜5.45)と3.6倍(同3.61、3.16〜4.13)、喫煙者は非喫煙者に比べて同リスクがそれぞれ1.9倍(同1.87、1.72〜2.03)と1.7倍(同1.65、1.54〜1.77)高いことも示された。 こうした結果を受けてReddin氏は、「われわれの研究結果は、高血圧を管理することの重要性を明示している。高血圧は、世界的に見ても脳卒中の修正可能なリスク因子の中で最も重要だ」と述べている。同氏はさらに、「高血圧の管理は、特に、若年層での高血圧と脳卒中の発症率が急増している低・中所得国において重要だ」と付言している。

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CKDの早期からうつ病リスクが上昇する

 腎機能低下とうつ病リスクとの関連を解析した結果が報告された。推定糸球体濾過量(eGFR)が60mL/分/1.73m2を下回る比較的軽度な慢性腎臓病(CKD)患者でも、うつ病リスクの有意な上昇が認められるという。東京大学医学部附属病院循環器内科の金子英弘氏、候聡志氏らの研究によるもので、詳細は「European Journal of Clinical Investigation」に9月27日掲載された。 末期のCKD患者はうつ病を併発しやすいことが知られており、近年ではサイコネフロロジー(精神腎臓学)と呼ばれる専門領域が確立されつつある。しかし、腎機能がどの程度まで低下するとうつ病リスクが高くなるのかは分かっていない。金子氏らは、医療費請求データおよび健診データの商用データベース(DeSCヘルスケア株式会社)を用いた後ろ向き観察研究により、この点の検討を行った。 2014年4月~2022年11月にデータベースに登録された患者から、うつ病や腎代替療法の既往者、データ欠落者を除外した151万8,885人を解析対象とした。対象者の年齢は中央値65歳(四分位範囲53~70)、男性が46.3%で、eGFRは中央値72.2mL/分/1.73m2(同62.9~82.2)であり、5.4%が尿タンパク陽性だった。 1,218±693日の追跡で4万5,878人(全体の3.0%、男性の2.6%、女性の3.3%)にうつ病の診断が記録されていた。ベースライン時のeGFR別に1,000人年当たりのうつ病罹患率を見ると、90mL/分/1.73m2以上の群は95.6、60~89の群は87.4、45~59の群は102.1、30~44の群は146.5、15~29の群は178.6、15未満の群は170.8だった。 交絡因子(年齢、性別、BMI、喫煙・飲酒・運動習慣、高血圧・糖尿病・脂質異常症)を調整後に、eGFR60~89の群を基準として比較すると、他の群は全てうつ病リスクが有意に高いことが示された。ハザード比(95%信頼区間)は以下のとおり。eGFR90以上の群は1.14(1.11~1.17)、45~59の群は1.11(1.08~1.14)、30~44の群は1.51(1.43~1.59)、15~29の群は1.77(1.57~1.99)、15未満の群は1.77(1.26~2.50)。また、尿タンパクの有無での比較では、陰性群を基準として陽性群は1.19(1.15~1.24)だった。 3次スプライン曲線での解析により、eGFRが65mL/分/1.73m2を下回るあたりからうつ病リスクが有意に上昇し始め、eGFRが低いほどうつ病リスクがより高くなるという関連が認められた。 これらの結果に基づき著者らは、「大規模なリアルワールドデータを用いた解析の結果、CKDの病期の進行とうつ病リスク上昇という関連性が明らかになった。また、早期のCKDであってもうつ病リスクが高いことが示された。これらは、CKDの臨床において患者の腎機能レベルにかかわりなく、メンタルヘルスの評価を日常的なケアに組み込む必要のあることを意味している」と総括。また、「今回の研究結果は、サイコネフロロジー(精神腎臓学)という新たな医学領域の前進に寄与すると考えられる」と付け加えている。 なお、eGFRが90以上の群でもうつ病リスクが高いという結果については、「本研究のみではこの理由を特定することは困難だが、CKD早期に見られる過剰濾過との関連が検出された可能性がある」と考察されている。

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ターナー症候群〔TS:Turner syndrome〕

1 疾患概要ターナー症候群(Turner syndrome:TS)は染色体の核型45,Xを基本として多彩な核型を示す表現型は女性の性染色体異常症である。X染色体の一部または全体が欠失(機能的な欠失も含む)することによって発症する。45,XのX染色体モノソミー、i(Xq)、Xp-、Yp-などの構造異常や、性染色体の関連するさまざまなモザイクがある。■ 症状表現形は女性で、基本症状としては、(1)低身長と(2)性腺異形成に伴う卵巣機能不全で、これらに加えて個々に(3)心疾患、(4)翼状頸、(5)盾状胸、(6)腎疾患などを合併することがある。上記の臨床症状があって、通常の染色体検査(G分染法)でX染色体短腕遠位部を含む染色体異常があれば、ターナー症候群と診断される。臨床症状と染色体異常の両方あることが診断に必要である。一般的に知的障害は伴わないが、学習障害や社会的スキルの発達に困難な例がみられる。発症頻度は出生女児の1,000人に1人程度とされている。原則として遺伝することはない。2 診断 (検査・鑑別診断も含む)ターナー症候群の診断は、上記の身体的特徴、とくに低身長と無月経などの症状に基づいて行われる。小児期には症状が揃っていないことから、低身長で疑われることがほとんどである。小児期に原因不明の低身長を示す女性は、染色体検査の対象となる。ターナー症候群は、出生した時点で疾患自体は確定しているが、症状は出生時からみられるものと、思春期以降の年齢になるまで明らかにならないケースもあるため、診断時期が小児期を逃すと、次の診断時期は思春期で、原発性無月経を主訴に受診した際となる。思春期に原発性無月経で受診した際の診断のアルゴリズムを図に示す。図 原発性無月経の診断アルゴリズム(日本産婦人科医会 研修ノート No.106 思春期のケア(3)原発性無月経の診断2021年.より引用)画像を拡大する確定診断には染色体検査が必要である。末梢血リンパ球染色体分析が基本的な染色体検査である。通常のG分染法でよいが、複雑な構造異常がみられる場合などでは、高精度分染法などを追加する必要がある。これは卵巣形成不全が出現する思春期まで待っていては診断が遅れるからである。なお、症状が典型的なターナー症候群で、末梢血のリンパ球染色体で46,XYが検出される場合には、口腔粘膜などを用いた染色体検査で45,Xがみつかるようなケースもある。通常の染色体検査で診断困難な複雑な染色体異常では、マイクロアレイ法やFISH法、whole chromosome painting(WCP)解析などで、詳しい情報が得られることもある。また、胎児のターナー症候群は、健常な妊婦が出生前遺伝学的検査を受けた場合に、偶発的にみつかることもある。ただ、胎児がターナー症候群の核型を示す場合は高率(99%)に流産する。3 治療 (治験中・研究中のものも含む)ターナー症候群の治療は、症状や合併症に応じて個別に行われる。成長ホルモン療法は小児期の低身長の改善を目的に実施される。第二次性徴が現れないなどで思春期に入ってから診断された場合は、エストロゲン補充療法が行われる。原発性無月経の場合には妊娠は困難である。ただ、原発性無月経ではなくて、初経があれば妊娠することもあるが、流産率や胎児の染色体異常の可能性は健常女性に比較して高くなる。成人期には心臓や腎臓の合併症については、個別に早期発見と管理・治療が必要である。染色体異常にY染色体が含まれる場合は、精巣由来の性腺が含まれる可能性があり、その場合はがん化のリスクがあるため、性腺切除を考慮する。4 今後の展望近年の研究により、ターナー症候群の理解と治療が進展している。ターナー症候群の原因は完全に解明されてはいないが、X染色体の短腕の欠失部位に存在するSHOX遺伝子が関連することが報告されている。SHOX遺伝子の欠失により各細胞では同遺伝子を2コピーではなく、1コピーしか持っていない。これにより産生されるSHOXタンパク質の量が減少し、このタンパク質の不足が本症の女性によくみられる低身長と骨格の異常(手首と肘の関節の異常な回転など)の一因となる可能性がある。こうした知見に基づき、遺伝子治療や新しいホルモン療法の開発が期待されている。一方で生活の質を向上させるための支援や心理的サポートや教育支援など、患者の全体的なケアが重要視されている。本症の女性の妊娠については、わが国ではまだ一般的ではないが、海外では第三者からの卵子提供や胚提供により妊娠が可能である。また、初経があれば、早発卵巣不全となる前の段階で、卵子凍結を行って、体外受精により妊娠することも理論上は可能である。5 主たる診療科ターナー症候群の治療は、以下の診療科で行われる。小児科:子供の成長や発達を管理産婦人科:生殖機能の管理と治療内分泌科:とくに成人期以降のホルモン療法や成長管理遺伝科:遺伝カウンセリングと染色体検査循環器科:心臓の異常に対する治療腎臓内科:腎臓の異常に対する治療※ 医療機関によって診療科目の区分は異なることがあります。6 参考になるサイト(公的助成情報、患者会情報など)診療、研究に関する情報小児慢性特定疾病情報センター ターナー(Turner)症候群(公的助成制度の情報:一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)遺伝性疾患プラス ターナー症候群(一般利用者向けと医療従事者向けのまとまった情報)日本内分泌学会 ターナー症候群(一般利用者向けのまとまった情報)日本小児内分泌学会 低身長(一般利用者向けのまとまった情報)患者会情報club-turner.jp 全国のターナー症候群の家族会の一覧(全国に多数あるターナー症候群患者会の情報)1)岡田義昭 監修. 新版ターナー症候群. メディカルレビュー社;2001.2)Gravholt CH, et al. Nat Rev Endocrinol. 2019;15:601-614.3)Aly J, et al. Curr Opin Pediatr. 2022;34:447-460.4)日本産婦人科医会 研修ノート No.106 思春期のケア(3)原発性無月経の診断2021年.公開履歴初回2024年12月5日

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便失禁を起こしやすい患者とは?便失禁診療ガイドライン改訂

 日本大腸肛門病学会が編集を手掛けた『便失禁診療ガイドライン2024年版改訂第2版』が2024年10月31日に発刊された。2017年に発刊された初版から7年ぶりの改訂となる。今回、便失禁の定義や病態、診断・評価法、初期治療から専門的治療に至るまでの基本的知識がアップデートされ、新たに失禁関連皮膚炎や出産後患者に関する記載が拡充された。また、治療法選択や専門施設との連携のタイミングなど、判断に迷うテーマについてはClinical Question(CQ)で推奨を示し、すべての医療職にとっての指針となるように作成されている。 便失禁の定義とは「無意識または自分の意思に反して肛門から便が漏れる症状」である。このほかに「無意識または自分の意思に反して肛門からガスが漏れる症状」をガス失禁、便失禁とガス失禁を合わせて肛門失禁と定義される。国内での有病率について、65歳以上での便失禁は男性8.7%、女性6.6%である。一方、ガス失禁を含む肛門失禁は34.4%であるが、男性15.5%に対して女性42.7%と性差が見られる。主な便失禁の発症リスク因子として、年齢・性別などの身体的条件や産科的条件に加え、BMIが30を超える肥満、全身状態不良、身体制約などが報告されている。また、過敏性腸症候群や炎症性腸疾患、糖尿病、過活動膀胱、骨盤臓器脱、認知症や脊髄損傷といった疾患もリスク因子となる。直腸がんも便失禁の原因になりうるが、とくに直腸がんに対する肛門温存手術後の排便障害である低位前方切除後症候群の発生率は高率で、主訴の直腸がんが根治した後に排便障害を抱えて生活している患者は増加傾向であるという。 このような病態背景があるなか、本診療ガイドラインは「便失禁診療・ケアを普及することで、便失禁症状を改善し、便失禁を有する患者の生活の質の改善」を目的として、便失禁の診断・治療とともに便失禁の程度とその状態の評価、便失禁に伴う皮膚症状や生活の質への評価と対応、寝たきりとなっている患者への介護などの側面からも捉え、8つの重要臨床課題と5つのClinical Question(CQ)が設定されている。<重要臨床課題>(1)便失禁の臨床評価(2)特殊病態の臨床評価(3)治療方針決定に必要な検査(4)食事・生活・排便習慣指導の有用性(5)薬物療法の適応と有用性(6)骨盤底筋訓練・バイオフィードバック療法の適応と有用性(7)洗腸療法の適応と有用性(8)手術療法の適応と有用性<Clinical Question>CQ1:便失禁の薬物療法において、ポリカルボフィルカルシウムとロペラミド塩酸塩はどのように使い分けるか?CQ2:出産後に便失禁が発症した場合、専門施設への最適な紹介時期はいつか?CQ3:分娩時肛門括約筋損傷の既往を有する妊婦の出産方法として、経腟分娩と帝王切開のどちらが推奨されるか?CQ4:肛門括約筋断裂による便失禁に対して、肛門括約筋形成術と仙骨神経刺激療法のどちらを先行すべきか?CQ5:脊髄障害を原因とする便失禁の治療法として、仙骨神経刺激療法は有用か? なお、日本大腸肛門病学会は本ガイドラインの使用について、便失禁を診療する医師だけではなくケアを行う介護者や一般市民も想定しており、便失禁診療の一助となることを願っているという。

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世界の糖尿病罹患率、日本の女性が低下し世界最低群に/Lancet

 英国・インペリアル・カレッジ・ロンドンのBin Zhou氏らNCD Risk Factor Collaboration(NCD-RisC)は、200の国と地域における1990~2022年の糖尿病の罹患率と治療動向を調べ、ほとんどの国、とくに低所得国と中所得国では、罹患率の上昇に比べて糖尿病治療率(糖尿病治療薬を使用している患者の割合)はまったく増えていないか、十分には増えていないことを示した。糖尿病はプライマリケアレベルでの検出が可能で、また効果的な治療により合併症リスクを低減できるが、糖尿病治療の実態と、それがどのように変化しているのかについて十分なデータはなかった。Lancet誌2024年11月23日号掲載の報告。18歳以上1億4,100万例が参加した試験1,108件のデータを解析 対象は、18歳以上の空腹時血糖値(FPG)、糖化ヘモグロビン(HbA1c)、糖尿病治療に関する情報が収集された1億4,100万例であった。国・地域を代表する集団を対象に含む研究(population-representative study)1,108件のデータを用いて行われた。 「糖尿病」の定義は、FPGが7.0mmol/L以上、HbA1cが6.5%以上、または糖尿病治療薬を服用していることとし、「糖尿病治療」の定義は、糖尿病の治療薬を使用している糖尿病患者の割合とした。 ベイジアン階層メタ回帰モデルによりデータを解析し、糖尿病の罹患率と治療率を推算。結果報告では、それらの変化の事後確率が0.80超であった国の数を示した。罹患率は低所得国と中所得国で15~22%ポイント上昇 2022年において、推定8億2,800万例(95%信用区間[CrI]:7億5,700万~9億800万)の成人(18歳以上)が糖尿病を有しており、1990年から6億3,000万例(5億5,400万~7億1,300万)増加した。年齢標準化糖尿病罹患率は、女性13.9%(95%CrI:12.3~15.8)、男性14.3%(12.5~16.4)であった。 1990~2022年に年齢標準化糖尿病罹患率が上昇(事後確率0.80超)したのは、女性については131ヵ国、男性については155ヵ国であった。うち、最も上昇幅が大きかった(15~22%ポイント)のは東南アジア諸国(マレーシアなど)、南アジア諸国(パキスタンなど)、中東および北アフリカ諸国(エジプトなど)、中南米・カリブ海諸国(ジャマイカ、トリニダード・トバゴ、コスタリカなど)の低所得国および中所得国であった。 年齢標準化糖尿病罹患率が上昇または低下のいずれもみられなかったのは、女性では66ヵ国、男性では44ヵ国であった。そのほとんどは中央・西ヨーロッパ諸国(デンマーク、オランダなど)、サハラ以南のアフリカ諸国(エチオピア、マラウイなど)、東アジア・太平洋諸国(シンガポールなど)、カナダ、および1990年にすでに罹患率が高かったポリネシア諸国やミクロネシア諸国の多数の島しょ国であった。日本の罹患率は女性のみ低下がみられ、2022年は世界の最低群に位置 低下(事後確率0.80超)がみられたのは、日本(女性のみ)、スペイン、フランスで、1~2%ポイントの低下であった。また、ナウル(男性)は1990年に30.7%ポイントと高かったが、7%ポイント低下していた。 2022年の糖尿病罹患率が世界で最も低かったのは、西ヨーロッパ諸国と東アフリカ諸国の男女、日本およびカナダの女性であった。一方、最も高かった国は、ポリネシア諸国、ミクロネシア諸国、カリブ海諸国(トリニダード・トバゴ、ジャマイカなど)、中東および北アフリカ諸国(エジプトなど)、パキスタン、マレーシアであった。治療率は世界の30歳以上糖尿病患者の59%が未治療 2022年において、糖尿病成人患者(30歳以上)の59%に当たる4億4,500万例(95%CrI:4億100万~4億9,600万)が治療を受けていなかった。未治療者数は1990年の3.5倍に当たる。 1990~2022年に、糖尿病治療率が上昇(事後確率0.80超)したのは、女性については118ヵ国、男性については98ヵ国であった。うち、最も治療率が改善したのは、中央・西ヨーロッパ諸国、中南米諸国(メキシコ、コロンビア、チリ、コスタリカ)、カナダ、韓国、ロシア、セーシェル、ヨルダンであった。一方、サハラ以南のアフリカ諸国、カリブ海諸国、太平洋諸島国、南・南東・中央アジア諸国のほとんどの国では、治療率の上昇はみられなかった。 2022年において、年齢標準化治療率はサハラ以南のアフリカ諸国と南アジア諸国で最も低く、一部のアフリカ諸国の治療率は10%未満であった。一方、韓国、多くの高所得の西側諸国と中央・東ヨーロッパ諸国の一部(ポーランド、チェコ、ロシアなど)、中南米諸国(コスタリカ、チリ、メキシコなど)、中東・北アフリカ諸国(ヨルダン、カタール、クウェートなど)の治療率は55%以上であった。 これらの結果を踏まえて著者は、「糖尿病および未治療の糖尿病による負荷は、低所得国と中所得国でますます重くなっている。糖尿病の早期発見と効果的な治療を強化するための医療サービスを再編・供給する糖尿病プログラムと共に、健康保険制度およびプライマリヘルスケアの拡充を図るべきである」と述べている。

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運動習慣のある人でも座りすぎは心臓に良くない

 座っている時間が長いと、たとえ推奨される最低限の運動を行っていたとしても、心臓に悪い影響が生じることを示唆するデータが報告された。ただし、より高強度の運動を加えることで、そのリスクをある程度抑制できる可能性があるという。米コロラド大学ボルダー校のChandra Reynolds氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に9月11日掲載された。同氏は、「仕事の後に少し歩く程度では、心臓の健康にとって十分ではないかもしれない」と述べている。 この研究は、米国コロラド州で行われている二つの疫学研究の参加者1,327人(平均年齢33.2±4.9歳〔範囲28~49〕、女性53%)を対象に行われた。研究参加者の年齢が比較的若いことに関連して、論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学リバーサイド校のRyan Bruellman氏は、「若者は自分には加齢の影響が生じ始めていると全く考えていないことが多い。しかし後々の健康にとっては、人生のこの時期に何をするかが重要だ」と語っている。 研究参加者の1日の座位行動時間は平均8.58時間だったが、中には16時間に及ぶ人も含まれていた。運動時間については、平均的に1週間あたり80~160分の中強度運動、135分未満の高強度運動をしている人が多く、これらは米国の全国平均よりも運動習慣が良好な集団であることを示していた。 この研究では、BMI、および、総コレステロールを善玉コレステロール(高比重リポ蛋白コレステロール)で除した値(TC/HDL-C比)という二つの指標を、心臓の健康状態を推測するために利用した。解析対象全体の平均は、BMIが26.9±6.1で、TC/HDL-C比は3.3±0.9だった。 解析の結果、座位行動時間が長い人ほど、これらの評価指標が悪いことが明らかになった。一般的に推奨される最低限の運動量である、1日に約20分の中強度の運動を満たしていたとしても、座位行動時間が長いことによる心臓への悪影響は、十分に抑制されていないと考えられた。 しかし、1日30分以上の高強度の運動、例えばランニングやサイクリングを加えると、座位行動時間が長いことによる心臓への悪影響を、ある程度抑制できる可能性が示された。例えば35歳で1日の座位行動時間が4時間ながら、毎日30分以上の高強度運動をしている人のTC/HDL-C比は、性別にかかわらず、座位行動時間が同じで高強度運動をしていない30歳の人と同レベルだった。つまり、高強度運動を加えることには、5歳程度の若返り効果があると推測された。 研究者らは、座位行動時間が長くなりがちな人に向けたアドバイスとして、職場でスタンディングデスクを使用したり、毎日30分以上の高強度運動をしたり、土日に“週末戦士”として高強度のトレーニングを集中して行うことなどを提案している。

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CKDステージ3への尿酸降下薬、尿酸値6未満達成でCKD進展抑制か

 高尿酸血症は慢性腎臓病(CKD)患者で高頻度にみられる。高尿酸血症を有するCKD患者に対する尿酸低下療法については、『高尿酸血症・痛風の治療ガイドライン第3版』では、腎機能を抑制する目的に尿酸降下薬を用いることが条件付きで推奨されている1)。また、『エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023』では、保存期CKD患者に対する尿酸低下療法について、「腎機能悪化を抑制する可能性があり、行うことを考慮してもよい」とされている2)。しかし、CKD患者における血清尿酸値の管理目標に関する無作為化比較試験は存在しない。中国・中南大学のYilun Wan氏らの研究グループは、英国のデータベース(IQVIA Medical Research Data[IMRD])を用いて、痛風を有するCKDステージ3の患者への尿酸低下療法について、血清尿酸値6.0mg/dL未満達成の有無別に腎機能への影響を検討した。その結果、血清尿酸値6.0mg/dL未満達成群は、非達成群と比較して腎機能障害の進展が増加せず、むしろ抑制される可能性が示された。本研究結果は、JAMA Internal Medicine誌オンライン版2024年11月25日号で報告された。 本研究の対象は、IMRDに登録された40~89歳の痛風を有するCKDステージ3(eGFR 30~60mL/min/1.73m2が3ヵ月以上持続、またはCKDステージ3の診断記録を有する)で、尿酸降下薬による治療を受けた患者1万4,792例であった。対象患者を尿酸降下薬開始から1年以内の血清尿酸値6.0mg/dL未満の達成の有無で分類し(達成群/非達成群)、腎機能への影響を検討した。両群の比較にはtarget trial emulationのデザインを用いた。target trial emulationの手法として、cloning-censoring-weighting法を用いて、達成群と非達成群を比較した。評価項目は腎機能高度低下または末期腎不全(eGFR 30mL/min/1.73m2未満が3ヵ月以上持続、またはCKDステージ4/5、血液透析、腹膜透析、腎移植のいずれかの診断記録を有する)とした。 主な結果は以下のとおり。・対象患者の年齢(平均値±標準偏差[SD])は73.1±9.5歳で、男性は62.3%(9,215例)であった。ベースライン時の血清尿酸値、eGFR(いずれも平均値±SD)は、それぞれ8.9±1.6mg/dL、49.9±12.3mL/min/1.73m2であった。・尿酸降下薬の内訳は、アロプリノールが98.8%(1万4,615例)、フェブキソスタットが1.2%(177例)であった。・尿酸降下薬開始から1年以内に血清尿酸値6.0mg/dL未満を達成した割合は31.8%(4,706例)であった。・追跡開始から5年間の腎機能高度低下または末期腎不全の発生率は、達成群が10.32%、非達成群が12.73%であり、調整リスク差は-2.41%(95%信頼区間[CI]:-4.61~-0.21)、ハザード比(HR)は0.89(95%CI:0.80~0.98)であった。・末期腎不全の発生率は、達成群が0.6%、非達成群が1.2%であり、調整リスク差は-0.63%(95%CI:-0.94~-0.32)、HRは0.67(95%CI:0.46~0.97)であった。 本研究結果について、著者らは「痛風を有するCKD患者において、血清尿酸値6.0mg/dL未満を目標とする尿酸低下療法は、忍容性が良好であり、CKDの進展を抑制する可能性も示された」と考察し、「痛風を有するCKD患者の治療において、血清尿酸値の目標値を達成するために、尿酸降下薬による治療を最適化することを支持するものである」とまとめた。

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ビタミンDサプリで肥満高齢者の血圧低下

 高齢の肥満者がビタミンDサプリメントを摂取すると、血圧を下げられる可能性のあることが報告された。ただし、推奨される量よりも多く摂取したからといって、上乗せ効果は期待できないようだ。ベイルート・アメリカン大学医療センター(レバノン)のGhada El-Hajj Fuleihan氏らの研究の結果であり、詳細は「Journal of the Endocrine Society」に11月12日掲載された。 ビタミンDレベルが低いことが高血圧のリスクと関連のあることを示唆する研究報告があるが、その関連を否定する報告もあり、結論は得られていない。これを背景としてFuleihan氏らは、ビタミンDレベルが低下していて、血圧が高いことの多い肥満高齢者を対象とするランダム化比較試験を行った。 血清ビタミンDレベルが10~30ng/mLで、BMIが25超の過体重から肥満(日本ではBMI25以上は全て肥満)に該当する65歳以上の高齢者221人をランダムに2群に分け、1群にはビタミンDを600IU、他の1群には3,750IU投与し血圧への影響を評価した。研究参加者は平均年齢71.1±4.7歳、女性55.2%、BMI30.2±4.4であり、143人(64.7%)が高血圧(130/80mmHg以上)だった。なお、米国ではビタミンDの摂取量として、通常1日当たり600IU(約15μg)が推奨されている。 介入から1年後、収縮期血圧は全体平均で3.5mmHg有意に低下していた(P=0.005)。これをビタミンDの用量別に見ると、高用量群では4.2mmHg有意に低下していたのに対して(P=0.023)、低用量群の低下幅は2.8mmHgであり非有意だった(P=0.089)。同様に拡張期血圧に関しても、全体平均で2.8mmHg有意に低下し(P=0.002)、高用量群でも3.02mmHgの有意低下(P=0.01)、低用量群では2.6mmHg低下と有意水準未満の変化だった(P=0.089)。 ベースライン時のBMIで層別化(30以下/超〔30以上は米国における肥満に該当〕)すると、BMI30以下の過体重者(55.2%)ではビタミンDの用量にかかわらず収縮期/拡張期血圧に有意な変化が見られなかった。BMI30超の肥満者(44.8%)では、ビタミンD高用量群では収縮期血圧(P=0.006)と拡張期血圧(P=0.02)がともに有意に低下していたが、低用量群では収縮期血圧のみが有意に低下していた(P=0.024)。 多変量線形混合モデルによる解析の結果、介入後の収縮期血圧はベースライン時の収縮期血圧(β=0.160、P<0.0001)とBMI(β=0.294、P=0.055)によって予測され、ビタミンDの投与量の違い(β=0.689、P=0.682)は有意な予測因子でなかった。 これらの結果を基にFuleihan氏は、「ビタミンDサプリメントは、高齢、肥満、ビタミンDレベルが低いなどに該当する、特定のサブグループの血圧を下げる可能性があることが分かった。ただし、推奨量以上に摂取したとしても、血圧への上乗せ効果は得られないと考えられる」と述べている。

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自覚症状に乏しい糖尿病性腎症に早く気付いて/バイエル

 バイエルは、11月14日の「糖尿病の日」に合わせ、糖尿病と合併症に関する啓発イベントを開催した。イベントでは、糖尿病専門医による糖尿病に関するプレスセミナーとお笑いコンビ「ガンバレルーヤ」をゲストに迎えての市民向けの疾患啓発が行われた。糖尿病の合併症の腎臓病では透析導入になりやすい 「糖尿病と合併症ってどんな病気? 患者さん中心の医療について考える」をテーマに坊内 良太郎氏(国立国際医療研究センター 糖尿病研究センター/糖尿病内分泌代謝科)が、糖尿病の病態、診療、合併症を抑えるポイントを解説した。 わが国の糖尿病と疑われる人の数は約2,000万人にのぼり、国民の5~6人に1人は糖尿病の危険があるとされる国民病となっている。 糖尿病は「インスリンの作用不足により起こる血糖値が高い状態が続く疾患」であり、診断では空腹時血糖値が126mg/dL以上、食後血糖値、ブドウ糖負荷試験2時間値が200mg/dL以上あれば糖尿病が強く疑われ、再度の検査で確定診断となる。また、健康診断などでよく話題になるHbA1cも6.5%以上は糖尿病が強く疑われる指標となる。 糖尿病にはI型、II型、妊娠、そのほか(薬剤性、肝臓疾患など)の4種類があり、その症状として「のどの渇き、水分の多飲」「日中・夜間の頻尿」「疲れやすい」「体重減少」などがある。そして、これらの症状は自覚症状に乏しく放置しがちであり、医療機関を受診しないことで合併症のリスクが高まる。 糖尿病合併症では、脳卒中、心筋梗塞、壊疽(神経障害)などの大血管障害と網膜症、腎症、神経障害などの細小血管障害がある。また、併存症として肺炎などの感染症、肝臓・膵臓などの悪性腫瘍、歯周病なども糖尿病患者では起こりやすく、重症化しやすい。 とくに糖尿病性腎症は、慢性腎臓病(CKD)の代表的な疾患であり、病期がかなり進行するまで自覚症状に乏しいために、診断がされたときには腎不全で透析導入になるケースが多い。実際、日本透析医学会の調査では、糖尿病性腎症は透析導入の約4割を占めていると報告されている。糖尿病合併症の抑制には血糖、血圧、脂質の厳格な管理が求められる 現在、日本糖尿病学会では、診療ガイドラインなどで糖尿病治療の目標として、「健康な人と変わらない寿命と生活の質(QOL)の達成」を示している。糖尿病の根治が難しい以上、合併症を抑えることが重要となる。 糖尿病治療の基本は、食事療法と運動療法だが、これでも効果が不十分な場合に薬物療法が追加される。いずれも患者の自主的な取り組みなしには成功しない治療である。また、HbA1cを7%未満に抑えれば網膜症や腎症の悪化リスクを抑えことができるという研究報告1)のほか、血圧を130/80mmHg未満に抑えたり、LDLコレステロールを適切に管理したりすれば合併症のリスク低減が期待できるため、ガイドラインなどで推奨されている。そのほか、わが国のJ-DOIT3の研究結果から血糖、血圧、脂質の厳格な管理が糖尿病の合併症予防につながり、とくに脳血管合併症や腎症に効果があるとされている2)。 最後に坊内氏は、糖尿病やCKDの治療において大切なこととして、「医師やメディカルスタッフとのコミュニケーションが重要である。共同意思決定(SDM)として治療のゴールを決めるために、患者さんが価値観や好みをきちんと医師などに伝えることで、患者さん個々に合った治療法の提案をすることができる」と語り、講演を終えた。 この後開催された疾患啓発イベント「体験型ボードゲームで学ぶ糖尿病と合併症 ~腎臓の声に耳を傾けよう~ in 丸の内」のオープニングイベントでは、先の講演者の坊内氏が糖尿病の3大合併症として、網膜症、腎症、神経障害を挙げたうえで、糖尿病性腎症はかなり進行するまで自覚症状に乏しいことに言及。「定期的な検査、とくに尿検査を行い、このイベントのタイトルにもなっている『腎臓の声』にしっかり耳を傾けよう」と呼びかけ、ゲストのガンバレルーヤの2人は「自覚症状が出にくいからときちんと病院に行って定期的に検査を受けることが大事なんですね」と早期発見の大切さに納得していた。また、会場では、特大サイズのボードゲームが人気で、多くの参加者が糖尿病とその合併症について学んでいた。

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喘息は子どもの記憶能力に悪影響を及ぼす

 子どもの喘息は記憶能力の低下と関連し、特に、喘息を早期発症した子どもではその影響が顕著であることが、米カリフォルニア大学デービス校心と脳センターのSimona Ghetti氏らによる研究で示唆された。この研究結果は、「JAMA Network Open」に11月11日掲載された。Ghetti氏らは、「この研究は、子どもの喘息と記憶能力の問題との関連を示した初めてのものだ」と述べている。 米国では、子どもの喘息患者数は460万人程度と見積もられている。論文の筆頭著者である同大学デービス校心理学分野のNicholas J. Christopher-Hayes氏は、「幼少期は記憶能力、より一般的には認知能力が急速に向上する時期だ。子どもに喘息があると、その向上が遅れることが考えられる」と大学のニュースリリースで述べている。 この研究では、9歳から10歳の子ども約1万1,800人を登録して2015年に開始された、思春期脳認知発達(Adolescent Brain Cognitive Development;ABCD)研究の観察データを用いて、喘息が記憶能力に及ぼす影響が縦断的および横断的に検討された。 縦断的な分析では、喘息のある子どもおよび喘息のない子ども(対照群、平均年齢9.89歳、男子51%)237人ずつが対象とされた。喘息のある子どものうち、135人(平均年齢9.90歳、男子56%)は試験開始時に、102人(平均年齢9.88歳、女子53%)は2年後の追跡調査時に、親により喘息のあることが報告されていた(それぞれ、早期発症群、後期発症群)。分析の結果、主要評価項目としたエピソード記憶(個人が経験した出来事に関する記憶)は全体的に向上していたものの、早期発症群では対照群に比べてその向上率が有意に低かったことが明らかになった。後期発症群と対照群との間に有意な差は認められなかった。 横断的な分析では、研究期間のいずれかの時点で喘息があった子ども(1,031人、平均年齢11.99歳、男子57%)と喘息歴のない子ども(1,031人、平均年齢12.00歳、女子54%)が対象とされた。分析の結果、喘息のある子どもでは喘息のない子どもに比べて、エピソード記憶、副次評価項目とした処理速度、抑制力、注意力の全ての指標において、スコアが有意に低いことが示された。 こうした結果を受けてGhetti氏は、「この研究結果は、子どもの認知能力を低下させ得る原因として喘息を考慮することの重要性を強調している」と話す。同氏はさらに、「喘息だけでなく、糖尿病や心臓病などの慢性疾患が子どもの認知能力に問題が生じるリスクを上昇させ得ることに対する認識は高まりつつある。リスクを高める要因やその保護要因について理解する必要がある」と述べている。 研究グループは、本研究で認められたような記憶能力の低下は、長期的な影響を及ぼす可能性があるとの見方を示し、高齢者の喘息が、認知症やアルツハイマー病のリスク増大と関連付けられていることを指摘する。Christopher-Hayes氏は、「喘息は、子どもが大人になってから認知症のようなより深刻な病気を発症するリスクを高める可能性がある」と話す。研究グループはまた、このような記憶能力の低下は、喘息による長期にわたる炎症、あるいは喘息発作による脳への酸素供給の度重なる中断が原因となっている可能性があると推測している。

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前立腺肥大症治療薬のタダラフィルが2型糖尿病リスクを抑制

 前立腺肥大症(BPH)の治療に用いられているタダラフィルが、2型糖尿病(T2DM)発症リスクを低下させる可能性が報告された。京都大学大学院医学研究科薬剤疫学分野の高山厚氏らによる研究の結果であり、論文が「Journal of Internal Medicine」に9月17日掲載された。 タダラフィルはホスホジエステラーゼ5阻害薬(PDE5i)と呼ばれるタイプの薬で、血管内皮細胞からの一酸化窒素の放出を増やして血管を拡張する作用があり、BPHのほかに勃起障害(ED)や肺高血圧症の治療に用いられている。近年、T2DMの発症に血管内皮機能の低下が関与していることが明らかになり、理論的にはPDE5iがT2DMリスクを抑制する可能性が想定される。ただし、そのエビデンスはまだ少ない。これを背景として高山氏らは、リアルワールドデータを用いて実際の臨床試験をエミュレート(模倣)し、観察研究でありながら介入効果を予測し得る、ターゲットトライアルエミュレーションによる検証を行った。 研究には、日本の人口の約13%をカバーする医療費請求データベースの情報を用いた。2014年5月~2023年1月にBPHと診断され、タダラフィル(5mg/日)の処方、またはα遮断薬の処方の記録がある40歳以上の男性患者から、糖尿病の既往(診断、血糖降下薬の処方、HbA1c6.5%以上の検査値で把握)、タダラフィルとα遮断薬の併用、薬剤使用禁忌症例などを除外。タダラフィル群5,180人、α遮断薬群2万46人を特定し、T2DMの発症、処方中止・変更、死亡、保険脱退、または最長5年経過のいずれかに該当するまで追跡した。なお、α遮断薬はBPH治療薬として広く使われている薬で、T2DMリスクには影響を及ぼさないとされている。 ベースライン時点において、タダラフィル群の方がわずかに若年でHbA1cが低かったものの有意差はなく、その他の臨床指標もよく一致していた。追跡期間は、タダラフィル群が中央値27.7カ月、α遮断薬群は同31.3カ月だった。T2DMの発症率は、タダラフィル群では1,000人年当たり5.4(95%信頼区間4.0~7.2)、α遮断薬群は同8.8(7.8~9.8)と計算され、タダラフィルの処方はT2DM発症リスクの低下と関連していた(リスク比〔RR〕0.47〔0.39~0.62〕、5年間の累積発症率差-0.031〔-0.040~-0.019〕)。 前糖尿病(HbA1c5.7%以上)に該当するか否かで二分した上での解析(前糖尿病ではRR0.49〔0.40~0.69〕、HbA1c5.7%未満ではRR0.34〔0.20~0.63〕)や、肥満(BMI25以上)の有無で二分した解析(肥満ではRR0.61〔0.43~0.80〕、非肥満ではRR0.38〔0.24~0.62〕)でも、全てのサブグループで全体解析同様の結果が示された。また、感度分析として、T2DM発症の定義などを変更した15パターンでの解析を行ったが、結果は一貫していた。 著者らは、保険非適用のPDE5i処方(ED治療目的)が把握されていないことや残余交絡が存在する可能性などを研究の限界点として挙げた上で、「BPH男性の治療におけるタダラフィルの処方はα遮断薬の処方と比較して、T2DM発症リスクの低下と関連しているようだ。この関連のメカニズムを明らかにし、同薬のメリットを得られる集団の特徴をより詳細かつ明確にする必要がある」と述べている。

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GLP-1受容体アゴニストの減量に対する長期の効果と糖尿病予防効果の強固さ(解説:名郷 直樹氏)

 GLP-1受容体アゴニストを72週投与し、体重減少を1次アウトカムとした二重盲検ランダム化比較試験SURMOUNT-1研究1)の対象者に対し、176週まで治療を継続し、さらに治療中止後に17週の追跡を追加した2次解析結果の報告である2)。 BMI 30以上、または糖尿病以外の肥満関連のリスクを持つBMI 27以上の肥満者を対象として、チルゼパチド5mg、10mg、15mgの週1回投与とプラセボを比較して、176週後、193週時点の体重変化と糖尿病の発症をアウトカムに設定している。 176週時点で、チルゼパチド群の体重の平均変化率は、5mg投与群で-12.3%、10mg投与群で-18.7%、15mg投与群で-19.7%に対し、プラセボ群では-1.3%である。それぞれの変化率の差は、5mg用量で-11.1%(95%信頼区間[CI]:-14.4〜-7.8)、10mg用量で-17.5%(95%CI:-23.6〜-11.3)、15mg用量で-18.4%(95%CI:-22.2〜-14.7)と報告されている。 2型糖尿病の診断を受けた患者は、176週時点でチルゼパチド群1.3%、プラセボ群13.3%、ハザード比0.07(95%CI:0.0~0.1)、さらに治療中止の17週後でもハザード比0.12(95%CI:0.1~0.2)と同様の結果である。 統計学的には仮説生成的解析である2次解析の結果とはいえ、体重の変化率の差で10%を超える効果があり、投与量の増加に比例した効果の増大を示す量反応関係も示されており、3年程度の長期にわたる効果も十分認められると解釈できる結果である。 また糖尿病と診断された患者の率も、176週時点のハザード比で0.07、95%CIの上限でも0.1、同様に17週の治療中止後でもハザード比0.12、95%CIの上限でも0.2と大きな効果を示している。その反面、量反応関係では、投与量の増加に対する効果の増大は示されていないが、95%CIの上限でもハザード比0.2という大きな効果は、この結果の妥当性を強固なものにしている。 統計学的な解釈としては、1次アウトカムの結果以外は仮説生成的であるというのが一般的であるが、この論文で示された2次解析結果は、体重減少の変化率に対する量反応関係を伴う大きな効果と、糖尿病診断減少の大きな効果を考えれば、BMIが30を超える高度肥満者、高リスクのBMI 27を超える対象に対する臨床的な効果は、十分妥当な結果と言っていいと思われる。ただ、より痩せを志向する日本の現状では、その適用が軽度の肥満やむしろ痩せの人に拡大されることに注意が必要かもしれない。

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人工股関節置換術前の検査【日常診療アップグレード】第18回

人工股関節置換術前の検査問題73歳女性。変形性股関節症の治療のため入院中である。3日後に左の人工股関節置換術が予定されている。出血量は300~500mLと予想される。既往歴として高血圧と甲状腺機能低下症がある。エナラプリル(ACE阻害薬)、アムロジピン(Ca拮抗薬)、レボチロキシン(甲状腺ホルモン薬)、アセトアミノフェン(鎮痛薬)を内服している。バイタルサインは異常なし。疼痛のため、左股関節の可動域に制限がある。2ヵ月前にTSH(甲状腺刺激ホルモン)を測定していて異常はない。術前検査として、全血球計算(CBC)と腎機能に加えTSHとFT4をオーダーした。

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糖尿病を有する終末期がん患者におけるシックデイ時の薬物療法を提案【うまくいく!処方提案プラクティス】第63回

 今回は、胃がん終末期の患者に関して、食事摂取量低下時の重篤な副作用を予防するために薬剤師から能動的に処方調整を提案した事例を紹介します。終末期がん患者では、病勢の進行に伴う全身状態の変化に応じたきめ細やかな薬物療法の調整がとくに重要となります。患者情報85歳、男性基礎疾患胃底部がん(門脈腫瘍塞栓あり)、2型糖尿病(罹患歴35年)、第12腰椎圧迫骨折ADL移乗・移動は全介助、食事は自立、オムツ使用生活環境ホスピス入所中、24時間看護体制下で療養食事摂取量通常の2割程度(1週間前は5割)介入時の検査値HbA1c 7.1%処方内容1.メトホルミン錠500mg 1錠 分1 朝食後2.シタグリプチン錠25mg 1錠 分1 朝食後3.デキサメタゾン錠4mg 1錠 分1 朝食後4.ランソプラゾール錠15mg 1錠 分1 朝食後5.アンブロキソール錠15mg 3錠 分3 毎食後本症例のポイント終末期がんによる全身状態の悪化に伴い、食事摂取量が5割から2割へと急激に低下しました。現行処方を確認したところ、以下の懸念点が浮かび上がりました。メトホルミンによる乳酸アシドーシスのリスク高齢(85歳)食事摂取量の著明な低下がん終末期による全身状態悪化血糖コントロールに影響を与える因子デキサメタゾンによる血糖上昇作用食事摂取量低下による血糖値の変動リスク終末期における治療方針の検討QOLを重視した血糖管理目標の設定低血糖リスクの回避医師への提案と経過以下の内容について情報提供を行いました。【現状報告】食事摂取量:5割→2割に低下がんの進行状況(門脈腫瘍塞栓あり)デキサメタゾン併用による血糖変動リスク【懸念事項】乳酸アシドーシスのリスク因子→食事摂取量低下、がん終末期による代謝異常、高齢終末期における治療方針→症状緩和優先の方針、QOLを考慮した血糖管理目標の設定【提案内容】メトホルミンの中止シタグリプチンによる血糖管理の継続症状観察の強化・継続医師には提案を採用いただき、メトホルミンの中止が決定しました。施設スタッフに状況を説明し、食事摂取状況や血糖値の推移、全身状態の変化、苦痛症状がないかどうかを観察いただくよう伝えました。中止1週間後でも重篤な血糖上昇や乳酸アシドーシス症状はなく、QOLは維持していました。考察本症例では、以下の点が適切な介入につながったと考えています。1.終末期における薬物療法の考え方:QOLを重視した処方調整、リスク・ベネフィットバランスの見直し、過少・過剰医療の回避2.多職種連携の重要性:医師との適切な情報共有、施設スタッフとの密な連携、観察ポイントの明確化3.先制的な介入の意義:重篤な副作用の予防、終末期QOLの維持、安全な薬物療法の実現終末期がん患者の薬物療法管理では、病勢の進行に応じた柔軟な対応が求められます。とくに食事摂取量の変化など、全身状態に影響を与える因子については、早期に気付いて対応することが重要です。本事例は、薬剤師による予防的な処方調整提案が、終末期患者のQOL維持に貢献した例と言えます。ホスピスにおける薬剤師の役割として、患者の状態変化を予測した先制的な介入の重要性を再認識させられた症例となりました。

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大戦中の砂糖配給制の影響を胎児期に受けた人は糖尿病や高血圧が少ない

 第二次世界大戦中と終戦後しばらく、砂糖が配給制だった時期に生まれた人には、2型糖尿病や高血圧が少ないとする、米南カリフォルニア大学(USC)ドーンサイフ経済社会研究センターのTadeja Gracner氏らの研究結果が「Science」に10月31日掲載された。2型糖尿病リスクは約35%、高血圧リスクは約20%低いという。この結果は、現代の人々が砂糖のあふれた環境によって、いかに大きな健康被害を受けているかを示しているとも言えそうだ。 この研究では、第二次世界大戦中に英国で行われた砂糖配給制に焦点が当てられた。英国では1942年に砂糖が配給制となり、国民の砂糖摂取量は1日当たり平均40g(ティースプーンで約8杯分)となった。ちなみに、現在流通している一般的な加糖飲料の中には50gほどの砂糖が使われているものもある。英国の砂糖配給制は戦後もしばらく継続され、1953年9月になって終了した。それとともに砂糖の摂取量は平均80gへと倍増した。 このように、配給制度下で砂糖摂取量が限られていた時期に胎児期から乳幼児期(受胎後の最初の1,000日)を過ごした人と、配給制が終了して砂糖摂取量が急増した時期に、受胎後の最初の1,000日を過ごした人とで、成人後の糖尿病や高血圧のリスクに差があるかが検討された。検討には、英国の一般住民対象大規模疫学研究「UKバイオバンク」のデータが用いられた。 解析の結果、砂糖摂取量が少ない環境で受胎後の最初の1,000日を過ごした人は、そうでない人に比べて、2型糖尿病のリスクが約35%低く、高血圧リスクは約20%低いことが明らかになった。また、それらを発症した人の発症年齢は、前者の群で2型糖尿病については4年、高血圧については2年遅かった。この結果から、砂糖摂取量の少ない母親の子宮内環境への暴露は、糖尿病や高血圧に対する保護効果を持つと考えられた。また、出生後に固形食が始まったと思われる、生後6カ月以降に砂糖摂取量が限られていたことで、その保護効果はより強化されていた。子宮内環境のみによるリスク低減効果は、全体の約3分の1を占めていた。 Gracner氏は、「胎児期から乳幼児期の栄養摂取の影響を調査するランダム化比較試験の実施には高いハードルがあり、かつ、50年後、60年後にその差を検証することも困難だ」と解説。その上で、「われわれは、配給制の実施と終了という社会的な変化を利用してそれらの課題をクリアし、自然実験を行った」と述べている。また、論文の共著者の1人である米シカゴ大学およびマギル大学(カナダ)のClaire Boone氏は、「この研究は、幼い頃の砂糖摂取を減らすことが、子どもの生涯にわたる健康増進に向けた強力な一歩であるという因果関係を指し示す、初のエビデンスである」としている。

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セマグルチド2.4mg、MASHで有意な改善示す(ESSENCE)/ノボ ノルディスク

 GLP-1受容体作動薬のセマグルチドは代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)に有益であることが実証されているが、主要評価項目を「肝線維化の悪化を伴わないMASHの消失」「MASHの悪化を伴わない肝線維化の改善」とする第III相ESSENCE試験1)のPart Iで得られた結果がAASLD 2024 The Liver Meeting(米国肝臓学会議)において発表された。 本発表内容は11月25日付けでノボ ノルディスク ファーマがプレスリリースし、セマグルチド2.4mg(以下、セマグルチド群)のプラセボに対する優越性が報告された。 本試験の主要評価項目「肝線維化の悪化を伴わないMASHの消失」「MASHの悪化を伴わない肝線維化の改善」について、セマグルチド群でプラセボと比較し統計学的に有意な差が認められ、72週時で肝線維化の悪化を伴わないMASHの消失が認められたのは、セマグルチド群62.9%、プラセボ群34.1%だった。また、MASHの悪化を伴わない肝線維化の改善が認められたのは、セマグルチド群37.0%、プラセボ群22.5%であった。 副次評価項目である肝機能検査(ALT、AST、γ-GT[γ-GTP])やELFスコアも改善が示され、セマグルチド群の32.8%でMASHの消失と肝線維化の改善の両方が認められた。なお、プラセボ群では16.2%であった。 本試験の治験責任医師である米国・VCU School of MedicineのArun J. Sanyal氏は「本データからセマグルチド2.4 mgはMASHの進行を遅らせ、既存の肝機能障害を回復させることが明らかになった」とコメントしている。ESSENCE試験とは ESSENCE試験は、肝線維化が中等度~高度(ステージF2またはF3)の成人MASH患者を対象に、セマグルチド2.4 mg週1回皮下投与の効果を評価する第III相試験で、2つのパートから成る。被験者1,200例をセマグルチド2.4 mgまたはプラセボに2:1の割合で無作為に割り付け、標準治療に上乗せして240週間投与する。Part Iでは、無作為割付した最初の800例において、72週時点の肝生検の組織学的所見がセマグルチド2.4 mg投与により改善するかを検証した。Part IIは、セマグルチド2.4 mgによりプラセボと比較して240週時における肝関連事象の発現リスクが低下するかを検証することを目的としている。

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チルゼパチドのHFpEFを有する肥満患者への有効性/NEJM

 駆出率が保たれた心不全(HFpEF)を有する肥満の患者において、チルゼパチドはプラセボと比較し、心血管死または心不全増悪の複合リスクを低減し、健康状態を改善することが示された。米国・ベイラー大学医療センターのMilton Packer氏らが、9ヵ国129施設で実施した無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「SUMMIT試験」の結果を報告した。肥満は、HFpEFのリスクを高める。チルゼパチドは、体重減少をもたらすが、心血管アウトカムへの有効性に関するデータは不足していた。NEJM誌オンライン版2024年11月16日号掲載の報告。チルゼパチド群vs.プラセボ群、52週間投与 研究グループは、40歳以上でBMI値≧30、左室駆出率(LVEF)≧50%の慢性心不全患者(NYHA心機能分類クラスII~IV)を、チルゼパチド群またはプラセボ群に1対1の割合で無作為に割り付け、通常の治療に加えて少なくとも52週間、週1回皮下投与した。投与量は、2.5mg/週から開始し、4週ごとに2.5mg/週ずつ、20週後に15.0mg/週となるまで増量した。 主要エンドポイントは2つあり、当初は(1)全死因死亡または心不全増悪イベント(試験期間全体について評価)と、52週時のカンザスシティ心筋症質問票の臨床サマリースコア(KCCQ-CSS:0~100、高スコアほど生活の質が高い)および6分間歩行距離のベースラインからの変化量を組み合わせた階層的複合エンドポイント、および(2)52週時点での6分間歩行距離の変化量であった。しかし、2023年8月に発表されたSTEP-HFpEF試験の結果を受け、米国食品医薬品局(FDA)との協議も踏まえて修正され、心血管死または心不全増悪イベント(time-to-first-event解析で評価)の複合と52週時のKCCQ-CSSの変化量とされた。主要複合アウトカム発生のHRは0.62 2021年4月20日~2023年6月30日の間に計731例が無作為に割り付けられた(チルゼパチド群364例、プラセボ群367例)。追跡期間中央値は104週間であった。 心血管死または心不全増悪イベントの発生は、チルゼパチド群で36例(9.9%)、プラセボ群で56例(15.3%)に認められた(ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.41~0.95、p=0.026)。心不全増悪イベントはそれぞれ29例(8.0%)、52例(14.2%)であったが(HR:0.54、95%CI:0.34~0.85)、心血管死はそれぞれ8例(2.2%)、5例(1.4%)(1.58、0.52~4.83)であった。 52週時のKCCQ-CSSの変化量(最小二乗平均値±SE)は、チルゼパチド群で19.5±1.2であったのに対し、プラセボ群は12.7±1.3であった(群間差中央値:6.9、95%CI:3.3~10.6、p<0.001)。 治験薬投与の中止に至った有害事象は、チルゼパチド群で23例(6.3%)、プラセボ群で5例(1.4%)に認められた。胃腸症状による投与中止はチルゼパチド群でのみ15例(4.1%)が報告された。

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