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統合失調症では認知症リスクが増加

 統合失調症患者では認知症の相対リスクが著明に増加することが、デンマーク・オーフス大学のAnette Riisgaard Ribe氏らによる、デンマークの全国登録を用いた大規模コホート研究の結果、示された。そのリスク増加は、既知の認知症危険因子とは独立しており、とくに65歳未満の統合失調症患者で認知症リスクが高かったという。統合失調症は、加齢に伴う疾患や認知障害と関連しているが、統合失調症がない場合と比べて認知症になるリスクが高いかどうかは不明であった。JAMA Psychiatry誌2015年11月1日号の掲載報告。 研究グループは、年齢と既知の認知症危険因子を考慮したうえで、統合失調症患者の認知症リスクを、統合失調症のない人(非統合失調症者)と比較する検討を行った。デンマークの6つの全国登録から50歳以上280万人のデータを用い、1995年1月1日~2013年1月1日まで18年間追跡した。2万683人が統合失調症患者であった。解析は2015年1月1日~4月30日に行われ、非統合失調症者と比較した統合失調症患者の認知症罹患率比(IRR)と認知症累積発症割合(CIP)を主要評価項目とした。 主な結果は以下のとおり。・追跡期間中13万6,012例が認知症を発症した。このうち、統合失調症患者は944例であった。・統合失調症患者では、あらゆる原因による認知症のリスクが年齢、性別、発症時期で調整後も2倍以上に上った(IRR:2.13、95%信頼区間[CI]:2.00~2.27)。・そのリスクは、心血管疾患や糖尿病などの内科的併存疾患で調整した場合でも、ほとんど変わらなかった(IRR:2.01、95%CI:1.89~2.15)。しかし、薬物乱用で調整した場合はわずかに減少した(IRR:1.71、95%CI:1.60~1.82)。・統合失調症と認知症リスクとの関連は、患者背景や併存疾患の有無によるサブグループ解析でも同様に認められ、特に65歳未満(IRR:3.77、95%CI:3.29~4.33)、男性(IRR:2.38、95%CI:2.13~2.66)、パートナーと同居(IRR:3.16、95%CI:2.71~3.69)、脳血管疾患なし(IRR:2.23、95%CI:2.08~2.39)、および薬物等乱用なし(IRR:1.96、95%CI:1.82~2.11)でIRRが高かった。・65歳までに認知症を発症するCIP(95%CI)は、統合失調症患者で1.8%(1.5~2.2%)、非統合失調症者で0.6%(0.6~0.7%)、80歳までに認知症を発症するCIPはそれぞれ7.4%(6.8~8.1%)および5.8%(5.8~5.9%)であった。関連医療ニュース 統合失調症患者の認知機能低下への関連因子は 統合失調症では前頭葉の血流低下による認知障害が起きている:東京大学 アルツハイマー病へ進行しやすい人の特徴は  担当者へのご意見箱はこちら

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過体重の思春期1型糖尿病にメトホルミン追加は有用か/JAMA

 過体重/肥満の思春期1型糖尿病患者に対し、インスリン治療にメトホルミンを追加投与しても、血糖コントロールは改善しなかった。米国・ピッツバーグ小児病院のIngrid M. Libman氏らが平均年齢15.3歳の140例を対象とした無作為化試験の結果、報告した。メトホルミン投与群ではインスリン使用量および体重の減少はみられたが、安全性の解析で胃腸障害発現の有意な増大(70% vs.35%)が認められた。著者は「今回の結果は、過体重の思春期1型糖尿病患者に対する、血糖コントロール改善のためのメトホルミン処方を支持しないものであった」とまとめている。これまでにも同様の検討は行われているが、断定的な結果は示されていなかった。JAMA誌2015年12月1日号掲載の報告より。15.3歳140例を対象に無作為化試験 試験には26の小児内分泌科クリニックが参加し、2013年10月~2014年2月に登録された140例を対象に、二重盲検プラセボ対照無作為化試験が行われた。被験者は、12.1~19.6歳で平均15.3(SD 1.7)歳で、1型糖尿病の罹病期間は7.0(3.3)年、平均BMIは年齢と性別で算出したパーセンタイル値評価で94(4)[zスコア評価では1.6(0.3)]、インスリンの1日総投与量は1.1(0.2)U/kg、平均HbA1cは8.8(0.7)%であった。 被験者を、メトホルミン追加投与群(71例、2,000mg/日以下)またはプラセボを投与する群(69例)に無作為に割り付けて評価した。 主要アウトカムは、ベースラインから26週時点でのHbA1cの変化で、ベースラインのHbA1cを補正後に評価した。副次アウトカムには、盲検下での連続血糖モニター指数、インスリン1日総投与量、腹囲、体組成、血圧、脂質などであった。26週時点の評価で血糖コントロール改善に有意差なし フォローアップ13週時点で、HbA1cはプラセボ群に対してメトホルミン群で有意に大きく低下した(0.1% vs.-0.2%;平均差:-0.3%、95%信頼区間[CI]:-0.6~0.0%、p=0.02)。しかしながらこの差は26週時点ではみられず、両群ともベースラインからの変化は0.2%であった(26週時点の平均差:0%、95%CI:-0.3~0.3%、p=0.92)。 26週時点で、インスリン1日総投与量/kg体重がベースラインから25%以上減少していたのは、メトホルミン群23%(16例)に対してプラセボ群は1%(1例)であった(平均差:21%、95%CI:11~32%、p=0.003)。また、zスコア評価のBMIが10%以上減少したのは、メトホルミン群24%(17例)に対してプラセボ群7%(5例)であった(同:17%、5~29%、p=0.01)。 一方で、消化器系有害事象の発現頻度は、メトホルミン群(70%)がプラセボ群(35%)よりも有意に多く報告された(平均差:36%、95%CI:19~51%、p<0.001)。

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報奨金は医師・患者双方に支払われて初めて効果が現れる(解説:折笠 秀樹 氏)-458

 RCT(ランダム化比較試験)というと、薬剤の比較試験を思い出す人が多いだろうが、今回のRCTは一風変わっている。対象は、脂質異常(ベースラインLDL平均値は160mg/dL)の患者、エンドポイントも通常のLDL値であるが、介入が変わっている。LDL低下の目標を達成できたときに報奨金を出すという介入である。 その報奨金も医師のみに出すか、患者のみに出すか、医師と患者双方に出すかの3群を設けた。コントロールは報奨金を出さない群である。報奨金の額は、最大で年10万円程度のようである。また、同じ病院でも患者ごとに報奨金を出したり出さなかったりすると混乱するので、ランダム化はクリニック単位で実施された(クラスター・ランダム化と呼ぶ)。 医師と患者双方に報酬を出したときに、LDL低下目標の達成率が有意に高かったという結論であった。医師のみ、あるいは患者のみに報酬を出しても、それほどLDL値は低下しなかった。これは何を意味しているだろうか。医師・患者が協力して治療に当たることにより、患者の薬物治療への遵守率が向上し、それで薬物の効果であるLDL低下をみたのではないかと思う。 こうした結論であったが、政府あるいは製薬企業が報奨金を出すのは現実的ではないし、少しモラルに欠けると思われる。健康手帳などなら可能ではないかと思うが、そうしたグッズでも同様の結論が得られるか調べてもらいたいものである。

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鋭い論文解説が勢ぞろい!【CLEAR!ジャーナル四天王 2015年トップ30発表】

臨床研究適正評価教育機構(J-CLEAR)は、臨床研究を適正に評価するために、必要な啓発・教育活動を行い、日本の臨床研究の健全な発展に寄与することを目指しているNPO法人です。本企画『CLEAR!ジャーナル四天王』では、CareNet.comで報道された海外医学ニュース『ジャーナル四天王』に対し、鋭い視点で解説します。コメント総数は約450本(2015年11月時点)。今年掲載された150本以上のコメントの中から、アクセス数の多かった解説記事のトップ30を発表します。1位高齢者では、NOACよりもワルファリンが適していることを証明した貴重なデータ(解説:桑島 巖氏)(2015/5/20)2位LancetとNEJM、同じデータで割れる解釈; Door-to-Balloon はどこへ向かうか?(解説:香坂 俊氏)(2015/1/9)3位FINGER試験:もしあなたが、本当に認知症を予防したいなら・・・(解説:岡村 毅氏)(2015/3/20)4位降圧は「The faster the better(速やかなほど、よし)」へ(解説:桑島 巖氏)(2015/4/3)5位MRIが役に立たないという論文が出てしまいましたが…(解説:岡村 毅氏)(2015/7/22)6位DAPT試験を再考、より長期間(30ヵ月)のDAPTは必要か?(解説:中川 義久氏)(2015/1/8)7位やはり優れたワルファリン!(解説:後藤 信哉氏)(2015/8/19)8位ヘパリンブリッジに意味はあるのか?(解説:後藤 信哉氏)(2015/7/8)9位市中肺炎患者に対するステロイド投与は症状が安定するまでの期間を短くすることができるか?(解説:小金丸 博氏)(2015/2/18)10位CKD合併糖尿病患者では降圧治療は生命予後を改善しない?(解説:浦 信行氏)(2015/6/9)11位ワルファリン出血の急速止血に新たな選択肢?(解説:後藤 信哉氏)(2015/4/6)12位SPRINT試験:厳格な降圧が心血管発症を予防、しかし血圧測定環境が違うことに注意!(解説:桑島 巖氏)(2015/11/13)13位なんと!血糖降下薬RCT論文の1/3は製薬会社社員とお抱え医師が作成(解説:桑島 巖氏)(2015/7/14)14位COSIRA試験:血管を開けるのか?それとも、閉じるのか? 狭心症治療に新たな選択肢(解説:香坂 俊氏)(2015/3/27)15位SORT OUT VI試験:薬剤溶出性ステント留置は成熟した標準治療となった!(解説:平山 篤志氏)(2015/2/10)16位心血管リスクと関係があるのはHDL-C濃度ではなくその引き抜き能(解説:興梠 貴英氏)(2015/1/21)17位SPRINT試験:75歳以上の後期高齢者でも収縮期血圧120mmHg未満が目標?(解説:浦 信行氏)(2015/11/18)18位鼻腔から集中治療を行える時代へ:ハイフロー鼻腔酸素療法(解説:倉原 優氏)(2015/6/3)19位働き過ぎは、脳卒中のリスク!(解説:桑島 巖氏)(2015/8/31)20位CLEAN試験:血管内カテーテル挿入時の皮膚消毒はクロルヘキシジン・アルコール(解説:小金丸 博氏)(2015/10/30)21位IMPROVE-IT試験:LDL-コレステロールは低ければ低いほど良い!(解説:平山 篤志氏)(2015/6/22)22位なぜ心房細動ばかりが特別扱い?(解説:後藤 信哉氏)(2015/10/5)23位LDL-コレステロール低下で心血管イベントをどこまで減少させられるか?(解説:平山 篤志氏)(2015/4/21)24位EMPA-REG OUTCOME試験:試験の概要とその結果が投げかけるもの(解説:吉岡 成人氏)(2015/10/1)25位DPP-4阻害薬の副作用としての心不全-アログリプチンは安全か…(解説:吉岡 成人氏)(2015/4/14)26位食後血糖の上昇が低い低glycemic index(GI)の代謝指標への影響(解説:吉岡 成人氏)(2015/1/6)27位抗うつ薬、どれを使う? 選択によって転帰は変わる?(解説:岡村 毅氏)(2015/3/3)28位治療抵抗性高血圧の切り札は、これか?~ROX Couplerの挑戦!(解説:石上 友章氏)(2015/2/20)29位デブと呼んでごめんね! DEB改めDCB、君は立派だ(解説:中川 義久氏)(2015/9/30)30位問診と自己申告で全死亡が予測できる?(解説:桑島 巖氏)(2015/7/6)今回ご紹介しました「CLEAR!ジャーナル四天王」とは他にも、人気のランキングはこちらをどうぞ

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食品交換表改定ポイントにおける糖質管理と果物の位置付け

11月7日、8日と東京と大阪で開かれた「糖質管理セミナー」の様子をお届けします。糖尿病治療のバイブル「食品交換表第七版」編集委員をつとめた幣憲一郎先生が改定ポイントをわかりやすく解説します。糖尿病治療に関わるすべての方必見です。1:重要性を増す糖質と食後血糖管理 スライド1を拡大する 日本の糖尿病患者数は、これまで上昇の一途であったが、2012年に入り若干の減少傾向を示した。 しかし、糖尿病が強く疑われる患者数に大きな変化は無く、糖尿病患者のBMIに着目した推移を調べると、1型も2型も体重が増加し、徐々に肥満傾向が強くなってきている。こうした現状を考えると、エネルギー管理に加えて、炭水化物や糖質管理の必要性を、糖尿病患者にしっかりと伝える必要があると感じている。 食事療法は、糖尿病患者にとって治療の根幹となるもの。血糖の状態を改善するためには、患者が長期間続けてきた食生活や嗜好を十分に把握した上で、アドバイスをする必要がある。食後の高血糖は、心血管疾患の進行に悪影響を及ぼすという報告がある。糖尿病による合併症を予防するためには、「食後血糖値」の管理がとても重要になり、「食後血糖値」を管理する事で、血糖値の急激な上昇を予防しながら、合併症を出さずに病状を維持できると考えている。2:食品交換表 第7版の改訂ポイントと現場での活用方法食品交換表第7版の改訂ポイントは、従来までのエネルギー管理のほかに、血糖管理を意識した説明が各所に追加されたこと。また炭水化物のエネルギー比が50〜60%となっているように、さまざまな症例に合わせて柔軟に対応できるものとなった。さらにメディアで低炭水化物食が話題になっていることから、極端な低炭水化物食への注意喚起も行われている。炭水化物を減らせば血糖値は下がるものの、極端な低炭水化物状態は、患者自身の食習慣に馴染まないため長続きしないなどの弊害もある。糖尿病治療においては、食事療法と運動療法を行い、血糖値の山と谷を平準化し、必要に応じて薬物療法を追加することで、血糖管理が上手くいくようにすすめていきたい。血糖値には、朝・昼・夜の3つの山があり、この山の高さをできるだけ小さくすることが、合併症の予防につながる。これからの食事指導は、エネルギー量をチェックするだけではなく、食後の血糖値に直結する糖質量もチェックする視点が重要。食品交換保表第7版では、表1、表2、表4、調味料に炭水化物・糖質・食物繊維含有量の表が入った。これを使えば、もう患者に「お菓子はダメ」という指導ではなくなる。食品交換表を利用して「今食べているお菓子の糖質量は**だから、こちらのお菓子に変えると血糖値が僅かでも良くなる」と具体的に指導することができる。※極端な低炭水化物食への注意喚起:米国や欧州などのガイドラインにおいては、炭水化物の摂取量をエネルギー比で50~60%としており、RCTを解析したEBMに基づく勧告では55~65%が提案されている。また、米国糖尿病協会(ADA)は炭水化物を少なくとも1日130gは摂取するように勧めている。3:糖尿病患者の果物の位置付け ~糖質管理と果物の適切な量~「果物=フルクトース」というイメージで思われがちだが、果物により含まれる糖の量や種類もさまざま。糖質の種類という観点から、きちんとその組成を知って、患者にも紹介したいものである。果物を多く食べる人は、あまり食べない人と比べ、脳卒中や心筋梗塞の発症リスクが最大19%減少することが、厚生労働省研究班の調査でわかっている。また、米国の調査では、果物は糖尿病発症を減少させるという成績※もある。※BazaanoLA, JoshipuraKJ, Tricia YLet al : Diabetes Care 31 : 1331-1317, 2008ただし、糖尿病患者の中には、果物は太らないと思っている人もいて、過剰摂取につながることもケアする必要がある。特に果物に含まれている果糖は、ショ糖の1.1〜1.7倍ほど甘味度が高いので、果糖の甘味についてしっかり説明した上で、患者の状態にあった果物のアドバイスをしてほしい。スライド2を拡大するその際に、もう1つ参考にしたいのが、果物に含まれる食物繊維の含有量。果物の食物繊維含有量を見ると、ブルーベリーやキウイは食物繊維が多く含まれているが、バナナやぶどうの食物繊維含有量は決して多くはない。スライド3を拡大するまた、例えば、りんごを丸かじりする欧米人と比べて、日本人は皮をむいて食べる習慣がある。果物の皮には食物繊維が豊富に含まれており、食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑制する効果もある。咀嚼や栄養の面から考えれば、皮をむかずに食べることができる果物はできるだけ皮をむかずに食べる方が良いだろう。糖尿病患者の果物の摂取は、食品交換表にもあるように1日1単位が目安。ただし、糖尿病患者の場合、空腹時に同じものを食べても、健常者よりも血糖値が変動しやすく、食後血糖値にも大きな個人差があることは考慮する必要がある。果物をつい食べ過ぎてしまう患者の場合は、果物を食直後のデザートとして提案すること。一人分ずつ小皿に適量を盛り付けること。このような工夫で、果物の摂取量を抑制することがポイントとなる。果物は低GI食品であることに加え、果物そのものが持つ本来の甘味で、糖尿病患者の「甘さ」の欲求に応えることもできる優秀な食材。日本には四季があり、季節ごとに新鮮な果物をおいしく味わうことも楽しみの1つ。果物の重要性及び適量摂取に加え、個人の嗜好に合わせた食の楽しみを栄養指導の中でも伝えていただきたい。提供:かわるProセミナー事務局関連リンクマスコミでも話題のスーパーフルーツ「キウイ」 ~その魅力とチカラ~

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マスコミでも話題のスーパーフルーツ「キウイ」 ~その魅力とチカラ~

11月7日、8日と東京と大阪で開かれた「糖質管理セミナー」の様子をお届けします。マスコミでもスーパーフルーツとしてたびたび取り上げられる「キウイ」。ニュージーランドへ現地視察までしてきた管理栄養士がその本質と魅力を解説します。1:日本人の果物摂取量と課題日本人の果物摂取量は、世界174カ国中129位!世界平均よりも、アジア平均よりもさらに低い状況です。家計調査によると、デザートの中でも果物は特に低い支出になっています。これは食の多様化や個食化の影響が、強く表れていそうです。スライド1を拡大するしかし、果物の摂取が健康維持増進に対してさまざまな良い影響を与えているというのも事実。だからこそ、国では健康日本21、食生活指針、食事バランスガイドを通じて、果物を積極的に食べることを推奨しています。ところが「野菜は350gそのうち緑黄色野菜は120g」と野菜の摂取は具体的に提示しているのに対し、果物は「1日200g」だけ。果物の質は問われていません。超高齢社会の我が国では、「新型栄養失調」と呼ばれる低栄養の問題があります。食事量が減る高齢者の場合は「何を食べるか」という、食事の質が問われている時代。果物の摂取にも、質が重要です。2:スーパーフルーツとしてマスコミでも取り上げられるキウイ下の図は果物の栄養素の凝縮具合を示したものです。スライド2を拡大する栄養素充足率スコアとは、果物の重量100g(可食部)に含まれる17種類の栄養素※1の、「日本人の食事摂取基準 2015年度版」における1日当たりの摂取基準(30~49歳女性での推奨量、目標量、目安量)に対する割合を算出し、その平均値をとったものです。※1 17種類の栄養素:たんぱく質、食物繊維、カルシウム、鉄、マグネシウム、カリウム、亜鉛、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、葉酸、ビタミンB12、ビタミンA、ビタミンEこれによると、日本人がよく食べているバナナやミカンよりもキウイの充足率が優れていることがわかります。これが、キウイが「高栄養密度フルーツ」「スーパーフルーツ」と言われてマスコミなどでも多く取り上げられる理由です。緑色の果肉のキウイフルーツ(緑肉種)には日本人に不足しがちな食物繊維が豊富に(可食部100gあたり3g ゼスプリインターナショナル調べ)含まれています。野菜からだけではなく、果物や穀類からも食物繊維を摂取することで、目標摂取量に近づけることができます。またゴールドキウイ(黄肉種)1個にはレモン(果汁換算)8個分のビタミンCが含まれており、果物の中ではトップクラスです。さらにビタミンEも同時に摂取できるなど、キウイはバランスよくさまざまな栄養素を含んでいます。食が細くなり、効率よく栄養素を摂取する必要がある高齢者にも適した果物と言えそうです。スライド3を拡大する◆キウイは、低GI食品キウイのGI値は、グリーンキウイ(緑肉種)が39、ゴールドキウイ(黄肉種)が38※2と一般的に低GIといわれる分類に属しています。※2 Rush & Drummond, 2009 and Chen, Wu, Weng and Liu, 2011 より約15の臨床研究データの平均より算出。ウェイトコントロールが必要な糖尿病患者さんの場合は、カロリーだけを制限すると、食事量の不足から空腹感が強くなりストレスの原因になってしまいます。また、世間で流行している極度の糖質制限では、穀類を減らすことで、ただでさえ不足気味の食物繊維がさらに不足する傾向もあります。そのような時は穀類の適量摂取とあわせてGI値の低い果物がオススメ。果物は水分や食物繊維が多く、お腹の中で満足感を得られる上に、天然の甘味が楽しめます。栄養バランスのとれた果物を食事指導の現場でも活用していきましょう。注記:キウイにはアクチニジンというたんぱく質分解酵素が含まれています。アクチニジンはお肉などのたんぱく質の消化を助ける働きがある一方で食物アレルギーのアレルゲンでもあります。アレルギーが心配な人は、医療機関へご相談ください。◆注目!!日本食品成分表 七訂(2015年版)に「キウイ(黄肉種)」が追加!2015年版に改定される日本標準食品成分表に、「キウイ(黄肉種)」が掲載されることになりました。キウイは、1年を通じて流通している数少ない果物の1つです。緑肉種・黄肉種、それぞれの栄養の特徴をいかして、食事指導や給食の現場でご活用ください。提供:かわるProセミナー事務局関連リンク食品交換表改定ポイントにおける糖質管理と果物の位置づけ

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NASHへのリラグルチド、第II相試験で有望/Lancet

 非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対するリラグルチドの有効性と安全性が、第II相多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照試験の結果、報告された。組織所見の改善が認められ、安全性および良好な忍容性が確認されたという。英国・バーミンガム大学のMatthew James Armstrong氏らが報告した。結果を踏まえて著者は「長期試験を行う根拠が得られた」と述べている。GLP-1アナログ製剤については、マウスモデルで肝脂肪、肝酵素濃度、インスリン抵抗性の改善が確認されている。製剤は2型糖尿病治療薬としては承認されているが、非アルコール性脂肪性肝炎に対する有効性は明らかになっていない。Lancet誌オンライン版2015年11月19日号掲載の報告。プラセボ対照でベースラインから48週の治療終了時の肝組織所見改善を評価 試験は、2010年8月1日~13年5月31日に、英国の4医療施設で行われた。被験者は無作為に2群に分けられ、一方にはリラグルチド1.8mg/日静注投与、もう一方にはプラセボが投与された。被験者は、過体重で臨床的に非アルコール性脂肪性肝炎と認められた52例で、割り付けは1対1の割合でコンピュータを使用し中央管理下で行われた。なお、試験施設別および糖尿病有無別の層別化も行われた。 本試験のデザインには、A'Hern's single-group法が用いられ、リラグルチドの有効性については、同群38%(8/21例)の臨床的に意義のある効果が認められた場合とした。 患者、研究者、臨床試験施設スタッフ、病理医は試験期間中、治療割り付けを知らされなかった。 主要評価項目は、ベースラインから治療終了時(48週)の線維化無増悪で非アルコール性脂肪性肝炎の組織所見消失とし、中央施設で2人の病理医がそれぞれ評価した。39%で改善を確認、線維化進行は9%に留まる 試験薬投与を受け試験終了時に肝生検を受けた被験者で、組織所見の改善は、リラグルチド群では23例のうち9例(39%)で認められたのに対し、プラセボ群は22例のうち2例(9%)であった(相対リスク:4.3、95%信頼区間[CI]:1.0~17.7、p=0.019)。 また、線維化進行は、リラグルチド群が23例のうち2例(9%)であったのに対し、プラセボ群は22例中8例(36%)であった(同:0.2、0.1~1.0、p=0.04)。 有害事象はGrade1(軽症)~2(中等度)の頻度が最も高く、いずれも一過性で、両群の発現頻度は類似していた。ただし、消化器障害については、リラグルチド群21/23例(81%)でみられた。プラセボ群は17/22例(65%)。症状としては、下痢(リラグルチド群38%、プラセボ群19%)、便秘(27%、なし)、食欲不振(31%、8%)などが報告された。

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TUXEDO-India試験:糖尿病患者でも第1世代DESは不要(解説:上田 恭敬 氏)-457

 Taxus Element versus Xience Prime in a Diabetic Population(TUXEDO)-India Trialにおいては、1,830例の糖尿病を持つPCI予定冠動脈疾患患者を、第1世代DESであるTaxus Element(paclitaxel-eluting stent)群と、第2世代のDESで最も優れた臨床成績を示しているDESの1つであるXience Prime(everolimus-eluting stent)群に無作為に割り付け、「心臓死」・「標的血管を責任血管とする心筋梗塞発症」・「虚血を理由とする標的血管再血行再建術施行」の複合エンドポイントの発生頻度を比較している。Taxus Elementの非劣性を示そうとした試験であったが、複合エンドポイントの頻度が5.6% vs.2.9%とTaxus Elementで有意に高い結果となり、Xience Primeが有意に優れていることが示された。 次々と新しいDESが開発され、さまざまな比較が行われてきたが、今回の問題は第1世代のDESであるCypherとTaxusの比較において、層別解析の結果から糖尿病患者での有効性に差があるかもしれないとの議論に始まる。その本質が薬剤の違いからくるとの仮説から、リムス系薬剤(sirolimus analogue)であるeverolimusと抗がん剤でもあるpaclitaxelの比較という試験デザインになっている。しかし、DESは薬剤の種類だけでなく、その量や経時的溶出パターン、プラットホーム、ポリマーなどさまざまな要素によって千差万別のものが考えられ、それぞれ臨床成績も異なる可能性がある。 実際、同じzotarolimus-eluting stentであっても、EndeavorとResoluteはまったく別物であることは有名である。Endeavorは、最もBMSに近いDESともいわれており、新生内膜は比較的厚くなることで早期の再狭窄率は高いものの、非動脈硬化性・線維性の膜であるために病変が安定な状態となり、急性冠症候群症例に使われても安全性が高いとされてきた。これに対して、Resoluteは新生内膜が非常に薄いために再狭窄率が非常に低く、Xienceとほぼ同等の臨床成績が示されている。すなわち、薬の違いによる臨床成績の差を調べようとすれば、ほかの条件を同じにする必要があるうえに、同じ薬でも量や溶出パターンが違えば、それぞれ違う結果になる可能性がある。そのため、今回の結果はあくまでTaxus ElementとXience Primeの比較試験であって、薬の比較とはいえない。 また、Taxusについては、EndeavorのようにLate lossでみた内腔の再狭小化は大きいが、Endeavorのような臨床的な安定性は認められなかったことから、厚い新生内膜ができることが必ずしも良いことではないとの議論があった。しかし、血管内視鏡やOCTといった血管内画像診断による検討結果からは、Taxusの新生内膜は非常に不均一で、黄色プラークや血栓も高頻度に認めるのに対して、Endeavorの新生内膜はBMSに近く白色均一で、黄色プラークも血栓もほとんど認めないことが明らかとなっており、臨床成績の違いはこの結果からまったく合理的なものであることがわかる。すなわち、大規模臨床試験によって示されるイベント頻度や冠動脈造影所見のみを重視して、病理や血管内画像診断から得られる情報を参考程度にしか考えない現状の認識には問題があると思う。 第1世代のDESであるCypherやTaxusは、それまでPCIのアキレス腱とまでいわれてきた再狭窄を、1年の時点で劇的に減少させたことから、非常に期待を持ったことは間違っていないが、同時に示された上記のような血管内画像診断所見を真摯に捉え、もっと注意深く症例を限定して使用し、長期の臨床成績が出るのを待つべきであったのではないだろうか。1年の短期臨床成績に反して、血管内画像診断所見がCypherやTaxusよりEndeavorのほうが優れていることを示唆していたが、実際5年の長期臨床成績でEndeavorが逆転勝ちしたことは、教訓とすべき事実であろう。

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2015年、人気を集めた記事・スライド・動画は?【2015年コンテンツ閲覧ランキング TOP30】

2015年も、日常診療に役立つ情報を、記事やスライド、動画などで多数お届けしてまいりました。その中でもアクセスの高かった人気コンテンツは、何だったのでしょうか?トップ30をご紹介いたします。1位わかる統計教室第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション1 生存率を算出する方法2位特集:アナフィラキシー 症例クイズ(1)3回目のセフェム系抗菌薬静注後に熱感を訴えた糖尿病の女性3位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(3)知っておくべき初期治療4位1分でわかる家庭医療のパール ~翻訳プロジェクトより~第16回 犬猫咬傷~傷は縫っていいの? 抗菌薬は必要なの?5位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(1)誘因と増悪因子を整理6位CLEAR!ジャーナル四天王高齢者では、NOACよりもワルファリンが適していることを証明した貴重なデータ(解説:桑島 巖 氏)7位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ9.急性腎盂腎炎の標準的治療期間、10~14日の根拠を教えてください。8位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(2)診断のカギ9位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ1.急性上気道炎での抗菌薬投与は本当に不要なのでしょうか?10位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ20.尿路感染症にアンピシリン・スルバクタム、正しいですか?11位臨床に役立つ法的ケーススタディ【ケース1】「入院拒否後、自宅で死亡。家族対応はどうすべき?」(後編)12位わかる統計教室第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション2 よくあるオッズ比の間違った解釈13位わかる統計教室第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション2 カプランマイヤー法で累積生存率を計算してみる14位わかる統計教室第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション3 オッズ比の使い道15位特集:誰もが知っておきたいアナフィラキシー(4)再発予防と対応16位特集:アナフィラキシー 症例クイズ(2)海外出張中に救急搬送されたアレルギー体質の35歳・男性の例17位わかる統計教室第2回 リスク比(相対危険度)とオッズ比セクション1 分割表とリスク比18位Dr.倉原の“おどろき”医学論文第45回 急性心筋梗塞に匹敵するほど血清トロポニンが上昇するスポーツ19位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ7.抗菌薬を投与する際、内服・点滴のどちらにするか悩むことがたびたびあります。20位診療よろず相談TV シーズンII第10回「脂質異常症」(回答者:寺本内科歯科クリニック / 帝京大学臨床研究センター長 寺本 民生氏)Q3.LDL、下げ過ぎによるリスクは?21位特集:成人市中肺炎 症例クイズ(2)「何にでも効く薬」は本当に「何にでも効く」のか?22位CLEAR!ジャーナル四天王LancetとNEJM、同じデータで割れる解釈; Door-to-Balloon はどこへ向かうか?(解説:香坂 俊 氏)23位Dr.山本の感染症ワンポイントレクチャーQ5.インフルエンザ感染で、WBCやCRPはどのように変化するか?24位斬らレセプト ―査定されるレセプトはこれ!事例61 「初診料 休日加算」の査定25位Cardiologistへの道@Stanford第6回 会員からのリクエスト「米国医師の給与について」26位アリスミアのツボQ22. 発作性心房細動はやがてどうなるの?27位わかる統計教室第1回 カプランマイヤー法で生存率を評価するセクション4 カプランマイヤー法の生存曲線を比較する28位スキンヘッド脳外科医 Dr. 中島の 新・徒然草五十五の段 責任とってねテレビ局29位Dr.小田倉の心房細動な日々~ダイジェスト版~テレビなど健康番組を見る患者さんへの説明用資料30位患者向けスライド期外収縮の患者さんへの説明

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エベロリムス溶出、生体吸収性スキャフォールドvs.金属ステント/Lancet

 エベロリムス溶出生体吸収性冠動脈スキャフォールド(BVS)は、エベロリムス溶出金属ステント(EES)に比べ、中期的には冠動脈造影上の性能が劣るものの1年時の標的病変の再血行再建率は同等であり、その一方で亜急性期のステント血栓症のリスクは増大することが、ドイツ・ミュンヘン工科大学のSalvatore Cassese氏らの検討で示された。経皮的冠動脈インターベンション(PCI)では、生体吸収性冠動脈ステントがアウトカムを改善する可能性が示唆されている。エベロリムス溶出BVSは最も研究が進んでいるプラットホームであるが、EESと比較した性能は十分には知られていないという。Lancet誌オンライン版2015年11月16日号掲載の報告。6試験、3,738例のメタ解析で有用性を比較 研究グループは、経皮的血行再建を受けた虚血性心疾患患者において、エベロリムス溶出性のBVSとEESの有効性と安全性を比較するメタ解析を行った(研究助成は受けていない)。 2006年11月30日~15年10月12日に、4つの医学関連データベースおよびこれらのデバイスの無作為化試験関連のウェブサイトを検索して文献を選出し、各論文の文献リストも調査した。 有効性の主要評価項目は標的病変の血行再建、安全性の主要評価項目はdefinite/probableステント(スキャフォールド)血栓症とし、副次評価項目は標的病変不全(心臓死、標的病変心筋梗塞、虚血による標的病変血行再建の複合エンドポイント)、心筋梗塞、死亡、デバイス内遠隔期血管内腔損失とした。 6試験(ABSORB China試験、ABSORB II試験、ABSORB III試験、ABSORB Japan試験、EVERBIO II試験、TROFI II試験)に参加した3,738例(BVS群:2,337例、EES群:1,401例)が解析の対象となった。フォローアップ期間中央値は12ヵ月であった。より大規模な長期フォローアップ試験が必要 全体の年齢中央値は62.3歳(四分位範囲:58.6~65.0)、約4分の3が男性で、約4分の1が糖尿病を有し、おおよそ3分の1がPCI施行時に急性冠症候群(ACS)を呈していた。ベースラインの平均狭窄率は70.8%、対照血管径は2.70mm、病変長は13.4mmであった。 BVS群のEES群に対する標的病変血行再建のオッズ比(OR)は0.97(95%信頼区間[CI]:0.66~1.43)であり、有意差は認めなかった(p=0.87)。 また、標的病変不全(OR:1.20、95%CI:0.90~1.60、p=0.21)、心筋梗塞(同:1.36、0.98~1.89、p=0.06)、死亡(同:0.95、0.45~2.00、p=0.89)にも、両群間に有意な差はなかった。 definite/probableステント血栓症のORは1.99(95%CI:1.00~3.98)であり、BVS群で有意にリスクが高かった(p=0.05)。急性期(留置後24時間以内)のリスクは両群間に差はなかった(OR:0.36、95%CI:0.07~1.71、p=0.21)が、亜急性期(1~30日)に有意差が認められた(同:3.11、1.24~7.82、p=0.02)。 デバイス内遠隔期血管内腔損失(加重平均差:0.08、95%CI:0.05~0.12、p<0.0001)およびセグメント内遠隔期血管内腔損失(同:0.05、0.01~0.09、p=0.01)も、BVS群で有意に大きかった。 著者は、「エベロリムス溶出BVSの長期的な便益を十分に評価するには、より多くの患者で長期にフォローアップを行う臨床試験実施が必要だ」と指摘している。

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週1回のDPP-4阻害薬、メカニズムと安全性は?

 2015年11月27日都内にて、オマリグリプチン(商品名:マリゼブ)新発売を受けて「糖尿病治療における週1回投与のDPP-4阻害薬の役割」をテーマにメディアセミナーが開催された(主催:MSD株式会社)。以下、セミナーの概要を伝える。2型糖尿病治療に大きな影響をもたらした「DPP-4阻害薬」 DPP-4阻害薬は「血糖依存的にインスリン分泌量を調節する」というこれまでにないアプローチで、日本の2型糖尿病市場で大きな存在感を放っている。事実、2009年に本邦初のDPP-4阻害薬・シタグリプチン(商品名:ジャヌビア、グラクティブ)の発売以来、DPP-4阻害薬は、現在日本の2型糖尿病市場においてシェア第1位を誇っている。しかし、依然として糖尿病治療薬の服薬順守率は決して高くはない。そのため、服薬負担が少なく、患者の多様なライフスタイルに対応できる薬剤の登場が望まれている。週1回で効果が続くメカニズム オマリグリプチンは2015年11月26日に発売となった、本邦2成分目の週1回投与・長時間作用型DPP-4阻害薬である。本薬剤が長時間作用するのは、主に以下の4つの働きが関与し、半減期が延長したためである(t1/2=82.5時間)。(1)肝代謝をほとんど受けない(2)特定の組織に蓄積せず、分布容積が大きい(3)血流にのって腎臓へ移行する薬物量が少なく、濾過量が少ない(4)尿細管で薬剤の大部分が再吸収され、再び全身循環する有効性・安全性は連日投与製剤と同程度 国内第III相臨床試験の結果より、本薬剤はシタグリプチンと同程度の有効性、忍容性・安全性を有していることが示唆された。さらに、スルホニル尿素薬、ビグアナイド薬など他の経口糖尿病治療薬との併用においても臨床効果が確認された。 なお、本剤は腎排泄型の薬剤であるため重度腎機能障害のある患者、末期腎不全患者(eGFR<30)は減量して使用する必要がある点に注意が必要である。週1回製剤のメリット 現在、海外における本剤の心血管安全性を評価する大規模臨床試験が進行中であり、さらなるエビデンスが収集されている。試験結果によっては、2型糖尿病治療薬においてDPP-4阻害薬の重要性はますます高まってくる。 演者の石井 均氏(奈良県立医科大学 糖尿病学講座 教授)は、「週1回投与のDPP-4阻害薬によって、従来の血糖降下作用に加えて、その利便性が患者のQOLにも好影響を及ぼす可能性がある。これは患者にとって非常に大きなメリットとなる」と強調し、セミナーを結んだ。プレスリリースはこちら(ケアネット 中野 敬子)関連コンテンツマリゼブ新発売情報

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日本糖尿病学会:「女性糖尿病専門医実態調査アンケート」の結果を公開

 日本糖尿病学会「第二次 女性糖尿病医をpromoteする委員会」は、「女性糖尿病専門医実態調査アンケート」の結果を学会ホームページ内「女性糖尿病医サポートの取り組み」で公開した。 アンケートは、同学会ホームページ内「My Page」(会員専用サイト)を利用して女性の糖尿病専門医を対象に実施され、専門医取得時期/研修指導医取得状況/現在の勤務形態および役職を中心にその実態を調査したもの。同委員会では、女性糖尿病専門医の実態を把握することにより、より的確な支援につなげていくことを目的としている。 結果については、以下関連リンクより閲覧可能。関連リンク「日本糖尿病学会からのご案内 :女性専門医実態調査アンケート(2015年10月)」(日本糖尿病学会「女性糖尿病医サポートの取り組み」)

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SPRINT試験:絶対リスクにより降圧目標を変えるべきか?(解説:有馬 久富 氏)-456

 SPRINT試験の結果が、国内外に衝撃を与えている。SPRINT試験は、高リスク高血圧患者を対象とした無作為化比較試験である。心血管病既往、慢性腎臓病、フラミンガムリスクスコアの高リスク、あるいは75歳以上のいずれかを認める高血圧(収縮期血圧130~180mmHg)患者9,361例が、収縮期血圧120mmHg未満を目標とする積極的降圧療法群と、140mmHg未満を目標とする通常治療群に無作為に割り付けられた。糖尿病および脳卒中既往者については、SPRINT試験と同じNIH(米国立衛生研究所)からの研究費により実施されたACCORD BP試験およびSPS3試験により、積極的降圧療法の効果を検討されていたため、本研究の対象からは除外された。平均3.3年間追跡された時点で、積極的降圧療法の効果が明白となり、試験は予定より早く終了した。その結果は、収縮期血圧120mmHg未満を目標とした積極的降圧療法が、冠動脈疾患・脳卒中・心不全および心血管病死亡からなる複合主要評価項目を25%減少した(p<0.001)という素晴らしいものであった。 SPRINT試験は、高リスク高血圧患者において、現在のガイドラインよりも低い降圧目標(収縮期血圧120mmHg未満)を設定することにより、心血管病のさらなる予防が可能であることを明らかにした。以前より、血圧レベルにかかわらず(たとえ正常域血圧であっても)、降圧療法による心血管病の相対リスク減少は同程度であると報告されているので1)2)、収縮期血圧180mmHgで危険因子のない高リスク者においても、収縮期血圧130mmHgで臓器障害を有する高リスク者においても、同じような降圧療法の心血管病予防効果が期待される。しかし、多くの高血圧治療ガイドラインは、高リスクな正常域血圧者における降圧療法を推奨していない。一方、オーストラリアの高血圧治療ガイドライン3)は、高リスク者において血圧レベルにかかわらず(たとえ至適血圧であっても)降圧療法を行うよう推奨している。SPRINT試験の結果を考慮すると、現行の降圧目標を達成してもなお心血管病のリスクが高いと考えられる者については、オーストラリアのガイドラインが推奨するように、さらなる降圧を行ってもよいかもしれない。 前述したように、SPRINT試験では脳卒中既往および糖尿病のある対象者が除外されている。しかし、ラクナ梗塞既往者3,020例(平均追跡期間3.7年)を対象として、収縮期血圧130mmHg未満を目標とする積極的降圧療法の効果を検討した無作為化臨床試験SPS3では、統計学的に有意ではないものの、脳卒中再発が19%(p=0.08)、心血管病が16%(p=0.10)抑制された4)。2型糖尿病患者4,733例(平均追跡期間4.7年)を対象として、収縮期血圧120mmHg未満を目標とする積極的降圧療法の効果を検討した無作為化臨床試験ACCORD BPでは、心筋梗塞・脳卒中および心血管病死亡からなる複合主要評価項目が統計学的に有意ではないものの12%抑制され(p=0.20)、脳卒中は41%有意に抑制された(p=0.01)5)。 SPS3試験およびACCORD BP試験では、積極的降圧療法の主要評価項目に対する効果は統計学的に有意でなかったが、相対リスクの減少がSPRINT試験よりもやや小さいにもかかわらず、追跡人年がSPRINT試験よりもかなり小さいことを考慮すると、どちらの試験においも統計学的検出力が十分になかった可能性が高い。つまり、脳卒中既往や糖尿病を有する高リスク者においても積極的降圧療法が有用である可能性はあるので、この点についてさらなる検討が必要と考えられる。 SPRINT試験の結果を、実際に高リスク高血圧患者の治療に適用するに当たっては、いくつかの注意が必要と考えられる。まず、SPRINT試験の結果を低リスクおよび中等リスクの高血圧患者に当てはめることはできないので、このような患者さんの降圧目標は現状維持されるべきである。また、心血管病の高リスク者では、動脈硬化が進んでいる可能性がある。両側主幹脳動脈に狭窄のあるような症例では、血圧を下げることで脳卒中が増加するという報告もあるので6)、積極的降圧を行う前に全身をきちんと評価する必要がある。また、SPRINT試験では、積極的降圧療法群で低血圧・急性腎障害などの重篤な有害事象や電解質異常が増加していた。積極的降圧に当たっては、全身管理に十分な注意が必要と考えられる。 最後に、SPRINT試験は、高リスク高血圧者における降圧目標の設定に、重大な影響を与えうる重要な研究である。SPRINT試験に含まれなかった脳卒中既往や糖尿病を有する高リスク高血圧患者においても、積極的降圧療法は有用である可能性があるので、この点についてさらなる検討が必要である。また、これらの結果が、日本を含むアジア人に当てはまるかどうかについても、今後検討が必要と考えられる。参考文献1)Arima H, et al. J Hypertens. 2006;24:1201-1208.2)Czernichow S, et al. J Hypertens. 2011;29:4-16.3)National Heart Foundation of Australia. Guide to management of hypertension 2008, updated 20104)SPS3 Study Group, et al. Lancet. 2013;382:507-515.5)ACCORD Study Group, et al. N Engl J Med. 2010;362:1575-1585.6)Rothwell PM, et al. Stroke. 2003;34:2583-2590.関連コメント厳格な降圧が心血管発症を予防、しかし血圧測定環境が違うことに注意!(解説:桑島 巖 氏)75歳以上の後期高齢者でも収縮期血圧120mmHg未満が目標?(解説:浦 信行 氏)

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2015年、最も読まれた「押さえておくべき」医学論文は?【医療ニュース 年間ランキングTOP30】

2015年も、4大医学誌の論文を日本語で紹介する『ジャーナル四天王』をはじめ、1,000本以上の論文をニュース形式で紹介してきました。その中で、会員の先生方の関心が高かった論文は何だったのでしょう?アクセス数順にトップ30を発表します!1位本当だった!? 血液型による性格の違い(2015/6/2)2位脳梗塞の発症しやすい曜日(2015/4/3)3位心房細動へのジゴキシン、死亡増大/Lancet(2015/3/30)4位緑茶で死亡リスクが減る疾患(2015/4/30)5位学会発表後になぜ論文化しない?(2015/3/3)6位食道がんリスクが高い職業(2015/2/4)7位「朝食多め・夕食軽く」が糖尿病患者に有益(2015/3/4)8位アルツハイマー病への薬物治療、開始時期による予後の差なし(2015/10/28)9位片頭痛の頻度と強度、血清脂質と有意に相関(2015/10/13)10位パートナーがうつ病だと伝染するのか(2015/5/14)11位コーヒー摂取量と死亡リスク~日本人9万人の前向き研究(2015/5/11)12位長時間労働は多量飲酒につながる/BMJ(2015/1/26)13位急性虫垂炎は抗菌薬で治療が可能か?/JAMA(2015/6/30)14位2型糖尿病と関連するがんは?/BMJ(2015/1/23)15位脳梗塞と脳出血の発症しやすい季節(2015/10/19)16位胃がん切除予定例のピロリ除菌はいつすべき?(2015/7/16)17位ジゴキシンは本当に死亡を増大するのか/BMJ(2015/9/14)18位甘くみていませんか、RSウイルス感染症(2015/10/9)19位認知症、早期介入は予後改善につながるか(2015/2/6)20位肺炎球菌ワクチン 接種間隔はどのくらい?(2015/4/22)21位新規経口抗凝固薬の眼内出血リスク、従来薬との比較(2015/8/12)22位5歳までのピーナッツ摂取でアレルギー回避?/NEJM(2015/3/9)23位軽度認知障害からの進行を予測する新リスク指標(2015/1/7)24位若白髪のリスク因子(2015/1/19)25位社会生活の「生きにくさ」につながる大人のADHD(2015/9/16)26位内科診療「身体診察」の重要性を再認識(2015/6/5)27位性別で異なる、睡眠障害とうつ病発症の関連:東京医大(2015/8/20)28位心不全患者へのASV陽圧換気療法は死亡を増大/NEJM(2015/9/18)29位低GI食、インスリン感受性や収縮期血圧を改善せず/JAMA(2015/1/5)30位唐辛子をほぼ毎日食べると死亡リスク低下/BMJ(2015/8/17)

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医師・患者双方への成功報酬で、LDL値が有意に改善/JAMA

 プライマリケア診療でのLDLコレステロール(LDL-C)値コントロールに関して、目標値を達成した場合にプライマリケア医と患者の双方に対して金銭的成功報酬を与えると効果があることが示された。米国・ペンシルベニア大学のDavid A. Asch氏らが、医師340人と患者1,503人を対象に行った4群クラスター無作為化試験の結果で、医師のみ、または患者のみへの成功報酬では、成功報酬がない場合と比べて有意な差は示されなかったという。JAMA誌2015年11月10日号掲載の報告より。医師340人、患者1,503人を対象に試験 研究グループは2011~14年にかけて、米国3ヵ所のプライマリケア診療所を対象に、12ヵ月間の検討を行った。被験者の患者は年齢18~80歳、10年フラミンガム・リスクスコアが20%以上、LDL-C値120mg超で冠動脈疾患歴あり、またはスコア10~20%でLDL-C値140mg/dL超の1,503例だった。 研究グループは、被験者のプライマリケア医340人を無作為に4つの群に分け、患者がLDL-C目標値を達成した場合に、(1)医師のみに患者1人当たり最大1,024ドルを(医師のみ成功報酬群)、(2)患者のみに最大1,024ドルを(患者のみ成功報酬群)、(3)医師と患者に分配報酬を(成功報酬分配群)、(4)アウトカム報酬は両者に与えないが患者のみに参加報酬を355ドル(対照群)、それぞれ与えた。 主要評価項目は、12ヵ月間のLDL-C値の変化量だった。成功報酬分配群のLDL-C年間変化量、対照群との差は8.5mg/dL 結果、各群のベースラインから12ヵ月時点へのLDL-C値は、成功報酬分配群160.1mg/dLから126.4mg/dL、医師のみ群159.9mg/dLから132.0mg/dLへ、患者のみ群160.6mg/dLから135.5mg/dLへ、対照群161.5mg/dLから136.4mg/dLへ減少。それぞれの平均変化値は、成功報酬分配群33.6mg/dL(95%信頼区間[CI]:30.1~37.1)、医師のみ群27.9mg/dL(同:24.9~31.0)、患者のみ群25.1mg/dL(同:21.6~28.5)、対照群25.1mg/dL(同:21.7~28.5)で、いずれも有意な変化が認められた(4群ともp<0.001)。 対照群と比較してLDL-C低下の統計的有意差が認められたのは、成功報酬分配群のみで、その差は8.5mg/dL(95%CI:3.8~13.3、p=0.002)だった。 今回の結果について著者は、「低下の差はわずかで、成功報酬というやり方に価値があるのかどうか、さらなる検証が必要だ」と述べている。

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MDI Liraglutide 試験:強化インスリン療法にGLP-1受容体作動薬を追加する意義(解説:小川 大輔 氏)-455

 2型糖尿病は、インスリン分泌低下やインスリン抵抗性増大により、インスリン作用不足を来し高血糖が持続する疾患である。薬物療法は通常、経口血糖降下薬で開始し併用することが多いが、進行するとGLP-1受容体作動薬や持効型インスリンを併用したり、強化インスリン療法に変更したりする。2型糖尿病の症例に強化インスリン療法を長期間続け、インスリン投与量を徐々に増やしていくと、しばしば体重の増加と低血糖症の出現が問題となる。 今回、BMJ誌に掲載されたMDI Liragultide Trialは、強化インスリン療法を行っている血糖コントロール不十分な2型糖尿病患者に対し、GLP-1受容体作動薬リラグルチド(商品名:ビクトーザ)1.8mgを24週間併用することで、血糖コントロールが改善するか、また体重やインスリン投与量を減らすことができるかを、プラセボと比較検討した試験である。スウェーデンの14施設で施行され、リラグルチド投与群ではHbA1cが開始前より約1.5%有意に低下した。また、体重も3.8 kg有意に減少し、インスリン投与量も18.1単位有意に低下した。さらにCGMで血糖変動も評価しており、リラグルチド群はプラセボ群と比べて有意に血糖変動を改善した。有害事象については、低血糖は両群間で有意差はなく、悪心はリラグルチド投与群で多く認めた。 経口血糖降下薬あるいは持効型インスリンを投与中の2型糖尿病症例に、GLP-1受容体作動薬を追加して効果を検討した試験はすでにあるが、強化インスリン療法にGLP-1受容体作動薬を追加した試験はこれが初めてである。これまで、強化インスリン療法まで行っても血糖や体重のコントロールができない場合、次の一手に困る「手詰まり」感があったが、インクレチン関連薬であるGLP-1受容体作動薬を追加することにより、血糖コントロールが改善し、体重が減少し、さらにインスリン投与量を減らせることが示された意義は大きい。この試験のリミテーションは、観察期間が24週間と短いため、リラグルチドを長期間併用した際の有害事象や心血管イベントに対する影響が不明であること、また、わが国で承認されているリラグルチド投与量の0.9mgより多いという点である。今後、日本人の糖尿病患者を対象とした検討に期待したい。

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PCIは虚血性心疾患患者の長期生存に寄与するか/NEJM

 安定虚血性心疾患患者の初期管理において、至適な薬物療法に経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を併用しても、薬物療法単独に比べ長期的な生存率に差はないことが、米国・ニューヨーク退役軍人省健康管理ネットワークのSteven P Sedlis氏らが行ったCOURAGE試験の拡張調査で確認された。PCIは、ST上昇急性心筋梗塞患者の生存率を向上させ、非ST上昇心筋梗塞患者の長期生存を改善して早期および晩期の心イベントを低減することが示されている。一方、安定虚血性心疾患患者では、PCIは狭心症を軽減し、心筋虚血の領域を減少させるが、生存の改善を示した臨床試験はないという。NEJM誌2015年11月12日号掲載の報告。最長15年の追跡期間の拡張調査で生存率を評価 COURAGE試験では、1999年6月~2004年1月に、安定虚血性心疾患患者2,287例が、至適な薬物療法のみを行う群(薬物療法群)または至適薬物療法+PCIを施行する群(PCI群)に無作為に割り付けられた。 追跡期間中央値4.6年の時点で、全死因死亡と非致死的心筋梗塞の複合エンドポイントの発生率は、PCI群が19.0%、薬物療法群は18.5%であり、両群間に差を認めなかった(ハザード[HR]:1.05、95%信頼区間[CI]:0.87~1.27、p=0.62)(Boden WE, et al. N Engl J Med 2007; 356: 1503-1516)。 研究グループは今回、本試験の拡張調査を行い、最長15年追跡した患者の死亡率を報告した(VA Cooperative Studies Programの助成による)。 米国退役軍人省(VA)の医療施設およびVA以外の米国のいくつかの施設で本試験に参加した患者から、社会保障番号の使用許可を得て、元の試験の終了以降の生存を追跡した。 VAの全国的なCorporate Data Warehouseおよび全米死亡記録(National Death Index)を検索して、生存情報および全死因死亡の日付のデータを収集した。生存率はKaplan–Meier法で算出し、ベースラインの背景因子の群間の有意差はCox比例ハザードモデルを用いて補正した。全体の死亡率:PCI群25%、薬物療法群24% 拡張調査の生存情報は、1,211例(元の患者集団の53%)で得られた(PCI群:613例、薬物療法群:598例)。全体の患者の追跡期間中央値は6.2年(範囲:0~15)であり、生存の追跡の許可が得られた施設の患者の追跡期間中央値は11.9年(範囲:0~15)であった。 全体で2,287例中561例が死亡し、死亡率は25%であった。このうち、元の試験の追跡期間中の死亡が180例、拡張調査の追跡期間中は381例であった。 治療群別の死亡率は、PCI群が25%(284/1,149例)、薬物療法群は24%(277/1,138例)であり、未補正HRは0.98(95%CI:0.83~1.15、p=0.77)、補正HRは1.03(95%CI:0.83~1.21、p=0.76)であった。 拡張調査期間の死亡率はPCI群が41%(253/613例)、薬物療法群は42%(253/598例)であり、未補正HRは0.95(95%CI:0.79~1.13、p=0.53)であった。 拡張調査の有無、年齢(60歳以下、60歳超)、喫煙歴の有無、性別など11項目のサブグループ解析では、両群間に有意な差を認めたものはなかった。 著者は、「最長15年間の拡張追跡調査において、安定虚血性心疾患患者の初期治療戦略として、PCI+薬物療法と薬物療法単独の間に生存率の差を認めなかった」とまとめ、「これは、糖尿病と安定虚血性心疾患の双方を有する2,368例を5.3年間追跡したBARI 2D試験(PCI、CABG)の全死因死亡の結果と一致する」と指摘している。

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CKDリスクを予測する新たなバイオマーカーの可能性/NEJM

 可溶性ウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ受容体(suPAR)の上昇は、ベースライン時の腎機能正常者において、慢性腎臓病(CKD)の発症および推定糸球体濾過量(eGFR)の加速度的な低下と有意に関連することが、米国・エモリー大学医学部のSalim S Hayek氏らの検討で示された。血漿中のsuPARの高値は、多様な病態の患者集団において、不良な臨床転帰や巣状分節性糸球体硬化症、糖尿病性腎症と関連することが知られている。これらの知見はまだ検証中であるが、腎臓病におけるsuPARの広範な役割が示唆されている。NEJM誌2015年11月12日号(オンライン版2015年11月5日号)掲載の報告。血漿suPAR値とCKD発症の関連を前向きコホート試験で評価 研究グループは、「血漿suPAR値はCKDの新規発症と関連する」との仮説を検証するために、心血管疾患患者を対象に大規模な前向きコホート試験を実施した(Abraham J and Phyllis Katz Foundationなどの助成による)。 2003~09年に、アトランタ市の3施設で心臓カテーテルを施行され、エモリー心血管バイオバンクに登録された3,683例(平均年齢63±12歳、男性65%、suPAR中央値3,040pg/mL)の血漿suPAR値を測定した。このうち2,292例(62%)で、登録時とフォローアップ期間中の受診時に腎機能の評価を行った。 suPAR値とベースラインのeGFR、eGFRの経時的変化、CKDの発症との関連につき、人口統計学的変量および臨床的変量で補正後に、線形混合モデルとCox回帰を用いて解析を行った。suPAR値の四分位数(Q1~Q4)別に、eGFRの変化およびCKDの発症の比較を行った。CKDは、eGFR<60mL/分/1.73m2と定義した。 ベースラインのsuPAR値が≧3,040pg/mL(中央値)の患者は、<3,040pg/mLの患者に比べ、年齢が高く、女性が多く、喫煙歴、高血圧、糖尿病、蛋白尿、冠動脈疾患、心筋梗塞歴の頻度が高く、高感度CRPが高値で、eGFRは低値であった(いずれもp<0.001)。CKD発症率が、Q3はQ1の2倍、Q4は3倍以上に ベースラインのsuPAR値が高い患者ほど、フォローアップ期間を通じてeGFR低下の程度が大きく、suPAR値が最大四分位群(Q4)の患者のeGFRの年間の変化が-4.2mL/分/1.73m2であったのに対し、最小四分位群(Q1)では-0.9mL/分/1.73m2であった(p<0.001)。 Q4のeGFRの年間の低下は、Q1およびQ2よりも大きく(いずれも、p<0.001)、Q3もQ1およびQ2に比べ年間の低下が大きかった(いずれも、p<0.001)。Q1とQ2、Q3とQ4の間には有意な差はなかった。 suPAR値関連のeGFRの低下は、ベースラインのeGFRが<60mL/分/1.73m2の患者では有意ではなく(-0.1%、95%信頼区間[CI]:-0.9~0.7)、≧60mL/分/1.73m2の患者では有意であり(-1.2%、95%CI:-1.8~-0.6)、これらの間には有意な差が認められた(交互作用検定:p<0.001)。 また、ベースラインのeGFRが低い患者ほどsuPAR値に関連するeGFRの変動が小さく、ベースライン時に正常(90~120mL/分/1.73m2)であった921例のsuPAR値関連eGFRの低下が最も大きかった(交互作用検定:p<0.001)。 一方、ベースラインのeGFRが≧60mL/分/1.73m2の1,335例におけるCKDの発症率は、suPAR値の四分位がQ1からQ4へ1段階ずつ上がるに従って有意に増加し(ハザード比[HR]:1.40、95%CI:1.26~1.55、p<0.001)、≧3,040pg/mLの患者は<3,040pg/mLに比べて約2倍高かった(HR:1.97、95%CI:1.53~2.54、p<0.001)。 また、suPAR値がQ1の患者に比べて、Q3の患者のCKD発症率は2倍(HR:2.00、95%CI:1.38~2.89、p<0.001)、Q4は3倍以上(HR:3.13、95%CI:2.11~4.65、p<0.001)に達し、Q4はQ3の約1.5倍であった(HR:1.51、95%CI:1.11~2.06、p=0.01)。 著者は、「suPAR高値は、ベースライン時の腎機能正常者においてCKDの発症およびeGFRの加速度的な低下とそれぞれ独立の関連を示した」とまとめ、「これらの結果は、suPARが、CKDのバイオマーカーとして不可欠の要件を満たすことを示唆する」と指摘している。

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