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糖尿病で活躍するスマホアプリの今

本項では、特集テーマに合わせ、糖尿病と医療ITの関係を寄稿としてお届けします。爆発的な広がりをみせる、スマートフォン。これに搭載されるさまざまな疾患の診療支援アプケーションも少しずつ充実しており、その中でも糖尿病領域では完成度が高いものも散見されます。今回は、こうしたアプリケーションの開発・サービス提供を行っている株式会社ウェルビ-より最新の状況をレポートいただきます。糖尿病の自己管理に、欧米ではスマートフォンツールの臨床活用が増える現在、日本でスマートフォン(以下「スマホ」)の普及に伴い、患者が個人で利用できる糖尿病関連のアプリケーション(以下「アプリ))は十種類にのぼる。糖尿病患者を対象としたニーズ調査においても「モバイルでの自己管理に興味あり」との回答は全体の約7割に上るなど、スマホの普及と利用者年齢層の拡大に伴い、今後も更なる広がりが予想される。一方、欧米ではすでに、臨床現場での利用が進み、一定の評価を得ている。「Diabetes Care」の論文などでも、糖尿病患者に血糖自己管理にモバイルアプリを活用することで一定の治療効果が確認されるなどの発表がされている。医療従事者が患者に薦めて、診療時のコミュニケーションを円滑にしたり、自己管理を効果的にサポートするためのツールとしても活用されている。医師の推薦が自己管理アプリ利用のきっかけに株式会社ウェルビーは、臨床現場での治療サポートツールとして、2011年より糖尿病患者向け自己管理アプリ「ウェルビー糖尿病」シリーズの提供を開始した。2013年10月時点で、登録会員数は約1万人に達している。この伸長の背景には、患者に接する医療従事者から、直接サービスを紹介されたことが大きな要因として存在する。患者に対面案内していただくためのリーフレットを用意し、病院・薬局の協力を得て、臨床の現場での認知を得られたことが、早い段階から利用促進に結びついた。医師、患者に求められるアプリとは糖尿病治療では血糖管理に加えて、薬剤、食事、運動などの総合的な管理が求められる。ウェルビーのアプリでは「血糖値」「食事」など各患者が自己管理する項目を選択してシンプルに記録できる仕様とし、その各履歴データを集約して管理できるマイページ機能として「ウェルビーマイカルテ(2013年12月リリース予定)」を提供することで、「各項目毎の記録」と「データを集約して管理」の両立を目指した。また、2013年8月には、患者の治療記録を医療従事者、家族にデータ共有できるWebサービス「ウェルビーシェア」をリリースしている。今後も、アプリによる記録、PCによるデータ集約と共有を一括して実現できるサービスとして、臨床現場での更なる普及を目指す。(ウェルビーのアプリラインナップ)血糖値ノート …血糖値、インスリン、ブドウ糖の結果を記録。履歴についてはグラフとカレンダーで視覚的に管理可能。入力したデータについては全てクラウドサーバに自動保存され、パソコンと連動して確認可能。食事ノート …1日の食事内容について入力することで、摂取カロリー、炭水化物、脂質、タンパク質を自動計算し、履歴を記録。近日リリース予定の食事写真記録アプリ「食事アルバム」では、写真履歴で食事内容の管理機能も提供予定。(ウェルビーのアプリと連携するWebサービス)ウェルビーシェア …アプリとシームレスにデータ連携し、患者が医療従事者、家族などとデータを共有(シェア)できる機能を有する。コメント、スタンプなどを送ることも可能。「患者を見守る」新しいコミュニケーションのカタチを提供し、治療の継続を支援する。インタビュー:臨床にいち早くアプリを導入、今後の開発に期待向ヶ丘久保田内科の久保田章(くぼた・あきら)氏は、糖尿病専門医として、診療支援のアプリをいち早く取り入れ、「患者さんと一緒に考える糖尿病診療」を実践している。久保田氏が導入し、試行するウェルビーのライフログ・アプリに関して、その使用感や効果ついて、お話をうかがった。--スマホやタブレット端末に、こうした糖尿病診療支援アプリを入れ、自己管理をしている患者さんの声をお聞かせください。久保田章氏 糖尿病関連のアプリは出始めたばかりで、これから普及していく段階です。患者さんの声は、そんなに多く聞くわけではありませんが、着実に増えてはいるようです。たとえば血糖自己測定(SMBG)であれば、今までは紙の手帳や記録用紙に、血糖値記録を毎日書き込み、その紙を診療ごとに主治医に示し、主治医はそれをカルテに貼って、患者さんの食動向、インスリンの効果などを分析・検討し、次の治療内容を決めていました。なかには、自分でパソコンの表計算ソフトで血糖値を管理されている患者さんもいますが、かなり少数です。現在アナログ的な管理が主流な中で、身近なツールであるスマホなどで自分の血糖値を、さっと入力するだけで記録から集計までできるので、「大変使いやすい」、「手軽に使えて便利だ」という声を患者さんから聞いてます。--医療側からみたこうしたアプリの効果としては、どのようなものがありますか?久保田章氏 実感できる効果として2つあります。ひとつには、患者さんが血糖値の自己管理などでアプリを使えば、手軽にしっかりと血糖値の記録が残せるので、治療意欲が向上していくのがわかります。糖尿病の治療では、インスリンをはじめ治療薬がかなり揃っています。患者さんがその気になれば、ほとんどの血糖値はコントロール出来るはずだと思いますが、大切なことは、患者さんにどれだけ、治療に対するモチベーションをもってもらえるかです。そういう意味では、血糖値の変化が数字ですぐにわかる、可視化されて理解しやすいことで自己管理と治療へのモチベーションの維持には効果的だと感じます。もうひとつの効果は、通常、「血糖値測定→食事→インスリンを打つ→血糖値測定→食事」という一連の流れの中で、食生活とインスリンの量をマッチさせるのが、インスリン治療での一番の肝になる医師の作業となります。その一連の行動の振り返りの時に、こうしたアプリを使い過去1ヵ月の食生活や血糖値の動きや平均値が簡単にでてくるツールがあれば、患者さんの役に立つだけでなく、われわれ医療側にも便利だということです。特にあらかじめ集計された患者さんの集計表をみて、医師が血糖値の問題点をすぐに指摘できるようになれば、限られた外来診療の時間で、今よりもさらに的確なアドバイスができるようになります。--今後、医師の視点からみて糖尿病治療の支援アプリに望まれる機能はありますか?久保田章氏 患者さんのデータが医療者と共有されれば、患者さんの状態がリアルタイムにわかり、医師や看護師などがタイムラグを生ぜず、関わっていくことができるようになります。たとえば、外来でインスリンを初めて注射した患者さん。現状では、インスリン注射を覚えてもらって、翌日か翌々日に糖尿病療養指導士の看護師などが電話をして患者さんに状況を聞いて確認します。しかし、アプリの使用で血糖値の数字が共有化されて、リアルタイムに医師や看護師が把握できれば、より安全にインスリン注射の治療を外来で行うことができ、その効果も測ることができます。また、GLP-1製剤などの新しい治療薬を導入して、どの様な血糖低下効果を発揮するのか関心が高いときなど、血糖値の動きについて早く知ることができるということもメリットのひとつになりますね。将来的には、患者さんが簡単な入力で済み、食事、血糖値、インスリンの量を統合して記録、分析できることで問題点の把握ができるものができたら、糖尿病診療で効果を発揮すると思います。インタビューを終えて糖尿病診療支援アプリは、まだ黎明期であり、これからさらなる進化と普及が期待される。患者の診療支援だけでなく、医療側にも診療時間の短縮やデータ収集などのメリットをもたらす一方で、保険適用の有無や個人情報のデータの管理など、今後乗り越えていくべき課題も指摘されている。糖尿病領域だけでなく、他の領域でも診療支援アプリが登場し、疾病の予防、診療、治療に寄与することを期待する。向ヶ丘久保田内科Welby糖尿病

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糖尿病患者へのベスト降圧薬は?/BMJ

 糖尿病患者における腎保護効果はACE阻害薬のみで認められ、ARBがACE阻害薬と比べて良好な効果を示すというエビデンスはみつからなかったことが、台湾・亜東記念医院のHon-Yen Wu氏らによるシステマティックレビューとベイズネットワークメタ解析の結果、報告された。結果を踏まえて著者は「薬剤コストを考慮した場合、今回の知見において、糖尿病患者の降圧薬の第一選択はACE阻害薬とすることを支持するものであった。そして十分な降圧が得られない場合は、ACE阻害薬+Ca拮抗薬の併用療法とするのが好ましいだろう」と結論している。BMJ誌オンライン版2013年10月24日号掲載の報告より。単独・併用を含む降圧治療についてベイズネットワークメタ解析 コストを考慮しない場合、主要なガイドラインでは、糖尿病を有する高血圧患者の降圧薬の第一選択は、ACE阻害薬またはARBを提唱している。しかしこれまでACE阻害薬とARBを比較した臨床試験は稀有であり、糖尿病患者に関する両薬剤間の腎保護効果の差は不確定で、RA系阻害薬との併用療法の選択についてコンセンサスは得られていなかった。 研究グループは本検討で、糖尿病患者における異なるクラスの降圧薬治療(単独・併用含む)の、生存への影響および主要腎転帰への効果について評価することを目的とした。 PubMed、Medline、Scopus、Cochrane Libraryの電子データベースで2011年12月までに公表された文献を検索した。適格とした試験は、糖尿病高血圧患者を対象とし、追跡期間が12ヵ月以上の降圧治療(ACE阻害薬、ARB、α遮断薬、β遮断薬、Ca拮抗薬、利尿薬、およびこれらの併用)の無作為化試験で、全死因死亡、透析導入または血清クレアチニン濃度倍増を報告していたものとした。 ベイズネットワークメタ解析では、直接的および間接的エビデンスを組み合わせ、治療間の効果の相対的評価、および保護効果に基づく治療ランキングの見込みを算出した。死亡抑制の最善治療はACE阻害薬+Ca拮抗薬 解析には、63試験・3万6,917例が組み込まれた。死亡例は2,400例、透析導入は766例、血清クレアチニン濃度倍増報告例は1,099例だった。 血清クレアチニン濃度倍増について、プラセボとの比較で有意に減少したのは、ACE阻害薬のみであった(オッズ比[OR]:0.58、95%信頼区間[CI]:0.32~0.90)。治療戦略間の比較(ACE阻害薬vs. ARB)では有意差は示されなかったが、最善の治療である確率はACE阻害薬が最も高かった。 末期腎不全(ESRD)への降圧治療の効果については、その転帰に関して治療間の有意差はみられなかったが、ESRD発生を最も抑制したのはACE阻害薬であった(OR:0.71)。次いでわずかな差でARBが続いていた(OR:0.73)。 死亡率で有意差が示されたのは、β遮断薬のみであった(同:7.13、1.37~41.39)。 ACE阻害薬の薬効は必ずしも有意ではなかったが、3つのアウトカムについて一貫してARBよりも効果が優れることを示す高位の位置を占めていた。 プラセボと比較した死亡を抑制する最善の治療は、ACE阻害薬+Ca拮抗薬が、統計的有意差は示されなかったが最も高率(73.9%)であることが示された。次いで、ACE阻害薬+利尿薬(12.5%)、ACE阻害薬(2.0%)、Ca拮抗薬(1.2%)、そしてARB(0.4%)であった。

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ケアネット白書~糖尿病編2013

1.調査目的と方法本調査の目的は、糖尿病診療に対する臨床医の意識を調べ、その実態を把握するとともに、主に使用されている糖尿病治療薬を評価することである。2型糖尿病患者を1ヵ月に10人以上診察している全国の医師496人を対象に、(株)ケアネットのウェブサイトにて、アンケート調査への協力を依頼し、2013年3月25日~4月1日に回答を募った。2.結果1)回答医師の背景回答医師496人の主診療科は、一般内科が40.5%で最も多く、次いで糖尿病・代謝・内分泌科で30.6%、循環器科で11.5%である。それら医師の所属施設は、病院(20床以上)が70.2%、診療所(19床以下)が29.8%となっている。医師の年齢層は50-59歳が最も多く35.9%、次いで40-49歳が35.1%、39歳以下が23.4%と続く。40代から50代の医師が全体の7割以上を占めている(表)。

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認知度が4割しかない1型糖尿病を支援する-日本イーライリリープレスセミナー 

 11月5日(火)、日本イーライリリー株式会社は、11月14日の「世界糖尿病デー」に先駆け、「多様化する糖尿病と患者さんの支援の重要性」と題して、プレスセミナーを開催した。 前半では、「多様化する糖尿病 ~多様化する患者さん一人ひとりの、糖尿病への向き合い方とその治療~」として内潟 安子氏(東京女子医科大学 糖尿病センター長/ 内科学第三講座主任教授)を講師に迎え、糖尿病の概要についてレクチャーが行われた。 厚生労働省の統計資料によれば、わが国の糖尿病患者数は、依然として増加を続け、成人の約3割が糖尿病かその予備群であり、約4割は未治療のままである。内潟氏からは糖尿病の類型について、とくに1型糖尿病に焦点を絞り説明がなされた。一般に糖尿病は、生活習慣などの乱れから発症する2型糖尿病がほとんどと考えられている中で、1型糖尿病は、小児期から思春期での発症が多く(成人での発症数も多い)、遺伝的素因や免疫学的異常などによる発症がある、とコンパクトに解説が行われた。 そのうえで、医療者は、患者さんの「良好な血糖コントロールを行うこと」と「合併症を予防すること」を念頭に診療にあたっていること、その一方で、患者さんは治療のために、日常生活の中で食事時間や内容、そのカロリー、そして、定期的なインスリン注射、治療薬の服用と毎日の規則正しい生活を行っていることを述べた。そして、周りの方にも糖尿病患者さんへの理解を深めてもらいたい、とレクチャーを終えた。 後半では、同社の綱場 一成氏(糖尿病・成長ホルモン事業本部 事業本部長)が、「糖尿病治療におけるベストパートナーとして」と題し、同社の取り組みと今後の展望を説明した。1923年よりわが国でインスリンを発売してきた同社は、小児糖尿病患者のサマーキャンプなど、これまで社会貢献活動などを活発に行ってきている。 綱場氏は、先ごろ行われた「1型糖尿病の認知度調査」の結果について、次のように概略を発表した(調査は、20代以上の各年代から男女100名ずつを選出。1,000名にインターネットで調査したもの)。その結果、「1型糖尿病」という名称さえ聞いたことがない人が約6割。1型糖尿病を知っている人でもその半数以上が、発症原因として「食べ過ぎ、運動不足などの生活習慣」と回答したほか、患者タイプを「肥満型の人がなりやすい」と回答した人が約3割、発症により「日常生活の中で活動の制限を受ける」と回答した人が約9割に及び、認知度の低さ以外にも、さまざまな誤解があることが浮き彫りになった。 同社では、こうした状況を受けて、1型糖尿病患者のライフステージに応じて幅広いサポートをするため啓発小冊子を作成した。今後、医療機関で配布していくことで、1型糖尿病と診断された患者さんの心のケアに活用してもらい、糖尿病診療に寄与していきたいと抱負を語った。詳しくは、 日本イーライリリー(糖尿病・内分泌系の病気) ケアネットの特集「糖尿病 外来インスリン療法」 

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糖尿病患者、約8割に皮膚疾患

 糖尿病患者の皮膚疾患と皮膚以外の疾患との関連について、同患者における皮膚疾患は約8割に認められ、そのうち半数近くが皮膚感染症であったこと、また腎障害との関連が深い皮膚疾患の特徴や、血糖値と皮膚疾患との関連などが明らかにされた。トルコ・Ataturk Training and Research HospitalのDuriye Deniz Demirseren氏らが、患者750例を前向きに登録調査し報告した。結果を踏まえて著者は、「皮膚疾患は、糖尿病患者において微小血管合併症の有無を知る手がかりとなりうるだろう」と結論している。American Journal of Clinical Dermatology誌オンライン版2013年10月18日号の掲載報告。 糖尿病患者における皮膚疾患とそれ以外の疾患との関連は明らかになっていない。研究グループは、同患者における皮膚疾患と糖尿病性神経障害、腎症、網膜症との関連を調べることを目的に、750例の患者を前向きに登録し分析した。 人口統計学的および臨床的特性、皮膚疾患、HbA1c値および神経障害、腎症、網膜症について調べた。 主な結果は以下のとおり。・被験者(750例)のうち、38.0%の患者が神経障害を、23.3%が腎症を、22.9%が網膜症を有していた。・皮膚疾患を有していた患者は79.2%(594例)であった。・皮膚疾患のうち最も多かったのは、皮膚感染症(47.5%)、次いで乾皮症(26.4%)、炎症性皮膚疾患(20.7%)であった。・腎症を有する患者においては、皮膚感染症、真菌性感染症、糖尿病性足病変、ルベオーシス(顔面)、色素性紫斑が、腎症を有さない患者と比べて多かった。・神経障害を有する患者では概して、皮膚感染症、糖尿病性足病変、ルベオーシス(顔面)、糖尿病性皮膚障害がみられた。・網膜症を有する患者では、真菌性感染症、糖尿病性足病変、ルベオーシス(顔面)、糖尿病性皮膚障害、色素性紫斑の頻度が高かった。・HbA1c値が8mmol/mL以上の患者では、同値が8mmol/mL未満の患者より皮膚疾患を有する患者が有意に多かった(p<0.05)。

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01)ブルーライトアップの意味は?【糖尿病患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話患者昨日は東寺がブルーになっていました。あれは何ですか?医師実は昨日は「世界糖尿病デー」なんです。患者世界糖尿病デー?医師そうです。11月14日は世界糖尿病デーなんです。患者どうして、11月14日なんですか?医師11月14日はインスリンを発見したカナダ人のバンティング先生の生まれた日なんです。みんなで糖尿病を克服していこう、という日なんです。患者そうなんですか。どうしてブルーなんですか?医師ブルーは、国連や空を象徴するブルーみたいですね。みんなで糖尿病を克服していこうということで、ブルーの輪がシンボルマークとなっています。患者わかりました。私も頑張ってみます。●ポイント「今日は何の日」などの話題から、療養指導の話が広がります

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エキスパートに聞く!「糖尿病診療」Q&A 2013 Part1

日常診療で抱く疑問に、専門医がわかりやすく、コンパクトに回答するコーナーです。今回は「糖尿病診療」のなかでも「インスリン療法」について、会員医師からの疑問にご回答いただきました。明日の診療から使えるコツをお届けします。早期から基礎インスリン療法を開始すべきかどうか教えてください。2型糖尿病診断初期から基礎インスリンのみならず、強化インスリン療法を用いて血糖値を正常化することが、経口糖尿病薬で治療するよりも、その後インスリン治療を止めて1年後の膵β細胞機能にとって望ましく、無治療でいられる人の割合も高いことが報告されています1)。また、平均推定罹病期間4.5年の2型糖尿病においても、中間型インスリンの2回打ちと超速効型インスリン3回の強化インスリン療法で、4週間血糖値を正常近くまでコントロールすることがインスリンのGIPとGLP-1に対する反応を改善することも報告されています2)。わが国においても、私の前職の順天堂大学にて、1型/2型糖尿病において持効型インスリンが外来で安全に使用でき、非常に有効な手段であることを報告してきました3)。HbA1c7%以上が続いている場合には、基礎インスリンによるBasal-supported Oral Therapy(BOT)でもよいので4)、積極的にインスリンを導入することが大切でしょう。●引用文献1)Weng J, et al. Lancet. 2008; 371: 1753-1760.2)Hojberg PV, et al. Diabetologia. 2009; 52: 199-207.3)Kanazawa Y, et al. Endocr J. 2007; 54: 975-983.4)弘世貴久. 続これなら簡単 今すぐできる外来インスリン導入. メディカルレビュー社; 2009.インスリンを使用したほうがよい患者さん、そうでない患者さんの鑑別をご教示ください。(1) 絶対的適応1型糖尿病が疑われる例、血糖コントロール不良の妊娠希望の女性、急性代謝失調発症者、または発症する危険性が高い患者さん(2) 相対的適応SU薬2次無効、無治療高血糖放置例、肝疾患、腎疾患合併例(3) 一時的なインスリン療法の適応急性感染症などのシックデイ、ステロイド治療時、中程度以上の外科手術時さらに詳しい解説は、以下の文献をご参照ください。●熊代尚記: 治療の目的と適応となる症例. インスリン療法最前線 第2版. 河盛隆造監, 弘世貴久, 綿田裕孝編, 日本医事新報社; 2008.p.21-24.●熊代尚記: インスリン療法開始の適応. 糖尿病薬物療法 BRUSHUP. 河盛隆造監, 綿田裕孝, 弘世貴久編, 日本医事新報社; 2011.p.82-84.インスリン導入を恐れる患者さんを説得するのに、よい言葉やいい回しをご教示ください。初めに血糖コントロール状況と合併症について説明します。自覚症状がなくても、慢性の高血糖が3大合併症や大血管障害の発症に関連していることを説明します。次に、患者を取り巻く家族や社会の状況を一緒に考え、本当に合併症が起きてもよいのか、合併症で身体が不自由な生活になっても困らないか話し合います。独り身で将来に希望がないような状況では、血糖コントロールをよくすることにまったく関心を持っていただけないかもしれません。しかし、糖尿病で通院を続けている患者さんたちは、何とかして欲しいという気持ちを少なからず持っているはずです。大事な家族や仕事、趣味などがあれば、それを守るために何とかしましょうと説得します。入院が望ましくても忙しくて入院ができない患者さんには、外来でも改善できますと安心させます。ここまで話して、インスリンについて話をします。安全性・有効性について、私はよく妊婦の話を出します。妊娠して、赤ちゃんがお腹にいて、糖尿病になる患者さんにわが国で唯一認められている治療薬がインスリンです。最も安全で生理的な薬だと説明します。そして、量を増やすことで確実に血糖値を下げることができると説明します。早ければ早いほど少量のインスリンで済むことが多いとも伝えます。さらに、どうしても不安、不信に思う患者さんには一時的な使用でもまったく構わないと伝えます。このような話に10~20分程度を要しますが、これで受け入れてもらえることが多いです。外来診療という限られた時間内で、どのようにインスリンを導入し、その後のフォローをしていけばよいか教えてください。インスリン注射に同意された後、実際にインスリンを導入する際に重要となるのは、いきなり低血糖を起こさないことです。ごく少量の基礎インスリン4単位くらいから始めると低血糖は問題になりません。受け入れの難しそうな患者さんには、まずはインスリン自己注射のみを指導して、後日、血糖自己測定(SMBG)を導入するほうが、抵抗が少ないです。実は痛みも、インスリン注射ではほとんどありませんが、SMBGでは針が太めでそこそこ痛いのです。また、効果が少ないインスリン量で始めているので、せっかく始めたインスリン療法に幻滅する恐れもあります。したがって、始めはインスリン自己注射のみ指導することが一つの有効な手段です。SMBG導入後、数日でインスリンの効果判定ができますが、診察間隔は予約状況次第です。数日おきに診察できるなら速やかにきめ細かくインスリン調節ができますが、予約の関係で1~数週間おきのフォローになるなら緩徐なインスリン調節が必要でしょう。このようなインスリン導入の際には、それまでの内服薬を一気に中止しないことも、導入後の急激な悪化を防ぐために重要です。そのほか、外来での導入では、看護師やその他のスタッフ教育もしっかり行い、協力していただくことが不可欠です。インスリンとほかの薬剤との安全な組み合わせの方法や、治療中に専門医へ紹介するタイミングなどをご教示ください。持効型インスリンとの併用としては、速効型インスリン分泌促進薬1)やα-グルコシダーゼ阻害薬やDPP-4阻害薬2)がよいでしょう。持効型インスリンは食前の血糖コントロールに適しているので、食後の血糖コントロールに適した内服を組み合わせることが望ましいです。一方、超速効型インスリンとの併用としては、グリメピリド(商品名:アマリール)0.5mgなどのごく少量のSU薬を夕食時に内服するかビグアナイド薬、チアゾリジン薬との併用がよいでしょう。超速効型インスリンは、食後の血糖コントロールに適しており、上述の内服で食前の血糖コントロールにも対応することができます。いずれの場合も注射薬の種類だけでなく病態によっても併用薬の選択肢は変わってきます。最近は高齢化で、患者さんも糖尿病以外にさまざまな合併症を患っていたりするので、併用する前にそれぞれの薬の適応の良否も判断しなければなりません。したがって、病状が複雑になってきた場合には、ご遠慮なく専門医へ紹介いただくのがよろしいかと思われます。●引用文献1)Kumashiro N, et al. Endocr J. 2007; 54: 163-166.2)Barnett AH, et al. Lancet. 2013 Aug 12.[Epub ahead of print].

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糖尿病透析予防指導管理料」の実践ワークショップ開催のお知らせ

 株式会社日本医療企画は、主要都市で開催している「糖尿病透析予防指導管理料-~算定のための多職種実践ワークショップ~」を、12月10日に名古屋で開催する。 2012年度診療報酬改定において、糖尿病患者に対するチーム医療として、「糖尿病透析予防指導管理料」が350点というきわめて高い点数で新設された。しかし、臨床現場からは「算定推進の具体的な方法がわからない」、「連携をうまく機能させるにはどうしたらよいのか?」という声が多く聞かれている。 このような臨床現場の声に応えるために、ワークショップでは組織的算定のポイント解説に加え、多数算定している各地の病院の推進工夫も紹介する。過去開催の同セミナーはいずれも満員で、「指導するにあたり、具体的なイメージができた」などの参加者の声が寄せられている。当日は対象患者抽出のデータベース作成や栄養指導ツールの作成などの体験指導も行われる。 講師は、本管理料について通算1,500件以上の算定実績がある平井 愛山氏(千葉県立東金病院院長)。 概要は次のとおりである。・日時 2013年12月10日(火) 13:00~17:00・会場 株式会社日本医療企画 中部支社   (愛知県名古屋市中区栄2-12-12アーク栄白川パークビル3F)・対象 医師、看護師、管理栄養士、糖尿病療養指導士、事務職など・定員 40名・受講料 21,000円(税込・『「糖尿病透析予防指導管理料」算定ハンドブック』1冊含む)・プログラム  1. ポイント解説   2. 疾病管理MAPパート1「腎症ステージ化」   3. 疾病管理MAPパート2「介入優先度」   4. あいうえお塩分表   5. 総合検討 ※ プログラム内容については、変更する場合があります。ご了承ください。詳しくは日本医療企画まで

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直接的レニン阻害薬に、降圧を超えたプラーク進展予防効果認めず(コメンテーター:桑島 巌 氏)-CLEAR! ジャーナル四天王(142)より-

 高血圧前症(prehypertension、血圧125~139/90mmHg未満)で、かつ心血管リスクを1つ以上有している冠動脈疾患症例において、直接的レニン阻害薬アリスキレンのプラーク進展予防効果をIVUSを用いて検討した試験である。 レニン-アンジオテンシン系を上流で直接的に阻害するアリスキレンは、RA系の究極の阻害薬として期待をもって登場したが、残念ながら臨床試験ではことごとくその有用性は否定されている。 本報告もその1つであり、血圧はプラセボ群に比べて若干下げているものの、プラークの退縮はまったく認めれなかった。ただし糖尿病患者以外では、RAS阻害薬(ACE阻害薬/ARB)を服用中であることも考慮すると、RAS阻害薬に直接的レニン阻害薬の併用は動脈硬化の進展予防をもたらさないと解釈すべきかもしれない。RAS阻害薬治療を受けている2型糖尿病患者において、直接的レニン阻害薬追加は心血管イベントや腎イベントの抑制に繋がらず、むしろ高カリウム血症などの有害事象を生じるとの結果が最近ALTITUDE試験の結果で示されているが、本試験では、RAS阻害薬治療中の糖尿病症例は除外されている。 本試験では、IVUSを用いてプラークの退縮効果を観察することで、降圧以外の抗炎症効果によるプラーク退縮の可能性を検討したが、血圧が若干下がったにも関わらず進展予防効果が認められなかったことは、降圧以外の心血管系へのベネフィットは否定されたと考えるべきであろう。

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わが国のHIVの現状 ~抗HIV療法関連の骨粗鬆症、腎機能障害、代謝性疾患が問題に~

約30年前は死に至る病と言われていたHIV感染症。現在は、定期的な受診と適切な服薬継続により長期にわたり日常生活を続けることが可能になり、慢性疾患と考えられるようになりつつある。しかしながら、日本では感染者が増加傾向にあり、新たに抗HIV療法に関連した代謝性疾患などが問題となっている。このたび、途上国のエイズ対策を支援する『世界エイズ・結核・マラリア対策基金』の支持を決定する技術審査委員の1人である、しらかば診療所 院長の井戸田 一朗氏が、ヤンセンファーマHIV/AIDSメディアセミナー(2013年10月29日開催)でHIVの現状や課題を紹介した。性感染症にかかるとHIVにかかりやすい井戸田氏のクリニックは、セクシャル・マイノリティ(同性愛者、バイセクシャル、トランスジェンダーなど)を主な対象として2007年に東京都新宿区に開院した。現在、同クリニックには約400人のHIV陽性者が定期的に通院しているという。井戸田氏が性感染症にかかった男性にHIV検査を勧めて検査した結果(自分で希望した人は除外)、淋菌感染症患者では20%、梅毒患者では13%、尖圭コンジローマ患者では26%がHIV陽性であった。井戸田氏は、「性感染症、とくに淋菌感染症、梅毒、尖圭コンジローマにかかった人は、HIV感染症も検査することが大切」と強調した。男性間の性的接触による感染が増加わが国の性感染症の報告数は全体的に減少傾向にあるが、新規HIV感染者とAIDS患者数は年々増加している。その内訳をみると、異性間性的接触による感染はほとんど変化がないのに比べて、男性間性的接触による感染の増加は著しく、2011年では全体の64%を占めていた。人口当たりのHIV陽性累積数は、都道府県別では、東京、大阪、茨城、長野、山梨の順で多く、HIV感染者とAIDS患者の6割が関東に集中している。男性間性的接触をする男性(MSM:men who have sex with men)の割合については、2005年度国勢調査における対象地域(関東、東海、近畿、九州)の男性では、性交渉の相手が同性のみ、もしくは両性である割合が2.0%(95%CI:1.32~2.66%)と報告されている。井戸田氏は、MSMにおけるHIVや性感染症の流行の背景として、解剖学的差異、性交渉の様式、ハッテン場・インターネットでの出会い、薬物(アルコール含む)、心理的要因を挙げた。HIV陽性者の予後と今後の課題HIV陽性者の予後は、抗HIV療法の登場により、20歳時の平均余命が36.1歳(1996~1999年)から49.4歳(2003~2005年)に延長した。また、抗HIV療法の登場により、カポジ肉腫や非ホジキンリンパ腫などのエイズ関連悪性腫瘍が減少する一方で、非エイズ関連悪性腫瘍(肛門がん、ホジキンリンパ腫、肝がん、皮膚がん、肺がん、頭頸部がん)が増加してきている。HIV陽性者においては脳心血管イベントの発生率が上昇する。禁煙によりそのリスクを下げることができるが、井戸田氏によると、同院を訪れるHIV陽性MSMでは喫煙者が多く52%に喫煙歴があったという。また、最近、抗HIV療法に関連した骨粗鬆症、腎機能障害、代謝性疾患(脂質異常症、糖尿病)が問題となっている。井戸田氏は、HIVに直接関係のないこれらの疾患について、「それぞれの分野の先生に診てもらえるとHIV陽性者や拠点病院にとって大きな支えになる」と各領域の医師からの協力を期待した。(ケアネット 金沢 浩子)

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