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108)握力をキーワードにサルコペニア対策を指導【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、最近、困っていることがあって……。 医師それは何ですか? 患者手の力が弱くなったのか、ビンのふたが開けにくくって……。 医師確かに、握力が弱るとだんだんビンや缶のふたを開けるのが億劫になりますね。 患者そうなんです。 医師ちょっと握力を測ってみましょうか?(握力計をみせる) 患者はい。……。 医師右が○○㎏、左が○○㎏です。若い頃と比べて、いかがですか。 患者かなり落ちていますね。鍛えないといけませんね。 医師握力は鍛えると、上がっていきますので。チャレンジしてみてください。次回もチェックしますね。 患者はい。わかりました(うれしそうな顔)。●ポイント若い頃の握力と比較することで、体力低下への気づきが生まれます●資料 1) Chen LK, et al. J Am Med Dir Assoc. 2014;15:95-101. 2) Arai H, et al. Geriatr Gerontol Int. 2014;14:1-7.

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新世代MRA、糖尿病性腎症のアルブミン尿を有意に抑制/JAMA

 ACE阻害薬またはARBを服用中の糖尿病性腎症患者に対する、新世代の非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)finerenoneは、尿中アルブミン/クレアチニン比(UACR)を用量依存的に抑制することが示された。米国・シカゴ大学医学部のGeorge L. Bakris氏らが、23ヵ国148施設共同で、患者821例を対象に行ったプラセボ対照無作為化二重盲検試験の結果、報告した。これまで慢性腎臓病患者において、RA系阻害薬へのステロイド系MRA追加は、アルブミン尿を抑制するが、有害事象リスクが高く活用されていなかった。JAMA誌2015年9月1日号掲載の報告。90日後のUACRを比較 研究グループは、23ヵ国(148ヵ所)の医療機関を通じ、高値(UACRが30~300mg/g未満)または非常に高値(同300mg/g以上、本検討では被験者の75%以上)のアルブミン尿を呈し、RA系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)を服用する糖尿病患者821例を対象に、finerenone併用の安全性と有効性を検討した。 研究グループは被験者を無作為に8群に分け、finerenoneを1日1回、1.25mg/日、2.5mg/日、5mg/日、7.5mg/日、10mg/日、15mg/日、20mg/日、プラセボをそれぞれ90日間投与した。 主要評価項目は、90日後 vs.ベースラインのUACR比とした。90日UACRは7.5mg群で0.79倍、20mg群で0.62倍に 被験者は、2013年6月~2014年2月の間に集められ、試験は2014年8月に完了した。1,501例がスクリーニングを受け、823例が無作為化を受け、821例が試験薬を服用した(1.25mg/日群96例、2.5mg/日群92例、5mg/日群100例、7.5mg/日群97例、10mg/日群98例、15mg/日群125例、20mg/日群119例、プラセボ94例)。被験者の平均年齢は64.2歳で、78%が男性だった。 結果、finerenoneは、用量依存的にUACRを抑制した。 主要評価項目である、プラセボ補正後のベースラインに対する90日UACR比は、7.5mg群が0.79(90%信頼区間:0.68~0.91、p=0.004)、10mg群が0.76(同:0.65~0.88、p=0.001)、15mg群が0.67(同:0.58~0.77、p<0.001)、20mg群が0.62(同:0.54~0.72、p<0.001)だった。 副次アウトカムの高カリウム血症による服用中止率は、7.5mg群2.1%、15mg群3.2%、20mg群1.7%で認められ、プラセボ群と10mg群では認められなかった。 推算糸球体濾過量(eGFR)の30%以上減少の発生や、有害事象・重度有害事象発生頻度は、プラセボ群とfinerenone群で同等だった。 結果を踏まえて著者は、「さらなる検討を行い、その他の有用薬と比較をすべきであろう」とまとめている。

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第6回 詰めが大切―英語プレゼンをブラッシュアップする秘訣

スライドを作って準備した気になっていないか?画像を拡大するスライドを作ったらプレゼンの準備が終わったと思う人は多いようだ。しかし、ここからの詰めが、プレゼンの優劣を決める。スライドに関してとくに重要なのが、第2回の「7行ルール」だ。1枚1枚のスライドでイイタイコトを明確にすると、プレゼン全体のイイタイコトが明確になる。プレゼンのベクトルがハッキリしたところで、ベクトルに合わないスライドや内容をどんどん削る。多くの場合、最初に作ったスライドは、イイタイコトを伝えるうえでかなり余分な情報を含んでいる。贅肉を落とし、よりスリムでシンプルな、メッセージが伝わりやすいプレゼンに進化させることができるはずだ。 英語プレゼンでとくに重要―スクリプトとの「すり合わせ」作業英語プレゼンではスクリプト(台本)を準備するのが良いだろう。ここで、一通り台本を書くだけでなく、そこからどれだけスライドとの「すり合わせ」ができるかが勝負だ。「すり合わせ」とは、台本の文章を、スライドに合わせてしゃべりやすいように書き換える、または、しゃべりに合うようスライドを修正する作業のことだ。台本に関しては、受動態より能動態、1文を短くする、冗長な修飾語を減らす、といった工夫が生き生きしたしゃべりにつながる(下図)。自分が発音しにくい単語や使い慣れない単語を、使いやすい単語に置き換えるのも、しゃべりをスムーズにするのに重要だ。それぞれの単語の発音やアクセントにも注意を払い、自信がなければgoogleなどで調べよう。専門用語の発音もインターネットで簡単に調べられる。画像を拡大するスライドのほうは、スライドの内容の見直しはもとより、しゃべりに合わせて有効にアニメーション機能を入れることで、限られた枚数のスライドを有効に使うことができる。こうした作業を徹底的に繰り返し、最後は台本を使わなくても時間内にプレゼンできるくらいを目指したい。予演会で人に見てもらったり、自分自身のプレゼンを録画・録音して反省したりするのも有効だ。次回は、日本人にとって英語プレゼン最大の難関、質疑応答のサバイバル術です。講師紹介

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インスリンは「最後の切り札」ではない

 9月10日、都内においてサノフィ株式会社は、持効型溶解インスリンアナログ製剤「ランタスXR注ソロスター」(9月7日発売)のプレスセミナーを開催した。 セミナーでは、河盛 隆造氏(順天堂大学大学院医学研究科 スポートロジーセンター センター長)が、「私のインスリン物語」と題して、現在の糖尿病治療におけるインスリンの使用状況と今後の展望についてレクチャーを行った。インスリンは世界を変えた はじめに河盛氏は、「1921年のインスリン発見は、世界を変えた発見である」として、インスリン発見とその後の製剤開発の道程をたどり、糖尿病治療の歴史を振り返った。 健康な人では、体内に取り込んだブドウ糖をうまく利用できるよう、インスリンはグルカゴン分泌と調整して働いている。そのため、血糖値はほぼ一定であり、急激な変動はない。しかし、このバランスが崩れた状態が糖尿病であり、いかにインスリン分泌を高め、膵臓の働きを活性化させ、ブドウ糖を全身で利用できるようにするかが糖尿病の治療となる。 2型糖尿病の薬物療法は、足らないインスリン分泌を、足らない時間帯に、足らない量を十分に供給し、さらに少ない内因性分泌インスリンを有効利用すべく、全身細胞でのインスリンの働きを高めることにある。 また、現在わが国では約140万人がインスリン治療を行っているが、日本糖尿病学会が定めた血糖コントロールの目標値HbA1c 7.0%未満を達成できているのは、うち約20%である。その原因として、現在インスリンが糖尿病治療の切り札として使用されていることが挙げられ、内因性インスリンが回復可能な状態での治療期を逃しているが故に、本来のインスリンの効果がうまく発揮されていないのではないかとの示唆を投げかけた。 そのうえで自験例として、他疾患で入院してきた2型糖尿病の患者の例を挙げた。本症例では、緻密なインスリン療法により正常血糖応答を維持したところ、内因性インスリン分泌が回復した。そのほか、退院後、わずかな経口糖尿病薬で、良好な血糖値のコントロールができるようになったケースも多くみられるという。それに加えて、血糖のコントロールが良くなると、他の疾患の予後も良くなるとの知見を語った。切り札「インスリン」の早期活用 糖尿病は徐々に進行する疾病であり、悠長に構えてはいられない。膵β細胞機能の維持、回復のためにインクレチン関連薬やDPP-4阻害薬などさまざまな経口治療薬が注目されている。しかし、膵β細胞機能の維持、回復で実績があるのはインスリンであり、早期使用による高血糖毒性の除去が望まれる。 そのため、軽度のインスリンの働きの低下と食後過血糖を放置するべきではなく、発症直後からインスリンの使用も考慮に入れて、治療戦略を練ることが重要となる。 確かにインスリン使用には、低血糖リスク、体重増加、注射薬への患者の心理的抵抗、アドヒアランスの問題など越えるべきハードルがある。しかし、近年のインスリンは低血糖を起こしにくいこと、体重増加は食事療法との併用で解決できること、インスリンデバイスもさまざまな改良が行われ、痛みがほとんどない針も発売されるなど、患者に利用しやすい環境になっている。 今後のインスリン治療には、良好な血糖コントロール、低血糖リスクの低減、体重増加の影響が少ないことなどが望まれ、製薬メーカーも医療者や患者の要望に応える製品作りを行っている。 こうした中で、先日発売された「ランタスXR」は、ゆっくりと体内に吸収されることで、従来のランタスよりも長時間にわたり効果が現れる。そのため、睡眠中の低血糖が起こりにくいだけでなく、1型・2型糖尿病の双方において、24時間・夜間ともに低血糖リスクが低いという特性を持つ、新しい基礎インスリンである。 今後、手遅れになる前のインスリン使用により、膵β細胞機能の維持、回復に寄与し、より良好な血糖コントロールが実現されることを期待したい。関連コンテンツサノフィ株式会社のプレスリリースはこちら。(PDFがダウンロードされます)特集 糖尿病 外来インスリン療法

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糖尿病性腎症の治療薬としての非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬に期待(解説:浦 信行 氏)-413

 JAMA誌に、非ステロイド系ミネラルコルチコイド受容体(MR)拮抗薬であるfinerenoneの尿アルブミン低減効果が報告された。 現時点では、糖尿病性腎症に対しては、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬とアンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)が第1選択薬であるが、ACE阻害薬やARB使用でも尿アルブミン低減が十分でない例が多く、より一層の腎保護効果、尿アルブミン低減効果を期待できる薬物療法が求められていた。ステロイド系MR拮抗薬であるスピロノラクトンやエプレレノンは、降圧効果だけでなく、ACE阻害薬やARBへの併用で一層の尿アルブミン低減効果を示したが、高K血症の誘発や推算糸球体濾過量(eGFR)の低下を引き起こすことが報告され、エプレレノンは糖尿病性腎症や中等度以上の腎機能障害では禁忌となっている。 ステロイド骨格を持たないMR拮抗薬finerenoneはバイエル薬品で開発されたが、すでにACE阻害薬かARBが使用されている糖尿病性腎症例へのfinerenoneの併用効果が、二重盲検試験で評価された。その結果は、有意な尿アルブミン低減効果が確認され、高K血症は2~3%程度にとどまり、eGFRの有意な変動はなかったというものである。 動物実験ではすでに、同等のNa利尿作用を示す量のエプレレノンに比較して、尿蛋白低減効果が有意に大で、臓器保護効果にも優れていたことが報告されていた。 本研究は多施設共同研究で、糖尿病性腎症においてACE阻害薬やARBとの併用効果をみた初めての試験である。尿アルブミンは最大で38%の減少効果の上乗せがあり、ACE阻害薬やARBは72.7%の例で最少使用量を超える量が使用されている。高K血症は、過去のステロイド系MR拮抗薬では8%や17%などと報告され、多いものでは52%という高い数字が示されている。高K血症が低率であった一因には、eGFRの低下がなかったことが挙げられる。ただし、ほぼ95%に高血圧が合併し、併用前の血圧値は138/77mmHg前後であったが、20mgの最大使用量でも収縮期血圧の低下作用が5mmHg程度にとどまっていた。尿アルブミン低減効果は降圧効果とは関連しないとも結論され、機序としては、ステロイド系MR拮抗薬のような脳内移行による中枢での降圧作用がないことが1つであるとしている。 この研究では、60%以上の例がeGFRで60mL/min/1.73m2以上のCKD1~2であり、もっと広い範囲で一層のデータの集積が必要ではあるが、わが国で新規透析導入の原因疾患の第1位である糖尿病性腎症の薬物療法において、大きな光明をもたらすことを期待する。

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血圧管理は脳出血の再発を抑制するか/JAMA

 脳出血(ICH)発症後の生存例では、適切な血圧管理により再発リスクが改善することが、米国・マサチューセッツ総合病院のAlessandro Biffi氏らの検討で明らかとなった。ICHは、主に細動脈硬化と脳アミロイド血管障害(CAA)によるものに分けられ、細動脈硬化関連ICHのほとんどが脳の深部構造で発症するのに対し、CAA関連ICHは皮質~皮質下領域(脳葉)にほぼ限定される。ICH生存例は再発リスクが高く、一般に再発ICHは初発ICHよりも重症であるため、2次予防戦略の改善が重要とされる。一方、非脳葉型ICHの再発の予防では血圧管理が重要とされるが至適な降圧に関するデータはほとんどなく、脳葉型ICHにおける降圧の役割はほとんど知られていないという。JAMA誌2015年9月1日号掲載の報告。1,145例で2次予防における血圧管理の意義を評価 研究グループは、ICH生存例において、適切な血圧管理による脳葉型および非脳葉型ICHの再発リスクの抑制効果を検討する縦断的コホート試験を実施した(米国国立神経疾患・脳卒中研究所[NINDS]の助成による)。 対象は、年齢18歳以上、1994年7月~2011年12月までにマサチューセッツ総合病院に入院し、CTで診断が確定された発症後24時間以内のICHで、90日以上生存した患者であった。外傷や血管奇形/動脈瘤破裂などによる出血は除外した。 血圧は、医療従事者または患者自身が3、6、9、12ヵ月、その後は6ヵ月ごとに測定し、収縮期(SBP)および拡張期血圧(DBP)を記録した。 各測定時点で、米国心臓協会(AHA)/米国脳卒中協会(ASA)によるICHの2次予防の推奨血圧(非糖尿病者:SBP<140mmHg、DBP<90mmHg、糖尿病者:SBP<130mmHg、DBP<80mmHg)が達成されている場合は血圧管理が「適切」、達成されていない場合は「不十分」とした。また、米国合同委員会第7次報告(JNC7)の判定基準で高血圧のステージを判定した。 主要評価項目はICHの再発および脳内の再発部位(脳葉、非脳葉)とした。 1,145例が解析の対象となり、そのうち脳葉型ICHが505例(平均年齢73.4±11.4歳、男性51.6%)、非脳葉型ICHは640例(68.7±13.3歳、56%)であった。フォローアップは2013年12月まで行われ、期間中央値は36.8ヵ月(四分位範囲:16.2~55.4)であり、最短は9.8ヵ月だった。不十分な血圧管理でリスクが約4倍に、高血圧が重症化するほどリスク上昇 脳葉型ICH患者のうち102例がICHを再発し、非脳葉型ICH患者では44例が再発した。フォローアップ期間中の血圧測定で、血圧管理が1回以上「適切」と判定された患者は625例(54.6%)であり、すべての測定時点で「適切」であった患者は495例(43.2%)だった。 脳葉型ICH患者の再発率は、血圧管理適切例が1,000人年当たり49件であったのに対し、不十分例では84/1,000人年であった。また、非脳葉型ICH患者の再発率は、適切例が27/1,000人年、不十分例は52/1,000人年だった。 血圧管理を時間依存変数とするモデル解析では、不十分な血圧管理は、脳葉型ICH(ハザード比[HR]:3.53、95%信頼区間[CI]:1.65~7.54)および非脳葉型ICH(4.23、1.02~17.52)の双方で再発リスクを有意に増大させた。 正常血圧(SBP:90~119mmHg、DBP:60~79mmHg)と比較して、高血圧前症(HR:2.76、95%CI:1.32~5.82)、ステージ1高血圧(3.90、1.36~11.17)、ステージ2高血圧(5.21、2.74~9.91)のいずれにおいても、脳葉型ICHの再発リスクが有意に高く、重症度が上がるほどリスクが増加した。また、非脳葉型ICHの再発リスクは、高血圧前症(3.06:1.07~8.78)とステージ1高血圧(3.88、1.31~11.61)では有意に増加したが、ステージ2高血圧(6.23、0.90~42.97)では有意ではなかった。 SBPの上昇により、脳葉型ICH(10mmHg上昇ごとのHR:1.33、95%CI:1.02~1.76)および非脳葉型ICH(HR:1.54、95%CI:1.03~2.30)の双方の再発リスクが有意に増加した。 DBPの上昇では、脳葉型ICH(10mmHg上昇ごとのHR:1.36、95%CI:0.90~2.10)の再発リスクは増大しなかったが、非脳葉型ICH(HR:1.21、95%CI:1.01~1.47)の再発リスクは有意に増加した。 年間再発リスクは、脳葉型、非脳葉型ICHの双方とも、SBPが高くなるほど増大し、とくに140mmHgを超えると急激に増加する傾向が認められた。また、DBPについても同様の関連がみられ、90mmHgを超えると急激にリスクが上昇した。 著者は、「ICH生存例では、フォローアップ期間中の血圧管理が不十分であると、脳葉型および非脳葉型ICHの双方で再発リスクが有意に上昇した」とまとめ、「より厳格な血圧管理のリスクとベネフィットを検討する無作為化臨床試験を行う必要があることが示唆される」としている。

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肥満症治療におけるGLP-1受容体作動薬(リラグルチド)の可能性(解説:小川 大輔 氏)-412

 肥満症は糖尿病のみならず、高血圧症、脂質異常症や睡眠時無呼吸症候群、さらに心血管イベントを引き起こすことが知られている。これらの合併症はQOLの低下や死亡率の増加に繋がるため、肥満症の治療が臨床上重要であることはよく認識されているが、その一方で、肥満の治療が実際には困難であることも経験するところである。最近、欧米では数種類の抗肥満薬(Belviq、Qsymiaなど)が上市されているが、これらの薬剤はわが国では承認されていない。 今回、JAMA誌に掲載された論文は、肥満(BMI 27以上)の2型糖尿病患者を対象とし、GLP-1受容体作動薬リラグルチド(商品名:ビクトーザ)3.0mgあるいは1.8mgを1日1回皮下注射し、プラセボと比較して有効性および安全性を検討した研究である。56週間の対プラセボ群の体重減少量は、リラグルチド3.0mg群が約4.3kg、リラグルチド1.8mg群が約3.0kgであり、優位な体重減少効果が認められた。また、5%または10%超の減量達成者の割合もリラグルチド3.0mg群およびリラグルチド1.8mg群とも優位に多かったことが示された。 ただ、この論文を解釈するうえで注意しなければならないのは、この試験ではリラグルチド3.0mgと1.8mgの2用量が投与されているが、わが国で承認されている投与量の0.9mgよりどちらも多いという点である。現時点において、日本人の肥満症患者を対象としたリラグルチドの治験が行われるかについては不明であるが、肥満症に対して効果的な治療薬がない現状を考えると、個人的にはぜひ治験を行ってほしいと考える。【参考文献】Bakris GL, et al. JAMA. 2015;314:884-894.Sweetwyne MT, et al. Diabetes. 2015 Aug 20. [Epub ahead of print]You YH, et al. J Am Soc Nephrol. 2015 Jul 22.[Epub ahead of print]Rhee EP. J Am Soc Nephrol. 2015 Jul 22.[Epub ahead of print] Michel MC, et al. Naunyn Schmiedebergs Arch Pharmacol. 2015;388:801-816.Matthaei S, et al. Diabetes Care. 2015 Aug 31.[Epub ahead of print]

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狭心症「安定期」でのトロポニンの役割(解説:香坂 俊 氏)-411

【トロポニンのAMIでの役割】トロポニンは急性心筋梗塞(AMI)の考え方を根底から変えた。AMIの診断にあたって、以前は 症状 と 心電図 と バイオマーカー がきっちりと三権分立しており 三つのうち二つが当てはまればAMIと診断する とされていた(WHO基準)。ただ、トロポニンが出てきてからは、その高い感度と特異度のため、陽性ならAMI、陰性なら違う という、誠に味気のない基準に変わってしまった(別に悪いことではないのだが)。さて、虚血性心疾患の領域で、AMIと双璧を成すのが安定狭心症であるが、この2つの疾患には以下のような決定的な違いがある:【急性心筋梗塞】 薄いプラークが破裂して血栓を形成する(青丸部)。         その血栓が100%かそれに近い血流の阻害をもたらすため、         その先の心筋が壊死し、トロポニンが血流に漏れる。【安定狭心症】  分厚い動脈硬化による物理的な冠動脈の狭窄を来す(緑丸部)。         ただ、狭窄の度合いは50~75%程度のことが多く、         安静時の血流は保たれる。         つまり、基本的に負荷をかけないと症状や心電図変化は出現せず、         トロポニンが漏れることも「ない」。この違いを踏まえて、安定狭心症は、最近では安定型虚血性心疾患(stable ischemic heart disease;SIHD)と呼ばれることが多くなっている。このSIHDでは心筋の壊死や障害が平時(安静時)に起こることはないとされていたので、そのマネジメントにトロポニンを役立てようという発想はこれまであまりなかった。【トロポニンのSIHDでの役割】ここにトロポニン計測技術の進歩が一石を投じた。今回の研究で対象となったのはBARI-2Dという有名な臨床試験に登録された2,285例のSIHD症例の血液サンプルである。ちなみに、BARI-2Dは糖尿病合併SIHD患者(二枝・三枝病変のみ)に対して、PCIやCABG等の再灌流療法を用いるか、あるいはそのまま薬物療法を続けるかでランダム化を行った試験である(結果はPrimary Endpointで差はなかった)。論文によるとそのサンプルが試験終了後も−80°Cで保存されており、今回 Roche社の協力により高感度トロポニンの測定を行うことが可能となったとのことである。この高感度トロポニンは従来のアッセイと異なり、3ng/L までの計測が可能であり、健常人の99パーセンタイル値は14ng/Lとされている(健常人の99%がこの数値以下)。さて、この試験の結果であるが、実に39.3%のSIHD症例で上昇(14ng/L値以上)を呈したとのことである。これは驚くべき結果で、SIHDの安定期でも微量のトロポニンの漏れがかなりの頻度でみられた ということになる。その機序はいまのところ明確ではないが(この論文でもほとんど論じられていない)、SIHDへの考え方を少々修正する必要があるのかもしれない。たとえば、この39%の症例では微小血管レベルでは高度な狭窄が起きているのかもしれないし、その結果として微小な心筋障害が持続的に起こっていることも考えられる。【トロポニン陽性例でカテかバイパス?】結果の説明に話を戻す。この後でBARI-2DのInvestigatorたちは、予後との関連をみており、トロポニン上昇例は(そうでない例と比較し)イベントの発生が2倍以上多かった(5年間で27.1%[上昇していない例は12.9%])。これが糖尿病や冠動脈病変の重症度と独立した現象であることも統計的に検証されている。そして最後に、この研究で最も注目を集めた点であるが、トロポニン上昇例でPCIやCABGを行えば予後を改善できるのか?という疑問に対する解析もなされている(BARI-2DがPCI/CABG 対 薬物療法のランダム化試験であったことを思い出してほしい)。残念ながらトロポニン上昇例に限ったとしてもPCIやCABGの明確な予後改善効果は認められず(ハザード比:0.96、95%CI:0.74~1.25)、こうしたハイリスク群であったとしても「狭いところを広げれば解決する」ということでは なさそう である。【まとめ】この研究は 従来からのSIHDの概念を広げる ものである。SIHDの中で少なくない割合で微量のトロポニンの上昇がみられ、それはこれまで危険因子とされていた糖尿病や冠動脈疾患の重症度そのものと関係ないところで起こっている。そして、このトロポニン上昇例の長期予後は悪く、何か良くないことが起こっているのは間違いないのだが、残念ながらPCIやCABGといった従来からの循環器内科領域の最大の武器がこれを改善するわけではない。今後その病態生理を解明して治療につなげていく必要があるだろう。なお、このBARI-2D試験でのトロポニンの上昇の話は、従来からの測定法では検出できないレベルの話であり、高感度のアッセイだから定量が可能であったということは再度強調させていただきたい。

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CHA2DS2-VAScスコア、心不全患者にも有用/JAMA

 心房細動(AF)患者の脳卒中リスク層別化に有用なCHA2DS2-VAScスコアが、AFの有無を問わない心不全(HF)患者にも有用であることが明らかにされた。デンマーク・オールボー大学のLine Melgaard氏らによる検討の結果、同患者でスコアと虚血性脳卒中、血栓塞栓症、死亡のリスクとの関連がみられたという。また、非AF患者のほうがAFを有する患者と比べて、同スコアが高いほど血栓塞栓症の合併絶対リスクが高いことも認められた。一方で、予測精度は中程度であり、HF患者におけるスコアの臨床的な有用性は確定的なものではないと著者は述べている。JAMA誌2015年8月30日号掲載の報告より。AF有無を問わない4万2,987例のHF患者を対象に検証 CHA2DS2-VAScスコアの判定は、うっ血性心不全(1点)、高血圧(1点)、75歳以上(2点)、糖尿病(1点)、脳卒中/TIA/血栓塞栓症(2点)、血管系疾患(心筋梗塞既往、PAD、大動脈プラーク:1点)、65~74歳(1点)、性別(女性:1点)で行う。 研究グループは、このCHA2DS2-VAScスコア判定を用いて、AFを問わないHF患者集団の虚血性脳卒中、血栓塞栓症、死亡を予測可能か調べた。 検討には、デンマークレジストリより全国前向きコホート試験のデータを用いた。被験者は、2000~12年にHF発症の診断を受け抗凝固薬治療を受けていなかった4万2,987例(うちAFを有した患者が21.9%)であった。最終フォローアップは、2012年12月31日だった。 被験者について、ベースラインのAF有無で分けたうえでCHA2DS2-VAScスコア判定を行い(最高9点とし、高スコアほど高リスクと判定)、死亡リスクの比較を考慮した分析を行った。主要評価項目は、HF診断後1年以内の虚血性脳卒中、血栓塞栓症、死亡であった。4点以上では、AF有無を問わず血栓塞栓症リスクが高い 非AF患者において、HF診断後1年以内の各指標疾患の発生は、虚血性脳卒中3.1%(977例)、血栓塞栓症9.9%(3,187例)、死亡21.8%(6,956例)であった。 いずれも高スコア群ほどリスクは高く、スコア別(1点~6点)にみたそれぞれの発生率は、虚血性脳卒中はAF患者群で4.5%、3.7%、3.2%、4.3%、5.6%、8.4%、非AF患者群で1.5%、1.5%、2.0%、3.0%、3.7%、7%。全死因死亡はAF患者群で19.8%、19.5%、26.1%、35.1%、37.7%、45.5%、非AF患者群で7.6%、8.3%、17.8%、25.6%、27.9%、35.0%であった。 CHA2DS2-VASc高スコア(4点以上)群では、血栓塞栓症の絶対リスクが、AFの有無にかかわらず高値であった(AFあり9.7% vs.AFなし8.2%、相互作用に関するあらゆるp<0.001)。 C統計値と陰性適中率は、CHA2DS2-VAScスコアの実行性が今回のAFありなしHF集団では中程度であることを示すものであった。虚血性脳卒中の1年C統計値は、AFあり0.67(95%信頼区間[CI]:0.65~0.68)、AFなし0.64(同:0.61~0.67)、1年陰性適中率それぞれ92%(95%CI:91~93%)、91%(同:88~95%)であった。

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107)体力が落ちている患者さんの転倒予防を考える【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、最近、足腰が弱くなって……。 医師それは心配ですね。 患者そうなんです。こけて骨折しないかと心配で外出しなくなって……。 医師なるほど。足腰が弱くなると、外に出るのが不安になりますね。そうすると、さらに足腰が弱って家の中でもこけたりして……。 患者そうなんです。うちの家は古いので、この間も敷居をまたげなくて……。 医師家の中に敷居など段差があると、転びやすいですよね。特に、つま先が上がらなくなると、転びやすくなりますね。 患者そうなんです。ちょっとしたところで転んで……。 医師そんな人にピッタリの運動がありますよ。 患者どんな運動ですか?(興味津々) 医師つま先を上げる筋肉、つまり前脛骨筋を鍛える運動です(実践しながら)。 患者なるほど。これなら、できそうです。●ポイント転倒への不安をきっかけに、転倒予防の運動を紹介します 1) 内閣府:平成22年度高齢者の住宅と生活環境に関する意識調査結果(60歳以上の男女、自宅内でこの1年間に転んだことがある人は9.5%。庭が最も多く36.4%、続いて居間・茶の間・リビング(20.5%)、玄関・ホール・ポーチ(17.4%)、階段(13.8%)、寝室(10.3%)、廊下(8.2%)、浴室(6.2%)、台所(6.2%)、ベランダ・バルコニー(4.6%)、便所(4.1%)の順)

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ジゴキシンは本当に死亡を増大するのか/BMJ

 ジゴキシン(商品名:ジゴシンほか)使用と死亡との関連は認められず、一方で入院減少との関連が認められたことを、英国・バーミンガム大学循環器サイエンスセンターのOliver J Ziff氏らが報告した。ジゴキシンは心不全患者の症状軽減や心房細動患者の心拍数コントロールに用いられる頻度が高いが、最近の観察研究で死亡増大との関連が指摘されていた。研究グループは、すべての観察研究、無作為化試験を対象に試験デザインや方法を考慮しつつ、ジゴキシンの死亡および臨床的アウトカムへの影響を明らかにするシステマティックレビューとメタ解析を行った。BMJ誌オンライン版2015年8月30日号掲載の報告。ジゴキシン vs.対照の比較試験をシステマティックレビュー、メタ解析 ジゴキシンの安全性と有効性に関する本検討は、Medline、Embase、Cochrane Libraryおよび参照リスト、さらに現在進行中の前向き試験(PROSPEROデータベースに登録)を検索して行われた。1960年~2014年7月に発表され、ジゴキシンと対照(プラセボまたは無治療)を比較検討した試験を適格とした。 未補正および補正済みデータを、試験デザイン、解析方法、リスクバイアス別にプール。ランダム効果モデルを用いたメタ解析法で、主要アウトカム(全死因死亡)、副次アウトカム(入院など)を評価した。死亡への影響はベースライン差によるもの システマティックレビューにより52試験、被験者62万1,845例が包含された。被験者は、ジゴキシン使用者が対照よりも2.4歳年上で(加重差95%信頼区間[CI]:1.3~3.6)、駆出率が低く(33% vs.42%)、糖尿病者が多く、利尿薬と抗不整脈薬の服用数が多かった。 メタ解析には75件の解析試験(未補正33件、補正後22件、傾向適合13件、無作為化7件)が含まれ、総計400万6,210人年のフォローアップデータが組み込まれた。 結果、対照と比べて、ジゴキシンのプール死亡リスク比は、未補正解析試験データ群で1.76(1.57~1.97)、補正後解析試験データ群で1.61(1.31~1.97)、傾向適合解析試験データ群で1.18(1.09~1.26)、無作為化対照試験データ群で0.99(0.93~1.05)であった。 メタ回帰分析により、ジゴキシンと関連した死亡への有意な影響は、利尿薬使用といった心不全重症度マーカーなど(p=0.004)治療群間のベースライン差によるものであることが確認された。 方法論が良好で、バイアスリスクが低い試験は、ジゴキシンと死亡についてより中立的であると報告する傾向が有意にみられた(p<0.001)。 全試験タイプにわたって、ジゴキシンは、わずかだが有意に、あらゆる要因による入院の減少と関連していた(リスク比:0.92、0.89~0.95、p<0.001、2万9,525例)。 結果を踏まえて著者は、「ジゴキシンは、無作為化試験において死亡との関連は中立的であることが認められ、また全タイプの試験で入院の減少と関連していた」とまとめ、「観察試験でみられたジゴキシンと有害転帰との関連は、ジゴキシン処方を原因とするものではなく、統計的補正によっても軽減されない交絡因子によるものと思われる」と述べている。

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てんかんの妊婦、流産や帝王切開のリスク増大/Lancet

 てんかんを持つ妊婦は、てんかんのない妊婦に比べ、自然流産リスクは約1.5倍、分娩誘発は約1.7倍、帝王切開は約1.4倍に増大するなど、妊娠合併症や新生児合併症リスクが増加することが明らかにされた。アルゼンチン・Centro Rosarino de Estudios PerinatalesのLuz Viale氏らが、てんかんを持つ妊婦を対象に行った38件の観察試験のシステマティックレビューとメタ解析の結果、報告した。Lancet誌オンライン版2015年8月25日号掲載の報告。1990年1月~2015年1月発表の観察試験についてレビュー 研究グループは、MEDLINE、Embase、Cochrane、AMED、CINAHLのデータベースを基に、1990年1月~2015年1月に発表された、てんかんを持つ妊婦を対象に行った観察試験で、妊娠合併症や新生児合併症リスクについて評価を行ったものについて、システマティックレビューとメタ解析を行った。論文言語、試験地域は問わず、また時期(出産前、分娩時、出産後)を問わず出産に伴う合併症リスクを評価。Newcastle-Ottawaスケールを用いて、試験の方法論的な質、コホートの選択・比較でのリスクバイアス、アウトカムなどを評価した。 先天性奇形を除き、妊娠合併症や致死的合併症のリスクについて、てんかんのない妊婦と比較した。また抗てんかん薬を服用するてんかん女性についてサブグループ解析も行った。ランダム効果メタ解析法を用いてオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出し評価した。分娩前出血は約1.5倍、出産後出血は1.3倍、妊娠高血圧症は1.4倍に 7,050件の試験のうち、38試験(被験者妊婦合計283万7,325例)について分析を行った。 結果、てんかんを持つ妊婦は、てんかんのない妊婦に比べ、自然流産リスクは1.54倍だった(OR:1.54、95%CI:1.02~2.32、I2=67%)。同様に、分娩前出血(同:1.49、1.01~2.20、I2=37%)、出産後出血(同:1.29、1.13~1.49、I2=41%)、妊娠高血圧症(同:1.37、1.21~1.55、I2=23%)、分娩誘発(同:1.67、1.31~2.11、I2=64%)、帝王切開(同:1.40、1.23~1.58、I2=66%)、37週未満の早産(同:1.16、1.01~1.34、I2=64%)、胎児成長遅滞(同:1.26、1.20~1.33、I2=1%)のいずれも、てんかんを持つ妊婦は、てんかんのない妊婦に比べ、リスクが高かった。 なお、34週未満の早産や妊娠糖尿病、胎児死亡・死産などのリスクは、てんかんを持つ妊婦で増加しなかった。 また、てんかんを持つ妊婦における抗てんかん薬曝露と母体・胎児のアウトカムの関連については11試験(93万4,443例)で検討されていた。曝露群のほうが分娩後出血、分娩誘発のオッズ比は有意に高かったが、帝王切開、分娩前出血、自然流産、37週未満の早産、またあらゆる高血圧症との関連は認められなかった。また、曝露の有無での胎児死亡・死産との有意な関連は認められなかった。 著者は、「妊婦において、てんかん、抗てんかん薬曝露と有害転帰との間には、わずかだが重大な関連がある。てんかんを持つ女性へのカウンセリング時には、このリスクの増大を、頭の隅に置いて向き合わなくてはならない」と述べている。

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DPP-4阻害薬がよく効く患者の特徴

 2型糖尿病患者において、DPP-4阻害薬による治療12ヵ月後に高い有効性を示すのは、肥満でない患者、冠動脈疾患を持っていない患者であることが、徳島大学の八木 秀介氏らの研究により明らかになった。また、DPP-4阻害薬の長期の有効性は、治療3ヵ月後のHbA1cの低下によって予測することができるという。Diabetes and metabolism journal誌2015年8月号(オンライン版2015年7月21日号)の報告。 2型糖尿病患者において、DPP-4阻害薬の有効性の予測因子は不明である。そのため、本研究では、治療12ヵ月後の血糖降下作用を評価し、DPP-4阻害薬の有効性の予測因子を明らかにすることを目的とした。 対象は、DPP-4阻害薬を用いて治療を行った2型糖尿病患者 連続191例(男性105例、女性86例、平均68.3±35.8歳)。カルテにて治療12ヵ月後のHbA1c値を調査し、血糖降下作用をレトロスペクティブに評価した。 主な結果は以下のとおり。・DPP-4阻害薬による12ヵ月の治療後、血糖値は167±63 mg/dLから151±49 mg/dL (p<0.01)に低下、HbA1c値は7.5±1.3%から6.9±0.9% (p<0.01)に低下し、重篤な副作用は認められなかった。・重回帰分析の結果、治療12ヵ月後の治療効果の予測因子は、治療開始から3ヵ月後にHbA1cが低下すること、ベースラインのHbA1cが高いこと、ベースラインのBMIが低いこと、冠動脈疾患を持っていないことであった。

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第5回 何をやったかしっかり示す、ディスカッションとコンクルージョン

「ディスカッション」の項目は必ずしも必要ない臨床研究ではlimitationのスライドを入れることが多いが、基本的には独立したディスカッションのスライドは必須ではない。前回述べたとおり、リザルトで示すデータはすでにきちんと解釈されているべきである(聴衆に解釈を任せてはいけない:第4回参照)。もし、そこに説明や文献の引用(つまりディスカッションにあたる内容)が必要なら、データの提示と抱き合わせて、その場で提示したほうがよい。口頭発表では、リザルトをすべて提示し終えてからディスカッションに戻ろうとしても、多くの聴衆はリザルトの細かいところは覚えていない(論文ではリザルトに戻って見返すことができる)。アニメーション機能を使って、リザルト部分とディスカッション部分を1枚のスライドで説明するのが効果的だ。画像を拡大するコンクルージョンはしっかり時間をかけて示す画像を拡大する結論部分は、魔法の7行ルール(第2回参照)に従って簡潔なメッセージを伝える。ここで重要なポイントは、第3回でも示した聴衆の関心のアップダウンだ。最初に高かった注意力は一度下がって、最後にまた上がる。だから、ここを狙い撃たない手はない。コンクルージョンのスライドは、そのためにある。日本語のプレゼンでも、スライドを一瞬示すだけで「結論です、終了!」みたいな終わり方をする人が結構多い。発表時間が限られていることが原因の一つだが、結論スライドの重要性を認識していないことが、もう一つの大きな理由だ。実にもったいない。最後のスライドこそ時間をかけよう。これがいわゆるtake home messageであり、聴衆がこの1枚のスライドさえ理解できれば、あなたのプレゼンは理解されたことになるのだ。次回は、プレゼン全体をブラッシュアップし、レベルアップさせる方法を説明します。講師紹介

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世界の疾病負担は改善しているか:GBD 2013の最新知見/Lancet

 2012年、「世界の疾病負担(Global Burden of Disease:GBD)」の最初の調査(1993年)以降、初めての全面改訂の結果が公表された。この取り組みはGBD 2010研究と呼ばれ、世界187ヵ国の死亡および疾病の原因の情報に基づき、1990年と2010年の国別の障害調整生命年(disability-adjusted life-years:DALY)および健康調整平均余命(health-adjusted life expectancy:HALE)を報告している。その後、GBDは必要に応じて毎年更新することとなり、GBD 2013研究については、すでに国別の損失生存年数(years of life lost; YLL)や障害生存年数(years lived with disability; YLD)などのデータが公表されており、今回は最新の解析結果が報告された。Lancet誌オンライン版2015年8月27日号掲載の報告。1990~2013年の188ヵ国、306の疾病原因のDALY、HALEを評価 研究グループは、世界188ヵ国における1990~2013年の306種の傷病に関するDALYおよびHALEの評価を行った(Bill & Melinda Gates Foundationの助成による)。 既報のGBD 2013研究の年齢特異的死亡率、YLL、YLDのデータを用いて、1990、1995、2000、2005、2013年のDALYおよびHALEを算出した。 HALEの計算にはSullivan法を用い、国別、年齢別、性別、年度別の年齢特異的死亡率および1人当たりのYLDの不確定性を示す95%不確定性区間(uncertainty interval:UI)を算出した。 306の疾病原因に関する国別のDALYは、YLLとYLDの総和として推算し、YLL率とYLD率の不確定性を表す95%IUを算出した。 「疫学転換(epidemiological transition)」のパターンは、個人収入、15歳以降の学校教育の平均年数、総出生率、平均人口年齢から成る「社会的人口統計状況(sociodemographic status)」の複合指標で定量化した。 すべての国で疾病原因別のDALY率の階層的回帰分析を行い、社会的人口統計状況因子、国、年度に関する分散分析を行った。健康が増進しても保健システムへの需要は低下しない 世界的な出生時平均余命は、1990年の65.3年(95%UI:65.0~65.6)から2013年には71.5年(71.0~71.9)へと6.2年(5.6~6.6)延長した。 この間に、出生時HALEは56.9年(54.5~59.1)から62.3年(59.7~64.8)へと5.4年(4.9~5.8)上昇しており、総DALYは3.6%(0.3~7.4)減少し、10万人当たりの年齢標準化DALY率は26.7%(24.6~29.1)低下した。 1990年から2013年までに、感染性疾患、母体疾患、新生児疾患、栄養疾患の世界的なDALY、粗DALY率、年齢標準化DALY率はいずれも低下したのに対し、非感染性疾患の世界的なDALYは上昇しており、粗DALY率はほぼ一定で、年齢標準化DALY率は減少していた。 2005年から2013年の間に、心血管疾患や新生物などの特定の非感染性疾患のほか、デング熱、食物媒介吸虫類、リーシュマニア症のDALYが上昇したが、他のほぼすべての疾病原因のDALYは低下していた。2013年までのDALY上昇の5大原因は、虚血性心疾患、下気道感染症、脳血管疾患、腰頸部痛、道路交通傷害であった。 下痢/下気道感染症/他の一般的な感染性疾患、母体疾患、新生児疾患、栄養疾患、その他の感染性疾患/母体疾患/新生児疾患/栄養疾患、筋骨格系障害、その他の非感染性疾患の各国間の差や経時的な変動の50%以上は、社会的人口統計状況によって説明が可能であった。 一方、社会的人口統計状況は、心血管疾患、慢性呼吸器疾患、肝硬変、糖尿病/泌尿生殖器疾患/血液疾患/内分泌疾患、不慮の外傷のDALY率の変動については10%も説明できなかった。 また、予測されたとおり、社会的人口統計状況の上昇により、負担がYLLからYLDへと転換しており、筋骨格系障害、神経障害、精神/物質使用障害によるYLLの減少およびYLDの上昇が、これを促進したと考えられる。 平均余命の上昇はHALEの上昇よりも大きく、DALYの主原因には各国間に大きなばらつきが認められた。 著者は、「世界の疾病負担は改善している」と結論し、「人口増加と高齢化がDALYを押し上げているが、粗DALY率には相対的に変化はなく、これは健康の増進は保健システムへの需要の低下を意味しないことを示している。社会的人口統計状況が疾病負担の変動をもたらすとする疫学転換の概念は有用だが、疾病負担には、社会的人口統計状況とは関係のない大きな変動が存在する」とまとめている。 また、「これは、保健政策の立案や関係者の行動に向けて適切な情報を提供するには、国別のDALYおよびHALEの詳細な評価が必要であることをいっそう強調するもの」と指摘している。

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習慣飲酒が血糖状態を改善-日本の中年女性

 日本の中年女性において、アルコール摂取量と血糖状態は肥満症とは無関係に逆相関を示すことが、兵庫医科大学の下村 智子氏らによる研究で明らかになった。日本の中年女性は、飲酒することで心血管疾患の既知のリスク低下につながる可能性がある。Canadian journal of diabetes care誌オンライン版2015年8月12日号の報告。 最近の研究で、習慣飲酒は糖尿病のリスクを軽減することが示されている。しかし、アルコールと糖尿病の関係が肥満症の影響を受けるかどうかについては、いまだ明らかにされていない。本研究では、女性のアルコール摂取が血糖状態に影響を及ぼすのかについて検討した。 対象は、健康診断を受けた35~60歳の日本人女性1万8,352人。対象を、飲酒しない群、ときどき飲む群、毎日軽く飲む群(エタノール 22g以下/日)、毎日大量に飲む群(エタノール22g以上/日)の4群に分けて検討した。アルコール消費量とHbA1c値の関連は、年齢、喫煙歴、運動習慣で調整後、共分散およびロジスティック回帰分析を用いて検討した。 主な結果は以下のとおり。・HbA1c値は、飲酒しない群と比べて、ときどき飲む群、毎日軽く飲む群、毎日大量に飲む群で有意に低かった。・これらの逆相関は、肥満状態(BMI、ウエスト身長比)によって変化しなかった。・飲酒しない群に対する高血糖のオッズ比は、ときどき飲む群で0.82 [95%CI:0.73~0.92]と1.00の基準値よりも有意に低かった(p<0.01)。毎日軽く飲む群のオッズ比は0.61 [95%CI:0.44~0.85]、毎日大量に飲む群は0.66 [95%CI:0.50~0.88]であった。・以上のことから、35~60歳の日本人女性において、アルコール摂取は肥満状態と独立しており、アルコール摂取量と血糖状態は逆相関を示すことが示唆された。

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106)外食の上手な断り方教えます【高血圧患者指導画集】

患者さん用説明のポイント(医療スタッフ向け)■診察室での会話 患者先生、検査結果はどうですか? 悪くなっているんじゃないですか? 患者そうなんです。頭ではわかっているんですが、もらいものが多くて、それに……。 患者ランチに誘われることも多くて……。 患者やっぱり、体重も血糖も増えています。外で食べると、やっぱり食べ過ぎてしまうみたいで……。 患者いえいえ。少しランチの回数を減らしたいと思っています。けど、お誘いを上手に断れるかしら!? 患者よろしくお願いします(ロールプレイをする)。●ポイントロールプレイを通じて、上手な断り方を練習します

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肥満を引き起こす遺伝子のメカニズムが判明/NEJM

 ゲノムワイド研究の進展により、疾患関連の遺伝子座の特定が可能となっている。FTO遺伝子座は、肥満症との遺伝的関連が最も強いことが知られているが、その関連メカニズムは明らかになっていない。米国ハーバード・メディカル・スクールのMelina Claussnitzer氏らは、ヒトおよびマウスを用いた検討から、脂肪細胞の熱産生抑制と関連するFTOアレル遺伝子の存在、およびその基本メカニズムを明らかにした。NEJM誌オンライン版2015年8月19日号掲載の報告。エピゲノムデータ、アレル活性などを調べ肥満メカニズムを解明 研究グループは、FTO遺伝子座と肥満症の関連の制御回路と基本メカニズムを明らかにするために、エピゲノムデータ、アレル活性、モチーフ保存性、レギュレータ発現、遺伝子共発現パターンを調べた。 患者およびマウスサンプルでみられた所見からの予測や、患者サンプルでのCRISPR-Cas9ゲノム編集を用いた予測を検証した。白色脂肪細胞を褐色脂肪細胞に変えうるメカニズムも明らかに データから、肥満症と関連するFTOアレル遺伝子の存在が示された。同関連では、脂肪前駆細胞が自律的に、ミトコンドリア熱産生を抑制し肥満症をもたらしていた。具体的には、rs1421085 T-to-C一塩基多型が、転写制御タンパク質ARID5Bのモチーフを乱し、それにより前脂肪細胞の発現が促進され、早期脂肪細胞分化におけるIRX3とIRX5発現が倍増する。これによりミトコンドリアの熱産生は5分の1となり、脂肪細胞は、エネルギー消費型のベージュ脂肪細胞(ブライト細胞)からエネルギー貯蔵型の白色脂肪細胞に変化し、脂質の蓄積が増大していくとのメカニズムが判明した。 そして、マウスにおける検討で、脂肪細胞のIrx3抑制により、身体活動や食行動を変化せずに、体重減少とエネルギー消費が増大したことが示された。 また、リスクとなるアレル遺伝子を持つ患者において、脂肪細胞のIRX3またはIRX5のノックダウンにより、熱産生能が7倍まで回復した。一方これら遺伝子の過剰な発現は、非リスク・アレル遺伝子キャリアの脂肪細胞では相反する効果をもたらすことが示された。 さらに、リスク・アレル遺伝子を有する被験者の脂肪細胞のrs1421085において、CRISPR-Cas9編集によるARID5Bモチーフを修復することで、IRX3またはIRX5の発現は抑制され、褐色脂肪細胞プログラムが起動し、熱産生能が7倍まで上昇した。

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