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血圧長期変動性よりも若年時の血圧が、冠状動脈石灰化スコアに影響を及ぼすことが明らかになる(コメンテーター:石上 友章 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(186)より-

高血圧のもつリスクは、大きく二種類に分けることができる。固有の血圧値に由来するリスクと、変動する血圧値に由来するリスクの2つである1)。 近年、ABPMや家庭血圧計の普及により、高血圧治療の質を高めるために、日内変動や、日間変動といった血圧変動を評価することが勧められている2)。現時点では、それぞれの変動幅の抑制や、改善にどのクラスの降圧薬が有効なのかについては、探索的な研究の結果が報告されている程度にとどまっている3)。将来、降圧薬ではなく、変動性改善薬というような、新規の薬物が有効とされるかもしれないが、今後の研究成果を待たなければならないだろう。 Allenらによる本論文では、CARDIA研究のコホートを対象に、25年という長期間にわたるデータから、若年時の血圧値および、中年期にかけての血圧長期変動性の違いにより、対象が5種類のTrajectoryに分類(five discrete trajectory groups)されることを報告している。 さらに25年の時点での、マルチスライスCTによる冠状動脈石灰化スコアを指標にした解析の結果、観察開始時点で血圧が上昇している(Elevated)グループでは、その後の血圧が安定していても(Stable)、上昇(Increasing)しても、有意に冠状動脈石灰化スコアが高かった。開始時点で中等度の血圧を呈して、25年の間に高値安定群よりも血圧が高値になる、中等値-上昇(Moderate-increasing)群では、石灰化スコアに与える影響は有意ではなかった。このことは、血圧の長期変化よりも、起点となる血圧値が予後に影響を与えていることを示唆している。 冠動脈石灰化スコアという、静的なエンドポイントによる評価であり、プラーク破綻といった生命予後に直結する動的なエンドポイントに与える影響については、改めて検討しなくてはならないだろう。本研究では、交絡する複数のリスクについてModel 1~Model 3の3パターンで検討している。年齢、人種、教育歴、性別、降圧薬の使用、脂質、糖尿病、喫煙、BMI (以上Model 1)、さらには開始時血圧 (Model 2)、25年時血圧 (Model 3)で補正しても、この関係はかわらない。Model 2の解析による結果は、一見すると開始時血圧の重みについて一貫してないようにもみえるが、本論文では他の交絡因子についての詳細なデータの提示がないので、より深く検討することはできない。 今後は、本コホートに由来する続報や、他の報告による結果に期待したい。

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糖尿病による脳卒中リスクに男女差はあるか?/Lancet

 脳卒中のリスク因子としての糖尿病について、性差による違いがあるかどうかを調べた結果、男性よりも女性のほうが受ける影響が強いことが明らかになった。オランダ・ユトレヒト大学のSanne A E Peters氏らがシステマティックレビューとメタ解析にて、被験者77万5,385例、うち脳卒中1万2,539例を含む64コホートを分析し報告した。糖尿病は脳卒中の強力なリスク因子であるが、これまで性差により違いがあるのかについては検討されていなかった。Lancet誌オンライン版2014年3月7日号掲載の報告より。脳卒中と糖尿病の性差による関連を分析 研究グループはPubMedにて、1966年1月1日~2013年12月16日の間に発表された前向き住民ベースのコホート研究を検索し、脳卒中と糖尿病の関連について性特異的相対リスク(RR)およびその変動性を報告していた研究を特定し分析した。 性特異的RRをプールし、女性と男性の比率をランダムエフェクトメタ解析の逆分散重みづけ法を用いて比較した。女性糖尿病患者の脳卒中リスク、男性糖尿病患者の1.27倍 結果、脳卒中と糖尿病のプール最大補正後RRは、女性が2.28(95%信頼区間[CI]:1.93~2.69)、男性は1.83(同:1.60~2.08)だった。すなわち男性糖尿病患者と比較して女性糖尿病患者のほうが脳卒中リスクは高く、プールRR比は1.27(1.10~1.46、I2=0%)だった。出版バイアスのエビデンスはなかった(p=0.65)。 これらの性差は事前規定の主要脳卒中、参加者、試験サブタイプを問わず一貫していた。 結果を踏まえて著者は、「脳卒中の糖尿病による過剰リスクは、男性よりも女性で有意に高く、性差は、その他の主要心血管リスク因子とは独立していることが示された」とまとめている。そのうえで、「今回得られたデータは、男性と女性では糖尿病関連の疾患発生が異なるという既存のエビデンスレベルを上げるとともに、さらなる検討により、生物学的、行動学的または社会構造的関連を明らかにする必要があることを示唆するものである」と結んでいる。

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ACTH非依存性クッシング症候群に関与する遺伝子変異が判明/NEJM

 プロテインキナーゼA(PKA)の触媒サブユニットの遺伝子変異が、両側性副腎過形成や片側性コルチゾール分泌副腎皮質腺腫に関与していることが、ドイツ・ヴュルツブルク大学のFelix Beuschlein氏らが行った検討により判明した。副腎皮質の腫瘍や過形成は、コルチコトロピン非依存性のクッシング症候群を引き起こす。しかし、その分子学的発生機序は解明されていなかった。NEJM誌オンライン版2014年2月26日号掲載の報告より。エクソーム配列解析で変異を特定 研究グループは、コルチゾール産生副腎腺腫10例の主要組織標本について、エクソーム配列解析を行い変異を特定し、副腎腫瘍171例の遺伝子について同変異の有無を分析した。また、コルチゾール分泌両側性副腎過形成の患者35人については、全ゲノムコピー数解析を行った。 そのうえで、遺伝子異常が、臨床的、または生体外で及ぼす影響について分析した。PRKACA体細胞変異は片側性コルチゾール分泌副腎皮質腺腫の原因に エクソーム配列解析の結果、PKAの触媒サブユニットをコードしているPRKACAの体細胞突然変異が、10例中8例に検出された。 顕性クッシング症候群の患者59例中22例(37%)で、片側性腺腫にPRKACA体細胞突然変異が見つかった。一方、同変異は潜在性副腎皮質ホルモン過剰症の40例や、その他の副腎腫瘍の認められる82例については、検出されなかった。 コルチゾール分泌副腎過形成の患者35例では、PRKACAを含む第19染色体のゲノム領域の生殖細胞系の重複が認められた。 これらの所見を踏まえて研究グループは、PKAの触媒サブユニットの遺伝子変異は、ヒトの疾患に関連しており、生殖細胞系の重複は両側性副腎過形成の、PRKACAの体細胞変異は片側性コルチゾール分泌副腎皮質腺腫に関連していると結論づけた。

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COPD増悪入院患者の約半数で無呼吸症候群

 COPD増悪入院患者では、一般集団や安定期COPD患者と比べて、睡眠時無呼吸症候群(OSA)の有病率が高いことが、チェコ共和国・St. Anne's大学病院のPavel Turcani氏らによる検討の結果、明らかにされた。COPDとOSAの併存は、オーバーラップ症候群として広く認識されている。しかし、安定期COPD患者のOSA有病率に関するエビデンスは限定的なものしかなく、COPD増悪入院患者のOSA有病率のデータはなかった。Biomedical Papers of the Medical Faculty of the University Palacky誌オンライン版2014年2月25日号の掲載報告。 先行研究において、COPD有病率はEUでは4~6%、米国成人集団では5%超と報告されており、またOSAについては一般集団で5~15%との報告がある。一方、COPDとOSAの併存については、最大29%との研究報告がある一方で、両者の結びつきを否定する報告もあった。 研究グループは、COPD増悪入院患者におけるOSA併存者の割合を明らかにすること、また、COPD被験者に認められるOSAの交絡因子を明らかにすることを目的に、2013年2月から5月の4ヵ月間に、St. Anne's大学病院の呼吸器科部門にCOPD増悪で入院した101例の患者を対象に検討を行った。 試験には79例の連続患者が登録され、そのうち35例にポリグラフィを実施。記述統計、マン-ホイットニー検定、クラスカル-ウォリス検定、スピアマン相関分析、フィッシャー検定にて結果を要約・評価した。 主な結果は以下のとおり。・ポリグラフィを実施した35例のうち、無呼吸低呼吸指数(AHI)5以上のOSAを有することが示唆されたのは18例(51.4%)であった。AHI 5~15が9例、同15超が9例であった。・AHIは睡眠障害の重症度分類指標であると同時に、「Mallampatiスコア分類」「いびき」「無呼吸」「冠動脈疾患」「糖尿病既往」「身長」「BMI」「頸囲」「ウエスト周囲径」「ヒップ周囲径」「エプワース眠気尺度」とそれぞれ有意な相関関係を示した。■「COPD増悪」関連記事COPD増悪抑制、3剤併用と2剤併用を比較/Lancet

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米国で試行のメディカルホーム、その効果は?/JAMA

 米国では、チーム医療でより質の高いプライマリ・ケアを、効果的に実施することを目的とした「メディカルホーム」が試験的に行われている。米国・RAND CorporationのMark W. Friedberg氏らによる検討の結果、従来型のプライマリ・ケアに比べ、その効果は限定的であることが報告された。結果を踏まえて著者は、「メディカルホームの仕組みについて、改善する必要があるようだ」と述べている。JAMA誌2014年2月26日号で発表した。メディカルホームと従来型プライマリ・ケアの患者、それぞれ約6万人を比較 Friedberg氏らは、2008年6月~2011年5月にかけて、メディカルホームのパイロット試験「Southeastern Pennsylvania Chronic Care Initiative」に初期から参加する、32のプライマリ・ケア診療所の患者6万4,243人について検討を行った。保険請求データを基に、医療の質、医療サービスの利用率、医療費などを求め、対照群としてパイロット試験に非参加の29ヵ所のプライマリ・ケア診療所の患者5万5,959人と比較し、差分の差(difference-in-differences;DID)分析を行った。 パイロット試験に参加する診療所は、疾病登録と技術的協力を受け、全米品質保証委員会(NCQA)により患者中心のメディカルホームを達成したことに対するボーナスを得ることが可能であった。 主要アウトカムは、糖尿病、喘息、予防医療、入院率、救急室や外来の利用率、医療ケアの標準化コストに関する11項目の質評価に関する指標だった。メディカルホームで改善は11項目中1つのみ その結果、11項目のうち改善が認められたのは、糖尿病患者に対する腎障害スクリーニングの1項目についてのみであった。対照群では3年補正後実施率が71.7%だったのに対し、メディカルホーム群では82.7%と有意に改善した(p<0.001)。 その他の医療サービスの利用率やコストについて、メディカルホーム群は対照群に比べ、有意な改善が認められなかった。 なお3年間の試験期間中に、メディカルホームに参加した診療所は、プライマリ・ケア医1人当たり平均9万2,000ドルのボーナスを得た。 これらの結果を踏まえて著者は、「3年間についてみたメディカルホームは、入院、救急室、外来サービスの利用や総コストの低減に関連していなかった。メディカルホームの仕組みについて、さらなる改善の必要があるようだ」とまとめている。

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輸血を必要としたPCI施行患者の転帰/JAMA

 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を受けた患者における赤血球輸血の施行には、かなりのばらつきがあること、また輸血を受けた患者において入院中の有害心イベントリスクの増大と関連していることが明らかにされた。米国・デューク大学臨床研究所のMatthew W. Sherwood氏らが、米国内病院でPCIを受けた患者について調べた結果、判明した。著者は、「今回観察された所見は、PCI患者の輸血戦略に関する無作為化試験実施の根拠となりうるものである」と述べている。JAMA誌2014年2月26日号掲載の報告より。輸血の頻度および輸血と心筋梗塞、脳卒中、死亡の関連について評価 研究グループは、PCI患者の輸血パターンの現状と有害心転帰との関連を明らかにするため、2009年7月~2013年3月にCathPCI Registryに登録された全受診患者を対象に、後ろ向きコホート研究を行った。 被験者は、出血性合併症に関するデータが紛失した患者または入院中に冠動脈バイパス移植術を受けた患者を除いた、PCI施行患者225万8,711例であった。 主要アウトカムは、全集団および全病院(1,431病院)における輸血率であった。また、患者の輸血に関する傾向の交絡因子で補正後、輸血と心筋梗塞、脳卒中、死亡の関連についても評価した。輸血を受けた患者の心筋梗塞2.60倍、脳卒中7.72倍、院内死亡4.63倍 結果、全体の輸血率は2.14%(95%信頼区間[CI]:2.13~2.16%)であった。輸血率は2009年7月から2013年3月の間の4年間で輸血率は、2.11%(95%CI:2.03~2.19%)から2.04%(同:1.97~2.12%)に、わずかだが低下していた(p<0.001)。 輸血を受けた患者は、高齢で(平均70.5歳vs. 64.6歳)、女性が多く(56.3%vs. 32.5%)、高血圧(86.4%vs. 82.0%)、糖尿病(44.8%vs. 34.6%)、腎障害の進行(8.7%vs. 2.3%)、心筋梗塞既往(33.0%vs. 30.2%)、心不全既往(27.0%vs. 11.8%)を有する傾向がみられた。 全体で、96.3%の病院で輸血率が5%未満であった。残る3.7%の病院で5%以上の輸血率だった。病院間の輸血率のばらつきは補正後も変わらず、病院間に輸血閾値のばらつきがあることが示唆された。 輸血を受けたことと、心筋梗塞(4万2,803件、4.5%vs. 1.8%、オッズ比[OR]:2.60、95%CI:2.57~2.63)、脳卒中(5,011件、2.0%vs. 0.2%、OR:7.72、95%CI:7.47~7.98)、院内死亡(3万1,885件、12.5%vs. 1.2%、OR:4.63、95%CI:4.57~4.69)との関連が、出血性合併症に関わりなく認められた。

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男性は適度な飲酒で糖尿病リスク減少?1日30gのアルコールで血中フェチュインAが低下

 インスリンシグナル伝達を阻害する肝臓由来の糖蛋白であるフェチュインAが、糖尿病リスクのバイオマーカーとして浮上している。適度なアルコール摂取がフェチュインA低下に関連しているが、臨床試験によるデータは不足していた。そこで、オランダのMichel M Joosten氏らは、適度なアルコール摂取がフェチュインA濃度を低下させるかどうかをオープンラベル無作為化クロスオーバー試験で検討した。その結果、男性では適度なアルコール摂取によりフェチュインAが低下した。ただし、この関連は女性では認められなかった。Diabetology & metabolic syndrome誌オンライン版2014年2月18日号に掲載。 著者らは、3種類のオープンラベル無作為化クロスオーバー試験を実施した。1)閉経後女性36人:1日250mLの白ワイン(アルコール量25g)または白ブドウジュースを6週間摂取2)閉経前女性24人:1日660mLのビール(アルコール量26g)またはノンアルコールビールを3週間摂取3)若年男性24人:1日100mLのウオッカ入りオレンジジュース(アルコール量30g)またはオレンジジュースのみを4週間摂取各試験期間後、空腹時の血液サンプルを採取し、データを分析した。 主な結果は以下のとおり。・血中フェチュインA濃度は、それぞれのアルコール摂取なし期間後と比べ、ウオッカ摂取後の男性で減少していた(平均±SEM:441±11から426±11μg/mL、p=0.02)が、ワイン摂取後の女性(448±17から437±17μg/mL、p=0.16)やビール摂取後の女性(498±15から492±15μg/mL、p=0.48)では変化がなかった。・事後検出力分析により、男性で認められた効果と同様の効果を検出するための統計的検出力は、閉経後女性で30%、閉経前女性で31%であることが示された。 男女での効果の差について、著者らは、介入期間が比較的短かったことや、女性での試験では統計的検出力が低かった可能性を挙げている。

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CKD(慢性腎臓病)の定義

CKD(慢性腎臓病)とは腎炎、糖尿病性腎症、慢性糸球体腎炎、腎硬化症などの総称で、進行すると人工透析が必要になります定義は以下の通りです①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、とくに0.15g/gCr以上の蛋白尿(30mg/gCr以上のアルブミン尿)の存在が重要②GFR<60mL/分/1.73m2①、②のいずれか、または両方が3ヵ月以上持続するCopyright © 2014 CareNet,Inc. All rights reserved.

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14)糖尿病治療:真の目的の説明法【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者糖尿病の人は長生きできないんでしょ。頑張って食事療法をしてもあまり意味がないんじゃないんですか?医師そんなことはありませんよ。糖尿病治療の目的はただ単に長生き、つまり延命じゃないんですよ。患者延命じゃない!?医師Aさんは今、元気ですよね。でも、その元気がなくなる時、つまり誰かのお世話になる(介護)時、それまでの寿命のことを「健康寿命」といいます。これを覚えておいてくださいね。患者「健康寿命」ですか。医師そう。Aさんは元気で最後はポックリと逝きたいと思われますか?それとも誰かのお世話になっても長生き、つまりジックリでも長生きしたいと思いますか?患者そりゃもちろん、ポックリ逝けるのがいいです。医師それでは、ポックリ逝けるようにするためにはどうしたらいいか、お話しましょう。患者よろしくお願いします。●ポイント患者さんの言葉に変えて、説明することで、理解が深まります

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インスリン使用患者の実態が明らかに~早期の人ほど悪い血糖コントロール~

 2014年2月25日(火)都内にて、インスリン自己注射を行う2型糖尿病患者407名の意識調査をテーマにセミナーが開かれた(ノボ ノルディスク ファーマ株式会社主催)。演者である東京医科大学の小田原 雅人氏(内科学第三講座 主任教授)は、「血糖コントロールが悪い人ほど、罹病期間が短い」という調査結果を受け、早期からの積極的コントロールの必要性をあらためて強調した。 以下、セミナーの内容を記載する。【目標値は知っていても、達成できているのはたった3割】 調査結果をみると、自身の治療目標値を知っている人は約7割と予想よりも多かった。しかし、その目標値を達成できているのは約3割にすぎなかった。残り7割が目標値未達という治療の現状が浮かび上がった。血糖管理状況を詳しくみると、コントロール不良群でとくに空腹時血糖値が高い傾向にあり、基礎インスリンの投与量が不十分だった可能性がある。【合併症がない人ほど、血糖管理が不十分】 合併症の有無別のコントロール状況はどうだろうか。調査前はHbA1c値が高いほど合併症が多いと予想されたが、結果をみると、HbA1c値が高い群で合併症は少なかった。つまり、合併症がある患者さんは、自身で危機感を感じるためか結果として血糖値がコントロールされる傾向にあるということだ。また、コントロール不良群で罹病期間が短いこともわかった。罹病期間の短い患者さんは、コントロール不十分なまま放置されていることが想定される。罹病期間の短い、いわゆる早期の人ほど血糖コントロールが不十分という事実が明らかになったことで、より早期の厳格介入が必要と示唆される。【血糖管理が良好なほど、低血糖が気になる】 一方で、血糖コントロールが良好な群でもある課題がみえた。低血糖発現を気にする割合が不良群と比べ、高かったのだ。また、「高血糖と低血糖、どちらが気になるか?」という質問の回答をみると、高血糖、低血糖それぞれを選ぶ割合は全体で6:4であり、思いのほか低血糖の割合が高かった。血糖値が安定せずにバラつきがでる原因を患者さんに尋ねたところ、インスリンの種類、単位数、タイミングなどの製剤が原因と考える患者さんが約4割おり、その半数以上が低血糖発現を気にしていた。【基礎インスリンで、厳格な血糖管理と低血糖の不安を軽減】 今回の調査結果から、インスリン治療患者全般において、「基礎インスリン量不足の可能性」「管理不十分な人は、実は、合併症がなく罹病期間も短い傾向」「インスリン使用者の約4割が低血糖を気にしている」といったことが明らかになった。この結果を基に治療を考えると、罹病期間の短い人ほど、十分な基礎インスリンでコントロールを行い、コントロール後は低血糖の懸念を少なくするよう努めることが必要なようだ。 現状のインスリン療法では、「基礎インスリン」が低血糖を起こしにくい点で優れており、BOTの普及により初期導入におけるスタンダードインスリンとなっている。なかでも約1年前に発売されたインスリンデグルデク(商品名:トレシーバ)は、1日1回投与で夜間低血糖の発現頻度を高めずにHbA1cの低下が期待できるという特徴をもつ。小田原氏は「3月に長期処方解禁を迎えることで、よりデグルデクの使用機会が広がるのではないか」と期待を述べた。【編集後記】 講演では、DCCTの結果から重篤な夜間低血糖は睡眠中に多く起こっていることも紹介された。夜間低血糖が起こっても、目を覚まさない患者さんは存在するという。低血糖は自覚していれば対処が可能だが、対処できない場合もあるということだ。夜間に低血糖を起こしにくい基礎インスリン製剤は、これからもスタンダードインスリンとして評価され続けるのではないだろうか。

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Mother(続編)【虐待】

虐待みなさんは、虐待の痛ましい現実を、テレビや新聞で見聞きするだけでなく、医療の現場でも遭遇することがあるかもしれません。虐待はなぜ起きるのでしょうか?もっと言えば、虐待はなぜあるのでしょうか?そして、虐待はどうすればいいのでしょう?今回は、虐待をテーマに、2010年に放映されたドラマ「Mother」を前号に引き続き取り上げます。そして、虐待の心理、危険因子、起源、対策について、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。あらすじ主人公の奈緒は、30歳代半ばまで恋人も作らず、北海道の大学でひたすら渡り鳥の研究に励んでいました。そんな折に、研究室が閉鎖され、仕方なく一時的に地域の小学校に勤めます。そこで1年生の担任教師を任され、怜南に出会うのです。そして、怜南が実の母(仁美)から虐待されていることを知ります。最初は見て見ぬふりの奈緒でしたが、怜南が虐待されて死にそうになっているところを助けたことで、全てをなげうって怜南を守ることを決意し、怜南を「誘拐」します。怜南の実の母(仁美)の母性虐待をする実の母親(仁美)とは、どんな人なのでしょうか?怜南が生まれた当時、仁美は、虐待を報道するニュースを見て、「こんな親(虐待する親)、普通じゃない。人間じゃない」「怜南はママが一生大事にしてあげるからね」と怜南と夫を目の前に力強く言います。しかし、その後、間もなくして、不幸にも仁美は夫を亡くしてしまいます。仁美は女手一つで怜南を育てようとする中、ある近所の人(克子おばさん)が、怜南の子守り(ベビーシッター)を愛情深くして、支えてくれていました。克子おばさんは「仁美さんは頑張り屋さんだもの」と評価してくれて、子育ては何とかうまく続いていました。ところが、怜南が2、3歳の頃です。怜南はずっと母親を呼び続けたり、食器を投げるようになり、言うことを聞かなくなります。反抗期の始まりです。仁美は「ママ、怜南のことがうらましいな」「ママのことは誰もほめてくれないから」と弱音を吐きます。そして、追い打ちをかけるように、克子おばさんが病気療養のために、遠くに引っ越してしまったのです。それから状況は大きく変わっていきます。母性が「聖母」でなくなる時―閉鎖性仁美は、手一杯な仕事に加えて、遠くの保育園への怜南の送り迎えや怜南の反抗期によって、経済的にも身体的にも精神的にも余裕がなくなっていました。部屋の散らかり具合は、その余裕のなさを物語っています。仁美は、しつけがうまく行っていないことに気付いた友人から「父親がいないからかしらね」と嫌味を言われます。こうして、仁美はしつけを厳しくすることを決意します。そして、仁美のしつけは、最初は戸惑いながらも徐々にエスカレートしていきます。仁美が久々に友達の集まりに行こうとする時のエピソードです。その直前で怜南はお腹を痛がります。怜南は克子おばさんがいなくなった中、無意識のうちに体の症状を通して母親とのかかわりを求めていたのでした。しかし、仁美は苛立ち、思わず怒鳴り散らします。子どもとの2人きりの世界になると、他の養育者からの助けやフォローがないばかりか、他の誰かが見ているという客観的な視点が働きにくくなります(閉鎖性)。一生懸命に子育てをしているのに思い通りにならない時、2人きりのその世界で自分が神のように錯覚してしまい、無理やりに思い通りにしようとするのです。特に一人親で一人っ子の家庭は、2人きりの世界になりやすく、このリスクが高まります。しつけとは、本来、家族のルールであり、一貫しているはずのものです。しかし、仁美のしつけは、仁美の機嫌や独りよがりによって成り立っており、一貫していないのです。つまり、仁美の子育ては、母性が足りないばかりか、父性も足りなくなっていたのです。そこにあるのは、仁美の気分の浮き沈みによる恐怖と支配なのでした。仁美の母性は「聖母」ではなくなっていったのでした。虐待する母(仁美)の心理―脆弱性子育てに煮詰まる中、仁美は、新しい恋人(浦上)をつくります。そして、怜南に留守番をさせ、浦上と南国へ旅行に出かけてしまいます。そして、「ママが幸せだと怜南も嬉しいよね」と怜南に同意を求めるのです。怜南が幸せだと母親も嬉しいという発想ではないのです。浦上は遊び半分で怜南に虐待を始めます。仁美がやめるように言っても、浦上は聞き入れません。仁美は、精神的に追い詰められて、一時は怜南と無理心中をしかけます。しかし、その後は、虐待の日常に麻痺してしまいます。やがて、仁美も虐待をするようになり、怜南を凍え死にさせようともしました(表1)。ある時また、テレビから虐待の事件のニュースが流れます。その時、仁美は「フフフフッ」と不気味に笑い飛ばしているのです。その後に、仁美が奈緒から怜南を取り戻そうとするシーンでは、「(怜南は)私に会えなくて寂しがってるでしょ」「怜南は私のことが大好きなんです」と平然と言い放ちます。仁美は、虐待が常態化していた中、もはや自分自身を振り返ったり、自分自身に向き合ったりすることができなくなっているのでした。自己客観視する知的能力が低まっており、仁美の脆く弱い心が伺えます(脆弱性)。表1 虐待のタイプ怜南の場合身体的虐待体のあざ眼帯を巻く心理的虐待ペットのハムスターが知らない間に母親の恋人に殺されてしまう「汚い」と罵(ののし)られる真冬にゴミ袋に閉じ込められて、ゴミ置き場に放置されるネグレクト適切な食事が与えられない性的虐待母親の恋人に化粧やコスプレをさせられ、性的対象として弄ばれる虐待の危険因子―表2奈緒は、仁美に対面し、語りかけます。「あなたとあの子の間に何があってどうしてあんなことになったのか私には分かりません」「きっと100や1000の理由があって、その全てが正しくて全てが間違っていると思います」「母と子は、温かい水と冷たい水が混ざり合った川を泳いでいる」「抱きしめることと傷付けることの間に境界線はなくて、子どもを疎ましく思ったことのない母親なんていない」「子どもを引っぱたこうとしたことのない母親なんていない」「そんな母親を川の外から罵る者たちがまた1つ母親たちを追い詰め、溺れさせるんだと思います」と。このセリフから、虐待は、母親(養育者)だけのせいではないことに気付きます。それでは、虐待の危険因子として、養育者を取り巻く社会的な要因を挙げてみましょう。まず、仁美は、古いアパートに住み、アルバイト先のコンビニ店の制服をそのまま日常生活で使い回しており、生活の貧しさが伺えます(貧困)。また、町内会の役員の年配女性から面と向かって「あの子もあの子よねえ」「こんな親に育てられているから」「性格が歪んじゃって」と吐き捨てられます(偏見)。さらに、克子おばさんが引っ越してから、仁美は誰の手助けも得ることができません(孤立)。次に、虐待の危険因子となる子どもの要因を挙げてみましょう。仁美の虐待は、怜南の反抗期に端を発していました。一般的には、子どもが泣き止まなかったり、反抗的な態度をとることをきっかけに、しつけや体罰の名の元に虐待が行われるリスクが高まります。また、妊娠した芽衣(奈緒の義妹)は、子どもの心臓の障害が判明し婚約者が婚約破棄をすると、一時は中絶を決意しています。一般的に、ネグレクト(育児放棄)などの虐待は、「望まない子」「望めない子」として、中絶の延長線上にあります。子どもが身体的または精神的な障害を持っていると、虐待のリスクは高まることが統計上判明しています。表2 虐待の危険因子母親(養育者)社会子ども精神的な問題(脆弱性)子どもとの2人だけの世界(閉鎖性)子どもの実父の不在新しい恋人(夫)の存在貧困偏見孤立反抗的態度病弱などの身体的な問題知的障害などの精神的な問題子育てをあきらめる心理の源は?―ネグレクト(育児放棄)の進化心理学奈緒は、仁美に訴えかけます。「あなたがまだあの子を愛して心から抱き締めるなら私は喜んで罰を受けます」「道木怜南さんの幸せを願います」「たとえ何年かかっても少しずつ少しずつあなたとあの子の母と子の関係を取り戻して」と。ところが、仁美は「もう遅いわ」「あの子は私のことなんか」「好きじゃないって言われたの」「そんな子、死んだも同じ」と言い放ちます。また、雑誌記者(藤吉)に「欲しい人がいるなら上げてもいいかなって(考えました)」「私まだ29だし」「一からやり直せるかなって」「沖縄に行ったことあります?」「(怜南がかわいそうだった時の)辛いこととか忘れられるかなって」と語ります。虐待の1つに、この子育てをあきらめる心理、つまりネグレクト(育児放棄)があります。もともと健康的な母性を持っていた仁美の心の中では何が起きたのでしょうか?なぜネグレクト(育児放棄)をするのでしょうか?そもそもなぜネグレクト(育児放棄)はあるのでしょうか?ネグレクト(育児放棄)は、人間の歴史の中で普遍的な現象です。普遍的に存在し続けることには必ずそこに意味があると、前々号や前号の母性や父性の説明で触れました。普遍的に存在するネグレクト(育児放棄)の意味とは、母性や父性と同じように、私たち人間が手に入れた進化の産物の心理だからです。ここから、この心理の成り立ちを、大きく2つのポイントで進化心理学的に考えてみましょう。(1)生活困窮(貧困)の打開策1つ目は、ネグレクト(育児放棄)が生活困窮(貧困)の究極の打開策であるということです。人間の進化の歴史の中で、飢餓や病気による死は常に隣り合わせでした。そんな中、子育てをする女性(母親)は、生活が困窮した時、何人かいる子どもの中から、比較的に生命力の弱い子どもから順に子育てをあきらめました。生命力の弱い子どもとは、身体的または精神的に障害のある子どもや幼い子どもです。無理をして全ての子どもを救おうとすれば、全ての子どもが死んでしまうからです。他の子どもを救うため、見込みの低い子どもを犠牲にして、生活困窮を打開するのです。よって、特に生活が困窮し精神的にも余裕のない状況で、このネグレクト(育児放棄)の心理は、意識せず意図せずに高まります。この心のメカニズムを人間は進化の過程で獲得したと考えられます。そして、この心理が適切に働く遺伝子を持った種ほど、結果的によりたくさんの子孫を残しました。そして、その遺伝子を現在の私たちは受け継いでいる可能性があります。ネグレクト(育児放棄)は、かつて「間引き」「口減らし」「子捨て」と呼ばれ、現代の「赤ちゃんポスト」に引き継がれています。仁美のネグレクト(育児放棄)の心理を察知し、怜南が自ら「赤ちゃんポスト」を探すという残酷なシーンがありました。(2)新しい男性(父親)から養育援助を引き出す適応戦略2つ目は、ネグレクト(育児放棄)が新しい男性(父親)から女性(母親)への養育援助を促進することです。原始の時代、女性(母親)の生活困窮を最も引き起こすのは、養育援助をする男性(父親)がいないことです。つまり、子どもの実の父がいないことには、養育援助を当てにできず、子どもの生存率を極端に下げていました。そんな中、新しい男性(父親)ができると、養育援助の当てが得られます。しかし、新しい男性(父親)は、進化心理学的に、血縁関係のない子どもをおもしろく思いません。当然、この時点で男性(父親)による血縁関係のない子どもへの虐待のリスクは高まります。さらに、女性(母親)は、新しい男性(父親)からの愛(援助)を受けて将来の繁殖の機会を逃さないために、前の男性(父親)との子どもに見切りを立てる心理が高まります。これは、進化的な適応戦略の心理と言えます。最悪のケースは、仁美のように、ネグレクト(育児放棄)が心理的虐待や身体的虐待などの他の虐待に発展し、最終的に子殺しにつながっていきます。仁美が言った「(いなくなれば)一からやり直せる」というセリフは、これを端的に表しています。動物行動学では、ゴリラの子殺しが有名です。これは、新しくメスたちのハーレムに迎えられたオスゴリラがそれまでの育てられていた子どものゴリラを次々と殺していくという行動です。その理由は、子どもがいなくなることで、メスたちの発情が再開され、新しいオスゴリラは、自分の子どもをつくることができるからです。また、一部の霊長類に、妊娠中のメスが交尾相手とは別の新しいオスと出会うと流産する現象が知られています(ブルース効果)。これは、新しいオスによる子への攻撃(虐待)や子殺しに先手を打ち、メスが損失(コスト)を最小限にするように進化したと考えられています。よって、同じ霊長類である人間においても、子どもの実父の不在や新しい男性(父親)の存在は、それ自体で、生活困窮の状況と同じように、このネグレクト(育児放棄)の心理を意識せず意図せずに高めている可能性が考えられます。虐待は起きないものという神話仁美は、虐待によって怜南を殺しかけたのにもかかわらず、奈緒に「あなたに何が分かるの?(自分は悪くない)」と答えるなどして否認し続けてきました。しかし、とうとう逮捕され、「お母さん、これは立派な犯罪ですよ」と女性刑事に問い詰められます。その時、仁美はようやく事の重大さに気付きます。そして、うろたえながら「私を死刑にしてください」と言うのです。ここで、ネグレクト(育児放棄)の心理の源について誤解のないように協調します。ネグレクト(育児放棄)は、生活困窮や新しい男性(父親)の登場などの条件下で本能的な心理メカニズムとして発動しやすくなると紹介しました。しかし、だからと言って、モラルとして問題がないと言っているわけではありません。例えば、私たちが甘いもの(高カロリー食)をつい口にしてしまうのは生存のための本能です。だからと言って、甘いものを食べ過ぎて糖尿病になることを私たちは決して良しとはしないでしょう。大事なのは、むしろ逆に、ネグレクト(育児放棄)を含む虐待の心理の原因がはっきりしているからこそ、対策を万全にすることができると言うことです。さきほどの虐待の危険因子(表2)を踏まえれば、仁美の虐待を未然に防ぐことができたのではないかということです。虐待は起きないことを前提として美化するのではなく、虐待はある状況下で起こることを前提として直視し、早期に介入することがスタートラインです。虐待は起きないものという神話ができあがってしまうと、虐待があること自体を恥じたり、隠したりして、ますます早期介入が遅れてしまうからです。虐待の予防―ソーシャルサポート(表3)芽衣(奈緒の義妹)は、障害のある子どもを一時は中絶しようと決意しますが、最終的に出産します。さきほど中絶の延長線上には、ネグレクト(育児放棄)などの虐待があると説明しました。つまり、虐待をした仁美と比べた時、芽衣が出産を決意した最大の要因は、彼女の実家が裕福であり、母親や妹と同居しており、経済的にも身体的にも精神的にも余裕があることです。仁美のような状況の母親が、ネグレクト(育児放棄)などの虐待の心理を発動させないようにするためには、経済的、身体的、精神的な支援が必要です。身近なところでは、親や兄弟などの家族です。また、克子おばさんのような近所の親切な人や友人です。しかし、そういう人たちに恵まれていない時は、やはり社会からの支援(ソーシャルサポート)が必要です。例えば、経済的には、子育ての支援金です。身体的には、一時的に預けることのできる施設(ショートステイ)です。また、日本にではまだ一般的ではないですが、子守り(ベビーシッター)の制度化です。そして、心理的には、普段からの定期的な訪問、困った時には相談できる窓口で適切に声掛けができることです。さらには、妊娠した段階の母親への虐待予防のオープンな心理教育も効果が期待できます。表3 ソーシャルサポート例経済的サポート子育ての支援金身体的サポートショートステイ、ベビーシッターの制度化心理的サポート定期的な訪問、相談窓口、声掛け、虐待予防のための事前の心理教育虐待の予防の鍵―アロマザリング私たち人間の子育ては、もともと母親1人で行うものではありませんでした。原始の時代から、兄弟や親戚を含んだ大家族、もっと言えば地域全体で協力して行っていました(アロマザリング)。しかし、現代はどうでしょうか?文明の進歩や都市化という社会構造の変化によって、物質的には豊かになり、便利にもなりました。私たちはもはや昔ほど協力しなくてよくなりました。しかし、同時に、格差、核家族、一人親、一人っ子などの社会現象が生まれています。そして、これらの結果として、虐待が深刻化してきているように思われます。つまり、今こそ必要なのは、経済的、身体的な支え以上に、心理的な支えだということです。そして、そのために必要なのが家族のつながりや近所同士のつながりです。つまり、「家族力」や「地域力」です。これが、虐待の予防の鍵になるのではないかと思います。例えば、一人親だとしても自分の両親や兄弟からの協力を得ることです。また、子育てのコミュニティの輪をつくったり、地域の定期的なお祭りやスポーツなどのイベントで、交流を深めたりすることです。そのためには、行政の予算や専門家のアドバイスも必要です。虐待は、私たちの知恵による文明的な豊かさや便利さの代償(トレードオフ)のように思えてきます。しかし今こそ、この私たちの知恵による理性的な視点によって、私たちのあり方を見つめ直し、この困難を乗り越えていくことができるのではないでしょうか?1)奥山眞紀子:虐待を受けた子どものケア・治療、診断と治療社、20122)進化と人間行動:長谷川眞理子、長谷川寿一、放送大学教材、2007

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グルコキナーゼ遺伝子異常症(MODY2)を参考にした血糖コントロールレベルの検討(コメンテーター:景山 茂 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(177)より-

グルコキナーゼはヘキソキナーゼのアイソフォームの1つで、膵β細胞および肝細胞に存在する。ヘキソキナーゼのKmは0.1mmol/Lで、生理的条件下では最大速度で反応するのに対して、グルコキナーゼのKmは5.5mmol/L(99mg/dL)で、生理的な血糖の範囲でブドウ糖のリン酸化が調節されうる。また、グルコキナーゼにより産生されるG-6-Pの抑制を受けないことから、グルコキナーゼは膵β細胞においてグルコースセンサーの役割を果たしていると考えられる。 糖尿病には1型と2型以外に特殊な形として若年発症成人型糖尿病(maturity-onset diabetes of the young, MODY)が存在するが、この1つが、グルコキナーゼ遺伝子異常により生じるMODY2である。この疾患は生後1週間以内に高血糖を生じるとされているが、空腹時血糖は108~144mg/dL程度と軽度であり、生涯を通じて薬物治療を必要とすることは稀有である。MODY2では、インスリン抵抗性はなく、空腹時の脂質は正常、食後高血糖の程度も軽度という、2型糖尿病との相違が認められる。 細小血管障害は血糖コントロールとの関連が密接であり、グルコキナーゼ遺伝子異常症例は目標とすべき血糖コントロールレベルの参考になると思われる。一方、大血管障害の成因には高血圧、脂質異常症等々の因子が関与し、グルコキナーゼ遺伝子異常症例のインスリン抵抗性、血清脂質のプロファイルは2型糖尿病とは異なるので、得られた成績の解釈には注意が必要と思われる。

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