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糖尿病有無別でみた低用量アスピリン服用と大出血リスクとの関連

アスピリン服用と大出血リスクとの関連について、人口ベースの大規模コホート研究の結果、アスピリン服用が胃腸や脳の大出血リスクと有意に関連することが示された。また、糖尿病患者と非糖尿病患者とで比較した結果、糖尿病の人は出血リスクが増大することが示されたが、アスピリン服用との独立した関連は認められなかったことが報告された。イタリア・Consorzio Mario Negri SudのGiorgia De Berardis氏らが、410万人のコホートについて行った試験で、JAMA誌2012年6月6日号で発表した。心血管イベント一次予防としての低用量アスピリン服用のベネフィットは、糖尿病有無による格差は比較的小さい。その差は出血リスクによって相殺されてしまう可能性があることから研究グループは、アスピリン服用と大出血リスクとの関連を糖尿病有無別で検討した。大出血イベント発生リスク、アスピリン服用群は非服用群の1.55倍研究グループは、イタリアPuglia州に住む410万人について、人口ベースのコホート研究を行った。そのうち、2003年1月1日~2008年12月31日に、300mg以下の低用量アスピリンの処方を新たに受けた18万6,425人と、同期間にアスピリンの処方を受けなかった同数のコントロール群をマッチングし追跡した。主要アウトカムは、アスピリン処方後の胃腸大出血または脳大出血による入院だった。被験者の平均年齢は69.37歳、男性は46.93%だった。追跡期間の中央値は、5.7年だった。その間、胃腸大出血または脳大出血による入院発生率は、アスピリン服用群で5.58(95%信頼区間:5.39~5.77)/1000人・年、非服用群で3.60(同:3.48~3.72)/1000人・年だった(罹患率比:1.55、同:1.48~1.63)。糖尿病と大出血リスクは独立して関連、しかしアスピリン服用との関連は認められずサブグループ(性、年齢、糖尿病、高血圧、心血管系の入院既往などの有無別)での比較では大半が、アスピリン服用と重大出血リスクとの有意な増大が認められたが、糖尿病を有する人については認められなかった(糖尿病者の1,000人・年発症率:1.09、95%信頼区間:0.97~1.22)。一方で、アスピリン服用の有無にかかわらず、糖尿病は、大出血エピソードと独立した関連が認められた(罹患率比:1.36、同:1.28~1.44)。

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CKD患者では血糖値の日内変動が大きく、食後血糖の急激な上昇が認められた

慶応義塾大学医学部腎臓内分泌代謝内科の細谷幸司氏は、第55回日本腎臓学会の口演にて、持続血糖測定装置(CGMs)を用いて観察した慢性腎臓病(CKD)患者の血糖日内変動について報告した。CKD患者では非糖尿病であっても、血糖日内変動が大きく、とくに食後高血糖が著明であることが明らかになった。飲酒と肝酵素上昇のどちらがCKDに関与しているのかCDK患者における糖代謝異常やインスリン抵抗性の亢進が報告されており、その原因として、腎機能低下に伴う炎症性サイトカインや活性酸素の産生、貧血、脂肪細胞機能不全、尿毒症、栄養不良、副甲状腺ホルモンの亢進、ビタミンD欠乏、代謝性アシドーシスなどが報告されている1)。しかし、CKD患者におけるHbA1cや空腹時血糖の実態は正確に把握されておらず、1日の血糖値の推移についても正確に調べられていなかった。そこで細谷氏らは、近年実用化されているCGMsを用い、CKD患者の血糖日内変動の実態について検討を行った。細谷氏らが用いたCGMsは、メドトロニック社のミニメドCGMS-Goldであり、皮下に留置したセンサを介して組織間質液中のグルコース濃度を24時間連続測定し、携帯型のモニタシステムに記録される。過去において、維持血液透析患者や腹膜透析患者の血糖変動を測定するためにCGMsを用いた検討はあったが、非糖尿病の非透析導入のCKD患者に対して、CGMsを用いて血糖日内変動を調べた研究はまだなかった。CKD患者では食後高血糖によるグルコーススパイクが心血管イベントに影響か細谷氏らは、CKD群として非糖尿病性腎症で透析導入目的にて入院したCKDステージ5の患者16名、またコントロール群として腎生検目的で入院した6名を含む正常者10名について、CGMsを用い36~48時間の血糖連続測定を行った。CGMsで得られた血糖日内変動のパラメータとして、平均血糖値、血糖変動値(SD値の平均)、血糖曲線下面積(AUC)、食後2時間の最大血糖値と最小血糖値の差、食後のAUCを比較した。コントロール群とCKD群との比較には、Mann-WhitneyのU検定を用いた。患者背景は、コントロール群とCKD群において年齢はそれぞれ53.9±19.1歳と57.67±11.4歳、HbA1cは5.0±0.41%と5.39±0.50%、eGFRは68.2±22.3mL/分と5±1.58mL/分(p<0.0001)であった。コントロール群およびCKD群で有意差のあった血液検査値は、尿素窒素(BUN)、クレアチニン値、総コレステロール、アルカリホスファターゼ(ALP)、GOT、尿酸、ヘモグロビン(Hb)、ヘマトクリット、血小板であった。血糖の日内変動パターンは、コントロール群では24時間を通して血糖値が安定していたのに対し、CKD群では血糖値の日内変動が大きく、とくに食後の血糖上昇が著明であった。コントロール群とCKD群において24時間血糖と夜間血糖を比較したところ、24時間血糖では平均血糖値(p<0.005)、血糖変動値(p<0.05)、AUC(p<0.005)のいずれにおいてもCKD群の方で有意に高かった。一方、夜間血糖ではCKD群の方が高い傾向にあるものの有意差はなかった。また、食後2時間血糖値と空腹時血糖の差は、朝食、昼食、夕食においてCKD群でコントロール群よりも大きく、とくに朝食では有意差(p<0.05)が認められた。全食事での比較においてもCKD群で食後と空腹時血糖の差は有意に大きかった(p<0.05)。食後2時間のAUCの比較では、朝食(p<0.005)、昼食(p<0.05)、夕食(p<0.05)、全食事(p<0.005)のすべてにおいて、CKD群が有意に高いことが示された。これらの結果より、細谷氏は「CKDステージ5の患者では腎機能の正常者と比べて、24時間平均血糖および血糖日内変動が増大し、とくに食後高血糖が著明に認められた」と述べた。持続的な高血糖よりも、グルコーススパイクと呼ばれる食後高血糖のような急峻な血糖変動が動脈硬化進展のリスクファクターである可能性が指摘されている2)。細谷氏は、CKD患者では非糖尿病であっても血糖日内変動が大きく、食後の間欠的な高血糖が認められ、このグルコーススパイクが心血管疾患に影響を与える可能性があると考察した。参考文献1)El-Atat FA et al:J Am Soc Nephrol 2004; 15: 2816-28272)Esposito K et al: Circulation 2004;110:214-219

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インスリングラルギンによる発がんリスクの増加は認められず

フランスのサノフィ社は11日、大規模な疫学プログラムの一環として、北欧諸国、南北カリフォルニアのカイザーパーマネンテ、およびノースカロライナ大学のそれぞれの独立した機関において行われた研究結果を発表した。ランタス(一般名:インスリングラルギン〔遺伝子組換え〕)による治療を受けている糖尿病患者は他のインスリン製剤による治療を受けている糖尿病患者に比べて発がんリスクの増加がみられないことがわかったという。このデータは、第72回米国糖尿病学会においても発表されている。日本国内には15日付でサノフィ・アベンティス株式会社が公表した。この疫学プログラムは、糖尿病患者における発がんリスクを評価し、大規模データベースから得たインスリングラルギンの投与に関する包括的なデータを作成することを目的として行われた。この目的で行われた観察研究プログラムとしては過去最大規模の研究になるという。同試験はこの種の研究としては大規模な研究で、インスリン使用例447,821例、150万/人/年の観察データの検討が行われた。平均追跡期間はインスリングラルギンの使用例は3.1年、他のインスリン製剤の使用例では3.5年だった。主要仮説に関する検討では、インスリン使用者全体の解析、およびヒトインスリンの使用者全体の解析のいずれにおいてもインスリングラルギン使用例は他のインスリン使用例に比べ、女性の乳癌(HR:1.12; 95% CI:0.99-1.27)、男性の前立腺癌(HR:1.11; 95% CI:1.00-1.24)、ならびに男性および女性の結腸直腸癌(HR:0.86, 95% CI:0.76-0.98)のリスクが上昇することを示すエビデンスは得られなかったという。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/l/jp/ja/download.jsp?file=D506EFB6-7512-427D-94B8-E12A6B55FB0C.pdf

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DPP-4阻害薬か、基礎インスリンか? -メトホルミン難治性2型糖尿病-(Lancet 6月16日発表)

コロンビア ハベリアナ大学のPablo Aschner氏は、16日、メトホルミン血糖コントロール不十分で、インスリン投与経験のない2型糖尿病における追加併用薬は、DPP-4阻害薬(シタグリプチン)より持効型インスリン (インスリングラルギン)が効果の面で優れており、安全面でも大きな問題がないことをLancet誌に発表した。これは17ヵ国、96施設が参加して実施されたEASIE(Evaluation of Insulin Glargine versus Sitagliptin in Insulin-naive Patients)試験の結果。研究費提供元はサノフィ。[国内での主たる販売名] メトホルミン・・・メトグルコ シタグリプチン・・・ジャヌビア、グラクティブ インスリングラルギン・・・ランタスメトホルミンを投与してもコントロール不良(HbA1cが7~11%)の、インスリン未治療の2型糖尿病患者(BMI 25~45、35~70歳)が対象となった。対象患者はメトホルミン+インスリングラルギン併用群250例(以下、基礎インスリン併用群)、メトホルミン+シタグリプチン併用群265例(以下、シタグリプチン併用群)のいずれかに無作為に割り付けられた。主要評価項目は、治療24週後のHbA1cの変化。主な結果は、下記のとおり。1. 治療24週後のHbA1cの低下は、基礎インスリン併用群で有意に大きかった (基礎インスリン併用群1.72%低下 vs シタグリプチン併用群1.13%低下、  平均差=-0.59%、95%信頼区間=-0.77--0.42、P<0.0001)。2. HbA1c 7.0%未満達成率は、基礎インスリン併用群で有意に多かった  (68% vs 42%、P<0.0001)。3. HbA1c 6.5%未満達成率も、基礎インスリン併用群で有意に多かった  (40% vs 17%、P<0.0001)。4. 低血糖の頻度は基礎インスリン併用群のほうが有意に多かった (4.21回/患者・年 vs 0.50回/患者・年、P<0.0001)。  重篤な低血糖は3例 vs 1例。5. 重篤な有害事象は基礎インスリン併用群で15例(6%)、  シタグリプチン併用群で 8例(3%)。  有害事象による治療中止例は2例 vs 4例。(ケアネット 藤原 健次)

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糖尿病予備群および早期糖尿病の患者を対象としたORIGINの結果を発表

フランスのサノフィ社は11日(現地時間)、ORIGIN試験(Outcome Reduction with Initial Glargine Intervention)の結果を報告し、ランタス(一般名:インスリングラルギン〔遺伝子組換え〕)は標準的治療に比べ、心血管系イベントの発生に対して統計的に悪影響を及ぼさないことを発表した。また同試験の結果より、インスリングラルギンは糖尿病予備群から2型糖尿病への進行を遅らせること、また同薬の投与と癌のリスク上昇との間に関連を認めないことが明らかにされた。サノフィ・アベンティスが14日に報告した。また試験結果は、第72回米国糖尿病学会において発表され、New England Journal of Medicine (NEJM)のオンライン版にも掲載された。ORIGIN試験は、インスリングラルギンと標準的治療が心血管系イベントの発生に及ぼす影響を6年間にわたって比較したもの。同試験では、心血管系リスクが高い糖尿病予備群または早期2型糖尿病患者12,500例以上が世界各地で無作為化を受け、6,264例がインスリングラルギン群に割り付けられ、空腹時血糖が正常値となるまで投与量の調節が行われた。主要評価項目は、(1)心血管イベントによる死亡、非致死的な心筋梗塞、非致死的な脳卒中のいずれかの発症、ならびに(2)心血管イベントによる死亡、非致死的な心筋梗塞、非致死的な脳卒中、血行再建術の実施、心不全による入院のいずれかの発症の2項目とした。試験では、早期の血糖異常の患者の空腹時血糖を正常域に下げる治療は、心血管系イベント抑制に影響しないことが示された。(第1の主要評価項目のハザード比1.02, p=0.63, NS,第2の主要評価項目のハザード比1.04; p=0.27, NS)。インスリングラルギンの投与により血糖コントロールの目標値(空腹時血糖値の5.2 mmol/L、HbA1c 6.2%〔いずれも中央値〕)に到達し、6.2年間の追跡期間中を通じて維持された。また、インスリングラルギンと癌の発症リスク上昇との間には関連が認められなかったという(HR:1.00; p=0.97, NS)。癌全般について解析した場合、癌種別に解析した場合のいずれも、インスリングラルギンの使用者にリスク上昇を示唆する所見を認めなかったとのこと。試験の結果、インスリングラルギンは糖尿病予備群(IFG またはIGT)から2型糖尿病への進行を28%遅らせることを示しており(HR:0.72; p=0.006)、ほかにも副次評価項目として微小血管に関するイベント発症(腎症または網膜症の評価項目〔HR:0.97; p=0.43〕)や全死亡〔HR:0.98; p=0.70〕の検討がなされた。詳細はプレスリリースへ(PDF)http://www.sanofi-aventis.co.jp/l/jp/ja/download.jsp?file=C2FC519A-337E-4613-9E57-D391A9BF9B0B.pdf

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郷に入っても郷に従わず その4 ~食事の心理学

ハーバード大学リサーチフェロー大西 睦子 2012年5月8日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 前回のコラムで、人工甘味料と肥満や糖尿病の関係は、体の生理的反応と人間の行動的、心理的な要素が関与していることをお伝えしました。そこで今回は、『食べる』という行動が起こるまでの心理的な状況を、さらに深く考えたいと思います。例えば、みなさんが5人のお友達とレストランに行くことを想像してみてください。おそらく、5人とも違うメニューを選ぶことが多いと思います。私は和風パスタとチーズケーキを選んだのに、あなたはサラダにステーキを選んだ理由、それはなぜでしょうか。けっこう深い理由があるのです。1)嗜好最近の科学雑誌に、様々な文化の異なるヨーロッパ諸国において、1600人以上の子供たちを対象に、食事の嗜好と肥満の関係についての報告がありました。結果は、肥満の子供たちは、脂肪や糖分の多い食事を好んだということでした。動物実験で、食欲を抑制するホルモンであるレプチンが、空腹感を抑えるだけではなく、食べ物の嗜好にも関与していることがわかってきました。例えば、レプチン濃度が低いと、空腹感が増強するだけではなく、食べ物による喜びも増加します。●ということは、人種や文化の違いにかかわらず、肥満の子供は、高脂肪で甘い食べ物を摂取することによる喜びが強いと考えられますね。2)学習私たちは生後まもなく、食に対する行動的、感情的な反応を覚えます。この頃、親は重要な役割を果たします。なぜなら母親の食事は母乳に移行し、後の子供の嗜好に大きく影響するためです。従って、特に母親の食の影響は強いと思われます。離乳後、子供は自分で食べ始めますが、新しい食べ物に拒否反応を示し、少なくとも繰り返し10回以上経験して、ようやく受け入れます。このころの経験も、後の好き嫌いに影響します。さらに、食べることは、罪と報酬の意味もあります。食事の量や食べるスピードも、親の影響が大きいと考えられています。『ぐずぐずしないで、早く残さず食べなさい。』なんて、親に叱られた経験はありませんか?子供は食べ物を残すことに罪を覚え、出されたものは全部食べる習慣がつきます。3)再学習私たちの食事の好みは幼少期の経験に決まると考えられていますが、大人になって、再学習することによって好みを変えられることも報告されています。●これは、いいニュースです。子供の頃の悪い習慣を、大人になって変えるチャンスがあるのですから。4)食欲ドーパミンは、連続した学習による行動の動機付け(associative learning)と関係している神経伝達物質です。食事開始後、ドーパミンの分泌が上昇し、食欲が増強します。重要なのは、連続した学習によって、食べ物を想像するだけで、ドーパミンが分泌されるようになるのです。例えば、食べ物の写真、料理の音やにおいでドーパミンが分泌され、食欲が増加します。ストレスでもドーパミンの分泌が増え、過食になります。コカイン、覚せい剤は、ドーパミン分放出させ快感を起こします。セロトニンはドーパミンをコントロールする神経伝達物質です。食欲を抑えるには、ドーパミン分泌を抑制し、セロトニンを放出することとなります。最近、インスリンやレプチンもドーパミンに影響を与えることも報告されています。●やる気、ご褒美、学習などに関わるドーパミンは、脳の『快楽物質』とも呼ばれています。ドーパミンをたくさん増やしたい!と思いがちですが、やはりバランスが大切と思います。それは、5)の中毒に関係するからです。5)習慣、依存、中毒これは大トピックです。習慣、依存、中毒には、行動(心理的)問題が大きく影響します。2010年に、動物実験により、過食による肥満の脳内の分子経路が、麻薬中毒者のものと同じだとする報告があり、大変な話題になりました。米国フロリダ州のポール・ケネディ准教授の研究チームは、コカイン中毒者の脳内ではドーパミンが大量に放出され、ドーパミン2受容体が過剰に刺激されていることは明らかになっていましたが、同様な変化を「食事中毒」のラットで証明したのです。●食に限らず、人生において、喜び、幸せは大切ですが、実際はそれだけではないと思います。苦しみ、悲しみを克服しつつ得る喜びを経験することが、人間の成長につながるのではないでしょうか。私もそうなりたいと思います。6)感情感情、例えば、喜び、怒り、悲しみ、不安も肥満に影響します。肥満のひとでは、食事摂取による感情の変化に違いがあるとも言われています。肥満の人は、食べることで報酬を得ます。●誰でも美味しい物を食べると嬉しくなりますが、嬉しさの度合いが肥満の人は強いようです。7)決定意思決定は、自動的に即座にされる経路(これはかなり訓練されています)と、ゆっくりですが、コントロールした上で行われる経路と2種類あります。食べる行為に、この決定は重要な役割があると思いますが、残念ながら、動物実験モデルをつくることが難しく、まだまだ不明な点が多い分野です。●例えばみなさんが飲み物を注文するとき、『とりあえず生ビール(メニュー見ずに注文する人もいると思いますが)』という人もいますし、メニューをよく読んで『このカクテル下さい。』という人もいます。自分で決められず『お勧めは何ですか。』と店員に聞く人もいます。どうしてこんなに人は最終的な意志決定が違うのでしょうか?最後に、肥満には、環境の影響も大きな問題になってきます。環境とは、車など、便利な社会になったため、人々が動かなくなった点、スーパーマーケット、コンビニなどで、高カロリーの食品を消費者が買いやすくしている点(そういった商品が増えた、安くなった、目に留まる位置に置いてある)などです。駅のキヨスクで、大根やキュウリが売っているのは見かけたことはありませんが、お菓子はすぐに買って、すぐに食べることができますよね。『不便、面倒』という言葉は、売り文句にはなりにくいですが、思っているほど悪くはないかもしれません。

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タダ(無料)ほど高い物はない~医療の無駄について~

つくば市 坂根Mクリニック坂根 みち子 2012年6月1日 MRIC by 医療ガバナンス学会 発行 ※本記事は、MRIC by 医療ガバナンス学会より許可をいただき、同学会のメールマガジンで配信された記事を転載しております。 福島県が独自に18歳以下の子供の医療費を無料にするという。これについて全国保険医団体連合会や著名人たちが中心となって福島の子供たちの医療費をタダにすべしと国にも訴えている。大変言いにくいが反対である。一見聞こえのいいスローガンだが、タダほど高い物はない。結局子供たちのためにならない。ただには多くの無駄がもれなくセットで付いてくる。これから先、福島原発に関連してお金は果てしなく掛かる。貴重な財源は本当に必要な時に必要な人に届くような制度設計にしなくていけない。医療に携わっている者なら、ただ(無料)の分野にいかに無駄が多いか知っているはずである。右肩上がりの社会ならば無駄も含めて許容することもあるだろう。だが現実を見て欲しい。今の日本にそのゆとりはない。結局必要な人に使われるべき財源が無駄な部分に使われ、真に必要な人に医療が届かなくなる。今回と同じように子供の医療費無料をうたう自治体や政治家が多い。選挙民の受けはいいがコンビニ受診を誘発している。時間外の医療費は通常の1.2倍から1.5倍掛かるがタダだと使う方にもその認識がない。自分の懐が痛まなければ、仕事を早く切りあげて時間内の病院に行こうというインセンティブが働かない。税金の無駄使いである。過重労働の勤務医対策としても逆行する。時間外のコンビに受診は医療者をとても疲労させる。まして福島県は医師や看護師が足りず四苦八苦している。どうしてもやるなら子供の時間内の医療費無料とすべきである。身体障害者の1級は医療費が掛からない。例えば心臓弁膜症で手術を受けた場合やペースメーカーを入れた場合は、現在では手術前より元気になってまったく普通に暮らせる人が多いが、術後は無条件で身体障害者1級となる。以後の医療費は生涯すべて無料である。疾患に関連する部分のみ無料とか、元気になって普通に暮らせるようになるまで無料という制度ではない。一度1級になると生涯無条件に更新される。一見誰も困らないのでこちらもずっとおかしいと言われながら放置されたままである。透析患者についても同様のことが言える。 以前は腎炎からの透析が多く、透析導入されると田畑を売ってお金を工面しなければいけない時期があった。多くの先人たちの苦労の末、透析はお金の心配をしなくても受けられるようになった。ところが、現在の透析導入理由は糖尿病が一位である。外来もしくは入院で食事や運動療法の指導をしても、まったく聞く耳を持たずに結局最後は透析導入、心筋梗塞、脳梗塞となっていく人もいる。この方々も透析となった時点で身障者1級、医療費はほぼ無料となるが、糖尿からの透析は様々な合併症が出てくるために一人当たりの医療費がと突出して多くなる。生活保護の人たちは医療費が掛からない。最近ようやく統計的にも明らかにされたが、軽症でも繰り返し病院に掛かる人たちがいる。病院側でも確実にお金が取れるので、外来のみならず、入院させて隅々まで検査を繰り返し、3カ月毎に転院してまた繰り返すといういわゆる貧困ビジネスに手を染める病院が後を絶たない。そこまでいかずとも、経営的に苦しい病院では阿吽の呼吸で生保の人たちに少しずつ余分な検査をして稼ぐのは日常茶飯事である。取りっぱぐれがなく、一見誰の懐も痛まないのでこの制度には付け入る隙があるのである。国は医療に営利化を促す点数をつけている。民間の医療機関は赤字になるくらいなら点数の取れる検査や治療をするのは当たり前である。不安定狭心症で心臓カテーテル治療をした人がいた。治療して元気になったがその間一旦職を失ってしまった。同時にやる気も失ってしまったらしい。本人は職探しをするより生活保護を申請した。こちらは労務の可否欄に当然可と書いた。面談に来た役所の人にも、生保より仕事を斡旋して欲しいと話した。すると、役所では話はするが自分でハローワークに行って仕事を捜す以外斡旋はできないと言われた。結局その人は生保をもらい続け、日がな一日テレビを見て糖尿病は悪化していった。健康に不安を持つ人は多い。病院に来てあれもこれも調べて欲しいという方はよくいる。それが病院にとっても利益となり患者の負担にもならなければ、いったい誰がそれを拒むというのだろう。そこで訴訟のリスクも負ってまで余分な検査はすべきでないと患者を説得する医師がどれほどいるだろうか。大学病院をはじめとする公立病院では働く方のコスト意識も低い。大学病院のような高度医療を提供するところに対して医療の内容を吟味するには、相当の専門的力量が要る。従って支払基金も高度医療提供病院の医療内容に関してはかなり素通りが多い。だが、レセプト上位 1%の人が総医療費の30%近くを消費し、レセプト上位 10%の人が総医療費の実に7割を占めているという。総額の医療費が事実上決まっている中で、高額医療費を使い続ける人が増えれば、一方で必要な医療が届かない人たちがでる。問題は目の前の患者に医療費という観点からは無自覚に医療を提供し続ける医療者側にもあるし、枝葉末節にばかり目を向けて、本来その医療が必要かどうかチェックする体制を作ってこなかった支払基金や厚労省にもある。聖域は要らない。すべて公開して欲しい。本質的な点検をやるには支払い側も専門的知識が必要になり、そうなると医療者側にも緊張感がもたらされる。書類さえ整っていれば素通りで、貧困ビジネスにも無料の医療分野にも踏み込まない、枝葉末節にばかり神経を使う今の支払い基金はない方がましである。同時に厚労省の不作為ぶりも目に余る。保険は互いの支え合いのシステムである。医療費の無料という大きな権利を手に入れる時には、医療費は謙抑的に大事に使わなくてはならないという義務も一緒に知って頂かなくてはならない。小学生の頃から社会保障のシステムと使い方を繰り返し教育しなくてはいけない。医療費は無料の人でも明細書を受け取りいくらかかったのか知らなくてはいけない。自分の医療が皆の保険料と税金に支えられていることを理解しなければならない。厚労省は、権利ばかり教えて守らなければいけないルールについて周知する努力はしているのだろうか。まさかそれは文科省の仕事と考えているわけではあるまいか。作家の曽野綾子氏が著書「老いの才覚」の中で、健康保険を出来るだけ使わないようにすることが目標の一つです。幸い健康なら、保険を使わずに病気の方におまわしできてよかったなと思うと述べられていた。この精神が医療保険を維持するために不可欠だが、残念ながらこう考えられる人はとても少ない。先日99才でペースメーカーを入れている人の家族から間接的に相談があった。もうすぐペースメーカーの電池が切れる可能性があるが電池交換に主治医が難色を示していると、家族は希望しているのにどうしたらいいでしょう、ということだった。なんといっていいのか返答に詰まった。セーフティーネットとしての保険の意味を理解していない。電池交換は、最低でも100万円かかる。身体障害者1級なので本人と家族の負担はない。保険は助け合いのシステムです。ペースメーカーのおかげで99歳まで心臓が止まらずに生きてこられたのならもう十分でしょう。どうぞそのお金は後進に譲ってください。そこまで言わないといけないか。この場合自費なら交換してくれと言うだろうかという意地悪な考えも浮かんでくる。罹る疾患によって医療格差が大きくなっている。特定疾患の指定を受けていない難病や高価な抗がん剤を毎月飲み続けなければいけない人にとって、医療費の工面が死活問題となっている。子供たちのワクチン接種も先進国の中で大きく後れを取っているが、財源がネックとなっている。一方、身障者の認定や生保など医療費が無料となる制度では、医療の進歩や相互扶助の精神が制度に反映されず、結果として一部の人たちは野放図に医療費が使えることになっている。透析や身障者であっても払える方には払っていただきたい。生保の人にも一旦払っていただきたい。身体障害者の認定は今の時代に合ったものに改定し本当に必要な人だけに出してほしい。今、医療費は決定的に足りない。医療機関は原価計算をしない公定価格のために慢性の赤字体質であり、医療費のかなりの部分が医療機関を通り越して営利企業に行っている。連続勤務の夜勤を寝ている扱いにして労働基準法違反からも賃金面からもスルーされている勤務医の労働環境もいつまで経っても手当てされない。健康保険は助け合いのシステムであるという啓蒙もなく、無料の医療費を使うときのチェック体制もなく、施された医療の内容を検証する体制がない今のシステムのままでこれ以上無料を増やしてはいけない。モラルハザードが増え大切な医療費が垂れ流されている。今の日本は生活保護者が200万人を越え、団塊の世代は退職し、子供が減って高齢者が増え、若者は就職できずにいる。つまり無産層が増え税金を払う人が減っているということである。その少ない納税者にとってほぼ恒久化した復興増税を含め、近年は実質増税が続き可処分所得は減り続け生活は真綿で首を絞めるように苦しくなっている。東電の賠償金も廻り回って納税者が払うことになるだろう。国に請求するということは、納税者全員で分担しましょうと同意義語である。国も自治体も安易に無料をうたってはいけない。口にする方は気持ちがいいかもしれないが、それはあなた達のお金ではない。本当は子供たちの借金である。今、福島の子供たちの未来を考えてすることは医療費を無料にすることではない。必要な人にはあとから還付すればいい。そこに必ずセットで付いてくる無駄がもったいない。結局子供たちのつけを大きくしてしまう。今の日本にそれだけのゆとりはない。子供たちの未来を考えるからこそ、1円たりとも無駄にしてはいけないのである。

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CKD診療ガイド改訂 -慢性腎臓病(CKD)は原疾患、腎機能と尿所見でリスク評価を-

日本慢性腎臓病対策協議会(東京都文京区、理事長:槇野博史、J-CKDI)は、1日、CKD診療に関して、かかりつけ医の標準化と腎臓専門医の連携を目的とした「CKD診療ガイド2012」を発行した。「CKD診療ガイド」は、2009年以来3年ぶりの改訂となる。本ガイド改訂委員長の今井圓裕氏は、今回の最も大きな改訂点として、CKDの重症度分類が腎機能だけでなく、原疾患、尿所見を評価した分類に変更されたことを挙げ、その他、血圧管理、貧血管理が臨床上に影響を及ぼす点として掲げた。最大の改訂点となった重症度分類の変更は、わが国でなく、国際腎臓病ガイドライン(KDIGO)も同様の見直しを行なっていると今井氏は言う。従来は糸球体濾過量(G = GFR)を基にした腎機能のみで評価してきたが、尿蛋白・尿アルブミン値(A = Albumin)、原疾患(C = Cause)を加えたいわゆるCGA分類で評価する。これはアルブミン尿や蛋白尿が、腎機能とは独立して末期腎不全、心血管死の発症リスクであることを示すエビデンスが確立してきたため。病期は4つに区分され、リスクに応じて腎臓専門医への相談・紹介基準や、腎臓専門医への通院間隔が推奨されている。次に注目すべき改訂点は、血圧管理。CKDにおける血圧管理については国際的に基準が変わってきており、現在の降圧目標レベルが過剰であると捉えられつつあると今井氏は述べた。これまでの蛋白尿が1g/日以上を認めるCKD患者の降圧目標値は「125/75mmHg未満」が推奨されてきたが、今回の改訂により撤廃され、「130/80mmHg以下」に統一された。高齢者においては、「140/90mmHg未満を目標に降圧し、腎機能悪化や臓器の虚血症状がみられないことを確認し、130/80mmHg以下に降圧する、収縮期血圧110mmHg未満への降圧は避ける」とさらに慎重な構え。特に夏期、RA系阻害薬投与例において、過降圧を来たし、急性腎障害で搬送される例も少なくないことも例に挙げ、高齢者における過降圧に注意を喚起した。また、推奨する降圧薬については、糖尿病and/or蛋白尿が認められる場合は、従来どおりRAS阻害薬を第一選択薬とすることは変わりないが、糖尿病も蛋白尿もみられないCKD例においては、降圧薬の種類を問わないことが記述された。貧血管理の改訂も注目すべき改訂点と言える。前回の改訂があった2009年以降、貧血の改善が臨床転帰につながらなかった試験が発表された。遺伝子組換えヒトエリスロポエチン製剤の投与については、「投与開始Hb値=10g/dL、治療目標Hb値=10~12g/dL、13g/dLを超えないよう配慮する」と基準を明記している。今回の改訂において、「重症度分類の変更」が意味するところは、蛋白尿、アルブミン尿が末期腎不全、心血管死の独立した危険因子であるものとして捉え、尿検査を定期的に実施していくことの重要性を促すものと捉えている。(ケアネット 藤原 健次)

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コーヒー摂取と原因別死亡との関連

米国立衛生研究所(NIH)のNeal D. Freedman氏らによる、50~71歳の男女約40万人を対象に、コーヒー摂取とその後の全死亡および死因別死亡との関連を調べた結果、逆相関の関連が認められたことが報告された。ただし、その結果がコーヒー摂取によるものなのかどうか、あるいはコーヒー摂取が関連しているのかどうかは今回のデータからは判然としなかったと補足しまとめている。コーヒーは広く消費されている飲料の1つであり、抗酸化作用や生理活性作用の源となる物質を豊富に含むことが知られているが、死亡リスクとの関連は明らかとなっていない。NEJM誌2012年5月17日号掲載報告より。50歳以上の40万人を13年間追跡Freedman氏らは、NIH-AARP食事健康調査に参加した、基線50~71歳の男性22万9,119人および女性17万3,141人を対象に、コーヒー摂取とその後の全死亡および死因別死亡との関連を調べた。がん、心疾患、脳卒中に罹患した参加者は除外された。コーヒー摂取についての評価は基線で1回行われた。1995~2008年のフォローアップ期間中、514万8,760人・年のうち死亡は、男性3万3,731人、女性1万8,784人だった。年齢補正モデルにおいて、コーヒー摂取者での死亡リスク増加が認められた。しかし、コーヒー摂取者では喫煙者も多く、喫煙状態と他の潜在的交絡因子で補正したところ、コーヒー摂取と死亡率の間には有意な逆相関が認められた。がんによる死亡では逆相関みられずコーヒーを飲む男性について、飲まない男性と比較した死亡補正ハザード比は以下のとおりであった。1日当たり1杯未満摂取では0.99(95%信頼区間:0.95~1.04)、1杯0.94(同:0.90~0.99)、2~3杯0.90(同:0.86~0.93)、4~5杯0.88(同:0.84~0.93)、6杯以上0.90(同:0.85~0.96)(傾向のP<0.001)。女性のハザード比はそれぞれ、1.01(同:0.96~1.07)、0.95(同:0.90~1.01)、0.87(同:0.83~0.92)、0.84(同:0.79~0.90)、0.85(同:0.78~0.93)だった(傾向のP<0.001)。なお疾患別にみると、心疾患、呼吸器疾患、脳卒中、外傷、事故、糖尿病、感染症による死亡では逆相関がみられたが、がんによる死亡では同関連はみられなかった。これらの結果は、喫煙歴がない人、基線の健康状態が良好ないしは特に良好と報告した人のサブグループでも同様だった。(朝田哲明:医療ライター)

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「Breaking up with Diabetes」にむけて ~第55回日本糖尿病学会年次学術集会 レポート~

 参加者が約1万3千人と、過去最大の規模となった今回の学術集会。演題数は2,284題と過去最高となり、「糖尿病領域」の盛り上がりを肌で感じられる学会であった。【依然、注目度の高い糖尿病領域】 実際、4月1日から実施となったHbA1c国際標準化や「糖尿病治療ガイド2012-2013」の発行など、今春も糖尿病領域の話題は豊富だ。理事長声明においても、理事長の門脇氏がHbA1c国際標準化に触れ、「糖尿病臨床・研究・治験のさらなる国際化を目指す」とともに、「診療におけるHbA1cの認知向上につなげたい」と述べた。 また、エビデンス構築の一環としてJ-DOIT3の概要が発表された。本試験では、強力な治療介入が糖尿病患者の健康寿命やQOLをどれだけ改善するかを検討する。門脇氏は、「重症低血糖は2例のみでありACCORD試験の200分の1にとどまっている」点から「過去の大規模臨床試験とは異なる新しい結論がみえてくるのでは」と期待を語った。【インクレチン関連薬の演題が急増】 注目が集まる糖尿病領域だが、やはりその引き金は「インクレチン関連薬」ではないだろうか。発売から一定期間を経て多くの臨床成績が集積され、インクレチン関連薬の演題はこの3年で格段に増加したという。 昨年までは各薬剤の「有効性」「安全性」の演題がほとんどであったが、今年は「1年間にわたる長期投与試験」「レスポンダー/ノンレスポンダーの検討」「インスリン使用者への投与・離脱例の紹介」「DPP-4阻害薬間の切り替え症例」など一歩踏み込んだ切り口でのインクレチン関連薬の口演、ポスター発表を目にした。【見えてきた、2次無効例の存在】 長期投与試験の結果で印象的だったのは、一部で2次無効例の存在がみられたことであった。集積途中のデータとはいえ、期待のインクレチン関連薬でも、長期の血糖コントロールは一筋縄ではいかないという事実に、糖尿病治療の難しさを再認識させられた。患者自身の生活習慣の悪化という根本原因に、歯止めをかける治療が求められているのかもしれない。「レスポンダー/ノンレスポンダーの検討」は、昨年よりは踏み込んだ研究であったものの、残念ながら、「今後の長期的検討が必要」「多くの症例蓄積が必要」というまとめに変化はなく、今後予定される大規模臨床試験に期待がかかる。【インスリンからの切り替え・離脱例の増加】 一部の適応追加が影響したのかGLP-1受容体作動薬、DPP-4阻害薬ともに「インスリン使用者への投与・離脱例の紹介」がみられた。インスリン分泌能の保持された患者での順調な離脱例の報告もあったが、症例によってはやや危険と思われる離脱報告もあり、適正使用が重要と感じた。とくに、インスリン使用者のDPP-4阻害薬への切り替えについては血糖コントロールの点からも慎重さが求められるのではないだろうか。【次世代の薬 :SGLT2選択的阻害薬】 さて、インクレチン関連薬に続く新しい波、として期待される薬剤がある。「SGLT2選択的阻害薬」だ。原尿からのブドウ糖の再吸収を減らし、ブドウ糖を尿から排泄させる、という新規作用機序をもつ薬剤でありポスター、演題で取り上げられた。新薬セッションでは各開発メーカー担当者が座長より質問を受ける一幕もみられ、注目度の高さがうかがわれる。 現在開発中のSGLT2選択的阻害薬には、イプラグリフロジン(アステラス製薬/寿製薬)、ダパグリフロジン(米ブリストル・マイヤーズスクイブ/英アストラゼネカ)、トホグリフロジン(中外製薬)、カナグリフロジン(田辺三菱製薬)、ルセオグリフロジン(大正富山)、エンパグリフロジン(日本ベーリンガーインゲルハイム/リリー)等がある。【新規超持効型インスリン:デグルデクへの期待】 インスリンのトピックスとしては、開発中の新規超持効型インスリン製剤であるインスリン デグルデク(以下、デグルデク)に注目したい。 デグルデクは、皮下でマルチヘキサマー(インスリン6量体の長鎖)を形成し、その後、亜鉛(Zn)の解離とともに端から1つずつモノマーとなって血中へ移行する。これにより緩徐に血中に吸収され、長時間にわたる作用を示す。今回、インスリン グラルギン(以下、グラルギン)に対する非劣性試験結果においてグラルギンと同等の血糖改善と低血糖のリスク低下が報告された。低血糖をきたしにくいインスリン製剤として期待される。【まとめ】 インクレチン関連薬発売から一定期間を経過し、臨床データは増加傾向にある。とはいえ、解明されていない事は多い。かたや、糖尿病有病率については依然増加し続けている。 門脇氏は「Breaking up with Diabetes(糖尿病よ、さようなら)」こそが糖尿病治療の最終目標である、と述べる。目標達成のためには根本的な糖尿病の予防・治療法の開発に継続して取り組む必要がありそうだ。【編集後記】 インクレチン関連薬発売を経て、糖尿病領域はにわかに活性化している。今がまさに過渡期であり、近い将来、新しいエビデンスや新薬、画期的な治療が現れ、「糖尿病治療を取り巻く現況」は大きく変化していくのかもしれない。今回はその前触れを感じさせる学会であった。 変化を迎えようとしているこの時代に糖尿病の予防・治療に関わる最新情報を発信できることは医療情報を発信する側の人間として幸運なことといえよう。 「Breaking up with Diabetes(糖尿病よ、さようなら)」の実現にむけ、我々も、タイムリーで適切な医療情報の伝達に努めていきたい。

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アログリプチンとメトホルミンの国内併用試験

 日本人2型糖尿病患者を対象に、メトホルミン+アログリプチン併用療法とメトホルミン単剤療法の有効性と安全性を比較した国内試験結果が発表された。関西電力病院の清野氏らによる研究で、Diabetes Obes Metab誌オンライン版に2012年5月14日掲載された。 対象は食事療法、運動療法に加えてメトホルミン(500 mg /日または750 mg /日)を追加しても血糖コントロールが不十分な日本人2型糖尿病患者288名。無作為二重盲検並行群間比較法により、メトホルミン投与に加え、アログリプチン(12.5 mg/日または25mg/日)またはプラセボを1日1回12週間投与した。 その後、276名は40週にわたりオープンラベルの延長試験を行った。 主要評価項目は治療12週後のベースラインからのHbA 1c値変化量と52週後の有害事象発現率。 この結果、メトホルミン単独でコントロールが不十分な2型糖尿病日本人患者に対し、アログリプチン(12.5 mg/日または25 mg/日)の追加投与が安全かつ有効であることが証明された。 主な結果は以下のとおり。・12週後のHbA1c値のベースラインからの変化量について、アログリプチン追加投与群で有意な低下がみられた。(アログリプチン12.5 mg/日 追加投与群:-0.55%、アログリプチン25 mg/日 追加投与群:-0.64%、プラセボ群:0.22%、P

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日本人の睡眠満足度は低い「より積極的な問診が必要」-日米仏3ヵ国睡眠調査より-

現代では24時間型の生活習慣による生活の乱れや、高齢化、ストレスに満ちた社会環境などにより、国民の約5人に1人は睡眠に悩んでいるといわれ、不眠症は誰にでも起こりうる現代病のひとつといえる。不眠は、集中力や気力、充実感といった日中パフォーマンスの低下を招くだけでなく、糖尿病や高血圧をはじめとする生活習慣病やうつ病のリスクともなる。現代社会における睡眠、不眠に対する意識や行動の実態を把握するため、睡眠専門医である林田 健一氏の監修のもと、アステラス製薬株式会社ならびにサノフィ・アベンティス株式会社は、日本・アメリカ・フランスの3ヵ国で約7,000人を対象に睡眠に関する意識と行動についてのインターネット調査を実施した。本調査結果は、2012年5月22日、アステラス製薬株式会社とサノフィ・アベンティス株式会社によるプレスセミナーにて発表された。日本人の睡眠時間は米仏と比べ、約0.5時間短い平日の平均睡眠時間は、日本は6.50時間で米国の7.01時間、仏国の7.07時間より約0.5時間短く、平均睡眠時間が6時間未満の割合は、日本が最も多く19.8%、米国12.5%、仏国10.2%であった。また、日本人は睡眠時間に対する満足度も最も低かった。日本人は睡眠の質に対する満足度も低く、日中パフォーマンスも低下睡眠の質への満足度調査では、「満足」と回答した割合は米国59.4%、仏国61.1%に対し、日本は44.7%であった。一方、「不満」と回答した日本人は36.0%と約3人に1人が睡眠の質に不満であることが明らかとなった。日中パフォーマンスとして評価した「集中力、気力・充実感の低下」および「眠気」を感じる人の割合は、日本はいずれの項目でも米仏より高い結果であった。とくに、「集中力がない」と回答した割合は、米仏(各4.5%、9.7%)に対して日本人は17.4%、「日中に眠気を感じる」が米仏(各56.0%、30.3%)に対して日本人70.9%、と米仏との間に大きな開きがあった。また、日本人では睡眠の質に対する満足度が低いほど日中パフォーマンスの低下が顕著にみられた。不眠の対処法-日本人は「寝酒」、米仏では「かかりつけ医に相談」-不眠症状のある人(アテネ不眠尺度6点以上)を対象に、不眠への対処を調査したところ、日本では「お酒を飲む」19.5%、「医師から処方された睡眠薬を飲む」13.7%、「何もしない」13.1%の順であった。米仏では「医師から処方された薬を飲む」(各19.2%、16.9%)、「医師の診察を受ける」(各18.6%、19.9%)の割合が多く、日本とは対照的な結果であった。次いで、不眠症状がある人が医療機関を受診した割合では、米国27.3%、仏国25.6%に対し、日本は15.7%と低い結果であった。また、不眠症状があるが受診経験のない人を対象に「不眠の改善に良いと思う診療科」を尋ねたところ、米仏では「かかりつけ医(内科)」(各49.8%、66.7%)の割合が多いが、日本では25.9% と低く、さらに31.4%が「わからない」と回答した。加えて、「かかりつけ医から睡眠について聞かれた経験がある」と回答した割合は、米仏(各29.8%、47.2%)と比べ、日本人では20.8%と低かった。求められる、かかりつけ医の役割「積極的な睡眠の問診と治療を」今回の調査結果から、日本人は睡眠時間や睡眠の質に関する悩みを抱えているものの、米仏と比べ医師に相談することも少なく、寝酒で不眠対処をする傾向 があることがわかった。林田氏は「不眠の予防、早期発見、治療は日本人の健康と安全を守るうえで重要であり、かかりつけ医には睡眠についてより積極的な問診を実施し治療を行うことが求められる」と語った。 【調査概要】 調査目的:睡眠、不眠に対する意識や行動の実態を把握する調査対象:日米仏の成人、計6,973人(30歳以上)     日本 3,282人(男性:49.8%、女性:50.2%)     米国 1,725人(男性:49.8%、女性:50.2%)     仏国 1,966人(男性:49.6%、女性:50.4%)調査手法:インターネット調査(2011年8月18日~24日) (ケアネット 鷹野 敦夫) 【関連コンテンツ】 転倒リスクを見据えた睡眠薬の選択http://mrp.carenet.com/project/269/c/120525 睡眠薬の分類と特徴からみたマイスリーの特性http://mrp.carenet.com/project/253/c/120525

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糖尿病スクリーニングでは、空腹時血糖値とHbA1c値の両方測定が有効か?

2型糖尿病のスクリーニングにおいて、空腹時血糖値(FPG)単独、またはHbA1c値単独、あるいはその両方の測定、のいずれが有用かを比較検討した後ろ向きコホート研究の結果が発表された。帝京大学の野村氏らにより、PLos One誌(2012年4月27日付)に報告された。 対象は、ベースライン時点で糖尿病を発症していない19歳~69歳の9,322名の日本人成人(男性:4,786名、女性:4,536名)。有用性は、予測値(PV)、感度、特異性、最大カットオフ値における最大ROC曲線下面積(AUROC)により評価した。その結果、FPGが一般集団で糖尿病を予測するために最も有用であることが明らかとなった。しかし、FPGが6.1~6.9 mmol /Lの被験者群では、FPGの有用性は低かった。また、女性ではHbA1c値が糖尿病予測に最も有用であったのに対し、男性はFPGとHbA1c値の診断能に区別がなかった。このことから、糖尿病発症予測においては、FPGとHbA1c値の両方を測定しておく方が有用である可能性が示された。主な結果は以下のとおり。 ・フォローアップ期間は平均6年・期間中、男性221名(4.6%)と女性92名(2%)が糖尿病を発症した。・FPGではカットオフ値(男性5.67 mmol / L、女性5.5 mmol / L)において、最大のAUROC、PV(男性13%、女性9%)を得た。・FPGが6.1~6.9 mmol / Lであるハイリスク群において、男性119人(26.8%)、女性39人(28.3%)が糖尿病を発症した。・男性ではFPGとHbA1c値の診断能に区別がなかった。・女性ではHbA1c値が最も有用であった。(ケアネット 佐藤 寿美)

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双極性障害患者の「うつ症状」は心血管イベントリスクを高める

Slomka氏らは双極性障害患者の気分症状と心血管イベント(CVD)リスクとの関係を調査し、「双極性障害患者のうつ症状は10年後のCVDによる死亡リスクと関連する」ことを報告した。この論文は、J Affect Disord誌2012年5月号(オンライン版2月21日付)に掲載された。VA クリニック の外来を受診している退役軍人 のうち、CVD危険因子を有する双極性障害患者118例を対象にコホート研究をおこなった。本研究では気分症状(抑うつ症状、躁症状)とフラミンガムリスクスコアとの関係および精神症状とCVDリスクファクター(脂質、血圧、体重、喫煙、空腹時血糖)との関係を調査した。主な結果は以下のとおり。 ・対象者は平均年齢53歳(標準偏差:9.9)、男女比=82:17、BMI 30以上が約70%、脂質異常症合併が84%、高血圧合併が70%、糖尿病合併が25%、フラミンガムスコア(10年以内の心血管イベントリスクを示すスコア)が20%を超える割合が19%であった。・うつ 症状を有する患者ではフラミンガムスコアが20%を超える割合が6倍であった(オッズ比:6.1、p=0.03)が、躁症状を有する患者ではフラミンガムスコアとの関係は認められなかった(オッズ比:0.6、p=0.03)。・うつ症状はBMI高値 、空腹時血糖、血圧の上昇との関連が認められた。(ケアネット 鷹野 敦夫)

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日本人でも早食いは2型糖尿病のリスクに

食べるスピードと日本人男性2型糖尿病発症率との関連を調べた研究結果が発表された。対象は、金属製品工場に勤務する中年層の日本人男性2,050名。参加者を自己申告による食べるスピード別に分類し、評価した。糖尿病発症率は7年間にわたって毎年実施される健康診断の結果を用いて評価した。食べるスピードと糖尿病発症率との関連は、年齢、糖尿病の家族歴、喫煙、飲酒、運動習慣、高血圧・高脂血症の有無といった複数因子の調整を行ったうえで、Cox比例ハザードモデルを用いて評価した。結果、食べるスピードと糖尿病発症率とに関連がみられた。ただし、BMI調整後はこの関連に有意差がなかったことから、早食いが引き起こす体重への影響が関与している可能性が示唆された。食べるスピードは比較的コントロール可能な危険因子であり、ゆっくりと食べることが糖尿病予防にも有用な可能性があるといえる。主な結果は以下のとおり。 ・食べるスピード別に「ゆっくり、普通、早い」の3カテゴリーに分類・BMI 25以上の肥満者の割合は「ゆっくり」で14.6%、「普通」で23.3%、「早い」で34.8%と、食べるスピードが速いほど高い肥満有病率を示した。・試験期間中、177人の参加者が糖尿病を発症した。・各カテゴリーにおける糖尿病発症率(1,000人・年あたり)は「ゆっくり」で9.9、「普通」で15.6、「早い」で17.3であった。・多変量調整ハザード比(95%信頼区間)でみると、「ゆっくり」を1.00とした場合、「普通」で1.68(0.93~3.02)、「早い」で1.97(1.10~3.55)と、食べるスピードは糖尿病発症と関連していた(p= 0.030)。・ただし、BMI調整後、有意な相関は認められなかった。(ケアネット 佐藤 寿美)

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日本人健診データからみる、hsCRPと糖尿病発症の関係

糖尿病発症と高感度C-反応性タンパク質(hsCRP)との関係を明らかにする目的で、日本人男性を対象とした5年間の前向きコホート研究が行われた。試験参加者は2005年~2010年の間に毎年健康診断を受けた鉄鋼工場勤務の19~75歳の日本人男性7,392名。本研究のエンドポイントである新規糖尿病発症は、HbA1c値が6.5%以上、または、抗糖尿病薬服用として定義した。年齢、ベースライン時のBMI、ベースライン以降のBMI増加、血液生化学検査の値、業務スケジュールや業務上のストレス、といった、さまざまな因子を調整し、ロジスティック回帰分析を用いて調べた。主な結果は以下のとおり。 ・本研究における糖尿病発症率は13.9/1000人・年であった。・多変量解析の結果、糖尿病発症と、ベースライン時点におけるhsCRP高値、ベースライン以降のhsCRP上昇との間に有意な相関がみられた。オッズ比は2.9[±1幾何標準偏差]・ベースライン時点におけるhsCRP高値とのオッズ比は1.18(95%信頼区間[CI]:1.03~1.34、P=0.018]、およびベースライン以降のhsCRP上昇とのオッズ比は1.21(95%CI:1.03~1.41、P=0.018)であった。・hsCRPは、BMI、業務スケジュールや業務上のストレスといったさまざまな交絡因子と同様、日本人男性における糖尿病発症の独立した予測因子であることが示された。(ケアネット 佐藤 寿美)

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日本睡眠学会第37回定期学術集会のご案内 会長の井上氏より

2012年6月28~30日にパシフィコ横浜にて日本睡眠学会第37回定期学術集会が開催されます。会長の井上雄一氏より寄稿文をいただきました。是非ご覧ください。来る平成24年6月28日から30日の3日間、パシフィコ横浜(神奈川県横浜市)にて、日本睡眠学会第37回定期学術集会を会長として主催いたします。本学術集会は毎年1回、睡眠ならびに生体リズムのメカニズムと病態、社会的意義を解明し、実生活に活かすことを目的に開催され、全国の基礎医学、社会医学、臨床医学、薬学、検査医学、臨床ならびに実験心理学、看護学等の研究者や臨床家が参加し、過去最多となる45のシンポジウムが予定されています。本年度は「睡眠研究 新世代への架け橋」をテーマに掲げ、快適な睡眠がストレス社会の現代で人間性を回復させるために重要であり、睡眠健康の増進が高血圧や糖尿病という生活習慣病の予防・治療や、うつ病に代表される精神疾患、ひいては自殺の抑制にも有益であることを訴求、提案していく予定です。今回は、睡眠学の学際的な進歩を広く若手研究者に普及・拡大させるのみならず、睡眠を専門としない医療関係者の皆様にも広く門戸を開くため、開催期間中は常時、学会員以外の医療関係者が聴講できるシンポジウムを開催いたします。本学会は、事前の参加申込み不要、当日会場にて参加登録頂けます。多くの医師、医療関係者の皆様のご参加をお待ちしております。 日本睡眠学会第37回定期学術集会会長 井上 雄一東京医科大学睡眠学講座 教授 医療法人社団絹和会 理事長公益財団法人神経研究所附属睡眠学センター センター長 日本睡眠学会第37回定期学術集会テーマ:「睡眠研究 新世代への架け橋」会 期:2012年6月28日(木)/29日(金)/30日(土)会 場:パシフィコ横浜 http://www.pacifico.co.jp/(神奈川県横浜市西区みなとみらい1-1-1) 主なシンポジウム: ■6月28日(木)シンポジウムS2「睡眠呼吸障害と上気道~睡眠中の上気道と呼吸調節における進歩」シンポジウムS4「頭痛と睡眠障害」シンポジウムS7「不眠症治療薬開発の現状と未来」シンポジウムSS2「睡眠と生活習慣病がからむ血管内皮機能障害」 ■6月29日(金)シンポジウムS15「循環器領域における睡眠呼吸障害のガイドラインを検証する」シンポジウムS21「OSAS治療の長期化について考える」シンポジウムS22「産業保健と睡眠・睡眠障害」シンポジウムS26「高齢社会における睡眠障害の意義と対応」 ■6月30日(土)シンポジウムS30「我が国における不眠症に対する認知行動療法の現状(CBT-I up to date in Japan)」シンポジウムS34「睡眠関連運動障害」  *シンポジウムの最新情報はウェブサイトにて随時更新しています。 日本睡眠学会第37回定期学術集会ウェブサイト:http://www.c-linkage.co.jp/jssr37/本学会はFacebook、Twitterも開設しています。Facebook: http://www.facebook.com/jssr37Twitter: http://twitter.com/37jssr

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日本人を含むアジア人を対象にした、リキシセナチド1日1回投与の有効性

アジア人の2型糖尿病患者を対象とした、リキシセナチド1日1回投与の有効性と安全性に関するデータが示された。スルホニル尿素薬(SU薬)併用の有無にかかわらず、基礎インスリン投与下で、GLP-1受容体作動薬のリキシセナチドを1日1回追加投与することで、プラセボ群に比べ、HbA1cが有意に低下することが明らかになった。これは、日本人を含むアジア人2型糖尿病患者を対象に検討した臨床第3相試験「GetGoal-L-Asia」試験の結果である。関西電力病院院長の清野氏らの報告によるもので、SU薬併用の有無にかかわらず、基礎インスリンを投与されている、日本、台湾、フィリピン、韓国のアジア4ヵ国から登録した311例(リキシセナチド群n=154、プラセボ群n=157)が対象。リキシセナチド追加による効果をHbA1c変化値の観点から検討することを目的に実施された。主要評価項目は24週後のHbA1c値の変化である。無作為化二重盲検比較試験。主な結果は以下のとおり。 ・リキシセナチド1日1回投与群の24週時点でのHbA1c値の変化は、プラセボと比べ-0.88%(95%信頼区間:-1.116~‐0.650 , p

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2型糖尿病肥満、薬物療法+外科的肥満手術で血糖コントロール有意に改善

2型糖尿病非コントロールの肥満患者について、薬物療法に加えて胃バイパス術など外科的肥満手術を行うことが、薬物療法単独よりも有意に血糖コントロールを達成するとの報告が発表された。米国・Bariatric and Metabolic InstituteのPhilip R. Schauer氏らが、無作為化非盲検単独施設試験の結果、報告したもので、これまでは観察研究においては、胃バイパス術などを受けた2型糖尿病患者における病状の改善が認められていた。NEJM誌2012年4月26日号(オンライン版2012年3月26日号)掲載報告より。150例を対象に薬物療法単独と外科的手術群の血糖コントロール改善を比較Schauer氏らによるSurgical Treatment and Medications Potentially Eradicate Diabetes Efficiently(STAMPEDE)試験は、2007年3月から2011年1月にクリーブランドクリニック単施設で行われた無作為化試験で、2型糖尿病を有するBMI 30~35以上の肥満患者を対象に、血糖コントロール達成について、薬物療法単独と外科的手術(Roux-en-Y胃バイパス術と胃切除術)を併用する群とを比較して行われた。被験者は150例、平均年齢は49±8歳、66%が女性であり、血糖値平均は9.2±1.5%であった。追跡期間は12ヵ月、主要エンドポイントは、治療12ヵ月後に血糖値6%以下に到達した患者の割合とした。被験者150例のうち93%が、12ヵ月の追跡期間を完了した。治療後の血糖値平均、薬物療法単独群7.5%に対し、胃バイパス術群6.4%、胃切除群6.6%結果、主要エンドポイントを達成した患者の割合は、薬物療法単独群12%(5/41例)に対し、胃バイパス術群42%(21/50例、P=0.002)、胃切除群37%(18/49例、P=0.008)だった。血糖コントロールは3群すべて改善したが、薬物療法単独群の改善された血糖値平均7.5±1.8%に比べて、胃バイパス術群は6.4±0.9%(P<0.001)、胃切除群は6.6±1.0%(P=0.003)だった。手術群はいずれも、術後は血糖降下薬、脂質低下薬、降圧薬の使用量が減少した。一方で、薬物療法群は増量していた。また、手術群はインスリン抵抗性指数(HOMA-IR)も有意に改善していた。その他には、患者4例が再手術を受けていたが、死亡や命に関わるような合併症の発生例はなかった。研究グループは今回の結果を受け、さらなる無作為化試験での検証の必要性を提言している。

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耐糖能異常から糖尿病に移行する患者は、高血圧も発症しやすい

耐糖能異常において2型糖尿病の発症と高血圧の発症は深く関連しており、αグルコシダーゼ阻害薬アカルボース投与によって、食後高血糖を改善することにより高血圧の発症を糖尿病の発症と同様に抑制することがSTOP-NIDDMの事後解析の結果、示唆された。この解析結果は5月8日に、Journal of Hypertension誌のオンライン版に速報された。STOP-NIDDM試験のデータを事後解析独ドレスデン工科大学のHanefeld氏らは、the Stop non insulin dependent diabetes mellitus(STOP-NIDDM)試験のデータを事後解析し、高血圧発症の危険因子を探索した。STOP-NIDDM試験におけるITT解析適格例1,368人中、702人(51.3%)は既に高血圧を発症していた。主な結果は下記のとおり。1. ベースライン時に正常血圧であった666人中、96人が  3.3年の追跡期間中に高血圧を新たに発症した。2. 高血圧発症の最大の危険因子は、ベースライン時の腹部肥満であった。 (ハザード比:1.91、95%信頼区間:1.19-3.05、P

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