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2015年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?【医療ニュース 年間ランキングTOP30】

2015年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心が高かった論文は何だったのでしょう?アクセス数順にトップ30を発表します!1位本当だった!? 血液型による性格の違い(2015/6/2)2位脳梗塞の発症しやすい曜日(2015/4/3)3位心房細動へのジゴキシン、死亡増大/Lancet(2015/3/30)4位緑茶で死亡リスクが減る疾患(2015/4/30)5位学会発表後になぜ論文化しない?(2015/3/3)6位食道がんリスクが高い職業(2015/2/4)7位「朝食多め・夕食軽く」が糖尿病患者に有益(2015/3/4)8位アルツハイマー病への薬物治療、開始時期による予後の差なし(2015/10/28)9位片頭痛の頻度と強度、血清脂質と有意に相関(2015/10/13)10位パートナーがうつ病だと伝染するのか(2015/5/14)11位コーヒー摂取量と死亡リスク~日本人9万人の前向き研究(2015/5/11)12位長時間労働は多量飲酒につながる/BMJ(2015/1/26)13位急性虫垂炎は抗菌薬で治療が可能か?/JAMA(2015/6/30)14位2型糖尿病と関連するがんは?/BMJ(2015/1/23)15位脳梗塞と脳出血の発症しやすい季節(2015/10/19)16位胃がん切除予定例のピロリ除菌はいつすべき?(2015/7/16)17位ジゴキシンは本当に死亡を増大するのか/BMJ(2015/9/14)18位甘くみていませんか、RSウイルス感染症(2015/10/9)19位認知症、早期介入は予後改善につながるか(2015/2/6)20位肺炎球菌ワクチン 接種間隔はどのくらい?(2015/4/22)21位新規経口抗凝固薬の眼内出血リスク、従来薬との比較(2015/8/12)22位5歳までのピーナッツ摂取でアレルギー回避?/NEJM(2015/3/9)23位軽度認知障害からの進行を予測する新リスク指標(2015/1/7)24位若白髪のリスク因子(2015/1/19)25位社会生活の「生きにくさ」につながる大人のADHD(2015/9/16)26位内科診療「身体診察」の重要性を再認識(2015/6/5)27位性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大(2015/8/20)28位心不全患者へのASV陽圧換気療法は死亡を増大/NEJM(2015/9/18)29位低GI食、インスリン感受性や収縮期血圧を改善せず/JAMA(2015/1/5)30位唐辛子をほぼ毎日食べると死亡リスク低下/BMJ(2015/8/17)

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医師・患者双方への成功報酬で、LDL値が有意に改善/JAMA

 プライマリケア診療でのLDLコレステロール(LDL-C)値コントロールに関して、目標値を達成した場合にプライマリケア医と患者の双方に対して金銭的成功報酬を与えると効果があることが示された。米国・ペンシルベニア大学のDavid A. Asch氏らが、医師340人と患者1,503人を対象に行った4群クラスター無作為化試験の結果で、医師のみ、または患者のみへの成功報酬では、成功報酬がない場合と比べて有意な差は示されなかったという。JAMA誌2015年11月10日号掲載の報告より。医師340人、患者1,503人を対象に試験 研究グループは2011~14年にかけて、米国3ヵ所のプライマリケア診療所を対象に、12ヵ月間の検討を行った。被験者の患者は年齢18~80歳、10年フラミンガム・リスクスコアが20%以上、LDL-C値120mg超で冠動脈疾患歴あり、またはスコア10~20%でLDL-C値140mg/dL超の1,503例だった。 研究グループは、被験者のプライマリケア医340人を無作為に4つの群に分け、患者がLDL-C目標値を達成した場合に、(1)医師のみに患者1人当たり最大1,024ドルを(医師のみ成功報酬群)、(2)患者のみに最大1,024ドルを(患者のみ成功報酬群)、(3)医師と患者に分配報酬を(成功報酬分配群)、(4)アウトカム報酬は両者に与えないが患者のみに参加報酬を355ドル(対照群)、それぞれ与えた。 主要評価項目は、12ヵ月間のLDL-C値の変化量だった。成功報酬分配群のLDL-C年間変化量、対照群との差は8.5mg/dL 結果、各群のベースラインから12ヵ月時点へのLDL-C値は、成功報酬分配群160.1mg/dLから126.4mg/dL、医師のみ群159.9mg/dLから132.0mg/dLへ、患者のみ群160.6mg/dLから135.5mg/dLへ、対照群161.5mg/dLから136.4mg/dLへ減少。それぞれの平均変化値は、成功報酬分配群33.6mg/dL(95%信頼区間[CI]:30.1~37.1)、医師のみ群27.9mg/dL(同:24.9~31.0)、患者のみ群25.1mg/dL(同:21.6~28.5)、対照群25.1mg/dL(同:21.7~28.5)で、いずれも有意な変化が認められた(4群ともp<0.001)。 対照群と比較してLDL-C低下の統計的有意差が認められたのは、成功報酬分配群のみで、その差は8.5mg/dL(95%CI:3.8~13.3、p=0.002)だった。 今回の結果について著者は、「低下の差はわずかで、成功報酬というやり方に価値があるのかどうか、さらなる検証が必要だ」と述べている。

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MDI Liraglutide 試験:強化インスリン療法にGLP-1受容体作動薬を追加する意義(解説:小川 大輔 氏)-455

 2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性増大により、インスリン作用不足を来し高血糖が持続する疾患である。薬物療法は通常、経口血糖降下薬で開始し併用することが多いが、進行するとGLP-1受容体作動薬や持効型インスリンを併用したり、強化インスリン療法に変更したりする。2型糖尿病の症例に強化インスリン療法を長期間続け、インスリン投与量を徐々に増やしていくと、しばしば体重の増加と低血糖症の出現が問題となる。 今回、BMJ誌に掲載されたMDI Liragultide Trialは、強化インスリン療法を行っている血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者に対し、GLP-1受容体作動薬リラグルチド(商品名:ビクトーザ)1.8mgを24週間併用することで、血糖コントロールが改善するか、また体重やインスリン投与量を減らすことができるかを、プラセボと比較検討した試験である。スウェーデンの14施設で施行され、リラグルチド投与群ではHbA1cが開始前より約1.5%有意に低下した。また、体重も3.8 kg有意に減少し、インスリン投与量も18.1単位有意に低下した。さらにCGMで血糖変動も評価しており、リラグルチド群はプラセボ群と比べて有意に血糖変動を改善した。有害事象については、低血糖は両群間で有意差はなく、悪心はリラグルチド投与群で多く認めた。 経口血糖降下薬あるいは持効型インスリンを投与中の2型糖尿病症例に、GLP-1受容体作動薬を追加して効果を検討した試験はすでにあるが、強化インスリン療法にGLP-1受容体作動薬を追加した試験はこれが初めてである。これまで、強化インスリン療法まで行っても血糖や体重のコントロールができない場合、次の一手に困る「手詰まり」感があったが、インクレチン関連薬であるGLP-1受容体作動薬を追加することにより、血糖コントロールが改善し、体重が減少し、さらにインスリン投与量を減らせることが示された意義は大きい。この試験のリミテーションは、観察期間が24週間と短いため、リラグルチドを長期間併用した際の有害事象や心血管イベントに対する影響が不明であること、また、わが国で承認されているリラグルチド投与量の0.9mgより多いという点である。今後、日本人の糖尿病患者を対象とした検討に期待したい。

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PCIは虚血性心疾患患者の長期生存に寄与するか/NEJM

 安定虚血性心疾患患者の初期管理において、至適な薬物療法に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を併用しても、薬物療法単独に比べ長期的な生存率に差はないことが、米国・ニューヨーク退役軍人省健康管理ネットワークのSteven P Sedlis氏らが行ったCOURAGE試験の拡張調査で確認された。PCIは、ST上昇急性心筋梗塞患者の生存率を向上させ、非ST上昇心筋梗塞患者の長期生存を改善して早期および晩期の心イベントを低減することが示されている。一方、安定虚血性心疾患患者では、PCIは狭心症を軽減し、心筋虚血の領域を減少させるが、生存の改善を示した臨床試験はないという。NEJM誌2015年11月12日号掲載の報告。最長15年の追跡期間の拡張調査で生存率を評価 COURAGE試験では、1999年6月~2004年1月に、安定虚血性心疾患患者2,287例が、至適な薬物療法のみを行う群(薬物療法群)または至適薬物療法+PCIを施行する群(PCI群)に無作為に割り付けられた。 追跡期間中央値4.6年の時点で、全死因死亡と非致死的心筋梗塞の複合エンドポイントの発生率は、PCI群が19.0%、薬物療法群は18.5%であり、両群間に差を認めなかった(ハザード[HR]:1.05、95%信頼区間[CI]:0.87~1.27、p=0.62)(Boden WE, et al. N Engl J Med 2007; 356: 1503-1516)。 研究グループは今回、本試験の拡張調査を行い、最長15年追跡した患者の死亡率を報告した(VA Cooperative Studies Programの助成による)。 米国退役軍人省(VA)の医療施設およびVA以外の米国のいくつかの施設で本試験に参加した患者から、社会保障番号の使用許可を得て、元の試験の終了以降の生存を追跡した。 VAの全国的なCorporate Data Warehouseおよび全米死亡記録(National Death Index)を検索して、生存情報および全死因死亡の日付のデータを収集した。生存率はKaplan–Meier法で算出し、ベースラインの背景因子の群間の有意差はCox比例ハザードモデルを用いて補正した。全体の死亡率:PCI群25%、薬物療法群24% 拡張調査の生存情報は、1,211例(元の患者集団の53%)で得られた(PCI群:613例、薬物療法群:598例)。全体の患者の追跡期間中央値は6.2年(範囲:0~15)であり、生存の追跡の許可が得られた施設の患者の追跡期間中央値は11.9年(範囲:0~15)であった。 全体で2,287例中561例が死亡し、死亡率は25%であった。このうち、元の試験の追跡期間中の死亡が180例、拡張調査の追跡期間中は381例であった。 治療群別の死亡率は、PCI群が25%(284/1,149例)、薬物療法群は24%(277/1,138例)であり、未補正HRは0.98(95%CI:0.83~1.15、p=0.77)、補正HRは1.03(95%CI:0.83~1.21、p=0.76)であった。 拡張調査期間の死亡率はPCI群が41%(253/613例)、薬物療法群は42%(253/598例)であり、未補正HRは0.95(95%CI:0.79~1.13、p=0.53)であった。 拡張調査の有無、年齢(60歳以下、60歳超)、喫煙歴の有無、性別など11項目のサブグループ解析では、両群間に有意な差を認めたものはなかった。 著者は、「最長15年間の拡張追跡調査において、安定虚血性心疾患患者の初期治療戦略として、PCI+薬物療法と薬物療法単独の間に生存率の差を認めなかった」とまとめ、「これは、糖尿病と安定虚血性心疾患の双方を有する2,368例を5.3年間追跡したBARI 2D試験(PCI、CABG)の全死因死亡の結果と一致する」と指摘している。

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CKDリスクを予測する新たなバイオマーカーの可能性/NEJM

 可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ受容体(suPAR)の上昇は、ベースライン時の腎機能正常者において、慢性腎臓病(CKD)の発症および推定糸球体濾過量(eGFR)の加速度的な低下と有意に関連することが、米国・エモリー大学医学部のSalim S Hayek氏らの検討で示された。血漿中のsuPARの高値は、多様な病態の患者集団において、不良な臨床転帰や巣状分節性糸球体硬化症、糖尿病性腎症と関連することが知られている。これらの知見はまだ検証中であるが、腎臓病におけるsuPARの広範な役割が示唆されている。NEJM誌2015年11月12日号(オンライン版2015年11月5日号)掲載の報告。血漿suPAR値とCKD発症の関連を前向きコホート試験で評価 研究グループは、「血漿suPAR値はCKDの新規発症と関連する」との仮説を検証するために、心血管疾患患者を対象に大規模な前向きコホート試験を実施した(Abraham J and Phyllis Katz Foundationなどの助成による)。 2003~09年に、アトランタ市の3施設で心臓カテーテルを施行され、エモリー心血管バイオバンクに登録された3,683例(平均年齢63±12歳、男性65%、suPAR中央値3,040pg/mL)の血漿suPAR値を測定した。このうち2,292例(62%)で、登録時とフォローアップ期間中の受診時に腎機能の評価を行った。 suPAR値とベースラインのeGFR、eGFRの経時的変化、CKDの発症との関連につき、人口統計学的変量および臨床的変量で補正後に、線形混合モデルとCox回帰を用いて解析を行った。suPAR値の四分位数(Q1~Q4)別に、eGFRの変化およびCKDの発症の比較を行った。CKDは、eGFR<60mL/分/1.73m2と定義した。 ベースラインのsuPAR値が≧3,040pg/mL(中央値)の患者は、<3,040pg/mLの患者に比べ、年齢が高く、女性が多く、喫煙歴、高血圧、糖尿病、蛋白尿、冠動脈疾患、心筋梗塞歴の頻度が高く、高感度CRPが高値で、eGFRは低値であった(いずれもp<0.001)。CKD発症率が、Q3はQ1の2倍、Q4は3倍以上に ベースラインのsuPAR値が高い患者ほど、フォローアップ期間を通じてeGFR低下の程度が大きく、suPAR値が最大四分位群(Q4)の患者のeGFRの年間の変化が-4.2mL/分/1.73m2であったのに対し、最小四分位群(Q1)では-0.9mL/分/1.73m2であった(p<0.001)。 Q4のeGFRの年間の低下は、Q1およびQ2よりも大きく(いずれも、p<0.001)、Q3もQ1およびQ2に比べ年間の低下が大きかった(いずれも、p<0.001)。Q1とQ2、Q3とQ4の間には有意な差はなかった。 suPAR値関連のeGFRの低下は、ベースラインのeGFRが<60mL/分/1.73m2の患者では有意ではなく(-0.1%、95%信頼区間[CI]:-0.9~0.7)、≧60mL/分/1.73m2の患者では有意であり(-1.2%、95%CI:-1.8~-0.6)、これらの間には有意な差が認められた(交互作用検定:p<0.001)。 また、ベースラインのeGFRが低い患者ほどsuPAR値に関連するeGFRの変動が小さく、ベースライン時に正常(90~120mL/分/1.73m2)であった921例のsuPAR値関連eGFRの低下が最も大きかった(交互作用検定:p<0.001)。 一方、ベースラインのeGFRが≧60mL/分/1.73m2の1,335例におけるCKDの発症率は、suPAR値の四分位がQ1からQ4へ1段階ずつ上がるに従って有意に増加し(ハザード比[HR]:1.40、95%CI:1.26~1.55、p<0.001)、≧3,040pg/mLの患者は<3,040pg/mLに比べて約2倍高かった(HR:1.97、95%CI:1.53~2.54、p<0.001)。 また、suPAR値がQ1の患者に比べて、Q3の患者のCKD発症率は2倍(HR:2.00、95%CI:1.38~2.89、p<0.001)、Q4は3倍以上(HR:3.13、95%CI:2.11~4.65、p<0.001)に達し、Q4はQ3の約1.5倍であった(HR:1.51、95%CI:1.11~2.06、p=0.01)。 著者は、「suPAR高値は、ベースライン時の腎機能正常者においてCKDの発症およびeGFRの加速度的な低下とそれぞれ独立の関連を示した」とまとめ、「これらの結果は、suPARが、CKDのバイオマーカーとして不可欠の要件を満たすことを示唆する」と指摘している。

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1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより 第25回

第25回:HbA1cだけではなく、患者もみるべし監修:吉本 尚(よしもと ひさし)氏 筑波大学附属病院 総合診療科 ここ数年、糖尿病をめぐる状況は大きな変化を迎えています。治療目標を個別化することが世界的な流れとなり、日本糖尿病学会のガイドライン1)でも治療目標を患者の状況によって個別に設定することが明記されました。また複数の新薬も登場しています。 普段の診療でも、とくに高齢者では、HbA1cが高めであってもあまり全身状態が悪化しない例を多くの方が経験しているだろうと思います。欧米のガイドラインも含めた世界的な流れを確認しておきたいと思います。 Individualizing Target Goals and Treatment in Patients with Type 2 Diabetes2型糖尿病患者の個別化された治療目標と治療法以下、American family physician 2015年6月1日号1)より抜粋【治療目標について】アメリカとヨーロッパの糖尿病研究学会は、2型糖尿病患者に対して、いつどのように個別化された治療を行うかに焦点をあてたposition statement第2版を発表している。これまで同様に、治療法と治療目標の個別化が提案されている。次のような場合はあまり厳格なコントロールを行うべきではない(訳者注:厳格な目標とは、「HbA1c<7%」のこと)。 低血糖のリスクが高い 疾患の罹患期間が長い 生命予後が短い 進行した血管合併症を含む重大な併存疾患の存在 アドヒアランスの欠如やモチベーションの低さ 資源やサポートシステムが限られている【治療法について】メトホルミンは治療の基礎である。もし有効でなかった場合、ガイドラインでは他の6種類(訳者注:SU薬、チアゾリジン、DPP-4阻害薬、SGLT2阻害薬、GLP-1受容体拮抗薬、インスリンの6種類)の薬のどれかの併用を提案しており、有効性の差は臨床上問題にならないとしている。必要なら3剤目も同様であり、患者の好みなどによって個別に調整する。抜粋ここまで。厳しい目標を適用する患者を限定すべきという方向性が強く現れている反面、どの程度の目標が良いのかについては明確にされていません。複数の組織からいくつかの具体的な治療目標の提案がされていますが2)、内容も相互に異なっており、今後の検証が待たれます。肥満の少ない日本人の2型糖尿病患者に対するメトホルミンの血糖コントロール改善についてはMORE studyで検証されており、メトホルミンを第1選択とする本論文の提案は、日本人においても同様に考えてよいと思います。いずれにしろ、機械的にHbA1cの数値だけをみてコントロールをしてはいけないということをあらためて肝に銘じたいと思います。※本内容は、プライマリケアに関わる筆者の個人的な見解が含まれており、詳細に関しては原著を参照されることを推奨いたします。 1) Shaughnessy AF. Am Fam Physician. 2015;91:788. 2) 日本糖尿病学会. 科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン2013.(参照2015.11.26) 3) M. Sue Kirkman, et al. Consensus Report: Diabetes in Older Adults. 2012 Oct 25.

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発症年齢、HbA1c、CKDが2型糖尿病患者の生命予後を規定する(解説:住谷 哲 氏)-453

 2型糖尿病患者の生命予後を改善するためのアプローチとしては、(1)2型糖尿病発症予防、(2)多因子介入(multifactorial approach)、(3)診断直後からの介入(legacy effect)が有用と考えられてきた。スウェーデンにおけるコホート研究である本論文は、これらのアプローチが正しかったことを支持すると同時に、その限界をも明らかにした点で重要である。 スウェーデン全国糖尿病レジスター(Swedish National Diabetes Register)に登録された2型糖尿病患者約40万例と、年齢・性別・居住地をマッチさせた対照患者約200万例を約5年間追跡した。これにより、スウェーデンにおけるほとんどの2型糖尿患者が網羅された。追跡期間中の総死亡率および心血管死亡率が比較されたが、重要なのは登録時の年齢、追跡期間中のHbA1c、アルブミン尿、eGFRによる層別解析がなされている点である。 2型糖尿病患者において、総死亡率の増加は年齢に関係なくHbA1cの上昇と単調に相関しており、全体ではHbA1cが1%上昇するごとに総死亡率は12%増加した。これはUKPDS35における疫学的検討の結果(総死亡率はHbA1c 1%の上昇につき14%増加)1)と一致していた。さらに総死亡率に関して、年齢とHbA1cとの間には交互作用を認めたが(p<0.001)、性別とHbA1cとの間には交互作用を認めなかった(p=0.21)。つまり、血糖コントロールが総死亡率に及ぼす影響は、年齢により異なるが性別による差はないことになる。表(原著Table 3)を詳細にみると、若年(<55歳)2型糖尿病患者においては、血糖コントロールが良好群(HbA1c<7.0%)の総死亡率のハザード比(HR)が1.92(95%信頼区間1.75~2.11)であり、不良群(HbA1c≧9.7%)では同4.23(3.56~5.02)であった。一方、高齢(≧75歳)2型糖尿病患者においてはそれぞれ0.95(0.94~0.96)、1.55(1.47~1.63)であり、血糖コントロールが総死亡率に及ぼす影響が、若年者に比較して減弱していることが示唆された。アルブミン尿、eGFRについても同様の解析がなされたが、HbA1cと同様に、高齢者においては若年者に比較して両者が総死亡率に及ぼす影響は減弱していた。 高齢(≧75歳)2型糖尿病患者におけるHbA1cの目標値を、どこに設定すべきか現時点でコンセンサスはない。この問題に対して、本論文は1つの答えを与えてくれると思われる。HbA1c 7.9~8.7%群における総死亡率のHRは、正常アルブミン尿群では1.01(0.97~1.05)、eGFR>60mL/min群では1.00(0.97~1.04)であり、対照群と差はなかった。したがって、正常アルブミン尿かつeGFR>60mL/minの高齢(≧75歳)2型糖尿病患者におけるHbA1cの目標値を8.7%以下とするのが1つの基準となるだろう。 これに反して、若年(<55歳)2型糖尿病患者においては、血糖コントロール良好(HbA1c<7.0%)かつ正常アルブミン尿群における総死亡率のHRは1.60(1.40~1.82)、HbA1c<7.0%かつeGFR>60mL/min 群においては1.73(1.55~1.92)であり、対照群に比較して有意に高値であった。この理由は明らかではないが、若年2型糖尿病患者群におけるスタチンおよびレニン・アンジオテンシンン・アルドステロン系阻害薬の服用率が、対照群に比較してそれぞれ8倍および5倍であったことを考慮すると、冒頭に述べた多因子介入のみでは、若年2型糖尿病患者における総死亡率抑制には不十分であることが示唆される。著者らが述べているように、禁煙の徹底、身体活動量の増加、新しい心血管保護薬の開発が必要であろう。 2型糖尿病患者の総死亡率は、対照群と比較して依然として高い。本論文により2型糖尿病発症年齢、血糖コントロール、アルブミン尿およびeGFRで規定される慢性腎臓病CKDが総死亡率の増加に関連することが再確認された。したがって2型糖尿病の発症をできるだけ遅らせること、早期からの多因子介入により良好な血糖コントロールを維持するとともに、CKD発症を予防することがきわめて重要であることも再認識する必要があろう。

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厳格降圧のベネフィットは高リスク患者ほど大きい/Lancet

 中国・北京大学第一病院のXinfang Xie氏らは高血圧治療に関する最新のシステマティックレビューとメタ解析を行い、厳格降圧療法は標準降圧療法と比べて血管保護効果が大きいことを報告した。最近改訂された現行の高血圧ガイドラインは、心血管疾患や腎疾患、糖尿病などを有する高リスク患者の降圧目標について、以前とは推奨を逆転させている。検討グループは、このガイドラインの変化が厳格降圧療法戦略に対する疑念を提示したものとして、厳格降圧療法の有効性と安全性を評価するため本検討を行った。Lancet誌オンライン版2015年11月7日号の掲載報告より。メタ解析で、降圧の重大心血管イベントなどへの影響を評価 検討は、1950年1月1日~2015年11月3日のMEDLINE、Embase、Cochrane Libraryを検索し無作為化対照試験を包含して行った。適格条件は、フォローアップ6ヵ月以上、目標降圧値やベースラインからの血圧変化値は問わず、被験者を厳格降圧療と非厳格降圧療法に無作為に割り付けた試験とした。被験者の年齢、また論文の言語は問わなかった。 メタ解析で、降圧の重大心血管イベント(心筋梗塞、脳卒中、心不全、心血管死の各発生および複合発生)への相対リスク(RR)を評価した。また、非血管死および全死因死亡、末期腎臓病、有害事象についても評価し、糖尿病患者参加試験ではアルブミン尿、網膜症の進行についても調べた。140mmHg未満への降圧ベネフィットも確認 19試験、4万4,989例のデータを特定した。重大心血管イベントは、フォローアップ平均3.8年(範囲:1.0~8.4年)で2,496例が記録されていた。 メタ解析において、厳格降圧療法群の平均血圧値は133/76mmHg、非厳格降圧療法群は140/81mmHgであった。 厳格降圧療法群におけるRR抑制は、重大心血管イベントは14%(95%信頼区間[CI]:4~22%)、心筋梗塞13%(同:0~24%)、脳卒中22%(10~32%)、アルブミン尿10%(3~16%)、網膜症進行19%(0~34%)であった。 一方で、心不全(RR:15%、95%CI:-11~34%)、心血管死(9%、-11~26%)、総死亡(9%、-3~19%)、末期腎臓病(10%、-6~23%)については、厳格降圧療法の明確な効果は認められなかった。 重大心血管イベントの抑制は、患者群を問わずみられ、収縮期血圧140mmHg未満患者へのさらなる降圧についても、明確なベネフィットが認められた。最も大きな絶対ベネフィットは、心血管疾患、腎疾患、糖尿病を有する患者が参加した試験でみられた。 重大有害事象は、降圧と関連していたが、報告は6試験のみであり、年当たりのイベント発生率は、厳格降圧療法群1.2%、非厳格降圧療法群は0.9%であった(RR:1.35、95%CI:0.93~1.97)。厳格降圧療法群のほうが重大低血圧症の発生頻度が有意に高かったが(RR:2.68、95%CI:1.21~5.89、p=0.015)、過剰絶対リスクは小さかった(追跡期間中の人年当たり0.3% vs.0.1%)。 これらの結果を踏まえて著者は、「厳格降圧療法は、標準降圧療法よりも血管保護効果が大きいことが示された。また、高リスク患者では、140mmHg未満患者も含めて降圧が厳格なほどベネフィットは大きかった」と述べ、「厳格降圧のネット絶対ベネフィットは、高リスク患者ほど大きい」とまとめている。

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糖尿病治療中こそ禁煙が大事!

糖尿病とタバコの関係 喫煙により、インスリンの効きが悪くなること(インスリン抵抗性)が知られています。 現在は糖尿病でない方も、糖尿病になる可能性も上がります。 血管に負担がかかるため、腎機能障害が進みやすく透析になってしまう確率も上がります。2 糖尿病患者が喫煙をすると、喫煙をしない場合に対して死亡率が1.55倍に上昇するという結果が報告されました。1-糖尿病患者の死亡リスク1.55非喫煙者喫煙者Pan A, et al. Circulation. 2015 Aug 26. [Epub ahead of print]糖尿病治療中の方こそ、禁煙が大事です!社会医療法人敬愛会 ちばなクリニックCopyright © 2015 CareNet,Inc. All rights reserved.清水 隆裕氏

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糖尿病トライアルデータベース」がリニューアル

 ライフサイエンス出版株式会社は、約1,000報の糖尿病関連トライアルを収載した日本最大級の糖尿病研究データベース「糖尿病トライアルデータベース」を11月にリニューアルした。  目まぐるしく新薬ラッシュが続く糖尿病領域において、試験概要をもう一度詳しく調べたい場合や研究内容のチェックに活躍する。検索しやすく、編集委員のコメント付き 特長として、糖尿病のトライアルに関し、さまざまな方法で検索できることが挙げられる。たとえば、トップページの検索窓に任意の検索語を直接入力する方法や、トライアル名や著者名の頭文字がわかっている場合は、検索窓の下に並ぶアルファベットをクリックするだけで、表示された一覧から目的のトライアルを探すことができる。 トライアルの詳細は、抄録が項目(目的/試験デザイン/対象患者/方法/結果/結論)ごとにコンパクトかつ必要十分にまとめられているので、短時間で必要とする情報にたどり着くことができる。さらに、片山 茂裕氏(埼玉医科大学かわごえクリニック・埼玉医科大学)をはじめとする、糖尿病領域のオピニオンリーダー6人の編集委員による各トライアルについてのコメントも付いている。それぞれのトライアルの重要度を4段階で評価し、「研究結果の捉え方」や「今後の糖尿病治療への影響」など、さまざまな側面からの解説がなされている。 また、糖尿病治療に大きなインパクトを与えた研究(例:ACCORD、ADVANCE、UKPDS 80、久山町研究、熊本スタディなど)は「おさえておきたい重要トライアル」のコーナーにまとめられており、利便性も図られている。データベースは無料かつ会員登録不要 同データベースの閲覧はすべて無料であり、会員登録も不要としている。定期的にサイトにアクセスするだけで、新しいエビデンスに触れることができる。なお、データベース更新のお知らせはtwitter「@EBM_Library」でもツイートされている。「糖尿病トライアルデータベース」は、こちら詳しくは、ライフサイエンス出版株式会社まで。

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英国プライマリケアでの処方の安全性、施設間で差/BMJ

 英国一般診療所の代表サンプル526施設を対象に処方の安全性について調べた結果、患者の約5%に不適切処方がみられ、また約12%でモニタリングの記録が欠如していることが、英国・マンチェスター大学のS Jill Stocks氏らによる断面調査の結果、明らかになった。不適切処方のリスクは、高齢者、多剤反復処方されている患者で高く、著者は、「プライマリケアにおいて、とくに高齢者と多剤反復投与患者について処方のリスクがあり適切性について考慮すべきであることが浮かび上がった」と述べている。英国では、プライマリケア向けに処方安全指標(prescribing safety indicator)が開発されているが、これまで試験セットでの検討にとどまり、大規模なプライマリケアデータベースでの評価は行われていなかった。BMJ誌オンライン版2015年11月3日号掲載の報告。英国一般診療所526施設のデータを分析 研究グループは、英国一般診療所における複数タイプの潜在的有害処方の有病率を調べ、また診療所間にばらつきがあるかどうかについて調べた。2013年4月1日時点でClinical Practice Research Datalink(CPRD)に登録された526施設において、診断と処方の組み合わせで特定した潜在的処方リスクやモニタリングエラーの可能性がある全成人患者を包含した。 主要アウトカムは、抗凝固薬、抗血小板薬、NSAIDs、β遮断薬、glitazone(チアゾリジン系糖尿病薬:TZD)、メトホルミン、ジゴキシン、抗精神病薬、経口避妊薬(CHC)、エストロゲンの潜在的に有害な処方率。また、ACE阻害薬およびループ利尿薬、アミオダロン、メトトレキサート、リチウム、ワルファリンの反復処方患者の、血液検査モニタリングの頻度が推奨値よりも低いこととした。不適切処方、モニタリング欠如は指標によりばらつき、診療所間のばらつきも高い 全体で94万9,552例のうち4万9,927例(5.26%、95%信頼区間[CI]:5.21~5.30%)の患者が、少なくとも1つの処方安全指標に抵触した。また、18万2,721例のうち2万1,501例(11.8%、11.6~11.9%)が、少なくとも1つのモニタリング指標に抵触した。 同処方率は、潜在的処方リスクタイプの違いでばらつきがみられ、ほぼゼロ(静脈または動脈血栓症歴ありでCHC処方:0.28%、心不全歴ありでTZD処方:0.37%)のものから、10.21%(消化器系潰瘍または消化管出血歴ありで消化管保護薬処方なし、アスピリンやクロピドグレル処方あり)にわたっていた。 不十分なモニタリングは、10.4%(75歳以上、ACE阻害薬やループ利尿薬処方、尿素および電解質モニタリングなし)から41.9%(アミオダロン反復処方、甲状腺機能検査なし)にわたっていた。 また、高齢者、多剤反復処方患者で、処方安全指標の抵触リスクが有意に高かった一方、若年で反復処方が少ない患者で、モニタリング指標の抵触リスクが有意に高かった。 さらに、いくつかの指標について診療所間での高いばらつきもみられた。 なお研究グループは、処方安全性指標について、「患者への有害リスクを増大する回避すべき処方パターンを明らかにするもので、臨床的に正当なものだが例外も常に存在するものである」と述べている。さらに、検討結果について「いくつかの診療について、CPRDで捕捉できていない情報がある可能性もあった(ワルファリンを投与されている患者のINRなど)」と補足している。

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SPRINT試験:75歳以上の後期高齢者でも収縮期血圧120mmHg未満が目標?(解説:浦 信行 氏)-450

 最近の各国の高血圧ガイドラインにおいては欧米のそれを中心に、従来の降圧目標値を上方修正する傾向にある。今回の解析対象には含まれていないが、より心血管疾患のリスクの高い糖尿病合併例においては、ACCORD-BP試験の結果から、わが国以外ではおしなべて降圧目標値を上方修正した経緯がある。米国では2016年秋に改訂ガイドラインが公表される予定だが、このSPRINT試験はその傾向に再考を促す結果となり、大なり小なりこの試験の結果を包含した内容になると考えられる。 ところで、厳格降圧群の平均収縮期血圧(SBP) は121.5mmHg未満と、半数は120mmHg未満を達成していない。IDNT試験の層別解析では、腎イベントはSBPが120mmHg未満を達成しても一層の効果はなく、全死亡はSBP 120mmHg以下でむしろ増え、Jカーブとなっている。SBPの達成血圧値による、より詳細な分析が必要と考える。桑島氏も指摘のとおり、SPRINT試験では心不全に対する効果が、結果に大きく影響していると思われる。使用薬剤は、RA系抑制薬使用が厳格治療群76.7%に対して標準治療群で55.2%、サイアザイド系利尿薬が54.9%対33.3%、β遮断薬が41.1%対30.8%、アルドステロン拮抗薬が8.7%対4.0%と、降圧作用だけではなく心不全治療としてもかなり濃厚なものとなっている。そして、高齢者の血圧管理についても厳格降圧群で優れる結果となっている。 しかし、75歳以上の後期高齢者での両群の達成血圧値が提示されておらず、この群においても実際にSBP 120mmHg未満を達成した例がどれだけいたかは不明である。また、施設入所の高齢者は含まれておらず、ADLの保たれている高齢者のみが対象である。重篤な合併症は低血圧、失神、電解質異常、急性腎障害が厳格降圧群で有意に多く、限られた例数の75歳以上の後期高齢者群でも、低Na血症と急性腎障害が有意に多かった。著者らはこの結果から“メリットとデメリットをはかりにかけて目標値を考慮”との表現をしているが、はたして75歳以上の後期高齢者の高血圧に対し、降圧薬を増量してSBP 120mmHg未満を目指すことを、実地臨床で踏み切れるだろうか。 わが国では、高齢者高血圧の治療介入試験でJATOS試験やVALISH試験の成績があり、今回のSPRINT試験とは違う結果である。欧米との病態の違い、背景因子の違いなどがあり、必ずしもSPRINT試験の結果をそのまま演繹する必要はないと考える。日本人を対象とした同様の研究を考慮する必要があると考える。関連コメントSPRINT試験:厳格な降圧が心血管発症を予防、しかし血圧測定環境が違うことに注意!(解説:桑島 巖 氏)SPRINT試験:絶対リスクにより降圧目標を変えるべきか?(解説:有馬 久富 氏)

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循環器内科 米国臨床留学記 第3回

第3回:米国の循環器フェローの生活 今回は米国における循環器フェローシップのトレーニングや生活を具体的にみてみたいと思います。2015年、CORECATS(Core Cardiovascular Training Statement)と呼ばれる循環器トレーニングの指針が改訂され、JACC(Japan Collaborative Cohort Study for Evaluation of Cancer)で発表されました1)。186ページにもわたる大ボリュームです。この内容も踏まえながら、今回は米国のトレーニングをもう少し詳しくみてみたいと思います。待遇:苦しいフェロー生活! フェローシップにおいてお金の話は避けて通れません。まずはここから始めましょう。 一般に、米国の循環器フェローの給料は6万ドル、税金を引くと月給にして4,000ドル前後です。NYや西海岸などでは、家賃だけで給料の6割から7割近くを占めますし、幼稚園などはすごく高く、私の住むアーバイン(カリフォルニア州)では1人当たり1,000ドルを超えます。ですから、この給料でやっていくのは家族連れには不可能です。ですから、日本人の臨床留学の仲間が集まると、たいていどれだけ貧乏かという話に落ち着きますし、家族の理解なしでは米国での臨床留学は成り立ちません。 米国人のレジデントは、医学部卒業時で10万ドル(1,200万円)を超える借金、なんと36%が20万ドルを超えた借金を抱えています。(Leslie Kane and Carol Peckham. Residents Salary and Debt Report 2014. Medscape, FAMILY MEDICINE.) 結果、多くのフェローがmoonlighting(当直バイト)をして、収入を補っています。時間当たり100ドルぐらいが相場ですが、moonlightingの時間も労働時間にカウントされ、週80時間を超えて労働すると、プログラムの規則違反となり、解雇されることもあります。 日本では3年目から市中病院で勤めると年収も1,000万円近くになることが多いと思いますので、収入に困るということはないと思いますが、大学や国立病院に勤務すると、バイトをしないと家族を支えるのは難しいかもしれません。私も6年目で国立循環器病センターに移った際に、給料が半分に下がり、それを補うべく大阪のさまざまな病院で当直バイトに明け暮れていました。1年目は忙しいCCUローテーションなどが中心、比較的楽な3年目 1年目はCCUなどのローテーションが多く、学年が上がるにつれて楽なローテーションが増え、また、その後に進むサブスペシャルティーを重点的にローテートしたりもできます。CCUでは10人前後の患者を2、3人のレジデントと一緒に担当します。朝7時半ぐらいから、レジデントと新しい患者の申し送り事項を確認し、前日からいる患者と合わせて治療方針を確認します。9時から指導医との回診が始まります。私の所属するカリフォルニア大学アーバイン校(UCI)では、指導医は週単位で変わり、インターベンショニスト(冠動脈疾患専門医)やEP(Electrophysiologist:不整脈専門医)の指導医も回診を担当しなければなりません。UCIではCCUをICUの当直がカバーするので、フェローは病院に残る必要はありませんが、18時以降でもST上昇心筋梗塞、心タンポナーデなどの患者が来れば、オンコールのフェローは病院に戻らなければなりません(プログラムによってはCCU当直を担当する循環器フェローが病院に泊まるようです)。CCUローテーションは週末を除いて月曜日から木曜日までは当直が続きます。週末は、4~5週間に1回、当直を担当します。結果的に、当直を挟むと最長で11日間連続当直となりますので、体力的に結構きついです。週末の当直は通常業務に加えて、金曜日の夜以降にやってきた患者のストレステストも担当しなければなりませんので、かなり忙しくなります。ローテーションの内容:雑用は少ない?? 米国では基本的に月単位のローテーションです。米国では小さなプログラムでも最低3人つまり3学年で9人以上、多くの場合15人ほどのフェローがいますので、月ごとのローテーションが可能です。基本的には心カテ、EP、心不全、心エコー、CCU、コンサルト、リサーチの繰り返しとなります。前回のコラムで雑用は少ないと書きましたが、最近はそうでもないなと感じています。雑用の一つとして、ストレステストがあげられます。 心筋シンチや負荷エコーなどができる米国の病院に胸痛を主訴に来ると、ストレステストなしで帰宅できる可能性はきわめて低いです。ER(救急外来)の医師は、冠動脈疾患の可能性が低いと診断した胸痛患者も責任の回避のためにストレステストへ患者を回します。ストレステストに現れた患者と話をして、どうみても筋肉か骨の痛みだろうと思っても、やらざるを得ないということが良くあります。お金と時間の無駄だなと分かっていても、ストレステストをオーダーされる側は黙ってやるのみです。まあ、実際、肥満や糖尿病患者が多いので筋肉の痛みで来たとしても、冠動脈疾患を持っている患者は多そうですが。こういう考えで医療を行うことをdefensive medicineと呼びますが、米国はこれがひどいです。99.9%冠動脈疾患じゃないとわかっていても、見逃した0.1%つまり1,000回に1回でも見逃すと訴えられる可能性が高いわけです。毎日、何十人も見知らぬ患者をみている救急医からすると、1,000回に1回訴えられるリスクを取るよりも、ワンクリックでストレステストをオーダーしたほうが間違いがないし、簡単なわけです。病院も儲かります。 UCIでは、負荷心エコーもしくは心筋シンチを受けることとなります。日中はナースプラクティショナーが行ってくれることが多いのですが、彼らは何件残っていても、容赦なく夕方4時などで帰宅します。残ったストレス負荷は、フェローが残って行うため、夜8時までストレス負荷をやるはめになることもあります。目標症例数に応じたトレーニングレベル 米国では冠動脈造影、エコーなどに必要症例数や必要なトレーニング期間が設けられており、それに応じてレベル1~3の到達度が決まります。(表1 論文1より翻訳、改訂)1)レベル1が循環器のコンサルタントとして必要とされる基礎の循環器トレーニングです。 表2、3に冠動脈造影、心エコーにおける到達度の例を示します。フェローシップの間、ログブックに症例数を書き込み、フェロー修了時に冠動脈造影や心エコーの到達度を各自が把握します。たとえば、心エコーのレベル3は12ヵ月のトレーニング、300症例のエコーの施行、750症例のエコーの画像診断が必要になります。就職の際に、エコーについてはレベル2が必要、エコーの専門医資格が必要となることもあり、レベルを上げるモチベーションにもなります。 運動負荷心エコーや経食道心エコー(TEE)についても細かく症例数が決められています。たとえば、TEEは年間500症例以上を行う施設でトレーニングを行うのが最良とされており、3年間で50症例、できれば100症例を施行することと記載があります。日本でこれだけの数を行える施設では大学や一部の循環器センターを除くと少ないと思います。実際、1ヵ月のエコーローテーションで日本の3年間の循環器トレーニングのTEEの症例数を上回りました。静脈薬物使用患者が多く、感染性心内膜炎疑いが多いことも一因と考えられます。 また、症例数に応じてフェローの数が決められているため、自分が3年間で経験できる症例数が保障されます。何らかの理由で経験症例数が減ると、フェローからの苦情がACGME(トレーニングを統括する団体)に入り、最悪の場合、プログラムの停止や廃止につながります。進路:Subspecialty or General Cardiologist (一般循環専門医) 米国ではサブスペシャルティーのトレーニングが明確化しているため、general cardiologist、インターベンショニスト、EPなどの境界が明確です。2008年のデータ2)ですが循環器医の60%がgeneral cardiologistでした。最近の若い循環器医はどうでしょうか。毎年850人近い循環器専門医が誕生します。そのうち、インターベンションに300人(35%)、EPに130人(15%)、心不全に100人(12%)*前後が進んでいますので、4割ぐらいがgeneral cardiologistになっているということになります。日本では、大学などで一般循環器のトレーニングを受けた後、冠動脈、不整脈、心不全(心エコー)、基礎研究などのサブスペシャルティーを選択することがほとんどで、general cardiologistという概念は浸透していないような気がします。また、日本の市中病院で心臓カテーテルをしないという若い循環器医は少ないように思います。米国のgeneral cardiologistは心エコーや核医学診断などが中心で、一般的には冠動脈造影は行いません。給料はインターベンショニストなどに比べると若干落ちますが、危険な手技がない分、訴訟のリスクも低く、好んでgeneral cardiologistになる人も多いです。どのサブスペシャルティーが多いかは、給料の変化や需要と供給のバランスで毎年変わっていきます。このあたりもアメリカらしいところです。 次回は、米国のフェローシップ中に勤務する、大学病院、軍人病院(VA)、プライベートホスピタルの違いを述べたいと思います。 参考文献 1) Sinha SS, et al. J Am Coll Cardiol. 2015;65:1907-1914. 2) Rodgers GP, et al. J Am Coll Cardiol. 2009;54:1195-1208.

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日本糖尿病学会:ワークショップ「輝け!女性糖尿病医」を開催【ご案内】

 日本糖尿病学会「女性糖尿病医をpromoteする委員会」は11月27日、福岡で行われる第53回九州地方会内で、ワークショップ「輝け!女性糖尿病医」を開催する。ワークショップ「輝け!女性糖尿病医」 開催概要 【日時】  11月27日(金) 14:00 ~ 15:30 【会場】  アクロス福岡 1F 円形ホール  (日本糖尿病学会 第53回九州地方会:D会場)  交通アクセス情報はこちら 【座長】  南 昌江氏(南昌江内科クリニック)  中山 ひとみ氏(久留米大学)【講演】「医師として、母として、一人の女性として」  江頭 絵里奈氏(九州大学)「妻として、母として、医者として」  柿野 聡美氏(久留米大学)【特別講演】「女性糖尿病に向けたエール ~何よりも大切な周囲からの理解と支援~」  田嶼 尚子氏(東京慈恵会医科大学) 【主催】   日本糖尿病学会「女性糖尿病医をpromoteする委員会」 【共催】   日本医師会 なお、同学会ホームページ内「女性糖尿病医サポートの取り組み」では、同ワークショップ開催にあたり「企画者からのメッセージ」を掲載している。以下「関連リンク」より閲覧可能。関連リンク「おすすめのイベント情報 :第53回九州地方会」(日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」内)

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降圧目標120mmHg vs.140mmHgの結果:SPRINT/NEJM

 50歳以上で非糖尿病・心血管イベント高リスクの患者について、収縮期血圧目標120mmHg未満の厳格降圧療法が同140mmHg未満の標準降圧療法よりも、致死的・非致死的重大心血管イベントおよび全死因死亡の発生を有意に抑制したことが、米国ケース・ウェスタン・リザーブ大学のJackson T. Wright氏らによるSPRINT試験(米国立衛生研究所[NIH]助成)の結果、示された。一方、厳格降圧療法群では、低血圧症、失神、電解質異常、急性腎障害/腎不全といった重度有害事象の有意な増大がみられた。NEJM誌オンライン版2015年11月9日号掲載の報告。9,361例を対象に無作為化試験 本検討は、非糖尿病患者の心血管疾患の罹患および死亡を抑制するための至適降圧目標値を明らかにすることを目的に行われた。 被験者は、50歳以上、収縮期血圧130~180mmHg、心血管イベント高リスク(脳卒中以外の臨床的/不顕性心血管疾患、CKD、フラミンガム10年冠動脈疾患リスク15%以上、75歳以上のいずれか1つ以上に該当)を適格とした。糖尿病または脳卒中既往の患者は除外した。 2010年11月~2013年3月に9,361例を登録し、厳格降圧療法群(4,678例)、標準降圧療法群(4,683例)に無作為に割り付けて、当初3ヵ月間は月に1回、その後は3ヵ月ごとにフォローアップを行った。 主要アウトカムは、心筋梗塞、その他の急性冠症候群、脳卒中、心不全、またはあらゆる心血管死の複合とした。 両群のベースライン特性は類似していた。厳格降圧療法群について、平均年齢67.9歳、女性比36.0%、心血管疾患20.1%、CKD 28.4%、フラミンガム10年冠動脈疾患リスク15%以上61.4%、75歳以上28.2%、またベースライン血圧値139.7/78.2mmHg、非喫煙43.8%/元喫煙42.3%、BMI値29.9、降圧薬数1.8などであった。120mmHg群で主要複合アウトカム、全死因死亡の発生が有意に低値 試験は当初、平均追跡期間5年を予定していたが、中央値3.26年で厳格降圧療法群の主要複合アウトカム発生が有意に低いことが確認され、早期に中断となった。 両治療戦略による収縮期血圧値の差は、急速かつ持続的に認められた。追跡1年時点の評価における平均収縮期血圧値は、厳格降圧群121.4mmHg、標準群136.2mmHg、追跡期間中の平均値は121.5mmHg、134.6mmHgであった。平均降圧薬数は2.8、1.8であった。 主要複合アウトカム発生は、厳格降圧群1.65%/年、標準群2.19%/年で、厳格降圧療法による有意な抑制が確認された(ハザード比[HR]:0.75、95%信頼区間[CI]:0.64~0.89、p<0.001)。 全死因死亡の発生も、厳格降圧群(1.03%/年)が標準群(1.40%/年)よりも有意に低かった(HR:0.73、95%CI:0.60~0.90、p=0.003)。 重度有害事象の発生は、厳格降圧群1,793例(38.3%)、標準群1,736例(37.1%)で有意差はなかった(HR:1.04、p=0.25)。しかし、個別にみた場合に厳格降圧群で、低血圧症(2.4%、HR:1.67、p=0.001)、失神(2.3%、1.33、p=0.05)、電解質異常(3.1%、1.35、p=0.02)、急性腎障害/腎不全(4.1%、1.66、p<0.001)の発生頻度の有意な増大が認められた。転倒外傷(2.2%、0.95、p=0.71)、徐脈(1.9%、1.19、p=0.28)の有意差はみられなかった。また、これら重度有害事象の発生パターンの差は、75歳以上被験者についてみた場合も同様であった。

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日本COPDサミット~健康寿命延長に向けて変わるCOPD予防・治療の最前線~

 11月5日都内(文京区)にて、2015年度日本COPDサミットが開催された(主催:一般社団法人GOLD日本委員会/一般社団法人日本呼吸器学会/公益財団法人日本呼吸器財団)。 本年の世界COPDデーは11月18日であり、この日に向け、世界各国でさまざまな啓発イベントが実施されている。本サミットもその一環として企画された。 冒頭、三嶋 理晃氏(日本呼吸器学会 理事長)は、「各団体がタッグを組むことにより、インパクトある啓発活動につなげ、各メディア・自治体・医療関係者・一般市民への情報発信を高める後押しをする」と本サミットの目的を述べた。 以下、当日の講演内容を記載する。COPDはもはや肺だけの疾患ではない COPDはタバコの煙を主因とする閉塞性の肺疾患であるが、近年COPDは全身性の炎症疾患と考えられるようになってきた。実際、COPDは肺がん・肺炎・肺線維症などの肺疾患だけでなく、糖尿病、動脈硬化、骨粗鬆症、消化器病、うつ・記銘力低下などへの影響が報告されている。 この点について、長瀬 隆英氏(GOLD日本委員会 理事)は、なかでも糖尿病には注意が必要だと述べた。糖尿病患者がCOPDを併存すると生命予後が悪くなること1)、反対に、血糖コントロールが不良であると肺機能が有意に低下することが報告されているからである2)。しかしながら、COPDがさまざまな疾患に影響を及ぼす理由については、いまだ不明な点もあるため、今後さらなる研究が必要といえそうだ。受動喫煙は他人をむしばむ深刻な問題 受動喫煙のリスクについては、これまでも問題となってきた。加藤 徹氏(日本循環器学会禁煙推進委員会 幹事)は、「さらなる受動喫煙の問題は、分煙では防ぐことができない点である」と強調した。その理由は、「受動喫煙」の10%はPM2.5粒子成分(径<2.5μm)と同じくらいの非常に小さな粒子であるため、分煙してもドアなどの隙間から漏れ出るからである。さらに、この小さな粒子は、一度肺内に侵入すると肺胞の奥深くにまで到達し、一部は呼出されるが、大部分が湿った空気で膨張して居座り、悪さをする。仮に煙を直接吸わなかったとしても、喫煙後3~5分間は喫煙者からこれらの粒子が呼出されることがわかっているため、注意が必要である。 加藤氏は「喫煙をしなくても受動喫煙に曝露することで、心筋梗塞や脳卒中、喘息、COPDになりやすくなる」と述べ、屋内全面禁煙の重要性を強調した。すでに禁煙推進学術ネットワーク(2015年10月現在、27学会が参加)から2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて「受動喫煙防止条例」制定の要望書が東京都に提出されている。今後、受動喫煙を防止するための積極的な対策が望まれる。COPDで注意すべき3つの合併症 COPDではさまざまな合併症が存在するが、石井 芳樹氏(日本呼吸器財団 理事)は「肺がん、気腫合併肺線維症、喘息にはとくに注意が必要」と述べた。【肺がん】 COPDは喫煙とは独立した肺がん発症のリスク因子であり、10年間の肺がん発生率は約5倍にもなるという3)。さらに、COPD患者では、喫煙量が同等であっても肺がんによる死亡率が7倍も増加すると報告されている4)。これに対し加藤氏は、「早期にCOPDを発見し、禁煙をすることが死亡率を低下させるうえで何より重要」と述べた。【気腫合併肺線維症】 気腫合併肺線維症の特徴は、肺気腫による閉塞性障害と肺線維症による拘束性障害が合併すると、呼吸機能の異常が相殺されマスクされる点にあるという。2つの病態が重複することで一酸化炭素拡散能の低下がさらに増強され、低酸素血症や肺高血圧が悪化する。COPDは肺がんとの合併率が高いが、肺線維症が合併すると肺がん発症率がさらに高くなるため5)、慎重な経過観察が重要である。【喘息】 近年、COPDと喘息を合併する、オーバーラップ症候群が問題となっている。COPDと喘息は異なる病態の疾患であるが、咳、痰、息切れ、喘鳴など症状の鑑別が、とくに喫煙者と高齢者においては難しい。このオーバーラップ症候群は、年齢とともに合併率が増加するといわれている6)。喘息を合併することで、COPD単独の場合よりも増悪頻度は高くなり、重症な増悪も多くなるという7)。加藤氏は、それにもかかわらず喘息患者が喫煙をしているケースが散見される、として「とくに喘息患者では禁煙指導を徹底して、オーバーラップ症候群への進展を防ぐことが重要である」と述べた。COPDにおける地域医療連携のあり方 COPDの診断には呼吸機能検査が必須であるが、一般の開業医では難しいのが現状である。このことに関して、中野 恭幸氏(滋賀医科大学内科学講座 呼吸器内科 病院教授)は、「手間がかかる」、「検査時に大きな声を出さないといけない」、「数値が多すぎて理解が難しい」などを理由として挙げた。こうしたことも相まって、COPD患者の多くが未診断・未治療であることが問題となっているが、呼吸器専門医だけでは、多くのCOPD患者を管理することは難しい。 このような事態を受けて、滋賀県では数年前から地域医療連携への取り組みを始めた。専門医が病院で呼吸機能検査やCTを行い、その結果を基に標準的治療方針を決定し、その後は、一般開業医が担当する。さらに、急性増悪で入院が必要な際には専門医が引き受ける、などの体制を整えている。 しかしながら、専門医に紹介するときには、COPDがかなり進行している場合も多く、いかに早い段階で専門医に紹介するかが焦点となりそうだ。中野氏は「この取り組みは現在、大津市医師会で実施しているが、今後は滋賀県全体のパスになることが望まれる」と述べ、そのためには医師会主導で進めることも重要だとした。 その他、滋賀県では、医薬連携にも力を入れている。近年、COPDには、さまざまな吸入デバイスが登場し、デバイス指導がより一層重要な意味を持つようになった。そのため滋賀県では、地域の関係者が連携し、吸入療法の普及と質的向上を図ることを目的として、滋賀吸入療法連携フォーラム(SKR)が結成された。本フォーラムは年7~8回開催され、会場ではさまざまなデバイスに触れることができる。その他の医療従事者に対しても講習会を開くなどして、多職種でチームとなってCOPDに向き合う体制づくりを行っている。COPDにおける運動療法の役割 「重度のCOPD患者では、呼吸機能だけでなく、精神的な悪循環にも焦点を当て、QOLを重視することが大切」と黒澤 一氏(日本呼吸器学会 閉塞性肺疾患学術部会 部会長)は述べた。そのうえで、日本での普及が十分とはいえない呼吸リハビリテーション(運動療法)の有用性について触れた。 黒澤氏は「強化リハビリテーションにより筋肉がついたり、関節が柔らかくなることにより、体を動かすときの負荷が減り、呼吸機能的にも精神的にも余裕ができる」と述べた。しかしながら、問題は、強化リハビリテーションにより一時的に改善がみられても、飽きてしまい続かないケースが多いことだという。これらのことから、「負荷の大きいリハビリテーションではなく、活動的な生活習慣を送ることを意識すべき」と黒澤氏は述べた。そのうえで、自分のペースで動作をすることができるスポーツが有効として、例として「フライングディスク」を挙げた。フライングディスクを行うことによって、身体活動性が向上し身体機能の強化にもつながるという。さらに生きがいや仲間ができることによって前向きになり、呼吸機能にも良い影響が及ぶようだ。だが、この競技へのサポート体制はまだ十分ではなく、今後の課題と言えそうだ。 最後に、福地 義之助氏(GOLD日本委員会 代表理事)は、「今後COPDの一般国民への認知率向上を推し進めていくとともに、臨床医師の疾患に対する理解や診断・治療力の向上が必要である。さらに、COPDは全身に及ぶ疾患であることから、他の診療科との連携強化にも力を入れていく」と締めくくった。(ケアネット 鎌滝 真次)参考文献1)Gudmundsson, et al. Respir Res. 2006;7:109.2)Yeh HC, et al. Diabetes Care. 2008;31:741-746. 3)Skillrud DM, et al. Ann Intern Med. 1986;105:503-507. 4)Kuller LH, et al. Am J Epidemiol. 1990;132:265-274.5)Kitaguchi Y, et al. Respirology. 2010;15:265-271.6)Soriano JB, et al. Chest. 2003;124:474-481.7)Hardin M, et al. Respir Res. 2011;12:127.

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米国における主要6要因の死亡率の変化/JAMA

 1969~2013年の米国死亡統計データを分析した結果、全死因(心疾患・がん・脳卒中・不慮の外傷・糖尿病の統合)の年齢標準化死亡率は減少の傾向が認められたという。米国がん協会のJiemin Ma氏らが報告した。ただし、心疾患、脳卒中、糖尿病の減少割合は鈍化がみられ、また同期間中COPDの死亡率は増大していた。JAMA誌2015年10月27日号掲載の報告。1969~2013年の全死因、主要6死因死亡率の経時的変化を調査 本検討は、米国における全死因および主要6要因(心疾患、がん、脳卒中、COPD、不慮の外傷、糖尿病)の死亡率について、経時的変化の傾向を調べることを目的とし、1963~2013年の全米人口動態統計データをjoinpoint分析して行われた。 主要評価項目は、年齢標準化死亡率と75歳未満の損失生存可能年数(years of potential life lost:YPLL)の総計および年間割合の変化で、全死因統合および各死因について評価した。COPDのみ増大、また近年は心疾患、脳卒中、糖尿病の死亡率低下が鈍化 1969~2013年の年齢標準化死亡率(人口10万当たり)は、全死因は1,278.8から729.8に減少していた(減少率42.9%、95%信頼区間[CI]:42.8~43.0%)。脳卒中は156.8から36.0に(77.0%、76.9~77.2%)、心疾患は520.4から169.1(67.5%、67.4~67.6%)、不慮の外傷65.1から39.2(39.8%、39.3~40.3%)、がんは198.6から163.1(17.9%、17.5~18.2%)、糖尿病は25.3から21.1(16.5%、15.4~17.5%)に減少していた。 一方で、COPDは21.0から42.2に増大していた(増加率100.6%、95%CI:98.2~103.1%)。 しかし、joinpoint分析により、直近期間において、男性COPD死亡率の低下が始まっていることが、また心疾患、脳卒中、糖尿病の死亡低下率が鈍化していることが判明した。たとえば、心疾患死亡の年間低下率は、2000~10年では3.9%(95%CI:3.5~4.2%)であったが、2010~13年では1.4%(同:0.6~3.4%)であった(傾斜差p=0.02)。 また、1969~2013年の年齢標準化YPLLは、糖尿病は1.9から1.6に(減少率14.5%、95%CI:12.6~16.4%)、がんは21.4から12.7に(40.6%、40.2~41.1%)、不慮の外傷は19.9から10.4に(47.5%、47.0~48.0%)、心疾患は28.8から9.1に(68.3%、68.1~68.5%)、脳卒中は6.0から1.5に(74.8%、74.4~75.3%)それぞれ有意に減少していた(p<0.05)。一方で同一期間中、COPDのYPLLは有意な減少はみられなかった。

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